特許無効審判
2015-800009
ゲームシステム及びそのコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2015-800009
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2009-235283外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年01月09日
- 審決日
- 2016年07月05日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P1123.121-YAA(A63F) / P1123.537-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第1項、特許法第134条の2第9項、特許法第126条第3項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第135条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
上記当事者間の特許第5419628号発明「ゲームシステム及びそのコンピュータプログラム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5419628号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、〔4-6〕、7について訂正することを認める。
本件審判の請求は、成り立たない。
請求項3についての本件特許審判の請求は却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯の概要
本件特許第5419628号に係る手続の経緯の概要は以下のとおりである。
平成21年10月 9日 特許出願(特願2009-235283号)
平成25年 6月21日 拒絶査定
平成25年 9月24日 拒絶査定不服審判請求
(不服2013-18389号)
平成25年11月29日 特許第5419628号として設定登録
平成27年 1月 9日 無効審判請求(無効2015-800009号
:本件)
平成27年 3月31日 審判事件答弁書、訂正請求書
平成27年 6月 5日 審判事件弁駁書
平成27年 6月30日 審理事項通知書
平成27年 8月21日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成27年 8月24日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成27年 8月27日 口頭審理陳述要領書(2)(被請求人)
平成27年 9月 1日 口頭審理陳述要領書(2)(請求人)
平成27年 9月 7日 口頭審理
平成27年 9月24日 上申書(請求人)、手続補正書
平成27年 9月24日 上申書(被請求人)
平成27年10月 8日 上申書(請求人)
第2 本件訂正請求について
被請求人が、平成27年3月31日付けの訂正請求書により請求する訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正しようとするものであって、その請求の内容は以下のとおりである。
本件訂正請求について、適法になされたものであるか否かを検討する。
1.本件訂正請求の内容
(1)訂正事項1
請求項1において「複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムにおいて、」とあるのを、「特定の支払い方法を含む複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされ、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であり、該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能とされたゲームシステムにおいて、」と訂正する。
(2)訂正事項2
請求項1において、「前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせるゲームシステム」とあるのを、「前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ、かつ前記ゲーム制御手段は、前記他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が前記電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすることにより、前記支払い方法に応じた変化を生じさせるゲームシステム」と訂正する。(審判注:訂正請求書3頁22行では、末尾を「変化を生じさせる」としているが、「変化を生じさせるゲームシステム」の誤記と認められる。)
(3)訂正事項3
請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
請求項4に、「前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲のゲームの終了後に、前記特定の支払い方法にて追加のプレイ料金を支払うことと引き換えに、前記プレイ不可能な範囲としての追加の範囲でゲームを継続してプレイすることを許可し、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われた場合には、前記所定範囲のゲームの終了後における前記追加の範囲でのゲームの継続を禁止する請求項3に記載のゲームシステム。」とあるのを、「複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムにおいて、前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段と、を備え、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であり、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲のゲームの終了後に、前記特定の支払い方法にて追加のプレイ料金を支払うことと引き換えに、前記プレイ不可能な範囲としての追加の範囲でゲームを継続してプレイすることを許可し、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われた場合には、前記所定範囲のゲームの終了後における前記追加の範囲でのゲームの継続を禁止するゲームシステム。」
(5)訂正事項5
請求項7において、「複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムのコンピュータを、」とあるのを、「特定の支払い方法を含む複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされ、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であり、該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能とされたゲームシステムのコンピュータを、」と訂正する。
(6)訂正事項6
請求項7において、「前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせるものとされたゲームシステム用のコンピュータプログラム」とあるのを、「前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ、かつ前記ゲーム制御手段は、前記他の支払い方法では支払が不可能な額のプレイ料金が前記電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすることにより、前記支払い方法に応じた変化を生じさせるものとされたゲームシステム用のコンピュータプログラム」と訂正する。
2. 訂正の適否についての当審の判断
(1)請求項1及び2からなる一群の請求項にかかる訂正について
ア.訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1において、複数の支払い方法に関して、具体的に限定したものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
願書に添付した明細書には、「本発明の一形態においては、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であってもよい。」(段落【0009】)、及び「プレイ料金の支払い手段(支払い方法)として、金銭収受装置14を利用した現金による支払い方法と、センターサーバ3にて管理されている口座から電子通貨を引き落とすことにより支払う方法とが選択可能とされている。」(段落【0020】)と記載されているから、訂正事項1の複数の支払い方法に「特定の支払い方法」が含まれていることが記載されている。
願書に添付した明細書の「本発明の一形態においては、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であってもよい。これによれば、少額の支払いを処理し易いといった電子通貨による支払いの特徴を反映させたゲームの制御が可能となる。」(段落【0009】)、「電子通貨による支払いでは、少額での支払いでも小銭や釣り銭を用意する必要がない利点があり、紙幣、硬貨といった単位の制限を受ける現金支払いと比較してより狭い範囲に区切ってゲームを提供することができる。」(段落【0011】)、「以上に説明したように、本形態のゲームシステム1では、電子通貨によってプレイ料金が支払われない限り、ユーザは2回目以降のゲームを継続してプレイすることができない。これにより、電子通貨による支払い形態を選択する動機付けをユーザに対して与えることができる。しかも、2回目以降のゲーム(つまり、コンティニュー後のゲーム)の範囲が、初回のゲームの範囲よりも狭く、かつ2回目以降のゲームのプレイ料金が初回のゲームのプレイ料金よりも少額に設定されているので、初回のゲーム料金を例えば1又は数枚の硬貨に対応する額とし、2回目以降のゲームのプレイ料金を1枚の硬貨の額よりも少額に設定すれば、金銭収受装置14にて受入可能な硬貨の種類を増加させることなく、2回目以降のゲームの継続に必要なプレイ料金を少額に設定することができる。それにより、ゲーム機2に対する設備投資の負担が軽減されるとともに、ゲームの継続の区切りとプレイ料金の単位とを細かく設定して、ゲームを継続する範囲を、ユーザの希望に対して柔軟に対応させることが可能となる」(段落【0037】)との記載からみれば、電子通貨によるプレイ料金の支払い方法である「特定の支払い方法」として、1枚の硬貨の額よりも少額に設定し、それにより、紙幣、硬貨といった単位の制限を受ける現金支払いと比較してより狭い範囲に区切ってゲームを提供することができ、ゲーム機2に対する設備投資の負担が軽減されることが記載されている、すなわち電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法の支払いが可能なプレイ料金の1枚の硬貨の額よりも少額、つまり他の支払い方法の支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位で、プレイ料金の支払いが可能とすることが示されているといえる。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、及び特許請求の範囲(特許第5419628号公報(以下「本件特許公報」という。)に記載された事項であって、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.訂正事項2について
訂正事項2の「前記」を付与する訂正は、訂正事項1により付加された「特定の支払い方法」(1行)、「他の支払い方法」(4行)の発明特定事項事項との整合のために、下行の「特定の支払い方法」(9行)、「他の支払い方法」(10行)それぞれに「前記」を付加したものであり、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
訂正事項2の「ゲーム制御手段」に関する訂正は、請求項1において、ゲーム制御手段に関して、具体的に限定したものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
願書に添付した明細書の「本発明の一形態において、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でゲームがプレイ可能となるように前記ゲームを制御してもよい。」(段落【0008】)、「本発明の一形態においては、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であってもよい。これによれば、少額の支払いを処理し易いといった電子通貨による支払いの特徴を反映させたゲームの制御が可能となる。」(段落【0009】)、「例えば、通常と異なる支払い方法として、電子通貨によるプレイ料金の支払いを可能とした場合、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合には、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲のゲームの終了後に、前記特定の支払い方法にて追加のプレイ料金を支払うことと引き換えに、前記プレイ不可能な範囲としての追加の範囲でゲームを継続してプレイすることを許可し・・・」(段落【0010】)、「以上に説明したように、本発明によれば、プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段を設けたことにより、その判別結果をゲームの制御に反映して、支払い方法に応じた変化をゲームに生じさせることができる。(段落【0014】)、「電子通貨による支払いでは、少額での支払いでも小銭や釣り銭を用意する必要がない利点があり、紙幣、硬貨といった単位の制限を受ける現金支払いと比較してより狭い範囲に区切ってゲームを提供することができる。さらに、前記追加のプレイ料金の額が前記所定範囲のゲームをプレイするための対価としてのプレイ料金の額よりも少額に設定されることにより、ゲームの継続と、プレイ料金の追加支払いとをきめ細かく制御することができる。」(段落【0011】)、「以上に説明したように、本形態のゲームシステム1では、電子通貨によってプレイ料金が支払われない限り、ユーザは2回目以降のゲームを継続してプレイすることができない。これにより、電子通貨による支払い形態を選択する動機付けをユーザに対して与えることができる。しかも、2回目以降のゲーム(つまり、コンティニュー後のゲーム)の範囲が、初回のゲームの範囲よりも狭く、かつ2回目以降のゲームのプレイ料金が初回のゲームのプレイ料金よりも少額に設定されているので、初回のゲーム料金を例えば1又は数枚の硬貨に対応する額とし、2回目以降のゲームのプレイ料金を1枚の硬貨の額よりも少額に設定すれば、金銭収受装置14にて受入可能な硬貨の種類を増加させることなく、2回目以降のゲームの継続に必要なプレイ料金を少額に設定することができる。それにより、ゲーム機2に対する設備投資の負担が軽減されるとともに、ゲームの継続の区切りとプレイ料金の単位とを細かく設定して、ゲームを継続する範囲を、ユーザの希望に対して柔軟に対応させることが可能となる。」(段落【0037】)、及び「以上の形態においては、ゲーム機2の制御ユニット10が図3のステップS108及び図4のステップS1を実行することにより判別手段として機能し、図4のステップS2以下を実行することによりゲーム制御手段として機能する。また、初回のゲームが所定範囲のゲームに相当し、ステップS7~ステップS10を順次経てステップS5へと戻されたときに実行されるゲームが追加の範囲のゲームに相当する。」(段落【0038】)との記載からみれば、ゲーム制御手段は、プレイ料金が特定の支払い方法である電子通貨にて支払われた場合、他の支払い方法である現金で支払われたときにはプレイ不可能な範囲としてプレイ可能となるように制御し、支払い方法に応じた変化をゲームに生じさせることができること、電子通貨によるプレイ料金を1枚の硬貨よりも少額に設定する、言い換えれば、電子通貨によるプレイ料金は、現金支払いである他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金であることが記載されているといえるから、「ゲーム制御手段は、他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が電子通貨により支払われた場合には、プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすることにより、支払い方法に応じた変化を生じさせる」ことは、願書に添付した明細書に示されているといえる。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書に記載された事項であって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ.一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項1、及び2は、上記訂正事項を含む請求項1の記載を請求項2が直接的に引用するものであるから、一群の請求項である。
そして,本件訂正審判の請求は、請求項1、及び2からなる一群の請求項ごとに特許請求の範囲の訂正を請求するものである。
エ.小括
したがって、請求項1、及び2からなる一群の請求項についての本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号及び特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(2)請求項3にかかる訂正について
ア.訂正事項3について
訂正事項3は、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.小括
したがって、請求項3についての本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)請求項4ないし6からなる一群の請求項にかかる訂正について
ア.訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項3の記載を引用していた記載であったものを請求項1を引用した請求項3を引用しない独立形式の記載としたものであって、請求項間の引用関係を解消したものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
そして、訂正事項4は、上記のとおりであるから、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項4ないし6は、上記訂正事項を含む請求項4の記載を請求項5、及び6が直接又は間接的に引用するものであるから、一群の請求項である。
そして,本件訂正審判の請求は、請求項4ないし6からなる一群の請求項ごとに特許請求の範囲の訂正を請求するものである。
ウ.小括
したがって、請求項4ないし6からなる一群の請求項についての本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第4号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(4)請求項7にかかる訂正について
ア.訂正事項5、及び6について
訂正事項5,及び6は、前記(1)ア、及びイと同様の理由により、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの及び特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.小括
したがって、請求項7についての本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第3項、第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
第3 本件訂正後の特許発明
前記のとおり、請求項ごと及び一群の請求項ごとについての本件訂正は認められるから、本件特許第5419628号の各請求項に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2、4ないし7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正発明1」、「本件訂正発明2」、「本件訂正発明4」、「本件訂正発明5」、「本件訂正発明6」、「本件訂正発明7」という。また、これらを総称して「本件訂正発明」という。)。
「【請求項1】
特定の支払い方法を含む複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされ、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であり、該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能とされたゲームシステムにおいて、
前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段と、を備え、
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ、かつ前記ゲーム制御手段は、前記他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が前記電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすることにより、前記支払い方法に応じた変化を生じさせるゲームシステム。
【請求項2】
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法で支払われたか否かにより、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲にてゲームを進行させるための制御の手順を前記他の支払い方法で支払われたときの制御の手順から変更することにより、前記プレイ不可能な範囲における前記ゲームのプレイを可能とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムにおいて、前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段と、を備え、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であり、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲のゲームの終了後に、前記特定の支払い方法にて追加のプレイ料金を支払うことと引き換えに、前記プレイ不可能な範囲としての追加の範囲でゲームを継続してプレイすることを許可し、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われた場合には、前記所定範囲のゲームの終了後における前記追加の範囲でのゲームの継続を禁止するゲームシステム。
【請求項5】
ゲームのプレイに要する時間を尺度として前記所定範囲と前記追加の範囲との広狭を比較したときに、前記追加の範囲が前記所定範囲よりも狭く設定されている請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記追加のプレイ料金の額が前記所定範囲のゲームをプレイするための対価としてのプレイ料金の額よりも少額に設定されている請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
特定の支払い方法を含む複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされ、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であり、該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能とされたゲームシステムのコンピュータを、
前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段、及び
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段、として機能させるように構成され、
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ、かつ前記ゲーム制御手段は、前記他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が前記電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすることにより、前記支払い方法に応じた変化を生じさせるものとされたゲームシステム用のコンピュータプログラム。」
第4 審判請求人の主張の概要及び証拠方法
1.審判請求人の主張の概要及び証拠方法
審判請求人は、「特許第5419628号発明の特許請求の範囲の請求項1、2、3及び7に係る各発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めている。
また、無効理由の概要は以下の1ないし3のとおりであって、本件特許は無効とすべきである旨主張している。
(1) 甲第1号証記載の発明と、特許第5419628号発明の特許請求の範囲の請求項1~3及び7に係る発明には、相違点を見出せず同一であるため、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである(以下「無効理由1」という。)。(審判請求書4頁下から5行ないし9頁22行。)
(2) 本件訂正発明1~3及び7の「範囲」は、明細書に記載された「ゲームの範囲」や「プレイの範囲」やそれ以外の事項のうちのどれを意味するのかが明確でない。仮に「ゲームの範囲」であるにしても、「ゲームの範囲」の外延が不明確である(以下「無効理由2」という。)。(審判請求書9頁22行ないし10頁2行、平成27年9月24日付け上申書4頁18行ないし9頁8行)
本件訂正発明1~3及び7の「・・・プレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、・・・変化を生じさせ・・・」の事項において、変化させる対象が何なのかが不明である。(口頭審理陳述要領書5頁4行ないし30行)
よって、本件訂正発明1~3及び7は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていないから、により、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
(3) 本件訂正発明1、2、7と甲第1号証に記載された発明とは、前者の「該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能」、「前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ」る事項が、甲第1号証に記載された発明には、具体的に記載されていない点で相違(以下「相違点という」)する。しかし、甲第2号証の「電子マネーでは、メダル(店舗により異なるが、1枚10円程度)よりも少額(1円単位)で課金ができる。また、例えば、Edyのチャージ限度額(現在は5万円)の範囲内で、ある程度高額の課金ができる。これにより、ゲーム内容や課金の方法(アイテム課金、時間課金、従量課金など)に幅を持たせることができる。」の記載に基づいて、甲第1号証に記載された発明に前記相違点を採用する程度のことは、当業者が容易になし得たことである。
よって、本件訂正発明1、2、7は、特許法第29条第2項に違反し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである(以下「無効理由3」という。)。(審判事件弁駁書4頁4ないし28行。)
2.甲各号証
請求人が本件審判請求にあたり提示した証拠方法は、以下のとおりである。
(1)平成27年1月9日付け審判請求書に添付されたもの
甲第1号証:特開2004-187733号公報
(2)平成27年6月5日付け審判事件弁駁書に添付されたもの
甲第2号証:特開2008-220559号公報
なお、被請求人は、甲第1、及び2号証の成立を認めている。
第5 審判被請求人の主張の概要
1.無効理由1に対して
(1)訂正前の請求項1に係る発明と甲第1号証記載の発明を比較すると、前者は「前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせる」ことをその発明特定事項として含むが、甲第1号証記載の発明では、プレイ料金の全額が他の支払い方法で支払われた場合のみならず、プレイ料金相当の硬貨が実メダルに両替された後にそのプレイ料金に相当する枚数の実メダルが投入された場合にも、遊技者に有利なゲームプログラムだ実行される。つまり、甲第1号証の発明において、「遊技者に有利なゲームプログラム」に基づくプレイの範囲は、「プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲」には該当しない。
したがって、甲第1号証記載の発明は、訂正前の請求項1に係る発明の前記発明特定事項を欠いている。よって、訂正前の請求項1に係る発明と甲第1号証の発明とは相違し、訂正前の請求項1に係る発明は甲第1号証の発明に対して新規性を有する。
(2)訂正請求書によって訂正された本件請求項1は「電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能とされた」ことと、「ゲーム制御手段は、前記他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が前記電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とする」の発明特定事項を含むものとされた。
甲第1号証記載の発明は、前記発明特定事項を欠くものであるので、訂正後の本件請求項1に係る発明は、甲第1号証記載の発明に対して新規性を有する。
訂正後の本件請求項2、7についても同様。(審判事件答弁書2頁20行ないし6頁24行)
2.無効理由2に対して
本件の訂正前の請求項1、7に係る発明及び本件訂正発明1、7では、「範囲」に関して、「プレイ不可能な範囲」、「プレイ不可能な範囲でプレイが可能」といった表現が用いられており、これは文字通り、プレイができない範囲、プレイができる範囲といったプレイの可否と関連付けて定まる範囲を意味するところは明らかである。
そもそも、ゲームとは何らかの楽しみのために行われる活動であり、プレイされること、つまり遊ばれることを前提として提供されるものであるから、ゲームの範囲、プレイの範囲といっても、結局はユーザが遊ぶことができる範囲を意味することに変わりはない。(審判事件答弁書6頁25行ないし7頁15行、口頭審理陳述要領書(2)5頁8行ないし27行)
3.無効理由3に対して
本件訂正発明1と甲第1号証記載の発明を比較すると、以下の相違点がある。
相違点1:本件訂正発明1は、電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能とされているのに対して、甲第1号証記載の発明では、硬貨による支払い(本件訂正発明1の電子通貨による支払いに相当。)の金額の単位が、遊技メダルによる支払い額の単位よりも大きく設定されている。甲第号証記載の発明において、電子通貨による支払いが採用されたとしても、遊技メダルによる(他の支払い方法)支払い額の単位より少額の単位でプレイ料金を支払うことは不可能である。
相違点2:本件訂正発明1は、「ゲーム制御手段は、前記他の支払い方法では支払が不可能な額のプレイ料金が前記電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすることにより、前記支払方法に応じた変化を生じさせる」ものであるのに対して、甲第1号証記載の発明は、プレイ料金が硬貨又は遊技メダルのいずれかによって支払われたかに拘わりなく、遊技メダル20枚分に相当する20単位(硬貨では200円相当)の対価が支払われたを条件として1ゲームがプレイ可能となるものであって、20単位相当のプレイ料金の全額が硬貨(又はこれに代わる電子ポイント)にて支払われた場合に限って、遊技者に有利となるゲームプログラムを実行することにより、支払い方法に応じた変化を生じさせるに過ぎない。
甲第2号証記載の発明は、コインによるプレイ料金の支払いが選択できるか否かは不明であり、電子通貨による支払い方法と他の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能なものであるか否か不明であり、甲第1、2号証記載の発明から相違点1を導き出すことは不可能であり、相違点2は相違点1に係る構成を前提とするものであるから、同様に導き出すことはできない。
本件の本件訂正発明2、7も、前記と同じ理由により、甲第1、2号証記載の発明から容易に導き出せるものではない。
よって、本件訂正発明1、2、7が特許法第29条第2項に違反し、特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきとの、本件請求人の主張は失当である。(口頭審理陳述要領書2頁末行ないし7頁10行)
第6 本件審判の請求について
請求人は、本件特許の設定登録時の請求項1ないし3及び請求項7に係る発明についての特許を無効とすることを求めるところ、前記のとおり、本件訂正が認められ、設定登録時の請求項3は削除されたことから、請求項3についての特許無効審判の対象が存在しないものとなった。
したがって、特許法第135条の規定により、請求項3についての本件審判の請求は却下されるべきものである。
第7 当審の判断
請求人が主張する前記無効理由1、2について判断する。
1.無効理由1について
(1)甲第1号証について
請求人が提出した、本件特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開2004-187733号公報)には、以下の記載がある。
ア.「【0037】
次に、本発明の遊戯装置の動作概念を説明する。図4は、ゲームシーンの一つの画面であり、図5は図4のゲームシーンが発展した状態でのゲームシーンの画面である。硬貨の投入、メダルの投入が1ゲームの対価分に達すると、図4に示すゲームシーンが展開される。このゲームシーンでは、遊戯者がハンドル、ブレーキ、アクセルなどを駆使して自分の車を旨く操作し、路面上に散在するアイテムを獲得する。アイテムの獲得によって、遊戯者の獲得メダル数が増加する。即ち、遊戯者による運転操作の優劣によって、獲得されるメダル数に差が出てくる。
【0038】
図5は、図4のゲームシーンが終了した後での「チキンレース」のゲームシーンである。「チキンレース」とはこのレースに遊戯者が勝利すると図4のゲーム処理によって獲得したメダル数を倍増できる。なお、失敗すると、全てのメダルを失うか、あるいは図4のゲームシーンにおいて獲得したメダル数そのまましか遊戯者が手にできない。図5のゲームシーンで獲得したメダル数は、遊戯者のリクエストにより払い出しできる。
【0039】
図4のゲームシーンには、ゲームに必要な対価を硬貨で支払っても、或いはメダルで支払っても等しく遊戯者が移行することができる。しかしながら、図5のゲームシーンには、対価を硬貨のみで支払った場合しか、移行できない。すなわち、図5のゲームシーンは、請求項に記載された、遊戯者に有利なプログラムの例である。」(下線は当審で付した。以下同じ。)」
イ.「【0041】
硬貨(100円玉)を投入すると、表示ブロック62Aの10単位がゴールド色に変色され、さらに硬貨を投入すると、残り10単位もゴール色に変えられる。一方、硬貨ではなく遊戯メダルを投入すると、遊戯メダル1枚投入毎に1単位がシルバーになる。例えば、メダル20枚が投入されると、1ゲームの対価分である20単位がシルバー色になる。例えば、メダル10枚と100円硬貨の投入があると10単位分がゴールド色になり、残り10単位分がシルバー色になる。
【0042】
以上の構成により、遊戯者は、硬貨の投入かメダルの投入かを判別することができる。既述のように硬貨によってゲームを実行する場合には遊戯者に有利なゲームプログラムが実行されるために、遊戯者にとって対価の支払い状況を目視によって確認できることは有意義といえる。
【0043】
既述のとおり、対価の支払い態様に応じて、遊戯装置による情報処理態様が異なってくる。図8はこれを模式的に示すものである。(1)は、対価支払い状況表示ブロックの初期状態(対価支払い前)を示したものである。全ての単位62Cがシルバーゴースト(薄いシルバー色)に表現されている。この状態から100円硬貨を投入すると、(2)に示すように、10単位がゴールド色になり、残り10単位はシルバーゴースト表示のままである。
【0044】
さらに、100円硬貨が投入されると、(3)に示すように、全ての単位がゴールド色になって、情報処理ブロック12は遊戯者に有利なゲームプログラムが開始されることをフラッシュして通知する(4)。すなわち、1ゲームの対価分が全て硬貨で支払われた状態となる。」
ウ.「【0068】
また上述の実施形態では、100円硬貨を10枚のメダルとして換算し、1ゲームに必要な対価を20枚(200円分に相当)としたが、本発明に係る電子遊戯装置においては、それらの設定を適宜変更できる設定手段を備えることも可能である(100円硬貨を5枚のメダルとする。1ゲームを10枚とするなど)。また余りメダルを表示(小型メダル表示)する数も同様に設定変更できる。」
エ.「【0070】
また、実施例では、硬貨とメダルとを併用できる電子遊戯装置が記載されているが、硬貨の代わりに、例えば、紙幣、プリペイドカード、現金に相当する電子的ポイントが記憶されているICカード、携帯電話、PDAなどの貨幣に相当する媒体又はこれらの組合せなどの構成にしてもよい。なお、プリペイドカード、現金に相当する電子的ポイントが記憶されているICカード、携帯電話、PDAなどの貨幣に相当する媒体を使用する場合は、挿入手段を備える構成でなくてもよく、それら媒体に記憶されているデータ(ポイントなど)を読み書き可能な手段を備えていればよい。」
(2) 甲第1号証記載の発明
よって、前記(1)アないしエの記載を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「硬貨の投入、メダルの投入が1ゲームの対価分に達すると、ゲームに必要な対価を硬貨で支払っても、或いはメダルで支払っても等しく遊戯者が移行することができるゲームシーンが展開され、ゲームシーンが終了した後で、対価を硬貨のみで支払った場合しか、移行できない『チキンレース』のゲームシーンが展開され、メダル20枚が1ゲームの対価分である20単位であり、100円硬貨を投入すると、10単位がゴールド色になり、残り10単位はシルバーゴースト表示のままであり、さらに、100円硬貨が投入されると、全ての単位がゴールド色になって、1ゲームの対価分が全て硬貨で支払われた状態となる電子遊戯装置において、硬貨の代わりに、現金に相当する電子的ポイントにしてもよい電子遊戯装置。」
(3) 本件訂正発明1について
ア.対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、
後者における「対価」は、前者における「プレイ料金」に相当し、以下同様に、「現金に相当する電子的ポイント」は「電子通貨」に、「電子遊戯装置」は、「ゲームシステム」に、それぞれ相当する。
後者の「硬貨の投入」は、「硬貨の代わりに、現金に相当する電子的ポイントにしてもよい」ので、後者は、前者の「特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法」を備えるといえる。
そして、後者において「硬貨」を「現金に相当する電子的ポイント」に代えた場合、「『チキンレース』のゲームシーンが展開され」ることは自明である。
後者の「硬貨の投入、メダルの投入」のうち、「硬貨の投入」(現金に相当する電子的ポイントにしてもよい)は、前記のとおり、前者の「特定の支払い方法」に相当するから、後者の「メダルの投入」は、前者の「他の支払い方法」に相当するといえる。
後者の「『チキンレース』のゲームシーン」は、対価を硬貨のみで支払った(特定の支払い方法)場合しか、移行できないので、前者の「他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲」に、相当する。
後者は、「対価を硬貨のみで支払った場合しか、移行できない『チキンレース』のゲームシーンが展開され」るから、当然、前者の「前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段と、を備え、
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ」る事項を備えるといえる。
したがって、両者は、
「特定の支払い方法を含む複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされ、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であるゲームシステムにおいて、
前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段と、を備え、
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ、前記支払い方法に応じた変化を生じさせるゲームシステム。」の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本件訂正発明1は、「該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能とされた」ものであるのに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。
[相違点2]
本件訂正発明1は、「他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とする」のに対し、甲1発明は,そのようなものではない点。
イ.判断
そうすると、甲1発明は、本件訂正発明1を特定するために必要な「該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能された」との発明特定事項、及び「他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、プレイ不可能な範囲としてプレイ可能された」との発明特定事項を具備していない。
したがって、本件訂正発明1が、甲1発明であるとすることはできない。
(4)本件訂正発明2、及び7について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用する発明であり、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、前記(3)と同じ理由により、本件訂正発明2は、甲1発明であるとすることはできない。
また、本件訂正発明7が「ゲームシステム用のコンピュータプログラム」であるのに対して、本件訂正発明1が「ゲームシステム」である他は、本件訂正発明1、7は実質的に同じ発明特定事項からなる発明であり、また甲1発明が「電子遊戯装置(ゲームシステム)用のコンピュータプログラム」を有していることは自明であるので、前記(3)と同様の理由により、本件訂正発明7は、甲1発明であるとすることはできない。
(5)小括
よって、本件訂正発明1、2、及び7は、甲1発明であるとすることはできないから、本件訂正発明1、2、及び7についての特許は、無効理由1により無効とすることはできない。
なお、請求項3についての本件審判の請求は却下された。
2.無効理由3について
(1)甲1発明について
前記1(2)のとおりである。
(2)甲第2号証について
請求人が提出した、本件特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開2008-220559号公報)には、以下の記載がある。
ア.「【0001】
本発明はゲームシステムに関し、特に、メダルを用いないでゲームを行うゲームシステムに関するものである。」
イ.「【0068】
1.ユーザ(プレイヤ)は、ゲームセンターに入店する。
2.多人数参加型マスアーケードゲームのコーナーに向かう。サテライト400に空席がある場合は、通常通りサテライト400でゲームを行う。このとき、ターミナル300は空席モードとして動作する。
4.空席がない場合は、サテライト400の順番待ち登録を行う(ターミナル300は「満席モード」として動作する)。その後、多人数参加型マスアーケードゲームのコーナー内に設けられた「ターミナル」に向かう。
5.ターミナル300の無線タグリーダ/ライタに、無線タグ内蔵の携帯端末を近接させる。無線タグリーダ/ライタによって携帯端末IDが読み取られる。
6.携帯端末500用の多人数参加型マスメダルゲームアプリを予めインストールしておくか、その場でダウンロードし、多人数参加型マスメダルゲームアプリを起動する。
7.ターミナル300を介して、自分の保有する携帯端末(携帯電話/携帯ゲーム装置など)500の認証を行う(認証の具体例は後述する)。
8.認証が済むと、表示部340に「座席の予約をしますか?」と表示され、「はい」と答えると「順番待ちリスト」に登録される。携帯端末500には「あと○人」と、順番待ち人数が表示される。「いいえ」と答えた場合は予約を行わず、携帯端末500でのゲームのみを行うことになる。
【0069】
9.携帯端末500で、バーチャルメダルを用いてゲームを行う。携帯端末500は、無線通信手段(携帯電話回線3、無線LAN2、Bluetoothなど)を介してメインゲーム装置200と通信を行ない、メインスクリーン600に表示されるメインゲームに参加することができる(携帯端末500で延々と育成を行っていても構わない)。
10.自分の順番が回ってくる前にゲームを終了したい場合は、再びターミナル300で携帯端末500を認証し、順番待ち解除手続きを行う。
11.サテライト400が空き、自分の順番が回ってきたら、どのサテライト400に着席すべきか携帯端末500に指示表示される。
12.プレイヤは指定されたサテライト400に向かう。
13.そのサテライト400は他の人が割り込まないように、プレイが禁止されている。サテライト400と携帯端末500とで認証を行なう。
14.そのサテライト400でのプレイ禁止状態が解除され、プレイヤは快適にプレイを行う。
15.プレイヤはゲームを終了したくなったら、所定のゲーム終了操作を行う。
16.そのサテライト400はプレイ禁止状態になる。」
ウ.「【0090】
本実施の形態は、電子マネーで支払いを行う(メダルゲーム以外の)アーケードゲームに適用したものである。電子マネーで支払いを行う(メダルゲーム以外の)アーケードゲームでは、メダルゲームと次の様な違いがある。
【0091】
1.メダルと、そのための機構(メダル投入機構、排出機構)が不要である。
2.電子マネーに対応した(無線タグを搭載した)携帯端末、無線タグリーダ/ライタを備えたターミナル、サテライトが必要となる。
3.電子マネーに対応した(無線タグを搭載した)携帯端末が構成に含まれるので、別途ゲームカード(ICカード)を用意しなくても良い。
4.無線タグリーダ/ライタから携帯端末に、ゲーム起動コマンドを送信することにより、携帯端末内のゲームソフトを自動起動させることが可能である。
5.ポイントをチャージし、電子マネーの代わりにポイントを使ってゲームをすることもできる(電子マネーを使わずに、ポイントのみに対応したシステムも可能)。
6.現実のメダルが不要であるので、メダルが足りなくなってきた時の補充や、メダルの払い出しのためにターミナルに行く必要がない(予約時のみは、ターミナルに行く必要がある)。
7.電子マネーでは、メダル(店舗により異なるが、1枚10円程度)よりも少額(1円単位)で課金ができる。また、例えば、Edyのチャージ限度額(現在は5万円)の範囲内で、ある程度高額の課金ができる。これにより、ゲーム内容や課金の方法(アイテム課金、時間課金、従量課金など)に幅を持たせることができる。
8.メダルでのゲームはメダルが増える可能性があるので、携帯端末500でのゲームはサテライト400でのゲームの前座(連続したゲームの一部)として扱うことができ、同一料金でもあまり不満を与えないが、電子マネーでのゲームは電子マネーが増えることはないので、同一料金では不満を与える可能性がある。
【0092】
1つの解決法は、「携帯端末でのゲームにサービスを与える」ことである。例えば、下記のような手法を利用することができる。
(1)景品(トレーディングカード、菓子類、玩具類など)を提供する。
(2)現在のプレイ 又は 次回のプレイのプレイ料金を値引きする。
(3)無料の追加プレイを提供する。((2)の一形態)
(4)現金/電子マネーではない「ポイント」(ポイントでのゲームプレイ可能)を提供する。
(5)以降のゲームを有利にする(ゲーム内アイテム提供、パラメータ変更等)。」
(3)甲第2号証記載の発明
よって、前記ア~ウの記載を総合すると、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「サテライト400に、空席がない場合は、サテライト400の順番待ち登録を行い、携帯端末500でゲームを行い、サテライト400が空き、自分の順番が回ってきたら、プレイヤは指定されたサテライト400に向かい、そのサテライト400で、プレイヤはプレイを行う多人数参加型マスアーケードゲームにおいて、電子マネーで支払いを行うものであり、電子マネーは、メダル(1枚10円程度)よりも少額(1円単位)で課金ができるとともに、限度額の範囲内で、ある程度高額の課金ができ、これにより、ゲーム内容や課金の方法(アイテム課金、時間課金、従量課金など)に幅を持たせることができて、携帯端末でのゲームのプレイ料金を値引きする多人数参加型マスアーケードゲームのゲームシステム。」
(4) 本件訂正発明1について
ア.対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、上記1(3)での検討を踏まえるに、両者は上記相違点1、及び2で相違し、他に相違する点はない。
イ.判断
以下、前記相違点1、2について検討する。
(ア)相違点1について
甲2発明は、上記(3)のとおりであって、甲2発明の「電子マネーで支払いを行う」ことは、本件訂正発明1の電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法である「特定の支払い方法」に相当し、甲2発明の「メダル」の課金は、本件訂正発明1の他の支払い方法に相当する。
特定の支払い方法(電子マネー)は、メダル(1枚10円程度)よりも少額の単位(1円単位)で課金ができるから、相違点1に係る本件訂正発明1の 「該電子通貨による支払い方法では、他の支払い方法にて支払いが可能なプレイ料金の単位の額よりも少額の単位でプレイ料金の支払いが可能された」との発明特定事項は示されているといえる。
甲1発明は、「メダル20枚が1ゲームの対価分である20単位であり、100円硬貨を投入すると、10単位がゴールド色になり、残り10単位はシルバーゴースト表示のままであり、さらに、100円硬貨が投入されると、全ての単位がゴールド色になって、1ゲームの対価分が全て硬貨で支払われた状態となる」ものであるから、甲1発明における「1ゲームの対価」は、「硬貨」、「メダル」の両支払い方法とも、同一である。
そして、甲1発明の「硬貨の投入」は、硬貨の代わりに、現金に相当する電子的ポイント(電子通貨)にしてもよいものである。
しかしながら、甲1発明は、「1ゲームの対価」が、「電子通貨」、「メダル」のいずれの支払い方法であっても、同一であることを前提とする発明であることに対して、甲2発明は、電子通貨での支払いが、メダルの支払額より少額の単位とするものであるから、甲1発明に甲2発明を適用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、上記相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。
そして、甲1発明において、他に前記相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲1発明において、上記相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。
(イ)相違点2について
甲2発明は、特定の支払い方法(電子マネー)で支払いを行うものであり、特定の支払い方法(電子マネー)は、メダル(1枚10円程度)よりも少額(1円単位)で課金ができるから、相違点2に係る本件訂正発明1の 「他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が電子通貨により支払われた」との発明特定事項は示されているといえる。
しかしながら、甲2発明は、他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が電子通貨により支払われた場合には、ゲーム内容や課金の方法(アイテム課金、時間課金、従量課金など)に幅を持たせることができて、携帯端末でのゲームのプレイ料金を値引きすること、すなわち相違点2に係る本件訂正発明1の「支払い方法に応じた変化を生じさせる」との発明特定事項は示されてはいるが、相違点2に係る本件訂正発明1の「当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすること」との発明特定事項までは示されているとはいえない。
してみると、甲1発明に甲2発明を適用しても、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることを、当業者が容易に導き出すことはできない。
また、上記(ア)で示したように、甲1発明における「1ゲームの対価」は、「硬貨」、「メダル」の両支払い方法とも、同一である。
そして、甲1発明の「硬貨の投入」は、硬貨の代わりに、現金に相当する電子的ポイント(電子通貨)にしてもよいものである。
また、甲1発明は、「1ゲームの対価」が、「電子通貨」、「メダル」のいずれの支払い方法であっても、同一であることを前提とする発明であることに対して、甲2発明は、電子通貨での支払いが、メダルの支払額より少額とするものであるから、甲1発明に甲2発明を適用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。
そして、甲1発明において、他に前記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。
(5)本件訂正発明2、及び7について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用する発明であり、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、前記(4)と同じ理由により、本件訂正発明2は、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
本件訂正発明7は「ゲームシステム用のコンピュータプログラム」であるのに対して、本件訂正発明1が「ゲームシステム」である他は、両者は実質的に同じ発明特定事項からなる発明であり、また甲1発明が「電子遊戯装置(ゲームシステム)用のコンピュータプログラム」を有していることは自明であるので、前記(4)と同様の理由で、本件訂正発明7は、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(6)小括
よって、本件訂正発明1、2、及び7は、甲1、2発明に基いて、当業者が容易に発明できたもの
ではないから、本件訂正発明1、2、及び7についての特許は、無効理由3により無効とすることはできない。
3.無効理由2について
(1)本件訂正された請求項1、及び7には、「プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でプレイが可能となるように、当該プレイ料金が支払われたゲームに関して前記支払い方法に応じた変化を生じさせ」と記載されている。
してみると、上記の「範囲」とは、プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイができない(不可能な)区域を意味するものであることは、明らかである。
また、本件訂正された請求項1、及び7には、「他の支払い方法では支払いが不可能な額のプレイ料金が前記電子通貨により支払われた場合には、当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲を、前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とすることにより、前記支払い方法に応じた変化を生じさせる」と記載されている。
してみると、「前記プレイ不可能な範囲としてプレイ可能とする」との記載は、プレイ料金が他の支払い方法で支払われたときにはプレイできない区域をプレイ可能な区域とすることと解されるから、「当該プレイ料金と対応付けて設定された範囲」との記載における「範囲」とは、当該プレイ料金と対応付けて設定されたプレイ可能な区域を意味するものであることは、明らかである。
よって、本件訂正された請求項1、及び7の記載は、不明確なものであるとはいえない。
(2)本件訂正された請求項2について
本件訂正された請求項2は、本件訂正された請求項1を引用するものであり、本件訂正された請求項2の発明特定事項を全て備えるものであるから、前記(1)と同じ理由により、本件訂正された請求項2の記載は、不明確なものであるとはいえない。
(3)小括
よって、本件訂正された請求項1、2及び7の記載は、不明確なものであるとはいえないから、本件訂正発明1、2及び7についての特許は、無効理由2により無効とすることはできない。
なお、請求項3についての本件審判の請求は却下された。
第8 むすび
以上のとおり、本件訂正は認められ、請求項3は本件訂正により削除されたから、請求項3に記載された発明についての審判の請求は成り立たたず、請求項3についての本件審判の請求を却下する。
以上のとおり、請求人が主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2015-800009