2015-022850
アレイ型積層セラミック電子部品及びその実装基板
- 審判番号
- 2015-022850
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-272271外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年12月25日
- 審決日
- 2017年02月06日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】龍華国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WZ (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成25年12月27日(パリ条約による優先権主張 2013年7月15日 韓国,2013年9月2日 韓国)の出願であって、平成27年4月30日付けで拒絶理由が通知され、同年8月12日付けで手続補正がなされたが、同年8月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月25日付けで拒絶査定不服の審判が請求され、同時に手続補正がなされた。
その後、当審において平成28年9月8日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなされなかったものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし18に係る発明は、平成27年12月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】複数の誘電体層が長さ方向に積層されたセラミック本体と、前記セラミック本体の長さ方向に沿って所定間隔をおいて一列に配置され、前記セラミック本体の両側面に交互に露出するように前記誘電体層を介して形成された複数の第1及び第2内部電極を含む複数のキャパシタ部と、前記セラミック本体の長さ方向に沿って所定間隔で配置され、前記セラミック本体の両側面にそれぞれ形成されてそれぞれのキャパシタ部の第1及び第2内部電極とそれぞれ連結された複数の第1及び第2外部電極と、を含み、前記それぞれのキャパシタ部は、誘電体層上に形成される位置が同じ複数の第1内部電極と、誘電体層上に形成される位置が同じ複数の第2内部電極とが前記セラミック本体の長さ方向に沿って一列に交互に配置され、かつ、キャパシタ部ごとに第1及び第2内部電極が形成されたセラミックシートの積層数が異なることにより容量が異なる、アレイ型積層セラミック電子部品。」
第3 当審において通知した拒絶理由の概要
当審において平成28年9月8日付けで通知した拒絶理由は、請求項1に係る発明についての理由を含むものであって、その概要は、請求項1に係る発明である上記本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
記
引用文献1.特開平11-340080号公報
引用文献2.特開平11-16778号公報
第4 当審の判断
1.引用発明
当審の拒絶理由に引用された引用文献1(特開平11-340080号公報)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0009】本発明の目的は、上述した従来の高周波機器用積層マイクロチップコンデンサの欠点を解消し、複数種の静電容量を容易に構成することができ、それによって必要とされる静電容量を容易に構成することができる積層マイクロチップコンデンサを提供することにある。」
(2)「【0016】図1(a),(b)は、本発明の第1の実施例に係る積層マイクロチップコンデンサを説明するための図であり、(a)は、外部電極を除いた焼結体を示す斜視図、(b)は、積層マイクロチップコンデンサの外観を示す斜視図である。【0017】積層マイクロチップコンデンサ1は、直方体上のセラミック焼結体2を用いて構成されている。セラミック焼結体2を構成するセラミック材料としては、例えば、チタン酸バリウム系セラミックスのような適宜の誘電体セラミックスを用いることができる。【0018】セラミック焼結体2内には、複数の内部電極がセラミック層を介して重なり合うように配置されている。このセラミック焼結体2の構造を、図2を参照しつつ、製造方法を説明することにより明らかにする。【0019】セラミック焼結体2を得るにあたっては、図2に略図的分解斜視図で示すように、矩形の複数枚のセラミックグリーンシート3~7を用意する。セラミックグリーンシート4~7には、それぞれ、導電ペーストをスクリーン印刷することにより内部電極8または内部電極9が形成されている。上記導電ペーストとしては、Ag-pdなどの適宜の金属を主体とする導電ペーストを用いることができる。内部電極8,9の形成は、導電ペーストの印刷法に限らず、他の既知の手段で行ってもよい。以下の実施例においても同様に、内部電極は、公知の任意の方法で形成し得る。続きを表示(全16行)【0020】内部電極8は、その端縁の一部が図2においてセラミックグリーンシート4,6の上端縁に至るように形成されている。内部電極9は、その端縁の一部がセラミックグリーンシート5,7の下端縁に至るように形成されいている。【0021】セラミックグリーンシート3には、導電ペーストが印刷されておらず、従って、セラミックグリーンシート3は、無地のセラミックグリーンシートとされている。【0022】図2に示したセラミックグリーンシート4~7を積層することにより得られた積層体では、内部電極8,9が交互に積層体の上面または下面に露出されるように構成される。【0023】セラミック焼結体2を得るにあたっては、上記セラミックグリーンシート4~7を適宜の枚数積層し、さらに、セラミックグリーンシート3のような無地のセラミックグリーンシートを適宜の枚数積層することによって得られた積層体を焼成する。【0024】このようにして、図1に示したセラミック焼結体2が得られる。セラミック焼結体2では、上述した内部電極8がセラミック焼結体2の上面2aに引き出されている。他方の内部電極9は図示されていない。従って、複数の内部電極8,9は、セラミック焼結体2の取付け面となる下面と平行な方向に積層されており、各内部電極8,9は該取付け面と直交する方向に延ばされていることになる。【0025】また、セラミック焼結体2においては、セラミック焼結体2の上面2aに引き出されている内部電極8と、下面2bに引き出されている内部電極9とを交互に積層してなる積層コンデンサユニットが、矢印A方向において、3つ形成されている。なお、矢印A方向は、上記内部電極8,9の積層方向に相当する。【0026】上記のようにして第1~第3の積層コンデンサユニットB~Dが構成される。なお、積層コンデンサユニットB~D間には、それぞれ、内部電極が積層されていない領域E,Fが形成されている。この内部電極が構成されていない領域E,Fは、無地のセラミックグリーンシート3を適宜の枚数積層することにより構成されればよい。【0027】図1(b)に示すように、セラミック焼結体2の上面2a上には、複数の第1の外部電極13~15が形成されている。外部電極13~15は、それぞれ、積層コンデンサユニットB~Dにおいて内部電極8に接続されている。また、セラミック焼結体2の下面2b上には、全面に第2の外部電極16が内部電極9に接続されるように形成されている。外部電極13~16は、例えば、Auペーストのような導電ペーストの塗布・焼付により形成されるが、蒸着、スパッタリングもしくはメッキ等の他の導電膜形成方法により形成してもよい。【0028】積層マイクロチップコンデンサ1では、上記第1の外部電極13~15のそれぞれと、第2の外部電極16とでそれぞれ、上記第1~第3の積層コンデンサユニットB~Dが構成される。従って、電気的に独立した第1~第3のコンデンサユニットB~Dを形成することができるので、各積層コンデンサユニットにおける静電容量を出させることにより、様々な静電容量を取り出すことができる。もっとも、第1~第3の積層コンデンサユニットB~Dにより得られる静電容量はすべて同一であってもよい。【0029】また、積層マイクロチップコンデンサ1を用いる場合、第1~第3の積層コンデンサユニットB~Dの何れか1つを用いてもよく、任意の2個の積層コンデンサユニットを並列接続するように電気的に接続して用いてもよく、3個の積層コンデンサユニットの全てを用いてもよい。すなわち、3個の積層コンデンサユニットが構成されているので、第1の外部電極13~15の接続方法を変えることにより、様々な大きさの静電容量を取り出すことができる。【0030】本実施例の積層マイクロチップコンデンサ1では、下面すなわち外部電極16が形成されている面が基板上に実装される面とされている。従って、基板の電極ランドに第2の外部電極16が電気的に接続されることになる。他方、第1の内部電極13~15は、例えばボンディングワイヤーにより外部と電気的に接続することができる。従って、上記ボンディングワイヤーによる接続の態様を変更することにより、様々な静電容量を取り出すことができる。【0031】もっとも、特に図示はしないが、第1の外部電極13~15と同様に、セラミック焼結体2の下面2b上に、コンデンサユニットB~Dに応じてそれぞれ独立の第2の外部電極を形成してもよい。すなわち、セラミック焼結体2の下面2b上において、3個の第2の外部電極を形成してもよい。」
(3)「【0042】本実施例においても、各積層コンデンサユニットG~Kにおける内部電極積層数及び内部電極の面積を変更することにより、各積層コンデンサユニットG~Kから取り出される静電容量を全て異ならせることも可能であり、かつ全ての積層コンデンサユニットG~Kで取り出される静電容量を同一としてもよい。」
上記(1)によれば、複数種の静電容量を容易に構成することができる積層マイクロチップコンデンサを提供することを目的とすることが記載されている。
また、第1の実施例についての上記(2)と図1及び2の記載、並びに、第2の実施例についての上記(3)によれば、上記積層マイクロチップコンデンサについて以下の事項が記載されている。
ア.セラミック焼結体2内には、複数の内部電極8,9がセラミック層を介して重なり合うように配置されており(段落【0018】)、上記複数の内部電極8,9は、セラミック焼結体2の取付け面となる下面と平行な方向に積層され、各内部電極8,9は該取付け面と直交する方向に延ばされている(段落【0024】)。また、上記内部電極8,9及びセラミック層が積層される上記方向は図1(a)中の矢印A方向である(段落【0025】)が、当該図1(a)の記載からみて、矢印A方向はセラミック焼結体2の長さ方向である。さらに、図1(a)及び図2の記載からみて、上記内部電極8,9は一列に交互に配置されている。
イ.内部電極8は、その端縁の一部がセラミックグリーンシート4,6の上端縁に至るように形成され、内部電極9は、その端縁の一部がセラミックグリーンシート5,7の下端縁に至るように形成されており(段落【0020】)、当該セラミックグリーンシート4~7を積層することにより得られた積層体では、上記内部電極8,9が交互に積層体の上面または下面に露出されるように構成される(段落【0022】)。さらに、図2の記載からみて、複数の内部電極8はセラミックグリーンシート4,6上の同じ位置に形成されており、また、複数の内部電極9はセラミックグリーンシート5,7上の同じ位置に形成されている。
ウ.セラミック焼結体2の上面に形成された第1の外部電極13~15は内部電極8に接続され、セラミック焼結体2の下面に形成された第2の外部電極16は内部電極9に接続されており(段落【0027】)、上記第2の外部電極16は上記第1の外部電極13~15と同様に独立した3個の外部電極として形成してもよい(段落【0031】)。
エ.セラミック焼結体2においては、内部電極8と内部電極9とを交互に積層してなる積層コンデンサユニットが、上記内部電極8,9の積層方向(図1(a)中の矢印A方向)において、3つ形成されている(段落【0025】)。また、3つの積層コンデンサユニットB~Dが形成されている上記矢印A方向は、上記アでも説示したように、当該図1(a)の記載からみてセラミック焼結体2の長さ方向であり、さらに、当該図1(a)の記載からみて、3つの積層コンデンサユニットB~Dは一列に配置されている。
オ.積層コンデンサユニットB~D間には、内部電極が形成されていない領域E,Fが形成されており(段落【0026】)、したがって、上記積層コンデンサユニットB~D及びそれらに対応する第1及び第2の外部電極は、セラミック焼結体2の長さ方向に沿って所定間隔をおいて配置されている(図1(a)及び(b))。
カ.セラミック焼結体2は、セラミックグリーンシート4~7を適宜の枚数積層し、さらに、セラミックグリーンシート3のような無地のセラミックグリーンシートを適宜の枚数積層することによって得られた積層体を焼成して得られ(段落【0023】)、セラミックグリーンシート4~7の積層数を異ならせることで、積層コンデンサユニットB~Dから様々な静電容量を取り出すことができる(段落【0028】、【0042】)。
したがって、以上で述べた事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複数のセラミック層が長さ方向に積層されたセラミック焼結体2と、前記セラミック焼結体2の長さ方向に沿って所定間隔をおいて一列に配置され、前記セラミック焼結体2の上下面に交互に露出するように前記セラミック層を介して形成された複数の内部電極8及び内部電極9を含む複数の積層コンデンサユニットB~Dと、前記セラミック焼結体2の長さ方向に沿って所定間隔で配置され、前記セラミック焼結体2の上下面にそれぞれ形成されてそれぞれの積層コンデンサユニットB~Dの内部電極8及び内部電極9とそれぞれ連結された複数の第1の外部電極13~15及び前記第1の外部電極と同様に独立した複数の第2の外部電極16と、を含み、前記それぞれの積層コンデンサユニットB~Dは、セラミック層上に形成される位置が同じ複数の内部電極8と、セラミック層上に形成される位置が同じ複数の内部電極9とが前記セラミック焼結体2の長さ方向に沿って一列に交互に配置され、かつ、積層コンデンサユニットB~Dごとに内部電極8及び内部電極9が形成されたセラミックグリーンシート4~7の積層数が異なることにより容量が異なる、積層マイクロチップコンデンサ1。」
2.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「セラミック層」、当該セラミック層を形成するための「セラミックグリーンシート4~7」、当該セラミック層が積層された「セラミック焼結体2」は、本願発明における「誘電体層」、「セラミックシート」、「セラミック本体」にそれぞれ相当する。
(2)引用発明における「内部電極8及び内部電極9」はセラミックグリーンシート4~7に形成され、かつ、セラミック焼結体2の長さ方向に沿って一列に交互に配置されるから、「内部電極8及び内部電極9」の一方は本願発明における「第1内部電極」に相当し、「内部電極8及び内部電極9」の他方は本願発明における「第2内部電極」に相当する。
(3)本願発明における「第1内部電極」及び「第2内部電極」も引用発明における「内部電極8及び内部電極9」も、セラミック本体(セラミック焼結体2)の表面に露出するように形成されている点で共通しているが、本願発明においては、「両側面」に露出しているのに対して、引用発明においては、「上下面」に露出している。
(4)引用発明における「複数の第1の外部電極13~15及び前記第1の外部電極と同様に独立した複数の第2の外部電極16」は、本願発明における「複数の第1及び第2外部電極」に相当する。
(5)引用発明における「積層コンデンサユニットB~D」は、本願発明における「キャパシタ部」に相当する。そして、引用発明における「積層マイクロチップコンデンサ1」は、複数の積層コンデンサユニットが一列に配置されているから「アレイ型」の「積層セラミック電子部品」であるといえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「複数の誘電体層が長さ方向に積層されたセラミック本体と、前記セラミック本体の長さ方向に沿って所定間隔をおいて一列に配置され、前記セラミック本体の表面に交互に露出するように前記誘電体層を介して形成された複数の第1及び第2内部電極を含む複数のキャパシタ部と、前記セラミック本体の長さ方向に沿って所定間隔で配置され、前記セラミック本体の表面にそれぞれ形成されてそれぞれのキャパシタ部の第1及び第2内部電極とそれぞれ連結された複数の第1及び第2外部電極と、を含み、前記それぞれのキャパシタ部は、誘電体層上に形成される位置が同じ複数の第1内部電極と、誘電体層上に形成される位置が同じ複数の第2内部電極とが前記セラミック本体の長さ方向に沿って一列に交互に配置され、かつ、キャパシタ部ごとに第1及び第2内部電極が形成されたセラミックシートの積層数が異なることにより容量が異なる、アレイ型積層セラミック電子部品。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点>
セラミック本体において、第1及び第2内部電極が露出するとともに第1及び第2外部電極が形成される面が、本願発明では「両側面」であるのに対し、引用発明では「上下面」である点。
3.判断
上記相違点について検討する。
当審の拒絶理由に引用された引用文献2(特開平11-16778号公報)には、アレイ型積層セラミック電子部品であるコンデンサアレイに関して、素体23の幅方向両端部において内部電極22と外部電極24を接続すること、すなわち、本願発明の「セラミック本体」に相当する素体23の両側面に、内部電極を露出させるとともに外部電極を形成することが記載されている(段落【0015】-【0016】、図5-8参照)。
そうすると、アレイ型積層セラミック電子部品である引用発明においても、内部電極と外部電極をセラミック本体の上下面で接続することに代えて、引用文献2に記載のように両側面で接続するようにすること、すなわち、第1及び第2内部電極が露出するとともに第1及び第2外部電極が形成される面を両側面とすることは、当業者にとって格別の技術的困難性を伴うことではない。
そして、本願発明の効果も、引用発明及び引用文献2に記載の技術事項の効果に基づいて当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別のものとはいえない。
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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