特許拒絶査定不服審判
2016-002529
島設備
- 審判番号
- 2016-002529
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-266605外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月19日
- 審決日
- 2016年12月27日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-266605号「島設備」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月17日出願公開、特開2013-118881号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月6日の出願であって、平成27年8月21日付け拒絶理由通知に対して、同年10月21日付けで手続補正がなされたところ、同年11月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、明細書及び特許請求の範囲の請求項1乃至3の補正を含むものであって、特許請求の範囲の請求項1について補正前に
(平成27年10月21日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技機が複数並列に設置可能とされるとともに、脚部によって床面から所定寸法上方にて支持された島設備において、
少なくとも遊技機が設置された位置における腰板の下端縁部には、遊技者の足が干渉した際の衝撃を和らげるための緩衝部材が設けられたことを特徴とする島設備。」
とあったものを、
(本件補正である平成28年2月19日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技機が複数並列に設置可能とされるとともに、脚部によって床面から所定寸法上方にて支持された島設備において、
少なくとも遊技機が設置された位置における腰板の下端縁部には、当該下端縁部の断面形状に倣った断面形状とされるとともに、遊技者の足が干渉した際の衝撃を和らげるための緩衝部材が設けられたことを特徴とする島設備。」
と補正することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。
2 補正の適否
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「緩衝部材」に関して、「当該下端縁部の断面形状に倣った断面形状とされる」との限定を付加するものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0018】の「なお、この場合、緩衝部材8’、8”は、下端縁部1’b、1”bの断面形状に倣った断面形状(屈曲形状又は湾曲形状)とするのが好ましい。」などの記載に基づくものであって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項を追加するものではない。
3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。
(1)引用文献及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-178863号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(1-ア)
「【請求項1】 適当な間隔で並設した縦支柱に上部添板と下部添板を横方向に平行に配設し、その両添板間に多数のパチンコ機を設置すると共に、下部添板の下方に腰板を張設してなるパチンコ機設置島において、
前記腰板の下側縁と床との間に遊技者が足先を挿入し得る隙間を形成し、その隙間に適度に傾斜した足乗せ部を有する型材を配設してなることを特徴とするパチンコ機設置島。」
(1-イ)
「【0011】そして、これら腰板9を構成する各パネル板9bは、それぞれの下端縁と床Fとの間に遊技者の足先が自由に挿入し得る隙間11(例えば140mm)をあけるようにその縦方向の長さが選ばれており、その隙間11にパチンコ機設置島1の長手方向の全長に亘って型材12が配設される。」
(1-ウ)
図1には、パチンコ機設置島1において、複数のパチンコ機6が横方向に並列に設置されたものが記載されている。
(1-エ)
図2及び図3には、パチンコ機6が設置された位置における腰板9の下端縁に断面が略直角の角部が設けられた構成が記載されている。
上記(1-ア)~(1-エ)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「適当な間隔で並設した縦支柱に上部添板と下部添板を横方向に平行に配設し、その両添板間に多数のパチンコ機6を横方向に並列に設置すると共に、下部添板の下方に腰板9を張設し、前記腰板9の下側縁と床Fとの間に遊技者が足先を挿入し得る隙間11(例えば140mm)を形成し、パチンコ機6が設置された位置における腰板9の下端縁に断面が略直角の角部が設けられたパチンコ機設置島1。」
(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「パチンコ機6」、「腰板9」、「パチンコ機設置島1」は、それぞれ本願補正発明の「遊技機」、「腰板」、「島設備」に相当する。
また、引用発明の「パチン機設置島1」は、「適当な間隔で並設した縦支柱に上部添板と下部添板を横方向に平行に配設」するとともに、「下部添板の下方に腰板9を張設し、前記腰板9の下側縁と床Fとの間に遊技者が足先を挿入し得る隙間11(例えば140mm)を形成し」たものであるから、適当な間隔で並設した縦支柱によって、床面から所定寸法(例えば140mm)上方に支持されたものということができる。そして、引用発明の「適当な間隔で並設した縦支柱」は、本願補正発明の「脚部」に相当する。
してみると、本願補正発明と引用発明とは、
(一致点)
「遊技機が複数並列に設置可能とされるとともに、脚部によって床面から所定寸法上方にて支持された島設備において、
少なくとも遊技機が設置された位置における腰板を有する島設備。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点)
本願補正発明が、少なくとも遊技機が設置された位置における腰板の下端縁部には、当該下端縁部の断面形状に倣った断面形状とされるとともに、遊技者の足が干渉した際の衝撃を和らげるための緩衝部材が設けられるのに対して、引用発明では、そのような構成について特定がない点。
(3)判断
上記相違点について検討する。
引用発明は、腰板9の下側縁と床Fとの間の例えば140mmという広くはない隙間11に遊技者が足先を挿入するものであるとともに、パチンコ機6が設置された位置における腰板9の下端縁に断面が略直角の角部が設けられたものであって、遊技者の足の近くに腰板の下端縁の角部が存在することになるから、遊技者の足が腰板の下端縁の角部に干渉して衝撃を受ける可能性があることは、当業者にとって自明の事項である。
また、建物や家具などにおける角部に人などが干渉(衝突)した際の衝撃を和らげるために、角部分に対応する溝部を設けて溝部の両側を角部分の両側面に当接させるようにした緩衝部材を設けることは、例えば特開2001-355664号公報(段落【0001】、【0009】、図1~2)や特開2007-2507号公報(段落【0001】、【0007】、図1)等にも記載されているように本願出願前に周知の技術である。
そして、人体が当たる可能性のある角部に対して、例えば角部の先端部を面取りして丸みを持たせるなど、人体に対するダメージを和らげるような何らかの手段を講じることが一般的に常套手段であることを考慮すると、引用発明に上記の周知技術を適用して、パチンコ機6が設置された位置における腰板9の下端縁に設けられた断面が略直角の角部に対して、角部分に対応する溝部を設けて溝部の両側を角部分の両側面に当接させるようにした緩衝部材を設けることによって、緩衝部材の断面形状を腰板9の下端縁部の断面形状に倣ったものにするとともに、遊技者の足が干渉した際の衝撃を和らげるように構成し、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が通常の創作能力を発揮することにより容易に想到できたことである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとはいえない。
なお、請求人は審判請求書において、「特に、引用文献4~6に記載の発明は、本願発明の如く『島設備が脚部によって床面から所定寸法上方にて支持される』構成により『遊技者が足を伸ばして遊技する場面が多くなる』ことを前提とするものではなく、当然に、遊技者の足の保護に加え、腰板の下端縁部の補強を兼ねる緩衝部材を具備した島設備について開示するものでは決してない。」(第5頁第24行~第6頁第2行)と主張している。
しかしながら、上記相違点についての検討で述べたとおり、引用発明は遊技者の足が腰板の下端縁の角部に干渉して衝撃を受ける可能性があるものであり、かつ、人体が当たる可能性のある角部に対して、人体に対するダメージを和らげるような何らかの手段を講じることは常套手段であるから、引用発明に上記の周知技術を適用することは、当業者が容易に想到できたことである。そして、腰板の下端縁部の補強を兼ねるという効果については、角部に緩衝部材を設ければ、設けない場合に比べて一定の補強作用があることは明らかであるから、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものにすぎない。
そうすると、請求人の上記主張は採用することができない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
4 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1乃至3に係る発明は、平成27年10月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、「第2[理由]1 補正の内容」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。
2 引用文献及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定については、「第2[理由]3(1)引用文献及びその記載事項」に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、構成要件である「緩衝部材」について、「当該下端縁部の断面形状に倣った断面形状とされる」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3(3)判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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