特許拒絶査定不服審判
2016-008536
無線送電におけるインピーダンス変化の検出
- 審判番号
- 2016-008536
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-156561
- 請求日
- 2016年06月08日
- 審決日
- 2018年06月22日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クアルコム,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】黒田 晋平
- 審判長/審判官
- 審判長 中川 真一
- 審判官 堀川 一郎
- 審判官 矢島 伸一
- 分類
- P18 .55 -WZ (H02J) / P18 .536-WZ (H02J) / P18 .537-WZ (H02J) / P18 .561-WZ (H02J) / P18 .572-WZ (H02J) / P18 .575-WZ (H02J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法36条4項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第36条第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第159条第1項、特許法第17条の2第6項、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第53条第1項、特許法第53条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-156561「無線送電におけるインピーダンス変化の検出」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月27日出願公開、特開2014-223013〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、2010年1月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年1月22日:米国、2009年2月10日:米国、2009年5月11日:米国、2009年12月17日:米国)を国際出願日とする特願2011-548158号の一部を平成26年7月31日に新たな出願としたものであって、平成28年2月2日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成28年2月8日)、これに対し、平成28年6月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成29年4月6日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成29年4月10日)、これに対し、平成29年7月10日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成29年10月25日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成29年10月30日)、これに対し、平成30年1月30日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2.平成30年1月30日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年1月30日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由I]
(1)補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。
「【請求項1】
受信器を充電又は給電するのに十分なレベルの電力を送信するために、磁場を介して送信信号を送信するように構成された送信アンテナであって、前記受信器の負荷の変調に応答して変化するインピーダンスを有する、送信アンテナと、
前記送信アンテナに接続される結合器であって、前記送信アンテナに、入力信号に基づいて送信信号を提供し、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力するように構成され、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供する、結合器と、
前記第1の信号と前記入力信号の間の位相差を判定するように構成された位相比較回路であって、前記位相差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、位相比較回路と、
前記第1の信号と前記入力信号の間の振幅差を判定するように構成された振幅測定回路であって、前記振幅差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、振幅測定回路と、
前記位相差および前記振幅差から1つのパラメータを選択し、前記選択されたパラメータに基づき、前記受信器から複数の通信信号伝達値を判定するように構成されたコントローラであって、前記位相差および前記振幅差が、前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からの通信信号伝達値を示す、コントローラとを備える、無線電力送信器。
【請求項2】
前記送信アンテナに電気的に接続された増幅部と、
前記増幅部および前記コントローラに電気的に接続され、前記増幅部で使用される電力の総量の変化を判定するように負荷検知回路とをさらに備え、
前記増幅部で使用される電力の総量の変化が、前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からの通信信号伝達値を示し、
前記コントローラが、前記位相差、前記振幅差、および前記電力の総量から前記1つのパラメータを選択するようにさらに構成される、請求項1に記載の無線電力送信器。
【請求項3】
前記コントローラが、2進法の通信プロトコルを使用して前記複数の通信信号伝達値を判定する、請求項1に記載の無線電力送信器。
【請求項4】
前記2進法の通信プロトコルが、複数の情報ビットを含む、請求項3に記載の無線電力送信器。
【請求項5】
前記2進法の通信プロトコルが、差分マンチェスター符号プロトコルであり、全てのビットがビット間隔の中央で変化を示す、請求項4に記載の無線電力送信器。
【請求項6】
前記コントローラが、前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化の微分を判定し、
前記コントローラが、前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化の微分に応じて前記複数の通信信号伝達値を判定する、請求項2に記載の無線電力送信器。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記位相差の微分、前記振幅差の微分、前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化の微分の各々に対する電力推定値をある時間間隔にわたって判定し、
最も高い電力推定値を有する、前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの1つを前記パラメータとして選択し、
前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つに基づき、変化を検出するための閾値を判定し、
前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの後続の値と前記閾値を比較することによって、前記複数の通信信号伝達値を生成するようにさらに構成される、請求項2に記載の無線電力送信器。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記選択された信号の複数のピーク値を合計し、
前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの前記複数のピーク値からの前記閾値に対するオフセットで、前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの前記閾値に対する大きさの平均に対応する平均テール値を判定することであって、前記変化はテールが減衰するピークによって表される、判定することを行い、
前記平均テール値の前記複数のピークの合計の平均を求めることにより前記閾値を判定するように構成される、請求項7に記載の無線電力送信器。
【請求項9】
受信器を充電又は給電するのに十分なレベルの電力を送信するために、送信アンテナにより磁場を介して送信信号を送信するステップであって、前記送信アンテナのインピーダンスが前記受信器の負荷の変調に応答して変化する、ステップと、
結合器によって、入力信号に基づいて前記送信アンテナに送信信号を提供するステップと、
前記結合器によって、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力するステップであって、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供する、ステップと、
前記第1の信号と前記入力信号の間の位相差を判定するステップであって、前記位相差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、ステップと、
前記第1の信号と前記入力信号の間の振幅差を判定するステップであって、前記振幅差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、ステップと、
前記位相差および前記振幅差から1つのパラメータを選択するステップと、
前記選択されたパラメータに基づき、前記受信器から複数の通信信号伝達値を判定するステップであって、前記位相差および前記振幅差が前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からの通信信号伝達値を示す、ステップとを含む、無線電力送信器の方法。
【請求項10】
増幅器によって使用される電力の総量の変化を判定するステップをさらに含み、
前記増幅器によって使用される電力の総量の変化が、前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からの通信信号伝達値を示し、
前記1つのパラメータを選択するステップが、前記位相差、前記振幅差、および前記電力の総量から前記1つのパラメータを選択するステップを含む、請求項9に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項11】
2進法の通信プロトコルを使用して前記複数の通信信号伝達値を判定するステップをさらに含む、請求項10に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項12】
前記2進法の通信プロトコルが、複数の情報ビットを含む、請求項11に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項13】
前記2進法の通信プロトコルが、差分マンチェスター符号プロトコルであり、全てのビットがビット間隔の中央で変化を示す、請求項12に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項14】
前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記増幅器によって使用される電力の総量の変化の微分を判定するステップをさらに含み、
前記複数の通信信号伝達値が、前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記増幅器によって使用される電力の総量の変化の微分に応じて判定される、請求項10に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項15】
前記位相差の微分、前記振幅差の微分、前記増幅器によって使用される電力の総量の変化の微分の各々に対する電力推定値を、ある時間間隔にわたって判定するステップと、
最も高い電力推定値を有する、前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの1つを前記パラメータとして選択するステップと、
前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つに基づき、変化を検出するための閾値を判定するステップと、
前記閾値と、前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの後続の値とを比較することによって、前記複数の通信信号伝達値を生成するステップとをさらに含む、請求項10に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項16】
前記閾値を判定するステップが、
前記選択された信号の複数のピーク値を合計するステップと、
前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの前記複数のピーク値からの前記閾値に対するオフセットで、前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの前記閾値に対する大きさの平均に対応する平均テール値を判定するステップであって、前記変化はテールが減衰するピークによって表される、ステップと、
前記平均テール値の前記複数のピークの合計の平均を求めることにより前記閾値を判定するステップとを含む、請求項15に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項17】
受信器を充電又は給電するのに十分なレベルの電力を送信するために、磁場を介して送信信号を送信するための手段であって、前記受信器の負荷の変調に応答して変化するインピーダンスを有する、手段と、
前記送信するための手段に接続される結合器であって、前記送信するための手段に、入力信号に基づいて送信信号を提供し、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力するように構成され、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供する、結合器と、
前記第1の信号と前記入力信号の間の位相差を判定するための手段であって、前記位相差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、手段と、
前記第1の信号と前記入力信号の間の振幅差を判定するための手段であって、前記振幅差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、手段と、
前記位相差および前記振幅差から1つのパラメータを選択し、前記選択されたパラメータに基づき、前記受信器から複数の通信信号伝達値を判定するための手段であって、前記位相差および前記振幅差が前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信するための手段におけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からの通信信号伝達値を示す、手段とを備える、無線電力送信器。
【請求項18】
前記送信するための手段が、送信アンテナを備え、
前記位相差を判定するための手段が、位相比較回路を備え、
前記振幅差を判定するための手段が、振幅測定回路を備え、
前記複数の通信信号伝達値を判定するための手段が、コントローラを備える、請求項17に記載の無線電力送信器。」
本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
受信器を充電又は給電するのに十分なレベルの電力を送信するために、磁場を介して送信信号を送信するように構成された送信アンテナであって、前記受信器の負荷の変調に応答して変化するインピーダンスを有する、送信アンテナと、
前記送信アンテナに接続される方向性結合器であって、前記送信アンテナに、入力信号に基づいて前記送信信号を提供し、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力し、前記入力信号から限定された電力を引き込むことで第2の信号を出力するように構成され、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供し、前記第2の信号が前記入力信号の振幅および位相の指標を提供する、方向性結合器と、
前記第1の信号と前記第2の信号の間の位相差を判定するように構成された位相比較回路であって、前記位相差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、位相比較回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の間の振幅差を判定するように構成された振幅測定回路であって、前記振幅差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、振幅測定回路と、
前記位相差および前記振幅差のうちの、最大の変化を経験する1つを選択し、前記選択された位相差または振幅差の変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するように構成されたコントローラであって、前記位相差および前記振幅差が、前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からのデジタル信号伝達値を示す、コントローラとを備える、無線電力送信器。
【請求項2】
前記送信アンテナに電気的に接続された増幅部と、
前記増幅部および前記コントローラに電気的に接続され、前記増幅部で使用される電力の総量の変化を判定するように負荷検知回路とをさらに備え、
前記増幅部で使用される電力の総量の変化が、前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からのデジタル信号伝達値を示し、
前記コントローラが、前記位相差、前記振幅差、および前記電力の総量から、最大の変化を経験する1つを選択し、前記位相差、前記振幅差、および前記電力の総量のうちの前記選択された1つの変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するようにさらに構成される、請求項1に記載の無線電力送信器。
【請求項3】
前記コントローラが、2進法の通信プロトコルを使用して前記デジタル信号伝達値を判定する、請求項1に記載の無線電力送信器。
【請求項4】
前記2進法の通信プロトコルが、複数の情報ビットを含む、請求項3に記載の無線電力送信器。
【請求項5】
前記2進法の通信プロトコルが、差分マンチェスター符号プロトコルであり、全てのビットがビット間隔の中央で変化を示す、請求項4に記載の無線電力送信器。
【請求項6】
前記コントローラが、前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化の微分を判定し、
前記コントローラが、前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化の微分に応じて前記デジタル信号伝達値を判定する、請求項2に記載の無線電力送信器。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記位相差の微分、前記振幅差の微分、前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化の微分の各々に対する電力推定値をある時間間隔にわたって判定し、
最も高い電力推定値を有する、前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの1つを選択し、
前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つに基づき、変化を検出するための閾値を判定し、
前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの後続の値と前記閾値を比較することによって、前記デジタル信号伝達値を生成するようにさらに構成される、請求項2に記載の無線電力送信器。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記選択された信号の複数のピーク値を合計し、
前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの前記複数のピーク値からの前記閾値に対するオフセットで、前記位相差、前記振幅差、および前記負荷検知回路によって検出される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの前記閾値に対する大きさの平均に対応する平均テール値を判定することであって、前記変化はテールが減衰するピークによって表される、判定することを行い、
前記平均テール値の前記複数のピークの合計の平均を求めることにより前記閾値を判定するように構成される、請求項7に記載の無線電力送信器。
【請求項9】
受信器を充電又は給電するのに十分なレベルの電力を送信するために、送信アンテナにより磁場を介して送信信号を送信するステップであって、前記送信アンテナのインピーダンスが前記受信器の負荷の変調に応答して変化する、ステップと、
方向性結合器によって、入力信号に基づいて前記送信アンテナに送信信号を提供するステップと、
前記方向性結合器によって、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力するステップであって、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供する、ステップと、
前記方向性結合器によって、前記入力信号から限定された電力を引き込むことで第2の信号を生成するステップであって、前記第2の信号が前記入力信号の振幅および位相の指標を提供する、ステップと、
前記第1の信号と前記第2の信号の間の位相差を判定するステップであって、前記位相差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、ステップと、
前記第1の信号と前記第2の信号の間の振幅差を判定するステップであって、前記振幅差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、ステップと、
前記位相差および前記振幅差のうちの、最大の変化を経験する1つを選択するステップと、
前記選択された位相差または振幅差の変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するステップであって、前記位相差および前記振幅差が前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からのデジタル信号伝達値を示す、ステップとを含む、無線電力送信器の方法。
【請求項10】
増幅器によって使用される電力の総量の変化を判定するステップをさらに含み、
前記増幅器によって使用される電力の総量の変化が、前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信アンテナにおけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からのデジタル信号伝達値を示し、
前記選択するステップが、前記位相差、前記振幅差、および前記電力の総量から、最大の変化を経験する1つを選択するステップを含み、
前記デジタル信号伝達値を判定するステップが、前記位相差、前記振幅差、および前記電力の総量のうちの前記選択された1つの変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するステップを含む、請求項9に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項11】
2進法の通信プロトコルを使用して前記デジタル信号伝達値を判定するステップをさらに含む、請求項10に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項12】
前記2進法の通信プロトコルが、複数の情報ビットを含む、請求項11に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項13】
前記2進法の通信プロトコルが、差分マンチェスター符号プロトコルであり、全てのビットがビット間隔の中央で変化を示す、請求項12に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項14】
前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記増幅器によって使用される電力の総量の変化の微分を判定するステップをさらに含み、
前記デジタル信号伝達値が、前記振幅差の微分、前記位相差の微分、前記増幅器によって使用される電力の総量の変化の微分に応じて判定される、請求項10に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項15】
前記位相差の微分、前記振幅差の微分、前記増幅器によって使用される電力の総量の変化の微分の各々に対する電力推定値を、ある時間間隔にわたって判定するステップと、
最も高い電力推定値を有する、前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの1つを選択するステップと、
前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つに基づき、変化を検出するための閾値を判定するステップと、
前記閾値と、前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの後続の値とを比較することによって、前記デジタル信号伝達値を生成するステップとをさらに含む、請求項10に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項16】
前記閾値を判定するステップが、
前記選択された信号の複数のピーク値を合計するステップと、
前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの前記選択された1つの前記複数のピーク値からの前記閾値に対するオフセットで、前記位相差、前記振幅差、および前記増幅器によって使用される電力の総量の変化のうちの
前記選択された1つの前記閾値に対する大きさの平均に対応する平均テール値を判定するステップであって、前記変化はテールが減衰するピークによって表される、ステップと、
前記平均テール値の前記複数のピークの合計の平均を求めることにより前記閾値を判定するステップとを含む、請求項15に記載の無線電力送信器の方法。
【請求項17】
受信器を充電又は給電するのに十分なレベルの電力を送信するために、磁場を介して送信信号を送信するための手段であって、前記受信器の負荷の変調に応答して変化するインピーダンスを有する、手段と、
前記送信するための手段に接続される方向性結合器であって、前記送信するための手段に、入力信号に基づいて送信信号を提供し、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力し、前記入力信号から限定された電力を引き込むことで第2の信号を出力するように構成され、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供し、前記第2の信号が前記入力信号の振幅および位相の指標を提供する、方向性結合器と、
前記第1の信号と前記第2の信号の間の位相差を判定するための手段であって、前記位相差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、手段と、
前記第1の信号と前記第2の信号の間の振幅差を判定するための手段であって、前記振幅差が前記受信器の負荷の変調に応じて変化する、手段と、
前記位相差および前記振幅差のうちの、最大の変化を経験する1つを選択し、前記選択された位相差または振幅差の変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するための手段であって、前記位相差および前記振幅差が前記受信器の負荷の変調によって生じる前記送信するための手段におけるインピーダンスの変化に基づく前記受信器からのデジタル信号伝達値を示す、手段とを備える、無線電力送信器。
【請求項18】
前記送信するための手段が、送信アンテナを備え、
前記位相差を判定するための手段が、位相比較回路を備え、
前記振幅差を判定するための手段が、振幅測定回路を備え、
前記デジタル信号伝達値を判定するための手段が、コントローラを備える、請求項17に記載の無線電力送信器。」
(2)新規事項
(2-1)本件補正後の請求項1には、「前記送信アンテナに接続される方向性結合器であって、前記送信アンテナに、入力信号に基づいて前記送信信号を提供し、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力し、前記入力信号から限定された電力を引き込むことで第2の信号を出力するように構成され、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供し、前記第2の信号が前記入力信号の振幅および位相の指標を提供する、方向性結合器」と記載されているから、結合器は方向性結合器であって、方向性結合器の入力は、方向性結合器の入力信号と方向性結合器から送信アンテナに提供する送信信号であり、方向性結合器の出力は、送信信号から限定された電力を引き込むことで出力される第1の信号と入力信号から限定された電力を引き込むことで出力される第2の信号となる。
そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
a「順方向リンク信号に応答して前記順方向リンク信号を逆方向リンク信号に方向性結合するステップであって、前記順方向リンク信号が、RF信号入力の送信信号出力への動作可能な結合を含むステップと、
前記順方向リンク信号と前記逆方向リンク信号との間のインピーダンス差を測定するステップと、
前記インピーダンス差の変化に応答してデジタル信号伝達値を求めるステップとを含む、逆方向リンクの信号伝達を検出する方法。」(【請求項1】)
b「方向性結合器265は、入力側(ポート266とポート267との間)と絶縁された側(ポート268と269との間)との間に絶縁をもたらし、その結果、検出回路が、伝送された信号から限定された電力を引き出し、伝送された信号に対する干渉を低減する。したがって、逆方向信号は、順方向信号から絶縁されており、逆方向信号の振幅および位相の指標をもたらす。
いくつかの例示的実施形態では、受信されたRF信号を振幅によって変化するDC信号に変更するために、絶縁された側の順方向ポート268および逆方向ポート269は、それぞれ検出器272および274に結合され得る。これらの振幅信号は、振幅信号297としてリターンパス損失を与えるように、差動増幅器295を使用して減じられ得る。振幅差信号297は、アナログデジタル(A/D)コンバータを介してコントローラ214によってサンプリングされ、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。」(【0075】-【0076】)
c「順方向信号と逆方向信号との間の位相差を求めるために、位相比較器285が順方向ポート268および逆方向ポート269に結合され得る。可能な一例として、位相比較に論理ゲートが用いられ得る。位相比較器285からの位相差信号287は、A/Dコンバータによってコントローラ214に結合され、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。さらに、いくつかの例示的実施形態では、1つのA/Dコンバータが、位相差信号287と振幅信号297との間で共有され得る。」(【0078】)
d「この式で、mag1およびph1は第1の測定値の振幅および位相であり、mag2およびph2は第2の測定値の振幅および位相である。距離が1つまたは複数のサンプルに関するしきい値を上回るとき、送信器は受信器からの信号として変化を認識することになる。多くの無線電力システムでは、結合モード領域内における受信器デバイスの特定の配置は、送信器によって検出される逆方向リンクの信号伝達の電力、振幅、および位相に影響を及ぼす可能性がある。」(【0081】)
と記載されるにすぎず、方向性結合器の入力が順方向信号と逆方向信号で、方向性結合器の出力が順方向信号から限定された電力を引き込むことで出力される信号と逆方向信号から限定された電力を引き込むことで出力される信号であることの記載はあっても、方向性結合器の入力は、方向性結合器の入力信号と方向性結合器から送信アンテナに提供する送信信号であり、方向性結合器の出力は、送信信号から限定された電力を引き込むことで出力される第1の信号と入力信号から限定された電力を引き込むことで出力される第2の信号となることは記載も示唆もない。
請求項9、17も同様である。
(2-2)本件補正後の請求項1には、「前記位相差および前記振幅差のうちの、最大の変化を経験する1つを選択し、前記選択された位相差または振幅差の変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するように構成されたコントローラ」と記載され、「および」とあるから、コントローラは、位相差と振幅差の両方のうちから最大の変化を経験する1つを選択することとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
e「無線充電システムの性質により、これらの変化の大きさが予測不能であり、信号間で相関関係がなく、すなわち1つの信号が大きな変化を経験している一方で他の緒信号が経験しない可能性がある。これらの複数のパラメータを処理することにより、1つのパラメータを処理するのとは対照的に、情報ビットの改善された復号化が達成され得る。」(【0094】)
f「本開示の例示的実施形態は最も高信頼の信号源(すなわち最大の変化を経験するもの)を識別し、ビットストリームを復号するのに、この「好ましい」信号を利用する。このプロセスは、
1) 自己同期化および
2) ビット復号のためのしきい値推定、の2つのステージに分割される。
どちらのステージも、シーケンスの最初の数ビットに及ぶトレーニングシーケンスについての観測を通じて行なわれる。」(【0098】)
と記載されるにすぎず、1つの信号が最大の変化を経験することは記載はあるが、位相差と振幅差の両方のうちから最大の変化を経験する1つを選択することは記載も示唆もない。
請求項9、17も同様である。
(2-3)したがって、本件補正後の請求項1に記載された「前記送信アンテナに接続される方向性結合器であって、前記送信アンテナに、入力信号に基づいて前記送信信号を提供し、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力し、前記入力信号から限定された電力を引き込むことで第2の信号を出力するように構成され、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供し、前記第2の信号が前記入力信号の振幅および位相の指標を提供する、方向性結合器」、「前記位相差および前記振幅差のうちの、最大の変化を経験する1つを選択し、前記選択された位相差または振幅差の変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するように構成されたコントローラ」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項9、17も同様である。
(3)目的要件
本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。また、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。
本件補正前後で請求項数は共に18であり、本件補正前の請求項1-8と本件補正後の請求項1-8は無線電力送信装置に係るものであって、本件補正前後で請求項1が独立項で請求項2-8が従属項であり、従属項の引用関係が同じであり、本件補正前の請求項9-16と本件補正後の請求項9-16は無線電力送信装置の方法に係るものであって、本件補正前後で請求項9が独立項で請求項10-16が従属項であり、従属項の引用関係が同じであり、本件補正前の請求項17-18と本件補正後の請求項17-18は無線電力送信装置に係るものであって、本件補正前後で請求項17が独立項で請求項18が従属項であり、本件補正前後の請求項17は位相比較回路、振幅測定回路を有していないから、無線電力送信装置に係る本件補正前の請求項1は無線電力送信装置に係る本件補正後の請求項1に対応するものとして検討する。
(3-1)結合器の出力に関し、本件補正前の請求項1は、結合器が、送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号のみを出力していたものが、本件補正後の請求項1は、方向性結合器が、送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力するのに加え、入力信号から限定された電力を引き込むことで第2の信号を出力するように構成されている。
そうすると、本件補正前の請求項1の結合器をどの様に限定しても、本件補正後の請求項1の入力信号から限定された電力を引き込むことで第2の信号を出力する構成とはならないから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。請求項9、17も同様である。
(3-2)位相比較回路に関し、本件補正前の請求項1は、第1の信号と入力信号の間の位相差を判定するように構成されていたものが、本件補正後の請求項1は、第1の信号と入力信号から生成される第2の信号との間の位相差を判定するよう構成されている。
そうすると、本件補正前の請求項1の位相比較回路をどの様に限定しても、本件補正後の請求項1の第1の信号と入力信号から限定された電力を引き込むことで出力する第2の信号との間の位相差を判定する構成とはならないから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。振幅測定回路も同様である。請求項9も同様である。当該位相差を判定する手段及び振幅差を判定する手段を有する請求項17も同様である。
(3-3)コントローラに関し、本件補正前の請求項1には、「前記位相差および前記振幅差から1つのパラメータを選択」とあるから、位相差および振幅差から無条件に1つのパラメータを選択していたものが、本件補正後の請求項1には、「前記位相差および前記振幅差のうちの、最大の変化を経験する1つを選択」とあるから、位相差および振幅差のうちの最大の変化を経験する1つを選択するよう構成されている。
そうすると、本件補正前の請求項1のコントローラをどの様に限定しても、1つのパラメータの選択が無条件であったものが、本件補正後の請求項1の位相差および振幅差のうちの最大の変化を経験する1つを選択することにはならないから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。請求項9、17も同様である。
(3-4)したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。
(4)したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
[理由II]
上記のとおり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項に記載されたものが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)特許法第36条第4項及び第6項について
請求項1に、「前記位相差および前記振幅差のうちの、最大の変化を経験する1つを選択し、前記選択された位相差または振幅差の変化に基づき、前記受信器からのデジタル信号伝達値を判定するように構成されたコントローラ」とあるが、最大の変化は何時生じるか特定できない(変化が生じても当該変化が最大か否かは後に生ずる変化とも比較しならなければ判明しない)から、コントローラはいつまでたっても最大の変化を経験する1つを選択することはできず、何故選択できるのか明細書を参照しても全く不明であり、又、位相差および振幅差のうちの最大の変化を経験する1つを選択するためには、位相差の変化と振幅差の変化を比較しなければならないが、位相差と振幅差では物理量が異なるため、何故物理量の異なる位相差と振幅差を比較して1つを選択できるのか、明細書を参照しても全く不明である。請求項9、17も同様である。
したがって、請求項1-18の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-18に記載された発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(2)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。
3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-18に係る発明は、上記した平成29年7月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(1)当審の最後の拒絶の理由
当審で平成29年6月8日付で通知した最後の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「I 平成29年7月10日付でした手続補正(以下、「本件補正」という。)は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
記
(1)本件補正後の請求項1には、「前記送信アンテナに接続される結合器であって、前記送信アンテナに、入力信号に基づいて送信信号を提供し、前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力するように構成され、前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供する、結合器」との訳語があるから、あらゆる結合器の送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力し、第1の信号が送信信号の振幅および位相の指標を提供することとなる。
そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
結合器を有する無線電力送信器は、請求人が平成29年7月10日付意見書で主張するように図7B、図7Cが対応するものと考えられ、当初明細書等には、
a「基準回路270は、送信アンテナ204向けの送信信号に対して相関性があるが、しかし電力増幅器210の入力信号の振幅に類似したより小さい振幅の基準信号を生成する。したがって、基準回路は、振幅を例えば約25dBだけ低減し得る。図7Bの例示的実施形態では、基準回路270は抵抗R1および抵抗R2を含む簡単な分圧器である。
非方向性結合器260は絶縁をもたらし、このため、基準回路270は、伝送される信号から限定された電力を引き込み、伝送される信号に対する干渉を低減する。非方向性結合器260は、順方向信号と逆方向信号との間を区別する必要がないので、方向性結合器(図7Bの例示的実施形態では不要である)より実施するのがより簡単であり得る。」(【0062】-【0063】)
b「方向性結合器265は、入力側(ポート266とポート267との間)と絶縁された側(ポート268と269との間)との間に絶縁をもたらし、その結果、検出回路が、伝送された信号から限定された電力を引き出し、伝送された信号に対する干渉を低減する。したがって、逆方向信号は、順方向信号から絶縁されており、逆方向信号の振幅および位相の指標をもたらす。」(【0075】)
と記載されており、結合器に伝送される信号から限定された電力を引き込んで信号を出力し、方向性結合器の逆方向信号の振幅および位相の指標をもたらすことの記載はあっても、あらゆる結合器の出力信号である送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力し、第1の信号が送信信号の振幅および位相の指標を提供することは記載も示唆もない。
請求項9、17も同様である。
(2)本件補正後の請求項1には、「前記第1の信号と前記入力信号の間の位相差を判定するように構成された位相比較回路」との訳語があるから、位相比較回路は、あらゆる結合器の送信信号から限定された電力を引き込むことで生成される第1の信号と結合器の入力信号の間の位相差を判定することとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、a、bに加え、
c「位相比較器280で、基準回路270の出力である基準信号275が、RF信号220に対して、2つの信号間の位相差を求めるために比較される。可能な一例として、位相比較に論理ゲートが用いられ得る。位相差信号282は、アナログデジタル(A/D)コンバータによってコントローラ214に結合され、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。」(【0064】)
d「順方向信号と逆方向信号との間の位相差を求めるために、位相比較器285が順方向ポート268および逆方向ポート269に結合され得る。可能な一例として、位相比較に論理ゲートが用いられ得る。位相比較器285からの位相差信号287は、A/Dコンバータによってコントローラ214に結合され、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。さらに、いくつかの例示的実施形態では、1つのA/Dコンバータが、位相差信号287と振幅信号297との間で共有され得る。」(【0078】)
と記載されており、基準信号とRF信号の間の位相差を求めること、及び、順方向信号と逆方向信号との間の位相差を求めることの記載はあっても、位相比較回路が、あらゆる結合器の送信信号から限定された電力を引き込むことで生成される第1の信号と結合器の入力信号の間の位相差を判定することは記載も示唆もない。
請求項9、17も同様である。
(3)本件補正後の請求項1には、「前記第1の信号と前記入力信号の間の振幅差を判定するように構成された振幅測定回路」との訳語があるから、振幅測定回路は、あらゆる結合器の送信信号から限定された電力を引き込むことで生成される第1の信号と結合器の入力信号の間の振幅差を判定することとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、a~dに加え、
e「送信器は、基準信号275をバッファリングする(場合により、増幅もする)ためのバッファ290も含むことができる。バッファ290からの振幅信号292は、アナログデジタル(A/D)コンバータによってコントローラ214に結合され得ると共に、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。」(【0069】)
f「 いくつかの例示的実施形態では、受信されたRF信号を振幅によって変化するDC信号に変更するために、絶縁された側の順方向ポート268および逆方向ポート269は、それぞれ検出器272および274に結合され得る。これらの振幅信号は、振幅信号297としてリターンパス損失を与えるように、差動増幅器295を使用して減じられ得る。振幅差信号297は、アナログデジタル(A/D)コンバータを介してコントローラ214によってサンプリングされ、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。
他の例示的実施形態では、検出器(272および274)がなくてもよく、差動増幅器295が、振幅差信号297を求めるために、信号268および269上の両RF信号を比較し得る。コントローラは、比較的高いレートで振幅差信号297をサンプリングし、従来型のフィルタリングアルゴリズムを用いて直流振幅を得ることができる。」(【0076】-【0077】)
と記載されており、基準信号のバッファからの振幅信号を求めること、及び、順方向信号と逆方向信号との間の振幅信号を求めることの記載はあっても、振幅測定回路が、あらゆる結合器の送信信号から限定された電力を引き込むことで生成される第1の信号と結合器の入力信号の間の振幅差を判定することは記載も示唆もない。
請求項9、17も同様である。
(4)本件補正後の請求項1には、「前記位相差および前記振幅差から1つのパラメータを選択し、前記選択されたパラメータに基づき、前記受信器から複数の通信信号伝達値を判定するように構成されたコントローラ」との訳語があるから、コントローラは、位相差および振幅差から何れか1つを選択するのではなく1つのパラメータを選択し、選択されたパラメータに基づき受信器から複数の通信信号伝達値を判定することとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、a~fに加え、
g「以下でより十分に説明されるように、いくつかの例示的実施形態では、位相変化および振幅変化は、受信器からの信号伝達を求める際に組み合わせられ得る。さらに、図7Aを参照しながら上記で論じられた電流変化が、位相変化および振幅変化と共に含まれ得る。従って、コントローラ214は、さらに、電力変化をサンプリングして、位相出力の変化および振幅出力の変化に応答するデジタル信号伝達値を求める際に電力変化を含むように構成される。」(【0071】)
h「図9A~図9Cは、送信アンテナに対する受信器の様々な配置に応答して送信器で求められたインピーダンス特性を示すグラフである。図9Aで、第1の位置における受信器の配置は、受信器が逆方向リンクの信号伝達をしているとき第1の結果をもたらす。ライン910Aは信号伝達の位相差を示し、ライン912Aは信号伝達の振幅差を示す。ライン922Aは、図7Cを参照しながら上記で概説されたように距離割出しの計算を示し、ライン920Aは、距離計算結果の一次導関数である差分計算を示す。
図9Bで、第2の位置における受信器の配置は、受信器が逆方向リンクの信号伝達をしているとき第2の結果をもたらす。ライン910Bは信号伝達の位相差を示し、912Bは信号伝達の振幅差を示す。ライン922Bは、図7Cを参照しながら上記で概説されたように距離割出しの計算を示し、ライン920Bは、距離計算結果の一次導関数である差分計算を示す。
図9Cでは、逆方向リンクの信号伝達をしている受信器はない。その結果、ライン910Cは比較的一定の位相差を示し、ライン912Cは比較的一定の振幅差を示す。ライン922Cは、実質的に0の近くにとどまっている距離の割出し計算を示す。
本開示の例示的実施形態は、無線電力伝達に関する送信器の振幅差、位相差、およびPA電流の変化を確実に識別し、そのような変化は、充電されている受信デバイスのアンテナ負荷をスイッチング(クローキング)することによりもたらされる。充電中のデバイスのアンテナの負荷状態を検出する能力は、充電中のデバイスと送信器との間の2進法の通信プロトコルを実施する基本を形成する。実際、情報ビットの「0」および「1」が、受信アンテナの負荷の変化にマッピングされ得ると共に、負荷の変化は、その結果として、送信器で見られる電流およびインピーダンスの変化を誘起する。
本開示の例示的実施形態は、結合モード領域の逆方向リンクで送信されたビットを復調するための簡単であるが頑健なやり方を対象にする。いくつかの別々の信号が、最初に最も高信頼の信号を識別し、次に選択された信号から情報ビットを抽出するのに使用され得る。この特定の実施形態は、差分マンチェスター符号化プロトコルに適合するが、他の符号化システムとも同様に作動するように容易に変更され得る。
無線充電システムの性質により、これらの変化の大きさが予測不能であり、信号間で相関関係がなく、すなわち1つの信号が大きな変化を経験している一方で他の緒信号が経験しない可能性がある。これらの複数のパラメータを処理することにより、1つのパラメータを処理するのとは対照的に、情報ビットの改善された復号化が達成され得る。」(【0089】-【0094】)
と記載されており、コントローラが、位相出力の変化および振幅出力の変化に応答するデジタル信号伝達値を求めること、及び、複数のパラメータを処理することにより1つのパラメータを処理するのとは対照的に情報ビットの改善された復号化が達成され得ることの記載はあるものの、コントローラが、位相差および振幅差から何れか1つを選択するのではなく1つのパラメータを選択し、選択されたパラメータに基づき受信器から複数の通信信号伝達値を判定することは記載も示唆もない。
請求項9、17も同様である。
したがって、本件補正後の請求項1の上記記載事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。請求項9、17も同様である。
II この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。
記
(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1に「磁場を介して送信信号を送信するように構成された送信アンテナ」との訳語があるから、送信アンテナから出力される信号が送信信号である。しかし、請求項1には、「前記送信アンテナに接続される結合器であって、前記送信アンテナに、入力信号に基づいて送信信号を提供し」との訳語があり、結合器の入力が入力信号で送信アンテナに対する出力が送信信号となるから、上記記載と整合性がとれず、入力信号、送信信号は、各々どの部分に対する信号であるのか特定できず不明(送信信号が同じ信号であるならば「前記送信信号」とされたい。)である。請求項9、17も同様である。
更に、請求項1に「前記送信信号から限定された電力を引き込むことで第1の信号を出力するように構成され」との訳語があるが、「限定された電力を引き込む」は一般的な用語ではないため、構成を特定できず不明であり、又、機械である無線電力送信器が第1の信号を作成するのであるから、送信信号を入力として第1の信号を作成する何らかの関数があるはずであるが、明細書に何等開示が無く不明(そもそも、図7B、図7Cにおいて、送信信号、第1の信号はどの部分の信号であるのか明確でない。)である。請求項9、17も同様である。
更に、請求項1に「前記第1の信号が前記送信信号の振幅および位相の指標を提供する」との訳語があるが、「指標」とは物事の検討をつけるための目印のことであるから、第1の信号から送信信号の振幅および位相が提供されるわけではなく指標が提供されることとなり、「振幅および位相」と「振幅および位相の指標」は何が異なるのか、明細書に何等開示が無く不明(そもそも、図7B、図7Cにおいて、振幅および位相の指標はどの部分の信号であるのか明確でない。)である。請求項9、17も同様である。
更に、請求項1に「前記第1の信号と前記入力信号の間の位相差を判定するように構成された位相比較回路」との訳語があるが、上述のように、第1の信号、入力信号が各々どの部分のどの様な信号であるのか特定できないため、第1の信号と入力信号の間の位相差を判定するとはどの様なことか明細書を参照しても不明(そもそも、図7B、図7Cにおいて、第1の信号、入力信号はどの部分の信号であるのか明確でない。)である。請求項9、17も同様である。
更に、請求項1に「前記第1の信号と前記入力信号の間の振幅差を判定するように構成された振幅測定回路」との訳語があるが、上述のように、第1の信号、入力信号が各々どの部分のどの様な信号であるのか特定できないため、第1の信号と入力信号の間の振幅差を判定するとはどの様なことか明細書を参照しても不明(そもそも、図7B、図7Cにおいて、第1の信号、入力信号はどの部分の信号であるのか明確でない。)である。請求項9、17も同様である。
更に、請求項1に「前記位相差および前記振幅差から1つのパラメータを選択し、前記選択されたパラメータに基づき、前記受信器から複数の通信信号伝達値を判定するように構成されたコントローラ」との訳語があるが、パラメータとは、位相差および振幅差の何れか一つのことであるのか、位相差および振幅差を入力とする関数から求めるものであるのか、それ以外か、明細書を参照しても特定できず不明であり、又、「基づき」とあるが、曖昧な表現であるため構成を特定できず不明であり、しかも、コントローラが1つのパラメータを選択するのであるから何らかの関数が必要であるが、明細書に何等開示が無く不明(【0094】に「これらの複数のパラメータを処理することにより、1つのパラメータを処理するのとは対照的に、情報ビットの改善された復号化が達成され得る。」とあるが、請求項1の記載では、最初に1つのパラメータを選択し、次に、選択したパラメータを入力とする関数で複数の通信信号伝達値を判定しており、複数のパラメータを処理していない。)であり、又、「通信信号伝達値」は一般的な用語ではなく、当初明細書等にも記載がないため、どの様な値であるのか定義が不明(当初明細書等には「デジタル信号伝達値」としか記載がない。「通信信号伝達値」ではアナログ信号分も含むこととなる。)であり、「複数の通信信号伝達値」とはどの様な値をいくつ含むのか構成を特定できず不明(負荷変調によるインピーダンス変化から求めることとなるが、例えば、位相比較回路の出力から求められる複数の通信信号伝達値とは何か。振幅差についても同様に不明である。)である。請求項9、17も同様である。」
(2)当審の最後の拒絶の理由I、IIについての判断
平成29年7月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項は、平成30年1月30日付意見書を参照しても、「3.(1)I」に示したとおり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。
したがって、平成29年7月10日付でした手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
請求項9、17も同様である。
平成29年7月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載は、平成30年1月30日付意見書を参照しても、「3.(1)II」に示したとおり、明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項9、17も同様であり、請求項1、9、17を引用する請求項も同様である。
(3)むすび
したがって、平成29年7月10日付でした手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、請求項1-18の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-008536