特許拒絶査定不服審判
2015-022707
潤滑油との混和性が改善された熱伝達組成物
- 審判番号
- 2015-022707
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-508854外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年12月25日
- 審決日
- 2017年07月18日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アルケマ フランス
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P18 .537-WZ (C09K) / P18 .121-WZ (C10M) / P18 .121-WZ (F25B) / P18 .121-WZ (C10N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-508854「潤滑油との混和性が改善された熱伝達組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 8日国際公開、WO2012/150391、平成26年 7月24日国内公表、特表2014-517859〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下、「本件出願」という。)は、2012年 3月28日(パリ条約による優先権主張2011年 5月 4日(FR)、フランス共和国)を国際出願日とする出願であって、出願後の手続きの経緯の概略は、以下のとおりである。
平成26年12月 1日付け 拒絶理由通知
平成27年 6月 9日 意見書及び手続補正書提出
平成27年 8月19日付け 拒絶査定
平成27年12月25日 審判請求書及び手続補正書提出
平成28年 1月29日付け 前置報告
平成28年12月28日付け 当審における拒絶理由通知
平成29年 5月10日 意見書及び手続補正書提出
第2 本願発明
本件出願の請求項1ないし14に係る発明は、平成29年 5月10日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」ともいう。)は、次のとおりのものである
「 【請求項1】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンと、ポリアルキレングリコールとを含む熱伝達組成物であって、ポリアルキレングリコールが、40℃で1~1000センチストークスの粘度を有し、ポリアルキレングリコールが、15%~35%の割合で使用され、ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリペンチレングリコールからなる群から選択され、1,1,1,2-テトラフルオロエタンが、組成物に存在する1,1,1,2-テトラフルオロエタンと2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの合計に対して、5~15重量%を占める熱伝達組成物。」
第3 当審における拒絶理由の概要
当審において、平成28年12月28日付けで通知した理由(以下、「当審拒絶理由」という)は、以下のとおりである。
「理由1.(サポート要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(進歩性)本件出願の請求項1~15に係る発明は、本願出願前に日本国内又は外国において頒布された下記1~5の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
第4 当審拒絶理由1の妥当性についての判断
1.はじめに
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否か、すなわち、特許法第36条第6項第1号に係る規定に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(知財高裁特別部判決平成17年(行ケ)第10042号参照)から、以下、当該観点に立って検討する。
2.本件出願の詳細な説明の記載事項
本件出願の詳細な説明には、次の記載事項(以下、「摘記ア」のようにいう。)がある。
ア.「【0001】
本発明は、潤滑油との混和性が改善された、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンをベースにした熱伝達組成物に関する。」
イ.「【0003】
熱伝達流体(純粋化合物、または化合物の混合物であってもよい)の選択は、第1に、液体の熱力学的特性、第2に、追加的な制約によって決まる。したがって、特に重要な基準は、検討中の流体の環境に対する影響である。特に、塩素化合物(クロロフルオロカーボンおよびヒドロクロロフルオロカーボン)は、オゾン層を破壊するという欠点を有する。それ故に、現在では、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、およびフルオロオレフィンなどの非塩素化合物が、一般的に好ましい。
【0004】
環境上の別の制約は、地球温暖化係数(GWP)である。したがって、できるだけ低いGWPおよび優れたエネルギー性能特性を有する熱伝達組成物を開発することが、極めて重要である。」
ウ.「【0005】
さらに、蒸気圧縮システムの圧縮機(複数可)の可動部分を潤滑するために、熱伝達流体に潤滑油を添加しなければならない。潤滑油は、一般的に、鉱物性または合成のものであり得る。」
エ.「【0011】
熱伝達化合物(複数可)が、潤滑油と混和しにくい場合、潤滑油は、蒸発器に留まって、圧縮機に戻らない傾向があり、そのことにより、システムは正確に機能することができなくなる。
【0012】
この点で、熱伝達化合物が潤滑油との良好な混和性を示す、低GWPの熱伝達組成物(優れたエネルギー性能を有する)を開発する必要性が依然として存在する。」
オ.「【0013】
特に、HFO-1234yfは、特に、低いGWPおよび優れたエネルギー性能により、とりわけ興味深い熱伝達化合物である。他方で、ある種の潤滑油とのその混和性は、不十分であり、その用途を制限する。したがって、HFO-1234yfをベースにした組成物と、通常の潤滑油との混和性を改善することが望ましい。」
カ.「【0033】
本発明は、先行技術において感じられる必要性を満たすことを可能にする。本発明は、より特定的には、熱伝達化合物が潤滑油との良好な混和性を示す、低GWPの熱伝達組成物(優れたエネルギー性能を有する)を提供する。
【0034】
特に、本発明は、ポリアルキレングリコールなどのある種の潤滑油との混和性が改善された、HFO-1234yfをベースにした熱伝達組成物を提供する。」
キ.「【0035】
これは、HFO-1234yfをHFC-134aと混合することにより達成される。したがって、本発明者らは、HFC-134aが、一方のHFO-1234yfおよび他方のHFC-134aの、潤滑油との混和性の単純な外挿により予測し得るものを超えて、HFO-1234yfのポリアルキレングリコールとの混和特性を改善することに気付いた。したがって、潤滑油との混和性の観点から、HFO-1234yfとHFC-134aとの間に相乗効果が存在する。
【0036】
ポリアルキレングリコール系の油は、良好な潤滑力、低い流動点、良好な低温流動性、および蒸気圧縮回路に一般的に存在するエラストマーとの良好な相溶性を有する。さらに、ポリアルキレングリコール系の油は、他の潤滑油よりも安く、現在、ある種の分野、特に、自動車の空調の分野において非常に広く使用されている油である。したがって、HFO-1234yfとポリアルキレングリコール系の潤滑油との混和性を改善し、この熱伝達化合物を、この潤滑油と組み合わせてより広く使用できるようにすることが、非常に有利である。」
ク.「【0037】
【図1】HFO-1234yfとHFC-134aとの異なる混合物と、ポリアルキレングリコールND8油との混和性を表すグラフである。HFO-1234yfとHFC-134aとの混合物に対するHFC-134aの割合をx軸に示し、それは、0~100%の範囲であり、また、混合物が潤滑油と混和しなくなる温度をy軸に示す(単位℃)。実験のデータは、黒丸で表す。略語NMおよびMは、それぞれ、非混和性領域および混和性領域を意味する。すべての結果は、3つの化合物、すなわち、HFO-1234yf/HFC-134aと油ND8の合計に対して、17%の油ND8含有量を用いて得られる。さらなる詳細のために、以下の実施例を参照する。」
ケ.「【0062】
しかし、本発明による熱伝達組成物は、場合により、HFO-1234yfおよびHFC-134aに加えて、1種または複数の追加の熱伝達化合物を含むことができる。これらの追加の熱伝達化合物は、特に、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、エーテル、ヒドロフルオロエーテル、およびフルオロオレフィンから選択することができる。」
コ.「【0069】
本発明との関連で使用できる他の添加剤は、特に、安定化剤、界面活性剤、トレーサー、蛍光剤、着臭剤、および可溶化剤から選択される。」
サ.「【0090】
HFO-1234yfからなる(またはHFO-1234yfを含む)熱伝達流体にHFC-134aを添加することは、熱伝達流体と潤滑油との混和性を改善し、すなわち、非混和性領域(液相における化合物がエマルションを形成する温度であると定義する)の出現についての閾値温度を上げ、したがって、例えば、より高い凝縮温度で使用できることにより、熱伝達流体の使用の可能性を高めることを可能にすることに留意すべきである。」
シ.「【0092】
実施例
以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明を例示する。
【0093】
この実施例において、HFO-1234yf、HFC-134aおよびそれらの混合物と、PAG系潤滑油ND8との混和性を研究する。
【0094】
試験の温度、-30℃から+80℃に応じてサーモスタットで維持された水浴またはグリコール-水浴を与えたガラス張りのタンクの中に、オートクレーブを置く。
【0095】
試験する各熱伝達流体(所与の割合のHFO-1234yfとHFC-134aとの混合物)のために、熱伝達流体を、オートクレーブに導入する。次いで、第1の量の規定した潤滑油を添加し、混合物を撹拌する。オートクレーブ内の温度を、混合物の非混和性を示すエマルションが得られるまで上げる。次いで、混合物を冷却し、追加の量の油を混合物に添加し、この作業を繰り返し行う。
【0096】
この手順は、所与のHFO-1234yf/HFC134a熱伝達流体それぞれについて、温度の関数としての、混合物と油PAGとの非混和性領域を視覚化する曲線をもたらすことを可能にする。
【0097】
相互的に、データの利用は、所与の潤滑油濃度について、HFO-1234yf/HFC134a混合物におけるHFC-134aの割合の関数としての、非混和性閾値温度を決定することを可能にする。17%の潤滑油量について、これを図1に示す。
【0098】
混合物が、HFC-134aを全く含有しない場合、エマルションは、26℃の温度で現れる。他方で、混合物が、HFO-1234yfを全く含有しない場合、エマルションは、69℃の温度で現れる。このことは、各混和温度の重み付けにより得られる、HFO-1234yfとHFC-134aとの混合物によるエマルションの出現についての予想温度を示す、理論に基づく点線をプロットすることを可能にする。
【0099】
しかし、実験上、混和性領域は、理論的に予想されたものよりも広いことが分かる。これは、潤滑油との混和性に関して、HFO-1234yfおよびHFC134aの相乗効果が存在することを意味する。」
ス.「【0100】
同様の結果は、17%の代わりの、例えば30%の潤滑油量により得られる。したがって、20%のHFC134aをHFO-1234yfに添加することは、予想値に対して約10度、混和性領域を高めることを可能にすることが観察される。」
セ.「【図1】
」
3.本願発明が解決しようとする課題
本願発明の技術分野は、「潤滑油との混和性が改善された、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンをベースにした熱伝達組成物に関する」(摘記ア参照)ものであるところ、本件出願の発明の詳細な説明には、本願発明の背景技術に関して、環境に対する影響が熱伝達流体の重要な選択基準であるために「できるだけ低いGWPおよび優れたエネルギー性能特性を有する熱伝達組成物を開発することが、極めて重要である」こと(摘記イ参照)、蒸気圧縮システムの圧縮機(複数可)の可動を潤滑にするために「熱伝達流体に潤滑油を添加しなければならない」こと(摘記ウ参照)、上記システムを正確に機能させるために「熱伝達化合物が潤滑油との良好な混和性を示す、低GWPの熱伝達組成物(優れたエネルギー性能を有する)を開発する必要性が依然として存在する」(摘記エ参照)ことが記載されている。そして、熱伝達化合物の「HFO-1234yf」(当審注:「HFO-1234yf」は、「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン」と同義であることは、技術常識から見て明らかである。)は、特に、低いGWPおよび優れたエネルギー性能により、とりわけ興味深い熱伝達化合物であるが、ある種の潤滑油とのその混和性が不十分であり、その用途を制限することから、「HFO-1234yfをベースにした組成物と、通常の潤滑油との混和性を改善することが望ましい」こと(摘記オ参照)が記載されている。
また、本件出願の発明の詳細な説明には、「ポリアルキレングリコール系の油は、良好な潤滑力、低い流動点、良好な低温流動性、および蒸気圧縮回路に一般的に存在するエラストマーとの良好な相溶性を有する。さらに、ポリアルキレングリコール系の油は、他の潤滑油よりも安く、現在、ある種の分野、特に、自動車の空調の分野において非常に広く使用されている油である。したがって、HFO-1234yfとポリアルキレングリコール系の潤滑油との混和性を改善し、この熱伝達化合物を、この潤滑油と組み合わせてより広く使用できるようにすることが、非常に有利である。」(摘記キ参照)と記載され、本願発明の潤滑油としては「ポリアルキレングリコール系の潤滑油」が用いられるものとされている。そして、本願発明の目的に関して、「本発明は、先行技術において感じられる必要性を満たすことを可能にする。本発明は、より特定的には、熱伝達化合物が潤滑油との良好な混和性を示す、低GWPの熱伝達組成物(優れたエネルギー性能を有する)を提供する。」、「特に、本発明は、ポリアルキレングリコールなどのある種の潤滑油との混和性が改善された、HFO-1234yfをベースにした熱伝達組成物を提供する。」と記載されている(摘記カ参照)。
以上の通りであるから、本願発明が解決しようとする課題は、「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンをベースにした熱伝達流体のポリアルキレングリコール系の潤滑油との混和性を改善し、当該熱伝達流体とポリアルキレングリコール系の潤滑油とを組み合わせた低GWPの熱伝達組成物(優れたエネルギー性能)を提供すること」(以下、「本願発明の課題」という。)であると認められる。
4.判断
本願発明では、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンをベースにした熱伝達流体(以下、「本願発明の熱伝達流体」という。)が、「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンとを含む」ものであること、またポリアルキレングリコール系の潤滑油(以下、「本願発明の潤滑油」という。)が、「40℃で1~1000センチストークスの粘度を有し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリペンチレングリコールからなる群から選択され」るものであることが規定されている。また、各成分の配合量に関して、「本願発明の潤滑油」については、「ポリアルキレングリコールが、15%~35%の割合で使用され」ると組成物に占める割合が規定されているが、「本願発明の熱伝達流体」については、「1,1,1,2-テトラフルオロエタンが、組成物に存在する1,1,1,2-テトラフルオロエタンと2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの合計に対して、5~15重量%を占める」と規定されているものの、組成物に占める割合は特に規定されていない。
一方、本件出願の発明の詳細な説明には、「本発明者らは、HFC-134aが、一方のHFO-1234yfおよび他方のHFC-134aの、潤滑油との混和性の単純な外挿により予測し得るものを超えて、HFO-1234yfのポリアルキレングリコールとの混和特性を改善することに気付いた。したがって、潤滑油との混和性の観点から、HFO-1234yfとHFC-134aとの間に相乗効果が存在する。」(摘記キ参照)(当審注:「HFC-134a」は、「1,1,1,2-テトラフルオロエタン」と同義であることは、技術常識から見て明らかである。)、「HFO-1234yfからなる(またはHFO-1234yfを含む)熱伝達流体にHFC-134aを添加することは、熱伝達流体と潤滑油との混和性を改善し、すなわち、非混和性領域(液相における化合物がエマルションを形成する温度であると定義する)の出現についての閾値温度を上げ、したがって、例えば、より高い凝縮温度で使用できることにより、熱伝達流体の使用の可能性を高めることを可能にすることに留意すべきである。」(摘記サ参照)と記載され、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンに1,1,1,2-テトラフルオロエタンを添加した「本願発明の熱伝達流体」を用いることによって、「本願発明の潤滑油」との混和性において優れた作用効果を奏する旨説明されている。
しかしながら、本件出願の発明の詳細な説明には、実施例がただ1つ示されているだけで、上記「本願発明の熱伝達流体」を用いることによる作用効果がなぜ生じるのか、すなわち、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンに対して1,1,1,2-テトラフルオロエタンを添加することにより熱伝達流体の特性がどのように変化し、ポリアルキレングリコール系の潤滑油との混和性がどのように改善されるのか、またそれがいかなる要因に基づくものであるかといった作用機序についての説明は記載されていない。また、上記「本願発明の熱伝達流体」を用いることによる作用効果が、本件出願の優先日時点の技術常識から見て自明な事項であったとも認められない。
加えて、本件出願の発明の詳細な説明には、組成物における各成分の配合量が、組成物の混和性などの特性にどのような影響を与えるかについて、明りょうに記載されていないし、この点が本件出願の優先日時点の技術常識から見て自明な事項であったとも認められない。
一方、本件出願の上記実施例(摘記ク、シ及びセ参照)には、「本願発明の熱伝達流体」と「本願発明の潤滑油」との混和性に関するデータが一応記載されているが、ここで用いられている潤滑油は、「PAG系潤滑油ND8」(これが具体的にどのような成分であるかは定かでないが、本件出願の明細書段落【0056】の記載によると「Densoにより商品名ND8で販売されている粘度46センチストークスの油」とされている。)のみであり、「PAG系潤滑油ND8」以外の「40℃で1~1000センチストークスの粘度を有し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリペンチレングリコールからなる群から選択され」る「本願発明の潤滑油」については、その作用効果が確認されていない。そして、本件出願の優先日時点の技術常識から見て、同じポリアルキレングリコールであっても、その構造単位、重合度及び粘度等の違いによって特性は異なるので、「本願発明の熱伝達流体」との混和性等も一律でないと考えるのが妥当といえる。しかるに、「PAG系潤滑油ND8」を用いた場合に所望の作用効果を奏するからといって、「PAG系潤滑油ND8」以外の「本願発明の潤滑油」に対しても、同様の作用効果を奏するとは認められない。
また、上記実施例では、「PAG系潤滑油ND8」の配合量は「17%の潤滑油量」(熱伝達組成物における「本願発明の潤滑油」の配合量は「17%」であると認められる。)ただ一点に限定されており、その他の配合量については、その作用効果が確認されていない。加えて、その他の成分は全て「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタンおよびそれらの混合物」(熱伝達組成物における「本願発明の熱伝達流体」の配合量は「83%」であると認められる。)で構成されており、例えば組成物に他の熱伝達流体や添加剤を添加し(摘記ケ及びコ参照)、「本願発明の熱伝達流体」の配合量を低減させた場合については、その作用効果が確認されていない。そして、本件出願の優先日時点の技術常識から見て、潤滑油及び熱伝達流体の配合量(あるいは、潤滑油と熱伝達流体との配合割合)によって、また他の熱伝達流体や添加剤の配合によって、各成分の混和性等は変化すると考えるのが妥当といえるから、熱伝達組成物における「本願発明の潤滑油」の配合量は「17%」であって、「本願発明の熱伝達流体」の配合量は「83%」である場合に所望の作用効果を奏するからといって、「本願発明の潤滑油」の配合量が「15%~35%の割合で使用され」たもの全般にわたって、また他の熱伝達流体や添加剤を配合することなどによって「本願発明の熱伝達流体」の配合量(あるいは、潤滑油に対する熱伝達流体の配合割合)を低減させた場合においても、同様の作用効果を奏するとは認められない。
そうすると、本願発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえず、本件出願の優先日時点の技術常識を参酌しても、発明の詳細な説明に開示された内容を本願発明にまで拡張ないし一般化できるとはいえないから、本願発明は発明の詳細な説明に記載したものではない。
5.請求人の主張についての検討
請求人は、平成29年5月10日に提出の意見書において、その2頁目の図を引用して、
「以下の図(当審注:図は省略する):は、潤滑油量が30%の場合に、混和性領域HFO-1234yf/HFC134aが、予想されたものより高いことを示します。一番上の線が実験的に得られた混和性領域であり、二番目の線が予想の混和性領域です。この図の通り、混和性領域を予想よりも高い温度で得ることができております。
本願明細書に記載の通り、同様の結果が、潤滑油量が30%の場合にも得られております。このことは、潤滑油量によらず、本願発明が予想外の効果を奏すること明確に示しております。
重要なことは、HFC134aをHFO-1234yfに添加することにより、得られた混合物の混和性が、当業者が予想するものと比較して、高められているということです。
また、本願発明の先行技術に対する、進歩性より明確化するために、上記の通り、明細書段落[0021]及び[0047]等に基づき、旧請求項1、6、13及び15を補正しております。」
と主張している。
上記主張は、進歩性に関するものではあるが、本件出願の発明の詳細な説明の「同様の結果は、17%の代わりの、例えば30%の潤滑油量により得られる。」(摘記ス参照)の裏付けにあたるものであり、サポート要件にも関わる事項であるので、念のため、検討する。
上記意見書の2頁目の図は、標題が「Miscibility 1234yf/R134a/30% PAG ND8」となっているので、PAG系潤滑油ND8の潤滑油量が30%の場合において、HFO-1234yf、HFC134aおよびそれらの混合物とPAG系潤滑油ND8との混和性を示すものと推察される。そして、この図は、上記混和性について、本件出願の【図1】と同様の傾向を示していることから、上記請求人の主張を裏付ける実験結果を示しているかのようにも見える。
しかしながら、当該図に係る実験を、実際に、誰が、いつ、どこで、どのような条件のもとに行ったのかは、全く明らかにされていないので、これを証拠として採用して参酌することは困難と言わざるを得ない。
また、上記実験結果は、潤滑油として「PAG系潤滑油ND8」を用い、その配合量を「30%の潤滑油量」(熱伝達組成物における「本願発明の潤滑油」の配合量は「30%」であると認められる。)とし、その他の成分は全て「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタンおよびそれらの混合物」(熱伝達組成物における「本願発明の熱伝達流体」の配合量は「70%」であると認められる。)で構成された熱伝達組成物に基づくものに限定されている。しかるに、仮にこれを参酌したとしても、「PAG系潤滑油ND8」以外の『「40℃で1~1000センチストークスの粘度を有し」、「ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリペンチレングリコールからなる群から選択され」るものである』ポリアルキレングリコール系の潤滑油全般にわたっての作用効果や、また他の熱伝達流体や添加剤を配合することなどによって「本願発明の熱伝達流体」の配合量(あるいは、潤滑油に対する熱伝達流体の配合割合)を低減させた場合の作用効果は、依然として明らかではない。
よって、請求人の上記主張を参酌しても、当審拒絶理由1を解消する根拠となり得ない。
第5 当審拒絶理由2の妥当性についての判断
1.引用刊行物について
1.国際公開第2009/057475号(拒絶理由通知における引用文献4)
2.国際公開第2008/153106号(当審で新たに引用)
3.国際公開第2010/022018号(拒絶理由通知における引用文献1)
4.国際公開第2011/023923号(拒絶理由通知における引用文献2)
5.特表2008-531836号公報(拒絶理由通知における引用文献3)
(以下、本件出願の出願日前に頒布された上記刊行物1~5を、「引用例1」~「引用例5」という。)
2.引用例の記載
引用例1~5には、以下の点が記載されている。
なお、引用例3及び4の摘示事項については、それぞれ翻訳文が記載されている特表2012-500323号公報及び特表2013-503230号公報(以下、「公表公報」という)の該当箇所の訳文をもって示し、国際公開及び公表公報双方における記載箇所を明示した。
(1)引用例1
(1a)「[1] 下記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールと、フルオロプロペン冷媒を含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物。
R1-(OR3)n-OR2 (1)
[式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、炭素数1~5のアルキル基または炭素数2~5のアシル基を表し、R3は炭素数2~4のアルキレン基を表し、nはOR3で表されるオキシアルキレン基の繰り返し数を表し、R3全体に占める炭素数2のアルキレン基の割合は30モル%以下である。]
[2] 前記フルオロプロペン溶媒として、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペンおよび3,3,3-トリフルオロプロペンから選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1に記載の冷凍機用作動流体組成物。
[3] フルオロプロペン溶媒の少なくとも1種と、飽和ハイドロフルオロカーボン、炭素数3~5の炭化水素、ジメチルエーテル、二酸化炭素、ビス(トリフルオロメチル)サルファイドおよび3フッ化ヨウ化メタン冷媒から選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の冷凍機用作動流体組成物。
[4] 前記フルオロプロペン溶媒が、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペンおよび3,3,3-トリフルオロプロペンから選ばれる少なくとも1種であり、前記飽和ハイドロフルオロカーボンが、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、フルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンから選ばれる少なくとも1種であり、前記炭素数3~5の炭化水素が、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、2-メチルブタンおよびノルマルペンタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3に記載の冷凍機用作動流体組成物。
[5] 下記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールを含有し、フルオロプロペン冷媒と共に用いられることを特徴とする冷凍機油。
R1-(OR3)n-OR2 (1)
[式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、炭素数1~5のアルキル基または炭素数2~5のアシル基を表し、R3は炭素数2~4のアルキレン基を表し、nはOR3で表されるオキシアルキレン基の繰り返し数を表し、R3全体に占める炭素数2のアルキレン基の割合は30モル%以下である。]」(請求の範囲参照)(下線部は当審が付与したものであり、以下同様である。)
(1b)「[0007] 上記特許文献5、6、7に記載されているように、フルオロプロペン冷媒を用いる冷凍システムにおいては、CFCやHCFCに使用されている鉱油やアルキルベンゼン等の炭化水素類、HFCに使用されているポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテルなどの冷凍機油のいずれも適用可能であると考えられている。しかし、本発明者らの検討によれば、これら従来の冷凍機油を当該システムにそのまま転用しただけでは、冷媒相溶性を高水準で達成することができない。
[0008] 本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、フルオロプロペン冷媒を用いる冷凍システムにおいて、冷媒相溶性を高水準で達成することが可能な冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物を提供することを目的とする。」(段落[0007]~[0008]参照)
(1c)「[0015] 以上の通り、本発明によれば、冷媒相溶性を高水準で達成することが可能な冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物を提供することが可能となる。」(段落[0015]参照)
(1d)「[0019] また、上記一般式(1)中、R3は炭素数2~4のアルキレン基を表す。このようなアルキレン基としては、具体的には、エチレン基(-CH2CH2-)、プロピレン基(-CH(CH3)CH2-)、トリメチレン基(-CH2CH2CH2-)、ブチレン基(-CH(CH2CH3)CH2-)、テトラメチレン基(-CH2CH2CH2CH2-)などが挙げられる。これらのアルキレン基の中でも、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基がより好ましい。また、R3全体に占める炭素数2のアルキレン基の割合が30重量%以下、好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下であることが必要である。炭素数2のアルキレン基の割合が30重量%を超える場合には、冷媒相溶性に劣るため好ましくない。」(段落[0019]参照)
(1e)「[0022] 本発明にかかるポリアルキレングリコールの100℃における動粘度は5~20mm2/sであることが好ましく、好ましくは6~18mm2/s、より好ましくは7~16mm2/s、さらに好ましくは8~15mm2/s、最も好ましくは10~15mm2/sである。100℃における動粘度が前記下限値未満であると冷媒共存下での潤滑性が不十分となり、他方、前記上限値を超えると冷媒に対して相溶性を示す組成範囲が狭くなり、冷媒圧縮機の潤滑不良や蒸発器における熱交換の阻害が起こりやすくなる。また、当該ポリアルキレングリコールの40℃における動粘度は、40℃における動粘度が10~200mm2/sであることが好ましく、20~150mm2/sであることがより好ましい。40℃における動粘度が10mm2/s未満であると潤滑性や圧縮機の密閉性が低下するという傾向にあり、また、200mm2/sを超えると、低温条件下で冷媒に対して相溶性を示す組成範囲が狭くなり、冷媒圧縮機の潤滑不良や蒸発器における熱交換の阻害が起こりやすくなる傾向にある。」(段落[0022]参照)
(1f)「[0066] 本発明の冷凍機油は、通常、冷凍空調機器において、上述したようなフルオロプロペン冷媒あるいは混合冷媒と混合された冷凍機用流体組成物の形で存在している。この組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合、並びに本発明の冷凍機用作動流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100質量部に対して冷凍機油が好ましくは1~500質量部、より好ましくは2~400質量部である。」(段落[0066]参照)
(2)引用例2
(2a)「[1] 下記の分子式(A)
CpOqFrRs ・・・(A)
[式中、Rは、Cl、Br、I又はHを示し、pは1~6、qは0~2、rは1~14、sは0~13の整数である。但し、qが0の場合は、pは2~6であり、分子中に炭素-炭素不飽和結合を1以上有する。]
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素有機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との組合せを含む冷媒を用いる冷凍機用の潤滑油組成物であって、基油として、ポリオキシアルキレングリコール誘導体を主成分として含み、かつ水酸基価が5mgKOH/g以下であるものを用いることを特徴とする冷凍機用潤滑油組成物。
[2] 冷媒が、炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素冷媒、又は炭素数1~2の飽和フッ化炭化水素冷媒と炭素数3の不飽和フッ化炭化水素冷媒との組み合わせからなる請求項1に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
[3] 基油の100℃における動粘度が2~50mm2/sである請求項1に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
[4] 基油の分子量が500以上である請求項1に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
[5] ポリオキシアルキレングリコール誘導体が
一般式(I)
R1-[(OR2)m-OR3]n (I)
(式中、R1は水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、炭素数2~10のアシル基、結合部2~6個を有する炭素数1~10の炭化水素基、炭素数1~10の酸素含有炭化水素基、R2は炭素数2~4のアルキレン基、R3は水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、炭素数2~10のアシル基又は炭素数1~10の酸素含有炭化水素基、nは1~6の整数、mはm×nの平均値が6~80となる数である。)
で表される化合物である請求項1に記載の冷凍機油組成物。
[6] 極圧剤、油性剤、酸化防止剤、酸捕捉剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む請求項1に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
[7]~[16](省略)」(請求の範囲参照)
(2b)「[0012][不飽和フッ化炭化水素化合物]
・・・・・(省略)・・・・・、特に1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンが好適である。・・・・・(省略)・・・・・」(段落[0012]参照)
(2c)「[0019][飽和フッ化炭化水素化合物]
この飽和フッ化炭化水素化合物は、前記の一般式(A)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物に、必要に応じて混合することができる冷媒である。この飽和フッ化炭化水素化合物としては、・・・・(省略)・・・・・、1,1,1,2-テトラフルオロエタン・・・・(省略)・・・・・が好適である。・・・・(省略)・・・・・また、当該飽和フッ化炭化水素化合物の配合量は、冷媒全量に基づき、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。」(段落[0019]参照)
(3)引用例3
(3a)「【請求項1】
共沸混合物様組成物を形成するための、1,1,1,2-テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,2-テトラフルオロエタンの有効量から本質的になる、共沸混合物様組成物。」(国際公開のClaim 1、及び、公表公報の特許請求の範囲【請求項1】参照)
(3b)「【0005】
本発明により、CFC類およびHCFC類の代替物に対する継続的な必要性を満たすために役立つ組成物が提供される。ある特定の実施形態に従って、本発明は、1,1,1,2-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)および1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を含む、共沸混合物様組成物を提供する。本発明の好ましい組成物は、比較的低い地球温暖化係数(GWPs;global warming potentials)を示す傾向がある。したがって、そのような組成物は、冷媒、エアゾール、発泡剤、その他の用途におけるCFC類、HCFC類およびHFC類(HFC-134aなど)の代替品としての用途を含む、多数の用途における多大な利益のために利用することができる。この共沸混合物様組成物は、すでにHFC-134aを利用しており、GWPの著しい減少が臨まれているシステムにおける代替品として使用できる。・・・・(省略)・・・・・」(国際公開の第2頁15行~25行、及び、公表公報の段落【0005】参照)
(3c)「【0021】
本発明の共沸混合物様組成物は、また、冷媒組成物としても使用され得る。本発明の冷媒組成物は、空調、冷却、ヒートポンプシステムなどを含む、多種多様の冷却システムの任意のものに使用することができる。ある特定の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、例えば、HFC-134aなどのHFC冷媒を用いて使用するために当初設計された冷却システムにおいて使用される。本発明の好ましい組成物は、不燃性または低燃焼性、および従来のHFC冷媒と同様に低いかまたはそれより低いGWPを含む、HFC134aおよび他のHFC冷媒の多くの望ましい特徴を示す傾向がある。しかも比較的一定な沸騰性質により、本発明の組成物は、冷媒として使用する従来の特定のHFC類よりも、多くの用途においてさらに望ましいものになる。」(国際公開の第11頁24行~第12頁6行、及び、公表公報の段落【0021】参照)
(3d)「【0022】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボンまたはこれらの組合せ、およびこれらと共に通常使用される、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、ポリアルファオレフィン(PAO)、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)、合成ナフタレン、フルオロ潤滑剤またはこれらの組合せなどの潤滑剤を含む冷媒を含有する、冷却システムを改良するのに使用することができる。・・・・(省略)・・・・・」(国際公開の第12頁8行~14行、及び、公表公報の段落【0022】参照)
[引用例4]
(4a)「【請求項1】~【請求項4】(省略)
【請求項5】
(i)約45~約75重量%2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)、および
(ii)約25~約55重量%1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R-134a)、
を含んでなる熱伝達組成物。
【請求項6】
R-1234yfおよびR-134aから実質的になる、請求項5に記載の熱伝達組成物。
【請求項7】~【請求項17】(省略)
【請求項18】
潤滑剤を更に含んでなる、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
潤滑剤が、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PABs)、ポリオールエステル類(POEs)、ポリアルキレングリコール類(PAGs)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル)、ポリビニルエーテル類(PVEs)、ポリ(アルファ-オレフィン類)およびそれらの組合せから選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項20】~【請求項56】(省略)」(国際公開のCLAIMS、及び、公表公報の特許請求の範囲参照)
(4b)「【0052】
本発明の熱伝達組成物は既存設計の設備で使用に適し、既存のHFC冷媒と一緒に現在用いられている潤滑剤の全種類と適合する。それらは、所望により、適切な添加剤の使用により鉱油で安定化または適合化される。
【0053】
好ましくは、熱伝達設備で用いられる場合、本発明の組成物は潤滑剤と組み合わされる。
【0054】
便宜上、潤滑剤は鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン類(PAB)、ポリオールエステル類(POE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリアルキレングリコールエステル類(PAGエステル)、ポリビニルエーテル類(PVE)、ポリ(アルファ-オレフィン類)およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0055】
本発明の(不燃性)組成物の利点は、それらがR-1234yfと比べてPAG潤滑剤との改善された混和性を示すことである。」(国際公開の第9頁29行~第10頁7行、及び、公表公報の段落【0052】~【0055】参照)
[引用例5]
(5a)「【請求項1】【請求項2】(省略)
【請求項3】
HFC-1234yfと・・・・・(省略)・・・・・、HFC134a、・・・・・(省略)・・・・・からなる群から選択された少なくとも1つの化合物とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】~【請求項13】(省略)
【請求項14】
請求項3に記載の組成物であって、HFC-1234yfおよびHFC-134a;・・・・・(省略)・・・・・からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
請求項3に記載の組成物であって、約1重量パーセント~約99重量パーセントのHFC-1234yfおよび約99重量パーセント~約1重量パーセントのHFC-134a;・・・・・(省略)・・・・・からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の組成物。」
【請求項16】
請求項3に記載の組成物であって、約30重量パーセント~約99重量パーセントのHFC-1234yfおよび約70重量パーセント~約1重量パーセントのHFC-134a;・・・・・(省略)・・・・・からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項17】
請求項3に記載の組成物であって、約90重量パーセントのHFC-1234yfおよび約10重量パーセントのHFC-134a;・・・・・(省略)・・・・・からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項18】~【請求項22】(省略)
【請求項23】
請求項3に記載の組成物であって、・・・・・(省略)・・・・・約1重量パーセント~約99重量パーセントのHFC-1234yfおよび約99重量パーセント~約1重量パーセントのHFC-134a;・・・・・(省略)・・・・・からなる群から選択された共沸または擬共沸組成物を含むことを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項24】~【請求項27】(省略)
【請求項28】
請求項3に記載の組成物であって、・・・・・(省略)・・・・・約-25℃の温度で約18.4psia(127kPa)の蒸気圧を有する70.4重量パーセントのHFC-1234yfおよび29.6重量パーセントのHFC-134a;・・・・・(省略)・・・・・からなる群から選択された共沸組成物を含むことを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項29】【請求項30】(省略)
【請求項31】
ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテンおよびポリ(アルファ)オレフィンからなる群から選択された潤滑油をさらに含むことを特徴とする請求項1~30のいずれか一項
記載の組成物。
【請求項32】~【請求項68】(省略)」(特許請求の範囲参照)
(5b)「【0068】
本発明の潤滑油はハイドロフルオロカーボン冷媒と一緒の使用をデザインされたものを更に含み、圧縮冷凍、エアコン、またはヒートポンプ装置運転条件下で本発明の冷媒と混和性である。・・・・・(省略)・・・・・、ダウ(Dow)(ダウ・ケミカル、ミシガン州ミッドランド(Dow Chemical, Midland, Michigan))製のRL-488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)・・・・・(省略)・・・・・が含まれるが、それらに限定されない。これらの潤滑油は様々な商業的供給業者から容易に入手可能である。
【0069】
本発明の潤滑油は、所与の圧縮機の要件および潤滑油が曝されるであろう環境を考慮することによって選択される。本発明の潤滑油は好ましくは40℃で少なくとも約5cs(センチストークス)の動粘度を有する。」(明細書段落【0068】~【0069】参照)
3.対比・判断
上記引用例1には、摘示事項(1a)のとおり、
「一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールと、フルオロプロペン冷媒の少なくとも1種と、飽和ハイドロフルオロカーボンの少なくとも1種とを含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物。
R1-(OR3)n-OR2 (1)
[式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、炭素数1~5のアルキル基または炭素数2~5のアシル基を表し、R3は炭素数2~4のアルキレン基を表し、nはOR3で表されるオキシアルキレン基の繰り返し数を表し、R3全体に占める炭素数2のアルキレン基の割合は30モル%以下である。]」が記載されており(請求項1及び3参照)、またフルオロプロペン冷媒として2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、飽和ハイドロフルオロカーボンとして1,1,1,2-テトラフルオロエタンを選択し得ることが記載されているから(請求項2及び4参照)、
上記引用例1には、
「一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールと、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンなどから選ばれるフルオロプロペン冷媒と、1,1,1,2-テトラフルオロエタンなどから選ばれる飽和ハイドロフルオロカーボンとを含有する冷凍機用作動流体組成物。
R1-(OR3)n-OR2 (1)
[式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、炭素数1~5のアルキル基または炭素数2~5のアシル基を表し、R3は炭素数2~4のアルキレン基を表し、nはOR3で表されるオキシアルキレン基の繰り返し数を表し、R3全体に占める炭素数2のアルキレン基の割合は30モル%以下である。]」
の発明(以下、「引用例1発明」という)が実質的に記載されているものと認められる。
そこで、本願発明と、上記引用例1発明とを比較すると、引用例1発明における「フルオロプロペン冷媒」及び「飽和ハイドロフルオロカーボン」が「熱伝達流体」であること、また引用例1発明における「冷凍機用作動流体組成物」が本願発明の「熱伝達組成物」に相当することは、技術常識から見て明らかであるから、両者は下記の点で相違し、その余の点では一致しているものと認められる。
(相違点1)
本願発明においては、ポリアルキレングリコールの粘度が、「40℃で1~1000センチストークスの粘度を有し」と特定されているのに対して、引用例1発明においては、このように特定されていない点
(相違点2)
本願発明においては、ポリアルキレングリコールが、「ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリペンチレングリコールからなる群から選択され」るものであるのに対して、引用例1発明においては、以下の一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールである点
R1-(OR3)n-OR2 (1)
[式中、R1およびR2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素、炭素数1~5のアルキル基または炭素数2~5のアシル基を表し、R3は炭素数2~4のアルキレン基を表し、nはOR3で表されるオキシアルキレン基の繰り返し数を表し、R3全体に占める炭素数2のアルキレン基の割合は30モル%以下である。]
(相違点3)
本願発明においては、ポリアルキレングリコールが、「15%~35%の割合で使用され」るのに対して、引用例1発明においては、このように特定されていない点
(相違点4)
本願発明においては、熱伝達流体が、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1,1,1,2-テトラフルオロエタンとの組み合わせに特定され、「1,1,1,2-テトラフルオロエタンが、組成物に存在する1,1,1,2-テトラフルオロエタンと2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの合計に対して、5~15重量%を占める」と特定されているのに対し、引用例1発明においては、このように特定されていない点
上記相違点1について検討するに、引用例1には、ポリアルキレングリコールの40℃における動粘度粘度について、潤滑油や圧縮機の密閉性あるいは冷媒に対しての相溶性の観点から、10~200mm2/s、すなわち、10~200センチストークスであることが好ましいことが記載されているから(摘示事項(1e)参照)、相違点1は実質的な差異とは言えない。また、仮にこれが実質的な差異であるとしても、引用例1発明において、潤滑性や圧縮機の密閉性あるいは冷媒に対しての相溶性などを考慮して、ポリアルキレングリコールの40℃における動粘度を本願発明と同程度とすることは、この引用例1の記載に基づいて当業者が容易になし得ることである。
上記相違点2について検討するに、引用例1発明では、一般式(1)におけるR3は「炭素数2~4のアルキレン基を表し」とされており、さらに引用例1には、「一般式(1)中、R3は炭素数2~4のアルキレン基を表す。このようなアルキレン基としては、具体的には、エチレン基(-CH2CH2-)、プロピレン基(-CH(CH3)CH2-)、トリメチレン基(-CH2CH2CH2-)、ブチレン基(-CH(CH2CH3)CH2-)、テトラメチレン基(-CH2CH2CH2CH2-)などが挙げられる。これらのアルキレン基の中でも、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基がより好ましい。」と記載されている(摘示事項(1d)参照)。ここで、一般式(1)におけるR3が「エチレン基(-CH2CH2-)、プロピレン基(-CH(CH3)CH2-)、トリメチレン基(-CH2CH2CH2-)、ブチレン基(-CH(CH2CH3)CH2-)、テトラメチレン基(-CH2CH2CH2CH2-)」であるものは、「ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール」にほかならないので、相違点2は実質的な差異とは言えない。また、仮にこれが実質的な差異であるとしても、引用例1発明において、ポリアルキレングリコールとして「ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール」を用いることは、この引用例1の記載に基づいて当業者が容易になし得ることである。
上記相違点3について検討するに、引用例1には、「この組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合、並びに本発明の冷凍機用作動流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100質量部に対して冷凍機油が好ましくは1~500質量部、より好ましくは2~400質量部である。」と記載されている(摘示事項(1f)参照)ところ、フルオロプロペン冷媒を用いるシステムにおける冷媒相溶性を高水準で達成するという引用例1発明の課題(摘示事項(1b)及び(1c)参照)を解決するために、上記冷媒と冷凍機油との適切な配合割合の最適値を定めることは、当業者なら、実験等により適宜なし得ることといえる。よって、引用例1発明において、「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンなどから選ばれるフルオロプロペン冷媒と、1,1,1,2-テトラフルオロエタンなどから選ばれる飽和ハイドロフルオロカーボン」とからなる冷媒とポリアルキレングリコールとからなる冷凍機油との最適な配合割合を定め、それに基づき、ポリアルキレングリコールを「15%~35%の割合で使用され」とすることは、当業者が容易になし得ることである。
上記相違点4について検討するに、引用例3(摘示事項(3a)参照)、引用例4(摘示事項(4a)参照)、及び引用例5(摘示事項(5a)参照)に記載のとおり、熱伝達流体として、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1,1,1,2-テトラフルオロエタンとを組み合わせたものは知られている(なお、引用例3における「1,1,1,2-テトラフルオロプロペン」が、本願発明における「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン」に相当するものであることは明らかである。)。また、引用例3~5には、当該熱伝達流体をポリアルキレングリコール潤滑剤と組み合わせて熱伝達組成物を構成する点も記載されている(摘記事項(3d)、(4a)、(4b)、(5a)、(5b)参照)。さらに、引用例3には、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1,1,1,2-テトラフルオロエタンとを組み合わせた冷媒が、低GWPの熱伝達組成物を形成することが記載されており(摘示事項(3b)及び(3c)参照)、また引用例4には、当該冷媒が2,3,3,3-テトラフルオロプロペン単独のものよりポリアルキレングリコール潤滑剤との混和性が改善されることが記載されている(摘示事項(4b)参照)。一方、引用例1発明の課題は、上記のとおり、フルオロプロペン冷媒を用いるシステムにおける冷媒相溶性を高水準で達成するというものであり、またフルオロプロペン冷媒を用いるシステムにおいて、低GWPの熱伝達組成物を形成することは自明の課題といえる。
してみると、引用例1発明において、フルオロプロペン冷媒として2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、飽和ハイドロフルオロカーボンとして1,1,1,2-テトラフルオロエタンを選択して、熱伝達流体としてこれらを組み合わせ使用することは、当業者なら容易に想到しうるものと認められる。
また、引用例2には、引用例1と同様に、ポリアルキレングリコール潤滑剤と組み合わせる熱伝達流体として、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの如き不飽和フッ化炭化水素化物と1,1,1,2-テトラフルオロエタンの如き飽和フッ化炭化水素化物との組み合わせが好適なものと記載されているところ(摘示事項(2a)~(2c)参照)、1,1,1,2-テトラフルオロエタンの如き飽和フッ化炭化水素化物の配合量が、冷媒全量(すなわち、熱伝達流体全量)に基づき、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下であることが記載されている(摘示事項(2c)参照)。
よって、引用例1発明における1,1,1,2-テトラフルオロエタンの配合量も熱伝達流体全量に基づき20重量%以下とし、その中で最適化して、「1,1,1,2-テトラフルオロエタンが、組成物に存在する1,1,1,2-テトラフルオロエタンと2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの合計に対して、5~15重量%を占める」ものと規定することは、当業者なら容易に想到しうるものと認められる。
一方、本願発明の作用効果について検討するに、上記相違点1~4の検討からも明らかなように、「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンをベースにした熱伝達流体のポリアルキレングリコール系の潤滑油との混和性を改善し、当該熱伝達流体とポリアルキレングリコール系の潤滑油とを組み合わせた低GWPの熱伝達組成物(優れたエネルギー性能)を提供すること」という「本願発明の課題」の解決は、引用例1~5に基づき、当業者に予測することができたものと認められる。
また、請求人は、審判請求書において、本願発明において1,1,1,2-テトラフルオロエタンの含有量を「5~15重量%」と特定したことによる顕著な混和性改善を主張しているが、そもそも、請求人が審判請求書において指摘している本件出願の明細書段落【0067】の記載をみると、「熱伝達流体におけるHFC-134aの割合は、0.1~5%、5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%、90~95%、または95~99.9%であり得る。」として、5%刻みに広範囲の値が示されているだけで、特に「5~15重量%」という数値範囲における有意性は認められない。
加えて、本件出願の実施例(図1)に基づいて1,1,1,2-テトラフルオロエタンが低濃度で含有される場合の効果について検討しても、上記第4の4で述べたとおり、図1に示される結果は、ポリアルキレングリコールとして「PAG系潤滑油ND8」を用い、その配合量を「17%」とし、その他の成分を全て「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1,1,1,2-テトラフルオロエタン」で構成された熱伝達組成物というただ一つの例に基づくものに過ぎない。よって、本件出願の発明の詳細な説明の他の記載や本件出願の優先日時点での技術常識を参酌しても、この結果のみをもって、本願発明全般が出願人が主張する当業者に予測外の格段の作用効果を奏したものとは言えない。
同様に、平成29年5月10日に提出された意見書における追加の図に基づく主張も、上記第4の5で述べたとおり、参酌することが困難であるか、仮にこれを参酌したとしても非常に限定的な態様に対する効果しか確認できないので、これを加味しても、本願発明全般が出願人が主張する当業者に予測外の格段の作用効果を奏したものとは言えない。
以上のとおりであるから、本願発明は、上記引用例1~5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
本願発明は、本件出願の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではなく、本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。また、本願発明は、上記引用例1~5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件出願は、その他の請求項について検討するまでもなく、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2015-022707