特許拒絶査定不服審判
2015-005681
拡張アップリンクをサポートするMACレイヤアーキテクチャ
- 審判番号
- 2015-005681
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-114992外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年03月25日
- 審決日
- 2016年12月05日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インターデイジタル テクノロジー コーポレーション
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H04Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-114992「拡張アップリンクをサポートするMACレイヤアーキテクチャ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月 1日出願公開,特開2011-172282〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯・本願発明
本願は,2005年4月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2004年5月7日 米国,2004年6月10日 米国)を国際出願日とする出願である特願2007-511448号の一部を,平成21年7月16日に新たな特許出願とした特願2009-167934号の一部を,平成23年5月23日に更に新たな特許出願としたものであって,平成26年11月19日付けで補正の却下の決定がされるとともに同日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成27年3月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がされ,その後,当審において平成28年3月18日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年6月22日に意見書が提出されたものである。
その請求項14に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年3月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項14に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項14】
無線送信/受信ユニット(WTRU)におけるデータを処理する方法であって,
アップリンクリソースについての要求を送信することであって,前記アップリンクリソースについての要求は,E-DCH(enhanced dedicated channel)を通じてデータを送信する要求である,ことと,
前記アップリンクリソースについての要求に応答してアップリンクスケジューリンググラントを受信することと,
MAC-d(medium access control for dedicated channel)フローからのデータをMAC-e(medium access control for enhanced uplink) PDU(protocol data unit)に多重化することと,
前記MAC-e PDUの送信のためにE-TFC(enhanced dedicated channel transport format combination)を選択することであって,前記E-TFC選択は,少なくとも前記アップリンクスケジューリンググラント,最大許可送信電力,およびデータフロープライオリティに基づく,ことと,
識別されるH-ARQ(hybrid automatic repeat request)プロセスを使用して前記E-DCHを通じて前記MAC-e PDUを送信することと,
前記送信されたMAC-e PDUに応答してフィードバック情報を受信することと,
前記フィードバック情報が前記MAC-e PDU送信のNACK(negative acknowledgment)を示すという条件で,前記識別されるH-ARQプロセスを使用して前記MAC-e PDUを再送信することと,
アップリンクリソースについての更新された要求を送信することと
を備える方法。」
2 引用発明
当審拒絶理由に引用された3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Feasibility Study for Enhanced Uplink for UTRA FDD([当審仮訳]:第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様グループ 無線アクセスネットワーク;UTRA FDDのための拡張アップリンクのための実現可能性検討) (Release 6) 3GPP TR 25.896 V2.0.0 (2004-03),3GPP,利用可能日:2004年3月,<URL;http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_36/Docs/Zips/R1-040392.zip>(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)「6.3 Transport Format Combination Selection in the UE
6.3.1 Description of TFC selection method
The TFC selection is a MAC function that the UE uses to select a TFC from its current TFCS whenever it has something to transmit. The TFC is selected based on the need for data rate (i.e. UE buffer contents), the currently available transmission power, the available TFCS and the UE’s capabilities. The details of the TFC selection function are covered in [8] and [16].
The most important parameters governing the behavior of the TFC selection function are called X,Y and Z, and their values have been agreed to be static in the current specifications. Table 6.3.1 below shows the values of these parameters.
Based on these parameters, the UE shall continuously evaluate based on the Elimination, Recovery and Blocking criteria defined below, how TFCs on an uplink DPDCH can be used for the purpose of TFC selection. The following diagram illustrates the state transitions for the state of a given TFC.
The evaluation shall be performed for every TFC in the TFCS using the estimated UE transmit power. 」(13~14ページ)
([当審仮訳]:
6.3 UEにおけるトランスポートフォーマットコンビネーションの選択
6.3.1 TFC選択方法の概要
TFC選択は,UEが送信する何かを持っているときはいつでも,現在のTFCSからTFCを選択するためにUEが使用する,MAC機能である。TFCは,データレートの必要性(すなわち,UEバッファの内容),現在利用可能な送信電力,利用可能なTFCS及びUEの能力に基づいて選択される。TFC選択機能の詳細は[8],[16]にて網羅されている。
TFC選択機能の動作を支配する最も重要なパラメータは,X,Y及びZと呼ばれ,その値は,現在の仕様において静的であることが合意されている。以下の表6.3.1は,これらのパラメータの値を示している。
(表6.3.1は省略。)
これらのパラメータに基づいて,UEは,以下に定義される除去,回収及びブロッキングの基準に基づいて,TFC選択のためにアップリンクDPDCH上のTFCsが使用することができるか,連続的に評価する。次の図は,所与のTFCの状態について状態遷移を示している。
(図6.3.1は省略。)
評価は,推定されたUEの送信電力を用いて,TFCS内のすべてのTFCについて実施される。)
(2)「6.3.2 TFC selection method as a reference case for Enhanced Uplink DCH
(中略)
It is noted that TFC selection method should be modelled also in the new schemes proposed for Enhanced Uplink DCH, if there is no clear reason why it can not/should not be included into the proposed scheme. 」(16~17ページ)
([当審仮訳]:
6.3.2 拡張アップリンクDCHのための基準ケースとしてのTFC選択方法
(中略)
提案方式に含めることができない/含めるべきではないとの理由は明確な理由がなければ,TFC選択方法は,拡張アップリンクDCHのために提案された新しいスキームにおいてもモデル化されるべきであることに留意されたい。)
(3)「7 Overview of Techniques considered to support Enhanced Uplink
7.1 Scheduling <NodeB controlled scheduling, AMC>
(中略)
The set of TFCs from which the UE may choose a suitable TFC is denoted “Node B controlled TFC subset” in the following. The UE selects a suitable TFC from the “Node B controlled TFC subset” employing the Rel5 TFC selection algorithm (or modifications thereof if applicable). Any TFC in the Node B controlled TFC subset might be selected by the UE, provided there is (1) sufficient power margin, (2) sufficient data available, (3) TFC is not in the blocked state. The Node B controlled TFC subset relates to the TFCS and minimum set defined in Rel5 as
-“TFCS”. This is identical to the TFCS in Rel5 and is the set of all possible TFCs as configured by the RNC.
-“Node B controlled TFC subset”. The TFC selection algorithm in the UE selects a TFC from the “Node B controlled TFC subset”. Note that the “Node B controlled TFC subset” is equal to or a subset of the TFCS and, at the same time, equal to or a superset of the minimum set, i.e.. “Minimum set”⊆“Node B controlled TFC subset”⊆“TFCS”.
-“Minimum set”. This is identical to the minimum set in Rel5 as specified in [15]. The UE can always select a TFC from the minimum set as TFCs in the minimum set never can be in blocked state.
In Figure 7.1, the different (sub)sets are illustrated. Setting the “Node B controlled TFC subset” equal to the TFCS would result in behavior identical to Rel5. Furthermore, note that the smallest possible “Node B controlled TFC subset” may be larger than the minimum set, i.e., “Node B controlled TFC subset”⊃“minimum set”.
」(17~18ページ)
([当審仮訳]:
7 拡張アップリンクをサポートするために考えられた技術の概要
7.1 スケジューリング<ノードB制御スケジューリング,AMC>
(中略)
以下では,UEがそこから適切なTFCを選択するTFCのセットは,「ノードB制御TFCサブセット」と示される。 UEは,リリース5のTFC選択アルゴリズム(又は適用可能であればその変形例)を用いて,「ノードB制御TFCサブセット」から適切なTFCを選択する。ノードB制御TFCサブセット内の任意のTFCは,(1)十分な電力マージン,(2)十分なデータが利用可能,(3)TFCがブロックされた状態でない との条件であれば,UEによって選択される可能性がある。 ノードB制御TFCサブセットは,Rel5で定義されるように,TFCS及び最小セットに関連する。
- 「TFCS」。これは,Rel5のTFCSと同一であり,RNCによって設定される,すべての可能なTFCのセットである。
- 「ノードB制御TFCサブセット」。 UEのTFC選択アルゴリズムは,「ノードB制御TFCサブセット」からTFCを選択する。 「ノードB制御TFCサブセット」は,TFCS又はそのサブセットに等しく,同時に,最小セット又はそのスーパーセットに等しい,すなわち,「最小セット」⊆「ノードB制御TFCサブセット」 ⊆「TFCS」であることに留意すべきである。
- 「最小セット」。これは,[15]で指定されるRel5の最小セットと同一である。 UEは,常に,最小セットのTFCがブロックされた状態ではないものとして,最小セットからTFCを選択することができる。
図7.1に異なる(サブ)セットが示されている。 「ノードB制御TFCサブセット」を TFCSに等しく設定するとRel5と同じ動作となる。また,可能な最小の「ノードB制御TFCサブセット」は,最小のセットよりも大きくてもよい,すなわち,「ノードB制御TFCサブセット」⊃「最小セット」であることに留意すべきである。
(図7.1は省略) )
(4)「7.1.1.5 Signalling to Support Fast TFCS Restriction Control
7.1.1.5.1 L1 signaling
Two new L1 messages are introduced in order to enable the transport format combination control by L1 signalling between the Node B and the UE.
-Rate Request (RR), sent in the uplink by the UE to the Node B. With the RR the UE can ask the Node B to change the set of the allowed uplink transport format combinations within the transport format combination set.
-Rate Grant (RG), sent in the downlink by the Node B to the UE. With RG, the Node B can change the allowed uplink transport format combinations within the transport format combination set.
(中略)
7.1.2.2 General Principle
(中略)
A UE is sent a scheduling assignment by a scheduling Node B. The UE transmits during the time interval specified by the downlink scheduling assignment using a restricted TFCS, which is determined from a TFCS indicator in the scheduling assignment.
(中略)
7.1.2.5 Signalling to Support Fast Node-B Time and Rate Control
7.1.2.5.1 L1 Signalling
Two new L1 messages are introduced in order to enable fast time and rate control between the Node B and the UE.
-Scheduling Information Update (SI), sent in the uplink by the UE to the Node B. With the SI the UE can provide the Node B buffer occupancy and rate or power information so its scheduler(s) can maintain fairness and determine the UEs TFCS indicator and appropriate transmission time interval.
-Scheduling Assignment or Grant (SA), sent in the downlink by the Node B to the UE. With SA, the Node B can set the TFCS indicator and subsequent transmission start time(s) and time interval(s) to be used by the UE.」(21,23~24ページ)
([当審仮訳]:
7.1.1.5 高速TFCS制限制御をサポートするシグナリング
7.1.1.5.1 L1シグナリング
ノードBとUEとの間のL1シグナリングによるトランスポートフォーマットコンビネーション制御を可能にするために,2つの新しいL1メッセージが導入される。
-UEによりノードBにアップリンクで送信される,レート要求(RR)。RRにより,UEは,ノードBにトランスポートフォーマットコンビネーションセットの中の許可されたアップリンクトランスポートフォーマットコンビネーションのセットを変更するよう要求することができる。
-ノードBによりUEにダウンリンクで送信される,レートグラント(RG)。RGにより,ノードBは,トランスポートフォーマットコンビネーションセットの中の許可されたアップリンクトランスポートフォーマットコンビネーションを変更することができる。
(中略)
7.1.2.2 一般的な原則
(中略)
UEには,スケジューリングノードBにより,スケジューリング割り当てが送信される。UEは,ダウンリンクスケジューリング割り当てによって指定された時間間隔の間に,スケジューリング割り当て内のTFCSインジケータから決定される制限されたTFCSを用いて送信する。
(中略)
7.1.2.5 高速ノードB時間及びレート制御をサポートするためのシグナリング
7.1.2.5.1 L1 シグナリング
ノードBとUEとの間の高速の時間及びレート制御を可能にするために,2つの新しいL1メッセージが導入される。
-UEによりノードBにアップリンクで送信されるスケジューリング情報更新(SI)。SIにより,UEは,UEのバッファ占有及び速度又は電力情報を提供することができ,それによりノードBのスケジューラ(複数可)は公平性を維持しUEのTFCSインジケータ及び適切な送信時間間隔を決定することができる。
-ノードBによりUEにダウンリンクで送信されるスケジューリング割当て又はグラント(SA)。SAにより,ノードBは,UEによって使用されるべきTFCSインジケータと後続の送信開始時間及び時間間隔を設定することができる。)
(5)「7.2 Hybrid ARQ
(中略)
7.2.3 Associated Signaling
(中略)
Downlink signaling consists of a single ACK/NAK per (uplink) TTI from the Node B. Similar to the HS-DSCH, a well-defined processing time from the reception of a transport block at the Node B to the transmission of the ACK/NAK in the downlink can be used in order to avoid explicit signaling of the hybrid ARQ process number along with the ACK/NAK. The details on how to transmit the ACK/NAK are to be studied further.
The necessary information needed by the Node B to operate the hybrid ARQ mechanism can be grouped into two different categories: information required prior to soft combining/decoding (outband signaling), and information required after successful decoding (inband signaling). Depending on the scheme considered, parts of the information might either be explicitly signaled or implicitly deduced, e.g., from CFN or SFN.」(26,28ページ)
([当審仮訳]:
7.2 ハイブリッドARQ
(中略)
7.2.3 関連するシグナリング
(中略)
ダウンリンクシグナリングは,(アップリンク)TTI毎のノードBからの単一のACK/NACKからなる。HS-DSCHと同様に,ノードBにおけるトランスポートブロックの受信からダウンリンクでのACK/NACK送信までの良く定義された処理時間は,ACK/NACKのハイブリッドARQ処理番号の明示的なシグナリングを回避するために使用することができる。
ハイブリッドARQメカニズムを動作するためにノードBにより必要とされる情報は,2つの異なるカテゴリー:ソフト結合/復号に先立って必要とされる情報(アウトバンドシグナリング),及び成功裏の復号の後に必要とされる情報(インバンドシグナリング),にグループ分けすることができる。考慮されるスキームにより,情報の部分は,明示的にシグナルされたり,例えばCFN又はSFNから暗黙的に推定されることができる。」
(6)「8.1.1 Transport Channel Structure
To support some of the enhancements currently under consideration, a new transport channel type, the E-DCH, is introduced.
(中略)
In Figure 8.1.1, a generic structure is illustrated, not making any particular assumption on the number of CCTrCHs, E-DCHs or the TTIs supported. For E-DCHs using (hybrid) ARQ, a new MAC-e entity is introduced to handle the retransmission protocol in a similar way as for HS-DSCH. In any scheme with more than one MAC-e, there will be a dependency between the MAC-e entities as, according to section 7.2.3, a single ACK/NAK per uplink TTI is used. Thus, if multiple E-DCHs are supported, a retransmission request is valid for all E-DCHs using hybrid ARQ in the corresponding interval.
8.1.1.1 Number of E-DCHs
Supporting only one E-DCH may simplify transport channel multiplexing and reduce the amount of additional outband signaling. MAC layer multiplexing may be used to support (simultaneous) transmission of multiple MAC-d flows (possibly with different priorities) into a single transport channel. Inband signaling may be used for separating the received data into different MAC-d flows instead of relying on the TFCI.
Supporting multiple E-DCHs may allow for greater flexibility but may require more outband signaling compared to a single E-DCH. One E-DCH can be set up for each MAC-d flow. Outband TFCI signaling is used to demultiplex the received data into multiple transport channels/MAC-d flows.
The interaction with TFC selection needs to be considered. According to Rel5, logical channels in the uplink have absolute priority, i.e., the UE shall maximize transmission of high priority data in each TTI. Whether this rule is to be maintained for the E-DCH or not is FFS, although the TFC selection needs to take both DCHs and E-DCHs into account. If the Rel5 principle is retained, TFC selection and MAC-e (if applicable) multiplexing must be jointly designed in order not to “starve” low-priority MAC-d flows.」(36~37ページ)
([当審仮訳]:
8.1.1トランスポートチャネルの構造
現在検討中の拡張機能の一部をサポートするために,新しいトランスポートチャネル型であるE-DCHが導入される。
(中略)
図8.1.1では,一般的な構造が例示されており,サポートされるCCTrCHs,E-DCHs又はTTIsの数については,特定の仮定をしていない。(ハイブリッド)ARQを用いるE-DCHのために,HS-DSCHと同様の方法で再送プロトコルを処理するための新たなMAC-eエンティティが導入される。複数のMAC-eを持つ方式では,7.2.3節によると,MAC-eエンティティ間の依存関係が存在することになり,アップリンクTTI毎に単一のACK/NAKが使用される。このため,複数のE-DCHがサポートされる場合,ハイブリッドARQを使用して,対応する区間内ではすべてのE-DCHに対して1つの再送要求が有効である。
(図8.1.1は省略。)
8.1.1.1 E-DCHの数
唯一のE-DCHをサポートすることは,トランスポートチャネルの多重化を簡素化し,追加の帯域外シグナリングの量を減少させることができる。複数のMAC-dフロー(おそらく異なる優先度を有する)を単一のトランスポートチャネルにて(同時)送信することをサポートするために,MAC層多重化が使用されてもよい。受信したデータを異なるMAC-dフローに分離するために,TFCIに依存することに代えて,インバンドシグナリングを使用することができる。
複数のE-DCHをサポートすることは,高い柔軟性を可能にすることができるが,単一のE-DCHに比べてより多くのアウトバンドシグナリングを必要とすることがある。各MAC-dフローのために1つのE-DCHを設定することができる。アウトバンドTFCIシグナリングは,受信されたデータを複数のトランスポートチャネル/ MAC-dフローに逆多重化するために使用される。
TFC選択との相互作用を考慮する必要がある。Rel5によると,アップリンクの論理チャネルは絶対的な優先度を有する,すなわち,UEは各TTIにおいて優先度の高いデータの送信を最大化しなければならない。このルールがE-DCHのために維持されるべきか否かは今後の検討課題であるが,TFC選択はDCH及びE-DCHの両方で考慮する必要がある。 Rel5の原理が保持される場合,TFC選択とMAC-e(適用可能であれば)多重化は,低優先度のMAC-dフローが「飢える」ことがないように,共同して設計されなければならない。)
(7)「10 Impacts to the Radio Interface Protocol Architecture
10.1 Protocol Model
The proposed new MAC entity (Chapter 8.1.1) is introduced to the Rel99/4/5 MAC sub-layer on UE and network side and covers the E-DCH specific functionality.
Figure 10.1 is an example protocol model for E-DCH.
10.1 Introduction of new MAC functionality
The new functionalities of Node B controlled Hybrid ARQ and Node B controlled scheduling, considered as enhancements for the uplink dedicated transport channel, require the introduction of new MAC functionalities. These new functionalities could be partly added to the existing MAC-d, e.g. reordering or TFC selection, or included in a new MAC entity, as proposed in chapter 8.1.1. This new MAC entity, which is referred to as MAC-e, is added to the Rel99/4/5 MAC sublayer on UE and on network side and covers HARQ related functionality, e.g. generation of ACK/NACK and retransmissions, as well as the scheduling related functionality. For the definition of the MAC architecture and functionality of the new MAC entity, issues like TFC selection, number of E-DCH transport channels and location of the reordering entity need to be considered, since they have a big impact on the overall architecture. The introduction of a new MAC entity will have an impact on TS25.321.
10.1.1 Introduction of an enhanced uplink dedicated transport channel (E-DCH)
The support of the uplink enhancements, considered in RAN WG1, requires the introduction of an enhanced uplink dedicated transport channel, called E-DCH. It still remains to be decided whether there will be a new transport channel added to RAN specification.
If only one E-DCH transport channel is supported, similar to HSDPA, MAC-e multiplexing may be required to multiplex several MAC-d flows into one E-DCH. In case several E-DCH transport channels are supported, each MAC-d flow is mapped to one transport channel. It needs to be decided whether there are only one or several E-DCH transport channels simultaneously allowed in the same TTI. The simultaneous support of transport channels with different transmission modes, e.g. different TTI lengths or different scheduling approaches, may for example require several E-DCH transport channels per TTI.
10.1.2 HARQ functionality
Node B controlled Hybrid ARQ allows for rapid retransmissions of erroneously received data packets between UE and Node B. A similar retransmission scheme as employed for the HS-DSCH in HSDPA can be used for the E-DCH. It has to be defined whether to adopt a retransmission protocol with asynchronous or synchronous uplink data transmission and with asynchronous or synchronous downlink feedback signalling.
Support of E-DCH HARQ functionality during soft handover is under consideration and link imbalances in soft handover may lead to unsynchronised soft buffers among different Node Bs. Enhancements in HARQ protocol operation, e.g. soft buffer synchronisation, should be discussed in order to provide a reliable HARQ protocol operation during soft handover.
(中略)
10.1.4 TFC selection
In Rel5 TFC selection in the UE shall be done in accordance with the priorities (logical channel priority) indicated by RRC. In case the same functionality with different logical channel priorities should be maintained in enhanced uplink DCH, the TFC selection in the UE has to take both E-DCH and DCH into account in case of a simultaneous transmission on E-DCH and DCH. TFC Selection for E-DCH can be either done jointly with TFC selection for Rel99/5 DCH channels in MAC-d or in the new MAC-e entity. Some interaction between MAC-e and MAC-d is in both cases required. Furthermore the logical channel priorities for E-DCH need to be discussed.
The impact of multiple CCTrChs and a possible adoption of a shorter TTI on the TFC selection algorithm should be clarified. Furthermore the minimum set of TFCs in the presence of E-DCH should be also discussed. 」(122~123ページ)
([当審仮訳]:
10 無線インターフェースプロトコルアーキテクチャへの影響
10.1 プロトコルモデル
提案される新たなMACエンティティ(8.1.1章)は,UE及びネットワーク側のRel99/4/5のMACサブレイヤに導入され,E-DCH特有の機能をカバーする。
図10.1はE-DCHのためのプロトコルモデルの一例である。
(図10.1は省略。)
10.1 新しいMAC機能の導入
ノードB制御ハイブリッドARQ及びNode B制御スケジューリングの新しい機能は,アップリンク個別トランスポートチャネルのための拡張として考えられ,新しいMAC機能の導入を必要とする。8.1.1章に提案されているように,これらの新機能は,例えば,並べ替え又はTFC選択等の既存のMAC-dに部分的に追加することができ,又は新しいMACエンティティに含めることができる。MAC-eと呼ばれる新しいMACエンティティは,例えば,UE側及びネットワーク側でREL99/4/5のMACサブレイヤに追加され,スケジューリング関連機能と同様に,HARQ関連機能,例えばACK/NACKの生成及び再送信をカバーする。MACアーキテクチャ及び新しいMACエンティティの機能の定義について,TFC選択,E-DCHトランスポートチャネルの数及びリオーダリングエンティティの位置の問題は,それらが全体的なアーキテクチャに大きな影響を与えるため,考慮する必要がある。新しいMACエンティティの導入は,TS25.321に影響を与える。
10.1.1 拡張アップリンク個別トランスポートチャネル(E-DCH)の導入
RAN WG1で考慮されたアップリンク拡張のサポートは,E-DCHと呼ばれる拡張アップリンク個別トランスポートチャネルの導入を必要とする。RAN仕様に追加される新しいトランスポートチャネルがあるかどうかは,未だ決定されないままである。
唯一のE-DCHトランスポートチャネルがサポートされている場合,HSDPAと同様に,複数のMAC-dを1つのE-DCHに多重化するためにMAC-eの多重化が必要とされる。いくつかのE-DCHトランスポートチャネルがサポートされるケースでは,各MAC-dフローは,1つのトランスポートチャネルにマッピングされる。同じTTI内で同時に使用できるE-DCHトランスポートチャネルは,たった1つかいくつかあるかを決定する必要がある。例えば異なるTTI長又は異なるスケジューリングアプローチ等の,異なる伝送モードのトランスポートチャネルの同時サポート,例えばTTI毎に複数のE-DCHトランスポートチャネルを必要とする。
10.1.2 HARQ機能
ノードB制御ハイブリッドARQは,UEとノードBとの間で誤って受信したデータパケットの迅速な再送を可能にする。HSDPAにおけるHS-DSCHのために用いられたものと同様の再送信方式が,E-DCHのために使用することができる。非同期又は同期アップリンクデータ送信及び非同期又は同期ダウンリンクフィードバックシグナリングのいずれの再送プロトコルを採用するかを定義する必要がある。
ソフトハンドオーバ中のE-DCH HARQ機能のサポートは現在考慮中であり,ソフトハンドオーバにおけるリンク不均衡は,異なるノードBの間でのソフトバッファの非同期につながる可能性がある。HARQプロトコル動作における拡張,例えばソフトバッファ同期は,ソフトハンドオーバー中に信頼できるHARQプロトコル動作を提供するために議論されるべきである。
(中略)
10.1.4 TFC選択
Rel5では,UEにおけるTFC選択は,RRCによって指示された優先順位(論理チャネル優先度)に従って行われる。拡張アップリンクDCHにおいて異なる論理チャネル優先度に同じ機能が維持されるべきである場合,UEにおけるTFC選択は,E-DCH及びDCHでの同時送信の場合にはE-DCH及びDCHの両方を考慮する必要がある。E-DCHのためのTFC選択は,MAC-dにおいてREL99/5 DCHチャネルのTFC選択と共同で行うか,又は新しいMAC-eエンティティにおいて行うことができる。どちらの場合でもMAC-eとMAC-dとの間のいくつかの相互作用が必要とされる。さらに,E-DCHのための論理チャネル優先度を議論する必要がある。
複数のCCTrCHの影響及びTFC選択アルゴリズムへの短TTIの可能な適用を明確にする必要がある。さらに,E-DCHの存在下でのTFCの最小セットも議論されるべきである。)
上記各記載及び図面並びに当業者の技術常識を考慮すると,
a 上記(4)の「7.1.1.5.1」の記載によれば,UEはノードBにレート要求を送信し,ノードBからレートグラントを受信するものである。ここで,前記レート要求は,「トランスポートフォーマットコンビネーションセットの中の許可されたアップリンクトランスポートフォーマットコンビネーション」,すなわち,TFCSのサブセットの変更を要求するものであり,前記レートグラントは変更されたTFCSのサブセットを示すものといえるところ,上記(3)の記載によれば,TFCSのサブセットはTFC選択に影響を与えるものである。そして,上記(1)の記載によれば,TFC選択はUEが送信する何かを持っているときはいつでもなされるMAC機能であり,上記(4)は拡張アップリンクをサポートするために考えられた技術として記載されたものであるところ,上記(2)の記載によれば,従前のTFC選択方法は拡張アップリンクDCH(すなわち,E-DCH)においてもモデル化されるのであるから,上記レート要求及びレートグラントは,E-DCHにおいてデータを送信したい場合におけるTFC選択に係るものを含んでいることは明らかである。
してみると,引用例には,「レート要求を送信することであって,前記レート要求は,E-DCHを通じてデータを送信することに関するものである,ことと,前記レート要求に応答してレートグラントを受信すること」が記載されていると認められる。
b 上記(6)の「8.1.1.1」の記載及び図8.1.1,上記(7)の「10.1.1」の記載によれば,MAC層多重化により複数のMAC-dフローが単一のトランスポートチャネルであるE-DCHにて同時送信されることが見てとれる。
したがって,引用例には,「MAC-dフローを単一のE-DCHに多重化すること」が記載されていると認められる。
c 上記aのとおり,引用例にはE-DCHを通じてデータを送信するためにTFC選択することが記載されている。そして,上記(1)の記載によれば,TFCは,データレートの必要性,現在利用可能な送信電力,利用可能なTFCS及びUEの能力に基づいて選択されるものである。ここで,上記aのとおり,「利用可能なTFCS」は,「レートグラントで指示された利用可能なTFCSサブセット」に対応することは明らかである。また,上記(7)の「10.1.4」の記載によれば,TFC選択は,論理チャネル優先度にしたがって行われるものである。
したがって,引用例には,「E-DCHを通じてデータを送信するためにTFC選択することであって,前記TFC選択は,少なくとも前記レートグラントで指示された利用可能なTFCSサブセット,現在利用可能な送信電力,論理チャネル優先度に基づく,こと」が記載されていると認められる。
d 上記(5),上記(6)の「8.1.1」の記載,上記(7)の「10.1.2」の記載によれば,UEはE-DCH HARQ機能を有しており,HARQの技術常識によれば,UEは,E-DCH H-ARQ機能を使用してE-DCHを通じてデータを送信し,前記送信されたデータに応答してフィードバック情報を受信し,前記フィードバック情報が前記データ送信のNACKを示すという条件で,前記E-DCH H-ARQ機能を使用して前記データを再送信することは明らかである。
したがって,引用例には,「E-DCH H-ARQ機能を使用してE-DCHを通じてデータを送信することと,前記送信されたデータに応答してフィードバック情報を受信することと,前記フィードバック情報が前記データ送信のNACKを示すという条件で,前記E-DCH H-ARQ機能を使用して前記データを再送信すること」が記載されていると認められる。
e 上記(4)の記載によれば,レート要求は,許可されたアップリンクトランスポートフォーマットコンビネーションのセットを変更するよう要求するものであるから,許可されたアップリンクトランスポートフォーマットコンビネーションのセットを変更の必要がある度に更新されたレート要求を送信することは明らかである。
したがって,引用例には,「更新されたレート要求を送信すること」が記載されていると認められる。
f 上記a~eのとおりであるから,引用例には,「UEにおけるデータを処理する方法」が記載されていると認められる。
以上を総合すると,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「UEにおけるデータを処理する方法であって,
レート要求を送信することであって,前記レート要求は,E-DCHを通じてデータを送信することに関するものである,ことと,
前記レート要求に応答してレートグラントを受信することと,
MAC-dフローを単一のE-DCHに多重化することと,
前記E-DCHを通じてデータを送信するためにTFC選択することであって,前記TFC選択は,少なくとも前記レートグラントで指示された利用可能なTFCSサブセット,現在利用可能な送信電力,論理チャネル優先度に基づく,ことと,
E-DCH H-ARQ機能を使用してE-DCHを通じてデータを送信することと,
前記送信されたデータに応答してフィードバック情報を受信することと,
前記フィードバック情報が前記データ送信のNACKを示すという条件で,前記E-DCH H-ARQ機能を使用して前記データを再送信することと,
更新されたレート要求を送信すること
を備える方法。」
引用例に参照番号「[8]」の文献としてあげられており,本件の最先の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Requirement for support of radio resource management (FDD) ([当審仮訳]:第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様グループ 無線アクセスネットワーク;無線リソースマネジメントのサポートのための要件(FDD)) (Release 1999) 3GPP TS 25.133 V3.11.0 (2002-09),3GPP,利用可能日:2002年10月,<URL;http://portal.3gpp.org/desktopmodules/Specifications/SpecificationDetails.aspx?specificationID=1162/25133-3b0.zip>(以下,「周知例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
(8)「6.4 Transport format combination selection in UE
6.4.1 Introduction
When the UE estimates that a certain TFC would require more power than the maximum transmit power, it shall limit the usage of transport format combinations for the assigned transport format set, according to the functionality specified in section 11.4 in TS25.321. This in order to make it possible for the network operator to maximise the coverage. Transport format combination selection is described in section 11.4 of TS 25.321.
6.4.2 Requirements
(中略)
The UE shall consider the Elimination criterion for a given TFC to be detected if the estimated UE transmit power needed for this TFC is greater than the Maximum UE transmitter power for at least X out of the last Y successive measurement periods immediately preceding evaluation. The MAC in the UE shall consider that the TFC is in Excess-Power state for the purpose of TFC selection.
(中略)
The Maximum UE transmitter power is defined as follows
Maximum UE transmitter power = MIN(Maximum allowed UL TX Power, UE maximum transmit power)
where
Maximum allowed UL TX Power is set by UTRAN and defined in [16], and
UE maximum transmit power is defined by the UE power class, and specified in [3].」(29~30ページ)
([当審仮訳]:
6.4 UEにおけるトランスポートフォーマットコンビネーションの選択
6.4.1 はじめに
あるTFCは最大送信電力よりも大きな電力を必要としているとUEが見積もったときは,TS25.321の11.4節で特定された機能に従い,割り当てられたトランスポートフォーマットセットのためのトランスポートフォーマットコンビネーションの使用を制限する。これは,ネットワークオペレータがカバレッジを最大化することを可能とするためである。トランスポートフォーマットコンビネーションの選択はTS25.321の11.4節に説明されている。
6.4.2 要件
(中略)
UEは,前回の評価のすぐ後のY連続測定期間のうちの少なくともXについて,このTFCのために必要とされると見積もられたUEの送信電力が,最大UE送信機電力よりも大きいかどうか,検出される所与のTFCの排除基準を考える。UEのMACは,TFC選択の目的のために,そのTFCは過電力状態にあると考える。
(中略)
最大UE送信機電力は次のように定義される
最大UE送信機電力=MIN(最大許可UL送信電力,UEの最大送信電力)
ここで,
最大許可UL送信電力は,UTRANにより設定され[16]において定義され,そして,
UEの最大送信電力は,UEの電力クラスにより定義され,[3]において特定される。)
3GPPの仕様に記載された事項は当業者における技術常識といえるところ,上記(8)の記載によれば,「TFC選択の際に考慮される送信電力は,最大許可UL送信電力とUE最大送信電力のうちの小さい方である。」ことは,当業者における技術常識であると認められる。
3 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,
a 引用発明の「UE」は,明らかに「無線送信/受信ユニット(WTRU)」といえる。また,本願発明の「E-DCH(enhanced dedicated channel)」,「MAC-d(medium access control for dedicated channel)フロー」,「MAC-e(medium access control for enhanced uplink)」,「E-TFC(enhanced dedicated channel transport format combination)」,「H-ARQ(hybrid automatic repeat request)」,「NACK(negative acknowledgment)」と,引用発明の「E-DCH」,「MAC-dフロー」,「MAC-e」,「E-TFC」,「H-ARQ」,「NACK」とは,表記が異なるのみであって差異は無い。
b 本願発明の「アップリンクリソースについての要求を送信することであって,前記アップリンクリソースについての要求は,E-DCH(enhanced dedicated channel)を通じてデータを送信する要求である,こと」及び「前記アップリンクリソースについての要求に応答してアップリンクスケジューリンググラントを受信すること」と,引用発明の「レート要求を送信することであって,前記レート要求は,E-DCHを通じてデータを送信することに関するものである,こと」及び「前記レート要求に応答してレートグラントを受信すること」は,下記の相違点1は別として「要求を送信することであって,前記要求は,E-DCH(enhanced dedicated channel)を通じてデータを送信する要求である,こと」及び「前記要求に応答してグラントを受信すること」の点で共通している。
同様に,本願発明の「アップリンクリソースについての更新された要求を送信することと」と,引用発明の「更新されたレート要求を送信すること」とは,下記の相違点1は別として,「更新された要求を送信することと」の点で共通している。
c トランスポートチャネルであるE-DCHにおいては,データはMAC-e PDUとして送信されることは技術常識であるから,引用発明において単一のE-DCHに多重化されるMAC-dフローのデータは,MAC-e PDUに多重化されることは明らかである。
したがって,引用発明の「MAC-dフローを単一のE-DCHに多重化すること」は,本願発明の「MAC-d(medium access control for dedicated channel)フローからのデータをMAC-e(medium access control for enhanced uplink) PDU(protocol data unit)に多重化すること」に相当する。
d まず,上記a,cのとおりであるから,引用発明の「前記E-DCHを通じてデータを送信するためにTFC選択すること」は,本願発明の「前記MAC-e PDUの送信のためにE-TFC(enhanced dedicated channel transport format combination)を選択すること」に相当する。
次に,TFC選択について,各事項を検討すると,
(i) 本願明細書には,【0018】に「TFC選択は,最大の許可された伝送電力,およびノードB200からのレート付与によって許可された対応するTFCSサブセットの影響を受けやすい。TFC選択は,論理チャネルのプライオリティに基づくものであり,TFC選択はより高いプライオリティのデータの伝送を最大化する。RNCによって構成される1つのMAC-eのPDUにおけるMAC-dフローの許可された結合は,TFCを選択する際にまた考慮される。」と記載されている。そして,【0014】によれば,「TFCSサブセット」は「受信されたレート付与」により決定されるものであり,「レート付与」は「レート,および/またはタイムスケジューリング」であることに鑑みれば,本願発明の「アップリンクスケジューリンググラント」に基づくE-TFC選択は,「受信されたレート付与」により決定される「TFCSサブセット」に基づいてE-TFCを選択することを含むと認められる。
一方,引用発明の「レートグラントで指示された利用可能なTFCSサブセット」に基づくTFC選択も,レートグラントに基づくTFC選択といえる。
してみると,本願発明の当該「アップリンクスケジューリンググラント」に基づくE-TFC選択と,引用発明の「レートグラントで指示された利用可能なTFCSサブセット」に基づくTFC選択とは,下記の相違点2は別として,「前記グラント」に基づくE-TFC選択である点で共通している。
(ii) 本願発明の「最大許可送信電力」と引用発明の「現在利用可能な送信電力」とは,以下の相違点2は別として,「送信電力」である点で共通している。
(iii) 本願発明のE-TFC選択が「データフロープライオリティに基づく」との事項は,審判請求時の補正により導入されたものであるが,上記の【0018】には「論理チャネルのプライオリティに基づく」とされており,論理チャネルのプライオリティは当該論理チャネルのデータのプライオリティとなるから,「データフロープライオリティに基づく」は「論理チャネルのプライオリティに基づく」ものを含むものと認められる。また,引用例の「8.1.1.1」の第3段落にも「Rel5によると,アップリンクの論理チャネルは絶対的な優先度を有し,すなわち,UEは各TTIにおいて優先度の高いデータの送信を最大化しなければならない。」(上記2(6)参照)と記載されているように,引用発明の「論理チャネル優先度」はデータフローの優先度に対応することは明らかである。してみると,引用発明の「論理チャネル優先度に基づく」TFC選択も,本願発明の当該「データフロープライオリティに基づく」E-TFC選択に含まれる。
したがって,本願発明と引用発明とは,下記の相違点2は別として,「前記MAC-e PDUの送信のためにE-TFC(enhanced dedicated channel transport format combination)を選択することであって,前記E-TFC選択は,少なくとも前記グラント,送信電力,およびデータフロープライオリティに基づく,こと」の点で一致している。
e 本願発明の「識別されるH-ARQ(hybrid automatic repeat request)プロセス」なる事項は,平成25年月5月14日付け手続補正により,「前記MAC-e PDUを送信し,前記送信されたMAC-e PDUに関するフィードバック情報を受信し,および前記フィードバック情報がNACK(negative acknowledgement)を示すという条件で前記MAC-e PDUを再送信するH-ARQ(hybrid automatic repeat request)手段」が,「識別されるH-ARQ(hybrid automatic repeat request)プロセスを使用して前記E-DCHを通じて前記MAC-e PDUを送信するように構成される回路と,前記送信されたMAC-e PDUに応答してフィードバック情報を受信するように構成される回路と,前記フィードバック情報が前記MAC-e PDU送信のNACK(negative acknowledgment)を示すという条件で,前記識別されるH-ARQプロセスを使用して前記MAC-e PDUを再送信するように構成される回路」と補正されたことに伴い導入されたものであり,平成25年月5月14日付け意見書では手続補正の根拠は本願明細書の段落「0009」~「0027」とされている。本願明細書には,「識別されるH-ARQ(hybrid automatic repeat request)プロセス」なる記載は存在しないが,【0024】~【0025】の記載を参酌すれば,H-ARQ処理番号(システムフレーム番号(SFN)またはコネクションフレーム番号(CFN)から黙示的に得られるものを含む)により識別されるH-ARQ処理を意味するものと解するのが自然である。
一方,引用例の「7.2.3」(上記2(5)参照。)によれば,引用発明の「E-DCH H-ARQ機能」も,ハイブリッドARQ処理番号又はCFNやSFNからの推定を用い得るものであるから,「識別されるH-ARQ(hybrid automatic repeat request)プロセス」といえる。
そして,上述のとおり,トランスポートチャネルであるE-DCHにおいては,データはMAC-e PDUとして送信されることは技術常識であるから,引用発明の「E-DCH H-ARQ機能を使用してE-DCHを通じてデータを送信することと,前記送信されたデータに応答してフィードバック情報を受信することと,前記フィードバック情報が前記データ送信のNACKを示すという条件で,前記E-DCH H-ARQ機能を使用して前記データを再送信すること」は,本願発明の「識別されるH-ARQ(hybrid automatic repeat request)プロセスを使用して前記E-DCHを通じて前記MAC-e PDUを送信することと,前記送信されたMAC-e PDUに応答してフィードバック情報を受信することと,前記フィードバック情報が前記MAC-e PDU送信のNACK(negative acknowledgment)を示すという条件で,前記識別されるH-ARQプロセスを使用して前記MAC-e PDUを再送信すること」に相当する。
したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「無線送信/受信ユニット(WTRU)におけるデータを処理する方法であって,
要求を送信することであって,前記要求は,E-DCH(enhanced dedicated channel)を通じてデータを送信する要求である,ことと,
前記要求に応答してグラントを受信することと,
MAC-d(medium access control for dedicated channel)フローからのデータをMAC-e(medium access control for enhanced uplink) PDU(protocol data unit)に多重化することと,
前記MAC-e PDUの送信のためにE-TFC(enhanced dedicated channel transport format combination)を選択することであって,前記E-TFC選択は,少なくとも前記グラント,送信電力,およびデータフロープライオリティに基づく,ことと,
識別されるH-ARQ(hybrid automatic repeat request)プロセスを使用して前記E-DCHを通じて前記MAC-e PDUを送信することと,
前記送信されたMAC-e PDUに応答してフィードバック情報を受信することと,
前記フィードバック情報が前記MAC-e PDU送信のNACK(negative acknowledgment)を示すという条件で,前記識別されるH-ARQプロセスを使用して前記MAC-e PDUを再送信することと,
更新された要求を送信することと
を備える方法。」
(相違点1)
一致点の「要求を送信することであって,前記要求は,E-DCH(enhanced dedicated channel)を通じてデータを送信する要求である,こと」,「前記要求に応答してグラントを受信すること」,「更新された要求を送信すること」に関し,本願発明は,「要求」が「アップリンクリソースについての要求」であり,「グラント」が「アップリンクスケジューリンググラント」であるのに対し,引用発明はそれぞれ「レート要求」,「レートグラント」であって「アップリンクスケジューリング」との関係が明らかにされていない点。
(相違点2)
一致点の「前記MAC-e PDUの送信のためにE-TFC(enhanced dedicated channel transport format combination)を選択することであって,前記E-TFC選択は,少なくとも前記グラント,送信電力・・・に基づく,こと」に関し,「グラント」及び「送信電力」が,本願発明は「前記アップリンクスケジューリンググラント」及び「最大許可送信電力」であるのに対し,引用発明は「前記レートグラントで指示された利用可能なTFCSサブセット」及び「現在利用可能な送信電力」であって,「レートグラント」が「アップリンクスケジューリング」に係るものか否か明らかでなく,「現在利用可能な送信電力」が「最大許可送信電力」であるのか否か明らかでない点。
上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
引用発明の「レート要求」は,TFCSのサブセットの変更を要求するものであるところ,TFCSのサブセットの変更はTFC選択に影響するものである。そして,TFC選択はUEが送信する(すなわち,アップリンクで送信する)何かを持っているときはいつでもなされるMAC機能であり,また,TFC選択はリソースに関連することは技術常識であることに鑑みれば,引用発明の「レート要求」は,アップリンクリソースに関する要求ということができる。
また,引用発明の「TFCSのサブセット」は「レートグラント」により変更可能となるところ,引用例の「7.1.2.2」及び「7.1.2.5.1」の記載(上記2(4)参照。)によれば,制限されたTFCS,すなわち変更されたTFCSのサブセットは,スケジューリングノードBよりダウンリンクで送信された「スケジューリング割り当て」内に「TFCSインジケータ」として示されるものであるから,引用発明の「レートグラント」は,アップリンクリソースのスケジューリング割り当てともいえるものである。同様に,引用発明の「レート要求」は,アップリンクリソースのスケジューリング要求といえるものである。
してみると,相違点1には実質的な相違は無い,或いは,引用発明の「レート要求」,「レートグラント」に「アップリンクスケジューリング」の要求,許可の機能を持たせるようにすることは,容易になし得ることに過ぎない。
(相違点2について)
まず,上記「相違点1について」のとおりであるから,本願発明の「アップリンクスケジューリンググラント」に基づくE-TFC選択と,引用発明の「前記レートグラントで指示された利用可能なTFCSサブセット」に基づくTFC選択とは,実質的な相違は無い,或いは容易になし得ることに過ぎない。
次に,WCDMAにおいてはUEはネットワーク側から最大許可送信電力を指示するシグナリングを受信することは当業者における技術常識であり,UEは指示された最大許可送信電力を越える電力にて送信することは許されないから,「現在利用可能な送信電力」の最大値は「最大許可送信電力」であることは当業者に自明である。そして,引用例はTFC選択に関して「[8]」なる文献を参照している(上記2(1)参照。)ところ,当該「[8]」なる文献である周知例にも記載されているように,「TFC選択の際に考慮される送信電力は,最大許可UL送信電力とUE最大送信電力のうちの小さい方である。」ことも当業者における技術常識であることに鑑みれば,引用発明の「現在利用可能な送信電力」を「最大許可送信電力」とすることは,当業者が容易になし得ることに過ぎない。
4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2015-005681