特許拒絶査定不服審判
2016-007029
エネルギー供給システム
- 審判番号
- 2016-007029
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-548960外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月12日
- 審決日
- 2017年08月14日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ニューウェーブ メディカル,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】押野 宏
- 【請求人代理人】永田 豊
- 分類
- P18 .113-WZ (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-548960「エネルギー供給システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年6月27日国際公開、WO2013/096803、平成27年2月5日国内公表、特表2015-503963〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件出願は、2012年(平成24年)12月21日(パリ条約による優先権主張 2011年12月21日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であって、平成27年12月22日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、平成平成28年5月12日に該査定の取消を求めて本件審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、特許請求の範囲について補正がなされた。その後、同年12月26日付けで当審から拒絶の理由が通知され、平成29年5月9日に意見書とともに手続補正書が提出されたものである(なお、同年4月27日付け意見書及び手続補正書は、手続不備により返戻された。)。
第2 本願発明
本願の請求項1~13に係る発明は、平成29年5月9日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、その請求項1の記載は以下のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。
「 【請求項1】
a)内側導電部と取付金具とを有するアンテナと、
b)上記アンテナの遠位端に設けられた導電性チップと、を備えたアブレーションアンテナ装置であって、
上記内側導電部は、上記導電性チップに物理的に結合されておらず、
上記アンテナは、第2の領域より遠位の第1の領域と、第3の領域より遠位の上記第2の領域と、上記第3の領域とを含み、
上記第3の領域は、上記内側導電部と、誘電性材料と、外側導電部とを含み、上記誘電性材料は、上記内側導電部と上記外側導電部との間にあり、
上記第2の領域は、上記第3の領域の上記外側導電部を含まず、上記内側導電部を取り囲むように上記第3の領域の上記誘電性材料は上記第2の領域内に延伸し、
上記第1の領域は、上記第3の領域の上記外側導電部及び上記誘電性材料を含んでいなく、
上記アンテナの上記第1の領域は、更に、上記取付金具が上記導電性チップに接触しないように上記取付金具内に包含されている、
ことを特徴とするアブレーションアンテナ装置。」
第3 引用刊行物記載の発明
これに対して、当審での平成28年12月26日付け拒絶理由通知に引用された、本願の優先日前に頒布された下記の刊行物には、以下の発明が記載されていると認められる。
刊行物1:特開2009-285463号公報
1 刊行物1に記載された事項
(1) 「【技術分野】
【0001】本開示は、概して、組織切除処置において使用されるマイクロ波アプリケータに関する。さらに詳細には、本開示は、電気終端チョークとして働く摺動可能ジャケットを有するマイクロ波アプリケータに関する。」
(2) 「【図面の簡単な説明】
【0025】本発明の上記の局面、上記の特徴、および上記の利点、ならびに他の局面、他の特徴、および他の利点が、添付の図面と関連付けて考慮される以下の詳細な記述を踏まえるとさらに明らかになる。
・・・(略)・・・
【図12】図12は、本開示の一実施形態に従った、マイクロ波切除システムの概略図である。
【図13】図13は、本開示に従った、マイクロ波アンテナアセンブリの断面斜視図である。
【図14】図14~図17は、図12のマイクロ波アンテナアセンブリの一部分の拡大断面図である。
【図15】図14~図17は、図12のマイクロ波アンテナアセンブリの一部分の拡大断面図である。
【図16】図14~図17は、図12のマイクロ波アンテナアセンブリの一部分の拡大断面図である。
【図17】図14~図17は、図12のマイクロ波アンテナアセンブリの一部分の拡大断面図である。」
(3) 「【0033】ダイポールアンテナ40は、近位部分42と遠位部分44とを含み、該近位部分42と該遠位部分44とは、給電点46において誘電性スペーサ(例えば、延ばされた内側絶縁体52)によって相互接続されている。アンテナ40が不平衡である一実施形態において、遠位部分44と近位部分42とは、異なる長さであり得る。近位部分42は、内側導体50と内側絶縁体52とから形成され、該内側導体50と該内側絶縁体52とは、図3に示されるように、外側導体56の外側に互いに延びている。給電路20が同軸ケーブルから形成される一実施形態において、外側導体56と内側絶縁体52とが、露出させられることにより、内側導体50を露出し得る。」
(4) 「【0058】図12~図14は、放射部分118と給電路120とを有するマイクロ波アンテナアセンブリ112の別の実施形態を例示し、該給電路120は、アセンブリ112をケーブル16に接続する。さらに詳細には、アンテナアセンブリ112は、接続ハブ122を介してケーブル16に接続され、該接続ハブ122は、その中に画定された出口流体ポート130と入口流体ポート132とを含む。アセンブリ112は、閉じた構成と引き込まれた構成との間で摺動するように構成された摺動可能外側ジャケット202を含む。アセンブリ112はさらに、その遠位端に配置されたトロカール125を含む。トロカール125は、先細リム205を含み、該先細リム205は、ジャケット202が閉じた構成のときに、ジャケット202の先細縁204と嵌合するように適合されている。アセンブリ112はまた、接続ハブ122を含み、該接続ハブ122は、ケーブルコネクタと流体ポート130と流体ポート132とを有する。ケーブルコネクタ179は、内側導体152に接続され、そして、外側導体156は、給電路120の近位端において外側導体156の外側に延びている。」
(5) 「【0059】図13および図14は、ダイポールアンテナ140を有するアンテナアセンブリ112の放射部分118を例示し、該ダイポールアンテナ140は、中実の誘電性充填剤190によって囲まれている。ダイポールアンテナ140は、平衡または不平衡のいずれかであり得る。ダイポールアンテナ140は、給電路120に接続され、該給電路120は、アンテナアセンブリ112を発電機14に電気接続する。図14に示されているように、給電路20と同様に、給電路120は、内側絶縁体152によって囲まれた内側導体150(例えば、ワイヤ)を含み、次に、該内側絶縁体152は、外側導体156(例えば、円筒形導電冷却ジャケット)によって囲まれている。」
(6) 「【0060】ダイポールアンテナ140は、近位部分142と遠位部分144とを含み、該近位端(当審注:『遠位部分』の誤記)144は、導電性部材145を含む。遠位端部分と近位部分とは、給電点146において誘電性スペーサによって相互接続される。近位部分142は、内側導体150と内側絶縁体152とから形成され、該内側導体150と該内側絶縁体152とは、外側導体156を越えて延ばされている。給電路120が同軸ケーブルから形成される一実施形態において、外側導体156と内側絶縁体152とが、露出されることにより、図14に示されるように、内側導体150を露出し得る。」
(7) 「【0061】遠位部分144は、金属(例えば、銅、ステンレス鋼、錫、それらの様々な合金)などの任意のタイプの導電性材料から形成され得る。部分144は、中実の構造を有し得、そして、ソリッドワイヤ(例えば、10AWG)、またはアセンブリ12の部分44と同様なハンダで満たされた円筒形導体から形成され得る。その後、近位部分(当審注:『遠位部分』の誤記)144は、内側導体150に接続される。」
(8) 「【0062】アセンブリ112は、ダイポールアンテナ140を覆って配置された中実の誘電性充填剤190を含む。充填剤190はまた、トロカール125に接続される。充填剤190は、その中に画定された中央空洞198を有する円筒形状にされ得、該中央空洞198は、アンテナ140の遠位部分144への挿入に適している。空洞198は、アンテナ140の断面形状に応じてアンテナ140を覆って嵌まるのに適している実質的に円筒形の形状を有する。誘電性充填剤190は、アセンブリ112の遠位端においてトロカール125に接続される。」
(9) 「【0063】一実施形態において、充填剤190の誘電性材料は、約2.5~約150の誘電率を有し得、そして、ポリアミドプラスチック(例えば、DuPont of Wilmington、Delawareから入手可能なVESPEL(登録商標))などのアルミナセラミックまたはプラスチックセラミックなどのセラミック材料から作成され得る。充填剤190が、放射部分118と組織との間で誘電性緩衝剤として働くので、組織の電気特性が切除の間に変化したときも、アンテナアセンブリ112は、切除処置全体にわたって、半波共鳴と、エネルギー送達システム(例えば、発電機14、ケーブル16など)に整合されたインピーダンスとのままである。」
(10) 図14の図示内容によれば、ダイポールアンテナ140の遠位端にトロカール125が配置されているものと認めることができる。
(11) 下図(刊行物1の図14に当審で追記した。)に示すように、ダイポールアンテナ140を複数の領域に分け、以下、それぞれ「刊1大領域」、「刊1小領域」、「刊2領域」、「刊3領域」という。ここで、「刊3領域」とは内側導体150並びに内側絶縁体152及び外側導体156が存在する領域であり、「刊2領域」とは内側導体150及び内側絶縁体152が存在し、外側導体156が存在しない領域であり、「刊1小領域」とは内側導体150並びに遠位部分144及び導電性部材145が存在する領域であり、「刊1大領域」とは導電性部材145を含む遠位部分144が存在する領域である。
2 刊行物1発明
そこで、刊行物1の上記記載事項(1)~(9)及び上記認定事項(10)、(11)を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる(以下、「刊行物1発明」という。)。
「a)内側導体150と、導電性部材145を含む遠位部分144を有するダイポールアンテナ140と、
b)ダイポールアンテナ140の遠位端に設けられたトロカール125と、を備えたマイクロ波切除システムであって、
内側導体150は、トロカール125に物理的に結合されておらず、
ダイポールアンテナ140は、刊2領域より遠位の刊1大領域と、刊3領域より遠位の刊2領域と、刊3領域とを含み、
刊3領域は、内側導体150と、内側絶縁体152と、外側導体156とを含み、内側絶縁体152は、内側導体150と外側導体156との間にあり、
刊2領域は、刊3領域の外側導体156を含まず、内側導体150を取り囲むように刊3領域の内側絶縁体152は刊2領域内に延伸し、
刊1大領域は、刊3領域の外側導体156及び内側絶縁体152を含んでいなく、
ダイポールアンテナ140の刊1大領域は、更に、導電性部材145を含む遠位部分144がトロカール125に接触しないように導電性部材145を含む遠位部分144内に包含されている、
マイクロ波切除システム。」
第4 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比すると、以下のとおりである。
刊行物1発明の「内側導体150」は本願発明の「内側導電部」に相当し、以下同様に、「ダイポールアンテナ140」は「アンテナ」に、「トロカール125」は「導電性チップ」に、「刊2領域」は「第2の領域」に、「刊1大領域」は「第1の領域」に、「刊3領域」は「第3の領域」に、「外側導体156」は「外側導電部」に、それぞれ相当する。
また、刊行物1発明の「導電性部材145を含む遠位部分144」は、「金属(例えば、銅、ステンレス鋼、錫、それらの様々な合金)などの任意のタイプの導電性材料から形成され・・・、内側導体150に接続される」(刊行物1の段落【0061】を参照。)ものであって、金属製の部材であり、かつ、内側導電部に取り付けるものといえるので、本願発明の「取付金具」に相当する。
さらに、刊行物1発明の「ダイポールアンテナ140の刊1大領域は、更に、導電性部材145を含む遠位部分144がトロカール125に接触しないように導電性部材145を含む遠位部分144内に包含されている」ことは、本願発明の「上記アンテナの上記第1の領域は、更に、上記取付金具が上記導電性チップに接触しないように上記取付金具内に包含されている」ことに相当するといえる。
また、刊行物1発明の「マイクロ波切除システム」は、マイクロ波エネルギーを切除の際に出力するものであるから、本願発明の「アブレーションアンテナ装置」に相当するといえる。
したがって、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「a)内側導電部と取付金具とを有するアンテナと、
b)上記アンテナの遠位端に設けられた導電性チップと、を備えたアブレーションアンテナ装置であって、
上記内側導電部は、上記導電性チップに物理的に結合されておらず、
上記アンテナは、第2の領域より遠位の第1の領域と、第3の領域より遠位の上記第2の領域と、上記第3の領域とを含み、
上記アンテナの上記第1の領域は、更に、上記取付金具が上記導電性チップに接触しないように上記取付金具内に包含されている、
ことを特徴とするアブレーションアンテナ装置。」
そして、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一応相違している。
<相違点>
本願発明では「誘電性材料」が使用され、その結果、第1~3の領域において、「上記第3の領域は、上記内側導電部と、誘電性材料と、外側導電部とを含み、上記誘電性材料は、上記内側導電部と上記外側導電部との間にあり、上記第2の領域は、上記第3の領域の上記外側導電部を含まず、上記内側導電部を取り囲むように上記第3の領域の上記誘電性材料は上記第2の領域内に延伸し、上記第1の領域は、上記第3の領域の上記外側導電部及び上記誘電性材料を含んでいなく」との事項を有するのに対し、刊行物1発明では「内側絶縁体152」が使用され、その結果、第1~3の領域において、「第3の領域は、上記内側導電部と、」内側絶縁体152「と、外側導電部とを含み、上記」内側絶縁体152「は、上記内側導電部と上記外側導電部との間にあり、上記第2の領域は、上記第3の領域の上記外側導電部を含まず、上記内側導電部を取り囲むように上記第3の領域の上記」内側絶縁体152「は上記第2の領域内に延伸し、上記第1の領域は、上記第3の領域の上記外側導電部及び上記」内側絶縁体152「を含んでいなく」との事項を有する点。
第5 相違点の検討
1 相違点について
本願発明の「誘電性材料」とは、誘電材料のことであるということができ、誘電材料とは「1.電気絶縁体あるいは最小限の電力の散逸で電場を保持することができる材料。2.より一般的な意味では、凝縮状態にある金属以外のあらゆる材料。」(日刊工業新聞社 マグローヒル科学技術用語大辞典改訂第3版)であることから、本願発明の「誘電性材料」は絶縁体も意味するものということができる。このことは、本願発明の実施例(段落【0170】、図36を参照。)において、絶縁体であるPTFEが「誘電性材料」として用いられている点からも明らかである。
そうすると、刊行物1発明の内側絶縁体152は、本願発明の「誘電性材料」に含まれるといえるから、上記相違点は実質的なものではない。
2 請求人の主張について
請求人は、平成29年5月9日付け意見書の4.において、刊行物1発明は、「アンテナの第1の領域は、更に、取付金具が導電性チップに接触しないように取付金具内に包含されている」要件を充足しない、すなわち、「第1の領域」は「取付金具」に接続している程度であり、とても「取り囲まれている」(本願請求項1の用語では「包含されている」)とは言えない旨、主張する。
しかしながら、上記第3、1(11)に示した図を参照すると、刊行物1発明の「刊1大領域」(本願発明の「第1の領域」)が「導電性部材145を含む遠位部分144」(本願発明の「取付金具」)に包含されていることは明らかであり、刊行物1発明は上記「アンテナの第1の領域は、更に、取付金具が導電性チップに接触しないように取付金具内に包含されている」事項を実質的に有する。
仮に、請求人の上記主張を勘案し、上記図に示した刊行物1発明の「刊1小領域」が、本願発明の「第1の領域」に相当するとの前提に立ったとしても、この「刊1小領域」が「導電性部材145を含む遠位部分144」(本願発明の「取付金具」)に包含されていることは明らかであり、同様に、刊行物1発明は上記「アンテナの第1の領域は、更に、取付金具が導電性チップに接触しないように取付金具内に包含されている」事項を実質的に有する。
よって、請求人の上記主張には理由がない。
3 小括
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明である。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明であり、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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