特許拒絶査定不服審判
2016-002105
エンジン
- 審判番号
- 2016-002105
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-018929外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月10日
- 審決日
- 2017年06月19日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】イマジニアリング株式会社
- 分類
- P18 .121-WZ (F02P) / P18 .575-WZ (F02P)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011- 18929「エンジン」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月23日出願公開、特開2012-159033〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、平成23年1月31日の出願であって、平成27年4月27日付けで拒絶理由が通知され、平成27年7月13日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年10月22日付けで拒絶査定がされ、平成28年2月10日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、その後当審において、平成28年11月4日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月16日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、平成29年1月30日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成29年4月5日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2.平成29年4月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年4月5日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正
(1)本件補正の内容
平成29年4月5日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の(すなわち、平成29年1月16日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。
(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
燃焼室が形成されたエンジン本体と、
該エンジン本体のプラグ取付孔に配設される点火コイル、混合器及びスパークプラグを一体化した点火ユニットと、
電磁波を発振する電磁波発振器と、上記エンジン本体に取り付けられ、電磁波発振器から入力された電磁波を燃焼室へ放射する電磁波放射器とを有し、該電磁波放射器から放射する電磁波により燃焼室において電磁波プラズマを生成するプラズマ生成装置とを備えたエンジンであって、
上記エンジン本体に一体化されて、上記電磁波放射器の入力側に接続する同軸ケーブルの途中を保持する保持部材を、保持部材によって保持された箇所と電磁波放射器の入力側の接続箇所との間の同軸ケーブルが電磁波放射器と共に振動するように配設し、さらに前記点火ユニットの同軸ケーブルとの接続部を前記プラグ取付孔内に位置するように構成し、前記同軸ケーブルを部分的に太くし、太くした部分をプラグ取付孔に嵌まり込むようにしてなることを特徴とするエンジン。」
(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
燃焼室が形成されたエンジン本体と、
該エンジン本体のプラグ取付孔に配設される点火コイル、混合器及びスパークプラグを一体化した点火ユニットと、
電磁波を発振する電磁波発振器と、上記エンジン本体に取り付けられ、電磁波発振器から入力された電磁波を燃焼室へ放射する電磁波放射器とを有し、該電磁波放射器から放射する電磁波により燃焼室において電磁波プラズマを生成するプラズマ生成装置とを備えたエンジンであって、
上記エンジン本体に一体化されて、上記電磁波放射器の入力側に接続する同軸ケーブルの途中を保持し、前記同軸ケーブルを挿通させるための挿通孔を複数含むよう構成された保持部材を、保持部材によって保持された箇所と電磁波放射器の入力側の接続箇所との間の同軸ケーブルが電磁波放射器と共に振動するように配設し、さらに前記点火ユニットの同軸ケーブルとの接続部を前記プラグ取付孔内に位置するように構成し、保持部材の下端は、エンジン本体の上面に固定され、少なくとも前記挿通孔の直下の部分がエンジン本体の上面に固定され、前記同軸ケーブルは前記挿通孔に嵌め込まれ、保持部材に固定されるよう構成され、前記同軸ケーブルを部分的に太くし、太くした部分をプラグ取付孔に嵌まり込むようにしてなることを特徴とするエンジン。」(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
(2)本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1における発明特定事項である「保持部材」について、「同軸ケーブルを挿通させるための挿通孔を複数含むよう構成され」る旨及び、その「下端は、エンジン本体の上面に固定され、少なくとも挿通孔の直下の部分がエンジン本体の上面に固定され」る旨を限定するとともに、本件補正前の請求項1における発明特定事項である「同軸ケーブル」について、「挿通孔に嵌め込まれ、保持部材に固定されるよう構成され」る旨を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
2.独立特許要件についての判断
本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。
2.1 引用文献
2.1.1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
本願の出願前に頒布され、平成29年1月30日付けの最後の拒絶理由に引用された刊行物である特開2009-36198号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「点火またはプラズマ発生装置」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。
(ア)「【要約】
【課題】内燃機関における空気・燃料混合気の点火を火花放電とマイクロ波との両エネルギを用いて行う場合において、燃焼室内の共振手段を不要とし、また、燃焼室内の電極構造を簡略化することができる点火またはプラズマ発生装置を提供する。
【解決手段】高電圧パルス発生装置11からの高電圧パルスとマイクロ波発生装置12からのマイクロ波エネルギとを混合する混合回路13と、この混合回路13からの出力が供給されこの出力を内燃機関の燃焼室14に導入する点火プラグ27とを備え、混合回路13から点火プラグ27に供給される出力は、マイクロ波エネルギと高電圧パルスとが同じ伝送線路に重畳されて供給される。
【選択図】図1」(【要約】の項)
(イ)「【0001】
本発明は、内燃機関において火花放電とマイクロ波エネルギを併用した点火を行う点火またはプラズマ発生装置に関する。
…(後略)…」(段落【0001】)
(ウ)「【0045】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る点火またはプラズマ発生装置10の基本的な構成を示す。
【0046】
この点火またはプラズマ発生装置10においては、図1に示すように、高電圧パルス発生装置11及びマイクロ波発生装置12のそれぞれから発生されたエネルギは、混合手段となる混合回路13に伝達される。混合回路13は、高電圧パルス発生装置11及びマイクロ波発生装置12から与えられたエネルギを混合する。混合回路13において混合されたエネルギは、その伝送路となる混合出力ケーブル26を介して、燃焼室14に挿入された点火プラグ27へ供給される。」(段落【0045】及び【0046】)
(エ)「【0072】
〔第8の実施形態〕
図11は、点火コイルと回路基板60とを一体化した第8の実施形態に係る点火装置のモジュール90の構成を示す。
【0073】
第5の実施形態から第7の実施形態に係る回路基板は、図11に示すように、点火コイルと一体化したモジュール90として構成することができる。このモジュール90においては、混合回路をなす回路基板60は、マイクロ波の入力端子61と混合出力端子63とを外部に露出した状態で、マイクロ波が漏洩しないように、金属ケース96にてシールドされ、ハウジング95に収納されている。ハウジング95には、金属ケース96とともに、点火コイル94が収納されている。点火コイル94の一次側は端子91に接続され、二次側は回路基板60に接続されている。ハウジング95内は、モールド樹脂で充填されている。
【0074】
ただし、金属ケース96は密閉構造であり、その内部にモールド樹脂は侵入せず、中空構造となっている。これにより、混合回路部の高周波特性は、モールド樹脂に影響されることはない。
【0075】
混合出力端子63は、同軸構造の混合出力ケーブル93に接続されている。この混合出力ケーブル93の中心導体は、図示しない点火プラグの中心電極に接続される。また、混合出力ケーブル93の外側導体は、点火プラグの主体金具を覆って接続されている。このようにすると、混合出力ケーブル93からのマイクロ波の漏洩を防止することができる。
【0076】
さらに、混合出力ケーブル93からなる伝送線路上にアイソレータを設けると、マイクロ波の逆流を防止、または、低減することができ、安全性が向上する。
【0077】
このようなモジュール90を用いれば、内燃機関本体を改良することなく、また、一般的な点火プラグを用いて、マイクロ波エネルギと高電圧パルスとの両方を燃焼室内に導入し、燃焼室内の空気・燃料混合気に点火を行うことができる。
【0078】
なお、第8の実施形態では、混合基板を点火コイルと一体化したが、混合基板を点火プラグと一体化してもよい。さらに、混合基板と点火プラグとアンテナとを一体のモジュール構造にすれば、内燃機関本体を改良することなく、また、一般的な点火コイルを用いて、マイクロ波エネルギと高電圧パルスとの両方を燃焼室内に導入して燃焼室内の空気・燃料混合気を点火することができる。
【0079】
〔第9の実施形態〕
上述した各実施形態においては、点火またはプラズマ装置のプラグとして、一般的なスパークプラグを用いた。しかし、プラグは、電磁波の伝送により適した構造のものであってもよい。以下、そのような実施形態に係るプラグを例示する。
【0080】
図12は、第1~第8の実施形態に係る点火またはプラズマ発生装置のプラグとして好適なプラグ100の断面図である。この図に示すプラグ100は、一般的なスパークプラグと同様に、導電体からなる主体金具101と、主体金具101を貫通する筒状の碍子102とを備える。碍子102には、それぞれ棒状の第1の中心導体103と第2の中心導体104とが互いに他と異なる側の端部より挿入され離間して収容される。第1の中心導体103の一方の端部は碍子102から露出しており、この部分が混合回路との接続部となる。第2の中心導体104の一方の端部は、この接続部とは反対側で碍子102から露出しており、この部分が放電電極の陰極と電磁波の放射アンテナとを兼ねる。主体金具101の陰極兼アンテナ側には、主体金具101の陰極兼アンテナ側に対向するように突起105が設けられており、この部分が放電電極の陽極となる。」(段落【0072】ないし【0080】)
(2)引用文献1記載の事項
上記(1)(ア)ないし(エ)並びに図1及び11の記載から、以下の事項が分かる。
(カ)上記(1)(ア)及び(イ)並びに図1の記載から、引用文献1には、燃焼室14が形成された内燃機関本体を備えた内燃機関が記載されていることが分かる。
(キ)上記(1)(ア)ないし(エ)並びに図1及び11の記載から、引用文献1に第8の実施例として記載された内燃機関は、内燃機関本体の点火コイル94及び混合回路をなす回路基板60を一体化したモジュール90と、点火プラグ27と、マイクロ波を発振するマイクロ波発生装置12と、上記内燃機関本体に取り付けられ、マイクロ波発生装置12から入力されたマイクロ波を燃焼室14へ放射するアンテナとを有し、該アンテナから放射するマイクロ波により燃焼室14においてプラズマを生成するプラズマ発生装置10とを備えることが分かる。
(ク)図11において、マイクロ波の入力端子61が同軸コネクタであることが看取されるから、引用文献1に第8の実施例として記載された内燃機関において、マイクロ波発生装置12とアンテナの入力側の接続箇所を同軸ケーブルで接続するものであることが分かる。
(3)引用発明
上記(1)(ア)ないし(エ)及び(2)(カ)ないし(ク)並びに図1及び11の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「燃焼室14が形成された内燃機関本体と、
該内燃機関本体の点火コイル94及び混合回路をなす回路基板60を一体化したモジュール90と、点火プラグ27と、
マイクロ波を発振するマイクロ波発生装置12と、上記内燃機関本体に取り付けられ、マイクロ波発生装置12から入力されたマイクロ波を燃焼室14へ放射するアンテナとを有し、該アンテナから放射するマイクロ波により燃焼室14においてプラズマを生成するプラズマ発生装置10とを備えた内燃機関であって、
マイクロ波発生装置12とアンテナの入力側の接続箇所を同軸ケーブルで接続してなる内燃機関。」
(4)引用文献1記載技術
上記(1)(エ)並びに図11及び12の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1記載技術」という。)が記載されていると認める。
「混合基板と点火プラグとアンテナとを一体のモジュール構造とする技術。」
2.1.2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
本願の出願前に頒布され、平成29年1月30日付けの最後の拒絶理由に引用された刊行物である実願昭60-50742号(実開昭61-167479号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、「ハイテンションコードのクランプ装置」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。
(サ)「(従来の技術)
従来、車両において配電器の電極からエンジンの点火プラグに給電するための配線には、ハイテンションコードが用いられている。
このハイテンションコードは、耐熱性のあるビニール等により被覆したコード部を有し、このコード部の配電器側には、配電器に嵌合する端子と、この嵌合部をシールするシールゴムが固着しており、また点火プラグ側には、点火プラグに嵌合する端子と、この嵌合部を保護するプラグキャップが固着している。そして、このように構成したハイテンションコードの各端子を、配電器と点火プラグにそれぞれ差し込んで嵌合させ配線するものである。
しかしながら、このハイテンションコードは、車両の走行時の振動や、エンジンの振動等を受けて振動するために、配電器や点火プラグとの嵌合部が摩耗してはずれ易くなったり、コード部がエンジン等の部品に接触し摩耗して漏電を起こしたりすることがあった。
そのため、第5図に示すようなクランプ装置1が案出された。このクランプ装置1は、板材にハイテンションコード2のコード部3を挾持できる大きさの切り欠き4を設けて、その切り欠き4にコード部3を嵌合したものである。そして、このコード部3を嵌合した状態でエンジンに固着することができるものである。
ここで、第5図のものは点火プラグ5およびプラグキャップ6近傍をクランプしたものであるが、所要によっては、配電器近傍でクランプすることもできる。
(考案が解決しようとする問題点)
しかしながら、このようにして設けたクランプ1は、エンジンに取り付けるために、耐熱性がありまた剛性のある材質のもので作る必要がある。」(明細書第1ページ第16行ないし第3ページ第12行)
(2)引用文献2記載技術
上記(1)(サ)及び第5図の記載から、引用文献2には、次の発明(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認める。
「ハイテンションコードのコード部のクランプ装置として、板材にハイテンションコードのコード部を挟持できる大きさの複数の切り欠きを設けて、その切り欠きにコード部を嵌合し、その状態でエンジンに固着することにより、エンジンの振動等を受けて振動するために、点火プラグとの嵌合部が摩耗してはずれ易くなること等を防ぐ技術。」
2.1.3 引用文献3
(1)引用文献3の記載
本願の出願前に頒布され、平成29年1月30日付けの最後の拒絶理由に引用された刊行物である特開平10-125442号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「点火プラグ用プラグキャップ」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。
(タ)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の点火プラグ用プラグキャップ5のレインカバー10は、その構造上の理由から大きなものとなり易い。また、エンジンが発生する熱や振動に耐えながら長期間にわたって絶縁性や液密性を保つため、比較的高価なゴム材料が使用されており、その部品コストが高いという問題がある。」(段落【0006】)
(チ)「【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る点火プラグ用プラグキャップの一実施の形態例を図1乃至図7を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る点火プラグ用プラグキャップの一実施の形態例を示す全体縦断面図、図2は図1の要部の拡大断面図、図3は図1の主要構成部品を示す分解斜視図、図4は図3の絶縁パイプの上端面を拡大して示した平面図、図5は図4のA矢視破断線に沿った縦断面図、図6および図7は通気孔の開口部分を拡大して示した縦断面図である。
【0020】図1乃至図3に示したように、本実施の形態の点火プラグ用プラグキャップ100は、エンジンヘッド1に穿設された点火プラグ取付孔2内に挿入される絶縁性の樹脂材料から成形された絶縁パイプ20を備えている。この絶縁パイプ20の円筒状の本体部分21の下端部には、点火プラグ3の絶縁碍子部分に外嵌して高圧電流のリークを防止する絶縁ゴム製の先端キャップ22が嵌着されている。また、前記本体部分21の上部には、点火プラグ取付孔2の内径よりわずかに小さい外径を有する円盤状のフランジ23が形成されている。そして、このフランジ23の外周面に凹設されて円周方向に延びる凹溝には、第2の密封部材としてのオーリング24が嵌装されている。さらに、本体部分21の上端部25は、図3に示したように四角柱の外壁面に形成され、点火ケーブル4がこの絶縁パイプ20から延び出る方向の外壁面25a以外の3つの外壁面25bには、図4に示したようにそれぞれ係合突起25cが突設されている。」(段落【0019】及び【0020】)
(2)引用文献3記載技術
上記(1)(タ)及び(チ)並びに図1及び2の記載から、引用文献3には、次の発明(以下、「引用文献3記載技術」という。)が記載されていると認める。
「エンジンにおいて、点火プラグの点火ケーブルとの接続点を点火プラグ取付孔内に位置するように構成し、エンジンが発生する熱や振動に対する耐久性が必要な点火プラグ用プラグキャップで包囲することにより点火ケーブルの径を部分的に太くし、該太くした部分を点火プラグ取付孔内に嵌まり込むようにする技術。」
2.2 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「燃焼室14」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「燃焼室」に相当し、以下同様に、「内燃機関本体」は「エンジン本体」に、「点火コイル94」は「点火コイル」に、「混合回路をなす回路基板60」は「混合器」に、「点火プラグ27」は「スパークプラグ」に、「マイクロ波」は「電磁波」に、「マイクロ波発生装置12」は「電磁波発振器」に、「アンテナ」は「電磁波放射器」に、「プラズマ」は「電磁波プラズマ」に、「プラズマ発生装置10」は「プラズマ生成装置」に、「内燃機関」は「エンジン」にそれぞれ相当する。
そして、「エンジン本体の点火コイル、混合器及びスパークプラグとを備えた」という限りにおいて、引用発明において「内燃機関本体の点火コイル94及び混合回路をなす回路基板60を一体化したモジュール90と、 点火プラグ27と」「を備えた」ことは、本願補正発明において「エンジン本体のプラグ取付孔に配設される点火コイル、混合器及びスパークプラグを一体化した点火ユニットと」「を備えた」ことに相当する。
また、引用発明における「同軸ケーブル」は、「マイクロ波発生装置12とアンテナの入力側の接続箇所を同軸ケーブルで接続」するものであるから、本願補正発明における「電磁波放射器の入力側に接続する同軸ケーブル」に相当する。
さらに、「電磁波放射器の入力側に同軸ケーブルを接続する」という限りにおいて、引用発明において「マイクロ波発生装置12とアンテナの入力側の接続箇所を同軸ケーブルで接続してなる」ことは、本願補正発明において「エンジン本体に一体化されて、電磁波放射器の入力側に接続する同軸ケーブルの途中を保持し、前記同軸ケーブルを挿通させるための挿通孔を複数含むよう構成された保持部材を、保持部材によって保持された箇所と電磁波放射器の入力側の接続箇所との間の同軸ケーブルが電磁波放射器と共に振動するように配設し、さらに点火ユニットの同軸ケーブルとの接続部を前記プラグ取付孔内に位置するように構成し、保持部材の下端は、エンジン本体の上面に固定され、少なくとも前記挿通孔の直下の部分がエンジン本体の上面に固定され、前記同軸ケーブルは前記挿通孔に嵌め込まれ、保持部材に固定されるよう構成され、前記同軸ケーブルを部分的に太くし、太くした部分をプラグ取付孔に嵌まり込む」ことに相当する。
よって、本願補正発明と引用発明とは、
「 燃焼室が形成されたエンジン本体と、
該エンジン本体の点火コイル、混合器及びスパークプラグと、
電磁波を発振する電磁波発振器と、上記エンジン本体に取り付けられ、電磁波発振器から入力された電磁波を燃焼室へ放射する電磁波放射器とを有し、該電磁波放射器から放射する電磁波により燃焼室において電磁波プラズマを生成するプラズマ生成装置とを備えたエンジンであって、
電磁波放射器の入力側に同軸ケーブルを接続したエンジン。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点>
a.「エンジン本体の点火コイル、混合器及びスパークプラグとを備えた」ことに関し、本願補正発明においては「エンジン本体のプラグ取付孔に配設される点火コイル、混合器及びスパークプラグを一体化した点火ユニット」「を備えた」のに対し、引用発明においては「内燃機関本体の点火コイル94及び混合回路をなす回路基板60を一体化したモジュール90と、 点火プラグ27と」「を備えた」点(以下、「相違点1」という。)。
b.「電磁波放射器の入力側に同軸ケーブルを接続する」ことに関し、本願補正発明においては「エンジン本体に一体化されて、電磁波放射器の入力側に接続する同軸ケーブルの途中を保持し、前記同軸ケーブルを挿通させるための挿通孔を複数含むよう構成された保持部材を、保持部材によって保持された箇所と電磁波放射器の入力側の接続箇所との間の同軸ケーブルが電磁波放射器と共に振動するように配設し、さらに点火ユニットの同軸ケーブルとの接続部を前記プラグ取付孔内に位置するように構成し、保持部材の下端は、エンジン本体の上面に固定され、少なくとも前記挿通孔の直下の部分がエンジン本体の上面に固定され、前記同軸ケーブルは前記挿通孔に嵌め込まれ、保持部材に固定されるよう構成され、前記同軸ケーブルを部分的に太くし、太くした部分をプラグ取付孔に嵌まり込む」のに対し、引用発明においては「マイクロ波発生装置12とアンテナの入力側の接続箇所を同軸ケーブルで接続してなる」点(以下、「相違点2」という。)。
2.3 判断
まず、上記相違点1について検討する。
引用発明と引用文献1記載技術とは、構成部品のモジュール化という点で軌を一にするものである。そして、引用文献1記載技術において、混合基板と一体化された点火プラグは当然にエンジン本体の点火プラグ取付孔に配設されることになるから、引用発明において、引用文献1記載技術を参酌することによって、内燃機関本体の点火プラグ取付孔に配設される点火コイル94、混合回路をなす回路基板60及び点火プラグ27を一体化したモジュール90を備えるようにし、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。
次に上記相違点2について検討する。
エンジンにおいて、ケーブル接続部における振動による損傷を抑制することは、引用文献2及び3記載技術にみられるように一般的な技術課題である。
また、車両の配線取付構造として、配線を挿通させるための挿通孔を含むように構成された保持部材の下端を、該挿通孔の直下の部分で固定することは、周知の技術(以下、「周知技術」という。例えば、実願昭57-164000号(実開昭59-67358号)のマイクロフィルムの明細書第3ページ第20行ないし第5ページ第4行並びに第3及び4図、実願平2-44858号(実開平4-4585号)のマイクロフィルムの明細書第3ページ第3ないし5行及び第3図、及び特開昭59-83517号の第2ページ右上欄第10行ないし左下欄第5行及び第3図等参照。)である。
そして、引用発明において、ケーブル接続部における振動による損傷を抑制するという一般的な技術課題の解決のために、引用文献2及び3記載技術を適用し、かつ、該適用にあたり上記周知技術を参酌することにより、内燃機関本体に一体化されて、アンテナの入力側に接続する同軸ケーブルの途中を保持し、前記同軸ケーブルを挿通させるための挿通孔を複数含むように構成された板材を、該板材によって保持された箇所とアンテナの入力側の接続箇所との間の同軸ケーブルがアンテナと共に振動するように配設し、さらにモジュール90との同軸ケーブルとの接続部を点火プラグ取付孔内に位置するように構成し、上記板材の下端は、内燃機関本体の上面に固定され、前記同軸ケーブルは前記挿通孔に嵌め込まれ、板材に固定されるように構成され、前記同軸ケーブルを部分的に太くし、太くした部分を点火プラグ取付孔に嵌まり込むようにすることで、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明、引用文献2及び3記載技術並びに周知技術から予測できる作用効果以上の格別な作用効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明、引用文献2及び3記載技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3.本願発明について
1.本願発明
上記のとおり、平成29年4月5日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成29年1月16日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲並びに願書に最初に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の[理由]1.(1)(ア)に記載したとおりのものである。
2.引用発明
本願の出願前に頒布され、平成29年1月30日付けの最後の拒絶理由に引用された刊行物である引用文献1(特開2009-36198号公報)記載の発明(引用発明)は、前記第2.の[理由]2.1.1の(3)に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、前記第2.の[理由]2.2に示したとおりの相当関係があるから、本願発明と引用発明とは、
「 燃焼室が形成されたエンジン本体と、
該エンジン本体の点火コイル、混合器及びスパークプラグと、
電磁波を発振する電磁波発振器と、上記エンジン本体に取り付けられ、電磁波発振器から入力された電磁波を燃焼室へ放射する電磁波放射器とを有し、該電磁波放射器から放射する電磁波により燃焼室において電磁波プラズマを生成するプラズマ生成装置とを備えたエンジンであって、
電磁波放射器の入力側に同軸ケーブルを接続したエンジン。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点>
a.「エンジン本体の点火コイル、混合器及びスパークプラグとを備えた」ことに関し、本願発明においては「エンジン本体のプラグ取付孔に配設される点火コイル、混合器及びスパークプラグを一体化した点火ユニット」「を備えた」のに対し、引用発明においては「内燃機関本体の点火コイル94及び混合回路をなす回路基板60を一体化したモジュール90と、 点火プラグ27と」「を備えた」点(以下、「相違点3」という。)。
b.「電磁波放射器の入力側に同軸ケーブルを接続する」ことに関し、本願発明においては「エンジン本体に一体化されて、電磁波放射器の入力側に接続する同軸ケーブルの途中を保持する保持部材を、保持部材によって保持された箇所と電磁波放射器の入力側の接続箇所との間の同軸ケーブルが電磁波放射器と共に振動するように配設し、さらに点火ユニットの同軸ケーブルとの接続部をプラグ取付孔内に位置するように構成し、前記同軸ケーブルを部分的に太くし、太くした部分をプラグ取付孔に嵌まり込む」のに対し、引用発明においては「マイクロ波発生装置12とアンテナの入力側の接続箇所を同軸ケーブルで接続してなる」点(以下、「相違点4」という。)。
上記相違点3は上記相違点1と同じであるから、上記第2の2.3に記載した理由と同様の理由によって、引用発明において、引用文献1記載技術を参酌することによって、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、相違点4について検討すれば、上記第2の2.3に記載したように、エンジンにおいて、ケーブル接続部における振動による損傷を抑制することは、引用文献2及び3記載技術にみられるように一般的な技術課題であるから、該技術課題の解決のために、引用文献2及び3記載技術を適用することで、上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明並びに引用文献2及び3記載技術から予測できる作用効果以上の格別な作用効果を奏すると認めることはできない。
4.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに引用文献2及び3記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第4.むすび
上記第3.のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-002105