特許拒絶査定不服審判
2016-006394
遊技機
- 審判番号
- 2016-006394
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-089462外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月28日
- 審決日
- 2017年01月05日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京楽産業.株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 小笠原特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-89462号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月24日出願公開、特開2015-208346号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年4月23日に出願されたものであって、平成27年7月2日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し平成27年8月24日付けで手続補正がなされたが平成28年2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年4月28日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成27年8月24日付け手続補正)
「【請求項1】
始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段により前記特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
演出表示手段に装飾図柄を変動表示させてから停止表示させることにより前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する変動演出制御手段と、
前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段とを備え、
前記予告表示制御手段は、前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様の何れかで前記予告表示を表示し、
前記変動演出制御手段は、
前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する表示態様選択手段と、
前記表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段とを有し、
前記変動演出において前記装飾図柄の表示態様を前記表示態様変化手段により変化させることにより、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する、遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成28年4月28日付け手続補正)
「【請求項1】
始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段により前記特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
演出表示手段に装飾図柄を変動表示させてから停止表示させることにより前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する変動演出制御手段と、
前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告表示の表示態様を前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様のうちの1つを選択する第1表示態様選択手段と、
前記第1表示態様選択手段により選択された表示態様で前記予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段とを備え、
前記変動演出制御手段は、
前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する第2表示態様選択手段と、
前記第2表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段とを有し、
前記変動演出において前記装飾図柄の表示態様を前記表示態様変化手段により変化させることにより、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆し、
前記第1表示態様選択手段と、前記第2表示態様選択手段とは、互いに独立してそれぞれ前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する、遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
上記補正前の「予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段」を、上記補正後の「予告表示の表示態様を前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様のうちの1つを選択する第1表示態様選択手段と、前記第1表示態様選択手段により選択された表示態様で前記予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段」とする補正(以下、「補正事項1」という。)、
上記補正前の「前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する表示態様選択手段と、前記表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段」を、「前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する第2表示態様選択手段と、前記第2表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段」とする補正(以下、「補正事項2」という。)、及び、
上記補正後の「第1表示態様選択手段」及び「第2表示態様選択手段」について、「前記第1表示態様選択手段と、前記第2表示態様選択手段とは、互いに独立してそれぞれ前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する」という特定を加える補正(以下、「補正事項3」という。)、
を含んでいる。
2 補正の適否
(1)補正事項1について
本件補正の補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「予告表示制御手段」について、補正前の「予告表示」を「表示」する点を、補正後の「予告表示の表示態様を前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様のうちの1つを選択する第1表示態様選択手段」により「選択された表示態様で」表示するとの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
(2)補正事項2について
本件補正の補正事項2は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「変動演出制御手段」について、補正前の「表示態様変化手段」が「予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択」し「選択された表示態様に装飾図柄を変化させる」点を、補正後の「第2表示態様選択手段」が「予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択」し「選択された表示態様に装飾図柄を変化させる」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
(3)補正事項3について
本件補正の補正事項3は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「予告表示制御手段」及び「変動演出制御手段」について、補正前の各手段において「表示」する又は「変化」させる「表示態様」を、補正後の各手段が有する「前記第1表示態様選択手段と、前記第2表示態様選択手段」によって「互いに独立してそれぞれ前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
(4)独立特許要件について
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。
ア 本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A~Hは本願補正発明を分説するため当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記特別遊技判定手段により前記特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
D 演出表示手段に装飾図柄を変動表示させてから停止表示させることにより前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する変動演出制御手段と、
E 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告表示の表示態様を前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様のうちの1つを選択する第1表示態様選択手段と、
F 前記第1表示態様選択手段により選択された表示態様で前記予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段とを備え、
G 前記変動演出制御手段は、
G1 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する第2表示態様選択手段と、
G2 前記第2表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段とを有し、
G3 前記変動演出において前記装飾図柄の表示態様を前記表示態様変化手段により変化させることにより、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆し、
H 前記第1表示態様選択手段と、前記第2表示態様選択手段とは、互いに独立してそれぞれ前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する、遊技機。」
イ 刊行物1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-239734号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は審決で付した。)。
(ア) 「【0049】
・・・始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図4参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。・・・
【0050】
・・・
【0051】
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第1特別図柄)、右(第2特別図柄)、中(第3特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。・・・」
(イ) 「【0064】
また、ROM111Bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターン(変動態様)を決定するための変動パターンテーブルを記憶している。
変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1~3をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。さらに、これらのパターンテーブルには、後半変動パターンテーブル、前半変動パターンテーブルが含まれている。」
(ウ) 「【0095】
・・・遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aでは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理を行う。・・・
【0096】
また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)をRAM111C等に記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する処理を行う。・・・
【0097】
・・・また、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。・・・
【0098】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。・・・」
(エ) 「【0152】
次に、上記演出制御装置300の主制御用マイコン311によって実行される制御について説明する。」
(オ) 「【0164】
ここで、事前演出振分けテーブルおよびこのテーブルに基づいてその内容が決定される事前演出(予告報知)について説明する。事前演出とは、保留図柄の表示態様を通常と異なる表示態様に変化させることよって当該始動記憶に基づく特図変動表示ゲームにおける大当り発生の期待度(例えば、何のリーチが発生するか)を当該特図変動表示ゲームの開始前に遊技者に報知する演出のことである。主制御用マイコン311は、事前演出内容決定用の乱数を抽出し、セットした事前演出振分けテーブルに参照することにより、保留図柄をどの表示態様で表示するかを決定する。
【0165】
図15には、保留図柄の表示態様について示した。表示装置41に表示される保留図柄の表示態様には、事前演出を行っていないことを示す「事前演出なし(平面の白丸)」と事前演出を行っていることを示す事前演出態様とがある。事前演出態様には、期待度の低いほうから順に、「2D1(平面の黄色い丸)」、「2D2(平面の赤丸)」、「3D1(立体の小さい丸)」、「3D2(立体の大きい丸)」の4種類がある。・・・」
(カ) 「【0187】
・・・この3D演出は、表示装置41に表示される飾り特図変動表示ゲームにおいて、例えば、特別図柄等を立体表示(図25(C)等参照)する演出である。」
(キ) 「【0188】
〔3D演出設定処理〕
図21には、前述の変動中処理における3D演出設定処理(ステップB95)のフローチャートを示した。この3D演出設定処理では、まず、設定された変動パターンを確認(ステップB201)し、3D演出となるパターンが設定されているか否か、すなわち、対応する特図変動表示ゲームの変動パターン(リーチ系統)が「スペシャル3リーチ」または「スペシャルリーチ4」であるか否かを判定する。ここで、3D演出となる変動パターンが設定されている場合(ステップB202;Yes)には、3D演出パターンの選択抽選(ステップB203)を行い、選択された3D演出パターンを設定(ステップB204)する。そして、始動記憶表示領域変更処理1(ステップB205)を行って、3D演出設定処理を終了する。この始動記憶表示領域変更処理1の詳細については、ステップB208における始動記憶表示領域変更処理2の詳細とともに後述する。
【0189】
ステップB202にて設定されたのは3D演出ではないと判定された場合(ステップB202;No)は、2D演出パターンの選択抽選(ステップB206)を行い、選択された2D演出を設定(ステップB207)する。そして、始動記憶表示領域変更処理2(ステップB208)を行って、3D演出設定処理を終了する。
【0190】
この処理により、設定された変動パターンが「スペシャル3リーチ」または「スペシャルリーチ4」を発生させるものであれば、対応する特図変動表示ゲームが3D演出(立体画像演出)で行われ、設定されたリーチ系統が「リーチなし」、「ノーマルリーチ」、「スペシャル1リーチ」、「スペシャル2リーチ」であれば、対応する特図変動表示ゲームが2D演出(平面画像演出)で行われる。
従って、演出制御装置300は、実行内容事前判定手段(演出制御装置300)の事前判定結果に基づき、装飾表示装置(表示装置41)で表示する変動表示ゲーム(特図変動表示ゲーム)の演出として、平面画像で表示される平面画像演出(2D演出)、もしくは立体画像で表示される立体画像演出(3D演出)の何れかを選択し実行する変動表示ゲーム表示手段として機能する。」
(ク) 「【0213】
このように、3D演出の実行前から新たに発生した始動記憶に対応する保留図柄を特別保留表示領域41cに表示させることにより、この後実行される特図変動表示ゲームが期待度の高い3D演出に発展する可能性を遊技者に示唆することができ、遊技者の興趣は前もって高いものとなる。・・・」
(ケ) 上記(エ)に「主制御用マイコン311」は「演出制御装置300」に備えられることが記載されており、また、上記(オ)に、「主制御用マイコン311は・・・保留図柄をどの表示態様で表示するかを決定する」、「事前演出態様には、期待度の低いほうから順に、「2D1(平面の黄色い丸)」、「2D2(平面の赤丸)」、「3D1(立体の小さい丸)」、「3D2(立体の大きい丸)」の4種類がある」と記載され、事前演出態様は、期待度が相対的に低い2D(平面)に関するものと、期待度が相対的に高い3D(立体)に関するものとに大別することができるから、刊行物1には、事前演出態様における保留図柄の表示態様として、期待度が「3D」(立体)よりも低い「2D」(平面)の表示態様と、期待度が「2D」(平面)より高い「3D」(立体)の表示態様のうちのどの表示態様で表示するかを決定する演出制御装置300が記載されているといえる。
以上(ア)~(ケ)の記載事項及び認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。)(a~g3は引用発明を分説するため当審で付与した。)。
「a 始動入賞球の検出時に大当り乱数値及び変動パターン乱数値を抽出する遊技制御装置100と、
b 大当り乱数値と判定値を比較し、特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する遊技制御装置100と、
c 特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特別遊技状態を発生させる遊技制御装置100と、
d 表示装置41において、飾り特別図柄の変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示する処理を行う演出制御装置300と、
e 大当り発生の期待度を報知する事前演出(予告報知)を行っていることを示す事前演出態様における保留図柄の表示態様として、期待度が「3D」(立体)よりも低い「2D」(平面)の表示態様と、期待度が「2D」(平面)より高い「3D」(立体)の表示態様のうちのどの表示態様で表示するかを決定する演出制御装置300と、
f 決定された表示態様で保留図柄を表示装置41に表示する演出制御装置300と、を備え、
g 演出制御装置300は、
g1~3 変動パターン乱数を参照して決定された変動パターンが「スペシャル3リーチ」または「スペシャルリーチ4」を発生させるものであれば、対応する飾り特図変動表示ゲームが3D演出(立体画像演出)で行われ、「リーチなし」、「ノーマルリーチ」、「スペシャル1リーチ」、「スペシャル2リーチ」であれば、対応する飾り特図変動表示ゲームが2D演出(平面画像演出)で行われるように飾り特図変動表示ゲームの演出を選択し実行する変動表示ゲーム表示手段を有する、遊技機。」
ウ 刊行物2に記載された事項
当審で新たに引用する特開2013-34632号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は審決で付した。)。
(ア) 「【0182】
次いで、受信した始動口入賞演出図柄コマンドから当該始動記憶の図柄情報(すなわち、表示装置41に表示する保留図柄を特定するための情報)を取得し(ステップB106)、当該始動記憶の結果が「はずれ」であるか否かを判定する(ステップB107)。
ステップB107で、「はずれ」であると判定した場合(ステップB107;Yes)には、事前演出振分テーブル1(図21(a)参照)をセットする(ステップB108)。
一方、ステップB107で、「はずれ」でないと判定した場合(ステップB107;No)、すなわち、当該始動記憶の結果が「当り」である場合には、事前演出振分テーブル2(図21(b)参照)をセットする(ステップB109)。
【0183】
次いで、受信した始動口入賞演出コマンドから当該始動記憶のリーチの系統情報を取得し(ステップB110)、ステップB108またはステップB109でセットした事前演出振分テーブルおよびステップB110で取得したリーチの系統情報から、事前演出態様(すなわち、保留図柄の色(後述)や3D表示するか否か(後述)等)を選択する(ステップB111)。 ・・・」
(イ) 「【0186】
・・・保留図柄の色が同じである場合、保留図柄が平面表示される場合と立体表示される場合とで期待度が異なることとする。具体的には、本実施形態の場合、保留図柄が平面表示(2D表示)される場合よりも、立体表示(3D表示)される場合の方が、期待度が高いこととする。」
(ウ) 「【0189】
・・・飾り特図変動表示ゲームの実行態様を設定するための変動パターン情報設定処理(ステップB124)を行い、当該飾り特図変動表示ゲームに対応する特図変動表示ゲームの結果は「当り」であるか否かを判定する(ステップB125)。
【0190】
ステップB125で、当該飾り特図変動表示ゲームに対応する特図変動表示ゲームの結果は「当り」でないと判定した場合(ステップB125;No)には、3D演出パターン選択テーブル1(図23(a)参照)を設定して(ステップB126)、設定した3D演出パターン選択テーブル1に基づき3D演出パターンを選択して設定する(ステップB127)。
一方、ステップB125で、当該飾り特図変動表示ゲームに対応する特図変動表示ゲームの結果は「当り」であると判定した場合(ステップB125;Yes)には、3D演出パターン選択テーブル2(図23(b)参照)を設定して(ステップB128)、設定した3D演出パターン選択テーブル2に基づき3D演出パターンを選択して設定する(ステップB129)。」
(エ) 「【0194】
ここで、ステップB126で設定される3D演出パターン選択テーブル1と、ステップB128で設定される3D演出パターン選択テーブル2とについて、図23を参照して説明する。
3D演出(立体画像演出)とは、表示装置41に表示される画像のうち少なくとも一部の画像を立体表示する演出のことである。
具体的には、演出制御装置300は、表示装置41に表示される画像のうち少なくとも一部の画像を立体表示することによって、或いは、表示装置41に表示される画像のうち少なくとも一部の画像を立体表示するとともに可動役物(第1役物A40d11、第1役物B40d12、第1役物C40d13または第2役物40d2)を作動させることによって、3D演出を実行する。
【0195】
本実施形態の場合、3D演出パターンとして、期待度が低いものから順に、「3D演出パターン1」と「3D演出パターン2」と「3D演出パターン3」と「3D演出パターン4」と「3D演出パターン5」と「3D演出パターン6」と「3D演出パターン7」と「3D演出パターン8」と「3D演出パターン9」とがある。
3D演出パターンとして「3D演出パターン1」が選択されて設定された場合は、3D演出も、可動役物の作動も行われない。」
(オ) 「【0223】
・・・3D演出パターンとして「3D演出パターン3」が設定された場合、可動役物が作動するので、例えば図29(b)に示すように、対応する可動役物(第1役物A40d11)が作動する。
そして、第1役物A40d11が作動したので、所定の予告演出を実行することによって、変動中の特図変動表示ゲームにおける期待度を報知する。図29の場合、所定の予告演出として識別情報(飾り特別図柄)を立体表示する演出を実行することによって、変動中の特図変動表示ゲームにおける期待度を報知しているが、所定の予告演出の仕方は適宜任意に変更可能である。
【0224】
・・・3D演出パターンとして「3D演出パターン9」が設定された場合、可動役物が作動するので、例えば図29(d)に示すように、対応する可動役物(第2役物40d2)が作動する。
そして、第2役物40d2が作動したので、所定の予告演出(図29の場合、識別情報(飾り特別図柄)を立体表示する演出)を実行することによって、変動中の特図変動表示ゲームにおける期待度を報知する。・・・」
(カ) 上記(エ)、(オ)より、刊行物2には、「3D演出パターン1」が設定された場合は3D演出は行われず、「3D演出パターン3」又は「3D演出パターン9」が設定された場合は飾り特別図柄を立体表示する3D演出が行われることが記載されているし、当該3D演出が行われない場合に飾り特別図柄が立体表示されない(平面表示される)ことも自明である。
したがって、刊行物2には、飾り特図変動表示ゲームの表示態様の選択を3D演出パターン選択テーブルに基づいて行い、飾り特別図柄を平面表示するか立体表示するかを選択することが記載されているといえる。
以上(ア)~(カ)の記載事項及び認定事項より、刊行物2には、次の事項が記載されている。
「保留図柄の表示態様の選択を事前演出振り分けテーブルに基づいて行い、飾り特図変動表示ゲームの表示態様の選択を3D演出パターン選択テーブルに基づいて行う遊技機。」
エ 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(g3)は引用発明の分説構成と対応させた。
(a) 引用発明の「始動入賞球」を「検出」すること、「大当り乱数値及び変動パターン乱数値」を「抽出する」ことは、それぞれ、本願補正発明の「始動条件」が「成立」すること、「遊技情報」を「取得する」ことに相当する。また、引用発明の「遊技制御装置100」は、本願補正発明の「取得手段」の機能を備える。
したがって、引用発明の「a 始動入賞球の検出時に大当り乱数値や変動パターン乱数値を抽出する遊技制御装置100」は、本願補正発明の「A 始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段」に相当する。
(b) 引用発明の「大当り乱数値」は、上記(a)より、本願補正発明の「前記取得手段により取得された遊技情報」に相当するから、引用発明において「前記大当り乱数値と判定値を比較」することは、「前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて」いるといえる。
引用発明は「c 特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特別遊技状態を発生させる」ものであるから、引用発明の「特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する」ことは、本願補正発明の「特別遊技を行うか否かを判定する」ことに相当するといえるといえる。
また、引用発明の「遊技制御装置100」は、本願補正発明の「特別遊技判定手段」の機能を備える。
したがって、引用発明の「b 大当り乱数値と判定値を比較し、特図変動表示ゲームの当りはずれを判定する遊技制御装置100」は、本願補正発明の「B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段」に相当する。
(c) 引用発明の「特図変動表示ゲームの結果が当りの場合」、「特別遊技状態を発生させる」ことは、それぞれ、本願補正発明の「前記特別遊技判定手段により前記特別遊技を行うと判定された場合」、「特別遊技を実行する」ことに相当する。また、引用発明の「遊技制御装置100」は、本願補正発明の「特別遊技制御手段」の機能を備える。
したがって、引用発明の「c 特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特別遊技状態を発生させる遊技制御装置100」は、本願補正発明の「C 前記特別遊技判定手段により前記特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を実行する特別遊技制御手段」に相当する。
(d) 引用発明の「表示装置41」、「飾り特別図柄」、「変動表示を開始」してから「変動している図柄を順次停止」させること、「特図変動表示ゲームの結果を表示する処理を行う」ことは、それぞれ、本願補正発明の「演出表示手段」、「装飾図柄」、「変動表示させてから停止表示させること」、「前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する」ことに相当する。また、引用発明の「演出制御装置300」は、本願補正発明の「変動演出制御手段」の機能を備える。
したがって、引用発明の「d 表示装置41において、飾り特別図柄の変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示する処理を行う演出制御装置300」は、本願補正発明の「D 演出表示手段に装飾図柄を変動表示させてから停止表示させることにより前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する変動演出制御手段」に相当する。
(e) 引用発明の「大当り発生」は、「大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる」(刊行物1【0050】)ことであって、本願補正発明の「前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される」ことに相当する。また、引用発明は、当該大当り発生の「期待度」を「報知」することで、遊技者に対して当該特別遊技になる可能性がどの程度であるかを示していることは明らかであって、当該「期待度」を「報知」することは、本願補正発明の「特別遊技が実行される可能性を示唆する」ことに相当する。
引用発明の「事前演出(予告報知)を行っていることを示す事前演出態様における保留図柄」、当該事前演出態様における保留図柄の「表示態様」、「期待度が「3D」(立体)よりも低い「2D」(平面)の表示態様と、期待度が「2D」(平面)より高い「3D」(立体)の表示態様」は、それぞれ、本願補正発明の「予告表示」、当該予告表示の「表示態様」、「特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様」に相当する。また、引用発明の「演出制御装置300」は、本願補正発明の「第1表示態様選択手段」の機能を備える。
さらに、引用発明において「どの表示態様で表示するか」を「決定」することは、「2D」(平面)又は「3D」(立体)の表示態様のうちのどちらか1つを選んで決めることであるといえるから、本願補正発明の「複数の表示態様のうちの1つ」を「選択」ことを含んでいるといえる。
したがって、引用発明の「e 大当り発生の期待度を報知する事前演出(予告報知)を行っていることを示す事前演出態様における保留図柄の表示態様として、期待度が「3D」(立体)よりも低い「2D」(平面)の表示態様と、期待度が「2D」(平面)より高い「3D」(立体)の表示態様のうちのどの表示態様で表示するかを決定する演出制御装置300」は、本願補正発明の「E 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告表示の表示態様を前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様のうちの1つを選択する第1表示態様選択手段」に相当する。
(f) 引用発明の「決定された表示態様」、「保留図柄」は、それぞれ、本願補正発明の「前記第1表示態様選択手段により選択された表示態様」、「前記予告表示」に相当する。また、引用発明の「演出制御装置300」は、本願補正発明の「予告表示制御手段」の機能を備える。
したがって、引用発明の「f 決定された表示態様で保留図柄を表示装置41に表示する演出制御装置300」は、本願補正発明の「F 前記第1表示態様選択手段により選択された表示態様で前記予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段」に相当する。
(g1) 上記(a)に示したとおり、引用発明の「変動パターン乱数」は、本願補正発明の「前記取得手段により取得された前記遊技情報」に含まれるから、当該「変動パターン乱数」を参照して決定される、引用発明の「変動パターン」は、本願補正発明の「前記取得手段により取得された前記遊技情報」に「基づいて」いるといえる。したがって、引用発明において「変動パターン」に基づいて「選択」を行うことは、本願補正発明の「前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて」選択を行うことに相当するといえる。
また、引用発明における「3D演出」は、上記「イ (カ)」に示したとおり「特別図柄等を立体表示する演出である」から、引用発明において「飾り特図変動表示ゲームが3D演出(立体画像演出)で行われ」る際には、飾り特別図柄の表示態様が3D(立体)になる。また、他方で、「3D演出」ではない「2D演出」の際には、飾り特別図柄の表示態様が3D(立体)ではなく2D(平面)になることも自明である。したがって、引用発明は、飾り特図変動表示ゲームの演出を、「3D演出」で行うか、「2D演出」で行うかを「選択」することで、飾り特図変動表示ゲームにおける飾り特別図柄の表示態様を3D(立体)とするか、2D(平面)とするかを選択しているといえる。
そして、引用発明における当該3D(立体)と2D(平面)の表示態様は、「事前演出態様における保留図柄の表示態様」であって、上記(e)に示したとおり、本願補正発明の「前記予告表示の複数の表示態様」に相当し、引用発明において当該3D(立体)と2D(平面)の表示態様のうちのどちらかを選択することは、本願補正発明の「前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する」ことに相当するといえる。
したがって、引用発明の「g1~3 変動パターンが「スペシャル3リーチ」または「スペシャルリーチ4」を発生させるものであれば、対応する飾り特図変動表示ゲームが3D演出(立体画像演出)で行われ、「リーチなし」、「ノーマルリーチ」、「スペシャル1リーチ」、「スペシャル2リーチ」であれば、対応する飾り特図変動表示ゲームが2D演出(平面画像演出)で行われるように飾り特図変動表示ゲームの演出を選択」する「変動表示ゲーム表示手段」は、本願補正発明の「G1 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する第2表示態様選択手段」に相当する。
(g2) 引用発明において「飾り特図変動表示ゲームの演出を選択し実行」する際の当該「選択」は、上記(g1)に示したとおり、飾り特図変動表示ゲームにおける飾り特別図柄の表示態様を3D(立体)とするか、2D(平面)とするかの選択であって、当該「実行」する演出では、3D(立体)又は2D(平面)の表示態様の演出パターンに飾り特別図柄を変化させていることは明らかである。
したがって、引用発明の「飾り特図変動表示ゲームの演出」を「実行」する「変動表示ゲーム表示手段」は、本願補正発明の「G2 前記第2表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段」に相当する。
(g3) 引用発明における「3D演出」は、上記「イ (ク)」に示したとおり「期待度の高い」演出であって、当該演出の内容として、3D(立体)又は2D(平面)の表示態様に飾り特別図柄を変化させることが当該「期待度」の報知になることは明らかであるから、引用発明は「飾り特図変動表示ゲームの演出を選択し実行する」ことで、本願補正発明の「前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆」しているといえる。
したがって、引用発明の「飾り特図変動表示ゲームの演出を選択し実行する」ことは、本願補正発明の「G3 前記変動演出において前記装飾図柄の表示態様を前記表示態様変化手段により変化させることにより、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆」することに相当する。
(g) 上記(g1)~(g3)より、引用発明の「演出制御装置300」は、本願補正発明の「G 前記変動演出制御手段」の機能を備える。
以上(a)~(g)の検討より、本願補正発明と引用発明とは、
「A 始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記特別遊技判定手段により前記特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
D 演出表示手段に装飾図柄を変動表示させてから停止表示させることにより前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する変動演出制御手段と、
E 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告表示の表示態様を前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様のうちの1つを選択する第1表示態様選択手段と、
F 前記第1表示態様選択手段により選択された表示態様で前記予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段とを備え、
G 前記変動演出制御手段は、
G1 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する第2表示態様選択手段と、
G2 前記第2表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段とを有し、
G3 前記変動演出において前記装飾図柄の表示態様を前記表示態様変化手段により変化させることにより、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆」する点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]:本願補正発明では、「前記第1表示態様選択手段と、前記第2表示態様選択手段とは、互いに独立してそれぞれ前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する」のに対し、引用発明では、本願補正発明の「第1表示態様選択手段」及び「第2表示態様選択手段」に対応する構成を有するが、各手段が「互いに独立してそれぞれ前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する」という特定がない点。(H)
オ 判断
上記相違点について検討する。
上記ウに示したとおり、刊行物2には「保留図柄の表示態様の選択を事前演出振り分けテーブルに基づいて行い、飾り特図変動表示ゲームの表示態様の選択を3D演出パターン選択テーブルに基づいて行う」ことが記載されている。ここで、刊行物2における当該「事前演出振り分けテーブル」と「3Dパターン選択テーブル」は、当該各テーブルを図示する刊行物2の図21、23からも明らかなように互いに独立している。そして、当該互いに独立した各テーブルに基づいて行われる保留図柄の表示態様(平面表示又は立体表示)の選択と、飾り特図変動表示ゲームの表示態様(平面表示又は立体表示)の選択も「互いに独立して行われる」ものであるといえる。そして、当該「保留図柄の表示態様」を「選択」すること、「飾り特図変動表示ゲームの表示態様」を「選択」することは、それぞれ、引用発明の「保留図柄の表示態様」を「決定」すること(当該「決定」が「選択」を含むことについては上記「エ (e)」に示したとおり)、「特図変動表示ゲームの演出」を「選択」することに対応する。
そうすると、刊行物2には「保留図柄の表示態様の選択と飾り特図変動表示ゲームの表示態様の選択とは、互いに独立して行われること」が記載されているといえる。
また、引用発明と刊行物2に記載の事項とは、遊技機において保留図柄を表示する際に、前者では「遊技者の期待感を高めることのできる事前演出が可能となる」(刊行物1【0165】)ことを目的としており、後者では「特図変動表示ゲームの実行内容・・・や結果・・・に対する期待度を、当該特図変動表示ゲームの開始前に遊技者に報知する」(刊行物2【0185】)ことを目的としているから、両者の目的は、保留図柄の表示態様を変化させることで、飾り特図変動表示ゲームの結果への期待度を、遊技者に対して事前に示すという点で共通している。
そして、引用発明と刊行物2に記載の事項とは、上記した共通の目的を有し、また、保留図柄の表示態様と飾り特図変動表示ゲームの表示態様を選択するという点で共通しているものであるから、引用発明におけるこれらの表示態様の選択のために、刊行物2に記載の事項を適用し、これらの表示態様の選択を「互いに独立して」行う構成として、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
カ 請求人の主張及び本願補正発明が奏する効果について
請求人は本願補正発明について、請求の理由において「引用文献1は、特図変動表示ゲームの表示態様の選択と保留画像の表示態様の選択とは互いに独立して行われるものではございません」、「本願発明では、・・・大当りとなる信頼度を示唆する組合せである、予告表示の表示態様と装飾図柄が変化した表示態様との組合せを多様にすることができ、遊技者が飽きを覚えることを防止することができるとともに、表示態様および装飾図柄の表示態様に遊技者の関心を効果的に引きつけることができるという顕著な効果を奏します」と主張する。
しかしながら、請求人が主張する「特図変動表示ゲームの表示態様の選択と保留画像の表示態様の選択とは互いに独立して行われる」点については、刊行物2に記載の事項であって、上記オのとおり引用発明に適用することも当業者であれば容易になし得たことであることであるし、上記相違点によって本願補正発明が奏する効果も、当業者が引用発明及び刊行物2に記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。
キ まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明及び刊行物2に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 補正却下の決定についてのむすび
上記2より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年8月24日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。(A~G3は本願発明を分説するため当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 始動条件の成立により、遊技情報を取得する取得手段と、
B 前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
C 前記特別遊技判定手段により前記特別遊技を行うと判定された場合、当該特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
D 演出表示手段に装飾図柄を変動表示させてから停止表示させることにより前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する変動演出制御手段と、
E’前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段とを備え、
F’前記予告表示制御手段は、前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様の何れかで前記予告表示を表示し、
G 前記変動演出制御手段は、
G1’ 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する表示態様選択手段と、
G2’ 前記表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段とを有し、
G3 前記変動演出において前記装飾図柄の表示態様を前記表示態様変化手段により変化させることにより、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する、遊技機。」
2 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1記載の発明(引用発明)は、上記「第2 2 (4) イ」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 2 (4) ア」で検討した本願補正発明から、「前記第1表示態様選択手段と、前記第2表示態様選択手段とは、互いに独立してそれぞれ前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する」という事項(H)を省くとともに、予告表示制御手段における予告表示の複数の表示態様について「第1表示態様選択手段」で選択されるという事項を省き(E’、F’)、また、「第2表示態様選択手段」を「表示態様選択手段」とした(G1’、G2’)ものである。
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)~(g3)は引用発明の分説構成と対応させた。
(e、f) 上記「第2 2 (4) エ」に示したとおり、
引用発明の「大当り発生」は、本願発明の「前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される」ことに相当し、
引用発明の「期待度」を「報知」することは、本願発明の「特別遊技が実行される可能性を示唆する」ことに相当し、
引用発明の「事前演出(予告報知)を行っていることを示す事前演出態様における保留図柄」は、本願発明の「予告表示」に相当し、
引用発明の「演出制御装置300」は、本願発明の「予告表示制御手段」の機能を備え、
引用発明の「表示装置41」は、本願発明の「演出表示手段」に相当し、
引用発明の「期待度が「3D」(立体)よりも低い「2D」(平面)の表示態様と、期待度が「2D」(平面)より高い「3D」(立体)の表示態様」は、「特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様」に相当する。
また、引用発明において「どの表示態様で表示するかを決定」し、決定された表示態様で「保留図柄を表示」することは、保留図柄を「2D」(平面)又は「3D」(立体)という複数の表示態様の何れで表示するかを決定し、当該複数の表示態様の何れかで保留図柄を表示することであるといえるから、本願発明の「複数の表示態様の何れか」で「前記予告表示を表示」することに相当する。
したがって、引用発明において「e 大当り発生の期待度を報知する事前演出(予告報知)を行っていることを示す事前演出態様における保留図柄の表示態様として、期待度が「3D」(立体)よりも低い「2D」(平面)の表示態様と、期待度が「2D」(平面)より高い「3D」(立体)の表示態様のうちのどの表示態様で表示するかを決定する演出制御装置300と、f 決定された表示態様で保留図柄を表示装置41に表示する演出制御装置300と」によって当該表示を行うことは、本願発明において「E’前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記特別遊技制御手段により前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告表示を前記演出表示手段に表示する予告表示制御手段」を備え「F’前記予告表示制御手段は、前記特別遊技が実行される可能性に対応した複数の表示態様の何れかで前記予告表示を表示」を行うことに相当する。
(g1) 上記「第2 2 (4) エ」に示したとおり、引用発明において「変動パターン」に基づいて「選択」を行うことは、本願発明の「前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて」選択を行うことに相当し、また、引用発明は、飾り特図変動表示ゲームの演出を「3D演出」で行うか「2D演出」で行うかを「選択」することで、飾り特図変動表示ゲームにおける飾り特別図柄の表示態様を3D(立体)とするか2D(平面)とするかを選択しているといえるから、引用発明において当該3D(立体)と2D(平面)の表示態様のうちのどちらかを選択することは、本願発明の「前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「g1~3 変動パターンが「スペシャル3リーチ」または「スペシャルリーチ4」を発生させるものであれば、対応する飾り特図変動表示ゲームが3D演出(立体画像演出)で行われ、「リーチなし」、「ノーマルリーチ」、「スペシャル1リーチ」、「スペシャル2リーチ」であれば、対応する飾り特図変動表示ゲームが2D演出(平面画像演出)で行われるように飾り特図変動表示ゲームの演出を選択」する「変動表示ゲーム表示手段」は、本願発明の「G1’ 前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づいて、前記予告表示の複数の表示態様のうちの1つを選択する表示態様選択手段」に相当する。
(g2) 上記「第2 2 (4) エ」に示したとおり、引用発明において「飾り特図変動表示ゲームの演出を選択し実行」する際の当該「選択」は、飾り特図変動表示ゲームにおける飾り特別図柄の表示態様を3D(立体)とするか2D(平面)とするかの選択であって、当該「実行」する演出では、3D(立体)又は2D(平面)の表示態様の演出パターンに飾り特別図柄を変化させていることは明らかである。
したがって、引用発明の「飾り特図変動表示ゲームの演出」を「実行」する「変動表示ゲーム表示手段」は、本願発明の「G2’ 前記表示態様選択手段により選択された表示態様に装飾図柄を変化させる表示態様変化手段」に相当する。
(a~d、g、g3) 引用発明の上記以外の構成(a~d、g、g3)は、上記「第2 2 (4) エ」に示したとおりに対比できるから、本願発明の上記以外の構成(A~D、G、G3)と一致する。
したがって、本願発明と引用発明を対比すると、相違する点はないから、本願発明は刊行物1に記載された発明である。
4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-006394