特許拒絶査定不服審判
2015-020014
RGBDカメラを用いた頭部ポーズ推定
- 審判番号
- 2015-020014
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-511389外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年11月06日
- 審決日
- 2016年12月09日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クアルコム,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】黒田 晋平
- 分類
- P18 .57 -Z (G06T) / P18 .113-Z (G06T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-511389「RGBDカメラを用いた頭部ポーズ推定」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月22日国際公開、WO2012/158361、平成26年 7月17日国内公表、特表2014-517392〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2012年(平成24年)5月3日(優先権主張 2011年(平成23年)5月17日 米国,2011年(平成23年)11月22日 米国,2012年(平成24年)4月25日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成26年11月6日付けで拒絶理由が通知され,平成27年2月4日付けで意見書とともに手続補正書が提出され,同年7月1日付けで拒絶査定され,同年11月6日に拒絶査定不服審判が請求され,該請求と同時に手続補正されたものである。
第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年11月6日付け手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の内容
平成27年11月6日付け手続補正(以下「本件補正」という。)によって,特許請求の範囲における記載は,次の[本件補正前]のとおりであったのが,次の[本件補正後]のとおりとなった。(下線は請求人が付与。)
[本件補正前]
【請求項1】
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像をキャプチャするステップと、
前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するステップと、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連する前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記ステップは、
それぞれの複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出するステップと、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点と関連する前記奥行きデータを使用するステップと
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記奥行きデータを使用して、前記頭部のエッジマップを生成するステップと、
前記エッジマップのエッジ上の前記任意の特徴点を消去するステップと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記ステップは、
前記頭部に対する基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供するステップと、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するステップと
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記奥行きデータを使用して前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出するステップと、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックするステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記背景から前記フェイスを抽出する前記ステップは、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算するステップと、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割するステップと
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
被写体の頭部の奥行きデータとともに画像をキャプチャするRGBDカメラ(Red, Green, Blue, Distance camera)と、
前記被写体の前記頭部の前記奥行きデータとともに複合画像を受信する前記RGBDカメラに接続されたプロセッサであって、前記複合画像の中の基準座標フレームを定義し、かつ前記奥行きデータを使用して前記基準座標フレームに関連する前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するように構成される、前記プロセッサと
を含む装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
それぞれの前記複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出し、かつ、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点に関連する前記奥行きデータを使用する構成によって、
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するように構成される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサはさらに、
前記奥行きデータを使用して、前記頭部のエッジマップを生成し、かつ、
前記エッジマップのエッジ上の任意の特徴点を消去する
ように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記頭部に対する基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供し、かつ、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する構成によって、
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するように構成される請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサはさらに、
前記奥行きデータを使用して、前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出し、かつ、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックするように構成される請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算し、かつ、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割するという構成によって、前記背景から前記フェイスを抽出するように構成される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
装置であって、
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像をキャプチャする手段と、
前記複合画像の中の基準座標フレームを定義する手段と、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連する前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定する手段と
を含む装置。
【請求項14】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記手段は、
それぞれの前記複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出する手段と、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点に関連する前記奥行きデータを使用する手段と
を含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記奥行きデータを使用して、前記頭部のエッジマップを生成する手段と、
前記エッジマップのエッジ上の任意の特徴点を消去する手段と
をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記手段は、
前記頭部に対する基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供する手段と、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する手段と
を含む請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記奥行きデータを使用して、前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出する手段と、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックする手段と
をさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記背景から前記フェイスを抽出する前記手段は、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算する手段と、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割する手段と
を含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
プログラムコードを含む非一時的コンピュータ可読記録媒体であって、そこに記録されたプログラムコードは、
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像を受信するプログラムコードと、
前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するプログラムコードと、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連する前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するプログラムコードと
を含む非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項20】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記プログラムコードは、
それぞれの前記複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出するプログラムコードと、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点に関連する前記奥行きデータを使用するプログラムコードと
を含む請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項21】
前記奥行きデータを使用して前記頭部のエッジマップを生成するプログラムコードと、
前記エッジマップのエッジ上の任意の特徴点を消去するプログラムコードと
をさらに含む請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項22】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記プログラムコードはさらに、
前記頭部に対する基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供するプログラムコードと、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するプログラムコードと
を含む請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項23】
前記奥行きデータを使用して、前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出するプログラムコードと、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックするプログラムコードと
をさらに含む請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項24】
前記背景から前記フェイスを抽出する前記プログラムコードは、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算するプログラムコードと、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割するプログラムコードと
を含む請求項23に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
[本件補正後]
【請求項1】
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像をキャプチャするステップと、
前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得し、かつ前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するために前記基準ポーズを使用するステップと、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連するそれぞれの前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記ステップは、
それぞれの複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出するステップと、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点と関連する前記奥行きデータを使用するステップと
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記奥行きデータを使用して、前記頭部のエッジマップを生成するステップと、
前記エッジマップのエッジ上の前記任意の特徴点を消去するステップと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記ステップは、
前記頭部に対する前記基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供するステップと、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するステップと
を含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記奥行きデータを使用して前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出するステップと、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックするステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記背景から前記フェイスを抽出する前記ステップは、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算するステップと、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割するステップと
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
被写体の頭部の奥行きデータとともに画像をキャプチャするRGBDカメラ(Red, Green, Blue, Distance camera)と、
前記被写体の前記頭部の前記奥行きデータとともに複合画像を受信する前記RGBDカメラに接続されたプロセッサであって、前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得し、前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するために前記基準ポーズを使用し、かつ前記奥行きデータを使用して前記基準座標フレームに関連するそれぞれの前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するように構成される、前記プロセッサと
を含む装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
それぞれの前記複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出し、かつ、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点に関連する前記奥行きデータを使用する構成によって、
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するように構成される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサはさらに、
前記奥行きデータを使用して、前記頭部のエッジマップを生成し、かつ、
前記エッジマップのエッジ上の任意の特徴点を消去する
ように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記頭部に対する前記基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供し、かつ、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する構成によって、
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するように構成される請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサはさらに、
前記奥行きデータを使用して、前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出し、かつ、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックする
ように構成される請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算し、かつ、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割するという構成によって、前記背景から前記フェイスを抽出するように構成される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
装置であって、
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像をキャプチャする手段と、
前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得し、かつ前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するための前記基準ポーズを使用する手段と、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連するそれぞれの前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定する手段と
を含む装置。
【請求項14】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記手段は、
それぞれの前記複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出する手段と、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点に関連する前記奥行きデータを使用する手段と
を含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記奥行きデータを使用して、前記頭部のエッジマップを生成する手段と、
前記エッジマップのエッジ上の任意の特徴点を消去する手段と
をさらに含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記手段は、
前記頭部に対する前記基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供する手段と、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する手段と
を含む請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記奥行きデータを使用して、前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出する手段と、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックする手段と
をさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記背景から前記フェイスを抽出する前記手段は、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算する手段と、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割する手段と
を含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
プログラムコードを含む非一時的コンピュータ可読記録媒体であって、そこに記録されたプログラムコードは、
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像を受信するプログラムコードと、
前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得し、かつ前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するために前記基準ポーズを使用するプログラムコードと、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連するそれぞれの前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するプログラムコードと
を含む非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項20】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記プログラムコードは、
それぞれの前記複合画像の中の前記頭部における任意の特徴点を抽出するプログラムコードと、
前記頭部の前記ポーズの前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するために、前記任意の特徴点に関連する前記奥行きデータを使用するプログラムコードと
を含む請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項21】
前記奥行きデータを使用して前記頭部のエッジマップを生成するプログラムコードと、
前記エッジマップのエッジ上の任意の特徴点を消去するプログラムコードと
をさらに含む請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項22】
前記頭部の前記ポーズに関連する前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定する前記プログラムコードはさらに、
前記頭部に対する前記基準ポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルと、カレント方向及びカレント位置とを含む状態を有する拡張カルマンフィルターに、前記任意の特徴点の画像座標及び任意の特徴点に対応する奥行きデータを提供するプログラムコードと、
前記拡張カルマンフィルターを使用して、前記回転行列及び前記並進ベクトルを決定するプログラムコードと
を含む請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項23】
前記奥行きデータを使用して、前記複合画像の中の背景から前記頭部におけるフェイスを抽出するプログラムコードと、
前記背景から前記フェイスを抽出した後、前記複合画像の中の前記フェイスをトラックするプログラムコードと
をさらに含む請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項24】
前記背景から前記フェイスを抽出する前記プログラムコードは、
前記奥行きデータを使用して、それぞれの画像の中の前記フェイスの奥行きを計算するプログラムコードと、
閾値及び前記フェイスの前記奥行きを使用して、前記背景から前記フェイスを分割するプログラムコードと
を含む請求項23に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
2.本件補正の適否
(1) 本願の請求項1に係る発明は,本件補正前においては,「キャプチャするステップ」,「定義するステップ」及び「決定するステップ」を発明特定事項として有していたのに対し,本件補正後においては,「キャプチャするステップ」,「使用するステップ」及び「決定するステップ」を発明特定事項として有するものとなった。
つまり,本願の請求項1に係る発明は,本件補正前に有していた「定義するステップ」が削除され,本件補正後では「使用するステップ」を有するものとなったということができる。
そして,このように請求項1における記載を変更することは,特許法第17条の2第5項に掲げる事項の「請求項の削除」(同項第1号),「特許請求の範囲の減縮」(同項第2号),「誤記の訂正」(同項第3号),「明りょうでない記載の釈明」(同項第4号)のいずれにも該当しないというべきである。
(2) ここで,上記「使用するステップ」について,更に詳しくみると,次のことがいえる。
該「使用するステップ」では,「複合画像の中の基準座標フレームを定義するために基準ポーズを使用する」ことは明白である。
このことは,「基準ポーズを使用する」ことによって「複合画像の中の基準座標フレームを定義する」ことを意味していると解することもできる。
そうすると,上記「使用するステップ」の後半文は,「前記基準ポーズを使用することによって,前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するステップ」と換言できる。
この点において,本件補正は,上記「定義するステップ」に対し更に限定を附したものであると解することもできる。
しかし,上記後半文における「基準ポーズ」は,「複合画像の1つから」取得することによるものであることは,上記「使用するステップ」における前半文から明白である。
このことと,請求項1に係る発明が「方法」に係るものであることを併せみると,本件補正後の請求項1に係る発明は,実質的に「取得する」ステップを更に有することになったといわざるを得ない。
以上のことから,上記「使用するステップ」について,更に詳しくみると,本件補正後の請求項1に係る発明は,実質的に「取得する」ステップを更に有することになる。
そして,このような事項を,実質的に更に有することが,特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項のいずれにも該当しないことは明らかである。
(3) 上記(1)及び(2)に述べたとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項のいずれを目的とするものでもない。
3.本件補正に関するまとめ
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
4.本件補正に関する補足的判断
上記「2.」及び「3.」に述べたとおり,本件補正は,「特許法第17条の2第5項の規定に違反する」ものである。
しかし,仮に,本件補正が,特許請求の範囲の減縮を目的とし,本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものであったとしても,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)は,次の事情によって,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるということができる。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は,次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像をキャプチャするステップと、
前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得し、かつ前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するために前記基準ポーズを使用するステップと、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連するそれぞれの前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するステップと
を含む方法。
(上記「1.本件補正の内容」の[本件補正後]における【請求項1】の記載を再掲。)
(2) 引用文献及び記載事項等
原査定の理由で引用された特表2006-527443号公報(平成18年11月30日国内公表。以下,原査定と同様に「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
ア 記載事項1
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[0001] 本発明は、一般に、リアルタイムコンピュータビジョンに関し、より詳しくは、対象の向きまたは姿勢に関するコンピュータに基づく推定に関する。
イ 記載事項2
【発明の開示】
【0010】
発明の要約
[0010] 運転者などの対象の向きを推定するコンピュータに基づく方法の一実施形態は、タイムオブフライトカメラからの奥行き画像データを用いる。本実施形態によれば、対象を捕捉している奥行き画像のフィードを受ける。奥行き画像は、画像のピクセルに対するピクセル奥行き情報を含む。画像の最初の1セットに基づいて、各画像と対応する向きの尺度との間の相関関係が決定される。前記画像のセットは、特定用途に関する前記対象の1セットの向きを表している。この相関関係は、画像と、その画像の中に捕捉された対象の向きを表す対応する向きの尺度との間の対応を提供する。その後、前記対象の画像のセットと前記相関関係は保存される。前記対象の現在の奥行き画像と保存された画像のセットとの間の外観に基づく比較がなされ、現在の奥行き画像の中に捕捉された対象の現在の向きを表す対応する向きの尺度が、前記相関関係に基づいて決定される。
ウ 記載事項3
【0020】
[0036] ここで図("Fig.")1Aを参照すると、向きの推定システムの構成の一実施形態が示されている。本実施形態の向きの推定システム100は、奥行き検出技術を用いる。奥行き検出技術は、飛行時間(time-of-flight)原理に基づいている。この技術を用いるカメラは、タイムオブフライトカメラとして知られている。本実施形態では、カメラ102の画像捕捉方法は、タイムオブフライトカメラを用いたアクティブ検出に基づいている。アクティブ奥行き検出は、赤外線照射のパルスを用いて実行される。パルスは対象104の向きに投射され、検出器が対象104から反射されるエコー信号を読み取る。さらに、カメラ102は、その信号が検出器に入射できる対象の検出範囲を制御する高速シャッタを有する。遠くの物体106に対しては、そのエコー信号は、シャッタが閉じられた後にのみ、カメラ102の検出器に達することができる。したがって、その対応する物体106の信号は全く記録されない(その結果、背景にある物体のほとんどは、記録されるシーンから消失する)。奥行き検出カメラ102のこの特徴は、奥行きウィンドウ108で示される動作範囲[Dmin,Dmax]を供するという点で役立つ。奥行き情報は、この動作範囲または奥行きウィンドウ108内の物体(例えば対象104)に対してのみ記録される。奥行きウィンドウ108を超えた他の物体106は、シャッタが閉じた後に、そのエコー信号がカメラに達するため、奥行きデータを生成することはない。この
独特の特徴は、撮像される対象104のすぐ後ろにDmaxを設定することによって、背景のクラッターを除去する(すなわち、奥行きDmaxを超えた所に存在する物体108は何であれそれを無視する)。
【0021】
[0037] 奥行きカメラ102は、一般に奥行きビデオデータと呼ばれる、ハイブリッド画像データを生成する。ハイブリッド画像データまたは奥行きビデオは、奥行きおよび色情報を、リアルタイムで同一の光軸を用いて同時に捕捉することによって生成される。画像レートは変化しうるが、システム100の一実施形態は、毎秒14フレームのビデオストリームで作動する。図2A、図2B、および図2Cは、奥行きカメラ102からの出力フレーム200の具体例を示す。この説明の文脈において、色情報は、「白黒」(グレースケール)データ、および一般に色データと呼ばれるもの(例えば、RGB/カラー)を含むものとする。例えば、ここで図2Bを参照すると、ハイブリッド画像200cの色情報部分210は、従来のデジタル画像と同様であり、すなわち、「色」および関連情報はピクセル毎に供される。ハイブリッド画像200cの奥行き情報部分212は、ピクセル毎の奥行き値を含み、各ピクセルは、さらに後述するように、さまざまに異なるレベルの輝度により視覚的に表現されている。
エ 記載事項4
【0026】
[0042] 図3Aは、向きの推定システムの一実施形態の動作方法のフローチャートを示す。本実施形態では、向きの推定方法300は、奥行き検出ビデオ入力などの奥行きデータを含む1セットのハイブリッド画像またはハイブリッド画像ストリームに対して動作する。システムに奥行き画像データの入力301がなされる。その向きを推定する対象に対応する画像のピクセルの位置を判定するために、画像セグメント化および追跡303が実行される。方法300は2つのモードで動作する。進み方を選択するために、モード決定305がなされる。例えば、方法300は、最初に、一定の訓練期間の間、訓練モードで動作する。この訓練期間は、時間、フレーム数、選択可能な指標などに基づいて決定することができる。
【0027】
[0043] 訓練モード310で動作中、現在のフレームが記録または保存される312。前記モード決定に基づいて、方法は、現在のフレームが記録されるべき最後の訓練フ
レームであるか否かの判定314を行う。例えば、最大数のフレームの最後のフレーム、または訓練期間内の最後のフレーム、または特定数の姿勢に対して必要とされる最後のフレームなどである。その後、方法は、訓練フレームが姿勢/向き情報を含むか否かのチェック316を行う。向きがわかる場合、例えば、対象が各フレームに対して所定の姿勢に配置されているとき、姿勢曲線を導出するために、保存されたフレームの分析が実行される318。向きがわからない場合、主要姿勢が決定されて320、各訓練フレームに対する向きの値を決定する322ためにフレームが最初から最後まで繰り返される。向きが判明すると、推定プロセスの間使用される姿勢曲線を導出するため、前記同様の分析が実行される318。
【0028】
[0044] 訓練モードが完了して、例えば、姿勢曲線が計算された後に、モード変更フラグが設定されると、後続のフレームに対するモードのチェック305のときに、方法は推定モード340に進む。推定モード340では、分類装置に基づく姿勢を決定するために、現在のフレームが、保存された訓練セットと比較される342。現在のフレームに対する姿勢が出力される344。
オ 記載事項5
【0049】
3次元動きの復元
[0065] 向き検出システムの他の態様には、奥行き画像データに基づく三次元の回転推定がある。二次元(「2D」)オプティカルフローから三次元(「3D」)の動きを復元することは、本質的に曖昧な作業である。図5を参照すると、一般化されたオプティカルフロー図が、この問題を説明するために示されている。説明のために、対象501を人間の頭部と仮定するが、それは任意の剛性物体でありうる。人間が動き回るとき、対象501の各点503は、第1の位置Aから第2の位置Bまで移動する。画像シーケンスの第1のフレームは、位置Aの点503に対応しており、後続のフレームは、位置Bの点503に対応している。画像データから得られる2Dオプティカルフロー505からのこのような画像シーケンスから、3D頭部動き推定を確定することは、曖昧性という問題を提示する。遠い距離における位置Aから位置Bまでの対象501の回転は、位置Aから位置B’までの像平面に平行な並進運動によって生じるものと同様の2次元フロー場を生じる。したがって、3D動き推定は、回転および並進の選択肢を判別することができない。この曖昧性の問題に対処するために、奥行きに基づくオプティカルフロー分析法の一実施形態は、シーケンス中の2つの奥行き画像の間の奥行き変化に基づいて、並進または回転の2つの選択肢の内の1つを除去するための奥行き情報の拘束条件を有する。
【0050】
[0066] したがって、本実施形態の相対動き推定は、画像シーケンスItから回転角Et={αt,βt,γt}での対象の向きを導出する。システムは、t=0において主要姿勢または基準となる向きで初期化される。主要姿勢は上述したように決定される。この初期時間では、初期の回転角は0(フレームI0における基準となる向き)に設定される。例えば、運転者頭部姿勢推定システムでは、正面姿勢は、t=0において初期の0度の向きに対応している。収集されたM個のフレームの各々に対応するEtによって与えられる既知の向きを有する対象のM個の基準画像{x1,x2,…,xM}のセットを収集するために、次のプロセスが使用される。
【0051】
[0067] 最初に、2Dオプティカルフロー505(ui,vi)が、画像データから推定される。2つの連続したフレーム(It-1およびIt)の間のターゲット領域(「テクスチャーウィンドウ(textured window)」)の疎らな動き場は、Tomasi-Kanadeアルゴリズムを用いて推定される。このアルゴリズムの詳細については、TomasiおよびKanade著「点特徴の検出および追跡(Detection and Tracking of Point Features)」(Carnegie Mellon University Tech. Report CMU-CS-91-132, April 1991)を参照すること。
【0052】
[0068] 次に、2つの連続したフレームの間の回転(Rt={Δα,Δβ,Δγ})および並進パラメータが、2D動き場および奥行き画像データから導出された奥行き拘束条件を用いて推定される。この3D動き推定方法は、以下に記述する。
【0053】
[0069] (Tx,Ty,Tz,α,β,γ)で定義された(x,y,z)における3D微小動きは、像平面上に2D動きオプティカルフロー(Δx,Δy)を生じさせる。これらは以下のように関係づけられる(Fは、奥行きカメラ202の焦点長である)。
既知の変数は以下の通りである。
(x,y):オプティカルフロー点の位置
(u,v):オプティカルフロー
F:カメラ焦点長
Z:奥行き画像から得られる奥行き
未知の変数は以下の通りである。
(TX,TY,TZ):3D動きの並進
(α,β,γ):3D動きの回転角
【0054】
[0070] 上の等式を以下のようにしてHx=bと表記できる。
ここで、bは、ある特定の特徴点に対する2D動きベクトルである。
【0055】
[0071] この等式を用いて、以下のように3D頭部動きを復元するための最適基準を構成できる。
ここで、Nは追跡される特徴点の個数である。H(i)およびb(i)は、i番目の特徴点によって形成される。f(x)はコスト関数である。実験的に、f(x)=?x?を用いた最小絶対値法は、f(x)=x2を用いた最小二乗法より安定した解を与える。
【0056】
[0072] 最小絶対値法の非線形最適化問題に対して、NelderおよびMeadのシンプレックスサーチが用いられる。Nelder-Meadのシンプレックスサーチの詳細については、NelderおよびMead著「関数最小化のためのシンプレックス法(A Simplex Method for Function Minimization)」(Computer Journal, vol. 7, pp. 308-313, 1965)を参照すること。この文献では、6次元パラメータ空間において7個の点を選択することによって、初期シンプレックスを定義する。そして鏡像、収縮、および拡張と呼ばれる3つの操作が、構成シンプレックスに基づいて初期シンプレックスに適用される。変化が十分小さいとき、反復は終了する。本実施形態は、頭部追跡システムに関して記述してきたが、同一の原理は、物体の追跡全般に適合する。
【0057】
[0073] ここで図6Aを参照すると、運転者頭部姿勢推定システムに対するサンプル画像が示されている。対象頭部は、正面姿勢で示されている。画像200では、10個の特徴点601a-601j(総じて601)が、オプティカルフロー分析の基礎として機能しうる顔面の顕著な特徴から選択される。図6Bは、対象に対するハイブリッドデータ(色および奥行き)を有する奥行きカメラフィードからのフレームを示す。ハイブリッド奥行きフレーム200dの両方の部分(210および212)では、N個の点601のセットが、オプティカルフロー分析のために表示されている。図6Aと比較すると、図6Bで示された特徴点601の個数が多いほど、推定器の精度は高くなる。しかしながら、より高い精度は、処理時間の犠牲の上に成り立つ。したがって、時間応答と個々の用途に要求される精度の間のバランスが、特徴点601の最適個数を決定する。
【0058】
[0074] 最初の訓練期間の間に、M個のフレームが収集されるとき、対応する向きが、x1に対する最初の基準となる向きI0≡E0=(0,0,0)から始まる各フレームを有する回転角における単純な増分値としての回転量の増分を用いて以下のように計算される。
Et=Et-1+Rt
t=t+1
カ 上記の記載に関する当審注
(注1) 上記の引用文献1記載において,「[0069]」などのように「[」及び「]」で数字を囲んだ記載がある。
該引用文献1は外国語特許出願(国際公開第2004/111687号(WO2004/111687 A2)参照。)の翻訳文を国内公表したものであり,これらの記号は,該外国語特許出願の原文において用いられた段落番号を示す記号である。
(注2) 上記【0055】における「f(x)=?x?」との記載は,上記(注1)に記した外国語特許出願の原文には「f(x)=|x|」と記されている。
キ 図面記載事項
図5(FIG5)として次の記載がある。
ク 引用文献1記載発明
上記の引用文献1における記載によると,引用文献1には,次の発明(以下「引用文献1記載発明」という。)が記載されているといえる。
運転者などの対象の向きまたは姿勢に関するコンピュータに基づく推定に関する方法であって,
奥行きカメラ102は、一般に奥行きビデオデータと呼ばれる,ハイブリッド画像データを生成し,
ハイブリッド画像データまたは奥行きビデオは、奥行きおよび色情報を、リアルタイムで同一の光軸を用いて同時に捕捉することによって生成され,
画像レートは変化しうるが、システム100の一実施形態は、毎秒14フレームのビデオストリームで作動し,
色情報は、「白黒」(グレースケール)データ、および一般に色データと呼ばれるもの(例えば、RGB/カラー)を含むものとし,
画像シーケンスItから回転角Et={αt,βt,γt}での対象の向きを導出し,
システムは、t=0において主要姿勢または基準となる向きで初期化され,
この初期時間では、初期の回転角は0(フレームI0における基準となる向き)に設定され,
運転者頭部姿勢推定システムでは、正面姿勢は、t=0において初期の0度の向きに対応し,収集されたM個のフレームの各々に対応するEtによって与えられる既知の向きを有する対象のM個の基準画像{x1,x2,…,xM}のセットを収集するために、次のプロセスが使用され,
最初に、2Dオプティカルフロー505(ui,vi)が、画像データから推定され,2つの連続したフレーム(It-1およびIt)の間のターゲット領域(「テクスチャーウィンドウ(textured window)」)の疎らな動き場は、Tomasi-Kanadeアルゴリズムを用いて推定され,
次に、2つの連続したフレームの間の回転(Rt={Δα,Δβ,Δγ})および並進パラメータが、2D動き場および奥行き画像データから導出された奥行き拘束条件を用いて推定される
方法。
(3) 対比
本件補正発明と引用文献1記載発明を比較すると次のことがいえる。
ア 引用文献1記載発明における「奥行きカメラ」が生成する「ハイブリッド画像」は,本件補正発明における「複合画像」に相当する。そして,上記「ハイブリッド画像」は,「奥行きおよび色情報を、リアルタイムで同一の光軸を用いて同時に捕捉することによって生成される」。
更に,上記「奥行きカメラ」が生成する「対象」は,「運転者頭部」であることは明らかである。そうすると,該「対象」は「被写体」といいうるものである。
これらのことから,引用文献1記載発明には,本件補正発明における「被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像をキャプチャするステップ」が記載されているということができる。
イ 引用文献1記載発明は,「最初に、2Dオプティカルフロー505(ui,vi)が、画像データから推定され,2つの連続したフレーム(It-1およびIt)の間のターゲット領域(「テクスチャーウィンドウ(textured window)」)の疎らな動き場は、Tomasi-Kanadeアルゴリズムを用いて推定され」る構成(以下「構成1」という。)と,「次に、2つの連続したフレームの間の回転(Rt={Δα,Δβ,Δγ})および並進パラメータが、2D動き場および奥行き画像データから導出された奥行き拘束条件を用いて推定される」構成(以下「構成2」という。)を有している。
(ア) 上記構成1及び2によると,「2Dオプティカルフロー」が,「2つの連続したフレーム(It-1およびIt)」を基に推定されるものであることは明らかである。
ここで,「オプティカルフロー」が「画像上のある点の動きを表したベクトル」を意味するものであることは技術常識である。そして,このような「ベクトル」が「座標」を基にした表記ができるものであることもまた技術常識といい得る事項である。
これら技術常識を踏まえると,フレーム(It-1)又はフレーム(It)のいずれか一方が「基準」の「フレーム」となり,「基準」とした「フレーム」を「座標」の基礎とし,上記のような「2Dオプティカルフロー」を推定しようとすることは当然であるといえる。
これらのことから,引用文献1記載発明においては,「2Dオプティカルフロー」を推定するのに,「ハイブリッド画像」の中の「フレーム」を「基準」として使用し「基準座標フレーム」として定義しているということができる。
(イ) 上記フレーム(It-1)及びフレーム(It)のいずれにも,「運転者などの対象の姿勢」が,「奥行きカメラ」によって捕捉されている。
そうすると,上記のような「基準座標フレーム」に捕捉されている「姿勢」は「基準ポーズ」ということができる。
(ウ) 上記(ア)及び(イ)から,引用文献1記載発明には,本件補正発明における「前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得」することが記載されているということができる。
(エ) 上記(イ)に述べたように,「基準」となった「フレーム」には「基準ポーズ」が捕捉されているのであるから,該「フレーム」を上記(ア)に述べたように「基準」として使用することは,「基準ポーズ」を使用することと言い換えることができる。
そして,上記(ア)に述べたように,引用文献1記載発明には,「「ハイブリッド画像」の中の「フレーム」を「基準」として使用し「基準座標フレーム」として定義している」ということのできる構成が記載されている。
これらのことから,引用文献1記載発明には,本件補正発明における「複合画像の中の基準座標フレームを定義するために基準ポーズを使用する」ことが記載されているということができる。
(オ) 以上,(ア)から(エ)に述べとおりであるから,引用文献1記載発明には,「複合画像の1つから被写体の頭部に対する基準ポーズを取得し、かつ前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するために前記基準ポーズを使用するステップ」が記載されているということができる。
ウ 引用文献1記載発明は,上記「イ」において検討した構成2を有している。該構成2について更にみると次のことがいえる。
(ア) 上記構成2では,「回転」及び「並進パラメータ」の推定に,「奥行き拘束条件」が用いられていることは明白である。
このように,「奥行き拘束条件」が用いられることから,引用文献1記載発明には,「奥行きデータを使用して」,「回転及び並進パラメータを決定する」ことが記載されているということができる。
(イ) ここで,上記「回転」が「3Dの動きの回転角」を意味し,また,上記「並進パラメータ」が「3Dの動きの並進」を意味することは,引用文献1における記載(上記(2)における「オ 記載事項5」の【0052】参照。)から明らかである。
そして,このような「3Dの動き」の「回転角」,「並進」が,それぞれ「回転行列」,「並進ベクトル」ということができるのは,引用文献1【0053】における「(Tx,Ty,Tz,α,β,γ)で定義された(x,y,z)における3D微小動き」等の記載(上記「(2) 引用文献及び記載事項等」の「オ 記載事項5」参照。)から明らかである。
(エ) 上記(ア)及び(イ)より,引用文献1記載発明には,「奥行きデータを使用して」,「回転角及び並進ベクトルを決定する」ことが記載されているということができる。
(オ) 引用文献1記載発明において,「回転」及び「並進パラメータ」は「2つの連続したフレーム(It-1およびIt)」間のものである。
このことから,これら「回転」及び「並進パラメータ」は「フレーム」に関連するものであるということができる。
そして,上記「イ」において検討したように,該「2つの連続したフレーム(It-1およびIt)」のいずれか一方は,「基準座標フレーム」といい得るものである。
これらから,引用文献1記載発明における「回転」及び「並進パラメータ」が「基準座標フレーム」に関連するものであるということもできるのは当然である。
また,「2つの連続したフレーム(It-1およびIt)」のそれぞれに,「運転者の頭部の姿勢」が「ハイブリッド画像データ」として生成されていることは明らかである。
そうすると,「回転」及び「並進パラメータ」は,それぞれのハブリッド画像データの中の運転者頭部の姿勢に関連するものであるということができる。
以上のことにより,引用文献1記載発明における「回転」及び「並進パラメータ」が,「基準座標フレーム」に関連するものであって,「それぞれのハイブリッド画像データの中の運転者頭部の姿勢」に関するものであることが記載されているということができる。
(カ) 上記(エ)及び(オ)に述べたことを総合すると,引用文献1記載発明には,本件補正発明における「奥行きデータを使用して、基準座標フレームに関連するそれぞれの複合画像の中の頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するステップ」が記載されているということができる。
(4) 本件補正に関する補足的判断のまとめ
以上のとおりであるから,引用文献1記載発明には,本件補正発明が記載されているということができる。
したがって,本件補正発明は,特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し,特許を受けることができない。
よって,本件補正が,仮に,特許法第17条の2第5項に掲げる「特許請求の範囲の減縮」(同項第2号)に該当するとしても,本件補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであることになるので,上記[補正却下の決定の結論]に影響しない。
第3 本願発明
上記「第2」において述べたように,本件補正は却下された。
そうすると,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成27年2月4日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであって,上記「第2」の「1.本件補正の内容」における[本件補正前]の請求項1に記載されたとおりの次のとおりのものである。
【請求項1】
被写体の頭部の奥行きデータとともに複合画像をキャプチャするステップと、
前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するステップと、
前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連する前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するステップと
を含む方法。
(上記[本件補正前]における記載を再掲。)
第4 当審の判断
1.引用文献及び記載事項
「引用文献1」及びその記載事項は,上記「第2」の「4.本件補正に関する補足的判断」における「(2) 引用文献及び記載事項等」に記載したとおりである。
そして,引用文献1記載発明も,上記「(2) 引用文献及び記載事項等」における「ク 引用文献1記載発明」に記載した,次のとおりのものである。(再掲)
運転者などの対象の向きまたは姿勢に関するコンピュータに基づく推定に関する方法であって,
奥行きカメラ102は、一般に奥行きビデオデータと呼ばれる,ハイブリッド画像データを生成し,
ハイブリッド画像データまたは奥行きビデオは、奥行きおよび色情報を、リアルタイムで同一の光軸を用いて同時に捕捉することによって生成され,
画像レートは変化しうるが、システム100の一実施形態は、毎秒14フレームのビデオストリームで作動し,
色情報は、「白黒」(グレースケール)データ、および一般に色データと呼ばれるもの(例えば、RGB/カラー)を含むものとし,
画像シーケンスItから回転角Et={αt,βt,γt}での対象の向きを導出し,
システムは、t=0において主要姿勢または基準となる向きで初期化され,
この初期時間では、初期の回転角は0(フレームI0における基準となる向き)に設定され,
運転者頭部姿勢推定システムでは、正面姿勢は、t=0において初期の0度の向きに対応し,収集されたM個のフレームの各々に対応するEtによって与えられる既知の向きを有する対象のM個の基準画像{x1,x2,…,xM}のセットを収集するために、次のプロセスが使用され,
最初に、2Dオプティカルフロー505(ui,vi)が、画像データから推定され,
2つの連続したフレーム(It-1およびIt)の間のターゲット領域(「テクスチャーウィンドウ(textured window)」)の疎らな動き場は、Tomasi-Kanadeアルゴリズムを用いて推定され,
次に、2つの連続したフレームの間の回転(Rt={Δα,Δβ,Δγ})および並進パラメータが、2D動き場および奥行き画像データから導出された奥行き拘束条件を用いて推定される
方法。
2.対比及び検討
本願発明は,本件補正発明を特定する事項である<1>「前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得し、かつ前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するために前記基準ポーズを使用するステップ」から,「前記複合画像の1つから前記被写体の前記頭部に対する基準ポーズを取得」するとの記載と,「前記複合画像の中の基準座標フレームを定義する」のに「前記基準ポーズを使用する」との記載を省き,「前記複合画像の中の基準座標フレームを定義するステップ」となり,<2>更に,同じく「前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連するそれぞれの前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するステップ」から,「それぞれの」との記載を省き,「前記奥行きデータを使用して、前記基準座標フレームに関連する前記複合画像の中の前記頭部のポーズに関連する回転行列及び並進ベクトルを決定するステップ」となったものである。
このように,本願発明は,本願補正発明を特定される事項として記載された事項の一部を省いたものであるといえる。
そして,このことと,上記「第2」の「4.本件補正に関する補足的判断」における「(3) 対比」に述べたこととを総合してみると,本願発明は,引用文献1記載発明に記載された発明であるといわざるを得ないものである。
したがって,本願発明は,特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し,特許を受けることができないものである。
第5 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し,特許を受けることができないものである。
したがって,他の請求項について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2015-020014