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特許拒絶査定不服審判

2016-005340

車両および車両の制御方法

審判番号
2016-005340
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-532683外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年04月11日
審決日
2017年02月06日
公報発行日
2017年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B60K) / P18 .572-Z (B60K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-532683号「車両および車両の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年3月6日国際公開、WO2014/033915〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)8月31日を国際出願日とする出願であって、平成26年10月1日に国内書面が提出され、平成27年9月3日付けで拒絶理由が通知され、平成27年10月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年12月28日付けで拒絶査定がされ、それに対して平成28年4月11日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成28年4月11日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年4月11日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] [1]本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年10月5日提出の手続補正書により補正された)下記の(1)に示す請求項1を引用する請求項6を下記の(2)に示す請求項1に補正することを含むものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び6 「【請求項1】 エンジンと、 前記エンジンの駆動力によって発電を行う電動機と、 蓄電装置と、 前記電動機からの発電電力および前記蓄電装置に蓄えられた電力の少なくとも一方の電力の車両外部への供給を制御するための制御装置とを備え、 前記制御装置は、車両外部へ電力を供給する場合に、ユーザによる設定に基づいて、前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を選択可能に構成される、車両。」 「【請求項6】 ユーザが携帯する通信端末との間で通信するように構成された通信装置をさらに備え、 前記通信装置は、前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止の選択を要求する信号を前記通信端末へ送信し、ユーザが決定した前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止についての情報を前記通信端末から受信し、 前記制御装置は、前記情報に基づいて、前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を設定する、請求項1に記載の車両。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 エンジンと、 前記エンジンの駆動力によって発電を行う電動機と、 蓄電装置と、 前記電動機からの発電電力および前記蓄電装置に蓄えられた電力の少なくとも一方の電力の車両外部への供給を制御するための制御装置と、 ユーザが携帯する通信端末との間で通信するように構成された通信装置とを備え、 前記通信装置は、前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止の選択を要求する信号を前記通信端末へ送信し、ユーザが決定した前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止についての情報を前記通信端末から受信し、 前記制御装置は、前記情報に基づいて、前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を設定する、車両。」(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。) 上記補正は、補正前の請求項6が引用する請求項1に係る発明における発明特定事項である「制御装置」についての「車両外部へ電力を供給する場合に、ユーザによる設定に基づいて、エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を選択可能に構成される」という記載を削除する補正であり、直列的に記載された発明特定事項の一部の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。 また、上記補正は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 したがって、上記補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 なお、平成27年10月5日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)は、 「(2) 補正の説明 出願人は、もとの請求項1について、制御装置が「車両外部へ電力を供給する場合に、ユーザによる設定に基づいて、エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を選択可能」とすることを明確にする補正を行ないました。」、 「(3-1) 補正後の請求項1について (i) 本願発明の説明 本願発明の目的は、車両外部へ電力を供給すること(以下、「外部給電」とも称する。 )が可能なハイブリッド車両において、当該外部給電中にエンジンを用いた発電動作を実行するか否かを、ユーザが設定できるようにすることであります。 この目的を達成するために、補正後の請求項1に係る本願発明においては、エンジンによる発電電力および蓄電装置の電力の少なくとも一方を車両外部に供給可能な車両において、制御装置が「車両外部へ電力を供給する場合に、ユーザによる設定に基づいて、エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を選択」できる構成を有しています。 ハイブリッド車両から外部給電を行なう場合に、たとえば、換気が十分にできにくいインナーガレージに車両が駐車されている場合や、深夜に外部充電が実行される場合には、エンジン駆動による排気ガスや動作音の観点から、エンジンを動作させないほうが好ましい場合があります。 補正後の請求項1に係る本願発明においては、外部給電時に、ユーザがエンジン駆動による発電の許可と禁止とを選択することができるようになりますので、上記のようなエンジンの動作が好ましくない場合に、エンジンを停止させた状態で外部給電を行なうことが容易に可能とすることができます。」と記載されている。 一方、平成28年4月11日提出の審判請求書(以下、単に「審判請求書」という。)は、 「(1) 補正の説明 同日付提出の手続補正書において、出願人は、請求項1~5,21,22を削除するとともに、請求項6,8を独立形式とする補正を行なっている。」として、 「(2) 本願発明と引用文献との比較 補正後の独立請求項1,16においては、車両が、エンジの駆動力による発電を許可するか否かを問い合わせる要求を通信装置を用いて「ユーザの所有する携帯端末」へ伝達するとともに、当該要求に対する上記の携帯端末からの情報に基づいて、エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を設定することが明確になっている。」と記載されている。 そして、審判請求書において、「請求項6,8を独立形式とする補正を行なっている。」と記載されているが、補正前の請求項1を引用する請求項6を単に独立形式としたものではないことは、補正後の請求項1の記載において、補正前の請求項1における「制御装置は、車両外部へ電力を供給する場合に、ユーザによる設定に基づいて、前記エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を選択可能に構成される」という記載が削除(以下、「当該削除」という。)されていることからみて明らかである。 さらに、意見書における、「出願人は、もとの請求項1について、制御装置が「車両外部へ電力を供給する場合に、ユーザによる設定に基づいて、エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を選択可能」とすることを明確にする補正を行ないました。」との主張から、審判請求書における、「補正後の独立請求項1,16においては、車両が、エンジの駆動力による発電を許可するか否かを問い合わせる要求を通信装置を用いて「ユーザの所有する携帯端末」へ伝達するとともに、当該要求に対する上記の携帯端末からの情報に基づいて、エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を設定することが明確になっている。」との主張に変更されていること、及び審判請求書において当該削除に関する釈明がされていないことからみて、当該削除が誤記の訂正や明りょうでない記載の釈明に該当するものでもないことは明らかである。 第3 本願発明について [1]本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の明細書及び平成27年10月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の図面からみて、上記第2[理由][1](1)の【請求項1】に記載したとおりのものである。 [2]刊行物の記載等 1.刊行物1 (1)刊行物1の記載事項 原査定の理由に引用され、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である特開2007-236023号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「建物の電力供給システム」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。 1a)「【請求項12】 前記電源装置として、動力源であるエンジン及びモータと、エンジン駆動されるオルタネータと、前記エンジンの運転又は前記モータの電力回生により蓄電されるバッテリとを備えたハイブリッドタイプの車両を用い、 前記建物側への給電時において前記バッテリの電気残量が多い場合には該バッテリに蓄えられた電力を建物側に供給させ、前記バッテリの電気残量が少ない場合には前記エンジンを始動させて前記オルタネータにより発生する電力を建物側に供給させる請求項1乃至11のいずれかに記載の建物の電力供給システム。」(【特許請求の範囲】の【請求項12】) 1b)「【0024】 自動車などの車両は一般に広く普及している。それ故に、電源装置として、蓄電機能及び発電機能の少なくともいずれかを有する車両を用いると良い。この場合、車両が有するバッテリにより蓄電機能が実現される。また、車載エンジンの運転により発電を行うオルタネータ(発電機)により発電機能が実現される。 【0025】 ここで、動力源であるエンジン及びモータと、オルタネータと、バッテリとを備えたハイブリッドタイプの車両を電源装置として用いることが考えられる。この場合、建物側への給電時においてバッテリの電気残量が多い場合には該バッテリに蓄えられた電力を建物側に供給させ、バッテリの電気残量が少ない場合にはエンジンを始動させてオルタネータにより発生する電力を建物側に供給させると良い。上記のように車両のエネルギ管理が行われることにより、長期にわたって車両から建物側への給電を好適に行わせることができる。」(段落【0024】及び【0025】) 1c)「【0035】 図2は、電力制御部22やその周辺構成の詳細を示す電気的構成図である。図2では、外部電源装置30として、動力源としてエンジン32とモータ33とを搭載したハイブリッド自動車31を用いる構成を想定しており、ハイブリッド自動車31のバッテリ34に蓄えられた電力が外部電力として取り出されるようになっている。また、同ハイブリッド自動車においてエンジン32の運転状態では、オルタネータ(発電機)35による発電が行われるため、そのオルタネータ35にて発生する電力も外部電力として取り出されるようになっている。」(段落【0035】) 1d)「【0037】 ただし、ハイブリッド自動車31と住宅側(電源切替装置21)との電気的な結合は、上記のようにユーザによる結合プラグ38の差込作業を要するもの以外に、ハイブリッド自動車31が所定の駐車スペースに駐車された場合に、自動的にハイブリッド自動車31と住宅側(電源切替装置21)との電気的な結合が行われるものであっても良い。」(段落【0037】) 1e)「【0048】 ハイブリッド自動車31側においてECU36が住宅側からの給電指令を受けると、ECU36は住宅側への電力供給を開始する。このとき、ECU36は、バッテリ34の残存容量をモニタし、その残存容量が十分にあれば、バッテリ34の電気エネルギを用いて住宅側への電力供給を開始する。また、バッテリ43の残存容量が少なければ、エンジン32を始動させ、オルタネータ35による発電電力を用いて住宅側への電力供給を開始する。」(段落【0048】) 1f)「【0067】 外部電源装置30としてハイブリッド自動車31を使用する構成において、バッテリ34の電気残量が多い場合には該バッテリ34に蓄えられた電力を住宅側に供給させ、バッテリ34の電気残量が少ない場合にはエンジン32を始動させてオルタネータ35により発生する電力を住宅側に供給させるようにしたため、長期にわたって車両から住宅側への給電を好適に行わせることができる。」(段落【0067】) (2)上記(1)及び図面から分かること 1g)上記(1)1e)及び図2の記載から、ハイブリッド自動車31は、オルタネータ35により発生する電力およびバッテリ34に蓄えられた電力のうちの少なくとも一方の電力の住宅側への給電を制御するためのECU36とを備えることが分かる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)並びに図2の記載を総合すると、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「エンジン32と、 エンジン32により駆動されて電力を発生するオルタネータ35と、 バッテリ34と、 オルタネータ35により発生する電力およびバッテリ34に蓄えられた電力の少なくとも一方の電力の住宅側への給電を制御するためのECU36とを備えた、 ハイブリッド自動車31。」 2.刊行物2 (1)刊行物2の記載事項 原査定の理由に引用され、本願の国際出願日前に頒布された刊行物である特開2011-207300号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「ハイブリッド自動車およびその制御方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。 2a)「【請求項1】 内燃機関と、走行用の動力を出力可能な電動機と、前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッドシステムを搭載し、前記内燃機関を運転停止した状態で前記電動機からの動力だけで走行する電動走行と前記内燃機関からの動力と前記電動機からの動力とを用いて走行するハイブリッド走行とが可能なハイブリッド自動車であって、 第1の所定条件により前記電動走行で走行する第1電動走行モードと前記第1の所定条件とは異なる第2の所定条件により前記電動走行で走行する第2電動走行モードとを含む複数の所定条件からなる複数の電動走行モードから運転者の操作に応じた電動走行モードを実行用電動走行モードとして設定する指示を行なう実行用電動走行モード設定指示手段と、 前記実行用電動走行モードの設定の指示がなされたときに該指示に係る電動走行モードにおける所定条件の成立に基づいて前記電動走行で走行するよう前記内燃機関と前記電動機とを制御する制御手段と、 を備えるハイブリッド自動車。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】) 2b)「【背景技術】 【0002】 従来、この種のハイブリッド自動車としては、電動走行による走行を指示するEVスイッチを備え、システム起動の直前やシステム起動から所定時間内にEVスイッチがオンとされたときには、電動走行を禁止する条件が未成立であることを条件に、エンジンを始動せずにシステムを起動するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、上述の制御を行なうことにより、エンジンを始動せずにシステム起動を行なって電動走行することができるようにしている。なお、電動走行を禁止する条件としては、バッテリの蓄電量が予め定められた値未満であるという条件等としている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2008-94139号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上述のハイブリッド自動車では、電動走行を禁止する条件としてバッテリの蓄電量が予め定められた値未満であるという条件だけを記載しているが、その他の条件として、ハイブリッドシステムの温度が通常の温度範囲外(低いときや高いとき)である条件、車速が予め定められた値以上である条件、エンジンが暖機運転をしている条件、アクセル開度が予め定められた値以上である条件、フロントウインドウの視認性を確保するためにフロントデフロスターを作動している条件、乗員室の暖房を要求している条件等が考えられ、これらの条件の1つでも未成立のときには、EVスイッチのオンを破棄してエンジンの始動を伴うシステム起動を行なうから、早朝や深夜の住宅街などの騒音を生じさせたくないときでもエンジン始動による騒音を生じさせたり、ハイブリッド走行による騒音を生じさせてしまう。」(段落【0002】ないし【0004】) 2c)「【0024】 モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されており、モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置検出センサからの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流,モータMG2に取り付けられた温度センサ44からのモータ温度Tm,インバータ41,42の温度を検出する温度センサ45からのインバータ温度Tinvなどが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサからの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。」(段落【0024】) 2d)「【0031】 実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を間欠運転する際の運転開始や運転停止のために予め定められた始動判定用パワーや停止判定用パワーと要求パワーPe*との比較によって電動走行により走行したりハイブリッド走行により走行したりするハイブリッド走行モードと、電動走行だけで走行する電動走行モードとがあり、EVスイッチ90により通常EVモードや強制EVモードが実行用EVモードとして設定されたときには電動走行モードにより走行し、EVスイッチ90により実行用EVモードが解除されたときにはハイブリッド走行モードにより走行する。」(段落【0031】) (2)上記(1)及び図面から分かること 2e)上記(1)2d)から、ユーザによるEVスイッチ90の設定により、ハイブリッド走行モードまたは電動走行モードの選択、すなわち、エンジンの作動を許可するモードまたはエンジンの作動を禁止するモードが選択可能であることが分かる。 2f)上記(1)2b)から、EVスイッチ90の設定がオンでない場合は、エンジン始動に伴う騒音が生じることが分かる。 2g)上記(1)2c)から、ハイブリッド自動車を駆動するための電動機は、発電機としても用いられることが分かる。 (3)刊行物2記載の技術 上記(1)及び(2)並びに図面から、刊行物2には、以下の技術が記載されている。 「EVスイッチ90の設定により、エンジンの作動を許可するモードか、あるいはエンジンの作動を禁止するモードが選択可能なハイブリッド自動車の制御手段において、ユーザがEVスイッチ90の設定によりエンジンの作動を禁止するモードを選択することにより、エンジン始動による騒音が生じないようにする技術。」(以下、「刊行物2記載の技術1」という。) 「ハイブリッド自動車を駆動するための電動機を発電機としても用いる技術。」(以下、「刊行物2記載の技術2」という。) [3]本願発明と引用発明との対比・判断 引用発明における「エンジン32」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「エンジン」に相当し、以下同様に、「エンジン32により駆動されて電力を発生する」は「エンジンの駆動力によって発電を行う」に、「バッテリ34」は「蓄電装置」に、「発生する電力」は「発電電力」に、「住宅側への給電」は「車両外部への供給」に、「ECU36」は「制御装置」に、「ハイブリッド自動車31」は「車両」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明における「オルタネータ35」と本願発明における「電動機」とは、ともに外部からの駆動により発電を行う機能を有するものであるから、「発電機」という限りにおいて一致する。 したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「エンジンと、 エンジンの駆動力によって発電を行う発電機と、 蓄電装置と、 発電機からの発電電力および蓄電装置に蓄えられた電力の少なくとも一方の電力の車両外部への供給を制御するための制御装置とを備えた、 車両。」 [相違点1] 「発電機」に関して、本願発明においては、「電動機」であるのに対して、引用発明においては、「オルタネータ35」である点。(以下、「相違点1」という。) [相違点2] 本願発明においては、「制御装置は、車両外部へ電力を供給する場合に、ユーザによる設定に基づいて、エンジンの駆動力による発電の許可および禁止を選択可能に構成される」のに対して、引用発明においては、「ECU36」がそのような機能を有するものではない点。(以下、「相違点2」という。) 上記相違点について検討する。 [相違点1について] 刊行物2記載の技術2は、「ハイブリッド自動車を駆動するための電動機を発電機としても用いる技術」であるから、ハイブリッド自動車に関するものである引用発明に上記刊行物2記載の技術2を適用して、電力の発生をオルタネータ35によるものとする代わりに、ハイブリッド自動車31を駆動するためのモータ33(電動機)によるものとして、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 [相違点2について] (検討その1) 刊行物2記載の技術1は、「EVスイッチ90の設定により、エンジンの作動を許可するモードか、あるいはエンジンの作動を禁止するモードが選択可能なハイブリッド自動車の制御手段において、ユーザがEVスイッチ90の設定によりエンジンの作動を禁止するモードを選択することにより、エンジン始動による騒音が生じないようにする技術」である。 そして、引用発明において、オルタネータ35により発生する電力を住宅側に給電するためには、上記[2]1.(1)1b)段落【0025】の刊行物1の記載のように、「エンジンを始動させてオルタネータにより発生する電力を建物側に供給させる」のであって、しかも、上記[2]1.(1)1d)によれば、「ハイブリッド自動車31が所定の駐車スペースに駐車された場合に、自動的にハイブリッド自動車31と住宅側(電源切替装置21)との電気的な結合が行われる」のであるから、引用発明のハイブリッド自動車31は、給電時において住宅と近接する位置に駐車しながらエンジンの始動を行う場合を想定していることが明らかであって、深夜や早朝などに、住宅と近接する位置におけるエンジンの始動による騒音や排ガスを避けるというのはエンジンを有する車両における普遍的課題であるから、引用発明においてもそのような課題を有するものと認められる。 そうすると、引用発明において、ハイブリッド自動車31から住宅側への給電を行う場合に、住宅に近接する位置において車両のエンジン始動による騒音や排ガスが生じないようにするという課題のもとで刊行物2記載の技術1を適用し、ユーザによるEVスイッチ90の設定により、エンジンの作動を許可するモードか、あるいはエンジンの作動を禁止するモードを選択可能とし、必要に応じてエンジンの作動を禁止するモードを選択することにより上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 (検討その2) ハイブリッド車両において、屋内駐車場や車庫等における騒音や排気ガスを低減するために、ユーザがEVスイッチを操作してEVモードを選択することによりエンジンが作動することを禁止することは、特開2009-44887号公報(段落【0040】の記載ほか参照)、特開2009-40322号公報(段落【0003】の記載ほか)及び特開2009-12605号公報(段落【0044】の記載ほか)並びに刊行物2(上記[2]2.(1)2b)段落【0004】の記載ほか)にみられるように周知である(以下、「刊行物2にみられるような周知技術」という。)。 そうすると、引用発明において、ハイブリッド自動車31から住宅側への給電を行う場合に、屋内駐車場や車庫等において騒音や排気ガスを低減するために上記刊行物2にみられるような周知技術を適用して、ユーザによるEVスイッチ90の設定により、エンジンの作動を許可するモードか、あるいはエンジンの作動を禁止するモードが選択可能とし、必要に応じてエンジンの作動を禁止するモードを選択することにより上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 なお、平成27年10月5日提出の意見書において請求人は、「引用文献2におけるハイブリッド車両は、外部給電が可能な構成とはなっておらず、また、ユーザにより操作される「EVスイッチ」は、あくまでも「車両走行時」のエンジンの使用許可/不許可を選択するものであります。すなわち、引用文献2においては、「EVスイッチ」を外部給電の際に用いることについては何ら示唆されておらず、引用文献2の「EVスイッチ」を引用文献1の外部給電時に用いる動機付けが存在しません。」と主張する。 しかしながら、上記刊行物2にみられるような周知技術によると、EVスイッチは、車両走行時のエンジンの使用許可/不許可のみならず、「屋内駐車場や車庫等における騒音や排気ガスを低減するために、ユーザがEVスイッチを操作してEVモードを選択することによりエンジンが作動することを禁止する」ものであるから、車両走行時のほか、屋内駐車場や車庫等における、すなわち、車両が停止している状態でのユーザによるEVスイッチの操作によるエンジンの使用許可/不許可の選択を予定していることは明らかである。 そして、本願発明は、全体としてみても引用発明、刊行物2記載の技術1及び刊行物2記載の技術2並びに刊行物2にみられるような周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 [4]まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2記載の技術1及び刊行物2記載の技術2に基いて、又は引用発明、刊行物2記載の技術2及び刊行物2にみられるような周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-005340

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    共通の審決分類: 121・B60K
  • 2025-008182拒絶査定不服審判 / 2026-05-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)車両用制御装置、車両、車両用制御方法およびプログラム
    共通の審決分類: 121・B60K
  • 2024-008364拒絶査定不服審判 / 2026-02-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)シフト装置
    共通の審決分類: 121・B60K

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