特許拒絶査定不服審判
2016-003621
マルウェア解析システム
- 審判番号
- 2016-003621
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-512893外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年03月09日
- 審決日
- 2017年03月21日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パロ・アルト・ネットワークス・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人明成国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第36条第5項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-512893「マルウェア解析システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月29日国際公開,WO2012/162102,平成26年 8月 7日国内公表,特表2014-519113〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2012年5月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年5月24日(以下,「優先日」という。),米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年11月21日 :国内書面の提出
平成26年 1月20日 :翻訳文,出願審査請求書の提出
平成27年 1月21日付け :拒絶理由の通知
平成27年 4月20日 :意見書,手続補正書の提出
平成27年 5月14日付け :拒絶理由(最後)の通知
平成27年 8月11日 :意見書,手続補正書の提出
平成27年11月 5日付け :平成27年8月11日の手続補正に
ついての補正却下の決定,拒絶査定
平成28年 3月 9日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成28年 4月14日 :前置報告
第2 平成28年3月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年3月9日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
平成28年3月9日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)の内容は,平成27年4月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至23の記載
「 【請求項1】
システムであって,
ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを前記仮想マシンから送信することと,を含む
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって,
前記マルウェアはゼロデイ攻撃のためのプログラムである,システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって,
前記ファイアウォールに関連する前記第1の装置は,セキュリティ機器によって構成される,システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって,
前記仮想マシンに関連する前記第2の装置は,仮想マシン機器によって実装される,システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって,
前記ファイアウォールは,ホスト型ファイアウォールである,システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって,
前記仮想マシンに関連する前記第2の装置は,セキュリティクラウドサービスによって構成される,システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって,
前記ファイアウォールは,1つ又は複数のファイアウォールポリシー内に前記シグネチャーを備える,システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって,
前記ファイアウォールに関連する前記第1の装置は,ゲートウェイセキュリティ装置,セキュリティ機器,ネットワーク・ルーティング装置,又は,ホスト型ファイアウォールを実行する汎用コンピュータによって構成される,システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンであって,前記シグネチャーをクラウドセキュリティサービスに送信するように構成されている前記仮想マシンを実行する,システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンであって,ヒューリスティックスに基づいて,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成されている前記仮想マシンを実行する,システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンを実行することによって,さらに,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成され,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,HTTPトラフィック用の非標準的なHTTPポートに接続すること,架空ドメインにアクセスすること,非標準的な実行ファイル拡張子を有する実行ファイルをダウンロードすること,eメールサーバ用のDNSクエリを実行すること,一般的な長さよりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うこと,HTTPトラフィックにおいてポスト法で通信を行うこと,IRCトラフィック用の非標準的なIRCポートに接続すること,侵入防止システム回避手法を用いて通信を行うこと,及び,HTTPポートを介して分類されていないトラフィックの通信を行うことの1つ以上を含む,システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンを実行することによって,さらに,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成され,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,通常のドメイン名の長さよりも長いドメイン名を持つドメインにアクセスすること,ダイナミックDNSドメインにアクセスすること,ファストフラックスドメインにアクセスすること及び最近作成されたドメインにアクセスすることの1つ以上を含む,システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンを実行することによって,さらに,悪質なドメインを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成され,
アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つこと,アクセスされたドメインがダイナミックDNSドメインであるか否か,アクセスされたドメインがファストフラックスドメインであるか否か,及びアクセスされたドメインが最近作成されたドメインであるか否かのうちの1つ以上に基づいて, 監視対象となるドメインアクセスに関連する挙動は,悪質なドメインである可能性を示す,システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2プロセッサは,さらに,ハッシュ関数またはファイルヘッダ情報のダイジェストを用いて,ファイル型シグネチャーを生成するように構成されている,システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2プロセッサは,さらに,前記マルウェア候補サンプルに関するログ情報を前記仮想マシンに送信するように構成され,
前記ログ情報は,セッション情報,アプリケーション識別情報,URLカテゴリー情報,及び,脆弱性警告情報の1つ以上を含む,システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2プロセッサは,さらに,前記マルウェア候補サンプルに関するログ情報を前記仮想マシンに送信するように構成され,
前記仮想マシンは,前記ログ情報を用いた事後解析を行って,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定する,システム。
【請求項17】
方法であって,
ファイアウォールからマルウェア候補サンプルを受信することと,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために,第1の装置によって実行するファイアウォールを使用することと,
第2の装置によって実行する仮想マシンに,前記ファイアウォールから前記マルウェア候補サンプルを送信することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを送信することと,を含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって,
さらに,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視する,方法。
【請求項19】
コンピュータプログラムであって,
ファイアウォールからマルウェア候補サンプルを受信することと,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために,第1の装置によって実行するファイアウォールを使用することと,
第2の装置によって実行される仮想マシンに,前記ファイアウォールから前記マルウェア候補サンプルを送信することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを送信することと,をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータプログラムであって,
さらに,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するためのコンピュータプログラム。
【請求項21】
システムであって,
ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記第1の装置を含む複数のセキュリティ装置に,前記ファイアウォールによって実行される前記シグネチャーを配布することと,を含む
システム。
【請求項22】
システムであって,
ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有するマルウェア解析装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
前記ファイアウォールを使用する複数のネットワークトラフィックフローを監視することと,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーと一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために,前記ファイアウォールを使用することと,
前記ファイアウォールから前記マルウェア解析装置にマルウェア候補サンプルを送信することと,を含み,
前記マルウェア解析装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーに基づいてネットワークアクセス用のセキュリティポリシーを実行するように構成されている前記ファイアウォールに,前記仮想マシンから前記シグネチャーを送信することと,を含む
システム。
【請求項23】
システムであって,
ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーに基づくファイアウォールルールを追加し,前記シグネチャーを用いて前記ファイアウォールルールを実行するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを前記仮想マシンから送信することと,を含む
システム。」
(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)
を,
「 【請求項1】
システムであって,
ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを前記仮想マシンから送信することと,を含み,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって,
前記マルウェアはゼロデイ攻撃のためのプログラムである,システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって,
前記ファイアウォールに関連する前記第1の装置は,セキュリティ機器によって構成される,システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって,
前記仮想マシンに関連する前記第2の装置は,仮想マシン機器によって実装される,システム。
【請求項5】
システムであって,
ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーに基づくファイアウォールルールを追加し,前記シグネチャーを用いて前記ファイアウォールルールを実行するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを前記仮想マシンから送信することと,を含み,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む
システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって,
前記仮想マシンに関連する前記第2の装置は,セキュリティクラウドサービスによって構成される,システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって,
前記ファイアウォールは,1つ又は複数のファイアウォールポリシー内に前記シグネチャーを備える,システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって,
前記ファイアウォールに関連する前記第1の装置は,ゲートウェイセキュリティ装置,セキュリティ機器,ネットワーク・ルーティング装置,又は,ホスト型ファイアウォールを実行する汎用コンピュータによって構成される,システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンであって,前記シグネチャーをクラウドセキュリティサービスに送信するように構成されている前記仮想マシンを実行する,システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンであって,ヒューリスティックスに基づいて,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成されている前記仮想マシンを実行する,システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンを実行することによって,さらに,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成され,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,HTTPトラフィック用の非標準的なHTTPポートに接続すること,架空ドメインにアクセスすること,非標準的な実行ファイル拡張子を有する実行ファイルをダウンロードすること,eメールサーバ用のDNSクエリを実行すること,HTTPトラフィックにおいてポスト法で通信を行うこと,IRCトラフィック用の非標準的なIRCポートに接続すること,侵入防止システム回避手法を用いて通信を行うこと,及び,HTTPポートを介して分類されていないトラフィックの通信を行うことの1つ以上を含む,システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンを実行することによって,さらに,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成され,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,ダイナミックDNSドメインにアクセスすること,ファストフラックスドメインにアクセスすること及び最近作成されたドメインにアクセスすることの1つ以上を含む,システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンを実行することによって,さらに,悪質なドメインを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するように構成され,
アクセスされたドメインがダイナミックDNSドメインであるか否か,アクセスされたドメインがファストフラックスドメインであるか否か,及びアクセスされたドメインが最近作成されたドメインであるか否かのうちの1つ以上に基づいて, 監視対象となるドメインアクセスに関連する挙動は,悪質なドメインである可能性を示す,システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2プロセッサは,さらに,ハッシュ関数またはファイルヘッダ情報のダイジェストを用いて,ファイル型シグネチャーを生成するように構成されている,システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2プロセッサは,さらに,前記マルウェア候補サンプルに関するログ情報を前記仮想マシンに送信するように構成され,
前記ログ情報は,セッション情報,アプリケーション識別情報,URLカテゴリー情報,及び,脆弱性警告情報の1つ以上を含む,システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって,
前記第2プロセッサは,さらに,前記マルウェア候補サンプルに関するログ情報を前記仮想マシンに送信するように構成され,
前記仮想マシンは,前記ログ情報を用いた事後解析を行って,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定する,システム。
【請求項17】
方法であって,
ホスト型のファイアウォールからマルウェア候補サンプルを受信することと,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために,第1の装置によって実行するファイアウォールを使用することと,
第2の装置によって実行する仮想マシンに,前記ファイアウォールから前記マルウェア候補サンプルを送信することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを送信することと,を含み,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって,
さらに,ヒューリスティックスに基づいて,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視する,方法。
【請求項19】
ホスト型のファイアウォールからマルウェア候補サンプルを受信することと,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために,第1の装置によって実行するファイアウォールを使用することと,
第2の装置によって実行される仮想マシンに,前記ファイアウォールから前記マルウェア候補サンプルを送信することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを送信することと,をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含むコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータプログラムであって,
さらに,ヒューリスティックスに基づいて,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視するためのコンピュータプログラム。
【請求項21】
システムであって,
ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記第1の装置を含む複数のセキュリティ装置に,前記ファイアウォールによって実行される前記シグネチャーを配布することと,を含み,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む
システム。
【請求項22】
システムであって,
ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有するマルウェア解析装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
前記ファイアウォールを使用する複数のネットワークトラフィックフローを監視することと,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーと一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために,前記ファイアウォールを使用することと,
前記ファイアウォールから前記マルウェア解析装置にマルウェア候補サンプルを送信することと,を含み,
前記マルウェア解析装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーに基づいてネットワークアクセス用のセキュリティポリシーを実行するように構成されている前記ファイアウォールに,前記仮想マシンから前記シグネチャーを送信することと,を含み,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む
システム。」
(当審注:下線は,請求人が付与したものである。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)
に補正するものである。
そして,本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴を変更(シフト補正)をしようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。
2 目的要件
本件補正は上記「1 補正の内容」のとおり,本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。
(1)補正前の請求項と補正後の請求項とを比較すると,補正後の請求項1乃至4はそれぞれ,補正前の請求項1乃至4に対応し,補正後の請求項5は,補正前の請求項23に対応し,補正後の請求項6乃至22はそれぞれ,補正前の請求項6乃至22に対応することは明らかである。
(2)よって,本件補正は,下記の補正事項1乃至4よりなるものである。
<補正事項1>
補正前の請求項1,23,17,19,21,22の
「ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,」との記載を,
補正後の請求項1,5,17,19,21,22の
「ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,」との記載に変更する補正。
<補正事項2>
補正前の請求項1,23,17,21,22の
「前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,」…(中略)…「を含む」との記載を,
補正後の請求項1,5,17,21,22の
「前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,」…(中略)…「を含み,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む」との記載に変更する補正。
<補正事項3>
補正前の請求項19の
「前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,」…(中略)…「をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。」との記載を,
補正後の請求項19の
「前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,」…(中略)…「をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含むコンピュータプログラム。」との記載に変更する補正。
<補正事項4>
補正前の請求項5を削除する補正。
(3)補正事項1乃至3について
補正事項1は,発明特定事項である「ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,」に,「ホスト型の」との限定を加えることを目的とするものであり,
また,補正事項2,3は,発明特定事項である「前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,」に,「前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む」との限定を加えることを目的とするものであり,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。
(4)したがって,上記補正事項1乃至3は限定的減縮を目的とするものであり,また,上記補正事項4は請求項の削除を目的とするものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮,及び特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当するといえることから,特許法第17条の2第5項の規定に適合するものである。
3 独立特許要件
以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする上記補正事項1乃至3を含むものである。そこで,限定的減縮を目的として補正された補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記平成28年3月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「 【請求項1】
システムであって,
ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを前記仮想マシンから送信することと,を含み,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む
システム。」
(2)引用例
(2-1)引用例1に記載されている技術的事項および引用発明
ア 本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成27年5月14日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2004-302538号公報(平成16年10月28日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
A 「【0028】
【発明の目的】
本発明は,上記従来例の有する不都合を改善し,特に,ネットワークシステムに対する未知の攻撃に有効に対処することのできるネットワークセキュリティシステム及びネットワークセキュリティ管理方法を提供すること,をその目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
そこで,本発明では,外部ネットワークと防御対象ネットワーク間を伝送するデータを監視するファイアウォール手段を備えたネットワークセキュリティシステムであって,ファイアウォール手段に,前記いずれのネットワークにも属さない仮想試験端末を接続している。そして,ファイアウォール手段が,あらかじめ登録された振分ルールに基づいて外部ネットワークから防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたデータを当該防御対象ネットワーク内の所定の端末あるいは仮想試験端末に振り分けて転送するデータ振分機能と,仮想試験端末から返送された実行済データを防御対象ネットワーク内の所定の端末に転送する実行済データ転送機能と,を備えている。さらに,仮想試験端末が,ファイアウォール手段から転送されたデータを実行する仮実行機能と,仮実行されたデータのうちあらかじめ設定された基準に基づいて正常に実行されたと判断された実行済データをファイアウォール手段に返送する正常実行データ返送機能と,を備えた,という構成を採っている。
【0030】
このような構成にすることにより,まず,外部ネットワークから防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたデータが,外部ネットワークと防御対象ネットワークとの間に備えられたファイアウォール手段に受信される。そして,ファイアウォール手段では,送信データの送信先やデータ形式などが抽出され,あらかじめファイアウォール手段に記憶された振分ルールと比較される。比較の結果,防御対象ネットワーク内の端末に送信してよいと判断される場合には,ファイアウォール手段は送信データを防御対象ネットワークに通過させ,そうでない場合には,仮想試験端末に転送する。
【0031】
仮想試験端末では,ファイアウォール手段からの送信データを実行し,あらかじめ記憶されている正常実行であるか否かの基準に適合するか否かを調べる。正常実行であると判断された場合には,当該送信データをファイアウォール手段を介して防御対象ネットワーク内の端末に送信する。一方,正常実行でない場合には,かかる送信データは防御対象ネットワークには送信しないこととなる。
【0032】
従って,あらかじめファイアウォール手段に登録されていない未知の送信データは,仮想試験端末に転送されて当該仮想試験端末にて実行され,正常実行されるものであると判断されたデータのみが防御対象ネットワークに通過されることとなるため,外部からの不正なアクセスを抑制し,未知の攻撃に対する被害を抑制することができ,ネットワークセキュリティの強化を図ることができる。」
B 「【0033】
また,上記構成に加え,仮想試験端末が,仮実行機能にて実行したデータに基づいてファイアウォール手段に登録された振分ルールに追加する新たな振分ルールデータを生成すると共に当該データをファイアウォール手段に送信する振分ルール生成機能を備え,ファイアウォール手段が,仮想試験端末から受信した新たな振分ルールデータを既に登録されている振分ルールに新たに登録する振分ルール登録機能を備えた,という構成とすると望ましい。
【0034】
これにより,仮想試験端末では,仮実行の結果,安全であると判断されたデータを識別するルール,あるいは,逆に危険であると判断されたデータを識別するルールが生成されて,かかるルールがファイアウォールに登録されることとなる。すると,次回からは,ファイアウォール手段にて,通過を許可するルールに登録されたデータは仮想試験端末にて仮実行されることなく防御対象ネットワークに通過され,一方,危険なデータとして識別されたルールに合致するデータは仮想試験端末で仮実行するまでもなく危険なデータであるから,当該仮想試験端末に転送することなくファイアウォール手段にて破棄する。従って,仮想試験端末にて仮実行するデータ量の減少を図ることができ,当該仮想試験端末の処理負担を軽減することができる。」
C 「【0048】
(ファイアウォール手段)
ファイアウォール手段3は,その基本構成は,一般的なファイアウォール機器と同一である。すなわち,所定の演算処理能力を有するCPUと,所定の記憶容量を有する記憶装置とを備えた,サーバ型のファイアウォール機器である。従って,その基本的な動作は従来のものと同様であって,内部ネットワーク(防御対象ネットワーク)2に対するデータの出入口に備えられ,当該内部ネットワーク2に出入りするパケットパターンの分析を行い,内部ネットワークへの転送をフィルタリングするというものである。
…(中略)…
【0051】
ここで,振分ルールについて説明する。本実施形態における振分ルールは,主に2つのルールベースからなり,具体的には,通過許可ルール,TPC転送禁止ルール,からなる。
【0052】
そして,通過許可ルールは,従来におけるファイアウォール機器と同様に,外部ネットワーク1から内部ネットワーク2に通過を許可するパケットルールを記述したものである。すなわち,デフォルト状態すなわちルールが何も記述されていない場合には,いかなるパケットをも通過禁止となる。この通過許可ルールとしては,具体的には,送信元・送信先のIPアドレスやポート番号,データのプロトコルタイプ,データに含まれる文字列,などである。従って,信頼できる送信元のIPアドレスを記述しておくことで,かかるパケットデータは防御ネットワークである内部ネットワーク2内への通過が許され,逆に,未知のパケットが内部ネットワーク2内に送信されることはない。
【0053】
また,TPC転送禁止ルールは,後述する仮想試験端末4への転送を禁止するパケットルールを記述したものである。すなわち,デフォルト状態すなわちルールが何も記述されていない場合には,総てのパケットが仮想試験端末4に転送されることとなる。この転送禁止ルールは,上記通過許可ルールと同様に,送信元・送信先のIPアドレスやポート番号,データのプロトコルタイプ,データに含まれる文字列,などである。従って,過去に不正であると判断されたパケットに関するデータをルールとして記述しておくことで,そのようなパケットを仮想試験端末4に転送することなく,後述するように内部ファイアウォール3で破棄することができる。そして,未知のパケットを仮想試験端末4に転送することができる。」
D 「【0059】
(仮想試験端末)
仮想試験端末4(TestPC:以下,TPCとも言う)は,内部ファイアウォール3に接続された記憶装置,演算装置(CPU)備えたをサーバコンピュータであり,外部ネットワーク1及び内部ネットワーク(防御対象ネットワーク)2のいずれにも属さない端末である。
【0060】
この仮想試験端末4のシステム環境は,防御対象である内部ネットワーク2内に存在する端末21~23とほぼ同一の環境に設定されている。具体的には,内部ネットワーク2内の端末21~23と同等のアプリケーション環境が用意されている。なお,端末21~23毎に設定の細部が異なるが,特に,重要な端末(例えば,符号21の端末)と同一の環境設定としておくとよい。このように,内部ネットワーク2内の端末と同一環境に設定しているのは,後述するように,仮想試験端末4が未知のアクセスに対して防御ネットワーク上の端末の代わりに動作実行を代行するからである。以下,構成を詳述する。
【0061】
まず,仮想試験端末4のハードディスクなどの記憶装置には,不正実行定義記憶部41が形成されていて,後述するように仮想試験端末4が内部ファイアウォール3から送信されたデータを仮実行した結果,不正実行されたと判断する基準となるルールが記憶されている。不正実行定義は,例えば,仮想試験端末4上の監視対象プロセスが正常に終了しない,レジストリが改竄される,ファイルが改竄される,新規に不明なファイルが作成される,さらには,予想外のパケット送信が行われる,などを表すデータである。但し,かかる定義データは,上記のものに限定されず,防御対象である内部ネットワーク2の端末21~23により異なる。
…(中略)…
【0064】
上記各機能として作動する各部を詳述すると,まず,送受信部43は,内部ファイアウォール3から転送された未知のパケットを受信して,仮実行部42に送る。また,仮実行部42にて正常に実行されたデータや,振分ルール生成部44にて生成された新たな振分ルールデータを,内部ファイアウォールに返送する。
【0065】
また,仮実行部42は,内部ファイアウォール3から送信された未知のパケットを実際に実行する。そして,実行した際に,当該端末4上の起こる状態を不正実行定義記憶部41内のデータと比較して,かかる定義データに該当しない場合には,実行結果が正常であったと判断して,そのパケットを上記送受信部43を介して内部ファイアウォール3に返送する。この際に,内部ファイアウォールの防御ネットワークへの通過許可ルールとして追加するよう振分ルールにルール作成指令を出す。一方,監視対象プロセスが正常に終了しない,レジストリが改竄される,ファイルが改竄される,新規に不明なファイルが作成されるといった状態が起こり,かかる状態が不正実行定義に該当して不正実行である場合には,かかるパケットを破棄して,TPC転送禁止ルールにこのパケットルールを記述するよう,新たな振分ルールを生成するよう指示を出す。また,かかる場合には,その後,仮想試験端末4の環境を試験実行前の環境に復元する。
【0066】
そして,振分ルール生成部44は,上述したように,仮実行部42からの指示に応じて,すなわち,仮実行部42での実行結果に応じて,内部ファイアウォール3の振分ルール記憶部31に記憶されている振分ルールを更新する新たなルールデータを生成する。具体的には,仮実行部42にて正常実行である場合には,かかるパケットルールを,通過許可ルールに追加するよう生成し,逆に不正実行である場合には,TPC転送禁止ルールに追加するよう生成する。そして,生成した更新対象となる新たな振分ルールデータを,送受信部43を介して内部ファイアウォール3に送信する。」
イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。
(ア)上記Aの段落【0028】の「本発明は,上記従来例の有する不都合を改善し,特に,ネットワークシステムに対する未知の攻撃に有効に対処することのできるネットワークセキュリティシステム及びネットワークセキュリティ管理方法を提供すること,をその目的とする。」との記載,段落【0029】の「本発明では,外部ネットワークと防御対象ネットワーク間を伝送するデータを監視するファイアウォール手段を備えたネットワークセキュリティシステムであって,ファイアウォール手段に,前記いずれのネットワークにも属さない仮想試験端末を接続している。」との記載からすると,「ネットワークセキュリティシステム」は「ファイアウォール手段」と,「ファイアウォール手段」に接続した「仮想試験端末」とを備えることが読み取れるから,引用例1には,
“ネットワークシステムに対する未知の攻撃に有効に対処することを目的としたネットワークセキュリティシステムであって,
外部ネットワークと防御対象ネットワーク間を伝送するデータを監視するファイアウォール手段と,
前記ファイアウォール手段に接続した,いずれのネットワークにも属さない仮想試験端末と,を備え”る“ネットワークセキュリティシステム”
が記載されていると解される。
(イ)上記Aの段落【0029】の「ファイアウォール手段が,あらかじめ登録された振分ルールに基づいて外部ネットワークから防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたデータを当該防御対象ネットワーク内の所定の端末あるいは仮想試験端末に振り分けて転送するデータ振分機能と,仮想試験端末から返送された実行済データを防御対象ネットワーク内の所定の端末に転送する実行済データ転送機能と,を備えている。」との記載,上記Cの段落【0048】の「その基本的な動作は従来のものと同様であって,内部ネットワーク(防御対象ネットワーク)2に対するデータの出入口に備えられ,当該内部ネットワーク2に出入りするパケットパターンの分析を行い,内部ネットワークへの転送をフィルタリングするというものである。」との記載からすると,「ファイアウォール手段」は送信された「パケットデータ」を分析することは明らかであるから,“ファイアウォール手段は,あらかじめ登録された”“振分ルールに基づいて外部ネットワークから防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析し,”“パケットデータを当該防御対象ネットワーク内の所定の端末あるいは仮想試験端末に振り分けて転送する,”ことが読み取れる。
また,上記Cの段落【0051】の「ここで,振分ルールについて説明する。本実施形態における振分ルールは,主に2つのルールベースからなり,具体的には,通過許可ルール,TPC転送禁止ルール,からなる。」,段落【0052】の「通過許可ルールは,従来におけるファイアウォール機器と同様に,外部ネットワーク1から内部ネットワーク2に通過を許可するパケットルールを記述したものである。…(中略)…従って,信頼できる送信元のIPアドレスを記述しておくことで,かかるパケットデータは防御ネットワークである内部ネットワーク2内への通過が許され,逆に,未知のパケットが内部ネットワーク2内に送信されることはない。」,段落【0053】の「また,TPC転送禁止ルールは,後述する仮想試験端末4への転送を禁止するパケットルールを記述したものである。…(中略)…従って,過去に不正であると判断されたパケットに関するデータをルールとして記述しておくことで,そのようなパケットを仮想試験端末4に転送することなく,後述するように内部ファイアウォール3で破棄することができる。そして,未知のパケットを仮想試験端末4に転送することができる。」との記載からすると,「あらかじめ登録された振分ルール」は「通過許可ルール」,「TPC転送禁止ルール」からなり,「通過許可ルール」に「パケットルール」が記述された「パケットデータ」は「防御対象ネットワーク」への通過が許可され,「TPC転送禁止ルール」に「パケットルール」が記述された「パケットデータ」は破棄され,未知のパケットについて「仮想試験端末」に振り分けて転送することが読み取れるから,引用例1には,
“ファイアウォール手段は,あらかじめ登録された通過許可ルール,TPC転送禁止ルールからなる振分ルールに基づいて外部ネットワークから防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析し,前記通過許可ルールにパケットルールが記述されたパケットデータは前記防御対象ネットワークへの通過が許され,前記TPC転送禁止ルールにパケットルールが記述されたパケットデータは破棄され,未知のパケットを仮想試験端末に転送することにより,パケットデータを前記防御対象ネットワーク内の前記所定の端末あるいは前記仮想試験端末に振り分けて転送”すること
が記載されていると解される。
(ウ)上記Aの段落【0031】の「仮想試験端末では,ファイアウォール手段からの送信データを実行し,あらかじめ記憶されている正常実行であるか否かの基準に適合するか否かを調べる。正常実行であると判断された場合には,当該送信データをファイアウォール手段を介して防御対象ネットワーク内の端末に送信する。一方,正常実行でない場合には,かかる送信データは防御対象ネットワークには送信しないこととなる。」との記載,上記Dの段落【0065】の「また,仮実行部42は,内部ファイアウォール3から送信された未知のパケットを実際に実行する。そして,実行した際に,当該端末4上の起こる状態を不正実行定義記憶部41内のデータと比較して,かかる定義データに該当しない場合には,実行結果が正常であったと判断して,そのパケットを上記送受信部43を介して内部ファイアウォール3に返送する。」との記載からすると,「仮想試験端末」に「あらかじめ記憶されている正常実行であるか否かの基準」は「不正実行定義記憶部」に記憶された「定義データ」であると認められるから,引用例1には,
“仮想試験端末は,ファイアウォール手段からの未知のパケットデータである送信データを実行し,正常実行であるか否かの基準である,不正実行定義記憶部に記憶された定義データに適合するか否かを調べ,正常実行であると判断された場合には,前記送信データを前記ファイアウォール手段を介して防御対象ネットワーク内の端末に送信し,一方,正常実行でない場合には,かかる送信データは前記防御対象ネットワークには送信しないようにするものであ”ること
が記載されていると解される。
(エ)また,上記Bの段落【0033】の「また,上記構成に加え,仮想試験端末が,仮実行機能にて実行したデータに基づいてファイアウォール手段に登録された振分ルールに追加する新たな振分ルールデータを生成すると共に当該データをファイアウォール手段に送信する振分ルール生成機能を備え,ファイアウォール手段が,仮想試験端末から受信した新たな振分ルールデータを既に登録されている振分ルールに新たに登録する振分ルール登録機能を備えた,という構成とすると望ましい。」との記載,上記Dの段落【0066】の「そして,振分ルール生成部44は,…(中略)… 具体的には,仮実行部42にて正常実行である場合には,かかるパケットルールを,通過許可ルールに追加するよう生成し,逆に不正実行である場合には,TPC転送禁止ルールに追加するよう生成する。そして,生成した更新対象となる新たな振分ルールデータを,送受信部43を介して内部ファイアウォール3に送信する。」との記載からすると,「仮想試験端末」は”正常実行であると判断された場合には,当該送信データをファイアウォール手段を介して防御対象ネットワーク内の端末に送信し,一方,正常実行でない場合には,かかる送信データは防御対象ネットワークには送信しないようにする”ために,「正常実行である場合には,かかるパケットルールを,通過許可ルールに追加するよう生成し,逆に不正実行である場合には,TPC転送禁止ルールに追加するよう生成する」ことにより,「振分ルールに追加する新たな振分ルールデータを生成する」ことが読み取れるから,引用例1には,
“そのために,仮想試験端末は,仮実行機能にて実行したデータに基づいて,正常実行である場合には,かかるパケットルールを,通過許可ルールに追加するよう生成し,逆に不正実行である場合には,TPC転送禁止ルールに追加するよう生成することにより,ファイアウォール手段に登録された振分ルールに追加する新たな振分ルールデータを生成すると共に前記振分ルールデータを前記ファイアウォール手段に送信する”こと
が記載されていると解される。
ウ 以上,(ア)乃至(エ)で示した事項から,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「ネットワークシステムに対する未知の攻撃に有効に対処することを目的としたネットワークセキュリティシステムであって,
外部ネットワークと防御対象ネットワーク間を伝送するデータを監視するファイアウォール手段と,
前記ファイアウォール手段に接続した,いずれのネットワークにも属さない仮想試験端末と,を備え,
前記ファイアウォール手段は,あらかじめ登録された通過許可ルール,TPC転送禁止ルールからなる振分ルールに基づいて前記外部ネットワークから前記防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析し,前記通過許可ルールにパケットルールが記述されたパケットデータは前記防御対象ネットワークへの通過が許され,前記TPC転送禁止ルールにパケットルールが記述されたパケットデータは破棄され,未知のパケットを前記仮想試験端末に転送することにより,パケットデータを前記防御対象ネットワーク内の前記所定の端末あるいは前記仮想試験端末に振り分けて転送し,
前記仮想試験端末は,前記ファイアウォール手段からの未知のパケットデータである送信データを実行し,正常実行であるか否かの基準である,不正実行定義記憶部に記憶された定義データに適合するか否かを調べ,正常実行であると判断された場合には,前記送信データを前記ファイアウォール手段を介して前記防御対象ネットワーク内の端末に送信し,一方,正常実行でない場合には,かかる送信データは前記防御対象ネットワークには送信しないようにするものであって,
そのために,前記仮想試験端末は,仮実行機能にて実行したデータに基づいて,正常実行である場合には,かかるパケットルールを,前記通過許可ルールに追加するよう生成し,逆に不正実行である場合には,前記TPC転送禁止ルールに追加するよう生成することにより,前記ファイアウォール手段に登録された前記振分ルールに追加する新たな振分ルールデータを生成すると共に前記振分ルールデータを前記ファイアウォール手段に送信する,
ネットワークセキュリティシステム。」
(2-2)引用例2に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成27年5月14日付けの拒絶理由通知において引用された,米国特許出願公開第2009/0282483号明細書(2009年11月12日出願公開,以下,「引用例2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
E 「[0026] The support server(s) 169, in order to perform quarantine processing, may have to decrypt packets if they are encrypted. Therefore, if the packets that arrive at a support server 169 are encrypted and if further malware analysis is indicated, then, the support server 169 proceeds with decryption of the packet so that malware detection can be correctly performed on the un-encrypted content. In these cases, the public key may be made available either from the server 151 or the client device 153, however, the private key remains known only to the client device 153.」
(当審仮訳; 検疫隔離処理を行なうために,サポートサーバ169は,パケットを暗号化されているなら,復号化しなければならないかもしれない。そのために,もしサポートサーバ169に到着するパケットが暗号化されているなら,そしてもしさらなるマルウェア分析が指示されるなら,マルウェア検出が暗号化されていないコンテンツにおいて正確になされ得るように,サポートサーバ169はパケットの復号化を続ける。これらの場合,公開キーはサーバ151あるいはクライアント装置153から提供されるかもしれないが,秘密キーはクライアント装置153にだけ知られた状態となっている。)
F 「[0054] FIG. 8 is a flow diagram illustrating the functionality of the support server(s) of FIG. 1 during a download operation wherein the support server(s) of FIG. 1 verifies a digital signature before malware screening, and decrypts the files if the transmitted files are encrypted. At a block/step 809 , the support server(s) (e.g., support sever(s) 169 in FIG. 1) receive a web page or file download request. …(後略)… 」
(当審仮訳; 図8は,図1のサポートサーバがマルウェアスクリーニングの前にデジタル署名を照合し,また,もし送信されたファイルが暗号化されているなら,ファイルを復号化するダウンロードオペレーションの間の図1のサポートサーバの機能性を例証するフローチャートである。ブロック/ステップ809において,サポートサーバ(例えば,図1のサポートサーバ169)は,ウェブページあるいはファイルダウンロードのリクエストを受ける。 …(後略)…)
(2-3)引用例3に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成27年5月14日付けの拒絶理由通知において引用された,米国特許出願公開第2008/0133540号明細書(2008年6月5日出願公開,以下,「引用例3」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
G 「[0113] A behavioral analysis module 372 compares the monitored actions from the sandbox module with a list, a database, or rules that characterize the monitored actions. In one embodiment, these characterizations define properties of the URL that are subsequently analyzed by the static content classification module 328 of FIG. 12. In another embodiment, an active scoring classification module 374 may use scores associated with behavioral properties to determine a score for the URL. In one embodiment, the score is a weighted score of these properties. …(後略)… 」
(当審仮訳; 挙動分析モジュール372がサンドボックスモジュールから監視された行動と監視された行動を特徴づけるリスト,データベース,あるいは規則と比較する。1つの態様として,これらの特徴は,図12のスタティックなコンテント分類モジュール328によってその後分析されるURLの特性を定義する。もう1つの態様として,アクティブなスコアリング分類モジュール374は,URLのスコアを決定するために,挙動の特性と関連付けられたスコアを使うかもしれない。1つの態様として,スコアはこれらの特性が重み付けされたスコアである。 …(後略)… )
(2-4)引用例4に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成27年5月14日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2003-241989号公報(平成15年8月29日出願公開,以下,「引用例4」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
H 「【0019】本実施形態のコンピュータウイルス発生検出装置3は,このようなコンピュータウイルスがインターネット1上に発生したか否かを,同コンピュータウイルスを不特定のまま早期に検出するのであり,すなわち,種別やその仕組み等が明らかとなってワクチン等の対策データが提供される以前の状態,つまり未知コンピュータウイルスの状態でその発生を検出する。かかる検出のために,コンピュータウイルスの発生の可能性を示す特異データを収集するよう構成されている。ここでいう特異データとは,通常は使用されない例外ポートを使用したTCP/IP通信が行われたこと,異常なTCP/IP通信が行われたことによる不完全なパケットの発生,通信量の異常な増加,エラー量の異常な増加等を示すデータである。」
J 「【0030】一方,図6は異質なアクセスが行われた場合のアクセスログの一例を示す図である。近頃問題となった「Nimda」のようなコンピュータウイルスの場合,WWWサーバ5のセキュリティホールを狙って図6の60に示すような異質なアクセスがなされ,エラーログとして記録される。
【0031】これは,図6における61及び62からなる非常に長い文字列を含んだURLを送ることにより,任意のプログラム(文字列62)をスタックに積んで,これを管理者権限(root権限)で実行させることを目的としており,一般に「アタック(攻撃)」と呼ばれている。アタックは,人間によるコマンド入力操作により行われたり,或いはプログラムにより自動的に行われたりする。
【0032】図6のような長大なURLが指定されたアクセスは,ステップS14において異質なアクセスである旨判定される(ステップS14)。これは,URLの文字列長を検査することで容易に判定される。」
(2-5)参考文献1に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2004-62416号公報(平成16年2月26日出願公開,以下,「参考文献1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
K 「【0002】
【従来の技術】
インターネットに接続される端末に対する部外者からの不正アクセスを防止する手段として,パーソナルコンピュータ(以下PC)に組み込んで使用するパーソナルファイアウォールが利用されている。従来のパーソナルファイアウォールは,PCの利用者が個々に通信を許可または拒否するアプリケーション,プロトコル,ホスト,およびネットワークなどを設定することにより,部外者からPCへの不正なアクセスにより,PCに保存されたデータが盗難,破壊,あるいは改竄されることを防止することが可能である。
…(中略)…
【0004】
本発明の目的は,複数の端末に組み込まれたパーソナルファイアウォールに設定されるセキュリティポリシー(通信を許可または拒否するアプリケーション,プロトコル,ホスト,およびネットワークなどの設定情報の集合)をセキュリティ管理者または管理組織が一元的に設定,管理する不正アクセス防止方法を提供することにある。」
(2-6)参考文献2に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2010-86072号公報(平成22年4月15日出願公開,以下,「参考文献2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
L 「【0014】
図2のブロック図を参照して,第1の実施形態に係わるセキュリティサーバ10に修正パッチを適用するための構成を説明する。
パッチ・カタログファイル配布サーバ41は,前述したパッチ・カタログファイルF11を有する。修正パッチ配布サーバ42は,修正パッチF21を有する。セキュリティサーバ10は,カタログファイル取得モジュール101,ハッシュ値演算モジュール102,およびルータモジュール103等を有する。クライアントコンピュータ20は,パーソナルファイアウォール301,ハッシュ値取得モジュール302,ハッシュ値比較モジュール303,カタログファイル取得モジュール304,ハッシュ値演算モジュール305,パッチ適用確認モジュール306,修正パッチ取得モジュール307,およびパッチ適用モジュール308等を有する。
…(中略)…
【0017】
パーソナルファイアウォール301は,ユーザのログオン時にシステムを検疫ネットワーク50に選択的に接続する。パーソナルファイアウォール301は,最新の修正モジュールが適用されていることが確認されるまでクライアントコンピュータ20のシステムを業務ネットワーク30に接続しない。」
(2-7)参考文献3に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2010-44613号公報(平成22年2月25日出願公開,以下,「参考文献3」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
M 「【0003】
基本的なウイルス対策は,ウイルスを除去するソフトウェアであるウイルス対策ソフトウェア(以降「対策ソフト」と略記)をコンピュータにインストールすることである。しかし,新種のウイルスには対応が困難であるため,対策ソフトを用いてもウイルスの感染は完全には予防できない。このことから,ウイルス対策に仮想マシン(VM:Virtual Machine)を用いることも行われている。
【0004】
仮想マシンは,コンピュータの仮想化技術の一つである。仮想マシンでは,ハードウェア(リソース)を仮想化することにより,仮想化したハードウェア上で異なるプログラムを動作可能とする。仮想マシンを用いることで一台のコンピュータ上に複数のオペレーティングシステム(OS)を動作させることができる。各仮想マシン上のプログラムは,独立したアドレス空間で稼動し,相互に直接干渉しない。このため,或る仮想マシンがウイルスに感染しても,そのウイルスは他の仮想マシンには感染しない。ウイルスに感染していない仮想マシンは動作を継続させることができる。このようなことから,仮想マシンを用いることにより,ウイルスの感染による影響をより低減させることができる。」
N 「【0015】
本実施形態では,サーバー上に複数の仮想マシンを作成し,サーバーに実行させるアプリケーション・プログラム(以降「アプリケーション」と略記)は何れかの仮想マシン上で動作させるようにしている。図1の110,120,及び130は,サーバー上に作成された仮想マシンである。仮想マシン110上では,例えばサーバー自身が管理しているファイルを通信ネットワーク上の他の端末装置と共有し,外部から利用可能とするファイルサービスを提供するアプリケーション111が動作する。仮想マシン120上では,WWW(World Wide Web)によるデータ送信を実現するアプリケーション121が動作する。仮想マシン130上では,他の仮想マシン,ここでは仮想マシン110及び120を管理するためのVM管理ソフトウェア(以降「管理ソフト」と略記)131,及びウイルスの検出や駆除を行うウイルス対策ソフトウェア(以降「対策ソフト」と略記)が動作する。
…(中略)…
【0017】
仮想マシン110は,ファイルサービスに対応したアプリケーション111が動作することにより,サーバーをファイルサーバーとして機能させる。このことから以降,110を付した仮想マシンは「ファイルサーバー」とも呼ぶことにする。120を付した仮想マシンは,Webサービスに対応したアプリケーション121によりサーバーをWEBサーバーとして機能させることから,以降「Webサーバー」とも呼ぶことにする。130を付した仮想マシンではVM管理ソフト131が動作することから,「ウイルス対策専用仮想マシン」とも呼ぶことにする。」
(2-8)参考文献4に記載されている技術的事項
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,国際公開第2003-100619号(平成15年12月4日国際公開,以下,「参考文献4」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)
P 「背景技術
近年のネットワーク技術の進展に伴って,インターネット上の分散システムであるワールドワイドウェブ(WWW)の利用が急速に拡大し,さまざまなサービスを提供するサーバも累増してきたが,かかるサーバの増加とともに不正アクセスも急増している。
この急増する不正アクセスに対処するために,不正アクセスを検知する不正アクセス検知ツールが利用されている。この不正アクセス検知ツールは,クライアントからの不正な処理要求を検知する検知ルールを有し,この検知ルールとクライアントからの処理要求を照らし合わせることによって不正アクセスの判定をおこなっている。検知ルールの具体例としては,実際には存在しない非常に長い U R Lを用いたホームページアクセス要求,無意味で非常に長い文字列の照合処理要求,正しくないパスワードの入力などがある。」(第1頁15-26行)
(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ネットワークセキュリティシステム」は,「ネットワークシステムに対する未知の攻撃に有効に対処することを目的とした」システムであるから,本件補正発明の「システム」に対応する。
また,引用発明の「ファイアウォール手段」は,「外部ネットワークと防御対象ネットワーク間を伝送するデータを監視する」ところ,「ホスト型のファイアウォール」を含むとはいえないものの,「プロセッサ」を有する装置により構成されることは明らかであるから,引用発明の「ファイアウォール手段」は本件補正発明の「第1の装置」に対応するといえ,引用発明の「ファイアウォール手段」と本件補正発明の「ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置」とは,“ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置”である点で共通するといえる。
さらに,引用発明の「ネットワークセキュリティシステム」は,「ファイアウォール手段」内部の「プロセッサ」に命令を提供するための「メモリ」を有することは明らかであるから,引用発明の「ネットワークセキュリティシステム」と,本件補正発明の「システム」とは,“第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え”る点で共通するといえる。
(イ)引用発明の「仮想試験端末」は,「ファイアウォール手段に接続し」,「ファイアウォール手段からの未知のパケットデータである送信データを実行」する端末であって,「プロセッサ」を有する装置により構成されることは明らかであるから,引用発明の「仮想試験端末」は本件補正発明の「第2の装置」に対応するといえ,引用発明の「仮想試験端末」と本件補正発明の「仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置」とは,“第2プロセッサを有する第2の装置”である点で共通するといえる。
(ウ)引用発明では,「ファイアウォール手段」が「あらかじめ登録された通過許可ルール,TPC転送禁止ルールからなる振分ルールに基づいて前記外部ネットワークから前記防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析し」,「前記TPC転送禁止ルールにパケットルールが記述されたパケットデータは破棄され,未知のパケットを前記仮想試験端末に転送する」ところ,「未知のパケット」は「マルウェア候補サンプル」とみることができ,「TPC転送禁止ルール」は既知のマルウェアサンプルを含むことは明らかであるから,引用発明の「TPC転送禁止ルール」と本件補正発明の「既存のシグネチャー」との間に実質的な違いはないから,引用発明の「TPC転送禁止ルール」は本件補正発明の「既存のシグネチャー」に相当するといえる。
そうすると,引用発明では,「TPC転送禁止ルール」に一致しない「未知のパケット」を生成するために「ファイアウォール手段」を使用し,前記「未知のパケット」を前記「ファイアウォール手段」から「仮想試験端末」に送信するといえる。
してみると,引用発明の「ファイアウォール手段は,あらかじめ登録された通過許可ルール,TPC転送禁止ルールからなる振分ルールに基づいて前記外部ネットワークから前記防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析し,前記通過許可ルールにパケットルールが記述されたパケットデータは前記防御対象ネットワークへの通過が許され,前記TPC転送禁止ルールにパケットルールが記述されたパケットデータは破棄され,未知のパケットを前記仮想試験端末に転送することにより,パケットデータを前記防御対象ネットワーク内の前記所定の端末あるいは前記仮想試験端末に振り分けて転送」することと,
本件補正発明の「第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含」むことは,後記する点で相違するものの,
“第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記第2の装置に送信することと,を含”む点で共通するといえる。
(エ)引用発明では,「仮想試験端末は,前記ファイアウォール手段からの未知のパケットデータである送信データを実行し,正常実行であるか否かの基準である,不正実行定義記憶部に記憶された定義データに適合するか否かを調べ,正常実行であると判断された場合には,前記送信データを前記ファイアウォール手段を介して前記防御対象ネットワーク内の端末に送信し,一方,正常実行でない場合には,かかる送信データは前記防御対象ネットワークには送信しないようにする」ところ,上記(ウ)での検討から,「ファイアウォール手段からの未知のパケットデータ」は「マルウェア候補サンプル」とみることができ,「未知のパケットデータ」が「仮想試験端末」における「エミュレーション」実行時の動作が監視されることにより解析されるといえるから,引用発明では,「マルウェア候補サンプル」を解析し,マルウェアを特定するために,「仮想試験端末」を用いるエミュレーションの際に,前記「マルウェア候補サンプル」の挙動を監視するといえる。
さらに,引用発明における「不正実行定義記憶部に記憶された定義データ」は「マルウェア候補サンプル」がマルウェアであるか否かを判定するための“所定の基準”とみることができ,本件補正発明の「仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコア」も「マルウェア候補サンプル」がマルウェアであるか否かを判定するための“所定の基準”とみることができるから,引用発明の「不正実行定義記憶部に記憶された定義データ」と本件補正発明の「仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコア」とは,“マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを”判定するための“所定の基準”である点で共通するといえる。
そうすると,引用発明では,「仮想試験端末」は「マルウェア候補サンプル」がマルウェアであるか否かを判定するために,前記「マルウェア候補サンプル」を解析し,実行時の動作が監視される前記「マルウェア候補サンプル」がマルウェアであるかを所定の基準に基づき判定し,前記「マルウェア候補サンプル」を解析することは,マルウェアを特定するために,第2の装置を用いるエミュレーションの際に,前記「マルウェア候補サンプル」の挙動を監視することを含むといえる。
してみると,引用発明の「前記仮想試験端末は,前記ファイアウォール手段からの未知のパケットデータである送信データを実行し,正常実行であるか否かの基準である,不正実行定義記憶部に記憶された定義データに適合するか否かを調べ,正常実行であると判断された場合には,前記送信データを前記ファイアウォール手段を介して前記防御対象ネットワーク内の端末に送信し,一方,正常実行でない場合には,かかる送信データは前記防御対象ネットワークには送信しないようにする」ことと,
本件補正発明の「第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し」,
「前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む」ことは,後記する点で相違するものの,
“第2プロセッサを用いる前記第2の装置の実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記第2の装置を用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
実行時の動作が監視される前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを所定の基準に基づき判定する”点で共通するといえる。
(オ)また,引用発明では,「そのために,前記仮想試験端末は,仮実行機能にて実行したデータに基づいて,正常実行である場合には,かかるパケットルールを,前記通過許可ルールに追加するよう生成し,逆に不正実行である場合には,前記TPC転送禁止ルールに追加するよう生成することにより,前記ファイアウォール手段に登録された前記振分ルールに追加する新たな振分ルールデータを生成すると共に前記振分ルールデータを前記ファイアウォール手段に送信する」ところ,上記(ウ)での検討から,引用発明の「TPC転送禁止ルール」は本件補正発明の「既存のシグネチャー」に相当するといえるから,「仮想試験端末」は,「マルウェア候補サンプル」がマルウェアであると判定された場合に,「シグネチャー」を自動的に生成し,前記「シグネチャー」を使用(強制)するように構成されている「ファイアウォール手段」に,前記「シグネチャー」を送信するといえる。
そうすると,引用発明の「そのために,前記仮想試験端末は,仮実行機能にて実行したデータに基づいて,正常実行である場合には,かかるパケットルールを,前記通過許可ルールに追加するよう生成し,逆に不正実行である場合には,前記TPC転送禁止ルールに追加するよう生成することにより,前記ファイアウォール手段に登録された前記振分ルールに追加する新たな振分ルールデータを生成すると共に前記振分ルールデータを前記ファイアウォール手段に送信する」ことと,
本件補正発明の「マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを前記仮想マシンから送信することと,を含」むことは,後記する点で相違するものの,
“マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,シグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを送信することと,を含”む点で共通するといえる。
イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。
<一致点>
「 システムであって,
ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記第2の装置に送信することと,を含み,
前記第2プロセッサを用いる前記第2の装置の実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために,前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記第2の装置を用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,
実行時の動作が監視される前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを所定の基準に基づき判定することと,
マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,シグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを送信することと,を含む
システム。」
<相違点1>
第1の装置に関し,本件補正発明では,「ホスト型のファイアウォール」であるのに対して,引用発明では,「外部ネットワークと防御対象ネットワーク間を伝送するデータを監視するファイアウォール手段」である点。
<相違点2>
第2の装置に関し,本件補正発明では,「仮想マシンを実行するように構成され」た「第2の装置」であるのに対して,引用発明では,「仮想試験端末」であるものの,仮想マシンを実行するように構成されているか不明である点。
<相違点3>
第1の装置でのファイアウォールの実行に関し,本件補正発明では,「ファイアウォールの実行は,暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって」なされるのに対して,引用発明では,「ファイアウォール手段」は,「外部ネットワークから前記防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析」するものの,暗号化ネットワークトラフィックフローを復号するか不明である点。
<相違点4>
マルウェアの判定に関し,本件補正発明では,「監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出」し,「前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定」するのに対して,引用発明では,「正常実行であるか否かの基準である,不正実行定義記憶部に記憶された定義データに適合するか否かを調べ」るものの,マルウェア候補サンプルに関連するスコアに基づき判定することについて言及されていない点。
<相違点5>
マルウェア候補サンプルの解析に関し,本件補正発明では,「マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む」のに対して,引用発明では,「未知のパケットデータである送信データを実行」するものの,監視対象となる挙動はそのように特定されていない点。
(4)当審の判断
上記相違点1乃至5について検討する。
ア 相違点1について
引用発明では,マルウェア候補サンプルを仮想試験端末に送信する「ファイアウォール手段」が,「ネットワークシステムに対する未知の攻撃に有効に対処する」ために,「外部ネットワークと防御対象ネットワーク間を伝送するデータを監視」し,「外部ネットワークから前記防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析」するところ,「外部ネットワーク」から「防御対象ネットワーク」内に伝送されるパケットデータが監視可能となるよう,両者のネットワーク間に配置されると認められる。
一方,本件補正発明の「ホスト型のファイアウォール」は,本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0041】の「図2に示すように,クライアントデバイス204A,204B及び204Ch,セキュリティ装置202を介してインターネット206と通信を行う。いくつかの実施形態において,セキュリティ装置202は,図示するように,ファイアウォール212を備える。いくつかの実施形態において,図示するように,クライアント装置204A~204Cの1つ以上がファイアウォール214(たとえば,ホスト型ファイアウォール)を備える。」との記載からすると,クライアント装置に搭載されたファイアウォールであると認められる。
クライアント装置に搭載したファイアウォールによって,外部からの不正アクセスを防御する旨の技術は,例えば,参考文献1(上記Kを参照),参考文献2(上記Lを参照)に記載されるように,本願優先日前には当該技術分野の周知技術であった。
そして,引用発明において,マルウェア候補サンプルを「仮想試験端末」に送信する「ファイアウォール手段」を「外部ネットワークと防御対象ネットワーク間」に配置された「ファイアウォール手段」とするか,ネットワークに接続されたクライアント端末に搭載された「ファイアウォール手段」も対象とするかは,当業者が必要に応じて選択可能な設計的事項である。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,外部ネットワークと防御対象ネットワーク間に配置されたファイアウォールに代えて,適宜,外部ネットワークから伝送されるデータを監視するホスト型のファイアウォールを構成し,マルウェア候補サンプルを仮想試験端末に送信すること,すなわち,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用発明では,「仮想試験端末は,前記ファイアウォール手段からの未知のパケットデータである送信データを実行し,」「仮実行機能にて実行したデータに基づいて」,正常実行されたか否かを判定するところ,マルウェアを含む可能性のある未知のデータの仮実行を仮想マシン上で行う旨の技術は,例えば,参考文献3(上記M,Nを参照)に記載されるように,本願優先日前には当該技術分野の周知技術であった。
そして,引用発明において,「仮想試験端末」を仮想マシンにより構成するかどうかは,当業者が必要に応じて選択可能な設計的事項である。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,適宜,仮想試験端末を仮想マシンを実行するように構成すること,すなわち,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
引用発明では,「ファイアウォール手段」が「外部ネットワークから前記防御対象ネットワーク内の所定の端末に送信されたパケットデータを分析」するところ,マルウェア検出を行うサーバにおいて,解析対象の通信が暗号化されていた場合は,マルウェア検出に先立ち通信を復号化する旨の技術は,例えば,引用例2(上記E,Fを参照)に記載されるように,本願優先日前には当該技術分野の常套手段であり,引用発明の「ファイアウォール手段」が未知のパケットデータを分析するに先立ち,未知のパケットデータが暗号化されていればそれを復号化することは自明である。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,適宜,ファイアウォールの実行を,暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することにより実行するように構成すること,すなわち,上記相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
エ 相違点4について
引用発明では,「未知のパケットデータ」に対するマルウェアの判定に当たり,「正常実行であるか否かの基準である,不正実行定義記憶部に記憶された定義データに適合するか否かを調べ」るところ,挙動分析モジュールが通信データの挙動を解析してスコアリングを行い,不正アクセスかどうか判定する旨の技術は,例えば,引用例3(上記Gを参照)に記載されるように,本願優先日前には当該技術分野の周知技術であった。
そして,引用発明において,マルウェアの判定のため,「未知のパケットデータ」が定義データに適合するか否かを調べる際に,周知のスコアリングによる解析を採用するかどうかは,当業者が必要に応じて選択可能な設計的事項である。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,適宜,監視されるマルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出し,マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくともスコアに基づき判定するように構成すること,すなわち,上記相違点4に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
オ 相違点5について
引用発明では,「仮想試験端末」は,マルウェアの判定のために「未知のパケットデータである送信データを実行」するところ,外部からサーバへのアクセスを監視し,非常に長いURLを用いたアクセスを不正アクセスと判定する旨の技術は,例えば,引用例4(上記H,Jを参照),参考文献4(上記Pを参照)に記載されるように,本願優先日前には当該技術分野の周知技術であった。
そして,外部からのマルウェアなどによる不正アクセスを判定するために,外部からの如何なるアクセスを監視対象とするかは,当業者が必要に応じて選択可能な設計的事項である。
そうすると,引用発明において上記周知技術を適用し,適宜,仮想試験端末が分析するマルウェア候補サンプルが示す監視対象となる挙動として,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことを含むように構成すること,すなわち,上記相違点5に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
カ 小括
上記で検討したごとく,相違点1乃至5に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び,引用例2乃至4,参考文献1乃至4に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正却下の決定のむすび
上記「3 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年3月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,補正後の請求項1に対応する補正前の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年4月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
システムであって,
ファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置と,
仮想マシンを実行するように構成された第2プロセッサを有する第2の装置と,
前記第1プロセッサに接続され,前記第1プロセッサに命令を提供するように構成されているメモリと,を備え,
前記第1の装置の前記第1プロセッサを用いる前記ファイアウォールの実行は,
暗号化ネットワークトラフィックフローを復号することによって,既存のシグネチャーに一致しないマルウェア候補サンプルを生成するために前記ファイアウォールを使用することと,
前記マルウェア候補サンプルを前記ファイアウォールから前記仮想マシンに送信することと,を含み,
前記第2の装置の前記第2プロセッサを用いる前記仮想マシンの実行は,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるか否かを判定するために前記仮想マシンを用いて前記マルウェア候補サンプルを解析することと,
前記仮想マシンを用いて監視される前記マルウェア候補サンプルに関連するスコアを算出することと,
前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであるかを少なくとも前記スコアに基づき判定し,前記マルウェア候補サンプルがマルウェアであると判定された場合に,前記仮想マシンを使用してシグネチャーを自動的に生成することと,
前記シグネチャーを強制するように構成されている前記ファイアウォールに,前記シグネチャーを前記仮想マシンから送信することと,を含む
システム。」
2 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された,引用発明は,前記「第2 平成28年3月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は,前記「第2 平成28年3月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」で検討した本件補正発明の発明特定事項である「ホスト型のファイアウォールを実行するように構成された第1プロセッサを有する第1の装置」から「ホスト型の」との限定事項を削除するとともに,本件補正発明の発明特定事項から「前記マルウェア候補サンプルを解析することは,マルウェアを特定するために,前記仮想マシンを用いるエミュレーションの際に,前記マルウェア候補サンプルの挙動を監視することを含み,前記マルウェア候補サンプルを示す監視対象となる挙動は,アクセスされたドメインが閾値を超える長さのドメイン名を持つことと,閾値よりも短い長さのHTTPヘッダを用いて通信を行うことの1つ以上を含む」との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2 平成28年3月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用例」乃至「(4)当審の判断」に記載したとおり,引用発明及び,引用例2,3,参考文献3,4に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記特定の限定を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-003621