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特許拒絶査定不服審判

2015-017730

ローカルコンピューティング環境での無線電力の利用

審判番号
2015-017730
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-078944
請求日
2015年09月29日
審決日
2017年07月27日
公報発行日
2018年02月23日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アップル インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】大塚 康徳
  • 【請求人代理人】大塚 康弘
  • 【請求人代理人】高柳 司郎
  • 【請求人代理人】木村 秀二
  • 【請求人代理人】下山 治
  • 【請求人代理人】永川 行光
審判長/審判官
  • 審判長 中川 真一
  • 審判官 堀川 一郎
  • 審判官 矢島 伸一
分類
P18 .55 -WZ (H02J) / P18 .536-WZ (H02J) / P18 .537-WZ (H02J) / P18 .561-WZ (H02J) / P18 .572-WZ (H02J) / P18 .575-WZ (H02J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第159条第1項、特許法第17条の2第6項、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第53条第1項、特許法第53条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014- 78944「ローカルコンピューティング環境での無線電力の利用」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日出願公開、特開2014-195400〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 本願は、2010年11月10日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理、2009年11月17日:米国)を国際出願日とする特願2012-538950号の一部を平成26年4月7日に新たな出願としたものであって、平成27年5月27日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成27年6月1日)、これに対し、平成27年9月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成28年6月13日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年6月17日)、これに対し、平成28年9月20日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成28年12月6日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年12月9日)、これに対し、平成29年3月9日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2.平成29年3月9日付の手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年3月9日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由I] (1)補正の内容 本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。 「【請求項1】 ハイブリッド電力回路であって、 無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路と、 第1の充電容量を有する短期間蓄積デバイスと、 前記第1の充電容量より大きい第2の充電容量を有する長期間蓄積デバイスと、を備え、 前記長期間蓄積デバイスは、 (A)前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下であることを前記ワイヤレス電源へ示す前記情報にしたがって前記回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップと、 (B)前記短期間蓄積デバイスに、前記回路において無線により受信された前記電力に相当する充電量を蓄積するステップと、 (C)前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、 前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動するステップと、 (D)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで、上記(B)のステップと(C)のステップとを繰り返すステップと、 (E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、 前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップと にしたがって充電される ことを特徴とするハイブリッド電力回路。 【請求項2】 前記短期間蓄積デバイスはウルトラキャパシタであり、前記長期間蓄積デバイスはリチウムイオンポリマ(LiPO)バッテリであることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項3】 前記短期間蓄積デバイスは、コンデンサ充電回路と前記コンデンサ充電回路から前記長期間蓄積デバイスへ前記蓄積された充電量をコンデンサ電圧に従って移動するように構成された電圧感知スイッチと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項4】 前記無線により受信される電力は、前記短期間蓄積デバイスを充電するのに十分であり、前記長期間蓄積デバイスを充電するための電力よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項5】 前記回路は、近距離場磁界共鳴(NFMR)電源から無線により電力を受信するように構成された可変同調共振回路を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項6】 前記可変同調共振回路は、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つに同調するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項7】 前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されるよう構成されていることを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項8】 更に、電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項9】 前記回路は、送信アンテナの近距離場内の距離で無線により電力を受信するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項10】 無線によりバッテリを充電する方法であって、ハイブリッド電力回路において、 バッテリの充電量がバッテリのバッテリ充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報にしたがって、前記ハイブリッド電力回路の回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップであって、前記ハイブリッド電力回路は短期間蓄積デバイスを含む、前記ステップと、 前記回路において前記ワイヤレス電源から無線により電力を受信するステップと、 前記回路において無線により受信した前記電力に相当する充電量を前記短期間蓄積デバイスに蓄積するステップと、 前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記短期間蓄積デバイスの充電容量の閾値に達するとき、 前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記バッテリへ移動するステップと、 前記バッテリへ前記蓄積された充電量が前記バッテリ充電容量の前記閾値に達するとき、 前記ワイヤレス電源から受信された電力を前記回路を介して更なる回路の少なくとも一つへ再共振するステップと、を 備えることを特徴とする方法。 【請求項11】 前記ハイブリッド電力回路の前記回路へ前記ワイヤレス電源を結合するステップは、前記回路の共振回路を近距離場磁界共鳴(NFMR)電源の近距離場内の結合モードと結合することを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。 【請求項12】 前記短期間蓄積デバイスはコンデンサであることを特徴とする請求項11に記載の方法。 【請求項13】 前記ワイヤレス電源の前記短期間蓄積デバイスに対する負荷率を変更し、前記変更された負荷率に基づいて前記ワイヤレス電源と前記ハイブリッド電力回路との間で通信チャンネルを確立するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の方法。 【請求項14】 前記ワイヤレス電源と前記ハイブリッド電力回路との間で通信チャンネルを確立するステップは、前記ワイヤレス電源と前記ハイブリッド電力回路との間で通信プロトコルを確立することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。 【請求項15】 電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供することをさらに含むことを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の方法。」 本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。 「【請求項1】 ハイブリッド電力回路であって、 無線により電力を受信し、更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって、前記更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する、前記回路と、 第1の充電容量を有する短期間蓄積デバイスと、 前記第1の充電容量より大きい第2の充電容量を有する長期間蓄積デバイスと、を備え、 前記長期間蓄積デバイスは、 (A)前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下であることを前記ワイヤレス電源へ示す前記情報にしたがって前記回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップと、 (B)前記短期間蓄積デバイスに、前記回路において無線により受信された前記電力に相当する充電量を蓄積するステップと、 (C)前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、 前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動するステップと、 (D)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで、上記(B)のステップと(C)のステップとを繰り返すステップと、 (E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、 前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップと にしたがって充電される ことを特徴とするハイブリッド電力回路。 【請求項2】 前記短期間蓄積デバイスはウルトラキャパシタであり、前記長期間蓄積デバイスはリチウムイオンポリマ(LiPO)バッテリであることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項3】 前記短期間蓄積デバイスは、コンデンサ充電回路と前記コンデンサ充電回路から前記長期間蓄積デバイスへ前記蓄積された充電量をコンデンサ電圧に従って移動するように構成された電圧感知スイッチと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項4】 前記無線により受信される電力は、前記短期間蓄積デバイスを充電するのに十分であり、前記長期間蓄積デバイスを充電するための電力よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項5】 前記回路は、近距離場磁界共鳴(NFMR)電源から無線により電力を受信するように構成された可変同調共振回路を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項6】 前記可変同調共振回路は、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つに同調するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項7】 前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されるよう構成されていることを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項8】 更に、電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項9】 前記回路は、送信アンテナの近距離場内の距離で無線により電力を受信することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のハイブリッド電力回路。 【請求項10】 ハイブリッド電力回路において無線によりバッテリを充電する方法であって、前記ハイブリッド電力回路は、無線で電力を受信し、更なる回路へ電力を再共振する回路と、第1の充電容量を有する短期間蓄積デバイスと、前記第1の充電容量より大きい第2の充電容量を有する長期間蓄積デバイスと、を備えており、前記方法は、 バッテリの充電量がバッテリのバッテリ充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報にしたがって、前記ハイブリッド電力回路の回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップであって、前記ハイブリッド電力回路は短期間蓄積デバイスを含む、前記ステップと、 前記回路において前記ワイヤレス電源から無線により電力を受信するステップと、 前記回路において無線により受信した前記電力に相当する充電量を前記短期間蓄積デバイスに蓄積するステップと、 前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記短期間蓄積デバイスの充電容量の閾値に達するとき、 前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記バッテリへ移動するステップと、 前記バッテリへ前記蓄積された充電量が前記バッテリ充電容量の前記閾値に達するとき、 前記ワイヤレス電源から受信された電力を、前記回路を介して前記更なる回路の少なくとも一つへ再共振するステップと、を 備えることを特徴とする方法。 【請求項11】 前記ハイブリッド電力回路の前記回路へ前記ワイヤレス電源を結合するステップは、前記回路の共振回路を近距離場磁界共鳴(NFMR)電源の近距離場内の結合モードと結合することを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。 【請求項12】 前記短期間蓄積デバイスはコンデンサであることを特徴とする請求項11に記載の方法。 【請求項13】 前記ワイヤレス電源の前記短期間蓄積デバイスに対する負荷率を変更し、前記変更された負荷率に基づいて前記ワイヤレス電源と前記ハイブリッド電力回路との間で通信チャンネルを確立するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の方法。 【請求項14】 電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供することをさらに含むことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。」 (2)新規事項 (2-1)本件補正後の請求項1には、「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信し、更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって、前記更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する、前記回路」と記載されているから、ハイブリッド電力回路は、無線により電力を受信し更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する回路の機能を有することとなる。 そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、 A「【図3】実施形態に係る代表的なハイブリッド電力回路を示す図である。」(【0013】) B「図3は、実施形態に係る代表的なハイブリッド電力回路300を示す。説明するように、ハイブリッド電力回路300は、NFMR電源の低電力供給機能を、リチウムイオンポリマ(LiPO)電池等の長期間蓄積デバイスに対して必要な大電力要求にマッチできる。携帯電話及びポータブルメディアプレーヤ等の機器のバッテリは、充電のためにNFMR電源から入手可能な電力量より大きな相対的に大きな電力量を必要とする。従って、NFMR電源を使用してLiPO等のこれらの大容量バッテリを充電することは困難である。しかし、NFMR電源により供給された電力で充電される短期間電荷蓄積デバイス(例えば、コンデンサ及びウルトラコンデンサ等)は、バッテリに渡される前に電荷を一時的に蓄積するために使用される。このように、十分な電荷が短期間電荷蓄積デバイスに蓄積されると、蓄積された電荷は、長期間電荷蓄積デバイス(例えば、LiPO電池)を充電するために使用される。例えば図3は、コンデンサ302、コンデンサ充電回路304(NFMR電源から電力Pを受信できる)、長期間蓄電ユニット306(バッテリ306の形態をとりうる)及びバッテリ充電回路308を有する代表的なハイブリッド電力回路300を示す。実施形態において、NFMR電源により供給された電力Pはコンデンサ302を「トリクル(trickle)」充電できる。十分な電荷がコンデンサ302に蓄積されると、コンデンサ充電回路304は、コンデンサ電圧VCを感知し、バッテリ充電回路308を介してフル充電されたコンデンサ302をバッテリ306に切り替える。このように、コンデンサ302に蓄積された電荷Qは、バッテリ306の電荷を増加させるために使用される。コンデンサ302は、放電される(コンデンサ充電回路304により判定されたように)と、NFMR電源から電力Pを再度受信できる。」(【0021】) とあるのみで、図3に示される回路がハイブリッド電力回路300であること、NFMR電源により供給された電力をハイブリッド電力回路が短期間電荷蓄積デバイスを使用して長期間電荷蓄積デバイスを充電することは記載はあるものの、ハイブリッド電力回路が、無線により電力を受信し更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する回路の機能を有することは明細書を参照しても記載も示唆も無い。 なお、請求人は、平成29年3月9日付意見書において、「しかし、補正後の請求項1に規定したように、請求項1の「ハイブリッド電力回路」は、「無線により電力を受信し、更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する、前記回路と、第1の充電容量を有する短期間蓄積デバイスと、前記第1の充電容量より大きい第2の充電容量を有する長期間蓄積デバイスと」、を備えています。請求項1の「ハイブリッド充電回路」は単なる「コンデンサ充電回路」ではなく、請求項1に規定された構成を持つ回路です。つまり電力を受信し他の機器へ送信できる機器を意味します。例えば段落0019のキーボードです。機器が無線により電力を受信する構成は段落0016や0017に記載があります。機器が別の機器へ電力を再共振により供給することは段落0018、0019に記載があります。また段落0024、0025には機器間で電力供給に関する通信を行うことが記載されています。したがって、上記請求項1に係る構成は当初明細書に記載の範囲内のものと思量します。」と主張するが、請求人が上記意見書の上記記載で補正の根拠箇所とする段落の記載は、共振回路又は再共振回路を説明するものであってハイブリッド電力回路の説明ではなく、又、ハイブリッド電力回路のコンデンサ充電回路304がNFMR電源により供給された電力Pを受信することのみが記載されて送信することは一切記載されていないから(B参照)、ハイブリッド電力回路が請求項1に規定された構成を持つ回路であるという請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件補正後の請求項1に記載された「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信し、更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって、前記更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する、前記回路」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。本件補正後の請求項10も同様である。 (2-2)本件補正後の請求項1には、「(E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップ」と記載されているから、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値に達すれば、他の条件にかかわらず更なる回路の少なくとも1つへワイヤレス電源から受信された電力を再共振することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路が、長期間蓄積デバイスの充電量が、請求項1(A)に記載の第2の充電容量の閾値(閾値は「フル充電」には限られない)と同じ値である第2の充電容量の閾値に達するとき、更なる回路の少なくとも1つへワイヤレス電源から受信された電力を再共振することは記載も示唆もない。 なお、請求人は、平成29年3月9日付意見書において、「この点については、段落0019のキーボードとマウスの間での電力の送信とキーボードがフル充電されたときにキーボードが充電回路から切り離されるとの記載から、開示されていると思量します。」と主張するが、そもそも【0019】はハイブリッド電力回路を説明するものではなく、しかも【0019】には、「この例において、キーボード206のバッテリがフル充電されている(又は更なる充電が必要ない)場合、キーボード206は、再共振器回路がマウス206に電力を供給するようにしたまま充電回路を切り離すことができる。」とあり、バッテリがフル充電されている場合、キーボード206は、再共振器回路がマウス206に電力を供給するようにしたまま充電回路を切り離すことができるだけであって、他の条件(マウスの存在の有無、マウスの充電状態等)にかかわらず再共振させることは記載が無いから、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件補正後の請求項1に記載された「(E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。本件補正後の請求項10も同様である。 (2-3)本件補正後の請求項7には、「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」と記載されているから、ハイブリッド電力回路は可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が2の充電容量の閾値に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されることとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路が可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値(閾値は「フル充電」には限られない)に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されることは記載も示唆もない。 なお、請求人は、平成29年3月9日付意見書において、「ハイブリッド電力回路は無線により電力を受信する構成を有します。電力を受信する機器は明細書の段落0011に記載されているように可変同調回路を含んでいます。電力がフル充電されたときに無線による電力を受信する回路を離調することは段落0025のキーボードに関する記載から理解できると思量します。したがって、上記請求項7に係る構成は明細書に開示されていると考えます。」と主張するが、ハイブリッド電力回路自体が無線により電力を受信することは上述のように当初明細書等に記載も示唆も無く、【0025】の記載は可変同調共振回路に関するものであってハイブリッド電力回路に関するものではなく、しかもフル充電されたときに離調することは記載されていてもフル充電には限られない第2の充電容量の閾値で離調することは記載も示唆もないから、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件補正後の請求項7に記載された「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 (2-4)本件補正後の請求項8には、「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」と記載されているから、ハイブリッド電力回路には電力伝送効率が規定され、当該効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路には電力伝送効率が規定され、当該効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供することは記載も示唆もない。 なお、請求人は、平成29年3月9日付意見書において、「段落0023に「一実施形態において、NFMR電源は、例えば影響を受けた機器からのフィードバックに基づいて電力伝送効率が機器に対する閾値を割り込んだことを判定できる。これに応答して、NFMR電源は、電力効率が閾値を上回って回復するまで磁界共鳴信号の周波数を変更するか、電力を増加させるか、あるいは場合によってはより多くの電力を必要とする機器に提供される電力を利用可能にするように、あまり重要でない機器又はあまり使用されない機器を離調させる(それにより、共振回路から除去させる)ことにより応答できる。」と記載されているように、機器は影響をフィードバックします。これが電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供することに相当します。したがって、請求項8に係る構成は明細書に開示されていると考えます。請求項15も同様です。」と主張するが、【0023】の記載はキーボード、マウス等の機器に関するものであってハイブリッド電力回路に関するものではないから、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件補正後の請求項8に記載された「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。本件補正後の請求項14も同様である。 (3)むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由II] 上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項に記載されたものが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)特許法第36条第4項及び第6項について 本件補正後の請求項1に、「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信し、更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって、前記更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する、前記回路」、「(E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップ」と記載されているが、[理由I]に記載のように、出願時の技術常識に照らしても、本件補正後の請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたものではない。本件補正後の請求項10も同様である。 本件補正後の請求項7に、「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」と記載されているが、[理由I]に記載のように、出願時の技術常識に照らしても、本件補正後の請求項7に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 本件補正後の請求項8に、「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」と記載されているが、[理由I]に記載のように、出願時の技術常識に照らしても、本件補正後の請求項8に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたものではない。本件補正後の請求項14も同様である。 本件補正後の請求項1において、第1の充電容量の閾値、第2の充電容量の閾値とあるが、各々どの様な値であるのか定義が明細書に何等記載が無く不明であり、第1の充電容量の1%、第2の充電容量の1%等様々な値が閾値になり得るが、この場合どの様な作用効果を奏するのか不明であり、しかもこの充電容量の閾値をどの様に測定するのか明細書に何等開示がないため構成が不明である。本件補正後の請求項10も同様である。 本件補正後の請求項1に、「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信し、更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって、前記更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する、前記回路と、第1の充電容量を有する短期間蓄積デバイスと、前記第1の充電容量より大きい第2の充電容量を有する長期間蓄積デバイスと、を備え」と記載されているが、無線により電力を受信し電力を再共振する回路であって、再共振のためにワイヤレス電源へ情報を送信する回路と、短期間蓄積デバイスと、長期間蓄積デバイスを備えるハイブリッド電力回路の図面さえ示されていないため、ハイブリッド電力回路が、長期間蓄積デバイス(リチウムイオンポリマ電池)に対してどの様な回路構成で充電・放電を行うのか不明であり、又、無線により電力を受信するように構成された回路は【0034】、【0036】の記載から判断して、エネルギー受信のための手段である受信アンテナが受信した電力を整合・整流・スイッチングするものであり、アンテナを含まないこととなるが、無線により電力を受信するように構成された回路は何故ワイヤレス電源へ情報を送信することができるのか不明(仮に、無線により電力を受信するように構成された回路が情報を作成する機能があるとしても、送信はできない。)であり、仮に送信できるとしても、ハイブリッド電力回路は具体的にどの様な方式でワイヤレス電源へ情報を送信するのか不明(図3のコンデンサ充電回路は電圧センサとスイッチしか有していない)である。 本件補正後の請求項1において、「(A)前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下である」と、「(D)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで」短期間蓄積デバイスから長期間蓄積デバイスに充電を行うが、「(E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき」再共振を開始すれば、長期間蓄積デバイスの充電量が直ちに第2の充電容量の閾値より下となり、充電量が第2の充電容量の閾値に達していないから再共振は終了することとなって、直ちに短期間蓄積デバイスから長期間蓄積デバイスに充電を行うこととなるが、これでは再共振による更なる回路の少なくとも1つへの充電が行われず、何故この様な充電方法を採用するのか不明である。 したがって、請求項1-14の記載は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、かつ、請求項1-14の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (2)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-15に係る発明は、上記した平成28年9月20日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定されるとおりのものである。 (1)当審の最後の拒絶の理由 当審で平成28年12月6日付で通知した最後の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。 「I 平成28年9月20日付でした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 (1)補正後の請求項1には、「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路」との訳語があるから、ハイブリッド電力回路は無線により電力を受信するように構成された回路のみを有し当該回路が更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信することとなる。 そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、 a「図3は、実施形態に係る代表的なハイブリッド電力回路300を示す。説明するように、ハイブリッド電力回路300は、NFMR電源の低電力供給機能を、リチウムイオンポリマ(LiPO)電池等の長期間蓄積デバイスに対して必要な大電力要求にマッチできる。携帯電話及びポータブルメディアプレーヤ等の機器のバッテリは、充電のためにNFMR電源から入手可能な電力量より大きな相対的に大きな電力量を必要とする。従って、NFMR電源を使用してLiPO等のこれらの大容量バッテリを充電することは困難である。しかし、NFMR電源により供給された電力で充電される短期間電荷蓄積デバイス(例えば、コンデンサ及びウルトラコンデンサ等)は、バッテリに渡される前に電荷を一時的に蓄積するために使用される。このように、十分な電荷が短期間電荷蓄積デバイスに蓄積されると、蓄積された電荷は、長期間電荷蓄積デバイス(例えば、LiPO電池)を充電するために使用される。例えば図3は、コンデンサ302、コンデンサ充電回路304(NFMR電源から電力Pを受信できる)、長期間蓄電ユニット306(バッテリ306の形態をとりうる)及びバッテリ充電回路308を有する代表的なハイブリッド電力回路300を示す。実施形態において、NFMR電源により供給された電力Pはコンデンサ302を「トリクル(trickle)」充電できる。十分な電荷がコンデンサ302に蓄積されると、コンデンサ充電回路304は、コンデンサ電圧VCを感知し、バッテリ充電回路308を介してフル充電されたコンデンサ302をバッテリ306に切り替える。このように、コンデンサ302に蓄積された電荷Qは、バッテリ306の電荷を増加させるために使用される。コンデンサ302は、放電される(コンデンサ充電回路304により判定されたように)と、NFMR電源から電力Pを再度受信できる。」(【0021】) とあり、「コンデンサ充電回路304(NFMR電源から電力Pを受信できる)」と記載はあるものの、コンデンサ充電回路が如何なる無線電力給電方式にも対応できること、コンデンサ充電回路がワイヤレス電源へ情報を送信すること、バッテリ充電回路を有さないことは記載も示唆もない。請求項10も同様である。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「まず無線で電力供給されたローカルコンピューティング環境はNFMR電源を含んでいます。情報の送信については、段落0024に「この構成を使用することにより、自身を共振回路から取り去ることを決定した機器は、NFMR電源にその意図と自信の識別を信号で伝える」、段落0025に「この場合、キーボードは、電力を必要としない(又は少なくとも将来のある時点で電力を必要とすることを信号伝送するまで)ことをNFMR電源に通知できる」と記載されているように情報を送信することは上記記載から明らかです。また通信方法についても段落0024にはWiFi、Bluetooth、負荷状態の変化を使うことが記載されています。」と主張するが、無線電力給電はNFMRであることを認めており、又、上記【0024】、【0025】の記載は、機器が信号を送信できることを示すのみであって、コンデンサ充電回路が信号を送信するとは記載されていないから、請求人の上記【0024】、【0025】に関する主張は採用できない。 補正後の請求項1には、「前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下であることを前記ワイヤレス電源へ示す前記情報にしたがって前記回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップ」との訳語があるから、長期間蓄積デバイスの充電量を測定できること、第2の充電容量の閾値を有すること、第2の充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報があって、当該情報にしたがって無線により電力を受信するように構成された回路を通信可能に結合することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、aの記載があるのみで、コンデンサ充電回路はコンデンサ電圧を感知できるものの、長期間蓄積デバイスの充電量を測定できる(請求項1には無線により電力を受信するように構成された回路しか記載がない)こと、第2の充電容量の閾値を有すること、第2の充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報があって、当該情報にしたがって無線により電力を受信するように構成された回路を通信可能に結合とすることは記載も示唆もない。請求項10も同様である。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「段落0039に「受信した電力が閾値を下回る場合、キーボードは、より多くのバッテリ電源を使用できるか、あるいはソースが電力を増加させることを要求できる」との記載があり、これはご指摘の(A)の点に対応しています。また、「第2の充電容量の閾値」は長期間蓄積デバイスの容量である、第2の充電容量に対して設定される値です。本願明細書の段落0021にはハイブリッド電力回路のバッテリの充電について書かれていることから、この閾値をどう決めるか、またコンデンサやバッテリの容量をどう測定するかという具体的な点は当業者が適宜実施することと考えます。」と主張するが、閾値は受信した電力の閾値であって第2の充電容量の閾値ではなく、ソースが電力を増加させることを要求できるだけであって、第2の充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報にしたがって無線により電力を受信するように構成された回路を通信可能に結合するものではないから、請求人の上記主張は採用できない。 補正後の請求項1には、「前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動する」との訳語があるから、短期間蓄積デバイスの充電量を測定できること、第1の充電容量の閾値を有すること、第1の充電容量の閾値に達するとき蓄積された充電量を短期間蓄積デバイスから長期間蓄積デバイスへ移動することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、aの記載があるのみで、コンデンサ充電回路はコンデンサ電圧を感知してバッテリ充電回路を介してフル充電されたコンデンサをバッテリに切り替えることはできるものの、短期間蓄積デバイスの充電量を測定できること、第1の充電容量の閾値を有すること、第1の充電容量の閾値に達するとき蓄積された充電量を短期間蓄積デバイスから長期間蓄積デバイスへ移動することは記載も示唆もない。請求項10も同様である。 補正後の請求項1には、「前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで、上記(B)のステップと(C)のステップとを繰り返す」との訳語がある。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、aの記載があるのみで、コンデンサに蓄積された電荷Qは、バッテリの電荷を増加させるために使用され、コンデンサは放電されるとNFMR電源から電力Pを再度受信できるものの、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値に達するまで(B)のステップと(C)のステップとを繰り返すことは記載も示唆もない。請求項10も同様である。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「段落0021に、「NFMR電源の低電力供給機能を、リチウムイオンポリマ(LiPO)電池等の長期間蓄積デバイスに対して必要な大電力要求にマッチできる。」、「十分な電荷が短期間蓄積デバイスに蓄積されると、蓄積された電荷は、長期間蓄積デバイス(例えば、LiPO電池)を充電するために使用される。」、「コンデンサ302は、放電される(コンデンサ充電回路304により判定されたように)と、NFMR電源から電力Pを再度受信できる。」との記載から短期間蓄積デバイスを充電して、それにより長期間蓄積デバイスを充電することが繰り返されることは必然的あり、したがって繰り返すことは当業者には自明なことと考えます。」と主張するが、短期間蓄積デバイスの蓄積された電荷を繰り返し長期間蓄積デバイスへ充電するだけであって、長期間蓄積デバイスの充電量が第2の充電容量の閾値に達するまで繰り返すものではないから、請求人の上記主張は採用できない。 補正後の請求項1には、「前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する」との訳語がある。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、aの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路が長期間蓄積デバイスの充電量が第2の充電容量の閾値に達するとき更なる回路の少なくとも1つへワイヤレス電源から受信された電力を再共振することは記載も示唆もない。請求項10も同様である。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「「等しい」及びその検出については上記(5)、(6)に説明しました。また、「再共振」に関しては、審判長殿のご指摘のように段落0019に記載されているようなキーボード、マウス間の電力送信を意図しています。つまり受信した電力を別のデバイスへ送信することを意味しています。共振については段落0030、0038、0042に記載されています。したがって再共振についても共振と同様な作用がご理解いただけると考えます。なお請求項に記載された構成を具体的にどのようにするのか当業者が回路構成や効率の関係などを考慮して適宜に実施し得ることと考えます。またその他ご指摘の不明な点については削除しました。」と主張するが、【0019】には、「この場合、キーボード204は、NFMR電源からキーボード204に供給された電力の一部をキーボード204の再共振器送信ユニット(不図示)を介して渡せるように再共振器として動作可能である。」、「この例において、キーボード206のバッテリがフル充電されている(又は更なる充電が必要ない)場合、キーボード206は、再共振器回路がマウス206に電力を供給するようにしたまま充電回路を切り離すことができる。」とあり、機器は再共振のために共振回路とは別に電力の一部を再共振器送信ユニットを介して渡せるように再共振器として動作可能にしているが、補正後の請求項1は、無線により電力を受信するように構成された回路、短期間蓄積デバイス、長期間蓄積デバイスのみを有しており、再共振器送信ユニットを有していないから、請求人の上記主張は採用できない。 補正後の請求項7には、「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」との訳語があるから、ハイブリッド電力回路は可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が2の充電容量の閾値に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されることとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、aの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路は可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されることは記載も示唆もない。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「段落0025にキーボードがフル充電された場合に自身を離調することが記載されています。段落0025の記載から請求項7は明確であると考えます。」と主張するが、【0025】には、機器であるキーボードがフル充電された場合に自身を離調することが記載されているだけであって、ハイブリッド電力回路は可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調することは記載されていないから、請求人の上記主張は採用できない。 補正後の請求項8には、「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」との訳語があるから、ハイブリッド電力回路には電力伝送効率が規定され、当該効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、aの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路には電力伝送効率が規定され、当該効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供することは記載も示唆もない。請求項15も同様である。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「電力伝送効率については段落0023の「NFMR電源は、例えば影響を受けた機器からのフィードバックに基づいて電力伝送効率が機器に対する閾値を割り込んだことを判定できる」との記載及び請求項15に基づきます。」と主張するが、NFMR電源が機器に対する閾値を割り込んだことを判定するだけであって、ハイブリッド電力回路が電力伝送効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供しているものではないから、請求人の上記主張は採用できない。 補正後の請求項14には、「通信プロトコルを確立する」との訳語があり、如何なる通信プロトコルでも良いこととなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、「モールス符号のような通信プロトコル」(【0024】)とあるのみで、如何なる通信プロトコルでも良いことは記載も示唆もない。 したがって、上記各補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。 II この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1には、「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路」、「前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下であることを前記ワイヤレス電源へ示す前記情報にしたがって前記回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップ」、「前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動する」、「前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで、上記(B)のステップと(C)のステップとを繰り返す」、「前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する」との訳語があるが、Iに記載のように、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。請求項10も同様である。 更に、請求項7には、「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」と、請求項8には、「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」と、請求項14には、「通信プロトコルを確立する」との訳語があるが、Iに記載のように、出願時の技術常識に照らしても、請求項7、8、14に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。請求項15も同様である。 更に、請求項1において、無線により電力を受信するように構成された回路はあるものの、バッテリ充電回路は有しておらず、バッテリ充電・放電をどの様に制御するのか不明(無線により電力を受信するように構成された回路の具体例を示されたい)である。請求項10も同様である。 更に、請求項1において、「無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路」との訳語があるが、無線により電力を受信するように構成された回路とは、【0034】、【0036】の記載から判断して、エネルギー受信のための手段である受信アンテナが受信した電力を整合・整流・スイッチングするものであり、アンテナを含まないこととなるが、無線により電力を受信するように構成された回路は何故ワイヤレス電源へ情報を送信することができるのか不明(仮に、無線により電力を受信するように構成された回路が情報を作成する機能があるとしても、送信はできない。)であり、仮に送信できるとして、具体的にどの様な方式でワイヤレス電源へ情報を送信するのか不明(コンデンサ充電回路は電圧センサとスイッチしか有していない)である。請求項10も同様である。 更に、請求項1において、第1の充電容量の閾値、第2の充電容量の閾値とあるが、各々どの様な値であるのか定義が不明であり、第1の充電容量の1%、第2の充電容量の1%でも閾値になるが、この場合どの様な作用効果を奏するのか不明であり、この閾値をどの様に測定するのか何等開示がないため構成が不明である。請求項10も同様である。 更に、請求項1において、「前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動するステップ」との訳語があるが、何故短期間蓄積デバイスの充電量が第1の充電容量の閾値に達するときに充電量を移動させるのか不明(達したときに充電量を移動させれば、その瞬間に達した状態ではなくなる。)であり、同様に「前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する」も不明である。請求項10も同様である。 更に、請求項1において、「前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する」との訳語があるが、ハイブリッド電力回路は再共振のための構成を有しておらず、どの様にして電力を再共振するのか不明である。請求項10も同様である。 更に、請求項9において、「前記回路は、送信アンテナの近距離場内の距離で無線により電力を受信するように構成されている」との訳語があるが、当該記載はハイブリッド電力回路の使用方法であって構成ではないから、発明の構成が不明である。」 (2)最後の拒絶の理由についての判断 (ア)理由Iについて 請求項1には、「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路」とあるから、ハイブリッド電力回路は無線により電力を受信するように構成された回路を有し当該回路が更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、図3に示される回路がハイブリッド電力回路300であること、ハイブリッド電力回路にはコンデンサ充電回路304(NFMR電源から電力Pを受信できる)があること、NFMR電源により供給された電力をハイブリッド電力回路が短期間電荷蓄積デバイスを使用して長期間電荷蓄積デバイスを充電することの記載はあるものの、ハイブリッド電力回路のコンデンサ充電回路が如何なる無線電力給電方式にも対応できること、ハイブリッド電力回路のコンデンサ充電回路がワイヤレス電源へ情報を送信すること、ハイブリッド電力回路が、無線により電力を受信し更なる回路へ電力を再共振するように構成された回路であって更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する回路の機能を有することは明細書を参照しても記載も示唆も無い。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「まず無線で電力供給されたローカルコンピューティング環境はNFMR電源を含んでいます。情報の送信については、段落0024に「この構成を使用することにより、自身を共振回路から取り去ることを決定した機器は、NFMR電源にその意図と自信の識別を信号で伝える」、段落0025に「この場合、キーボードは、電力を必要としない(又は少なくとも将来のある時点で電力を必要とすることを信号伝送するまで)ことをNFMR電源に通知できる」と記載されているように情報を送信することは上記記載から明らかです。また通信方法についても段落0024にはWiFi、Bluetooth、負荷状態の変化を使うことが記載されています。」と主張するが、無線電力給電はNFMRであることを認めていて、ハイブリッド電力回路のコンデンサ充電回路が無線により電力を受信するように構成された回路であるとは主張しておらず、又、上記【0024】、【0025】の記載は、共振回路又は再共振回路を説明するものであってハイブリッド電力回路の説明ではなく、マウス等の機器が信号を送信できることを示すのみであって、ハイブリッド電力回路のコンデンサ充電回路が信号を送信するとは記載されていないから、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、請求項1に記載された「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項10も同様である。 請求項1には、「(A)前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下であることを前記ワイヤレス電源へ示す前記情報にしたがって前記回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップ」とあるから、長期間蓄積デバイスの充電量が測定できること、長期間蓄積デバイスが第2の充電容量の閾値を有すること、長期間蓄積デバイスの第2の充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報があって、当該情報にしたがってハイブリッド電力回路の無線により電力を受信するように構成された回路を通信可能に結合することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、コンデンサ充電回路はコンデンサ電圧を感知できるものの、長期間蓄積デバイスの電圧ではなく充電量が測定できること、長期間蓄積デバイスが第2の充電容量の閾値を有すること、長期間蓄積デバイスの第2の充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報があって、当該情報にしたがってハイブリッド電力回路の無線により電力を受信するように構成された回路を通信可能に結合することは記載も示唆もない。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「段落0032(審決注:「0039」は誤記)に「受信した電力が閾値を下回る場合、キーボードは、より多くのバッテリ電源を使用できるか、あるいはソースが電力を増加させることを要求できる」との記載があり、これはご指摘の(A)の点に対応しています。また、「第2の充電容量の閾値」は長期間蓄積デバイスの容量である、第2の充電容量に対して設定される値です。本願明細書の段落0021にはハイブリッド電力回路のバッテリの充電について書かれていることから、この閾値をどう決めるか、またコンデンサやバッテリの容量をどう測定するかという具体的な点は当業者が適宜実施することと考えます。」と主張するが、閾値は受信した電力の閾値であって長期間蓄積デバイスの第2の充電容量の閾値ではなく、ソースが電力を増加させることを要求できるだけであって、長期間蓄積デバイスの第2の充電容量の閾値より下であることをワイヤレス電源へ示す情報にしたがってハイブリッド電力回路の無線により電力を受信するように構成された回路を通信可能に結合するものではないから、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、請求項1に記載された「(A)前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下であることを前記ワイヤレス電源へ示す前記情報にしたがって前記回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項10も同様である。 請求項1には、「(C)前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動するステップ」とあるから、短期間蓄積デバイスの充電量を測定できること、短期間蓄積デバイスが第1の充電容量の閾値を有すること、第1の充電容量の閾値に達するとき蓄積された充電量を短期間蓄積デバイスから長期間蓄積デバイスへ移動することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、コンデンサ充電回路はコンデンサ電圧を感知してバッテリ充電回路を介してフル充電されたコンデンサをバッテリに切り替えることの記載はあるものの、短期間蓄積デバイスの電圧ではなく充電量を測定できること、フル充電ではなく第1の充電容量の閾値を有すること、充電量が第1の充電容量の閾値に達するとき蓄積された充電量を短期間蓄積デバイスから長期間蓄積デバイスへ移動することは記載も示唆もない。 したがって、請求項1に記載された「(C)前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動するステップ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項10も同様である。 請求項1には、「(D)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで、上記(B)のステップと(C)のステップとを繰り返すステップ」とある。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、短期間蓄積デバイスであるコンデンサに蓄積された電荷Qは、長期間蓄積デバイスであるバッテリの電荷を増加させるために使用され、コンデンサは放電されるとNFMR電源から電力Pを再度受信できるものの、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値に達するまで(B)のステップと(C)のステップとを繰り返すことは記載も示唆もない。 したがって、請求項1に記載された「(D)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで、上記(B)のステップと(C)のステップとを繰り返すステップ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項10も同様である。 請求項1には、「(E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップ」とあるから、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値に達すれば、他の条件にかかわらず更なる回路の少なくとも1つへワイヤレス電源から受信された電力を再共振することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路が、長期間蓄積デバイスの充電量が、請求項1(A)に記載の第2の充電容量の閾値(閾値は「フル充電」には限られない)と同じ値である第2の充電容量の閾値に達するとき、更なる回路の少なくとも1つへワイヤレス電源から受信された電力を再共振することは記載も示唆もない。 したがって、請求項1に記載された「(E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項10も同様である。 補正後の請求項7には、「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」とあるから、ハイブリッド電力回路は可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が2の充電容量の閾値に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されることとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路が可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が請求項1(A)に記載の第2の充電容量の閾値と同じ値である第2の充電容量の閾値に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調されること(なお、「少なくとも1つ」とあるから、複数の周波数帯の一つから離調した場合、残りの複数の周波数帯とは離調していないから、第2の充電容量の閾値に達しても再共振はできないこととなる。)は記載も示唆もない。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「段落0025にキーボードがフル充電された場合に自身を離調することが記載されています。段落0025の記載から請求項7は明確であると考えます。」と主張するが、【0025】には、機器であるキーボードがフル充電された場合に自身を離調することが記載されているだけであって、ハイブリッド電力回路が可変同調共振回路を有し、長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が第2の充電容量の閾値に達するとき、NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調することは記載されていないから、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、請求項7に記載された「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 請求項8には、「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」とあるから、ハイブリッド電力回路には電力伝送効率が規定され、当該効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供することとなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、A、Bの記載があるのみで、ハイブリッド電力回路には電力伝送効率が規定され、当該効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供することは記載も示唆もない。 なお、請求人は、平成28年9月20日付意見書で、「電力伝送効率については段落0023の「NFMR電源は、例えば影響を受けた機器からのフィードバックに基づいて電力伝送効率が機器に対する閾値を割り込んだことを判定できる」との記載及び請求項15に基づきます。」と主張するが、NFMR電源が機器に対する閾値を割り込んだことを判定するだけであって、ハイブリッド電力回路が電力伝送効率が閾値を下回った場合、当該表示をワイヤレス電源へ提供しているものではないから、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、請求項8に記載された「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項15も同様である。 請求項14には、「通信プロトコルを確立する」とあり、確立するのは如何なる通信プロトコルでも良いこととなる。 そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。 当初明細書等には、「モールス符号のような通信プロトコル」(【0024】)とあるのみで、如何なる通信プロトコルでも良いことは記載も示唆もない。 したがって、請求項14に記載された「通信プロトコルを確立する」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 (イ)理由IIについて 請求項1には、「ハイブリッド電力回路であって、無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路」、「(A)前記長期間蓄積デバイスの充電量が前記第2の充電容量の閾値より下であることを前記ワイヤレス電源へ示す前記情報にしたがって前記回路を前記ワイヤレス電源へ通信可能に結合するステップ」、「(C)前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動するステップ」、「(D)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の閾値に達するまで、上記(B)のステップと(C)のステップとを繰り返すステップ」、「(E)前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する、ステップ」とあるが、(ア)に記載のように、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたものではない。請求項10も同様である。 請求項7には、「前記可変同調共振回路は、前記長期間蓄積デバイスに蓄積された充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記NFMR電源の複数の周波数帯の少なくとも一つから離調される」とあるが、(ア)に記載のように、出願時の技術常識に照らしても、請求項7に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 請求項8には、「電力伝送効率が前記ハイブリッド電力回路の閾値を下回ったことの表示を前記ワイヤレス電源へ提供する」とあるが、(ア)に記載のように、出願時の技術常識に照らしても、請求項8に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたものではない。請求項15も同様である。 請求項14には、「通信プロトコルを確立する」との訳語があるが、(ア)に記載のように、出願時の技術常識に照らしても、請求項14に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 請求項1において、ハイブリッド電力回路が無線により電力を受信するように構成された回路は有するものの、バッテリ充電回路は有しておらず、長期間蓄積デバイスであるバッテリの充電・放電をどの様に制御するのか不明である。請求項10も同様である。 請求項1において、「無線により電力を受信するように構成された回路であって、更なる回路へ電力を供給するためにワイヤレス電源へ情報を送信する前記回路」とあるが、無線により電力を受信するように構成された回路とは、【0034】、【0036】の記載から判断して、エネルギー受信のための手段である受信アンテナが受信した電力を整合・整流・スイッチングするものであり、アンテナを含まないこととなるが、無線により電力を受信するように構成された回路は何故ワイヤレス電源へ情報を送信することができるのか不明(仮に、無線により電力を受信するように構成された回路が情報を作成する機能があるとしても、送信はできない。)であり、仮に送信できるとしても、ハイブリッド電力回路は具体的にどの様な方式でワイヤレス電源へ情報を送信するのか明細書の参照しても不明(図3のコンデンサ充電回路は電圧センサとスイッチしか有していない)である。請求項10も同様である。 請求項1において、第1の充電容量の閾値、第2の充電容量の閾値とあるが、各々どの様な値であるのか定義が明細書に何等記載が無く不明であり、第1の充電容量の1%、第2の充電容量の1%等様々な値が閾値になり得るが、この場合どの様な作用効果を奏するのか不明であり、しかもこの充電容量の閾値をどの様に測定するのか明細書に何等開示がないため構成が不明である。請求項10も同様である。 請求項1において、「前記短期間蓄積デバイスの前記蓄積された充電量が前記第1の充電容量の閾値に達するとき、前記蓄積された充電量を前記短期間蓄積デバイスから前記長期間蓄積デバイスへ移動するステップ」とあるが、何故短期間蓄積デバイスの充電量が第1の充電容量の閾値に達するときに充電量を移動させるのか不明(達したときに充電量を移動させれば、その瞬間に達した状態ではなくなり、移動は中止になる。)であり、同様に「前記長期間蓄積デバイスに蓄積された前記充電量が前記第2の充電容量の前記閾値に達するとき、前記更なる回路の少なくとも1つへ前記ワイヤレス電源から受信された電力を再共振する」と、長期間蓄積デバイスの充電量が直ちに第2の充電容量の閾値より下となり、充電量が第2の充電容量の閾値に達していないから再共振は終了することとなって、直ちに短期間蓄積デバイスから長期間蓄積デバイスに充電を行うこととなるが、これでは再共振による更なる回路の少なくとも1つへの充電が行われず、何故この様な充電方法を採用するのか不明である。請求項10も同様である。 請求項9において、「前記回路は、送信アンテナの近距離場内の距離で無線により電力を受信するように構成されている」とあるが、当該記載はハイブリッド電力回路の使用方法であって構成ではないから、発明の構成が特定できず不明である。 したがって、請求項1-15の記載は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、かつ、請求項1-15の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 4.むすび したがって、平成28年9月20日付でした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、請求項1-15の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-017730

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