特許拒絶査定不服審判
2016-005882
写真自動販売装置、写真自動販売方法及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2016-005882
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-249792外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月20日
- 審決日
- 2017年01月05日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】辰巳電子工業株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-249792「写真自動販売装置、写真自動販売方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月30日出願公開、特開2013-106257〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.経緯
1.手続
本願は、平成23年11月15日の出願であって、平成27年7月9日(起案日)付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成27年9月11日付けで手続補正がなされたが、平成28年1月22日(起案日)付けで拒絶査定がなされた。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成28年4月20日付けで請求された拒絶査定不服審判である。
2.査定
原査定の理由は、概略、以下のとおりである。
本願の請求項1ないし8に係る発明は、下記各引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
記(引用文献)
引用文献1:特開2003-204497号公報
引用文献2:特開2006-47824号公報
引用文献3:特開2007-295418号公報
引用文献4:特開2008-76796号公報
引用文献5:特開2004-173122号公報(周知技術を示す文献)
第2.本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成27年9月11日付けの手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載した事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、下記のとおりである。
なお、本願発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。
(本願発明)
(A)利用者を含む被写体の撮影を行う撮影工程と、
(B)前記撮影工程で得られた撮影画像を編集して編集画像を作成する工程と、
(C)利用者が支払う対価の額に応じて、前記編集画像若しくは前記撮影画像の印刷と、外部装置への前記編集画像若しくは前記撮影画像の画像データの送信との双方を行うか、又は前記送信のみを行う工程と、
(D)を含むことを特徴とする写真自動販売方法。
第3.当審の判断
1.刊行物の記載事項
(1)刊行物1
原査定において引用された引用文献1である特開2003-204497号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「写真シール自動販売方法とその装置とそのシステム、及び写真シール紙ユニット」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、1以上の被写体を撮像手段で撮像して撮像画像を作成する撮像処理を許容し、編集対象の画像を編集手段で編集して編集画像を作成する編集処理を許容し、所定の画像を出力手段で出力する写真シール自動販売方法又はその装置であって、利用者が持ち込む持込データを取込手段で取り込み可能にし、制御手段で前記持込データを付加処理することを可能にする写真シール自動販売方法又はその装置であることを特徴とする。
【0009】前記編集対象の画像は、前記撮像画像のほか、通信手段又は記憶媒体読取手段等のデータ取込手段で取得する画像、すなわち個人用デジタルカメラでの撮像やパソコンでのグラフィック制作等によるデジタル画像や、写真や絵画等の実画像をスキャナでスキャニングしたスキャニング画像を含む。
【0010】前記所定の画像は、前記撮像画像、前記デジタル画像、前記スキャニング画像、及び/又はこれらの画像を編集手段で編集した編集画像であることを含む。前記出力手段は、モノトーンプリンタ、セピア(sepia)トーンプリンタ又はカラープリンタ等画像を印刷する印刷手段、画像データを送信する通信手段、又は画像データを記憶媒体に書き込む記憶媒体リーダ/ライタであることを含む。
【0037】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。まず、図1に示す写真シール自動販売システム100のシステム構成図と共に、写真シール自動販売システム100全体のシステム構成について説明する。
【0038】写真シール自動販売システム100は、写真シール自動販売機1、携帯電話60、PDA(携帯情報端末)70及びPC(パーソナルコンピュータ)80をインターネット101に接続して構成している。
【0060】以上の構造により、制御端末10内のCPU12は、持込画像と撮像画像との合成処理、これらの画像と合成画像に対する落書き等の画像編集処理を許容し、その編集画像データ、前記合成画像データ、前記撮像画像データ及び前記持込画像データを記憶装置21に記憶する。この記憶した各画像データは、利用者による入力装置14での入力信号に基づいて、写真シールシート5cとして印刷するか、モデム23を介して利用者の携帯電話60、PDA70又はPC80に送信する。また、持込データに持込音データがあれば、被写体を撮像する撮像処理又は画像編集する編集処理の間に、スピーカ20で持込音を再生する。
【0061】次に、図5に示す処理フロー図と共に、写真シール自動販売機1の動作について説明する。まず、利用者によって投入口15a(図2)に所定金額の硬貨(又は紙幣)が投入されると(ステップn1)、制御端末10(図4)は撮像処理を開始してディスプレイ18にデジタルカメラ17で撮影している映像を動画でプレビュー表示する(ステップn2)。この間に利用者は、前記ディスプレイ18の映像を確認しながらデジタルカメラ17の角度の調節やポーズの決定をする。
【0062】ディスプレイ18に表示している撮像開始ボタン(図示省略)をタッチペン14aで利用者にタッチされると、制御端末10はスピーカ20から音声によるカウントダウンを行い、正面ストロボ照明ボックス3及び天井ストロボ照明ボックス4の照明を得てデジタルカメラ17で利用者(被写体)の撮像を行う(ステップn3)。
【0075】落書き終了ボタン18bがタッチされるか制限時間が経過すると、制御端末10は、図9の(H)に示すように作成した合成画像の出力先を選択する出力先選択画面をディスプレイ18に表示して利用者に選択させる(ステップn14)。
【0076】利用者がデータ送信ボタン18dをタッチした場合には、ステップn15に処理を進めて前記ステップn8で接続したままの状態である携帯電話60に合成画像の合成画像データを送信し、送信完了後に接続を断にする(ステップn15)。
【0077】前記ステップn14で利用者が印刷ボタン18cをタッチした場合には、利用者に写真シールの分割数と配置を選択させる(ステップn16)。IDタグリーダ/ライタ25でIDタグ5aが真正のものであることを確認した後、前記選択に基づいて合成画像を配置した配置画像をプリンタ19でシール紙5bに印刷し、該印刷された写真シールシート5cを写真シールシート排出口19aから排出して処理を終了する(ステップn17)。
【0089】また、ステップn14での出力先の選択には、データ送信と印刷の両方を実行する選択肢を加えても良いし、出力先に写真シール自動販売機1の記憶装置21を加えても良い。この記憶装置21を出力先に加えた場合は、写真シール自動販売機1で利用者に登録番号を付与し、登録番号と共に編集画像等の画像を記憶装置21に記憶しておけば、次回以降に前記登録番号を元に前記編集画像を持込データとして利用可能にすることができる。
(2)刊行物2
同じく原査定において引用された引用文献3である特開2007-295418号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「自動写真作成装置およびそれを用いた写真サービスシステム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。
【0045】
<1.3 処理手順>
この遊戯用写真作成装置2では、主に、写真を撮影してその撮影画像の編集や当該撮影画像の携帯端末3への転送を行う撮影処理と、撮影画像を含む合成画像を写真シールまたは写真カードとして印刷出力する印刷処理とが行われる。以下、撮影処理および印刷処理の処理手順について、それぞれ説明する。
【0046】
<1.3.1 撮影処理>
図3は、撮影処理の処理手順を示すフローチャートである。利用者がコイン投入口(不図示)にコインを投入することにより、この遊戯用写真作成装置2は動作を開始する。遊戯用写真作成装置2が動作を開始すると、CPU51は、実行するゲームを利用者に選択させるための画面を操作部34に表示する。そして、利用者がいずれかのゲームを選択することによりゲームモードが設定される(ステップS100)。ゲームモードには、例えば、所定時間の間に背景やフレームを自由に選択して撮影を自由なタイミングで繰り返すことのできる「フリーモード」、あらかじめ選択した枚数を連続して撮影する「連続撮影モード」、フレームが自動的に選択される「お任せモード」と呼ばれるものがある。ゲームモードが設定されると、そのゲームモードに応じて、撮像部30による写真撮影が行われる(ステップS110)。
【0047】
写真撮影の終了後、CPU51は、この遊戯用写真作成装置2で撮影画像の編集を行うのかそれとも撮影画像を携帯電話等の携帯端末3に転送するのかを利用者に選択させるための画面を操作部34に表示する。利用者がいずれかを選択すると、CPU51は、利用者によっていずれの選択がなされたのかを判定する(ステップS120)。判定の結果、この遊戯用写真作成装置2で撮影画像の編集を行う旨の選択が行われている場合には、ステップS130に進む。一方、撮影画像を携帯端末3に転送する旨の選択が行われている場合には、ステップS180に進む。なお、撮影画像を編集する場合および撮影画像を転送する場合のいずれについても、撮影後の複数の撮影画像のうちのいくつかを利用者が選択できるようにしても良い。また、いくつかを編集し、いくつかを転送するよう、利用者が選択できるようにしても良い。さらに、このような編集・転送を利用者に自由に選択させるために、撮影時と印刷時に(別々に)料金の支払いを受けるようにしても良い。
【0048】
ステップS130では、操作部34が、利用者による撮影画像に対する編集(落書きなど)を受け付ける。利用者は、例えば、背景画像の選択、文字の入力、絵の描画などを行う。利用者による撮影画像に対する編集が終了すると、編集後の画像が撮影画像データとして印刷用データバッファ521に送信される(ステップS140)。
【0053】
また、上記手順においては、ステップS120での選択結果に応じて、「遊戯用写真作成装置2での撮影画像の編集および印刷出力」と「携帯端末3への撮影画像の転送」のいずれか一方のみが行われるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステップS140の次にステップS180に進む構成にすることもできる。これにより、利用者は、写真撮影後に撮影画像の編集を行い、その後、当該撮影画像を写真シール等として印刷出力するだけでなく携帯端末3に取り込むこともできるようになる。
2.引用発明
上記刊行物1に記載された発明について検討する。
(1)刊行物1の段落0008の記載によれば、刊行物1には、「被写体を撮像手段で撮像して撮像画像を作成する撮像処理」、「編集対象の画像を編集手段で編集して編集画像を作成する編集処理」、「所定の画像を出力手段で出力する」処理を有する「写真シール自動販売方法」に関する発明が記載されている。
そして、段落0062の記載によれば、「被写体」は「利用者」であり、段落0009の記載によれば、「編集対象の画像」は「撮像画像」であり、段落0010の記載によれば、「所定の画像」は「編集画像」又は「撮像画像」、「出力手段」は「印刷手段」又は「画像データを送信する通信手段」である。
よって、刊行物1には、『利用者である被写体を撮像して撮像画像を作成する撮像処理と、撮像画像を編集して編集画像を作成する編集処理と、編集画像又は撮像画像を印刷手段又は画像データを送信する通信手段で出力する処理とを有する写真シール自動販売方法』に関する発明が記載されている。
(2)刊行物1の段落0060,0075ないし0077,図5等の記載によれば、刊行物1記載の「写真シール自動販売方法」は、利用者の選択により、その編集画像又は撮像画像を、写真シールシートとして印刷するか、携帯電話等へ送信するかを選択するものであり、さらに段落0089の記載によれば、出力先の選択には、データ送信と印刷の両方を実行する選択肢を加えても良いものである。
そうすると、刊行物1の「写真シール自動販売方法」の『編集画像又は撮像画像を印刷手段又は画像データを送信する通信手段で出力する処理』は、『利用者の選択により、編集画像又は撮像画像の印刷と、携帯電話等への編集画像又は撮像画像の画像データの送信との両方を行うか、又は画像データの送信のみを行うか選択する処理』といえる。
(3)まとめ
上記(1)、(2)によると、刊行物1には下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、引用発明の各構成の符号は、説明のために付与したものであり、以下、構成(a)、構成(b)などと称する。
(引用発明)
(a)利用者である被写体を撮像して撮像画像を作成する撮像処理と、
(b)撮像画像を編集して編集画像を作成する編集処理と、
(c)利用者の選択により、編集画像又は撮像画像の印刷と、携帯電話等への編集画像又は撮像画像の画像データの送信との両方を行うか、又は画像データの送信のみを行うか選択する処理と、
(d)を有する写真シール自動販売方法。
3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)本願発明の構成(A)と引用発明の構成(a)との対比
引用発明は「利用者である被写体を撮像して撮像画像を作成する撮像処理」を有しており、この処理は、本願発明の「利用者を含む被写体の撮影を行う撮影工程」と相違しない。
(2)本願発明の構成(B)と引用発明の構成(b)との対比
引用発明は「撮像画像を編集して編集画像を作成する編集処理」を有しており、この処理は、本願発明の「前記撮影工程で得られた撮影画像を編集して編集画像を作成する工程」と相違しない。
(3)本願発明の構成(C)と引用発明の構成(c)との対比
引用発明は「利用者の選択により、編集画像又は撮像画像の印刷と、携帯電話等への編集画像又は撮像画像の画像データの送信との両方を行うか、又は画像データの送信のみを行うか選択する処理」を有しており、刊行物1の段落0037,0038,図1に示されるように、携帯電話等は、写真シール自動販売機の外部装置に相当するから、この処理は、本願発明の「前記編集画像若しくは前記撮影画像の印刷と、外部装置への前記編集画像若しくは前記撮影画像の画像データの送信との双方を行うか、又は前記送信のみを行う工程」と相違しない。
ただし、本願発明が、「利用者が支払う対価の額に応じて」、前記編集画像若しくは前記撮影画像の印刷と、外部装置への前記編集画像若しくは前記撮影画像の画像データの送信との双方を行うか、又は前記送信のみを行う工程を行うのに対し、引用発明は、利用者が支払う対価の額については何ら特定していない点で両者は相違する。
(4)本願発明の構成(D)と引用発明の構成(d)との対比
引用発明の「写真シール自動販売方法」は、本願発明の「写真自動販売方法」と相違しない。
(5)まとめ
以上(1)ないし(4)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
利用者を含む被写体の撮影を行う撮影工程と、
前記撮影工程で得られた撮影画像を編集して編集画像を作成する工程と、
前記編集画像若しくは前記撮影画像の印刷と、外部装置への前記編集画像若しくは前記撮影画像の画像データの送信との双方を行うか、又は前記送信のみを行う工程と、
を含むことを特徴とする写真自動販売方法。
[相違点]
本願発明が、「利用者が支払う対価の額に応じて」、前記編集画像若しくは前記撮影画像の印刷と、外部装置への前記編集画像若しくは前記撮影画像の画像データの送信との双方を行うか、又は前記送信のみを行う工程を行うのに対し、引用発明は、利用者が支払う対価の額については何ら特定していない点。
5.判断
(1)相違点について
刊行物2には、段落0045ないし0048,0053に記載されるように、遊戯用写真作成装置において、撮影画像の編集を行って写真シールまたは写真カードとして印刷出力する印刷処理と、撮影画像を携帯端末に転送する処理と、撮影画像の編集を行って写真シールまたは写真カードとして印刷出力すると共に携帯端末に転送する処理が、利用者により選択可能とされており、さらに、段落0047に「このような編集・転送を利用者に自由に選択させるために、撮影時と印刷時に(別々に)料金の支払いを受けるようにしても良い。」と記載されているように、利用者が印刷を含む処理を選択した場合には、別途追加の料金の支払を受けることが示されている。
そして、一般的にも利用者が受けるサービスの原価に応じた対価を受けることは通常の商慣習であるから、刊行物2に示されるように、自動写真シール販売装置の技術分野において、利用者が選択するサービスの内容の原価の違いに応じて利用者が支払う対価の額を変更することは、普通に行われている周知の技術といえる。
そうすると、引用発明において、「利用者が支払う対価の額に応じて」、利用者に印刷を行う処理を提供するか否かを変更することとし、相違点に係る「利用者が支払う対価の額に応じて」、前記編集画像若しくは前記撮影画像の印刷と、外部装置への前記編集画像若しくは前記撮影画像の画像データの送信との双方を行うか、又は前記送信のみを行う工程とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(2)効果等について
本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2等に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のように、本願の請求項7に係る発明は、刊行物1記載された発明及び刊行物2等に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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