特許拒絶査定不服審判
2016-005995
積層セラミックコンデンサ及びその製造方法
- 審判番号
- 2016-005995
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-184880外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月22日
- 審決日
- 2017年03月21日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】加藤 公延
- 分類
- P18 .121-Z (H01G) / P18 .561-Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-184880「積層セラミックコンデンサ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日出願公開、特開2014- 3328〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年10月27日(パリ条約による優先権主張 2011年3月9日 韓国(KR))に出願した特願2011-235781号の一部を平成25年9月6日に新たな出願としたものであって、手続の概要は以下のとおりである。
上申書 :平成25年 9月 6日
拒絶理由通知 :平成27年 7月 8日(起案日)
意見書 :平成27年 9月25日
手続補正 :平成27年 9月25日
拒絶査定 :平成27年12月15日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成28年 4月22日
手続補正 :平成28年 4月22日
上申書 :平成28年 8月 2日
上申書 :平成28年 8月24日
第2 平成28年4月22日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年4月22日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正
平成28年4月22日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前に、
「 【請求項1】
上下方向に積層された複数の誘電体層を含み、幅方向に対向する両側面及び長さ方向に対向する両端面を有する積層本体と、
前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び一端面に露出する第1内部電極と、
前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び他端面に露出する第2内部電極と、
前記積層本体の一側面に形成され、10μm~30μmの幅を有する第1サイド部と、
前記積層本体の他側面に形成され、10μm~30μmの幅を有する第2サイド部と、を含み、
前記第1サイド部における上方の角部および下方の角部、及び、前記第2サイド部における上方の角部および下方の角部はラウンド状の曲線部であり、
前記第1サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、前記第1サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最下部に位置する内部電極よりも下方に位置する、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記内部電極と前記誘電体層は同一幅で形成される、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記内部電極の幅方向の端部と前記誘電体層の幅方向の端部は一平面上に配置される、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
複数のストライプ状の第1内部電極パターンが所定の間隔をおいて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数のストライプ状の第2内部電極パターンが所定の間隔をおいて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記ストライプ状の第1内部電極パターン及び前記ストライプ状の第2内部電極パターンが交差するよう、前記第1セラミックグリーンシートと前記第2セラミックグリーンシートを上下方向に積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、
前記ストライプ状の第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンを横断し、第1内部電極及び第2内部電極が一定幅を有し、前記幅方向に前記第1内部電極及び第2内部電極の末端が露出した側面を有するように前記セラミックグリーンシート積層体を切断する段階と、
前記第1内部電極及び第2内部電極の末端が露出した側面にセラミックスラリーを用いて10μm~30μmの幅を有する第1サイド部及び第2サイド部を形成する段階と、を含み、
前記第1サイド部における上方の角部および下方の角部、及び、前記第2サイド部における上方の角部および下方の角部はラウンド状の曲線部であり、
前記第1サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、前記第1サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最下部に位置する内部電極よりも下方に位置する、積層セラミックコンデンサの製造方法。」
とあったところを、
本件補正後、
「 【請求項1】
上下方向に積層された複数の誘電体層を含み、幅方向に対向する両側面及び長さ方向に対向する両端面を有する積層本体と、
前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び一端面に露出する第1内部電極と、
前記第1内部電極の主成分として含まれる金属と同一の金属を主成分として含み、前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び他端面に露出する第2内部電極と、
前記積層本体の一側面に形成され、10μm~30μmの幅を有する第1サイド部と、
前記積層本体の他側面に形成され、10μm~30μmの幅を有する第2サイド部と、を含み、
前記第1及び第2サイド部内の誘電体グレイン(grain)は前記積層本体内の誘電体グレインと区別され、
前記第1サイド部における上方の角部および下方の角部、及び、前記第2サイド部における上方の角部および下方の角部はラウンド状の曲線部であり、
前記第1サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、前記第1サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最下部に位置する内部電極よりも下方に位置し、前記第1及び第2サイド部の前記角部内に含有される誘電体は粒子表面上切断断面を含まない、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記内部電極と前記誘電体層は同一幅で形成される、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記内部電極の幅方向の端部と前記誘電体層の幅方向の端部は一平面上に配置される、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
複数のストライプ状の第1内部電極パターンが所定の間隔をおいて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数のストライプ状の第2内部電極パターンが所定の間隔をおいて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記ストライプ状の第1内部電極パターン及び前記ストライプ状の第2内部電極パターンが交差するよう、前記第1セラミックグリーンシートと前記第2セラミックグリーンシートを上下方向に積層してセラミックグリーンシート積層体を形成する段階と、
前記ストライプ状の第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンを横断し、第1内部電極及び第2内部電極が一定幅を有し、前記幅方向に前記第1内部電極及び第2内部電極の末端が露出した側面を有するように前記セラミックグリーンシート積層体を切断する段階と、
前記第1内部電極及び第2内部電極の末端が露出した側面にセラミックスラリーを用いて10μm~30μmの幅を有する第1サイド部及び第2サイド部を形成する段階と、を含み、
前記第1サイド部における上方の角部および下方の角部、及び、前記第2サイド部における上方の角部および下方の角部はラウンド状の曲線部であり、
前記第1サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、前記第1サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最下部に位置する内部電極よりも下方に位置し、前記第2内部電極は、前記第1内部電極の主成分として含まれる金属と同一の金属を主成分として含み、前記第1及び第2サイド部内の誘電体グレイン(grain)は積層本体内の誘電体グレインと区別され、前記第1及び第2サイド部の前記角部内に含有される誘電体は粒子表面上切断断面を含まない、積層セラミックコンデンサの製造方法。」
とするものである。
2.補正の適否
(1)請求項1、4、【0010】及び【0013】において、第2内部電極について「前記第1内部電極の主成分として含まれる金属と同一の金属を主成分として含み、」と補正する点について
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、第1内部電極パターンを形成する内部電極ペーストが含む導電性金属について記載されている(【0062】)ものの、第2内部電極パターンを形成する内部電極ペーストについては記載されておらず、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載からは、第2内部電極が第1内部電極の主成分として含まれる金属と同一の金属を主成分として含むとまではいえない。
したがって、当該補正は、当業者によって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関連において、新たな技術的事項を導入しないものであるとは認められず、本件補正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。
(2)請求項1、4、【0010】及び【0013】において、「前記第1及び第2サイド部内の誘電体グレイン(grain)は前記積層本体内の誘電体グレインと区別され、」と補正する点について
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、焼成された棒状の積層体の第1及び第2側面それぞれに第1サイド部及び第2サイド部を形成することが記載されている(【0074】、【0075】)ものの、第1及び第2サイド部内の誘電体グレイン及び積層本体内の誘電体グレインのいずれについても記載されておらず、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載からは、第1及び第2サイド部内の誘電体グレインは積層本体内の誘電体グレインと区別されるとまではいえない。
したがって、当該補正は、当業者によって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関連において、新たな技術的事項を導入しないものであるとは認められず、本件補正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。
(3)請求項1、4、【0010】及び【0013】において、「前記第1及び第2サイド部の前記角部内に含有される誘電体は粒子表面上切断断面を含まない、」と補正する点について
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、棒状の積層体の第1及び第2側面にセラミックスラリーを塗布して第1及び第2サイド部を形成すること、及び棒状の積層体をセラミックスラリーにディッピングして棒状の積層体の第1及び第2側面に第1及び第2サイド部を形成することが記載されている(【0079】、【0080】)ものの、第1及び第2サイド部の角部内に含有される誘電体の粒子表面上切断断面について記載されておらず、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載からは、第1及び第2サイド部の角部内に含有される誘電体は粒子表面上切断断面を含まないとまではいえない。
したがって、当該補正は、当業者によって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関連において、新たな技術的事項を導入しないものであるとは認められず、本件補正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。
3.本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
平成28年4月22日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成27年9月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。
2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平11-340083号公報(平成11年12月10日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる積層セラミックコンデンサ本体の両端部に、一対の外部電極を形成した積層セラミックコンデンサに関する。」
(2)「【0038】
【実施例】先ず、チタン酸バリウムを主成分とし、この主成分100モル部に対して酸化イットリウムを1モル部、酸化マグネシウムを2モル部、酸化マンガンを0.1モル部添加した誘電体粉末に、水及び分散剤を加え、ZrO2ボールを用いたボールミルにて混合粉砕した後、有機バインダーを混合し、得られたスラリーを厚み5μmのテープ状に成形し、容量発生部の誘電体層用のグリーンシートを得た。
【0039】上記誘電体材料粉末にジルコン酸カルシウム(CaZrO3)及び/またはジルコン酸バリウム(BaZrO3)粉末を、表1に示す量だけ加え、上記誘電体層用のスラリーと同様に処理して側面マージン部用のスラリーを得た。また、このスラリーを用い、厚さ10~50μmの上下マージン部用のグリーンシートを作製した。
【0040】一方、内部電極として、ニッケル粉末に有機可塑剤を加えたペースト、及びパラジウム粉末に有機可塑剤を加えたペーストを用意し、各々上記容量発生部用のグリーンシート上にスクリーン印刷法にて形成し、ニッケル及びパラジウムが各々一層おきに交互に配置されるようにグリーンシートを積層し、容量発生部の積層成形体を作製した。
【0041】上下マージン部用のグリーンシートを、容量発生部の積層成形体の上下面にそれぞれ積層した後、熱圧着して積層成形体を作製し、この後内部電極が側面に露出するように所定の寸法に切断した。次に、側面マージン部用スラリーを、積層成形体の内部電極が露出した側面にオフセット印刷法により印刷塗布し、乾燥し内部電極を絶縁する層を形成して生チップを得た。
【0042】比較のため、内部電極としてニッケルのみを使用した成形体と、非容量発生部に容量発生部と同じ誘電体材料を用い、内部電極としてニッケルのみを使用した成形体も用意した。
【0043】この生チップを、酸素分圧1×10-6Pa、温度1260℃で2時間焼成し、次に、酸素分圧1×10Pa、温度1000℃で1時間熱処理を行い、誘電体層厚み3μm、有効誘電体層数150層、外形寸法2.0mm×1.1mm×0.62~0.8mm、有効電極面積1.6×(0.66~1.09)mm2の積層コンデンサを得た。この焼結体をバレル研磨後、コンデンサの内部電極が露出した両端面に銅ペーストを塗布し、900℃で焼き付け、さらにその上にNiメッキ及びSnメッキを施した。」
(3)【0048】【表1】に側面マージン部の厚みが20μm及び14μmの試料が記載されている。
上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。
(a)引用例には、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる積層セラミックコンデンサ本体の両端部に、一対の外部電極を形成した積層セラミックコンデンサが記載されている(摘示事項(1))。
(b)内部電極を形成した容量発生部用のグリーンシートと上下マージン部用のグリーンシートとを積層した後、熱圧着して積層成形体を作製し、この後内部電極が側面に露出するように所定の寸法に切断し、次に、側面マージン部用スラリーを、積層成形体の内部電極が露出した側面に印刷塗布し、乾燥し内部電極を絶縁する層を形成して生チップを得、この生チップを、焼成し、次に、熱処理を行い、積層コンデンサを得、この焼結体をバレル研磨後、コンデンサの内部電極が露出した両端面に銅ペーストを塗布し、焼き付け、さらにその上にNiメッキ及びSnメッキを施したことが記載されている(摘示事項(2))。
(c)側面マージン部の厚みが20μm及び14μmの試料が記載されている(摘示事項(3))。
以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる積層セラミックコンデンサ本体の両端部に、一対の外部電極を形成した積層セラミックコンデンサであって、
内部電極を形成した容量発生部用のグリーンシートと上下マージン部用のグリーンシートとを積層した後、熱圧着して積層成形体を作製し、この後内部電極が側面に露出するように所定の寸法に切断し、次に、側面マージン部用スラリーを、積層成形体の内部電極が露出した側面に印刷塗布し、乾燥し内部電極を絶縁する層を形成して生チップを得、この生チップを、焼成し、次に、熱処理を行い、積層コンデンサを得、この焼結体をバレル研磨後、コンデンサの内部電極が露出した両端面に銅ペーストを塗布し、焼き付け、さらにその上にNiメッキ及びSnメッキを施すことにより得られる積層セラミックコンデンサ。」
3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
(1)積層セラミックコンデンサ
本願発明と引用発明とは、「積層セラミックコンデンサ」である点で一致する。
(2)積層本体
引用発明において、「内部電極を形成した容量発生部用のグリーンシートと上下マージン部用のグリーンシートとを積層した後、熱圧着して積層成形体を作製し、この後内部電極が側面に露出するように所定の寸法に切断し」た段階のものは、「上下方向に積層された複数の誘電体層を含み、幅方向に対向する両側面及び長さ方向に対向する両端面を有する積層本体」といえる。
(3)第1内部電極及び第2内部電極
引用発明における「内部電極を形成した容量発生部用のグリーンシートと上下マージン部用のグリーンシートとを積層した後、熱圧着して積層成形体を作製し、この後内部電極が側面に露出するように所定の寸法に切断し」た段階のものに着目すると、本願発明と引用発明とは、「前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び一端面に露出する第1内部電極と、前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び他端面に露出する第2内部電極と、」を含む点で一致する。
(4)第1サイド部及び第2サイド部
引用発明の「側面マージン部」は、積層成形体の内部電極が露出した側面に形成した内部電極を絶縁する層であるから、「前記積層本体の一側面に形成された第1サイド部」及び「前記積層本体の他側面に形成された第2サイド部」といえる。
もっとも、第1サイド部及び第2サイド部の幅について、本願発明は、「10μm~30μm」との特定があるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。
(5)第1サイド部及び第2サイド部の角部
第1サイド部及び第2サイド部の角部について、本願発明は、「前記第1サイド部における上方の角部および下方の角部、及び、前記第2サイド部における上方の角部および下方の角部はラウンド状の曲線部であり」との特定があるのに対し、引用発明は、そのような明確な特定がない点で相違する。
(6)第1サイド部及び第2サイド部の角部におけるラウンド状の曲線部
第1サイド部及び第2サイド部の角部について、本願発明は、さらに、「前記第1サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、前記第1サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最下部に位置する内部電極よりも下方に位置する」との特定があるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「上下方向に積層された複数の誘電体層を含み、幅方向に対向する両側面及び長さ方向に対向する両端面を有する積層本体と、
前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び一端面に露出する第1内部電極と、
前記積層本体の内部に形成され、前記積層本体の両側面及び他端面に露出する第2内部電極と、
前記積層本体の一側面に形成された第1サイド部と、
前記積層本体の他側面に形成された第2サイド部と、を含む、
積層セラミックコンデンサ。」の点。
そして、次の点で相違する。
<相違点>
(1)第1サイド部及び第2サイド部の幅について、本願発明は、「10μm~30μm」との特定があるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。
(2)第1サイド部及び第2サイド部の角部について、本願発明は、「前記第1サイド部における上方の角部および下方の角部、及び、前記第2サイド部における上方の角部および下方の角部はラウンド状の曲線部であり」との特定があるのに対し、引用発明は、そのような明確な特定がない点。
(3)第1サイド部及び第2サイド部の角部について、本願発明は、さらに、「前記第1サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、前記第1サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体および前記第2サイド部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体は、前記第1内部電極および前記第2内部電極の内で最下部に位置する内部電極よりも下方に位置する」との特定があるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。
4.判断
そこで、上記相違点について検討する。
相違点(1)について
引用例には、側面マージン部の厚みが20μm及び14μmの試料が記載されている(摘示事項(3))から、引用発明において、側面マージン部の厚みをこれと同程度の10μm~30μmとすることは、当業者が適宜なし得る。
相違点(2)について
焼結体をバレル研磨すると稜線部分が丸められることは技術常識である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-297566号公報【0003】参照)から、引用発明においても、側面マージン部の角部はラウンド状の曲線部であると考えられ、相違点(2)は実質的なものではない。
相違点(3)について
側面マージン部の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体が、最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、側面マージン部の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体が、最下部に位置する内部電極よりも下方に位置する配置は、ごく普通のものである(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-243040号公報【図3】参照)から、引用発明において、左右側面の上方の角部におけるラウンド状の曲線部全体が、最上部に位置する内部電極よりも上方に位置し、左右側面の下方の角部におけるラウンド状の曲線部全体が、最下部に位置する内部電極よりも下方に位置する配置を採用することは、当業者が適宜なし得る。
また、明細書に記載された本願発明が奏する効果についてみても、本願発明の構成のものとして当業者であれば予測し得る程度のものに過ぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-005995