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特許異議申立

2025-700638

光学式プラネタリウム及びそれを有するプラネタリウムシステム

審判番号
2025-700638
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-123748
登録番号
7603954
請求日
2025年06月18日
審決日
2025年09月17日
公報発行日
2025年10月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】有限会社大平技研
  • 【権利者代理人】弁理士法人平和国際特許事務所
  • 【異議申立人】株式会社 五藤光学研究所
  • 【異議申立人代理人】神保 欣正
審判長/審判官
  • 審判長 濱本 禎広
  • 審判官 川俣 洋史
  • 審判官 門 良成
分類
P1651.121-Y (G09B) / 標準データ:手続:異議 / 標準データ:651・121-Y (G09B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)、特許情報標準データ(審判)

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特許第7603954号発明「光学式プラネタリウム及びそれを有するプラネタリウムシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7603954号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7603954号の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和2年7月20日に出願され、令和6年12月13日にその特許権の設定登録がされ、同月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~9に係る特許に対し、令和7年6月18日に特許異議申立人 株式会社五藤光学研究所(以下「申立人」という。)が特許異議の申立てをした。 第2 本件特許発明の認定 特許第7603954号の請求項1~9の特許に係る発明(以下「本件特許発明1」~「本件特許発明9」といい、合わせて「本件特許発明」という。)は、各々その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 このうち、本件特許発明1については、後記第5の1の対比の議論のために、請求項1の記載を構成A~F及びXに分節し、冒頭に「(構成A)」などと表す。 「 【請求項1】 (構成A)星の像を投影する投影機と、 (構成B)前記投影機が日周軸周りに回転可能となるように構成された日周軸支持機構と、 (構成C)前記投影機が前記日周軸と直交する緯度軸周りに回転可能となるように構成された緯度軸支持機構と、 (構成D)前記投影機が鉛直に設けられた方位軸周りに回転可能となるように構成された方位軸支持機構と、 (構成E)前記緯度軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成された緯度軸傾斜角変更機構と を備え、 (構成F)前記緯度軸傾斜角変更機構は、前記方位軸支持機構の上に設けられている、 (構成X)光学式プラネタリウム。 【請求項2】 前記緯度軸傾斜角変更機構は、前記方位軸及び前記緯度軸と直交する揺動軸周りに前記緯度軸が回転可能となるように構成されている、請求項1に記載の光学式プラネタリウム。 【請求項3】 前記揺動軸は、前記投影機の中心を通る、請求項2に記載の光学式プラネタリウム。 【請求項4】 前記緯度軸傾斜角変更機構は、 前記揺動軸を中心とした円弧状に設けられたレールと、 前記レールの上をスライドするスライダーと を備える、請求項2又は3に記載の光学式プラネタリウム。 【請求項5】 請求項2~4の何れかに記載の光学式プラネタリウムと、 前記日周軸、前記緯度軸、前記方位軸及び前記揺動軸周りの角度を制御する制御装置と を備えるプラネタリウムシステム。 【請求項6】 前記制御装置は、 前記揺動軸周りの角度を指定して、前記日周軸、前記緯度軸及び前記方位軸周りの角度を算出する、揺動軸固定モードと、 前記方位軸周りの角度を指定して、前記日周軸、前記緯度軸及び前記揺動軸周りの角度を算出する、方位軸固定モードと の制御モードを有し、前記揺動軸固定モードと前記方位軸固定モードとを切り替えて前記光学式プラネタリウムの動作を制御する、 請求項5に記載のプラネタリウムシステム。 【請求項7】 前記制御装置は、前記方位軸固定モードにおいて、前記揺動軸周りの角度を所定の範囲内に制限し、前記揺動軸周りの角度が前記所定の範囲を超える前に、前記制御モードを前記揺動軸固定モードに切り替える、請求項6に記載のプラネタリウムシステム。 【請求項8】 前記制御装置は、前記日周軸と前記方位軸とのなす角が所定値より大きくなるように、前記日周軸、前記緯度軸、前記方位軸及び前記揺動軸周りの角度を制御する、請求項5~7の何れかに記載のプラネタリウムシステム。 【請求項9】 前記制御装置は、前記日周軸又は前記方位軸周りの回転の角速度又は角加速度が所定値未満となるように、前記日周軸、前記緯度軸、前記方位軸及び前記揺動軸周りの角度を制御する、請求項5~8の何れかに記載のプラネタリウムシステム。」 第3 申立理由の概要 申立人は、証拠として以下の甲第1号証~甲第6号証(以下各々を「甲1」~「甲6」ということがある。)を提出し、本件特許の請求項1~9に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1~甲6に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである旨を主張する。 証拠一覧 甲第1号証:特開昭60-230183号公報 甲第2号証:特開2002-217632号公報 甲第3号証:実公平7-9446号公報 甲第4号証:特許第4578491号公報 甲第5号証:特許第4198867号公報 甲第6号証:特開2020-25157号公報 第4 文献の記載 1 甲1について (1) 甲1記載事項 甲1(特開昭60-230183号公報)には、次の記載がある(参考のため当審において下線を付した。以下同じ。)。 ア 公報第1頁左下欄第10行~第2頁右上欄第9行 「 技術分野 本発明は演出上の水平線を任意の傾斜角度に容易に設定できる機構を備えた傾斜プラネタリウムに関する。 従来技術 第3図(a),(b)及び第4図は、従来例のプラネタリウムにおける傾斜ドームスクリーンと傾斜欠球ドームスクリーンを示したものである。 前者の傾斜ドームスクリーンlaでは、中央に恒星投映機2aが設置され、水平線H’0-H’0に対して角度α’だけ傾けて形成された床面3aに観客席4aが階段状に設けられるとともに、観客席4aと向かい合うドームスクリーン1aの内周面は、水平線H’0-H’0と角度α′傾いた最大傾斜水平線H’1-H’1の位置まで投映像を投映できるように延長されていて観客にとつて見やすい構成となつている。 これに対し、後者の傾斜欠球ドームスクリーンlbでは、第3図(a)の最大傾斜水平線H’1-H’1に沿つて上方に移動された床面3bに観客席4bが設けられているため、恒星投映機2aの中心0より上方に投映された投映上の傾斜水平H’2-H’2がドームスクリーンlbと交る点をA及びBとすれば、スクリーン画角は∠AOBで表わされ、観客席4bは恒星投映機2aによつて視野が全く妨げられない利点がある。 しかし、上記各傾斜ドームは、通常のプラネタリウムの演出では良好なドームスクリーンであるが、投映上の天頂方向や水平線が実際の天頂方向や水平線と一致せずに傾斜しているため、投映上の天頂や水平線近傍のプラネタリウム演出時に、観客に異和感を与えるだけでなく、第4図に示すようなスクリーン画角が180°以下になる傾斜欠球ドームスクリーン1bでは、AB(当審注:ABに上線)を直径とする小円より下の投映像は投映することができないから、その部分の恒星等の演出は不可能になる不都合があつた。 目 的 本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、傾斜ドームスクリーンまたは傾斜欠球ドームスクリーンの場合にも、天頂や水平線近傍において、観客に異和感を与えないように恒星等の良好な演出を行うとともに、後者のドームスクリーンで投映できなかつた部分の恒星像をも投映することができる傾斜プラネタリウムの提供を目的とする。」 イ 公報第2頁右上欄第10行~第3頁左上欄第13行 「 要 旨 本発明は、恒星投映球が複数の回転軸に回転可能に保持されているプラネタリウムにおいて、恒星投映球をその中心のまわりに揺動可能に保持したことを、前記目的達成のための要旨としている。 実 施 例 第1図及び第2図は本発明の実施例であつて、2つの半球1A,1Bによつて形成された恒星投映球1は、その球面上に多数の恒星投映レンズ2が配設されていて、全天の恒星等を分担して図示しないドームスクリーン上に投映する。Iは半球1A,1Bの接合部の大円の中心を通つて大円の面に直角な第1回転軸、IIは第1回転軸Iと直角な前記大円の中心を通る第2回転軸、IIIはこの第2転軸IIと直角で同じく大円の中心を通る第3回転軸である。 恒星投映球1は、半球1A,1Bの接合部の大円を取り囲む環状の支持リング3に装着された軸受とI軸駆動部(共に図示せず)によつて第1回転軸Iのまわりに回動可能に保持されている。恒星投映球1は、支持リング3の外周部に固着されてその径方向に突出する緯度軸4の部分を軸受5によつて枢支され、図示しない緯度軸駆動部材により第2回転軸IIのまわりに回動される。6は恒星投映球1の下方に配設された半円形の支持アームで、該支持アーム6は両端を軸受5,5に固定されるとともに、中央部から第2回転軸IIと直角な方向に設けられた方位軸7は、方位軸部動部材8により第3回転軸IIIのまわりに回動可能に保持されている。それ故、地球上で見る恒星の日周運動及び緯度変化については、それぞれ第1回転軸I及び第2回転軸IIまわりの回転運動によつて再現でき、地球の才差運動や惑星上で見る恒星の日周運動については、第1,第2,第3回転軸I,II,IIIまわりの回転運動の合成によつて再現することができる。 前記方位軸駆動部材8は、下端部に外側が円弧状の揺動部材9が固着されていて、該揺動部材9には、恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられるとともに、その外周部にセクターギヤ11が形成されている。揺動部材9は、床面12に固設の架台13に挟着されており、案内溝10の部分に、架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14が嵌合されるとともに、セクターギヤ11には、架台13に取付けの揺動モータ15により回転される駆動歯車16が噛合わされている。複数個の揺動案内ピン14は、案内溝10の円弧長さのある範囲内で揺動部材9に挿通されている。」 ウ 公報第3頁右上欄第6行~同右下欄第10行 「 本発明は上記構成であるから、揺動モータ15により駆動歯車16を介してこれと噛合うセクターギヤ11を回転すれば、セクターギヤ11が形成された揺動部材9の回転中心は、恒星投映球1の中心Oと一致しているため、揺動部材9は、架台13に固定された複数の揺動案内ピン14と嵌合している円弧状の案内溝l0に沿つて恒星投映球1をその中心Oのまわりに、天頂方向から任意の揺動角度βだけ回転した位置に回転することができる。この揺動角度βは、投映上の水平線H1-H1が実際の水平線H0-H0となす傾斜角度をも表わすものであるから、揺動モータ15による揺動部材9の回転角を変えることにより、恒星等を投映するドームスクリーンにおける投映上の水平線H1-H1の傾斜角度を任意に変更することができる。 それ故、揺動モータ15により揺動部材9を介して恒星投映球1を第1図の位置から時計方向に揺動角度βだけ回転して、投映上の天頂方向や水平線H1-H1を実際のそれらに一致させた状態で恒星等の投映を行えば、観客に異和感を与えることなく天頂方向や水平線方向の恒星等の投映を行うことができる。また、傾斜欠球ドームスクリーンにおいて、演出したい方向を方位軸7の回転によりドームスクリーンの最大傾斜の方向と一致させたのち、揺動角度βを必要な値に設定すれば、欠球下の部分の恒星等の投映像もドームスクリーンに投映することができる。このとき、後述の恒星シヤツタの遮光位置も、H’0-H’0に一致する位置に設定する。また、水平線H’0-H’0とドームスクリーンの交点P-P’が投映可能な水平線となるが、このときの球心OからP-P’との挟角は45°以上あればプラネタリウムの演出上まつたく問題ないため、そのような角度が得られるように、欠球角、傾斜角を設定すればよい。」 エ 公報第4頁左上欄第4行~第15行 「 効 果 本発明は、複数の回転軸に回転可能に保持された恒星投映球を、その中心のまわりに揺動可能に保持したものであるから、傾斜または傾斜欠球ドームスクリーンにおける投映上の天頂方向や水平線の方向を実際のそれらの方向に一致させて、水平線近傍の演出時に恒星等の投映像が観客に与えていた異和感を解消することができる。 また、傾斜欠球ドームスクリーンにおいて、恒星等を投映することができなかつた欠球角内の投映像も、投映上の地平線を揺動させることにより演出可能とすることができる。」 オ 「第1図 [図:0001428025000001.jpg] 」 (2) 甲1から把握できる事項 ア 前記(1)イの「恒星投映球1は、支持リング3の外周部に固着されてその径方向に突出する緯度軸4の部分を軸受5によつて枢支され、」「緯度軸駆動部材により第2回転軸IIのまわりに回動される」との記載、及び前記(1)オの第1図、及び前記(1)カの第1図における図番4で示される緯度軸4及び図番5で示される軸受5の長手方向と垂直方向の中心を、記号IIで示される第2回転軸IIを示す実線が貫いている様子とともに、第1図から前記実線を中心とした回動を示す矢印が看取できることから、緯度軸4は第2回転軸IIを中心軸として回動されることが把握できる。 イ 前記(1)イの「6は恒星投映球1の下方に配設された半円形の支持アームで、該支持アーム6は両端を軸受5,5に固定されるとともに、中央部から第2回転軸IIと直角な方向に設けられた方位軸7は、方位軸部動部材8により第3回転軸IIIのまわりに回動可能に保持されている。」との記載における「中央部」について、前記(1)オの第1図において、図番6で示される支持アーム6の半円形の中心部分から第2回転軸IIと垂直に延びる第3回転軸IIIが半円形の支持アーム6とが交わる部分に、図番7で示される方位軸7が設けられている様子が看取できることから、「中央部」とは、「支持アーム6」の半円形の中心部分と解される。そうすると、前記(1)オの第1図を踏まえれば、当該記載は「6は恒星投映球1の下方に配設された半円形の支持アームで、該支持アーム6は両端を軸受5,5に固定されるとともに、支持アーム6の中央部から第2回転軸IIと直角な方向において支持アーム6に設けられた方位軸7は、方位軸部動部材8により第3回転軸IIIのまわりに回動可能に保持されている。」ことを意味するものであることが把握できる。 ウ 前記(1)オの第1図より、第3回転軸IIIのまわりの回動により、第2回転軸IIが揺動部材9の回転軸に重なる場合には、揺動部材9の回転軸まわりに揺動しても、第2回転軸IIと水平面とのなす角は変化しないことが看取できる。 (3) 甲1発明 前記(1)ア~オ並びに前記(2)ア~ウより、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 (なお、甲1の「直角」は、本来二次元平面における用語であるところ、三次元空間においては「垂直」がより正確な表現であることは明らかであるから、甲1発明の認定にあたっては「垂直」を用いた。) 「 恒星投映球が複数の回転軸に回転可能に保持されている傾斜プラネタリウムにおいて((1)ア)、 2つの半球1A,1Bによつて形成された恒星投映球1は、その球面上に多数の恒星投映レンズ2が配設されていて、全天の恒星等を分担してドームスクリーン上に投映し((1)イ)、 Iは半球1A,1Bの接合部の大円の中心を通つて大円の面に垂直な第1回転軸、IIは第1回転軸Iと垂直な半球1A,1Bの接合部の大円の中心を通る第2回転軸、IIIはこの第2転軸IIと垂直で半球1A,1Bの接合部の大円の中心を通る第3回転軸であり((1)イ)、 恒星投映球1は、半球1A,1Bの接合部の大円を取り囲む環状の支持リング3に装着された軸受とI軸駆動部によつて第1回転軸Iのまわりに回動可能に保持され、恒星投映球1は、支持リング3の外周部に固着されてその径方向に突出する緯度軸4の部分を軸受5によつて枢支され、緯度軸4は緯度軸駆動部材により第2回転軸IIを中心軸として回動され((1)イ、(2)ア)、 6は恒星投映球1の下方に配設された半円形の支持アームで、該支持アーム6は両端を軸受5,5に固定されるとともに、支持アーム6の中央部から第2回転軸IIと直角な方向において支持アーム6に設けられた方位軸7は、方位軸部動部材8により第3回転軸IIIのまわりに回動可能に保持され((1)イ、(2)イ))、 地球上で見る恒星の日周運動及び緯度変化については、それぞれ第1回転軸I及び第2回転軸IIまわりの回転運動によつて再現でき、地球の才差運動や惑星上で見る恒星の日周運動については、第1,第2,第3回転軸I,II,IIIまわりの回転運動の合成によつて再現することができ((1)イ)、 方位軸駆動部材8は、下端部に外側が円弧状の揺動部材9が固着されていて、該揺動部材9には、恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられるとともに、その外周部にセクターギヤ11が形成されており、揺動部材9は、床面12に固設の架台13に挟着されており、案内溝10の部分に、架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14が嵌合されるとともに、セクターギヤ11には、架台13に取付けの揺動モータ15により回転される駆動歯車16が噛合わされており、複数個の揺動案内ピン14は、案内溝10の円弧長さのある範囲内で揺動部材9に挿通されており((1)イ)、 揺動部材9の回転中心は、恒星投映球1の中心Oと一致しているため、揺動部材9は、架台13に固定された複数の揺動案内ピン14と嵌合している円弧状の案内溝l0に沿つて恒星投映球1をその中心Oのまわりに、天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転することができ((1)ウ)、 揺動モータ15による揺動部材9の回転角を変えることにより恒星等を投映するドームスクリーンにおける投映上の水平線の傾斜角度を任意に変更することができ((1)ウ)、 揺動部材9を介して恒星投映球1を回転して、投映上の天頂方向や水平線を実際のそれらに一致させた状態で恒星等の投映を行えば、観客に異和感を与えることなく天頂方向や水平線方向の恒星等の投映を行うことができ((1)ウ)、 傾斜欠球ドームスクリーンにおいて、演出したい方向を方位軸7の回転によりドームスクリーンの最大傾斜の方向と一致させたのち、揺動角度を必要な値に設定すれば、欠球下の部分の恒星等の投映像もドームスクリーンに投映することができ((1)ウ)、 複数の回転軸に回転可能に保持された恒星投映球を、その中心のまわりに揺動可能に保持したものであるから、傾斜または傾斜欠球ドームスクリーンにおける投映上の天頂方向や水平線の方向を実際のそれらの方向に一致させて、水平線近傍の演出時に恒星等の投映像が観客に与えていた異和感を解消することができ、また、傾斜欠球ドームスクリーンにおいて、恒星等を投映することができなかつた欠球角内の投映像も、投映上の地平線を揺動させることにより演出可能とすることができる((1)エ)、 傾斜プラネタリウム((1)ア)。」 2 甲2について (1) 甲2記載事項 甲2(特開2002-217632号公報)には、次の記載がある。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アンテナ反射鏡マウントに関し、詳しくは構造が簡素化されたアンテナ反射鏡マウントに関するものである。 【0002】 【従来の技術】アンテナ反射鏡をAZ軸、EL軸の回りに回転させる他、天頂付近を通過する衛星の高速追跡を一層容易にするために、EL軸に直交するクロスEL軸の回りにも回転させる三軸回転型のアンテナ反射鏡マウントが例えば実開昭64-51309号公報により公知である。図5は、かかる三回転軸型アンテナ反射鏡マウントの従来の概略正面図であり、図6は図5側面図である。 【0003】図5~図6において、1はAZ回転構造部、2はEL回転構造部、3はクロスEL回転構造部、4はアンテナ反射鏡、5は架台であり、またA、B、Cは、それぞれAZ軸、EL軸、クロスEL軸である。AZ回転構造部1は、AZ回転構造部本体11、モータ12、小歯車13、および大歯車14から構成されている。EL回転構造部2は、EL回転構造部本体21、モータ22、小歯車23、大歯車24、シャフト25、EL軸受26、およびカウンターウェイト27から構成されている。クロスEL回転構造部3は、ジャッキ31、シャフト32、およびクロスEL軸受33から構成されている。シャフト25およびシャフト32の各中心は、それぞれEL軸BおよびクロスEL軸Cとなっている。 【0004】後記の実施の形態1において詳述する通り、アンテナ反射鏡4は、AZ回転構造部1によりAZ軸Aの回りに、EL回転構造部2によりEL軸Bの回りに、さらにクロスEL回転構造部3によりクロスEL軸Cの回りに、それぞれ回転させられる。」 イ 「図5 [図:0001428025000002.jpg] 」 ウ 「図6 [図:0001428025000003.jpg] 」 (2) 甲2から把握できる事項 前記(1)イの図5及び前記(1)ウの図6から、AZ回転構造部1の上にクロスEL回転構造部3が設けられていることが看取できる。 (3) 甲2記載技術事項 前記(1)及び(2)から、甲2には以下の技術事項(以下「甲2記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 「アンテナ反射鏡4をAZ軸A、EL軸Bの回りに回転させる他、天頂付近を通過する衛星の高速追跡を一層容易にするために、EL軸Bに直交するクロスEL軸Cの回りにも回転させる三軸回転型のアンテナ反射鏡マウントにおいて、アンテナ反射鏡は、AZ回転構造部1によりAZ軸Aの回りに、EL回転構造部2によりEL軸Bの回りに、さらにクロスEL回転構造部3によりクロスEL軸Cの回りに、それぞれ回転させ、AZ回転構造部1の上にクロスEL回転構造部3が設けられること。」 3 甲3について (1) 甲3記載事項 甲3(実公平7-9446号公報)には、次の記載がある。 ア 「〔産業上の利用分野〕 本考案は方位,俯仰駆動機構に直交俯仰駆動機構を付加した三軸駆動により、極軌道衛星の全天向追尾を容易にした極軌道衛星全天向高速追尾アンテナに関する。」 イ 「〔実施例〕 次に、本考案を図面を参照して説明する。 第1図及び第2図は本考案の一実施例を示しており、第1図はアンテナ反射鏡部が水平方向に向けられた状態の側面図であり、第2図はアンテナ反射鏡部が天頂方向に向けられた状態の背面図である。 第1図,第2図において、1は方位支持構造であり、この下部はコンクリート基礎2にアンカーボルト3を介して、しっかりと固定されている。この方位支持構造1の上に方位大歯車4および方位回転軸14を有する旋回輪軸受5を具備し、さらにその上に俯仰支持構造6を備えている。この俯仰支持構造6の側面には方位駆動装置7が装備される。この方位駆動装置7は俯仰支持構造6に取着された方位小歯車8を有しており、この方位小歯車8が前記方位支持構造1の上部に据付けられた方位大歯車4のピッチ円周上を噛み合いながら方位回転軸14の回りを回転駆動することにより、前記旋回輪軸受5を介して俯仰支持構造6が回転する。 また、前記俯仰支持構造6の上の両側に俯仰回転軸受9を備えており、電波を受信する受信機器等を内部に収納できる機器室10をこの俯仰回転軸受9を介して俯仰回転できるように設けている。この機器室10の側面には俯仰大歯車11を具備する一方、前記俯仰支持構造6上には俯仰駆動装置12が装備される。この俯仰駆動装置12は前記俯仰大歯車11に噛み合う俯仰小歯車13を有し、この噛み合いにより俯仰大歯車11及び機器室10が一体的に俯仰回転する。 また、前記機器室10上に俯仰回転軸15と直交する直交俯仰回転軸16を有する直交俯仰回転軸受17を備え、この直交俯仰回転軸受17上にアンテナ反射鏡部18の中心支持構造である中心筒体19を設けてある。この中心筒体19と前記機器室10の間に直交俯仰駆動装置20を装備している。この直交俯仰駆動装置20は、天頂付近を通過する極軌道衛星を追尾するためにAZ-ELマウント方式に付加した駆動装置である。この直交俯仰駆動装置20の可動範囲は、例えば±10度程度の限定駆動でよいため、ここではスクリュージャッキ機構を採用している。 したがって、この構成によれば、このアンテナは方位,俯仰の両駆動系に加えて、俯仰回転軸と直交する直交俯仰回転系を設けているので、全体の駆動系は三軸マウント構造となり、特に極軌道衛星の全天向高速追尾が実現できる。(後略)」 ウ 「〔考案の効果〕 以上説明したように本考案は、AZ-ELマウント方式のアンテナに、直交俯仰回転軸及び直交俯仰駆動装置を付設して三軸マウント構造としているので、アンテナ反射鏡部を機器室に対して直交俯仰回転可能とし、特に天頂付近を通過する極軌道衛星に対してダウンタイムなく追尾可能にすると共に、構造がシンプルで、軽量化が図られ、(後略)」 エ 「第1図 [図:0001428025000004.jpg] 」 オ 「第2図 [図:0001428025000005.jpg] 」 (2) 甲3記載技術事項 前記(1)から、甲3には以下の技術事項(以下「甲3記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 「方位,俯仰駆動機構に直交俯仰駆動機構を付加した三軸駆動により、極軌道衛星の全天向追尾を容易にした極軌道衛星全天向高速追尾アンテナにおいて、下部がコンクリート基礎2に固定され方位支持構造1と、方位支持構造1の上に方位回転軸14を有する旋回輪軸受5を具備し、さらにその上に俯仰支持構造6を備え、俯仰支持構造6の側面には方位駆動装置7が装備され、俯仰支持構造6の上の両側に俯仰回転軸受9を備えており、電波を受信する受信機器等を内部に収納できる機器室10をこの俯仰回転軸受9を介して俯仰回転できるように設け、仰支持構造6上には俯仰駆動装置12が装備され、俯仰回転軸15と直交する直交俯仰回転軸16を有する直交俯仰回転軸受17を備え、直交俯仰回転軸受17上にアンテナ反射鏡部18の中心支持構造である中心筒体19を設け、中心筒体19と前記機器室10の間に直交俯仰駆動装置20を装備しており、直交俯仰駆動装置20は、天頂付近を通過する極軌道衛星を追尾するためにAZ-ELマウント方式に付加した駆動装置であって、直交俯仰駆動装置20の可動範囲は、例えば±10度程度の限定駆動でよいこと。」 4 甲4について (1) 甲4記載事項 甲4(特許第4578491号公報)には、次の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 この発明は、アンテナの方向を変えるための回転駆動系を有するアンテナ装置、特に船舶などに搭載されて衛星を介して通信を行う移動体アンテナ装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来の小型化アンテナ装置の構造として、X軸とY軸の2軸駆動方式があげられる。例えば、アンテナの回転軸となるX軸とY軸の2回転軸を同一平面内に配置し、かつ反射鏡を各軸回りに駆動させるための回転駆動機構を各軸回りに配置せず、アンテナ設置部(例えば、地上)に敷設されたX方向ガイドとY方向ガイド上を移動する移動装置にアンテナ反射鏡底部を接続して、或いはアンテナ設置部に配置されたX方向ワイヤー巻取装置とY方向ワイヤー巻取装置により引張られるワイヤーにアンテナ反射鏡底部を接続して、反射鏡を回転駆動させる機構とすることで、アンテナ装置の小型化、軽量化、駆動機構の簡易化を実現させている。(特許文献1参照) しかしこのような装置では、駆動範囲が天頂方向まわりに限られる。また、2軸構成で駆動範囲の拡大を図る場合、キーホールの存在がモータ容量の増大につながり、小型化には不利となる。 【0003】 キ-ホールがなく、駆動範囲の拡大を実現させるために、AZ軸/EL軸/クロスEL軸の3軸駆動方式を採用したものも知られている。この3軸駆動方式のアンテナ装置は、アンテナ反射鏡をAZ(方位角)軸、EL(仰角)軸の回りに回転させる他、天頂付近を通過する衛星の高速追跡を一層容易にするために、EL軸に直交するクロスEL軸回りにも回転させる3軸回転型のアンテナ装置であり、各軸ともに直交するよう配置されている。しかしEL回転構造部はAZ回転構造部本体の横側に配置され、クロスEL回転構造部はEL回転構造部本体とアンテナ反射鏡の間に配置されるようになっており、クロスEL軸はAZ軸/EL軸の2軸からオフセット配置されている。(特許文献2参照)」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 近年、船舶用移動体アンテナでは小型化だけでなく、活動範囲の拡大に伴い、アンテナ駆動範囲の拡大も必要とされてきている。しかし、上述したような従来のアンテナでは、特許文献1のものは駆動範囲が天頂方向周辺に限られているため、駆動範囲の拡大が課題であり、また特許文献2のものはクロスEL軸がAZ軸/EL軸の2軸からオフセット配置のため、アンテナの小型化が課題であり、アンテナの小型化とアンテナ駆動範囲の拡大の両方を解決するには問題があった。 【0006】 この発明は、このような従来の課題を解決するもので、AZ軸/EL軸/クロスEL軸の3軸駆動方式のアンテナ装置において、小型化かつアンテナ駆動範囲の拡大が可能となるアンテナ装置を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 この発明のアンテナ装置は、アンテナ反射鏡をEL軸の周りに回転させるEL回転構造物、EL軸に直交するクロスEL軸の周りにアンテナ反射鏡を回転させるクロスEL回転構造物、およびEL軸とクロスEL軸に直交するAZ軸の周りにアンテナ反射鏡を回転させるAZ回転構造物とからなり、EL軸とクロスEL軸とAZ軸の3軸は1点で交わる構成とし、クロスEL回転構造物は、アンテナ反射鏡側の上端が切欠けられた、クロスEL軸を中心とする円弧形状に形成され、この円弧形状に沿ってその両側面にガイド部が設けられ、ガイド部を挟みこむようにして保持する支持構造物を介してクロスEL回転構造物はAZ回転構造物に支持され、EL回転構造物はその外周部に円弧形状のクロスEL回転構造物と直交するように円弧形状のEL駆動用旋回ギアを設け、EL駆動用旋回ギアをクロスEL回転構造物に固定した駆動用モータで回転させることにより、EL回転構造物をEL軸周りに回転するようにしたものである。 【発明の効果】 【0008】 この発明は、EL軸、EL軸に直交するクロスEL軸、EL軸とクロスEL軸に直交するAZ軸の3軸構成とすることで、キーホールなくアンテナの駆動範囲を拡大することが可能となる。さらに、EL軸とクロスEL軸とAZ軸の3軸を1点で交わるようにすることによりアンテナ全体の小型化が可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 実施の形態1. 以下、この発明の実施の形態1におけるアンテナ装置を図に基づいて説明する。図1はこの発明のアンテナ装置の正面図、図2はアンテナ装置の側面図、図3はアンテナ装置のEL駆動機構の一部破断斜視図、図4はアンテナ装置のクロスEL駆動機構とAZ駆動機構の一部破断の斜視図を示す。 【0010】 図において、アンテナ反射鏡1の底部には電波を送受信する電子機器を収納した電子機器筐体2が取り付けられている。電子機器筐体2の外周にはそれを囲むようにアンテナ反射鏡1に固定されたリング状のEL回転構造物3が設けられている。 EL回転構造物3はEL軸シャフト4に固定され、EL軸シャフト4はEL軸Aの周りに回転するようになっている。EL軸シャフト4はEL用軸受5を介してEL軸Aに直交するクロスEL軸Bの周りにアンテナ反射鏡1を回転させるクロスEL回転構造物9に支持されている。EL回転構造物3の外周面には円弧形状のEL駆動用旋回ギア6が取付けられている。クロスEL回転構造物9の円弧形状の底部内周面側にはEL駆動用モータ7(図1参照)が取り付けられ、このEL駆動用モータ7の小歯車8によりEL駆動用旋回ギア6を回転させる。EL駆動用旋回ギア6の回転によりEL回転構造物3をEL軸Aの周りに回転させ、アンテナ反射鏡1をEL(仰角)方向に指向させる。 【0011】 クロスEL回転構造物9はEL回転構造物3の駆動範囲を妨げないようにアンテナ反射鏡1側の上端部が切り欠けられた切欠部を有した円弧形状に形成され、この円弧形状の中心はEL軸Aに直交し、その交点が1点となるクロスEL軸Bとなる。円弧形状のクロスEL回転構造物9は円弧形状のEL駆動用旋回ギア6とその円弧が直交するように配置される。クロスEL回転構造物9の円弧形状の両側面にはRガイドと称するガイド部10が設けられている。このガイド部10はレール10aとブロック10bとで構成され、レール10aはクロスEL回転構造物9の円弧形状全長に沿って配置され、ブロック10bはAZ回転構造物15に固定された台形状の支持構造物11に固定され、レール10aを挟み込むようにしてレール10aを支持している。したがって台形状の支持構造物11はガイド部10を介してクロスEL回転構造物9を支持し、クロスEL回転構造物9は台形状の支持構造物11を介してAZ回転構造物15に支持される。クロスEL回転構造物9の円弧形状の一側の外周面にはクロスEL駆動用旋回ギア12が取り付けられ、またAZ回転構造物15にはクロスEL駆動用モータ13(図2参照)が固定されている。このクロスEL駆動用モータ13の小歯車14によりクロスEL駆動用旋回ギア12を回転させることにより、クロスEL回転構造物9をクロスEL軸B周りに回転させ、アンテナ反射鏡1をクロスEL(仰角)方向に指向させる。 このようにEL軸Aに直交するクロスEL軸Bの回転機構は、EL回転駆動範囲を狭めないようクロスEL軸上に配置しないで、AZ回転構造物15側に配置している。 【0012】 AZ回転構造物15と架台17はAZ駆動用ギア付旋回ベアリング16を介して接続されており、AZ駆動モータ18により360°連続回転が可能となっている。即ち、AZ回転構造物15にはAZ駆動用ギア付旋回ベアリング16の内輪が接続され、架台17にはAZ駆動用ギア付旋回ベアリング16の外輪に接続され、AZ回転構造物15はAZ駆動用ギア付旋回ベアリング16によって架台17に回転自在に支持されている。AZ駆動モータ18はAZ回転構造物15に支持固定されており、AZ駆動モータ18の駆動により小歯車19がAZ駆動用ギア付旋回ベアリング16の外輪に噛み合って回転し、それによってAZ回転構造物15がAZ駆動用ギア付旋回ベアリング16の内輪と共に回転する。AZ回転構造物15はAZ軸Cの周りに回転し、アンテナ反射鏡1をAZ(方位角)方向に360°指向させる。このAZ回転構造物15の回転中心となるAZ軸CはEL軸AとクロスEL軸Bと直交し、EL軸AとクロスEL軸BとAZ軸Cの交点Dは1点で交わるようになっている。 【0013】 アンテナ反射鏡1、EL回転構造物3、クロスEL回転構造物9、AZ回転構造物15、およびそれらの回転駆動機構は全てレドーム20により覆われ、全天候から保護されるようになっている。またアンテナ反射鏡1には副反射鏡21とホーンアンテナ22が取り付けられている。 【0014】 上記構成において、その動作を簡単に説明する。今、AZ駆動モータ18を駆動すると、AZ駆動モータ18-小歯車19-AZ駆動用ギア付旋回ベアリング16を介してAZ回転構造物15がAZ軸Cの周りに回転する。このAZ回転構造物15は支持構造物11-ガイド部10を介してクロスEL回転構造物9を支持しており、またクロスEL回転構造物9はEL用軸受5-EL軸シャフト4を介してEL回転構造物3を支持している。更にEL回転構造物3にはアンテナ反射鏡1が取り付けられている。したがってAZ駆動モータ18の回転により、AZ回転構造物15、クロスEL回転構造物9、EL回転構造物3およびアンテナ反射鏡1が同時にAZ軸Cの周りに回転する。 【0015】 この状態で、EL駆動用モータ7を回転駆動すると、EL駆動用モータ7-小歯車8-EL駆動用旋回ギア6を介してEL回転構造物3をEL軸Aの周りに回転させ、アンテナ反射鏡1が同時にEL軸Aの周りに回転する。更にこの状態で、クロスEL駆動用モータ13を回転駆動すると、クロスEL駆動用モータ13-小歯車14-クロスEL駆動用旋回ギア11を介してクロスEL回転構造物9をクロスEL軸Bの周りに回転させ、アンテナ反射鏡1が同時にクロスEL軸Bの周りに回転する。 こうして、アンテナ反射鏡1をAZ(方位角)、EL(仰角)、クロスELの全方向に向けて指向させることができ、衛星の追尾性能が向上する。 【0016】 このようにこの発明の実施形態1によれば、EL軸とこのEL軸に直交するクロスEL軸とEL軸およびクロスEL軸に直交するAZ軸の3軸構成にすることでアンテナの駆動範囲を拡大すると共に、EL軸とクロスEL軸とAZ軸の3軸を1点で交わる構成にすることで、アンテナ全体の構成を小型化することができる。 また、クロスEL軸上に駆動機構を配置させないようにすることで、EL軸駆動機構の駆動範囲を狭めることはなくなり、またクロスEL駆動範囲を拡大することが可能となる。 【0017】 また、EL回転構造物を支持するクロスEL回転構造物をクロスEL軸まわりに描かれる切欠部を有する円弧形状とし、この円弧形状の側面にはガイド部を設け、このガイド部を介して円弧形状のクロスEL回転構造物をAZ回転構造物に支持することで、クロスEL軸駆動機構がEL駆動範囲を狭めることなく、かつクロスEL駆動範囲を拡大することが可能である。クロスEL駆動範囲を拡大することで天頂付近での衛星追尾においてAZ駆動モータの容量が軽減でき、小型化につながる。(後略)」 ウ 「図1 [図:0001428025000006.jpg] 」 エ 「図2 [図:0001428025000007.jpg] 」 オ 「図3 [図:0001428025000008.jpg] 」 カ 「図4 [図:0001428025000009.jpg] 」 (2) 甲4記載技術事項 前記(1)から、甲4には以下の技術事項(以下「甲4記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 「天頂付近での衛星追尾をする移動体アンテナ装置において、EL回転構造物3はEL軸シャフト4に固定され、EL軸シャフト4はEL軸Aの周りに回転するようになっており、AZ回転構造物15は架台17に回転自在に支持され、AZ軸Cの周りに回転し、EL軸シャフト4はEL軸Aに直交するクロスEL軸Bの周りにアンテナ反射鏡1を回転させるクロスEL回転構造物9に支持され、台形状の支持構造物11はガイド部10を介してクロスEL回転構造物9を支持し、クロスEL回転構造物9は台形状の支持構造物11を介してAZ回転構造物15に支持され、クロスEL駆動用モータ13により、クロスEL回転構造物9をクロスEL軸B周りに回転させ、アンテナ反射鏡1をクロスEL(仰角)方向に指向させ、AZ回転構造物15の回転中心となるAZ軸CはEL軸AとクロスEL軸Bと直交し、EL軸AとクロスEL軸BとAZ軸Cの交点Dは1点で交わるようになっており、EL回転構造物を支持するクロスEL回転構造物をクロスEL軸まわりに描かれる切欠部を有する円弧形状とし、この円弧形状の側面にはガイド部を設け、このガイド部を介して円弧形状のクロスEL回転構造物をAZ回転構造物に支持することで、クロスEL軸駆動機構がEL駆動範囲を狭めることなく、かつクロスEL駆動範囲を拡大することを可能としたこと。」 5 甲5について (1)甲5記載事項 甲5(特許第4198867号公報)には、次の記載がある。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、複数の通信用衛星を同時に追尾することが可能なアンテナ装置と、このアンテナ装置の送受信信号伝送に利用可能な導波管に関する。」 イ 「【0035】 図1乃至図4は、本発明の一実施形態によるアンテナ装置11を示す概略構成図で、図1は正面側の斜視図、図2は背面側の斜視図、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図を示している。 【0036】 図1乃至図3に示すように、アンテナ装置11は、設置個所に水平に固定される略円形の固定ベース12を備える。この固定ベース12の中央には鉛直方向に第1回転軸(以下、Z軸)を有する回転ベース13が配置される。この回転ベース13の上には、Z軸上に中心がくるように、平板を一定の曲率で半円弧状に湾曲させた支持レール14が、その円弧中心軸をZ軸に垂直な第2回転軸(以下、Y軸)として回動自在に載置される。 【0037】 支持レール14には、その真ん中の位置から円弧中心に延びる支持シャフト15が設けられ、さらにその円弧中心位置と支持レール14の両端との間で第1及び第2の回転シャフト16,17が互いに独立して回転自在に支持される。すなわち、支持シャフト15と第1及び第2の回転シャフト16,17はレール14の円弧中心で直角に交わっている。第1及び第2シャフト16,17はY軸に垂直な第3回転軸(以下、X軸)となる。 【0038】 上記第1及び第2の回転シャフト16,17には、支持レール14における円弧中心の両側にそれぞれ当該シャフト16,17に対して垂直な方向に指向性を有するようにパラボラアンテナ装置18,19が装着される。すなわち、これらのパラボラアンテナ装置18,19は、回転シャフト16,17により互いに独立してX軸回りに回動可能となっている。 【0039】 上記のようにして組み立てられた装置全体は、第2回転軸Yより上側を半球形状とした、断面が逆U字型のレドーム20で覆われる。 【0040】 上記概略構成において、さらに各部の詳細について説明する。 【0041】 まず、固定ベース12上の周縁部には、レギュレータ21及びプロセッサ22が載置される。また、中央部に配置される回転ベース13の近傍には、Z軸駆動モータ23が配置される。 【0042】 図4は、回転ベース13のZ軸回転駆動機構及び支持レール14のY軸回動機構の詳細を示す拡大斜視図である。図4において、24はZ軸に取り付けられたプーリであり、このプーリ24と固定ベース12側のZ軸駆動モータ23の回転軸とはベルト25によって連結されている。これにより、モータ23の回転がプーリ24に伝わり、Z軸回りに回転ベース13が回転するようになる。モータ23はプロセッサ22により駆動制御される。 【0043】 回転ベース13の上には基台26が載置され、この基台26の上には凹字型の支持具27が載置される。この支持具27には、支持レール14をその外面でスライド自在に支持する一対の外面支持ローラ28,29と、その内面周縁部でスライド自在に支持する4個の内面支持ローラ30,31,32,33と、その側面でスライド自在に支持する4個の側面支持ローラ34,35,36,37と、支持レール14の支持部下方に配置され、ワイヤー送り機構を構成する径大の送りローラ38及び一対のテンションローラ39,40とがそれぞれ回転自在に支持されている。また、基台26または支持具27には、送りローラ38を回転させる送りローラ駆動モータ41が固定されている。上記内面ローラ30,31,32,33は、支持レール14の支持シャフト15の端部、回転シャフト16,17の支持部が支持レール14の回動に伴ってぶつからないような長さとする。」 ウ 「図1 [図:0001428025000010.jpg] 」 エ 「図4 [図:0001428025000011.jpg] 」 (2) 甲5記載技術事項 前記(1)から、甲5には以下の技術事項(以下「甲5記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 「複数の通信用衛星を同時に追尾することが可能なアンテナ装置において、アンテナ装置11は、設置個所に水平に固定される略円形の固定ベース12を備え、固定ベース12の中央には鉛直方向に第1回転軸(以下、Z軸)を有する回転ベース13が配置され、回転ベース13の上には、Z軸上に中心がくるように、平板を一定の曲率で半円弧状に湾曲させた支持レール14が、その円弧中心軸をZ軸に垂直な第2回転軸(以下、Y軸)として回動自在に載置され、支持レール14には、その真ん中の位置から円弧中心に延びる支持シャフト15が設けられ、さらにその円弧中心位置と支持レール14の両端との間で第1及び第2の回転シャフト16,17が互いに独立して回転自在に支持され、支持シャフト15と第1及び第2の回転シャフト16,17はレール14の円弧中心で直角に交わっており、第1及び第2シャフト16,17はY軸に垂直な第3回転軸(以下、X軸)となること。」 6 甲6について (1) 甲6記載事項 甲6(特開2020-25157号公報)には、次の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 この発明は、アンテナの向く方向を変えるための回転駆動系を有するアンテナ装置に関する。」 【背景技術】 【0002】 アンテナの方位角を変更するアジマス軸(Azimuth軸、AZ軸と略す、方位角軸)、仰角を変更するエレベーション軸(Elevation軸、EL軸と略す、仰角軸)に加えて、EL軸と直交するクロスエレベーション軸(XElevation軸、XEL軸と略す、補助軸)を有する3軸駆動のアンテナ装置が存在する。AZ軸とEL軸の2軸だけでは、アンテナ装置の指向方向が天頂付近を向いている際に、AZ軸の駆動量が大きくなり指向方向の変更が難しくなる。通信相手を追尾するためにアンテナ装置の指向方向を変更する上で、2軸アンテナのこの性質は望ましくない。そこで、XEL軸を有することで、指向方向が天頂付近を向いている際には、EL軸とXEL軸を駆動して指向方向を変更することができる。XEL軸の可動範囲はEL軸よりも小さく設定される。 【0003】 通常の3軸駆動のアンテナ装置では、実体としてのXEL軸(補助軸)を有する。そして、XEL軸駆動機構の上にEL軸駆動機構を載せる、あるいは、EL軸駆動機構の上にXEL軸駆動機構を載せる構成を有する。このような通常の3軸駆動のアンテナ装置では、XEL駆動機構のスペースがEL駆動機構とは別に必要である。そのため、アンテナ装置の小型化が難しい。通信機をアンテナ装置とは別に配置する必要がある。そのため、通信装置およびアンテナ装置の全体のスペースの小型化が難しい。 【0004】 AZ軸/EL軸/XEL軸の3軸駆動方式を採用したアンテナにおいて、XEL軸に物理的な軸を設けずにEL軸を挟む半円弧状のXEL構造体にすることで、AZ軸、EL軸、XEL軸が1点で交差するようにでき、例えばパラポラ型の反射面を有するアンテナ部の下側の空間に通信機を配置することで小型化するアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、半円弧状のXEL構造体の内部を2つに分割して独立して仰角を変更できる2個のアンテナ装置を備える構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 特許文献1のアンテナ装置では、半円弧状のXEL構造体の内側と外側の2面にローラによる支持構造を設けている。特許文献2では、半円弧状のXEL構造体の前面および背面の2面に円弧状にスライドするレールとガイドによる支持構造を設けている。従来の半円弧状のXEL構造体を有するアンテナ装置では、XEL構造体を支持するための構造が複雑になり部品点数が増加するという課題がある。 【0007】 この発明に係るアンテナ装置は、実体としての補助軸を有しない、方位角軸、補助軸および仰角軸を有する3軸構成のアンテナ装置を、従来よりも簡素な構成にすることを目的とする。」 ウ 「【発明を実施するための形態】 【0011】 実施の形態1. 図1から図11を参照して、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置100の構造を説明する。図1から図6に、アンテナ装置100の六面図を示す。(中略)図7は、アンテナ装置100の斜視図である。(後略)」 エ 「【0012】 アンテナ装置100は、アンテナ部1、弓形支持構造部2、方位角架台3、移動体取付部4、制御装置50(図示せず)および通信機5を有する。アンテナ部1は、送信信号を電波として空間に放射し、通信相手80(図示せず)からの電波を受信し、受信した電波から受信信号を生成する。アンテナ部1は、例えばパラボラアンテナである。アンテナ部1が向く方向である指向方向は、変更可能である。弓形支持構造部2および方位角架台3は、指向方向を変更可能にアンテナ部1を支持する。移動体取付部4は、アンテナ装置100を移動体90(図示せず、例えば、自動車、船舶、航空機など)に取り付ける。移動体取付部4は、方位角架台3を方位角軸の回りに回転可能に支持する基礎部である。 【0013】 アンテナ装置100は、AZ軸(方位角軸)、XEL軸(補助軸)、EL軸(仰角軸)の3軸で、アンテナ部1の指向方向を変更する構成である。AZ軸は、移動体90のアンテナ装置100を搭載する面(アンテナ搭載面)に垂直な回転軸である。移動体90が通常の姿勢の場合は、AZ軸は地球の重力加速度が働く方向に対し平行になる。方位角架台3は、AZ軸の回りに回転可能に移動体取付部4に支持される。弓形支持構造部2は、方位角架台3に支持される。アンテナ装置100では、AZ軸、XEL軸およびEL軸は、回転中心Cの1点で交差する。 【0014】 アンテナ部1は、例えばパラボラアンテナである。アンテナ部1は、主反射鏡6、副反射鏡7およびホーン型放射器8を主に有する。主反射鏡6は、送信する電波を指向方向に向けて反射し、指向方向からの電波を反射して副反射鏡7の位置に集める。副反射鏡7は、ホーン型放射器8からの送信電波を主反射鏡6に向けて反射し、主反射鏡6が反射した受信電波をホーン型放射器8の方へ反射する。なお、副反射鏡を有しないアンテナ部でもよい。反射鏡を有するアンテナ部であればよい。 【0015】 弓形支持構造部2は、XEL軸およびEL軸の回りに回転可能にアンテナ部1を支持する。弓型支持構造部2は、実体としてのXEL軸は有しない。半円弧状の弓形部材9が、半円の中心に仮想的に存在するXEL軸の回りを回転する。弓形部材9は側面から見ると半円の弓のような形状なので、弓形部材9と呼ぶ。実体としてのXEL軸は存在しないので、弓形部材9の内側の位置に、EL軸回りの回転機構および支持機構を配置できる。また、弓形部材9の内側の位置に通信機5を配置して、アンテナ装置100および通信機5の全体としての小型化を実現できる。また、従来と同程度の大きさを許容する場合には、アンテナ装置および通信機を高性能化できる可能性がある。弓形部材9および弓形部材9により支持されてXEL軸の回りに回転するアンテナ部1や通信機5などを転動体10(符号は図示せず)と呼ぶ。転動体10の重心Gは、回転中心Cと位置が一致するように転動体10を構成する。転動体10は、XEL軸の回りに回転する補助軸回転部分である。 【0016】 通信機5は、アンテナ部1で送受信する信号を処理する装置である。通信機5は、例えば信号を増幅し、周波数を変換する。通信機5は、送信信号を変調し、受信信号を復調する。通信機5は、アンテナ部1の下に配置される。なお、アンテナ装置100の外部に通信機5を配置してもよい。通信機5を、アンテナ部1の下に配置される装置と、アンテナ装置100の外部に配置される装置とで構成してもよい。 【0017】 通信機5は、アンテナ部1の下かつ弓形部材9の内側の空間に入ることができる大きさであれば任意の形状でよい。図を簡単にするために、この明細書では通信機5を直方体状の形状として図示する。 【0018】 方位角架台3は、AZ基準板11、AZ駆動歯車12、AZ駆動モータ13を有する。AZ基準板11は、弓型支持構造部2が設けられる板状部材である。AZ駆動歯車12は、AZ基準板11の下側で移動体取付部4が有するAZ転動部材14と接触する。AZ駆動歯車12は、AZ転動部材14の回りを回転して移動することで、方位角架台3を移動体取付部4に対してAZ軸を中心に回転させる。AZ転動部材14は、AZ基準板11の下側に設けられた板状部材である。AZ転動部材14の側面には、AZ駆動歯車12とかみ合う歯が設けられている。AZ駆動モータ13は、AZ基準板11の上側に固定されている。AZ駆動モータ13の回転軸はAZ基準板11に設けられた貫通穴を通る。AZ駆動モータ13の回転軸には、AZ基準板11の下側でAZ駆動歯車12が取り付けられている。AZ駆動モータ13が回転するとAZ駆動歯車12が回転して、AZ駆動歯車12がAZ転動部材14の側面を移動する。AZ駆動歯車12がAZ転動部材14の側面を移動することで、方位角架台3がAZ軸の回りを回転する。AZ軸は、回転角度に制約は無い。360度の全方位を向くことができ、同じ方向に無限に回転できる。 【0019】 弓形支持構造部2は、XEL軸およびEL軸の回りにアンテナ部1を回転可能に支持する。弓形支持構造部2は、弓形部材9、EL軸部材15、EL駆動モータ16、タイミングベルト17、支持ローラ18、ローラ保持部材15、プーリー20、プーリー保持部材21、プーリー駆動モータ22を有する。弓形部材9は、半径に対して高さが低い円筒を軸に平行な方向に半分に切ったような形状の部材である。弓形部材9は、AZ基準板11に平行なXEL軸の回りに回転可能にAZ基準板11の上側に配置される。弓形部材9のAZ基準面6に向かう側(外側)の面に、XEL軸を中心軸とする円筒面の部分を少なくとも一部に有する転動面23が設けられる。転動面23が、支持ローラ18により移動可能に支持される。円筒面の中心軸がXEL軸である。XEL軸は、AZ軸およびEL軸と直交する。 【0020】 EL軸部材15は、弓形部材9の半円の開いた側の間を結ぶように設けられた棒状の部材である。EL軸部材15の中心には、アンテナ部1の仰角を変更するEL軸が通る。EL軸部材15は、EL軸の回りに回転可能に弓形部材9に設けられる。EL駆動モータ16は、EL軸部材15の軸方向の一端に設けられる。EL駆動モータ16は、EL軸部材15を弓形部材9に対してEL軸の回りを回転させる。通信機5は、EL軸部材15と共に回転するようにEL軸部材15に取り付けられている。EL軸部材15の通信機5とは反対側には、アンテナ部1が取り付けられている。 【0021】 EL軸部材15は、仰角を変更するEL軸の回りにアンテナ部1を回転可能に支持する仰角軸構造体である。弓形部材9は、EL軸部材15を回転可能に保持し、XEL軸を中心軸とする円筒面を少なくとも一部に有する転動面23を有し、XEL軸(補助軸)の回りに回転する半円弧状の補助軸構造体である。 【0022】 アンテナ装置100では、XEL軸の回転可能範囲は、EL軸の回転可能範囲よりも小さく設定している。XEL軸は、EL軸がAZ軸に直交する場合を0度とすると、例えば20度から-20度の範囲で回転できる。EL軸は、AZ軸およびEL軸が存在する平面上にアンテナ部1の指向方向が存在する場合を0度とすると、例えば100度から-100度の範囲で回転できる。図示していないが、転動面23の転動範囲を決める機構が弓形部材9には設けられている。また、EL軸部材15の回転範囲を決める機構も設けられている。 【0023】 制御装置50は、通信相手80が存在する方向をアンテナ部1が向くようにアンテナ部1の指向方向を求める。制御装置50は、アンテナ部1が指向方向を向くように、弓形支持構造部2および方位角架台3を駆動制御する。 【0024】 タイミングベルト17は、弓形部材9をXEL軸の回りに回転させ、かつ弓形部材9のXEL軸回りの回転角度を決めるためのものである。タイミングベルト17の両端は、弓形部材9の外側の円筒面のEL軸に近い部分に固定される。図8は、実施の形態1に係るアンテナ装置が有するタイミングベルトを弓形部材に固定する箇所を拡大して示す斜視図である。図8に示すように、タイミングベルト17の端は、ベルト押さえ金具17Aと共に弓形部材9に締結部品17B(例えばネジ)により固定される。タイミングベルト17の弓形部材9側でない側(外側)の面には歯が設けられている。タイミングベルト17の内側の面には歯は設けられていない。2個の支持ローラ18は、弓形部材9を回転可能に支持する。支持ローラ18は、AZ基準板11の上側に設けられる。また、支持ローラ18は、弓形部材9と接触する側と反対側でタイミングベルト17の内側と接触する。タイミングベルト17には張力が印加されている。タイミングベルト17の張力により、弓形部材9が支持ローラ18に押し付けられる。支持ローラ18の回転軸はXEL軸に平行であり、回転軸の両端がローラ保持部材19に回転可能に保持される。ローラ保持部材19は、AZ基準板11に固定されている。支持ローラ18およびローラ保持部材19は、転動面23が移動可能なように転動面23を支持することで弓形部材9を支持する補助軸構造体支持部である。支持ローラ18およびローラ保持部材19は、転動面23と離れた位置でタイミングベルト17と接触し、タイミングベルト17を移動可能にするローラ部である。 【0025】 プーリー20は、転動面23から離れた位置でタイミングベルト17と接触し、タイミングベルト17を移動させることで弓形部材9をXEL軸の回りに回転させるための部材である。プーリー20の外形は略円柱状である。プーリー20の外面には、タイミングベルト17の歯とかみ合う歯が設けられる。プーリー20が回転すると、タイミングベルト17が移動して弓形部材9がXEL軸の回りに回転する。タイミングベルト17は歯つきベルトであり、プーリー20の歯と噛みあう。歯が噛み合うので、タイミングベルト17とプーリー20は空転しない。タイミングベルトとしては、空転しないものであれば歯つきベルト以外を使用してもよい。例えばVベルトなど、駆動力の伝導に摩擦力を利用するベルトを用いてもよい。」 オ 「図7 [図:0001428025000012.jpg] 」 (2) 甲6から把握できる事項 前記(1)アの【背景技術】に関する段落【0002】~【0004】の記載のうち、【0002】には、「AZ軸とEL軸の2軸だけでは、アンテナ装置の指向方向が天頂付近を向いている際に、AZ軸の駆動量が大きくなり指向方向の変更が難しくなる。通信相手を追尾するためにアンテナ装置の指向方向を変更する上で、2軸アンテナのこの性質は望ましくない。」と記載され、【0004】には、特許文献1を引用し、「AZ軸/EL軸/XEL軸の3軸駆動方式を採用したアンテナにおいて、XEL軸に物理的な軸を設けずにEL軸を挟む半円弧状のXEL構造体にすることで、AZ軸、EL軸、XEL軸が1点で交差するようにでき」るものとして例示されている。 これに対し、前記(1)イの【発明が解決しようとする課題】の段落【0006】には、背景技術たる従来例のXEL構造体について、「特許文献1のアンテナ装置では、半円弧状のXEL構造体の内側と外側の2面にローラによる支持構造を設けている。・・・従来の半円弧状のXEL構造体を有するアンテナ装置では、XEL構造体を支持するための構造が複雑になり部品点数が増加するという課題がある。」と記載されている。 そうすると、【0002】の「通信相手を追尾するためにアンテナ装置の指向方向を変更する」点は、【0006】以降の記載においても共通する事項であることが把握できる。 (3) 甲6記載技術事項 前記(1)及び(2)から、甲6には以下の技術事項(以下「甲6記載技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 「指向方向が天頂付近を向いている際に、通信相手を追尾するためにアンテナ装置の指向方向を変更するための回転駆動系を有するアンテナ装置100において、アンテナ装置100は、アンテナ部1、弓形支持構造部2、方位角架台3、移動体取付部4を有し、弓形支持構造部2および方位角架台3は、指向方向を変更可能にアンテナ部1を支持し、移動体取付部4は、アンテナ装置100を移動体90に取り付け、方位角架台3を方位角軸の回りに回転可能に支持する基礎部であり、アンテナ装置100は、AZ軸(方位角軸)、XEL軸(補助軸)、EL軸(仰角軸)の3軸で、アンテナ部1の指向方向を変更する構成であり、AZ軸は、移動体90のアンテナ装置100を搭載する面(アンテナ搭載面)に垂直な回転軸であり、方位角架台3は、AZ軸の回りに回転可能に移動体取付部4に支持され、弓形支持構造部2は、方位角架台3に支持され、XEL軸およびEL軸の回りに回転可能にアンテナ部1を支持し、AZ軸、XEL軸およびEL軸は、回転中心Cの1点で交差し、XEL軸の可動範囲はEL軸よりも小さく設定されること。」 7 慣用技術の認定 (1) 慣用技術1 前記甲2~6記載技術事項から、以下の慣用技術1が認定できる。 「アンテナ反射鏡において、人工衛星の追尾をするために、 アンテナ反射鏡を俯仰軸回りに回転可能とする俯仰軸回転構造部と、 アンテナ反射鏡を鉛直方向の軸回りに回転可能とする方位軸回転構造部と、 アンテナ反射鏡を俯仰軸に直交するクロス俯仰軸回りに回転可能とするクロス俯仰回転構造部と、 を備え、 方位回転構造部の上にクロス俯仰回転構造部を設けること。」 (2) 慣用技術2 前記甲4~6記載技術事項から、以下の慣用技術2が認定できる。 「アンテナ反射鏡において、人工衛星の追尾をするために、 アンテナ反射鏡を俯仰軸回りに回転可能とする俯仰軸回転構造部と、 アンテナ反射鏡を鉛直方向の方位軸回りに回転可能とする方位回転構造部と、 アンテナ反射鏡を俯仰軸に直交するクロス俯仰軸回りに回転可能とし、俯仰軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成されたクロス俯仰回転構造部と を備え、 方位回転構造部の上にクロス俯仰回転構造部を設けること。」 (3) 慣用技術3 前記甲4及び6記載技術事項から、以下の慣用技術3が認定できる。 「アンテナ反射鏡において、天頂付近の人工衛星の追尾を可能とするために、 アンテナ反射鏡を俯仰軸回りに回転可能とする俯仰軸回転構造部と、 アンテナ反射鏡を鉛直方向の方位軸回りに回転可能とする方位回転構造部と、 アンテナ反射鏡を俯仰軸に直交するクロス俯仰軸回りに回転可能とし、俯仰軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成されたクロス俯仰回転構造部と を備え、 方位回転構造部の上にクロス俯仰回転構造部を設けること。」 第5 判断 1 本件特許発明1について (1) 対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 ア 構成Xについて (ア) 甲1発明の「傾斜プラネタリウム」は、「2つの半球1A,1Bによつて形成された恒星投映球1は、その球面上に多数の恒星投映レンズ2が配設されていて、全天の恒星等を分担してドームスクリーン上に投映」するものであり、ドームスクリーン上に投映されるのは、レンズの光学的な作用による星の像であることは明らかであるから、本件特許発明1の「光学式プラネタリウム」に相当する。 (イ) したがって、本件特許発明1の「光学式プラネタリウム」と甲1発明の「傾斜プラネタリウム」とは、「光学式プラネタリウム」の発明である点で一致する。 イ 構成Aについて (ア) 甲1発明の「2つの半球1A,1Bによつて形成され」、「その球面上に多数の恒星投映レンズ2が配設されていて、全天の恒星等を分担してドームスクリーン上に投映」する「恒星投映球1」は、本件特許発明1の「星の像を投影する投影機」に相当する。 (イ) ここで、甲1発明は「恒星投映球が複数の回転軸に回転可能に保持されている傾斜プラネタリウム」であることから、甲1発明の「傾斜プラネタリウム」が「恒星投映球」を有していることは明らかである。したがって、本件特許発明1と甲1発明は、「星の像を投影する投影機」を備えるものである点で一致する。 ウ 構成Bについて (ア) 甲1発明において、「恒星投映球1は、半球1A,1Bの接合部の大円を取り囲む環状の支持リング3に装着された軸受とI軸駆動部によつて」、「半球1A,1Bの接合部の大円の中心を通つて大円の面に垂直な」「第1回転軸Iのまわりに回動可能に保持され」、「地球上で見る恒星の日周運動」「については」、「第1回転軸I」「まわりの回転運動によつて再現でき」るのであるから、甲1発明の「第1回転軸I」は本件特許発明1の「日周軸」に相当し、甲1発明の「半球1A,1Bの接合部の大円を取り囲む環状の支持リング3に装着された軸受とI軸駆動部」は、本件特許発明1の「投影機が日周軸周りに回転可能となるように構成された日周軸支持機構」に相当する。 (イ) ここで、甲1発明は「恒星投映球が複数の回転軸に回転可能に保持されている傾斜プラネタリウム」であり、甲1発明の「半球1A,1Bの接合部の大円を取り囲む環状の支持リング3に装着された軸受とI軸駆動部」は、「恒星投映球」を「回転可能に保持」する「複数の回転軸」の一つとして機能していることから、甲1発明の「傾斜プラネタリウム」が「半球1A,1Bの接合部の大円を取り囲む環状の支持リング3に装着された軸受とI軸駆動部」を有しているものと認められる。したがって、本件特許発明1と甲1発明は、「投影機が日周軸周りに回転可能となるように構成された日周軸支持機構」を備えるものである点で一致する。 エ 構成Cについて (ア) 甲1発明において、「恒星投映球1は、支持リング3の外周部に固着されてその径方向に突出する緯度軸4の部分を軸受5によつて枢支され、緯度軸駆動部材により」「第1回転軸Iと垂直な半球1A,1Bの接合部の大円の中心を通る」「第2回転軸IIのまわりに回動され」、「地球上で見る恒星の」「緯度変化については」、「第2回転軸IIまわりの回転運動によつて再現でき」るのであるから、甲1発明の「第2回転軸II」は本件特許発明1の「緯度軸」に相当する。そして、「地球上で見る恒星の日周運動」に係る「第1回転軸I」(本件特許発明1の「日周軸」に相当)と「地球上で見る恒星の」「経度変化」に係る「第2回転軸II」(本件特許発明1の「緯度軸」に相当)が常に直交する関係にあることは技術常識であるから、甲1発明の「「支持リング3」、「緯度軸4」、「軸受5」及び「緯度軸駆動部材」」は、本件特許発明1の「投影機が日周軸と直交する緯度軸周りに回転可能となるように構成された緯度軸支持機構」に相当する。 (イ) ここで、甲1発明は「恒星投映球が複数の回転軸に回転可能に保持されている傾斜プラネタリウム」であり、甲1発明の「「支持リング3」、「緯度軸4」、「軸受5」及び「緯度軸駆動部材」」は、「恒星投映球」を「回転可能に保持」する「複数の回転軸」の一つとして機能していることから、甲1発明の「傾斜プラネタリウム」が「「支持リング3」、「緯度軸4」、「軸受5」及び「緯度軸駆動部材」」を有しているものと認められる。したがって、本件特許発明1と甲1発明は、「投影機が日周軸と直交する緯度軸周りに回転可能となるように構成された緯度軸支持機構」を備えるものである点で一致する。 オ 構成Dについて (ア) 甲1発明において、「恒星投映球1は、半球1A,1Bの接合部の大円を取り囲む環状の支持リング3に装着された軸受とI軸駆動部によつて第1回転軸Iのまわりに回動可能に保持され、恒星投映球1は、支持リング3の外周部に固着されてその径方向に突出する緯度軸4の部分を軸受5によつて枢支され、緯度軸駆動部材により第2回転軸IIのまわりに回動され」、「恒星投映球1の下方に配設された半円形の」「支持アーム6は両端を軸受5,5に固定されるとともに支持アーム6及び方位軸7はともに第3回転軸IIIのまわりに回動可能に保持され」、「中央部から第2回転軸IIと垂直な方向に設けられた方位軸7は、方位軸部動部材8により第3回転軸IIIのまわりに回動可能に保持され」、「方位軸駆動部材8は、下端部に外側が円弧状の揺動部材9が固着され」、「揺動部材9は、・・・恒星投映球1をその中心Oのまわりに、天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転する」のであるから、「恒星投映球1」は、「軸受け5」によって枢支され、「軸受5,5」に両端が固定されるとともに「方位軸7」に回動可能に保持された「支持アーム6」を介して、「方位軸駆動部材8」により「方位軸7」が「第3回転軸III」のまわりに回動可能となっているものと認められる。 そうすると、甲1発明の「第3回転軸III」は、本件特許発明1の「方位軸」に相当し、甲1発明の「「方位軸7」及び「方位軸駆動部材8」」は、本件特許発明1の「投影機が方位軸周りに回転可能となるように構成された方位軸支持機構」に相当する。 (イ) ここで、甲1発明は「恒星投映球が複数の回転軸に回転可能に保持されている傾斜プラネタリウム」であり、甲1発明の「「方位軸7」及び「方位軸駆動部材8」」は、「恒星投映球」を「回転可能に保持」する「複数の回転軸」の一つとして機能していることから、甲1発明の「傾斜プラネタリウム」が「「方位軸7」及び「方位軸駆動部材8」」を有しているものと認められる。したがって、本件特許発明1と甲1発明は、「投影機が方位軸周りに回転可能となるように構成された方位軸支持機構」を備えるものである点で一致する。 (ウ) 一方、本件特許発明1と甲1発明は、以下の点で相違する。 本件特許発明1においては、方位軸が鉛直に設けられているのに対し、甲1発明においては、第3回転軸IIIが、中心Oのまわりに、天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転する揺動部材9に設けられている点。 カ 構成Eについて (ア) 甲1発明においては、「恒星投映球1」は「第2回転軸IIを中心軸として回動され」る「緯度軸4の部分を軸受け5によつて枢支され」、「両端を軸受5,5に固定され」た「支持アーム6」には、その「中央部から第2回転軸IIと直角な方向において」「方位軸7」が「設けられ」、「方位軸7は、方位軸部動部材8により第3回転軸IIIのまわりに回動可能に保持され」、「方位軸駆動部材8は、下端部に外側が円弧状の揺動部材9が固着されていて、該揺動部材9には、恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられ」、「揺動部材9は、床面12に固設の架台13に挟着されており、案内溝10の部分に、架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14が嵌合され」、「複数個の揺動案内ピン14は、案内溝10の円弧長さのある範囲内で揺動部材9に挿通されており、揺動部材9の回転中心は、恒星投映球1の中心Oと一致しているため、揺動部材9は、架台13に固定された複数の揺動案内ピン14と嵌合している円弧状の案内溝l0に沿つて恒星投映球1をその中心Oのまわりに、天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転することができ」るものである。 このことから、「揺動部材9」により、「恒星投映球1」の中心Oを中心とする半径Rの位置に設けられた円弧状の「案内溝10」に沿って「恒星投映球1」が揺動される際、「架台13」に固定された複数の「揺動案内ピン14」と嵌合している円弧状の「案内溝l0」の円弧長さのある範囲のうち、円弧状の「案内溝10」の両端と複数の揺動案内ピンの最も外側の2つの嵌合により規制される範囲内で、「恒星投映球1」をその中心Oのまわりに、「方位軸駆動部材8」、「方位軸7」、「支持アーム6」、「軸受け5,5」、及び「第2回転軸II」を中心軸として回動される「緯度軸4」とともに、天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転することができるものと認められる。 そうすると、前記ウを踏まえれば、甲1発明において、第2回転軸IIは、揺動部材9の回転軸に重なる場合を除き、円弧状の案内溝10の両端と複数の揺動案内ピンの最も外側の2つの揺動案内ピンにより規制される範囲内で天頂方向から揺動角度を任意に変更することは、本件特許発明1の「緯度軸傾斜角」を変更することに相当するものと認められる。 したがって、甲1発明の「「恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられるとともに、その外周部にセクターギヤ11が形成され」た「揺動部材9」、「架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14」、「揺動モータ15」及び「駆動歯車16」」は、本件特許発明1の「緯度軸傾斜角変更機構」に相当し、甲1発明の「円弧状の案内溝10の両端と複数の揺動案内ピンの最も外側の2つの揺動案内ピンにより規制される範囲内で」、「天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転することができ」ることは、本件特許発明1の「緯度軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能」であることに相当する。 (イ) ここで、甲1発明は「恒星投映球が複数の回転軸に回転可能に保持されている傾斜プラネタリウム」であり、甲1発明の「「恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられるとともに、その外周部にセクターギヤ11が形成され」た「揺動部材9」、「架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14」、「揺動モータ15」及び「駆動歯車16」」は、「恒星投映球」を「回転可能に保持」する「複数の回転軸」の一つとして機能していることから、甲1発明の「傾斜プラネタリウム」が「「恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられるとともに、その外周部にセクターギヤ11が形成され」た「揺動部材9」、「架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14」、「揺動モータ15」及び「駆動歯車16」」を有しているものと認められる。したがって、本件特許発明1と甲1発明は、「緯度軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成された緯度軸傾斜角変更機構」を備えるものである点で一致する。 (ウ) 一方、本件特許発明1と甲1発明は、以下の点で相違する。 本件特許発明1においては、何らの制約なく「緯度軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成された」ものであるのに対し、甲1発明においては、第2回転軸IIが揺動部材9の回転軸に重なる場合には、揺動部材9の回転軸まわりの揺動によっても、第2回転軸IIと水平面とのなす角は変化しない構成となっている点。 キ 構成Fについて 本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。 本件特許発明1においては「前記緯度軸傾斜角変更機構は、前記方位軸支持機構の上に設けられている」のに対し、甲1発明においては「恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられるとともに、その外周部にセクターギヤ11が形成され」た「揺動部材9」、「架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14」、「揺動モータ15」及び「駆動歯車16」の上に、「方位軸7」及び「方位軸駆動部材8」が設けられている点。 (2) 一致点・相違点 前記(1)より、本件特許発明1と甲1発明の一致点と相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである。 ア 一致点 (構成A)星の像を投影する投影機と、 (構成B)前記投影機が日周軸周りに回転可能となるように構成された日周軸支持機構と、 (構成C)前記投影機が前記日周軸と直交する緯度軸周りに回転可能となるように構成された緯度軸支持機構と、 (構成D’)前記投影機が方位軸周りに回転可能となるように構成された方位軸支持機構と、 (構成E’)前記緯度軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成された緯度軸傾斜角変更機構と を備えた、 (構成X)光学式プラネタリウム、 である点。 イ 相違点 本件特許発明1においては、 (構成D)「前記投影機が鉛直に設けられた方位軸周りに回転可能となるように構成された方位軸支持機構」と、 (構成E)「前記緯度軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成された緯度軸傾斜角変更機構」と を備え、 (構成F)「前記緯度軸傾斜角変更機構は、前記方位軸支持機構の上に設けられている」 のに対し、 甲1発明においては、それぞれ、 [相違点1] 「第3回転軸IIIが、中心Oのまわりに、天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転する揺動部材9に設けられ」ており、 [相違点2] 「第2回転軸IIが揺動部材9の回転軸に重なる場合には、揺動部材9の回転軸まわりの揺動によっても、第2回転軸IIと水平面とのなす角は変化しない構成」となっており、 [相違点3] 「恒星投映球1の中心Oを中心とする半径Rの位置に円弧状の案内溝l0が設けられるとともに、その外周部にセクターギヤ11が形成され」た「揺動部材9」、「架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14」、「揺動モータ15」及び「駆動歯車16」の上に、「方位軸7」及び「方位軸駆動部材8」が設けられている点。 (3) 判断 前記(2)イの相違点について検討する。 ア 相違点3について 事案にかんがみ、前記相違点3について検討する。 慣用技術1、2又は3が、一見、「俯仰軸回りに回転可能とする俯仰軸回転構造部」(甲1発明の「第2回転軸II」の回りに回転させる「緯度軸4」、「軸受5」及び「緯度軸駆動部材」に対応)、「鉛直方向の方位軸回りに回転可能とする方位回転構造部」(甲1発明の「第3回転軸III」の回りに回転させる「中央部から第2回転軸IIと垂直な方向に設けられた方位軸7」及び「方位軸駆動部材8」に対応)、「俯仰軸に直交するクロス俯仰軸回りに回転可能とするクロス俯仰回転構造部」及び「俯仰軸と水平面とのなす角を所定の範囲内で変更可能とするように構成されたクロス俯仰回転構造部」(甲1発明の「円弧状の案内溝10の両端と複数の揺動案内ピンの最も外側の2つの揺動案内ピンにより規制される範囲内で」、「天頂方向から任意の揺動角度だけ回転した位置に回転することができ」る「揺動部材9」、「架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14」、「揺動モータ15」及び「駆動歯車16」に対応)、及び「方位回転構造部の上にクロス俯仰回転構造部を設けること」を有するものであるとしても、甲1発明において、アンテナ反射鏡という、甲1発明のプラネタリウムの技術分野とは異なり、かつ日周運動を再現するために必要な第I回転軸に対応する軸を有しないことから作用、機能も異なる慣用技術1、2又は3を適用し、「中央部から第2回転軸IIと垂直な方向に設けられた方位軸7」及び「方位軸駆動部材8」と、「揺動部材9」、「架台13に固定の複数個の揺動案内ピン14」、「揺動モータ15」及び「駆動歯車16」の上下の位置を入れ替える動機付けがあるとはいえない。 よって、当業者が甲1発明に前記慣用技術1、2又は3を適用することができるとはいえない。 そして、当該相違点3により、本件特許発明1において「緯度軸傾斜角変更機構」が「方位軸支持機構の上に設けられている」ことにより、甲1発明において床面12に固設の架台13に揺動部材9を挟着し、方位軸7及び方位軸駆動部材8から上の全体を傾けて第1回転軸Iを揺動できるようにした場合に比べ、方位軸(第1回転軸I)を鉛直に固定することにより、光学式プラネタリウムが大型化するのを防ぐことが可能となる、という有利な効果を有する。 イ 小括 以上のとおりであるから、その余の相違点1及び2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明、及び慣用技術1、2又は3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4) 申立人の主張及びその検討 ア 申立人の主張 申立人は、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)にて、概略以下の旨の主張をしている。 (ア) 光学式プラネタリウムは、恒星球の中心において交わる複数の軸の合成運動により、任意の姿勢角度に向けたり回転させたりする機構を有するが、これは、甲2及び甲3に示すように、慣用技術であるところのジンバル機構にほかならない。そして、プラネタリウムの技術分野に属する当業者は、アンテナ、光学式望遠鏡、電波望遠鏡などの技術分野、特に甲2及び甲3に示すような、天空の目標物である通信衛星が天頂付近を通過する際にも高速追尾可能な衛星追尾アンテナの技術分野において採用されているジンバル機構を必然的に参照することとなる(申立書第6頁第21行~第8頁第23行)。 (イ) 甲1発明は、前記第2において請求項1の記載を分節した構成のうち、構成X及びA~Eに相当する構成を備えており、他方で甲4~6のいずれにも、構成C~Fに対応するジンバル機構が記載されているから、構成X及びA~Fを備えた本件特許発明1は、甲1発明、及び甲3~6記載技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(申立書第8頁第24行~第14頁第10行)。 イ 申立人の主張についての検討 前記アの申立人の主張について検討する。 (ア) 前記ア(ア)について ジンバル機構は、さまざまな技術分野において用いられているところ、その具体的な適用分野によって、複数の軸の数、その構造や用途が異なり、したがって、それらに基づき、各軸の役割や機能、要求される動作特性等も異なる。 甲1発明は、プラネタリウムの技術分野に属し、恒星の像をドームスクリーン上へ投映し、恒星の日周運動や才差運動の再現するものであるのに対し、前記慣用技術1、2及び3は、アンテナ反射鏡に関するものであって、発明の属する技術分野が異なる。そのため、これらが開示するジンバル機構は、いずれも甲1発明における第2回転軸II、第3回転軸III、及び恒星投映球1の中心Oを通り揺動部材9の回転中心である軸に対応する軸を有するのみで、第1回転軸Iに相当する構成を有しない。これは、そもそも人工衛星の追尾においては、アンテナ反射鏡に日周運動に対応する回転をさせる必要性がないことから当然である。 したがって、甲1発明と慣用技術1、2及び3とは、属する技術分野が関連し、プラネタリウムの技術分野に属する当業者が衛星追尾アンテナの技術を必然的に参照するとはいえない。 (イ) 前記ア(イ)について 本件特許発明1と甲1発明との対比、一致点・相違点及び判断については前記(1)~(3)で検討したとおりである。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明、及び甲2~6記載技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、申立人の前記主張ア(ア)及び(イ)は採用することができない。 ウ 申立人の主張に対する予備的検討 申立人の主張については、前記イのとおり採用することができないが、仮に慣用技術1、2及び3が、相違点1~3を全て充足するとした場合に、甲1発明と、慣用技術1、2及び3の組み合わせの容易性について予備的に検討する。 (ア) 技術分野の関連性 前記ア(ア)で検討したとおり、甲1発明は、プラネタリウムの技術分野に属し、恒星の像をドームスクリーン上へ投映し、恒星の日周運動や才差運動を再現するものであるのに対し、前記慣用技術1、2及び3は、アンテナ反射鏡の技術分野に属し、人工衛星の追尾を行うものであることから、甲1発明と、慣用技術1、2及び3とは、属する技術分野が関連しているとはいえない。 (イ) 課題の共通性 甲1発明は、傾斜または傾斜欠球ドームスクリーンにおける投映上の天頂方向や水平線の方向を実際のそれらの方向に一致させて、水平線近傍の演出時に恒星等の投映像が観客に与えていた異和感を解消することができ、また、傾斜欠球ドームスクリーンにおいて、恒星等を投映することができなかつた欠球角内の投映像も、投映上の地平線を揺動させることにより演出可能とすることができるようにするとの課題を解決するためのものである。 これに対して、慣用技術1、2及び3は、いずれもアンテナ反射鏡による人工衛星の追尾を容易にするためのものであるから、甲1発明と、慣用技術1、2及び3とは、課題が共通するとはいえない。 (ウ) 作用、機能の共通性 甲1発明と慣用技術1、2及び3は、3つの互いに直交する軸の回りに回転して機器を所望の方向に向けるという共通要素はあるものの、上記(イ)で述べたとおり課題が異なり、そのため、甲1発明においては、「地球の才差運動や惑星上で見る恒星の日周運動については、第1,第2,第3回転軸I,II,IIIまわりの回転運動の合成によつて再現する」するために必要な第1回転軸Iという、慣用技術1、2又は3には対応する機能がない構成を有し、また、恒星投映球1の中心Oを通り揺動部材9の回転中心である軸を回転し、揺動角度を必要な値に設定するといった、慣用技術1、2及び3が有しない作用や機能を備えているから、甲1発明と、慣用技術1、2及び3とは、作用や機能が異なるものである。 (エ) 甲1~6の内容中の示唆 甲1発明では、「地球の才差運動や惑星上で見る恒星の日周運動については、第1,第2,第3回転軸I,II,IIIまわりの回転運動の合成によつて再現することができ」るとしており、地球の才差運動や惑星上で見る恒星の日周運動を再現する際、甲1発明において、第1回転軸I及び第3回転軸IIIが一致又は近接した場合に起こる、いわゆるジンバルロックを、恒星投映球1の中心Oを通り揺動部材9の回転中心である軸のまわりの回転運動をも合成することにより回避することについて、甲1には何らの記載や示唆もない。また、甲2~6には、そもそも、日周運動に対応する甲1発明の第1回転軸Iに対応する軸についての記載はなく、甲1発明に慣用技術1、2又は3を適用することの示唆もない。 以上(ア)~(エ)で検討したとおり、甲1発明と慣用技術1、2又は3は、その属する技術分野が関連しておらず、また作用や機能が異なり、甲1~6の内容中に甲1発明に慣用技術1、2又は3を適用することの示唆がなく、その他に動機付けとなる要因も見当たらない。 2 本件特許発明2~9について 本件特許発明2~9は、本件特許発明1の特定事項を全て含むものであるから、前記1で検討したのと同様の理由により、甲1発明、及び慣用技術1、2又は3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許1~9を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1~9を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700638

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