特許拒絶査定不服審判
2015-009346
センス鎖中の一般塩基またはミスマッチを使用したsiRNAサイレンシング活性の亢進
- 審判番号
- 2015-009346
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-520219外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年05月20日
- 審決日
- 2016年10月31日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アルニラム ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】柳田 征史
- 【請求人代理人】佐久間 剛
- 分類
- P18 .121-WZ (C12N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-520219「センス鎖中の一般塩基またはミスマッチを使用したsiRNAサイレンシング活性の亢進」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月28日国際公開、WO2010/011895、平成23年12月 1日国内公表、特表2011-528910〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成21(2009)年7月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年7月25日 米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、平成27年1月9日付けで拒絶査定がされたところ、同年5月20日に拒絶査定不服審判の請求がされ、当審による平成28年3月24日付け拒絶理由(以下、単に「拒絶理由」という)に応答して、同年9月28日に意見書および手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~20に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成28年9月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された発明特定事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という)は、以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】
増加したRNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤であって、
a.標的遺伝子に100%相補的であるアンチセンス鎖と、
b.前記アンチセンス鎖に相補的であり、標的切断部位に相当する領域に少なくとも1つの修飾核酸塩基を含み、該修飾核酸塩基が、非天然核酸塩基であるか、一般核酸塩基であるか、または脱塩基性である、センス鎖と、
を含み、
前記センス鎖およびアンチセンス鎖が、それぞれ19~25核酸塩基長であり、前記切断部位領域が、前記センス鎖の5’末端から10位に相当し、
前記増加したRNAiサイレンシング活性が、RNAiサイレンシングアッセイにおいてそれぞれのIC50値を比較することによって決定される、対応する非修飾iRNA剤に対してである、iRNA剤。」
第3 引用例
1.引用例1
拒絶理由において「引用例1」として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2006/093526号(以下、「引用例1」という)には、以下の事項が記載されている。
なお、翻訳は当審によるものであり、下線は強調のため当審で付与したものである。以下、同様である。
(1-a)「本発明の1つの局面は、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む2本鎖オリゴヌクレオチドに関する。ある実施形態では、非天然核酸塩基はジフルオロトリル、ニトロインドリル、ニトロピロリル、ニトロイミダゾリルである。好ましい実施態様では、非天然核酸塩基はジフルオロトリルである。ある実施形態では、2本鎖オリゴヌクレオチドを含む2つのオリゴヌクレオチド鎖の1つのみが非天然核酸塩基を含む。」(要約1~4行目)
(1-b)「それゆえに、インビボにおける改善された血清への溶解性、細胞への分布、取り込み、安定性を有する修飾されたオリゴヌクレオチドの必要性が存在する。非天然核酸塩基を含む本発明のオリゴヌクレオチドはこの必要性を満たし、他に関連する利点を提供する。」(6頁13~16行目)
(1-c)「図6は、センス(オリゴヌクレオチド1005)及びアンチセンス(オリゴヌクレオチド1006)鎖の中段に位置する、ルシフェラーゼ遺伝子のサイレンシングにおける2,4-ジフルオロトリル非天然塩基修飾の効果を示す。」(7頁20~22行目)
(1-d)「図10は、複数の2,4-ジフルオロトリル非天然塩基のルシフェラーゼsiRNAへの取り込みにおける遺伝子のサイレンシング効果を示す。」(7頁28~29行目)
(1-e)「実施例12
非天然塩基修飾を有するsiRNAセンス及びアンチセンス鎖
表1.修飾/非天然塩基を含むsiRNAを構成するための2,4-ジフルオロトリル及び5-ニトロインドールを組み込んだ/含むオリゴヌクレオチド
表1において、上記、*はホスホロチオエート結合を示し、Q10は2,4-ジフルオロトリル(2,4ジフルオロトルエン);及びQ12は5-ニトロインドリル(5-ニトロインドール)を示す。」(158頁20行目~159頁2行目、表1)
(1-f)「実施例13
ルシフェラーゼ遺伝子のサイレンシング:2,4-ジフルオロトリル修飾のsiRNA2本鎖調製物の効果
2本鎖の2つの鎖が、最終濃度が20μMの2本鎖となるように、リン酸緩衝生理食塩水でPCRチューブ又はプレート(VWR, WEST Chester, PA)に配列された(表2)。アニーリングが、PCRチューブ又はプレートを収容できるサーマルサイクラーを用いて実行された(ABI PRISM 7000, Applied Biosystems, Foster City, CA)。オリゴリボヌクレオチドは、90℃で2分間、そしてアッセイに使用する前に37℃で1時間維持された。図5~12を見よ。」(159頁3行目~160頁2行目)
(1-g)「
」(図6)
(1-h)「
」(図10)
引用例1記載事項(1-a)及び(1-e)の表1より、引用例1には、非天然核酸塩基を含む、それぞれ21核酸塩基長のセンス鎖及びアンチセンス鎖が記載されており、
Seq.ID1000として非修飾のセンス鎖、及び
Seq.ID1001として非修飾のアンチセンス鎖
が記載されているとともに、
Seq.ID1005として5’末端から8位に非天然核酸塩基を含むセンス鎖、
Seq.ID1009として5’末端から12位に非天然核酸塩基を含むセンス鎖、及び
Seq.ID1026として5’末端から8,12位に非天然核酸塩基を含むセンス鎖
が記載されているといえる。
そして、引用例1記載事項(1-f)より、引用例1には、4-ジフルオロトリル修飾のsiRNA2本鎖調製物を用いてルシフェラーゼ遺伝子のサイレンシングの実験を行ったことが記載されており、引用例1記載事項(1-c)及び(1-g)の図6で用いられている「1005/1001」、並びに引用例1記載事項(1-d)及び(1-h)の図10で用いられている「1026/1001」はともに、非天然核酸塩基を含むセンス鎖(1005,1026)及び非修飾のアンチセンス鎖(1001)を含む、2本鎖オリゴヌクレオチドである。
そうすると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「遺伝子のサイレンシングに用いるsiRNA2本鎖オリゴヌクレオチドであって、
非天然核酸塩基を含むセンス鎖及び非修飾のアンチセンス鎖を含み、
前記センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ21核酸塩基長であり、センス鎖の5’末端から8,12位に非天然核酸塩基を含む、
siRNA2本鎖オリゴヌクレオチド。」
2.引用例2
拒絶理由において「引用例2」として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2007/053696号(以下、「引用例2」という)には、以下の事項が記載されている。
なお、翻訳は対応する国内公表公報である特表2009-513716号公報を参考にした。
(2-a)「1.センス鎖とアンチセンス鎖とを含むiRNA剤であって、センス鎖は少なくとも15個連続したヌクレオチドからなり、前記センス鎖のヌクレオチドは、表1A~1Hに示されたiRNA剤すなわち番号がAL-DP-2241~AL-DP-8631のiRNA剤のうちいずれか1つのセンス鎖の配列との差異が1、2、または3ヌクレオチド以内であり、またアンチセンス鎖は少なくとも15個連続したヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖のヌクレオチドは、表1A~1Hに示されたiRNA剤すなわち番号がAL-DP-2241~AL-DP-8631のiRNA剤のうちいずれか1つのアンチセンス配列との差異が1、2、または3ヌクレオチド以内であることを特徴とする、iRNA剤。」(クレーム1)
(2-b)「15.少なくとも1つの非天然の核酸塩基を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のiRNA剤。
16.非天然の核酸塩基はジフルオロトリル、ニトロインドリル、ニトロピロリルまたはニトロイミダゾリルである、請求項15に記載のiRNA剤。
17.非天然の核酸塩基はジフルオロトリルである、請求項15に記載のiRNA剤。
18.二本鎖オリゴヌクレオチドを構成している2つのオリゴヌクレオチド鎖のうち1つだけが非天然の核酸塩基を含んでいる、請求項15に記載のiRNA剤。」(クレーム15~18)
(2-c)「図1A-1I:選択されたRNAi作用薬に関する標的遺伝子発現抑制の用量-応答曲線を示す図。それぞれの標的遺伝子を、プラスミドに含めて遺伝子組換え手法によりCos-7細胞内にクローニングし、その結果として標的遺伝子とレニラのルシフェラーゼとをコードするmRNAが発現され、該細胞をRNAi作用薬で処理し、レニラのルシフェラーゼを定量した。細胞は、濃度を100nM、25nM、6.3nM、1.6nM、400pM、100pM、24pM、6pM、1.5pM、380fMとしたRNAi作用薬で処理し、XLfitプログラムを使用したパラメータ化曲線あてはめによって、IC50値を決定した。」(5頁16~22行目)
(2-d)「表1F:100%の標的範囲(基準1、実施例1参照)および100%の標的効率(基準2、実施例1参照)を有するがiRNA剤の非シード部分に3個までのユニバーサル塩基が許容されるインフルエンザウイルスを標的とするiRNA剤の追加例(xはユニバーサル塩基の位置を示す)
(以下省略)」(表1F)
(2-e)「表1G:180%の標的範囲(基準1、実施例1参照)および80%の標的効率(基準2、実施例1参照)を有するがiRNA剤の非シード部分に1個までのユニバーサル塩基が許容されるインフルエンザウイルスを標的とするiRNA剤の追加例(xはユニバーサル塩基の位置を示す)
(以下省略)」(表1G)
(2-f)「非天然の核酸塩基
ニトロピロリルおよびニトロインドリルは、ユニバーサル塩基として知られる化合物群のメンバーである非天然の核酸塩基である。ユニバーサル塩基は、オリゴヌクレオチド二重鎖の融解挙動や活性にそれほど影響せずに、天然に存在する4つの塩基のうちいずれとも置き換わることができる化合物である。」(73頁3~7行目)
(2-g)「ジフルオロトリルはユニバーサル塩基として機能する非天然の核酸塩基である。ジフルオロトリルは天然の核酸塩基であるチミンの等価体である。」(74頁1~2行目)
(2-h)「表1Fおよび表1Gは、センス鎖およびアンチセンス鎖の相互に相補的な部位にユニバーサル塩基を含むiRNA剤を示している。しかしながら、これは本発明のiRNA剤の1つの好ましい実施形態であり、iRNA剤中のユニバーサル塩基の効果は、ユニバーサル塩基がアンチセンス鎖中にある場合により顕著である。したがって、アンチセンス鎖中のユニバーサル塩基と対をなす部位にあるセンス鎖中の塩基は、ユニバーサル塩基、またはa、u、cもしくはgのような任意の他の適切な塩基のいずれかでよいと考えられる。センス鎖中のそのような部位においてどの塩基がiRNA剤の最も高い活性および/または選択性を与えるかについて試験することが好ましいであろう。別例として、問題になっているiRNA剤によって発現を抑制しようとする標的遺伝子バリアントの大多数においてその特定の部位に存在する塩基を選択してもよい。」(75頁14~24行目)
(2-i)「
」(図1A)
第4 対比
本願発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「遺伝子のサイレンシングに用いるsiRNA2本鎖オリゴヌクレオチド」は、本願発明1の「RNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤」に相当する。
また、siRNA2本鎖オリゴヌクレオチドを構成するアンチセンス鎖が標的遺伝子に相補的であり、センス鎖がアンチセンス鎖に相補的であることは自明のことであるから、引用発明の「非天然核酸塩基を含むセンス鎖及び非修飾のアンチセンス鎖を含み」は、本願発明1の
「a.標的遺伝子に相補的であるアンチセンス鎖と、
b.前記アンチセンス鎖に相補的であり、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含み、該修飾核酸塩基が、非天然核酸塩基である、センス鎖と、
を含み」に相当する。
そして、引用発明の「前記センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ21核酸塩基長であり」は、本願発明1の「前記センス鎖およびアンチセンス鎖が、それぞれ19~25核酸塩基長であり」に相当する。
そうすると、両者は
「RNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤であって、
a.標的遺伝子に相補的であるアンチセンス鎖と、
b.前記アンチセンス鎖に相補的であり、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含み、該修飾核酸塩基が、非天然核酸塩基である、センス鎖と、
を含み、
前記センス鎖およびアンチセンス鎖が、それぞれ19~25核酸塩基長である、iRNA剤。」
である点で一致し、以下の3点で相違する。
相違点1:
本願発明1は、標的遺伝子に100%相補的であるアンチセンス鎖を含むのに対して、引用発明は100%相補的であるという特定を有しない点。
相違点2:
本願発明1は、増加したRNAiサイレンシング活性を有する2本鎖iRNA剤であって、増加したRNAiサイレンシング活性が、RNAiサイレンシングアッセイにおいてそれぞれのIC50値を比較することによって決定される、対応する非修飾iRNA剤に対してであるのに対して、引用発明はかかる特定を有しない点。
相違点3:
本願発明1は、標的切断部位に相当する領域に少なくとも1つの修飾核酸塩基を含み、切断部位領域がセンス鎖の5’末端から10位に相当するのに対して、引用発明はセンス鎖の5’末端から8,12位に非天然核酸塩基を含む点。
第5 当審の判断
上記相違点1~3について検討する。
相違点1について:
siRNA2本鎖オリゴヌクレオチドを構成するアンチセンス鎖が標的遺伝子に対して機能を発揮する際に、特段の断りがなければ、当該標的遺伝子に対して100%相補的であることは当業者の技術常識であるから、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
また、仮に記載がないとして相違点であるとしても、標的遺伝子に対して100%相補的なアンチセンス鎖を含むsiRNA2本鎖オリゴヌクレオチドとする程度のことは当業者であれば適宜なし得ることに過ぎない。
相違点2について:
引用例1記載事項(1-b)より、引用例1には、インビボにおける改善された血清への溶解性、細胞への分布、取り込み、安定性を有する修飾されたオリゴヌクレオチドの必要性を、非天然核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを提供することで満たすことが記載されており、上記記載より、インビボにおける改善された血清への溶解性、細胞への分布、取り込み、安定性を有することで、非修飾のものに対して増加した遺伝子のサイレンシング活性を有するオリゴヌクレオチドとなるものと認められる。
そして、siRNAによる遺伝子のサイレンシング活性を測定するにあたり、IC50値を用いることは本願優先日前に広く行われていたことであって、例えば、引用例2記載事項(2-c)及び(2-i)の図1Aにも、RNAi作用薬に関する標的遺伝子発現抑制の用量-応答曲線において、IC50値を決定することが記載されている。
そうすると、引用発明において、非修飾の2本鎖オリゴヌクレオチドとIC50値を比較することによって、より改善された、増加した遺伝子のサイレンシング活性を有する修飾されたsiRNA2本鎖オリゴヌクレオチドを取得することは、当業者であれば容易になし得るものである。
相違点3について:
引用例1記載事項(1-c)には、図6の説明として、センス鎖及びアンチセンス鎖の2,4-ジフルオロトリル非天然塩基修飾が、オリゴヌクレオチドの中段に位置する塩基を修飾した例として記載されている。
また、引用例1記載事項(1-e)の表1におけるSeq.ID1011は、アンチセンス鎖ではあるものの、5’末端から10位に非天然核酸塩基を含んでいる。
さらに、引用例2記載事項(2-a)~(2-b)より、引用例2には、引用例1と同様に、センス鎖とアンチセンス鎖とを含むiRNA剤であって、二本鎖オリゴヌクレオチドを構成している2つのオリゴヌクレオチド鎖のうち1つだけが非天然の核酸塩基を含んでいるiRNA剤が記載されており、さらに、引用例2記載事項(2-f)~(2-g)より、非天然の核酸塩基として、ニトロピロリル、ニトロインドリル及びジフルオロトリルといったユニバーサル塩基が記載されている。また、引用例2記載事項(2-d)~(2-f)より、引用例2には、センス鎖およびアンチセンス鎖の相互に相補的な部位にユニバーサル塩基を含むiRNA剤であって、センス鎖の5’末端から10位にユニバーサル塩基(x)を含むものも記載されている。
引用発明は、センス鎖の5’末端から8位および/または12位に非天然核酸塩基を含むsiRNA2本鎖オリゴヌクレオチドであるが、引用例1,2の上記記載を勘案すれば、改善されたオリゴヌクレオチドを提供すべく、オリゴヌクレオチドの上記以外の中段の核酸塩基である、10位に相当する核酸塩基を非天然核酸塩基に修飾してみようとすることは当然に思いつくことであると認められる。
そうすると、引用発明において、センス鎖の5’末端から10位に非天然核酸塩基を含むものとすることは当業者であれば容易に想到し得るものである。
そして、本願発明1の効果について、平成28年9月28日付け意見書において審判請求人は、センス鎖の5’末端から10位での修飾は、他の位置での修飾と比較してより効果的にサイレンシング活性を高めることができる旨主張しているが、本願の発明の詳細な説明の実施例1,2,4,6の結果である、表3,14~18,20,24をみても、センス鎖の5’末端から10位に相当する核酸塩基の修飾が、他の位置の核酸塩基が修飾されたものと比較して、総じて格別な効果を奏しているとはいえない。
特に、表16や表18に至っては、本願発明1が規定する10位の修飾(表16におけるAD-3319,AD-3323、表18におけるAD-3348,AD-3352)を、引用発明が規定するものに対応する12位の修飾(表16におけるAD-3321,AD-3325、表18におけるAD-3350,AD-3354)とそれぞれ比較したとき、IC50値(nM)が全て高いことから、10位の修飾が12位の修飾よりもRNAiサイレンシング活性において劣っていることさえ示されている。
さらにいえば、上述においては、本願発明1の2本鎖iRNA剤は21核酸塩基長として判断したが、本願発明1では「前記センス鎖およびアンチセンス鎖が、それぞれ19~25核酸塩基長であり、前記切断部位領域が、前記センス鎖の5’末端から10位に相当」と規定されており、このような規定では切断部位領域に相当する位置が核酸塩基長によって変化し得、「センス鎖の5’末端から10位に相当」する位置が1つに定められない(本願発明1においても「標的切断部位に相当する領域」と表現されている)ことを考慮しても、センス鎖の5’末端から10位に相当する核酸塩基の修飾が、他の位置の核酸塩基が修飾されたものと比較して、格別な効果を奏しているとは到底いえない。
よって、本願発明1がセンス鎖の5’末端から10位に相当する核酸塩基を修飾することにより格別顕著な効果を奏しているとはいえない。
したがって、本願発明1は引用例1及び2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 結び
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2015-009346