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特許異議申立

2022-701284

教育用電子カルテシステム及び教育用電子カルテプログラム

審判番号
2022-701284
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-163078
登録番号
7087228
請求日
2022年12月20日
審決日
2024年05月21日
公報発行日
2024年10月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社Medi-LX
  • 【権利者代理人】弁理士法人OMNI国際特許事務所
  • 【権利者代理人】小山 靖
  • 【異議申立人】下埜 優子
審判長/審判官
  • 審判長 藤本 義仁
  • 審判官 松田 直也
  • 審判官 門 良成
分類
P1651.121-ZAA(G09B) / P1651.55 -ZAA(G09B) / P1651.851-ZAA(G09B) / P1651.853-ZAA(G09B) / P1651.854-ZAA(G09B) / P1651.841-ZAA(G09B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第17条の2第3項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7087228号発明「教育用電子カルテシステム及び教育用電子カルテプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7087228号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、〔4~6〕について訂正することを認める。 特許第7087228号の請求項1~6に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 経緯 特許第7087228号の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和3年10月1日(優先権主張 令和3年3月12日)に出願され、令和4年6月13日にその特許権の設定登録がされ、同年6月21日に特許掲載公報が発行された。 その後、同年12月20日付けで特許異議申立人 下埜優子(以下、「申立人」という。)より請求項1~6に対して特許異議の申立てがされたものである。 その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 3月22日 取消理由通知書(起案日) 令和5年 5月26日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者) 令和5年 8月15日 訂正拒絶理由通知書(起案日) 令和5年 9月14日 補正書・意見書の提出(特許権者) 令和5年11月21日 取消理由通知(起案日、決定の予告) 令和6年 1月22日 訂正請求書・意見書の提出(特許権者) 令和6年 2月20日 通知書(起案日、特許法第120条の5第5項の通知) 令和6年 3月22日 意見書の提出(申立人) なお、令和5年5月26日付けの訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げたものとみなされる。 第2 訂正請求について 1 訂正請求の趣旨 特許第7087228号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3、4~6について訂正することを求める。 なお、以下、本訂正請求書でする訂正を「本件訂正」という。 2 訂正の内容 (1)一群の請求項1~3について ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、「前記表示条件設定部は、前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納するものであり、」と限定する訂正をする(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記患者カルテ情報生成部は、前記ベッドマップ情報を前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させるものである」と記載されているのを、「前記患者カルテ情報生成部は、前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させ、前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させるものである」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する。)。 (2)一群の請求項4~6について ア 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4において、「前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する処理と、」を追加する訂正をする(請求項4の記載を引用する請求項5及び請求項6も同様に訂正する。)。 イ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「前記ベッドマップ情報を前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させる処理と、」と記載されているのを、「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させる処理と、」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5及び請求項6も同様に訂正する。)。 ウ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4において「前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選訳されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる処理と、」を追加する訂正をする(請求項4の記載を引用する諸求項5及び請求項6も同様に訂正する。)。 3 訂正の適否についての当審の判断 (1)一群の請求項についての説明 ア 一群の請求項1~3についての説明 訂正前の請求項1~3について、請求項2及び3はそれぞれ請求項1を直接的に又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項1~3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 イ 一群の請求項4~6についての説明 訂正前の請求項4~6について、請求項5及び6はそれぞれ請求項4を直接的に又は間接的に引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項4~6に対応する訂正後の請求項4~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 以下、事案に鑑み、特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否かについては、最後にまとめて判断する。 (2)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前請求項1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部」について、本件訂正により、「前記表示条件設定部は、前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納するものであり」との機能を追加することで、訂正前請求項1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報」を、「前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のもの」に減縮し、訂正前請求項1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」を、「前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記擬患者情報」を「学習者毎に選択」し、「前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する」ことに減縮するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1は、上記アのとおり、訂正前請求項1の「表示条件設定部」の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」する機能を具体化することで減縮するものである。 したがって、訂正事項1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 明細書等には、次の記載がある。下線は、当審で付与した(以下、同様。)。 「【0076】 [患者カルテ情報の表示条件の設定処理] 管理者による患者カルテ情報の表示条件の設定処理について説明する。 先ず、模擬患者の設定処理について、図11及び図12に基づき説明する。図11は、管理者による模擬患者の設定処理の流れを示すフローチャートである。図12は、登録済みの学習者に表示させる模擬患者の設定を行うための模擬患者設定ページ202を示す説明図である。 【0077】 模擬患者の設定処理は、登録済みの学習者に対し、どの模擬患者情報を患者カルテ情報として表示させるのかを設定するための処理である。すなわち、表示条件設定部114は、管理者端末40からの模擬患者の設定要求を受け付けると、模擬患者の設定を行うための模擬患者設定ページ202を管理者端末40に表示させる(S301、図12参照)。さらに、模擬患者情報データベース121に格納されている模擬患者情報を呼び出し、選択させる模擬患者候補を模擬患者設定ページ202に表示させる。 【0078】 模擬患者設定ページ202が管理者端末40に表示されると、管理者は当該模擬患者設定ページ202に表示されている模擬患者候補の中から、管理者端末40に備えられているキーボードやマウス等の入力手段を用いて模擬患者の選択を行う(S302)。模擬患者の選択は少なくとも1つ行うことができる。模擬患者の選択が行われ、模擬患者設定ページ202に表示されている更新ボタンが選択されると、表示条件設定部114は、模擬患者の選択を受け付け、選択された模擬患者の模擬患者情報を学習者情報に対応付けて模擬患者情報データベース121に保存させる(S303)。以上により、模擬患者の設定処理が終了する。」 このように、明細書等には、訂正事項1の「前記表示条件設定部は、前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納するものであり」との構成が記載されている。 したがって、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項2について 判断の便宜から、訂正事項2を次のように分けて検討を行う。 訂正前請求項1の「前記患者カルテ情報生成部は、前記ベッドマップ情報を前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させるものである」とのうち、 「管理者端末」に関する事項について、本件訂正により、「前記患者カルテ情報生成部」は、「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させ」とし(訂正事項2-1)、 「学習者端末」に関する事項について、本件訂正により、「前記患者カルテ情報生成部」は、「前記表示条件に基づき、前記学者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」とする(訂正事項2-2) ものである。 ア 訂正の目的について (ア)訂正事項2-1は、訂正前請求項1の「前記ベッドマップ情報」を、本件訂正により、「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報」に減縮し、訂正前請求項1の「表示させ」を、本件訂正により、「編集可能に表示させ」に減縮するものである。また、この訂正に伴い、訂正前請求項1の「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記管理者端末」に関する事項に書き分けることは、学習者端末ベッドマップ表示の機能と管理者端末のベッドマップ表示の機能とが異なることを明確にするためのものである。 したがって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (イ)訂正事項2-2は、訂正前請求項1の「前記ベッドマップ情報を前記学習者端末」「に表示させ」を、本件訂正により、「前記表示条件に基づき、前記学者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ」、及び、訂正前請求項1の「選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末」「に表示させる」を、本件訂正により、「選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」に減縮するものである。また、この訂正に伴い、本件訂正前では、「学習者端末」が、「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ」を「編集可能」である場合を含むか明確でなかった点を、本件訂正により、これらを「編集不可能」であると明確にするものであって、さらに、訂正前請求項1の「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記学習者端末」に関する事項に書き分けることは、学習者端末ベッドマップ表示の機能及び電子カルテの編集機能と管理者端末のベッドマップ表示の機能及び電子カルテの編集機能とが異なることを明確にするためのものである。 したがって、訂正事項2-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと (ア)訂正事項2-1は、上記ア(ア)のとおり、「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記管理者端末」に関する事項に書き分け、訂正前請求項1の「前記管理者端末」に表示される「ベッドマップ情報」を、本件訂正により、「編集可能に」表示するとするものである。 したがって、訂正事項2-1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (イ)訂正事項2-2は、上記ア(イ)のとおり、「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記学習者端末」に関する事項に書き分け、訂正前請求項1の「前記学習者」に表示される「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ」を、本件訂正により、「編集不可能に」表示するとするものである。 したがって、訂正事項2-2は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること (ア)明細書等には、上記(2)ウで摘記した事項に加えて、次の記載がある。 「【0046】 患者カルテ情報生成部113は、サーバ記憶部102に格納されている模擬患者情報を読み出し、この模擬患者情報に基づき患者カルテ情報を生成する。また、患者カルテ情報生成部113は、後述の表示条件設定部114により設定された表示条件に適合する模擬患者情報をサーバ記憶部102から読み出し、この模擬患者情報に基づいて患者カルテ情報を生成する。さらに、表示条件設定部114が、患者模擬情報に含まれる日時情報の日時とは異なる日時を表示条件として設定する場合、患者カルテ情報生成部113は、この新たな日時を表示日時として患者カルテ情報を生成する。また、患者カルテ情報生成部113は、生成した患者カルテ情報を学習者情報と対応付けて模擬患者情報データベース121に保存させる。 【0047】 患者カルテ情報は、例えば、患者の配置場所に関する情報(例えば、一般病棟や療養病棟等の病棟、病室(番号)、病床(番号)(ベッド番号)等に関する情報。以下、「患者配置情報」という場合がある。)、患者基礎情報(例えば、氏名、年齢、住所、保険の種別、血液型、障害、病名、既往歴等に関する情報)、診療録(経過)に関する情報(例えば、医師の所見、看護記録、診察記事、安楽障害等に関する情報)、検温表に関する情報、内服に関する情報、注射に関する情報、一般指示に関する情報、検査結果に関する情報(例えば、血液検査、血液ガス検査、病理検査、X線・CT・MR・内視鏡等の画像検査、心電図検査、脳波検査、超音波検査、血管造影検査等)、検査のオーダー歴に関する情報、看護支援(看護計画)に関する情報(例えば、模擬患者の食事量、主食・副食・間食の食事摂取割合、食欲等に関する情報)、文書情報(例えば、手術・麻酔・処置・検査に関する同意書、模擬患者の家族関係を表す家族図等)等を含むものを意味する。また、模擬患者情報に前述の日時情報が含まれる場合、患者カルテ情報は当該日時情報を含んでもよい。」 「【0082】 患者配置情報が模擬患者情報データベース121に格納されると、患者カルテ情報生成部113は、患者配置情報と、当該患者配置情報が対応付けられている模擬患者情報及び学習者情報とに基づき、ベッドマップ表示ページ204を学習者端末30や管理者端末40に表示する(図15参照)。このベッドマップ表示ページ204には、図15に示すように、ベッドマップ情報が表示される。ここで、ベッドマップ情報とは、仮想的な病棟内に於ける模擬患者の配置場所を表す情報を意味する。また、ベッドマップ表示ページ204は、学習者端末30に表示させるようにしてもよい。以上により、模擬患者の病棟等の設定処理が終了する。尚、図15は、病棟内の患者配置場所に関する情報を表示したベッドマップ表示ページ204を示す説明図である。」 「【0096】 以上のようにして、管理者による患者カルテ情報の表示条件の設定処理を終えると、電子カルテサーバ10は、管理者が設定した表示条件に基づいて、図20に示す様な電子カルテ表示ページ208を学習者の学習者端末30に表示させることができる。すなわち、学習者が学習者端末30によりネットワーク20を介して電子カルテサーバ10にアクセスすると、患者カルテ情報生成部113は、表示条件設定部114が設定・変更した表示条件に適合する模擬患者情報を模擬患者情報データベース121から呼び出し、患者カルテ情報として生成する。さらに、生成した患者カルテ情報が記載された電子カルテ表示ページ208を、学習者端末30のディスプレイ等の表示部34に表示させることができる。電子カルテ表示ページ208では、患者基礎情報の他、診療録(経過表)、検温表、内服(指示)、注射(指示)、一般指示、検査結果、オーダー歴、看護支援、及び手術同意書等の各種文書やレポートの閲覧が可能となっている。また、学習者には、ベッドマップ表示ページ204の閲覧も可能となっている。尚、図20は、学習者端末30に表示される電子カルテ表示ページ208を示す説明図である。 【0097】 [患者カルテ情報の表示内容の編集処理] 次に、管理者による患者カルテ情報の表示条件の編集処理について、図21及び図22に基づき説明する。図21は、本実施の形態に係る教育用電子カルテシステムを用いた管理者端末による患者カルテ情報の表示内容の編集処理の流れを示すフローチャートである。図22は、管理者端末40に表示される電子カルテ編集ページ211を示す説明図である。 【0098】 患者カルテ情報の表示内容の編集処理は、学習者端末30に表示させる患者カルテ情報の表示内容を管理者が編集するための処理である。これにより、本実施の形態では、演習又は実習の進捗や学習内容、学習者の学習の程度等に応じて、学習者端末30に表示させる患者カルテ情報の内容を自由に変更することができる。 【0099】 先ず、管理者が管理者端末40からネットワーク20を介して電子カルテサーバ10へアクセスし、管理者端末40に於いて管理者画面ページ209のベッドマップボタン305が選択されると、患者カルテ情報生成部113はベッドマップ表示ページ204を管理者端末40のディスプレイ等に表示させる(S701、図15及び図21参照)。 【0100】 ベッドマップ表示ページ204には模擬患者に関するベッドマップ情報が表示されており、ベッドマップ情報の中から任意の模擬患者を管理者端末40の入力手段を用いて選択すると、患者カルテ情報生成部113は、選択した模擬患者に関する電子カルテを表示する電子カルテ表示ページの表示要求を受け付ける。さらに、患者カルテ情報生成部113は電子カルテ表示ページを管理者端末40のディスプレイ等に表示させる(S702、図21参照)。 【0101】 続いて、管理者端末40に於いてマウス等の入力手段を用いて、電子カルテ表示ページに表示されているデータ編集モードボタン210を選択する。データ編集モードボタン210は、電子カルテ表示ページに於いて任意の表示項目を編集するための編集モードに移行させるものである。データ編集モードボタン210が選択されると、患者カルテ情報編集部119は患者カルテ情報の編集モードへの移行要求を受け付け、図22に示す電子カルテ編集ページ211を管理者端末40に表示させる(S703)。 【0102】 電子カルテ編集ページ211が管理者端末40に表示されると、管理者端末40の入力手段を用いて患者カルテ情報の編集を行うことができる(S704)。すなわち、管理者端末40により任意の患者カルテ情報が編集され更新ボタン212が選択されると、入力された新たな患者カルテ情報が電子カルテサーバ10に送信される。さらに、新たな患者カルテ情報が電子カルテサーバ10の受信部115で受信されると、患者カルテ情報編集部119は、新たな患者カルテ情報に基づき、模擬患者情報データベース121に格納されている模擬患者情報を更新して、当該模擬患者情報データベース121に再度保存させる。模擬患者情報が更新されると、患者カルテ情報生成部113は、模擬患者情報データベース121に格納されている模擬患者情報を読み出し、この模擬患者情報に基づき患者カルテ情報を生成する。あるいは、患者カルテ情報生成部113は、表示条件設定部114により設定された表示条件に適合する模擬患者情報を模擬患者情報データベース121から読み出し、この模擬患者情報に基づいて新たな患者カルテ情報を生成する。さらに、患者カルテ情報生成部113は、新たな患者カルテ情報が反映された電子カルテ表示ページを管理者端末40に表示させる(S705)。このとき管理者端末40に表示されるページは電子カルテ編集ページ211ではなく閲覧モードの電子カルテ表示ページ208である。」 「 [図:0001415253000001.jpg] 」(【図15】) 「 [図:0001415253000002.jpg] 」(【図20】) (イ)訂正事項2-1について、上記(ア)のとおり、明細書等には、「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させ」との構成が記載されている。 したがって、訂正事項2-1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ)訂正事項2-2について、上記(ア)のとおり、明細書等には、「学習者が学習者端末30によりネットワーク20を介して電子カルテサーバ10にアクセスすると・・・患者カルテ情報生成部113は、表示条件設定部114が設定・変更した表示条件に適合する模擬患者情報を・・・患者カルテ情報として生成・・・生成した患者カルテ情報が記載された電子カルテ表示ページ208を、学習者端末30のディスプレイ等の表示部34に表示させる」、「電子カルテ表示ページ208では、患者基礎情報の他、診療録(経過表)、検温表、内服(指示)、注射(指示)、一般指示、検査結果、オーダー歴、看護支援、及び手術同意書等の各種文書やレポートの閲覧が可能となっている。また、学習者には、ベッドマップ表示ページ204の閲覧も可能となっている」(【0096】)と記載されている。そして、この明細書等【0096】に記載されている「患者基礎情報その他」の情報は、明細書等【0047】の「患者カルテ情報」である。 また、明細書等には、「模擬患者の設定処理は、登録済みの学習者に対し、どの模擬患者情報を患者カルテ情報として表示させるのかを設定するための処理である。」(【0077】)と記載されており、この設定は管理者が行うものである。さらに、明細書等には、「ベッドマップ表示ページ204には模擬患者に関するベッドマップ情報が表示されており、ベッドマップ情報の中から任意の模擬患者を管理者端末40の入力手段を用いて選択すると・・・患者カルテ情報生成部113は電子カルテ表示ページを管理者端末40のディスプレイ等に表示させる」(【0100】)、「続いて、管理者端末40に於いてマウス等の入力手段を用いて、電子カルテ表示ページに表示されているデータ編集モードボタン210を選択する。」(【0101】)と記載されており、「管理者端末40」において、「ベッドマップ表示ページ204の中から任意に模擬患者を選択して「電子カルテ表示ページ」が表示させた状態で「データ編集モードボタン210」が「選択」されることで、患者カルテ情報の編集を行うことができることが記載されている。そして、これにより、「演習又は実習の進捗や学習内容、学習者の学習の程度等に応じて、学習者端末30に表示させる患者カルテ情報の内容を自由に変更することができる」(【0098】)ものであるから、学習者端末において、データ編集モードでの患者カルテ情報の編集を「学習者端末30」で行えないようにすることは、当然の事項である。 そうすると、明細書等において、管理者は、演習又は実習の進捗や学習内容、学習者の学習の程度等に応じて、上記の設定・編集機能によって、学習者端末に表示させたい事項を設定、変更させることができるものであるから、学習者端末において、「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ」が学習者端末で編集不可能であることは明らかである。 以上を踏まえて、明細書等の「ベッドマップ表示ページ204を学習者端末30や管理者端末40に表示する(図15参照)」(【0082】)との記載、「ベッドマップ情報の中から任意の模擬患者を管理者端末40の入力手段を用いて選択する」ことで、「患者カルテ情報生成部113は電子カルテ表示ページを管理者端末40のディスプレイ等に表示させ」(【0100】)た後、「管理者端末40に於いてマウス等の入力手段を用いて、電子カルテ表示ページに表示されているデータ編集モードボタン210を選択する。」(【0101】)との記載を参照すると、学習者端末30においても、電子カルテを表示させるために、「ベッドマップ情報の中から任意の模擬患者を管理者端末40の入力手段を用いて選択する」ことで、「患者カルテ情報生成部113は電子カルテ表示ページを管理者端末40のディスプレイ等に表示させる」機能と同じ機能を有することは明らかである。 よって、「表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」ことは、明細書等に記載されている事項であるといえる。 したがって、訂正事項2-2は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前請求項4について、本件訂正により、「前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する処理と、」との機能を追加することで、訂正前請求項4の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報」を、「前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のもの」に減縮し、さらに、訂正前請求項4の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」を、「前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記擬患者情報」を「学習者毎に選択」し、「前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する」ことに減縮するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、上記アのとおり、訂正前請求項4の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報」を減縮し、「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」する機能を具体化することで減縮するものである。 したがって、訂正事項3は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 明細書等には、次の記載がある。 「【0076】 [患者カルテ情報の表示条件の設定処理] 管理者による患者カルテ情報の表示条件の設定処理について説明する。 先ず、模擬患者の設定処理について、図11及び図12に基づき説明する。図11は、管理者による模擬患者の設定処理の流れを示すフローチャートである。図12は、登録済みの学習者に表示させる模擬患者の設定を行うための模擬患者設定ページ202を示す説明図である。 【0077】 模擬患者の設定処理は、登録済みの学習者に対し、どの模擬患者情報を患者カルテ情報として表示させるのかを設定するための処理である。すなわち、表示条件設定部114は、管理者端末40からの模擬患者の設定要求を受け付けると、模擬患者の設定を行うための模擬患者設定ページ202を管理者端末40に表示させる(S301、図12参照)。さらに、模擬患者情報データベース121に格納されている模擬患者情報を呼び出し、選択させる模擬患者候補を模擬患者設定ページ202に表示させる。 【0078】 模擬患者設定ページ202が管理者端末40に表示されると、管理者は当該模擬患者設定ページ202に表示されている模擬患者候補の中から、管理者端末40に備えられているキーボードやマウス等の入力手段を用いて模擬患者の選択を行う(S302)。模擬患者の選択は少なくとも1つ行うことができる。模擬患者の選択が行われ、模擬患者設定ページ202に表示されている更新ボタンが選択されると、表示条件設定部114は、模擬患者の選択を受け付け、選択された模擬患者の模擬患者情報を学習者情報に対応付けて模擬患者情報データベース121に保存させる(S303)。以上により、模擬患者の設定処理が終了する。」 このように、明細書等には、訂正事項3の「前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する処理」が記載されている。 したがって、訂正事項3は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (5)訂正事項4、5について 訂正事項4、5は、上記(3)と同様に、訂正前請求項4の「前記ベッドマップ情報を前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させる処理」とのうち、「管理者端末」に関する事項(訂正事項4)と、「学習者端末」に関する事項(訂正事項5)について、書き分けたものである。 これを前提に、判断の便宜から、訂正事項4、5について、まとめて検討を行う。 ア 訂正の目的について (ア)訂正事項4は、訂正前請求項4の「前記ベッドマップ情報」を「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報」に減縮し、訂正前請求項4の「表示させ」を、「編集可能に表示させ」に減縮するものである。また、この訂正に伴い、訂正前請求項1の「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記管理者端末」に関する事項に書き分けることは、学習者端末ベッドマップ表示の機能と管理者端末のベッドマップ表示の機能とが異なることを明確にするためのものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 (イ)訂正事項5は、訂正前請求項4の「前記ベッドマップ情報を前記学習者端末」「に表示させ」を、本件訂正により、「前記表示条件に基づき、前記学者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ」に減縮するものである。また、この訂正に伴い、本件訂正前では、「学習者端末」が、「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ」を「編集可能」である場合を含むか明確でなかった点を、本件訂正により、これらを「編集不可能」であると明確にするものであって、さらに、訂正前請求項4の「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記学習者端末」に関する事項に書き分けることは、学習者端末ベッドマップ表示の機能及び電子カルテの編集機能と管理者端末のベッドマップ表示の機能及び電子カルテの編集機能とが異なることを明確にするためのものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと (ア)訂正事項4は、上記ア(ア)のとおり、「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記管理者端末」に関する事項に書き分け、訂正前請求項4の「前記管理者端末」に表示される「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ」を、本件訂正により、「編集可能に」表示とするものであって、これにより、減縮及び明確にするものである。 したがって、訂正事項4は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (イ)訂正事項5は、上記ア(イ)のとおり、「前記学習者端末又は前記管理者端末」のうち、「前記学習者端末」に関する事項に書き分け、訂正前請求項4の「前記学習者」に表示される「ベッドマップ情報」を、本件訂正により、「編集不可能に」表示するとするものである。 したがって、訂正事項5は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること (ア)明細書等には、上記(3)ウ(ア)で摘記したとおりの事項が記載されている。 (イ)訂正事項4について、明細書等には上記(ア)のとおりの記載があり、上記(3)ウ(イ)のとおり、明細書等には「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させ」との構成が記載されている。 したがって、訂正事項4は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (ウ)訂正事項5について、明細書等には上記(ア)のとおりの記載があり、上記(3)ウ(ウ)のとおり、明細書等には「前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」との構成が記載されている。 したがって、訂正事項4は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否か 特許法第120条の5第9項により読み替えて適用される同法126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)については、訂正事項1、2に係る本件特許の請求項1~3に係る特許、及び、訂正事項3~5に係る本件特許の請求項4~6に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1~3、4~6に係る発明については課されない。 (7)訂正請求についての申立人の主張 ア 主張の概要 申立人は、令和6年3月22日提出の意見書で、令和6年1月22日付けの訂正請求について次のとおり主張する。 (ア)主張A-1 学習者端末において、「表示させた前記ベッドマップ情報の中から任意に選択」することは、明細書等に記載されておらず、記載されているに等しいということもできない旨(1~2頁。訂正事項2、5に対するもの。)。 (イ)主張A-2 学習者端末において、「前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」ことは明細書等には記載されておらず、「編集不可能」について、【0100】を訂正の根拠とすることができない旨(2頁。訂正事項2、5に対するもの。)。 イ 主張に対する当審の判断 主張A-1及び主張A-2をまとめて検討する。 上記(3)ウ(ウ)、上記(5)ウ(ウ)のとおりであるから、本件訂正後の、学習者端末における「表示させた前記ベッドマップ情報の中から任意に選択」すること、「前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」ことは、明細書等に記載されているといえることから、申立人の上記主張に理由はない。 4 訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正による訂正は、訂正要件を満たすものである。 第3 本件訂正発明 上記「第2」のとおりであるから、特許請求の範囲は、訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおりのものである(以下、「請求項1」~「請求項6」に係る発明を、それぞれ、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明6」という。まとめて、「本件訂正発明」という。)。 「【請求項1】 学習者端末と、管理者端末と、前記学習者端末及び前記管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバと、のみを備える教育用電子カルテシステムに於いて、 前記教育用電子カルテサーバは、 表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得するデータファイル取得部と、 前記データファイル取得部で取得された前記データファイルの前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を格納する記憶部と、 前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部と、 前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を生成する患者カルテ情報生成部と、を備え、 前記表示条件設定部は、 前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納するものであり、 前記患者カルテ情報生成部は、 前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させ、 前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させるものである教育用電子カルテシステム。 【請求項2】 前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる任意の情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むものであり、 前記表示条件設定部は、前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定し、 前記患者カルテ情報生成部は、前記表示条件設定部により設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報を生成する請求項1に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項3】 前記患者カルテ情報生成部により生成される前記患者カルテ情報の編集を行う患者カルテ情報編集部をさらに備え、 前記患者カルテ情報編集部は、当該患者カルテ情報編集部により編集された新たな患者カルテ情報に基づき、前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報を更新する請求項1又は2に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項4】 学習者端末及び管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバに処理を実行させる、コンピュータ読み取り可能な教育用電子カルテプログラムに於いて、 表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得する処理と、 取得した前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を、前記教育用電子カルテサーバの記憶部に格納する処理と、 前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件を設定し、又は前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示若しくは非表示を変更する処理と、 設定又は変更された前記表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、 前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を生成する処理と、 前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する処理と、 前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させる処理と、 前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応づけられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる処理と、を実行させる教育用電子カルテプログラム。 【請求項5】 前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むものであり、 前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定する処理と、 設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる前記患者カルテ情報を生成する処理と、を実行させる請求項4に記載の教育用電子カルテプログラム。 【請求項6】 生成された前記患者カルテ情報を編集し、編集された新たな患者カルテ情報に基づき、前記記憶部に格納されている模擬患者情報を更新する処理をさらに実行させる請求項4又は5に記載の教育用電子カルテプログラム。」 第4 令和5年11月21日付け取消理由通知の概要 令和5年11月21日付け取消理由通知(決定の予告)の概要は次のとおりである。 1.令和4年2月9日に提出した手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 2.請求項1~6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) <引用文献等一覧> 1.株式会社Medi-LX、Medi-EYEユーザーズガイドver.1.9、[online]、2021年9月30日、[インターネット]<https://medi-lx.co.jp/images/upload_file/Medi-EYE%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%82%99%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%99%E3%82%AB%E3%82%99%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%99%20ver.l.9.pdf>(甲第1号証) 2.株式会社Medi-LX、Medi-EYEユーザーズガイドver.1.3、2021年3月2日(甲第7号証の3) 第5 取消理由(決定の予告)に対する当審の判断 1 理由1(新規事項の追加)について (1)補正前後の特許請求の範囲 令和4年2月9日提出の手続補正書でした補正(以下、「本件補正」という。)の補正前後の特許請求の範囲は、次のとおりである。なお、下線は、補正箇所であり、出願人(特許権者)が付与した。 ア 補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 学習者端末と、前記学習者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバと、を少なくとも備える教育用電子カルテシステムに於いて、 前記教育用電子カルテサーバは、 任意のソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって、模擬患者情報を含むものを取得するデータファイル取得部と、 前記データファイル取得部で取得された前記データファイルの前記模擬患者情報を格納する記憶部と、 前記記憶部から前記模擬患者情報を呼び出し、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報を、前記模擬患者情報に基づき生成する患者カルテ情報生成部と、を備える教育用電子カルテシステム。 【請求項2】 前記学習者端末に表示させる前記患者カルテ情報の表示条件を設定する表示条件設定部をさらに備え、 前記患者カルテ情報生成部は、前記表示条件設定部により設定された表示条件に適合する模擬患者情報を前記記憶部から呼び出し、呼び出された前記模擬患者情報に基づき前記患者カルテ情報を生成する請求項1に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項3】 前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる任意の情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むものであり、 前記表示条件設定部は、前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定し、 前記患者カルテ情報生成部は、前記表示条件設定部により設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報を生成する請求項2に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項4】 前記記憶部には、少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者の配置場所に関する情報が格納されており、 前記患者カルテ情報生成部は、前記表示条件設定部により設定された表示条件に基づき前記記憶部に格納された前記患者の配置場所に関する情報及び前記模擬患者情報を呼び出して、前記患者の配置場所に関する情報を含む患者カルテ情報を生成する請求項2又は3に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項5】 前記患者カルテ情報生成部により生成される前記患者カルテ情報の編集を行う患者カルテ情報編集部をさらに備え、 前記患者カルテ情報編集部は、当該患者カルテ情報編集部により編集された新たな患者カルテ情報に基づき、前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報を更新する請求項1~4の何れか1項に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項6】 学習者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバに処理を実行させる、コンピュータ読み取り可能な教育用電子カルテプログラムに於いて、 任意のソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって、模擬患者情報を含むものを取得する処理と、 取得した前記模擬患者情報を、前記教育用電子カルテサーバの記憶部に格納する処理と、 前記記憶部から前記模擬患者情報を呼び出し、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報を前記模擬患者情報に基づき生成する処理と、を実行させる教育用電子カルテプログラム。 【請求項7】 前記学習者端末に表示させる前記患者カルテ情報の表示条件を設定する処理と、 設定された前記表示条件に適合する模擬患者情報を前記記憶部から呼び出し、呼び出された前記模擬患者情報に基づき前記患者カルテ情報を生成する処理と、を実行させる請求項6に記載の教育用電子カルテプログラム。 【請求項8】 前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むものであり、 前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定する処理と、 設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる前記患者カルテ情報を生成する処理と、を実行させる請求項7に記載の教育用電子カルテプログラム。 【請求項9】 前記記憶部には、少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者の配置場所に関する情報が格納されており、 設定された前記表示条件に基づき、前記患者の配置場所に関する情報及び前記模擬患者情報を前記記憶部から呼び出して、前記患者の配置場所に関する情報を含む患者カルテ情報を生成する処理を実行させる請求項7又は8に記載の教育用電子カルテプログラム。 【請求項10】 生成された前記患者カルテ情報を編集し、編集された新たな患者カルテ情報に基づき、前記記憶部に格納されている模擬患者情報を更新する処理をさらに実行させる請求項6~9の何れか1項に記載の教育用電子カルテプログラム。」 イ 補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 学習者端末と、管理者端末と、前記学習者端末及び前記管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバと、のみを備える教育用電子カルテシステムに於いて、 前記教育用電子カルテサーバは、 表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得するデータファイル取得部と、 前記データファイル取得部で取得された前記データファイルの前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を格納する記憶部と、 前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部と、 前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を生成する患者カルテ情報生成部と、を備え、 前記患者カルテ情報生成部は、 前記ベッドマップ情報を前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させるものである教育用電子カルテシステム。 【請求項2】 前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる任意の情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むものであり、 前記表示条件設定部は、前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定し、 前記患者カルテ情報生成部は、前記表示条件設定部により設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報を生成する請求項1に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項3】 前記患者カルテ情報生成部により生成される前記患者カルテ情報の編集を行う患者カルテ情報編集部をさらに備え、 前記患者カルテ情報編集部は、当該患者カルテ情報編集部により編集された新たな患者カルテ情報に基づき、前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報を更新する請求項1又は2に記載の教育用電子カルテシステム。 【請求項4】 学習者端末及び管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバに処理を実行させる、コンピュータ読み取り可能な教育用電子カルテプログラムに於いて、 表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得する処理と、 取得した前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を、前記教育用電子カルテサーバの記憶部に格納する処理と、 前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件を設定し、又は前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示若しくは非表示を変更する処理と、 設定又は変更された前記表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を生成する処理と、 前記ベッドマップ情報を前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末又は前記管理者端末に表示させる処理と、を実行させる教育用電子カルテプログラム。 【請求項5】 前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むものであり、 前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定する処理と、 設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる前記患者カルテ情報を生成する処理と、を実行させる請求項4に記載の教育用電子カルテプログラム。 【請求項6】 生成された前記患者カルテ情報を編集し、編集された新たな患者カルテ情報に基づき、前記記憶部に格納されている模擬患者情報を更新する処理をさらに実行させる請求項4又は5に記載の教育用電子カルテプログラム。」 ウ 本件訂正後の特許請求の範囲 上記「第3」のとおりである。 (2)理由1についての当審の判断 ア 取消理由の概要(補正事項について) (補正事項1)「前記患者カルテ情報生成部は、」「前記ベッドマップ情報を前記学習者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に表示させる」 当初明細書等には、学習者について、ベッドマップ表示ページ204の閲覧が可能であり、学習者端末30に電子カルテ表示ページ208を表示させることは記載されているものの、学習者が模擬患者カルテ情報を編集することは記載されていないため、患者カルテ情報生成部113は、選択した模擬患者に関する電子カルテの電子カルテ表示ページを学習者端末30のディスプレイ等に表示させることは記載されているとはいえず、本件特許の優先日時点における技術常識を参酌したとしても、そのことが自明であるとする根拠は見いだせない。 このように、上記補正事項1は、当初明細書等には記載されておらず、自明な事項でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 イ 新規事項の追加の有無についての検討 上記「第2」の3(3)(訂正事項2-2の点)のとおり、本件訂正により、「学習者端末」が「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ」を「編集可能」に表示することが含まれないことが明確になった。 また、本件補正後の請求項4についても、上記「第2」の3(5)(訂正事項5の点)のとおり、本件訂正により、「学習者端末」が「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ」を「編集可能」に表示することが含まれないことが明確になった。 (3)理由1のまとめ よって、理由1は解消した。 2 理由2(進歩性)について 2-1 優先権主張が認められない場合 (1)優先権主張について ア 本件特許の構成について 本件訂正発明1は、次の構成を含む。 (構成1-1)「前記患者カルテ情報生成部は、」「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部」 (構成1-2)「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させ、」「前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」 また、本件訂正発明4は、次の構成を含む。 (構成4-1)「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件を設定し、又は前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示若しくは非表示を変更する処理」 (構成4-2)「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させる処理」、「前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる処理」 イ 優先基礎出願の明細書に記載されている事項 本件特許の優先基礎出願(特願2021-40537号、令和3年3月12日出願。以下、「優先基礎出願」という。)の明細書及び図面には、次の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付与した。 「【図面の簡単な説明】 【0019】 ・・・(途中省略)・・・ 【図11】 選択された模擬患者の病棟設定を行うための病棟設定ページを示す説明図である。 【図12】 病棟内の患者配置場所に関する情報を表示した病棟表示ページを示す説明図である。 ・・・(以下省略)」 「 【0063】 病棟設定ページ203が管理者端末40に表示されると、管理者は当該病棟設定ページ203に於いて、管理者端末40に備えられているキーボードやマウス等の入力手段を用いて、仮想的に設定された病棟の設定を模擬患者毎に行う(S402)。病棟の設定は、例えば、図11に示すように、入院病床階数及び入院病床を設定することにより行う。選択された模擬患者毎に病棟の選択が行われ、病棟設定ページ203に表示されている更新ボタンを選択すると、表示条件設定部114は病棟の選択を受け付ける。さらに、表示条件設定部114は、病棟情報として、選択された模擬患者の模擬患者情報と共に、学習者情報に対応付けて学習者情報データベース122に格納する(S403)。 【0064】 病棟情報が学習者情報データベース122に格納されると、患者カルテ情報生成部113は、病棟情報と、当該病棟情報が対応付けられている模擬患者情報及び学習者情報とに基づき、病棟表示ページ204を管理者端末40に表示する(図12参照)。この病棟表示ページ204には、図12に示すように、ベッドマップ情報が表示される。ここで、ベッドマップ情報とは、仮想的な病棟内に於ける模擬患者の配置場所を表す情報を意味する。また、病棟表示ページ204は、学習者端末30に表示させるようにしてもよい。尚、図12は、病棟内の患者配置場所に関する情報を表示した病棟表示ページ204を示す説明図である。」 「 【0075】 以上のようにして、管理者による患者カルテ情報の表示条件の設定処理を終えると、電子カルテサーバ10は、管理者が設定した表示条件に基づいて、図17に示す様な電子カルテ表示ページ208を学習者の学習者端末30に表示させることができる。すなわち、学習者が学習者端末30によりネットワーク20を介して電子カルテサーバ10にアクセスすると、患者カルテ情報生成部113は、表示条件設定部114が設定・変更した表示条件に適合する模擬患者情報を模擬患者情報データベース121から呼び出し、患者カルテ情報として生成する。さらに、生成した患者カルテ情報が記載された電子カルテ表示ページ208を、学習者端末30のディスプレイ等の表示部34に表示させることができる。電子カルテ表示ページ208では、患者基礎情報の他、診療録、検温表、内服(指示)、注射(指示)、一般指示、検査結果、オーダー歴、看護支援、及び手術同意書等の各種文書やレポートの閲覧が可能となっている。また、学習者には、病棟表示ページ204の閲覧も可能となっている。尚、図17は、学習者端末30に表示される電子カルテ表示ページ208を示す説明図である。」 「 [図:0001415253000003.jpg] 」(【図11】) 「 [図:0001415253000004.jpg] 」(【図12】) ウ 本件特許明細書に記載されている事項 「【0093】 さらに、管理者による患者カルテ情報の表示条件の設定処理に於いては、看護計画の表示又は非表示、及び検査基準値の表示又は非表示を設定することもできる。ここで、検査基準値とは、血液検査等の各種検査に於ける基準値を意味する。これらの設定は、図14に示す模擬患者情報設定ページ203に於いて、看護計画の表示/非表示、及び検査基準値の表示/非表示を設定することにより行う。 【0094】 選択された模擬患者毎に看護計画及び検査基準値の表示又は非表示の選択が行われ、模擬患者情報設定ページ203に表示されている更新ボタンを選択すると、表示条件設定部114は看護計画及び検査基準値の表示又は非表示の選択を受け付ける。さらに、表示条件設定部114はそれぞれ、看護支援(看護計画)に関する情報及び検査結果に関する情報(以下、「看護支援情報等」という。)として、選択された模擬患者の模擬患者情報と共に、学習者情報に対応付けて模擬患者情報データベース121に保存させる。」 「 [図:0001415253000005.jpg] 」(図14) さらに、本件特許明細書には、上記「第2」の3(3)ウ(ア)のとおりの記載がある。 エ 優先権主張についての当審の判断 (ア)構成1-1、構成4-1について 優先基礎出願には、学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行うことについて、【図11】には、「検査正常・異常表示」欄、「看護計画の表示・非表示」欄とともに、チェックボックスがあることが図示されていることから、「使用」欄、「検査正常・異常表示」欄、「看護計画の表示・非表示」欄のそれぞれのチェックボックスにチェックを入れることで、当該項目についての患者カルテ情報を表示可能にすることが看取される。このように、優先基礎出願には、患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更の対象項目として、「検査正常・異常表示」、「看護計画の表示・非表示」が記載されているといえる。 これに対して、本件特許の出願時に、上記ウのとおり、患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更の対象項目として、「検査基準値」が、本件特許明細書に追加された。このため、本件訂正発明1の「前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う」ことの「任意の情報」の対象項目として、「検査基準値」が含まれることとなった。そして、「前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う」ことの対象項目として、「検査正常・異常表示」、「看護計画の表示・非表示」は、本件特許明細書に記載されているものの、「検査基準値」が含まれることは、優先基礎出願に記載された事項の範囲内ではなく、優先基礎出願時の本件特許の優先日時点における技術常識を参酌したとしても、そのことが自明であるとする根拠は見いだせない。 本件訂正発明4についても、同様である。 そうすると、本件訂正発明1及び4は、優先基礎出願に記載されていない事項を含むものである。 (イ)構成1-2、構成4-2について 上記イのとおり、優先基礎出願【0064】には、病棟表示ページ204(ベッドマップ情報)を管理者端末40及び学習者端末30に表示させることは記載されているものの、優先基礎出願には、学習者端末30において、に表示されているベッドマップ情報の中から任意に選択すること、及び、当該選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを表示させることは記載されておらず、また、学習者端末30において、「ベッドマップ情報」及び選択されたものの「模擬患者に関する電子カルテ」を「編集不可能」に表示すること、管理者端末において、選択されたものの「模擬患者に関する電子カルテ」を「編集可能」に表示させることは記載されておらず、本件特許の出願時に追加された事項である。 このため、本件訂正発明1及び4は、優先基礎出願に記載されていない事項を含むものである。 オ 優先権の主張についての小括 上記エのとおりであるから、本件特許の明細書等には、優先基礎出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でないものが含まれることから、優先基礎出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でないものについて、本件特許についての優先権の主張を認めることはできない。 よって、以下の本件訂正発明1、4及びこれらを引用する本件訂正発明2、3、5、6の新規性、進歩性の判断を、現実の出願日である令和3年10月1日に基づいて行う。 (2)引用文献1に記載されている事項、引用文献1に記載されている発明 ア 引用文献1に記載されている事項 引用文献1には、次の事項が記載されている。 (ア)1頁 「 [図:0001415253000006.jpg] 」 (イ)2頁 「 [図:0001415253000007.jpg] 」 (ウ)3頁 「 [図:0001415253000008.jpg] 」 (エ)5頁 「 [図:0001415253000009.jpg] 」 (オ)6頁 「 [図:0001415253000010.jpg] 」 (カ)7頁 「 [図:0001415253000011.jpg] 」 (キ)8頁 「 [図:0001415253000012.jpg] 」 (ク)9頁 「 [図:0001415253000013.jpg] 」 (ケ)10頁 「 [図:0001415253000014.jpg] 」 (コ)15頁 「 [図:0001415253000015.jpg] 」 (サ)16頁 「 [図:0001415253000016.jpg] 」 (シ)19頁 「 [図:0001415253000017.jpg] 」 イ 引用文献1の記載から把握できる事項 上記アから、引用文献1には、次の事項が記載されているといえる。 (ア)上記ア(ア)において、「ログインすると、管理者画面では以下のような画面が表示されます。」との記載を参照すると、「ログイン画面」(上側の画面)において、管理者が「管理者ID」でログインをすると、「管理者画面」(下側の画面)が表示されることが看取される。そして、管理者は、この「管理者画面」の左側に表示されている「ベッドマップ」、「学生ID管理画面」、「患者情報設定画面」、「患者データ取込」、「模擬患者コピー」のボタンを選択することで、これらのボタンに対応する作業を行うことができるものである。 そして、引用文献1は、これらのボタンの機能、操作手順に関する説明が記載されるのみであるから、引用文献1は、管理者用のマニュアルであるといえる。 また、上記ア(ア)の「https://medi-lx.co.jp/site/login.html ※学生のログインURLも同一です URLにアクセスすると、ログイン画面が表示されます。事前に割り当てられたアカウントでログインして下さい。 ※管理者IDの場合は「管理者ID」を、学生用IDの場合は「学生用ID」を選択してください(2021.9~)」 との記載から、引用文献1において、「Medi-EYE」は、クライアント-サーバシステムによって提供されるサービスであり、管理者は、管理者が使用するクライアント端末により、当該サービスを利用することができ、学生は、学生が使用するクライアント端末により、ネットワークを介して、当該サービスを利用することができることが記載されているといえる。 よって、引用文献1には、「管理者が使用するクライアント端末と、学生が使用するクライアント端末から、ネットワークを介してサーバにアクセスをして、ログインすることができるシステム」が記載されているといえる。 (イ)上記ア(コ)には、2つの「エクセルファイルデータ取込」の画面と共に、 「主な機能 ▲1▼ 各事例Excelファイルの取込(CSVへの変換不要)」(「▲1▼」は、丸数の1を表す。以下、同様。) 「・ 「CSVデータの取り込みに成功しました。」と表示された場合は取込に成功しています」 「・ Googleドライブなど、クラウド上で編集したExcelファイルだと外部リンクのデータを持ち合わせたままになってしまうため、取り込み時にエラーが発生いたします。そのため、模擬事例のExcelファイルは必ずローカルフォルダに保存いただき、ローカルフォルダにて編集後、アップロードを行うようにして下さい」 と記載されており、さらに、上記ア(コ)の上側の「エクセルファイルデータ取込」の画面から、管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、アップロード対象のエクセルファイルがアップロードされることが看取される。 そうすると、引用文献1には、管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータに変換されてアップロードされることが記載されているといえる。 また、上記ア(サ)には、上側の画面と共に、 「・ 「CSVデータの取り込みに成功しました。」と表示された場合、「管理画面」→「患者情報設定画面」にて、患者データが取り込めたことを確認できます。必要に合わせて、入床処理をして下さい」 と記載されている。 さらに、上記ア(カ)には、下側の患者情報設定画面と共に、 「・ 「入院病床階数」ボタンにて、対象患者を何階に入院させるか決定できます ・ 学習者管理を容易にするため、領域ごとに入床階を分けることを推奨しております (例:急性期症例は1階、慢性期症例は2階、母性症例は3階、など) ・ プリセットデータは、1階:成人(急性期・慢性期)領域、2階:老年・在宅領域、3階:母性・助産領域、4階:小児領域、5階:精神領域の模擬患者を入床させています ・ 「入院病床」ボタンにて、何号室に入院させるか決定できます (例:101,102,103,104,105,106など) ・ 各操作完了後は、「更新」ボタンを押してください」 と記載されており、また、上記ア(キ)には、上側の画面と共に、 「・ 入院処理が完了すると、「ベッドマップ」に反映されます」 と記載されている。 以上のことから、引用文献1には、「管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータとしてアップロードされ、管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、患者情報設定画面において、患者データが取り込めたことを確認でき、対象患者ごとに、入院病床階数、入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され」ることが記載されているといえる。 (ウ)上記ア(エ)には、学習者管理画面における「主な機能」として「▲2▼ 各学生への閲覧可能カルテの設定」があることが記載されている。また、上記ア(オ)には、上側の学習者管理画面と共に、「・ 「担当患者設定画面」をクリックし、各学習者にどのカルテを開示するか、設定を行って下さい」と記載され、さらに、中側の画面と共に、「・ 「使用」欄の右隣に、「一括使用」ボタンも配置しております (▲□▲を入れると、該当患者をベッドマップに表示) ・ 設定が完了すれば、「更新」ボタンをクリックします」(「▲□▲」は、□の中にレ点。以下、同様。) と記載されている。さらに、上記ア(オ)の中側の患者情報設定画面における各患者データには「入院病床階数」、「入院病床」が含まれることが看取される。 また、上記ア(カ)の上側の患者情報設定画面から、管理者は、患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のそれぞれについて、チェックボックスにチェックを入れることで表示又は非表示の設定を行うことができることが看取される。そして、当該設定は、学生が使用するクライアント端末における表示又は非表示の設定であることは明らかである。 そうすると、引用文献1には、「学生への閲覧可能カルテの設定として、管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることになり、学生への閲覧可能カルテの設定が完了し「更新」ボタンをクリックすることで、「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者をベッドマップに表示することができ、管理者によって、患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられることで表示又は非表示の設定を行われ、学生が使用するクライアント端末において、当該設定に基づいて患者の「検査基準値」、「看護計画」を表示又は非表示に」することが記載されているといえる。 (エ)上記ア(イ)の上側のベッドマップ画面、「・ 患者を選択すると、カルテが開きます」との記載、下側の画面から、引用文献1には、「管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることが記載されているといえる。そして、上記ア(イ)の下側の画面から、表示される模擬患者の患者カルテ情報と併せて、「入院:病室101」が表示されていることが看取される。 さらに、上記ア(イ)の下側の画面において、「データ編集モード」ボタンを押すと、上記ア(ウ)の模擬患者の患者カルテ情報を修正することのできる画面を表示することが看取される。 また、上記ア(オ)の上側の学習者管理画面において「・ 「担当患者設定画面」をクリックし、各学習者にどのカルテを開示するか、設定を行って下さい」として「担当患者設定画面」をクリックすることで、表示される画面において、「・ 「使用」欄の右隣に、「一括使用」ボタンも配置しております(▲□▲を入れると、該当患者をベッドマップに表示)」「・ 設定が完了すれば、「更新」ボタンをクリックします」との記載、及び、上記(ウ)を併せてみると、引用文献1には、「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「データ編集モード」ボタン及び「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され、また、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」ることが記載されているといえる。 (オ)上記ア(オ)の「・ 「担当患者設定画面」をクリックし、各学習者にどのカルテを開示するか、設定を行って下さい」として表示される画面において、「・ 「使用」欄の右隣に、「一括使用」ボタンも配置しております(▲□▲を入れると、該当患者をベッドマップに表示)」との記載から、ベッドマップは学生が使用するクライアント端末に表示されることは明らかである。そうすると、引用文献1には、「各学習者にどのカルテを開示するか設定したことに対応するベッドマップが、学生が使用するクライアント端末に表示され」ることが記載されているといえる。 (カ)上記ア(キ)及び上記ア(ク)から、上記ア(キ)の中段の画面において、設定画面への「設定」ボタンをクリックすると、上記ア(キ)の下側の画面に切り替わり、このとき、「入院・経過日設定画面」をクリックすると、上記ア(ク)の上側の画面に切り替わることが看取される。そして、から、「入院・経過日設定画面」(上記ア(ク)の上側の画面)において、入院開始日時にて、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができることが看取される。 また、上記ア(ケ)には、上側の画面と併せて、 「・ 「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できます(設定日より過去の記録が閲覧できます) ・ 「表示終了日時」では、時間まで設定することが可能です。 例えば9/5 9:00に実習開始となる場合には「表示終了日時」を「9/5 9:00」とすることで、9/5 9:00までのカルテが閲覧できます。 同様に、実習開始4時間後に、再度「表示終了日時」を「9/5 13:00」とすることで、4時間分のカルテが追加で閲覧可能となり、時間経過とともにリアルタイムで患者情報が追加されたように表示させることが可能です ・ 翌日以降、実習経過に合わせカルテ表示範囲(○日○時まで)を変更したい場合、再度「表示終了日時」タブをクリックし、手動にて任意で表示日時を変更して下さい。変更後「更新」ボタンクリックにて設定が反映されます」 と記載されている。 そうすると、引用文献1には、「各学生への閲覧可能カルテの設定のため、管理者によって選択された模擬患者について、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができ、「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できるものであって、変更後「更新」ボタンクリックにて設定が反映され」ることが記載されているといえる。 (キ)上記ア(ウ)には、上側の画面であって、上記ア(イ)の上側の「ベッドマップ」画面で選択された患者のカルテが開いた状態で、「データ編集モード」ボタンが選択された画面と併せて、 「・ データ編集後、「更新」をクリックし、編集が反映されるようデータ更新を行ってください ・ 「データ編集モード」をクリックすると、web上にてデータの編集が可能となります」と記載されており、さらに、上記ア(ウ)には、下側の画面と併せて、 「・ データ更新が完了すれば、「データを更新しました。」と表示されます ・ 「データ編集モード解除」をクリックすると、通常のデータ閲覧モードとなります」 と記載されている。 そして、これらの記載を上記(エ)と併せてみると、引用文献1には、「「ベッドマップ」画面において、模擬患者を選択すると、管理者が使用する端末に、当該模擬患者のカルテが表示され、当該画面に表示される「データ編集モード」ボタンをクリックすると、模擬患者のカルテ情報をweb上にて編集が可能になり、編集終了後、「更新」ボタンをクリックすると、編集が反映される」ことが記載されているといえる。 ウ 引用文献1に記載されている発明 上記イから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。 )が記載されているといえる。 「 管理者が使用するクライアント端末と、学生が使用するクライアント端末から、ネットワークを介してサーバにアクセスをして、ログインすることができるシステムであって、 管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータとしてアップロードされ、管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、患者情報設定画面において、患者データが取り込めたことを確認でき、対象患者ごとに、入院病床階数、入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され、 学生への閲覧可能カルテの設定として、管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることになり、学生への閲覧可能カルテの設定が完了し、「更新」ボタンをクリックすることで、「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者をベッドマップに表示することができ、管理者によって、患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられることで表示又は非表示の設定を行われ、学生が使用するクライアント端末において、当該設定に基づいて患者の「検査基準値」、「看護計画」を表示又は非表示にされ、 各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「データ編集モード」ボタン及び「入院:病室101」とともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され、また、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ、 各学生への閲覧可能カルテの設定のため、管理者によって選択された模擬患者について、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができ、「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できるものであって、変更後「更新」ボタンクリックにて設定が反映され、 「ベッドマップ」画面において、模擬患者を選択すると、管理者が使用する端末に、当該模擬患者のカルテが表示され、当該画面に表示される「データ編集モード」ボタンをクリックすると、模擬患者のカルテ情報をweb上にて編集が可能になり、編集終了後、「更新」ボタンをクリックすると、編集が反映され、 各学習者にどのカルテを開示するか設定したことに対応するベッドマップが、学生が使用するクライアント端末に表示される システム。」 (3)本件訂正発明1について ア 対比 (ア)引用発明1の「学生が使用するクライアント端末」、「管理者が使用するクライアント端末」、「ネットワーク」は、それぞれ、本件訂正発明1の「学習者端末」、「管理者端末」、「ネットワーク」に相当する。 (イ)引用発明1の「模擬事例の患者データ」は、本件訂正発明1の「模擬患者情報」に相当し、引用発明1の「模擬事例のExcelファイル」は、模擬事例には、患者データ情報が含まれる点で、本件訂正発明1の「表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むもの」に相当する。そして、引用発明1において、「管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択すること」は、管理者による意思に基づく行動であるから、この選択により、「管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータとしてアップロードされ」ることは、「サーバ」が模擬事例のExcelファイルを変換したCSVデータを取得することである。そうすると、引用発明1のサーバにおける当該CSVデータを取得する手段は、本件訂正発明1の「表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得するデータファイル取得部」に相当する。 (ウ)引用発明1のCSVデータに基づく「対象患者」は、本件訂正発明1の「模擬患者」に相当する。そして、引用発明1の「管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、患者情報設定画面において、患者データが取り込めたことを確認でき、対象患者ごとに、入院病床階数、入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され」ることは、これにより、患者データとして取り込まれ、「入院病床階数」、「入院病床」が決定された模擬事例の患者データが、サーバに記憶されることから、引用発明1における当該記憶する手段は、本件訂正発明1の「前記データファイル取得部で取得された前記データファイルの前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を格納する記憶部」に相当する。 (エ)引用発明1において、「管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示される」ことは、学生への閲覧可能カルテの設定のために行われる点で、本件訂正発明1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」に相当する。 また、引用発明1の「検査基準値表示」、「看護計画表示」は、本件訂正発明1の「患者カルテ情報」に相当し、引用発明1の「患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられること」による「表示又は非表示」の設定は、これにより、「学生が使用するクライアント端末において、当該設定に基づいて患者の「検査基準値」、「看護計画」を表示又は非表示にされ」る点で、本件訂正発明1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」に相当する。 そして、引用発明1において、これらの設定機能はサーバにより提供されることは明らかであるから、引用発明1の当該機能を実現するための手段は、本件訂正発明1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部」に相当する。 このとき、引用発明1の設定機能を実現するための手段によって、「管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示される」こと、「患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられること」による「表示又は非表示」の設定することは、学習者毎に、この設定に基づいた患者カルテ情報の表示が可能になるという点で、本件訂正発明1の「前記表示条件設定部は、前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する」ことに相当する。 (オ)引用発明1の「学生によってベッドマップに表示された中から模擬患者が選択され」ることで、「学生が使用するクライアント端末に表示され」る「当該模擬患者の患者カルテ情報」は、上記(ウ)のとおり、ベッドマップがサーバに記憶されており、当該ベッドマップにも基づき表示されることから、本件訂正発明1の「前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報」に相当する。 そして、引用発明1において、「管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」ることにより、アップロードされたCSVデータに含まれる「模擬事例の患者データ」は更新され、更新された当該「模擬事例の患者データ」に基づいて、模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」とともに表示されるようになり、管理者による当該更新は、各学習者への閲覧可能カルテの設定のために行われることから、引用発明1の当該更新する手段は、本件訂正発明1の「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を生成する患者カルテ情報生成部」と、「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を得る手段」である点で共通する。 (カ)引用発明1は「学生への閲覧可能カルテの設定として、管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることになり、学生への閲覧可能カルテの設定が完了し「更新」ボタンをクリックすることで、「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者をベッドマップに表示することができ」るものであって、引用発明1の「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることにおいて、「ベッドマップ」を「表示」することは、本件訂正発明1の「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を」「前記管理者端末に表示させ」ることに相当し、そして、引用発明1の「管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択する」ことは、本件訂正発明1の「前記ベッドマップ情報を」「前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合」に相当し、さらに、引用発明1の「当該模擬患者の患者カルテ情報が、「データ編集モード」ボタン及び「入院:病室101」とともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることは、「「ベッドマップ」画面において、模擬患者を選択すると、管理者が使用する端末に、当該模擬患者のカルテが表示され、当該画面に表示される「データ編集モード」ボタンをクリックすると、模擬患者のカルテ情報をweb上にて編集が可能にな」ることから、本件訂正発明1の「選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを」「前記管理者端末に編集可能に表示させる」ことに相当する。そして、引用発明1における、この模擬患者の患者カルテ情報の表示は、「各学生への閲覧可能カルテの設定のため」に行われることから、引用発明1の「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることは、上記(オ)の「更新する手段」によって実現されることは明らかである。 そうすると、引用発明1の当該更新する手段が「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「データ編集モード」ボタン及び「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることとすることは、本件訂正発明1の「前記患者カルテ情報生成部」が「前記学習者情報に対応付けられた前記患者カルテ情報生成部は、前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させるものである」と、「患者カルテ情報を得る手段」が「前記学習者情報に対応付けられた前記患者カルテ情報を得る手段は、前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させるものである」との点で共通する。 (キ)引用発明1のシステムにおける「各学習者にどのカルテを開示するか設定したことに対応するベッドマップが、学生が使用するクライアント端末に表示される」機能は、上記(カ)のとおり、更新する手段の機能といえるから、引用発明1の「各学習者にどのカルテを開示するか設定したことに対応するベッドマップが、学生が使用するクライアント端末に表示され」ることは、本件訂正発明1の「前記患者カルテ情報生成部」が「前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させるもの」であることと、「患者カルテ情報を得る手段」が「前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に表示させるもの」である点で共通する。 (ク)引用発明1の「サーバ」は、上記(イ)~(キ)の機能を提供することは明らかであるから、「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき」、「前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を「生成」する」ものではない点で相違するものの、本件訂正発明1の「教育用電子カルテサーバ」に相当する。 (ケ)引用発明1の「システム」は、管理者と学生がログインすることができるものであって、上記(ア)~(ク)のとおりであるから、後述する相違点は別にして、本件訂正発明1の「学習者端末と、管理者端末と、前記学習者端末及び前記管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバと、のみを備える教育用電子カルテシステム」に相当する。 (コ)上記(ア)~(ケ)のとおりであるから、本件訂正発明1と引用発明1とは、次の点で、一致又は相違する。 <一致点> 学習者端末と、管理者端末と、前記学習者端末及び前記管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバと、のみを備える教育用電子カルテシステムに於いて、 前記教育用電子カルテサーバは、 表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得するデータファイル取得部と、 前記データファイル取得部で取得された前記データファイルの前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を格納する記憶部と、 前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部と、 前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を得る手段と、を備え、 前記表示条件設定部は、 前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納するものであり、 前記患者カルテ情報を得る手段は、 前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させるものであり、 前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に表示させるものである教育用電子カルテシステム。 <相違点> (相違点1) 患者カルテ情報を得る手段が、本件訂正発明1では、「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき」、「前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報」を「生成する」「患者カルテ情報生成部」であるのに対し、引用発明1では、「管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」ることにより、模擬患者のカルテ情報を「更新」する手段である点。 (相違点2) 本件訂正発明1は、「前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に「編集不可能」に表示させ」るものであるのに対し、引用発明1では、「各学習者にどのカルテを開示するか設定したことに対応するベッドマップが、学生が使用するクライアント端末に表示され」るものであって、クライアント端末において、「ベッドマップ」が「編集不可能」に表示されるか不明である点。 (相違点3) 本件訂正発明1は、「表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」ものであるのに対し、引用発明1は、「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「データ編集モード」ボタン及び「入院:病室101」とともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され、また、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」るものの、模擬患者に関する電子カルテが、「表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に」表示されるものであるのか定かではなく、また、「編集不可能」であるか定かではない点。 イ 相違点の判断 (ア)相違点1について 引用発明1の「管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、対象患者ごとに入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され」ることは、この対象患者である模擬患者ごとに入院病床を決定し、「更新」ボタンを押すことで、模擬患者の情報をベッドマップと関連付けることであって、本件訂正発明1の模擬患者の患者カルテ情報を「生成」することに対応するものであるといえる。 また、引用文献1は、上記(2)ア(キ)から、中側の画面において、ある患者の「設定」を選択すると、下側の画面のとおりの「ベットマップ」ボタンが選択可能な状態で表示されることが看取される。 そして、引用発明1のシステムは、「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」る機能を有していることから、引用発明1において、模擬患者ごとに入院病床を決定するときに、模擬患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定を併せて行う構成とすることで、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。 (イ)相違点2、3について 相違点2、3をまとめて判断する。 引用文献1には、上記(2)ア(シ)のとおり、「Q.9 管理者アカウントにアクセスする教員の数に制限はありますか。また、学生は何名までアクセス可能ですか?」と記載されており、上記(2)ア(ア)のとおり「https://medi-lx.co.jp/site/login.html ※学生のログインURL も同一です」、「URL にアクセスすると、ログイン画面が表示されます。事前に割り当てられたアカウントでログインして下さい。」と記載されており、「Medi-EYE」で提供されるサービスは、管理者である教員と学生が利用可能なものである。そして、引用発明1は、管理者によって、学生ごとに表示又は非表示の設定や模擬患者の患者カルテ情報を編集する機能を有していることを勘案すると、引用発明1において、管理者である教員が、教育目的で学生が使用するクライアント端末に表示させる模擬患者の患者カルテ情報を設定又は編集するものであることは明らかであるから、学生によって模擬患者の患者カルテ情報を設定不可能又は編集不可能に表示することは明らかである。 そうすると、引用発明1において、ベッドマップを表示する際に「編集不可能」に表示する構成となっていることは明らかであるから、上記相違点2は文言上の差違にすぎず、仮に相違点であるとしても、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 さらに、上述したとおり、引用発明1において、学生も管理者と同じシステムにログインすることから、「ベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、管理者が使用するクライアント端末に表示され」る機能は学生による利用が制限される機能ではないことは明らかである。 引用文献1は、管理者が使用するクライアント端末の機能として、「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「データ編集モード」ボタン及び「入院:病室101」とともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され」を有し、このとき、模擬患者の患者カルテ情報を編集するためには、「データ編集モード」をクリックする必要があることを勘案すると、引用発明1のシステムにおいて、「学生によってベッドマップに表示された中から模擬患者が選択されると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示され」構成とすることは、当業者が容易になし得たものであり、このときに、クライアント端末において、「模擬患者の患者カルテ情報」を「編集不可能」に表示させる構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。そうすると、引用発明1に基づいて、上記相違点3の構成とすることは当業者が容易に想到することができたものである。 (ウ)効果について そして、上記相違点1~3の構成により奏する効果は、当業者の予測し得た範囲内の事項である。 ウ 特許権者の主張について (ア)主張の概要 A 主張B-1(相違点の認定について) 引用文献1には、ベッドマップ画面に表示される模擬患者のベッドマップが、学生毎に選択された模擬患者のものであるのか明示されておらず、明らかではない。 本件発明と引用発明1とを対比すると、以下の点で相違する。 <相違点1> 患者カルテ情報を得る手段が、本件発明では、表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、記憶部に格納された模擬患者情報及び患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された模擬患者情報に基づき、学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を生成する患者カルテ情報生成部であるのに対し、 引用発明1では、管理者が患者毎の「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられることにより、模擬患者のカルテ情報を「更新」する手段である点。 <相違点2> ベッドマップ情報及び電子カルテを管理者端末に表示させる手段が、本件発明では、学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を管理者端末に表示させ、表示されたベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを管理者端末に編集可能に表示させる患者カルテ情報生成部であるのに対し、 引用発明1では、学習者情報に対応付けられたものであるのか不明のベッドマップ情報を管理者端末に表示させ、表示されたベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテであって、学習者情報に対応付けられたものであるのか不明のものを管理者端末に編集可能に表示させる手段である点。 <相違点3> ベッドマップ情報及び電子カルテを学習者端末に表示させる手段が、本件発明では、学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を学習者端末に編集不可能に表示させ、表示されたベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを学習者端末に編集不可能に表示させる患者カルテ情報生成部であるのに対し、 引用発明1では、そのような手段が不明である点。 B 主張B-2(主張B-1の相違点1、2の判断について) 引用文献1は、管理者用のマニュアルであり、操作手順は、模擬患者のカルテ情報の編集、学生のアカウントの割り付け及び各学生への閲覧可能カルテの設定である。その一方、引用文献1には、各模擬患者のベッドマップ情報を、あらかじめ各学生のアカウントに対応付けておくことについては開示がなく、ベッドマップ画面に表示される各模擬患者のベッドマップが、あらかじめ学生毎に選択された模擬患者に関するものであると当業者が認識するのは困難である。 本件発明は、相違点2の構成を採用することで、同じ模擬患者情報から生成される患者カルテ情報であっても、学習者毎に異なる電子カルテを閲覧させることが可能になり、各学習者の多様なニーズや学習進度などに合わせて、各学習者に柔軟に対応させた効果的な教育及び訓練の実施を可能にするという本件発明特有の効果を奏する。 単にサーバに格納されている模擬患者の模擬患者情報を呼び出し編集するだけでは、模擬患者情報の編集は可能であっても、各学習者に閲覧させる電子カルテは同一内容となり、本件発明と同様の効果を得ようとすると、学習者に対応させた新たな模擬患者情報を含むデータファイルをサーバの記憶部に格納させる必要が生じ、教育用電子カルテシステムの運用の利便性の低下を招く。 C 主張B-3(主張B-1の相違点3の判断について) 引用文献1には、学生によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることについて記載はなく、管理者のクライアント端末に患者カルテ情報を表示させるのは、患者カルテ情報の編集を行うためであり、患者カルテ情報の編集は、各学生の実習の進捗や学習内容、学習の程度等に応じて、各学生に応じた患者カルテ情報に変更するためである。 そのため、引用文献1に接した当業者は、引用文献1の開示内容から、ベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が表示される機能が、学生が使用するクライアント端末にも利用されるものであると認識することは困難である。 (イ)主張に対する当審の判断 事案に鑑み、主張B-1~主張B-3をまとめて判断する。 引用文献1には、上記「第5」の2-1(2)アのとおりの事項が記載されている。 そして、上記「第5」の2-1(3)イ(イ)、(ウ)のとおり、引用文献1には、「管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータとしてアップロードされ、管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、患者情報設定画面において、患者データが取り込めたことを確認でき、対象患者ごとに、入院病床階数、入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され」ること、「学生への閲覧可能カルテの設定として、管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることになり、学生への閲覧可能カルテの設定が完了し「更新」ボタンをクリックすることで、「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者をベッドマップに表示することができ、管理者によって、患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられることで表示又は非表示の設定を行われ、学生が使用するクライアント端末において、当該設定に基づいて患者の「検査基準値」、「看護計画」を表示又は非表示に」することが記載されているといえる。 このため、特許権者の「引用文献1には、ベッドマップ画面に表示される模擬患者のベッドマップが、学生毎に選択された模擬患者のものであるのか明示されておらず、明らかではない。」との主張に理由はない。 このため、特許権者が相違点であると主張する「<相違点1>」、「<相違点2>」についても、理由はない。 そして、特許権者が相違点であると主張する「<相違点3>」のうち、「学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を学習者端末に」「表示させ、表示されたベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に」との点が引用発明1にはないとの主張については、上記「第5」の2-1(3)イ(オ)のとおりであり、「編集不可能」との主張については、上記イ(イ)のとおりであるから、特許権者の当該主張に理由はない(以上、主張B-1)。 そして特許権者による相違点の判断についての主張は、上述したとおり、前提を欠くものであるから、当該主張に理由はない(理由B-2、B-3)。 エ 小括 以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件訂正発明2について 引用発明1において、「管理者によって選択された模擬患者について、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができ、「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できる」ことにおける、「実際の学習年月日に合わせて」変更される「事例の入院年月日」は、本件訂正発明2の「仮想的に定められた日時」に相当し、引用発明1の、管理者によって選択された模擬患者の患者カルテ情報は、本件訂正発明2の「前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる任意の情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むもの」に相当し、引用発明1の、「各学生への閲覧可能カルテの設定のため」、「「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できる」ことは、本件訂正発明2の「前記表示条件設定部は、前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定」することに相当する。 また、引用文献1において、上記(2)ア(キ)から、中側の画面において、ある患者の「設定」を選択すると、下側の画面のとおりの「入院・経過日設定画面」ボタンが選択可能な状態で表示されることが看取されることから、引用発明1に基づいて、本件訂正発明2の「前記患者カルテ情報生成部は、前記表示条件設定部により設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報を生成する」とすることは、当業者が容易になし得た事項にすぎない。 よって、本件訂正発明2は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件訂正発明3について 引用発明1の、模擬患者の患者カルテ情報を編集することのできる「データ編集モード」を実現する手段は、本件訂正発明3の「前記患者カルテ情報生成部により生成される前記患者カルテ情報の編集を行う患者カルテ情報編集部」に相当する。 また、引用発明1の「編集終了後、「更新」ボタンをクリックすると、編集が反映される」ことは、本件訂正発明3の「前記患者カルテ情報編集部は、当該患者カルテ情報編集部により編集された新たな患者カルテ情報に基づき、前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報を更新する」ことに相当する。 よって、本件訂正発明3は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件訂正発明4~6について 「教育用電子カルテプログラム」の発明である本件訂正発明4~6は、「教育用電子カルテシステム」の発明である本件訂正発明1~3と、カテゴリーが異なるのみである。 そうすると、実質的に上記(3)~(5)で検討したとおりであるから、本件訂正発明4~6に係る発明は、システムの発明である引用発明1をプログラムの発明に書き換えた発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2-2 優先権主張が認められる場合 上記2-1(1)で優先権の主張は認められないとしたが、ここでは、念のため、優先権が認められるとして検討をする。 (1)引用文献2に記載されている事項、引用文献2に記載されている発明 ア 引用文献2に記載されている事項 引用文献2には、次の事項が記載されている。 (ア)1頁 「 [図:0001415253000018.jpg] 」 (イ)2頁 「 [図:0001415253000019.jpg] 」 (ウ)3頁 「 [図:0001415253000020.jpg] 」 (エ)4頁 「 [図:0001415253000021.jpg] 」 (オ)5頁 「 [図:0001415253000022.jpg] 」 (カ)6頁 「 [図:0001415253000023.jpg] 」 (キ)7頁 「 [図:0001415253000024.jpg] 」 (ク)8頁 「 [図:0001415253000025.jpg] 」 (ケ)13頁 「 [図:0001415253000026.jpg] 」 (コ)14頁 「 [図:0001415253000027.jpg] 」 (サ)16頁 「 [図:0001415253000028.jpg] 」 イ 引用文献2の記載から把握できる事項 上記アから、引用文献2には、次の事項が記載されているといえる。 (ア)上記ア(ア)において、「ログインすると、管理者画面では以下のような画面が表示されます。」との記載を参照すると、「ログイン画面」(上側の画面)において、管理者が事前に割り当てられたアカウントでログインをすると、「管理者画面」(下側の画面)が表示されることが看取される。そして、管理者は、この「管理者画面」の左側に表示されている「ベッドマップ」、「学習者管理画面」、「患者情報設定画面」、「患者データ取込」のボタンを選択することで、これらのボタンに対応する作業を行うことができるものである。 そして、引用文献2は、これらのボタンの機能、操作手順に関する説明が記載されるのみであるから、引用文献2は、管理者用のマニュアルであるといえる。 また、上記ア(ア)の「https://medi-lx.co.jp/site/login.html URLにアクセスすると、ログイン画面が表示されます。事前に割り当てられたアカウントでログインして下さい。」との記載、上記ア(サ)の 「Q9 管理者アカウントにアクセスする教員の数に制限はありますか。また、学生は何名までアクセス可能ですか? A 基本的に管理者アカウントは共有利用を想定しているため、管理者アカウントの利用制限はございません。 同時多数のアクセスが可能です。 学生も同様に、利用者数制限はないため、数百名同時アクセスが可能です。 先生方は、1つの管理者アカウントを共有いただく形となりますので、領域ごとにご利用の病棟を事前にお決めいただくなどして、各模擬患者の入院・経過日設定等、模擬患者に対する捜査が重複なさらないように工夫いただければ幸いです。」 との記載から、引用文献2には、アカウントを有する管理者と学生は、「Medi-EYE」にログイン可能であることが記載されているといえ、「Medi-EYE」は、クライアント-サーバシステムによって提供されるサービスであり、管理者は、管理者が使用するクライアント端末により、当該サービスを利用することができ、学生は、学生が使用するクライアント端末により、ネットワークを介して、当該サービスを利用することができることが記載されているといえる。 よって、引用文献2には、「管理者が使用するクライアント端末と、学生が使用するクライアント端末から、ネットワークを介してサーバにアクセスをして、ログインすることができるシステム」が記載されているといえる。 (イ)上記ア(ケ)には、2つの「エクセルファイルデータ取込」の画面と共に、 「主な機能 ▲1▼ 各事例Excelファイルの取込(CSVへの変換不要)」 「・ 「CSVデータの取り込みに成功しました。」と表示された場合は取込に成功しています」 「・ Googleドライブなど、クラウド上で編集したExcelファイルだと外部リンクのデータを持ち合わせたままになってしまうため、取り込み時にエラーが発生いたします。そのため、模擬事例のExcelファイルは必ずローカルフォルダに保存いただき、ローカルフォルダにて編集後、アップロードを行うようにして下さい」 と記載されており、さらに、上記ア(ケ)の上側の「エクセルファイルデータ取込」の画面から、管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、アップロード対象のエクセルファイルがアップロードされることが看取される。 そうすると、引用文献2には、管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータに変換されてアップロードされることが記載されているといえる。 また、上記ア(コ)には、上側の画面と共に、 「・ 「CSVデータの取り込みに成功しました。」と表示された場合、「管理画面」→「患者情報設定画面」にて、患者データが取り込めたことを確認できます。必要に合わせて、入床処理をして下さい」 と記載されている。 さらに、上記ア(オ)には、下側の患者情報設定画面と共に、 「・ 「入院病床階数」ボタンにて、対象患者を何階に入院させるか決定できます ・ 学習者管理を容易にするため、領域ごとに入床階を分けることを推奨しております (例:急性期症例は1階、慢性期症例は2階、母性症例は3階、など) ・ プリセットデータは、1階:成人(急性期・慢性期)領域、2階:老年・在宅領域、3階:母性・助産領域、4階:小児領域、5階:精神領域の模擬患者を入床させています ・ 「入院病床」ボタンにて、何号室に入院させるか決定できます(例:101,102,103,104,105,106など) ・ 各操作完了後は、「更新」ボタンを押してください」 と記載されており、また、上記ア(カ)には、上側の画面と共に、 「・ 入院処理が完了すると、「ベッドマップ」に反映されます」と記載されている。 以上のことから、引用文献2には、「管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータとしてアップロードされ、管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、患者情報設定において、患者データが取り込めたことを確認でき、対象患者ごとに、入院病床階数、入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され」ることが記載されているといえる。 (ウ)上記ア(ウ)には、学習者管理画面における「主な機能」として「▲2▼ 各学生への閲覧可能カルテの設定」があることが記載されている。また、上記ア(エ)には、学習者管理画面と共に、「・ 「患者設定画面」をクリックし、各学習者にどのカルテを開示するか、設定を行って下さい」と記載され、さらに、中側の画面と共に、「・ 「使用」欄の右隣に、「一括使用」ボタンも配置しております ・ 設定が完了すれば、「更新」ボタンをクリックします」 と記載されている。さらに、上記ア(エ)の中側の患者情報設定画面における各患者データには「入院病床階数」、「入院病床」が含まれることが看取される。 また、上記ア(オ)の上側の患者情報設定画面から、管理者は、患者ごとに「検査正常・異常表示」欄、「看護計画の表示・非表示」欄のそれぞれについて、チェックボックスにチェックを入れることで表示又は非表示の設定を行うことができることが看取される。そして、当該設定は、学生が使用するクライアント端末における表示又は非表示の設定であることは明らかである。 そうすると、引用文献2には、「学生への閲覧可能カルテの設定として、管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることになり、学生への閲覧可能カルテの設定が完了し「更新」ボタンをクリックすることで、「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者をベッドマップに表示することができ、管理者によって、患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられることで表示又は非表示の設定を行われ、学生が使用するクライアント端末において、当該設定に基づいて患者の「検査基準値」、「看護計画」を表示又は非表示に」することが記載されているといえる。 (エ)上記ア(イ)の上側のベッドマップ画面、「・ 患者を選択すると、カルテが開きます」との記載、下側画の面から、引用文献2には、「管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることが記載されているといえる。そして、上記ア(イ)の下側の画面から、表示される模擬患者の患者カルテ情報と併せて、「入院:病室101」が表示されていることが看取される。 また、上記ア(エ)の「・ 「患者設定画面」をクリックし、各学習者にどのカルテを開示するか、設定を行って下さい」として表示される画面において、「・ 「使用」欄の右隣に、「一括使用」ボタンも配置しております」、「・ 設定が完了すれば、「更新」ボタンをクリックします」との記載、及び、上記Cを併せてみると、引用文献2には、「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され、また、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査正常・異常表示」欄、「看護計画の表示・非表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」ることが記載されているといえる。 (オ)上記ア(エ)の上側の画面及び「・「患者設定画面」をクリックし、各学習者にどのカルテを開示するか、設定を行ってください」との記載、学習者に開示されるカルテは、患者によって選択されることは明らかであるから、引用文献2には、「学生によって模擬患者が選択されると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示され」ることが記載されているといえる。 (カ)上記ア(カ)及び上記ア(キ)から、上記ア(カ)の中段の画面において、設定画面への「設定」ボタンをクリックすると、上記ア(カ)の下側の画面に切り替わり、このとき、「入院・経過日設定画面」をクリックすると、上記ア(キ)の上側の画面に切り替わることが看取される。そして、から、「入院・経過日設定画面」(上記ア(キ)の上側の画面)において、入院開始日時にて、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができることが看取される。 また、上記ア(ク)には、上側の画面と併せて、 「・ 「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できます(開始日より過去の記録が閲覧できます) ・ 「表示終了日時」では、時間まで設定することが可能です。 例えば9/5 9:00に実習開始となる場合には「表示終了日時」を「9/5 9:00」とすることで、9/5 9:00までのカルテが閲覧できます。 同様に、実習開始4時間後に、再度「表示終了日時」を「9/5 13:00」とすることで、4時間分のカルテが追加で閲覧可能となり、時間経過とともにリアルタイムで患者情報が追加されたように表示させることが可能です ・ 翌日以降、実習経過に合わせカルテ表示範囲(○日○時まで)を変更したい場合、再度「表示終了日時」タブをクリックし、手動にて任意で表示日時を変更して下さい。変更後「更新」ボタンクリックにて設定が反映されます」 と記載されている。 そうすると、引用文献2には、「各学生への閲覧可能カルテの設定のため、管理者によって選択された模擬患者について、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができ、「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できるものであって、変更後「更新」ボタンクリックにて設定が反映され」ることが記載されているといえる。 ウ 引用文献2に記載されている発明 上記イから、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。 「 管理者が使用するクライアント端末と、学生が使用するクライアント端末から、ネットワークを介してサーバにアクセスをして、ログインすることができるシステムであって、 管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択することで、管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータとしてアップロードされ、管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、患者情報設定画面において、患者情報設定画面において、患者データが取り込めたことを確認でき、対象患者ごとに入院病床を決定することができ、入院病床階数、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され、 学生への閲覧可能カルテの設定として、管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることになり、学生への閲覧可能カルテの設定が完了し、「更新」ボタンをクリックすることで、「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者をベッドマップに表示することができ、管理者によって、患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられることで表示又は非表示の設定を行われ、学生が使用するクライアント端末において、当該設定に基づいて患者の「検査基準値」、「看護計画」を表示又は非表示にされ、 各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され、また、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査正常・異常表示」欄、「看護計画の表示・非表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ、 学生によって模擬患者が選択されると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示され、 各学生への閲覧可能カルテの設定のため、管理者によって選択された模擬患者について、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができ、「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できるものであって、変更後「更新」ボタンクリックにて設定が反映される、 システム。」 (2)本件訂正発明1について ア 対比 (ア)引用発明2の「学生が使用するクライアント端末」、「管理者が使用するクライアント端末」、「ネットワーク」は、それぞれ、本件訂正発明1の「学習者端末」、「管理者端末」、「ネットワーク」に相当する。 (イ)引用発明2の「模擬事例の患者データ」は、本件訂正発明1の「模擬患者情報」に相当し、引用発明2の「模擬事例のExcelファイル」は、模擬事例には、患者に関する情報が含まれる点で、本件訂正発明1の「表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むもの」に相当する。そして、引用発明2において、「管理者が、「エクセルファイル取込開始」ボタンを選択すること」は、管理者による意思に基づく行動であるから、この選択により、「管理者が使用するクライアント端末から、サーバに模擬事例のExcelファイルがCSVデータとしてアップロードされ」ることは、「サーバ」が模擬事例のExcelファイルを変換したCSVデータを取得することである。そうすると、引用発明2のサーバにおける当該CSVデータを取得する手段は、本件訂正発明1の「表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得するデータファイル取得部」に相当する。 (ウ)引用発明2のCSVデータに基づく「対象患者」は、本件訂正発明1の「模擬患者」に相当する。そして、引用発明2の「管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、患者情報設定画面において、患者データが取り込めたことを確認でき、対象患者ごとに、入院病床階数、入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され」ることは、これにより、患者データとして取り込まれ、「入院病床階数」、「入院病床」が決定された模擬事例の患者データが、サーバに記憶されることから、引用発明2における当該記憶する手段は、本件訂正発明1の「前記データファイル取得部で取得された前記データファイルの前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を格納する記憶部」に相当する。 (エ)引用発明2において、「管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示される」ことは、学生への閲覧可能カルテの設定のために行われる点で、本件訂正発明1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」に相当する。 また、引用発明2の「検査正常・異常」、「看護計画」は、本件訂正発明1の「患者カルテ情報」に相当し、引用発明2の「患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられること」による「表示又は非表示」の設定は、これにより、「学生が使用するクライアント端末において、当該設定に基づいて患者の「検査正常・異常」、「看護計画」を表示又は非表示にされ」る点で、本件訂正発明1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定」に相当する。 そして、引用発明2において、これらの設定機能はサーバにより提供されることは明らかであるから、引用発明2の当該機能を実現するための手段は、本件訂正発明1の「前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部」に相当する。 このとき、引用発明2の設定機能を実現するための手段によって、「管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示される」こと、「患者ごとに「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスにチェックが入れられること」による「表示又は非表示」の設定することは、学習者毎に、この設定に基づいた患者カルテ情報の表示が可能になるという点で、本件訂正発明1の「前記表示条件設定部は、前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納する」ことに相当する。 (オ)引用発明2の「学生によってベッドマップに表示された中から模擬患者が選択され」ることで、「学生が使用するクライアント端末に表示され」る「当該模擬患者の患者カルテ情報」は、上記Cのとおり、ベッドマップがサーバに記憶されており、当該ベッドマップにも基づき表示されることから、本件訂正発明1の「前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報」に相当する。 そして、引用発明2において、「管理者が使用するクライアント端末に表示され、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査正常・異常表示」欄、「看護計画の表示・非表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」ることにより、アップロードされたCSVデータに含まれる「模擬事例の患者データ」は更新され、更新された当該「模擬事例の患者データ」に基づいて、模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」とともに表示されるようになり、管理者による当該更新は、各学習者への閲覧可能カルテの設定のために行われることから、引用発明2の当該更新する手段は、本件訂正発明1の「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を生成する患者カルテ情報生成部」と、「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を得る手段」である点で共通する。 (カ)引用発明2は「学生への閲覧可能カルテの設定として、管理者によって、学習者毎に設定されたカルテの開示のために、患者情報設定画面において、「入院病床階数」、「入院病床」を含む模擬事例の患者データの「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示されることになり、学生への閲覧可能カルテの設定が完了し「更新」ボタンをクリックすることで、「使用」欄のチェックボックスにチェックが入れられた患者をベッドマップに表示することができ」るものであって、引用発明2の「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることにおいて、「ベッドマップ」を「表示」することは、本件訂正発明1の「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を」「前記管理者端末に表示させ」ることに相当し、そして、引用発明2の「管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択する」ことは、本件訂正発明1の「前記ベッドマップ情報を」「前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合」に相当する。そして、引用発明2における、この模擬患者の患者カルテ情報の表示は、「各学生への閲覧可能カルテの設定のため」に行われることから、引用発明2の「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることは、上記(オ)の「更新する手段」によって実現されることは明らかである。 そうすると、引用発明2の当該更新する手段が「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され」ることは、本件訂正発明1の「前記患者カルテ情報生成部」が「前記学習者情報に対応付けられた前記患者カルテ情報生成部は、前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に表示させるものである」と、「患者カルテ情報を得る手段」が「前記学習者情報に対応付けられた前記患者カルテ情報を得る手段は、前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に表示させるものである」との点で共通する。 (キ)引用発明2の「学生によって模擬患者が選択されると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、学生が使用するクライアント端末に表示され」る機能は、上記(カ)のとおり、更新する手段の機能といえるから、本件訂正発明1の「前記患者カルテ情報生成部」が「前記表示条件に基づき、前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に編集不可能に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させるもの」であることと、「患者カルテ情報を得る手段」が「前記表示条件に基づき、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に表示させるもの」である点で共通する。 (ク)引用発明2の「サーバ」は、上記(イ)~(キ)の機能を提供することは明らかであるから、「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき」、「前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を「生成」する」ものではない点で相違するものの、本件訂正発明1の「教育用電子カルテサーバ」に相当する。 (ケ)引用発明2の「システム」は、管理者と学生がログインすることができるものであって、上記(ア)~(ク)のとおりであるから、後述する相違点は別にして、本件訂正発明1の「学習者端末と、管理者端末と、前記学習者端末及び前記管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバと、のみを備える教育用電子カルテシステム」に相当する。 (コ)上記(ア)~(ケ)のとおりであるから、本件訂正発明1と引用発明2とは、次の点で、一致又は相違する。 <一致点> 学習者端末と、管理者端末と、前記学習者端末及び前記管理者端末にネットワークを介して接続された教育用電子カルテサーバと、のみを備える教育用電子カルテシステムに於いて、 前記教育用電子カルテサーバは、 表計算ソフトウェアのデータ形式で記述されたデータファイルであって模擬患者情報を含むものを、前記管理者端末からの要求に応じて取得するデータファイル取得部と、 前記データファイル取得部で取得された前記データファイルの前記模擬患者情報、及び少なくとも前記模擬患者情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた患者のベッドマップ情報を格納する記憶部と、 前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報の表示条件の設定、及び前記患者カルテ情報に含まれる任意の情報の表示又は非表示の変更を行う表示条件設定部と、 前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき、前記記憶部に格納された前記模擬患者情報及び前記患者のベッドマップ情報を呼び出し、さらに呼び出された前記模擬患者情報に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報であって、前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報を得る手段と、を備え、 前記表示条件設定部は、 前記ベッドマップ情報に対応付けられた前記模擬患者情報であって、学習者毎に選択された患者のものを、前記学習者の学習者情報に対応付けて前記記憶部に格納し、 前記患者カルテ情報を得る手段は、 前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に表示させるものであり、 前記表示条件に基づき、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に表示させるものである教育用電子カルテシステム。 <相違点> (相違点1) 患者カルテ情報を得る手段が、本件訂正発明1では、「前記表示条件設定部により設定又は変更された表示条件に基づき」、「前記患者のベッドマップ情報を含む患者カルテ情報」を「生成する」「患者カルテ情報生成部」であるのに対し、引用発明2では、「管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」ることにより、模擬患者のカルテ情報を「更新」する手段である点。 (相違点2) 本件訂正発明1は、「前記学習者情報に対応付けられた前記ベッドマップ情報を前記管理者端末に表示させ、表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記管理者端末に編集可能に表示させ」るのに対し、引用発明2は、「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され」るものであって、このとき、患者カルテ情報を「編集可能」に表示するものではない点。 (相違点3) 本件訂正発明1は、「前記学習者情報に対応付けられたベッドマップ情報を前記学習者端末に「編集不可能」に表示させ」るのに対し、引用発明2では、そのような構成ではない点。 (相違点4) 本件訂正発明1は、「表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に編集不可能に表示させる」ものであるのに対し、引用発明2は、「選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを前記学習者端末に表示させる」ために、「表示された前記ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合」ではなく、電子カルテを「編集不可能」に表示しているか定かではない点。 イ 相違点の判断 (ア)相違点1について 引用発明2の「管理者は、アップロードされたCSVデータに基づいて、対象患者ごとに入院病床を決定することができ、入院処理が完了し、「更新」ボタンを押すと、「ベッドマップ」に反映され」ることは、この対象患者である模擬患者ごとに入院病床を決定し、「更新」ボタンを押すことで、模擬患者の情報をベッドマップと関連付けることであって、本件訂正発明1の模擬患者の患者カルテ情報を「生成」することに対応するものであるといえる。 また、引用文献2は、上記(1)ア(カ)から、中側の画面において、ある患者の「設定」を選択すると、下側の画面のとおりの「ベットマップ」ボタンが選択可能な状態で表示されることが看取される。 そして、引用発明2のシステムは、「各学生への閲覧可能カルテの設定のために、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択すると、当該模擬患者の患者カルテ情報が、「入院:病室101」ともに、管理者が使用するクライアント端末に表示され、管理者が、患者ごとの「使用」欄、「検査基準値表示」欄、「看護計画表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定が行われた後、「更新」ボタンを押すと、設定内容が受け付けられ」る機能を有していることから、引用発明2において、模擬患者ごとに入院病床を決定するときに、模擬患者ごとの「使用」欄、「検査正常・異常表示」欄、「看護計画の表示・非表示」欄のチェックボックスへのチェックによる表示又は非表示の設定を併せて行う構成とすることで、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。 (イ)相違点2について 引用文献2には、上記(1)ア(サ)のとおり、「Q.9 管理者アカウントにアクセスする教員の数に制限はありますか。また、学生は何名までアクセス可能ですか?」と記載されており、引用発明2は、管理者である教員によって、学生ごとに表示又は非表示の設定や模擬患者の患者カルテ情報を編集する機能を有しているといえることを勘案すると、引用発明2において、管理者である教員が、管理者によってベッドマップに表示された中から模擬患者を選択したときに、教育目的で学生が使用するクライアント端末に表示させる模擬患者の患者カルテ情報を編集可能に表示することで、上記相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 (ウ)相違点3、4について 相違点3、4をまとめて判断する。 引用文献2には、上記(1)ア(サ)のとおり、「Q.9 管理者アカウントにアクセスする教員の数に制限はありますか。また、学生は何名までアクセス可能ですか?」と記載されていることから、学生と教員は、それぞれのクライアント端末から、同じログイン画面でログインするものと解釈される。そして、引用発明2は、上記イのとおり、管理者である教員によって、学生ごとに表示又は非表示の設定や模擬患者の患者カルテ情報を編集する機能を有しているといえることから、引用発明2において、学生の使用するクライアント端末において、管理者固有の機能(編集機能等)を除き、Medi-EYEのサービスにおいても、学生も管理者と同じ機能を利用できることは明らかである。 そうすると、学生が使用するクライアント端末においても、ベッドマップ情報を表示させ、ベッドマップ情報の中から任意に選択された場合に、選択されたものの模擬患者に関する電子カルテを表示させる構成とすることは当業者が容易になし得たものであり、このとき、「ベッドマップ情報」及び「電子カルテ情報」を編集不可能に表示することも、当業者が容易になし得たものである。 (ウ)効果について そして、上記相違点の構成により奏する効果は、当業者の予測し得た範囲内の事項である。 ウ 小括 よって、本件訂正発明1は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件訂正発明2について 引用発明2において、「管理者によって選択された模擬患者について、実際の学習年月日に合わせて、事例の入院年月日を変更することができ、「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できる」ことにおける、「実際の学習年月日に合わせて」変更される「事例の入院年月日」は、本件訂正発明2の「仮想的に定められた日時」に相当し、引用発明2の、管理者によって選択された模擬患者の患者カルテ情報は、本件訂正発明2の「前記記憶部に格納されている前記模擬患者情報は、当該模擬患者情報に含まれる任意の情報に対応付けられ、かつ、仮想的に定められた日時情報を含むもの」に相当し、引用発明2の、「各学生への閲覧可能カルテの設定のため」、「「表示終了日時」設定により、カルテ閲覧可能範囲を設定できる」ことは、本件訂正発明2の「前記表示条件設定部は、前記日時情報に含まれる日時とは異なる日時を設定」することに相当する。 また、引用文献2において、上記(1)ア(カ)から、中側の画面において、ある患者の「設定」を選択すると、下側の画面のとおりの「入院・経過日設定画面」ボタンが選択可能な状態で表示されることが看取されることから、引用発明2に基づいて、本件訂正発明2の「前記患者カルテ情報生成部は、前記表示条件設定部により設定された日時に基づき、前記学習者端末に表示させる患者カルテ情報を生成する」とすることは、当業者が容易になし得た事項にすぎない。 よって、本件訂正発明2は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件訂正発明4及び5について 「教育用電子カルテプログラム」の発明である本件訂正発明4及び5に係る発明は、「教育用電子カルテシステム」の発明である本件訂正発明1及び2と、カテゴリーが異なるのみである。 そうすると、実質的に上記(2)及び(3)で検討したとおりであるから、本件訂正発明4及び5に係る発明は、システムの発明である引用発明2をプログラムの発明に書き換えた発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 2-3 理由2のまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正発明1~6は、優先権の主張は認められないことから、引用発明1又は引用発明1をプログラムの発明に書き換えた発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。仮に、優先権の主張が認められるとしても、本件訂正発明1、2、4、5は、引用発明2又は引用発明2をプログラムの発明に書き換えた発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 まとめ 本件訂正後の請求項1~6に係る発明は、引用発明1又は引用発明1をプログラムの発明に書き換えた発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正後の請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項に規定に違反してなされたものである。 また、本件訂正後の請求項1、2、4、5係る発明は、引用発明2又は引用発明2をプログラムの発明に書き換えた発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正後の請求項1、2、4、5に係る特許は、特許法第29条第2項に規定に違反してなされたものである。 したがって、本件訂正後の請求項1~6に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、上記の結論のとおり決定する。

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2022-701284

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