2025-700246
振動試験装置及びその故障予知方法
- 審判番号
- 2025-700246
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-206718外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7542792
- 請求日
- 2025年02月28日
- 審決日
- 2025年05月28日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】エミック株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人エスエス国際特許事務所
- 【異議申立人】IMV 株式会社
- 【異議申立人代理人】松永 充弘
- 分類
- P1651.121-Y (G01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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特許第7542792号(以下「本件特許」という。)に係る出願(以下「本願」という。)は、令和元年9月10日に出願した特願2019-164467の一部を令和5年12月7日に新たな特許出願としたものであって、令和6年8月23日にその請求項1~16に係る発明について特許権の設定登録がされ、同年9月2日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1~16に係る特許に対して、令和7年2月28日に特許異議申立人 IMV株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1~16に係る発明(それぞれ以下「本件発明1」ないし「本件発明16」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(請求項1及び10におけるA~Jは、分説するために当審にて付した分説番号である。また、以下、分説された各構成単位について、該分説番号を用いて「構成A」などということがある。引用発明等についても同様である。)。
「【請求項1】A 被試験体が搭載される可動部と、B 透磁性を有する磁路部材と、該磁路部材に流れる磁束を発生させる磁束発生手段とを有する固定部と、を備える振動試験装置であって、C 前記可動部の加速度、速度、変位の少なくともいずれかを測定する複数の1軸センサと、続きを表示(全46行)D 前記複数の1軸センサからの出力に基づき、前記振動試験装置の故障予知を行う演算装置と、をさらに備え、E 前記演算装置は、前記複数の1軸センサからの出力に基づき、前記可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて、前記故障予知を行うことを特徴とするF 振動試験装置。【請求項2】前記演算装置は、前記複数の1軸センサからの出力に基づき、前記可動部の変位量及び振動数の少なくともいずれかを測定し、該可動部の変位量及び振動数の少なくともいずれかに基づいて、前記故障予知を行うことを特徴とする請求項1に記載の振動試験装置。【請求項3】前記演算装置は、前記複数の1軸センサからの出力に基づき、加振力係数を算出し、該加振力係数に基づいて、前記故障予知を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の振動試験装置。【請求項4】前記可動部が、駆動コイルを備え、前記駆動コイルは、前記被試験体に所定パターンの振動を与えるために必要な振動信号を振動制御装置から送られるように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動試験装置。【請求項5】前記演算装置は、前記振動信号と、前記複数の1軸センサからの出力と、に基づき、前記振動試験装置の周波数応答を測定し、該周波数応答の共振周波数を算出し、該共振周波数に基づいて、前記故障予知を行うことを特徴とする請求項4に記載の振動試験装置。【請求項6】前記演算装置は、前記振動試験装置の故障が予知された場合に、警報を発するように構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の振動試験装置。【請求項7】前記可動部を可動状態で保持する可動部懸架用バネをさらに備え、前記複数の1軸センサを、前記可動部懸架用バネの鉛直方向上方に配置することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の振動試験装置。【請求項8】前記複数の1軸センサを、前記可動部において前記被試験体が載置される面以外の位置に配置することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の振動試験装置。【請求項9】前記複数の1軸センサを、前記可動部の側面において前記被試験体が載置される面寄りに配置することを特徴とする請求項8に記載の振動試験装置。【請求項10】G 被試験体が搭載される可動部と、H 透磁性を有する磁路部材と、該磁路部材に流れる磁束を発生させる磁束発生手段とを有する固定部と、を備える振動試験装置の故障予知方法であって、I 前記可動部のクロストークを複数の1軸センサを用いて測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて、故障予知を行うことを特徴とするJ 故障予知方法。【請求項11】前記可動部の変位量及び振動数の少なくともいずれかを測定し、該可動部の変位量及び振動数の少なくともいずれかに基づいて、前記故障予知を行うことを特徴とする請求項10に記載の故障予知方法。【請求項12】加振力係数を算出し、該加振力係数に基づいて、前記故障予知を行うことを特徴とする請求項10または11に記載の故障予知方法。【請求項13】前記可動部が有する駆動コイルに入力する振動信号と、前記可動部の振幅とから、前記振動試験装置の周波数応答を測定し、該周波数応答の共振周波数を算出し、該共振周波数に基づいて、前記故障予知を行うことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の故障予知方法。【請求項14】前記複数の1軸センサを、前記可動部を可動状態で保持する可動部懸架用バネの鉛直方向上方に配置することを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の故障予知方法。【請求項15】前記複数の1軸センサを、前記可動部において前記被試験体が載置される面以外の位置に配置することを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の故障予知方法。【請求項16】前記複数の1軸センサを、前記可動部の側面において前記被試験体が載置される面寄りに配置することを特徴とする請求項15に記載の故障予知方法。」
第3 異議申立理由の概要
申立人は、証拠として以下の甲第1号証ないし甲第21号証を提出し、以下の異議申立理由によって、本件発明1ないし16に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。
1 異議申立理由 特許法第29条第2項(進歩性違反)について
本件発明1ないし16は、甲第2号証に記載された発明、及び甲第1~17号証に例示される周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定により取消されるべきである。
2 証拠方法
甲第14号証の1:Wayne Tustin,「A Minimal-Mathematics Introduction to the Fundamentals of Random Vibration & Shock Testing Measurement, Analysis and Calibration As applied to HALT, ESS, HASS & COTS in the fields of aeronautical, automotive, commercial, seismic, and shipboard design and production」, Equipment Reliability Institute,2005年
甲第16号証の1:「Mechanical vibration - Evaluation of machine vibration by measurements on non-rotating parts - Part 1:General guidelines ISO 10816-1 First edition 1995-12-15」,国際標準化機構,1995年12月15日
ここで、甲18号証は、甲第13号証が1972年に公知となったことを示すためのものであり、甲第19号証は、一般的な「予知」の意味について示すためのものであり、甲第20号証は、分割出願である本件特許に係る出願の分割の際のもとの特許出願に係る特許第7405393号に対する特許異議申立における「異議の決定」の写しであり、甲21号証は、本件特許に対する特許異議申立書について、特許第7405393号に対する特許異議申立書から変更した主な部分を赤色の文字で示したものである。
第4 異議申立理由についての判断
1 甲第1~17号証の記載事項
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(1)甲第1号証
本願の出願前である平成7年12月31日に公開された、「動電式振動試験装置-特性表示方法 JIS B 7758-1995(ISO 5344:1980), 財団法人 日本規格協会,平成7年12月31日」(甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同様。)
ア 「0. 序文この規格は,動電式振動発生機を使った試験装置の特性表示方法に関するもので,試験装置を選択するときの指針として使用できる。・・・試験装置は、この規格に含まれている動電式振動発生機及び電力増幅器のシステム,制御装置,補助振動台(ISO6070参照)並びに将来規格化される他の装置から成り立つ。」(第1頁)
イ 「1. 適用範囲動電式振動試験装置は,非常に多くの方法で評価することができる多くの特性をもっている。出所(製造業者)が異なる試験装置の比較を可能にするために,この規格は次の事項を規定する。(a)特性表(b)特性を得るための規定の方法この規格は,試験装置の特性表示に用いる三つの表示級を規定する。(a)1級(high level)(b)2級(medium level)(c)3級(minimum level)この規格は,各表示級に対して,製造業者が仕様書及びカタログに明示すべき特性の表を規定する。」(第1~2頁)
ウ 「6. 製造業者が示す特性この規格で採用する三つの表示級は,装置の品質又は大きさには関係がない。例えば,小形で普通の品質の動電式振動発生機の場合に,1級を必要としてもよいし,一方,大形の高品質の装置の場合に,2級で十分な場合もある。表示級は,通常は使用条件によって決まる。この規格で規定する特性は,別の製造業者から,又は別の時期に取得した電力増幅器と動電式振動発生機とを組み合わせて用いるときに有効である。表1~3に〇印で示した各表示級で要求される特性を示す。各表示級で要求されない特性(○印が付いていない特性)については,製造業名と使用者との合意によって使用することができる。備考 照会及び注文のときに,そのような特別の特性を示す必要性については,その費用が高くなることがあるので,十分考慮しなければならない。7.,8.及び9.では,表1~3に示した特性について,表示級について触れずに規定する。幾つかの特性の測定方法を附属書Bに規定する。」(第5~6頁)
エ 「表1 動電式振動発生機・・・振動台横振動・・・」(第6頁)
オ 「7. 動電式振動発生機振動台及び加振端付の動電式振動発生機(励振機)の原理図を附属書A(図7,8及び9)に規定する。」(第9頁)
カ 「7.2.6 振動台横振動製造業者は,中央の取付点における軸方向振動に対する横方向振動の比を示す二つの曲線によって,振動台の横振動を,振動数の関数として示さなければならない。横方向振動は,トラニオン軸に平行な軸及び直交する軸の方向の振動とする。中央の点が不都合な場合は,基準点の位置を示す。無負荷及び試験負荷m2の状態で,できれば定格加振力で測定し,使用した測定方法を明示しなければならない。他の試験負荷mt又は中央から離れた点における測定のような,補足的な横振動の測定は,製造業者と使用者との合意によって,実施してもよい。」(第11頁)
キ 「[図:0001423549000001.jpg]」(第12頁)
ク 「[図:0001423549000002.jpg]」(第12頁)
ケ 「7.5.1 内蔵ピックアップ動電式振動発生機にピックアップが組み込まれている場合は,製造業者は次のデータを示さなければならない。- 校正- 直線性続きを表示(全11行)- 振動数応答曲線- 横方向応答- 熱安定性(過渡的及び永久的)ピックアップが加速度ピックアップのときは,その固有振動数を示さなければならない。ピックアップの固有振動数に対する動電式振動発生機の最高使用振動数の比は0.2を超えてはならない。試験負荷がピックアップの校正精度に与える影響について示さなければならない。備考 このピックアップは,動電式振動発生機の性能の測定には使用してはならない。」(第16頁)
コ 「図7 振動台付きの動電式振動発生機の代表的な配置[図:0001423549000003.jpg]」(第31頁)
サ 「備考 a1及びa2の測定に同一の加速度ピックアップを使用する場合は,比a1/a2の計算によって校正係数が相殺されるので,校正係数を知る必要はない。」(第34頁)
シ 「J:ピックアップ(内蔵加速度ピックアップ若しくは外付加速度ピックアップ,又は速度ピックアップとして使われる可動コイル)」(第35頁)
ス 「B.4.2.2 試験条件振動台又は加振端に,直接又は短く固い取付具を介して,(内蔵加速度ピックアップとは別の)加速度ピックアップを固定する。備考1. 加速度ピックアップの固有振動数に対する共振振動数の比は0.2未満とする。その場合,加速度ピックアップの位相誤差は,可動部共振振動数の決定に影響を与えないことが認められている。2. mt=0は仮定であるから,測定装置の質量を最小にして次の事項を明示することが望ましい。- mtの正確な値- 振動台又は加振端へのmtの取付け状態参考 負荷時に振動台又は加振端に加速度ピックアップを固定できない場合は,負荷の上面中央に固定する。」(第36頁)
セ 「B.5 加速度ノイズの測定方法加速度ノイズは,加速度ピックアップを無負荷の振動台又は加振端の中央に取り付けた測定によって決定する。コイルが通電状態かどうか,冷却装置が作動しているかどうかなどの測定条件を示さなければならない。」(第36頁)
ソ 「測定に使用するピックアップの一つは,絶対変位s(基準位置をs0とする)又は変位s-s0に,他の一つは,動電式振動発生機の軸方向に伝わる力Fに比例する電圧が得られるものが望ましい。s(F)又は(s-s0)(F)は,Fを変化可能な範囲で,1サイクル変化させることによって得られる。」(第37頁)
(2)甲第2号証
ア 本願の出願前である平成29年4月6日に公開された、特表2017-509893号公報(甲第2号証)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【特許請求の範囲】【請求項1】振動試験システムであって、動電型加振器に作動的に結合された電力増幅器を含み、前記加振器がペイロード支持構造に機械的に結合された振動可能なアーマチュアを含んでいる、振動試験装置と、続きを表示(全30行)ペイロードの機械的励起中、経時的に前記動電型加振器の1つ以上の動作パラメータのそれぞれの値を測定し記録するように構成されたデータロガーと、前記1つ以上の動作パラメータのロギングされた値を読取り処理するように構成されているプロセッサまたはコントローラと、を備え、前記プロセッサが、前記1つ以上の動作パラメータの前記記録された値に基づいて、アーマチュア力サイクル累積数を決定し、前記アーマチュア力サイクル累積数および前記振動試験装置の既定の寿命に基づいて、動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算し、前記振動試験システムのディスプレー上で、前記振動試験装置の前記残存寿命または前記消費寿命を標示する、ように構成されている、振動試験システム。・・・【請求項9】前記動電型加振器の前記1つ以上の動作パラメータが、前記振動可能なアーマチュア上に組付けられた加速度計によって測定される前記動電型加振器の加速度、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれかに記載の振動試験システム。【請求項10】前記プロセッサがさらに、前記1つ以上の動作パラメータの前記記録された値に基づいて前記加振器の基準挙動を定期的に計算する、ように構成されており、前記基準挙動には、基本共振周波数などの前記加振器の周波数応答特性が含まれる、請求項1~9のいずれかに記載の振動試験システム。・・・【請求項13】振動試験装置の残存寿命または消費寿命を決定し表示する方法において、a)ペイロードの振動励起中に動電型加振器の経時的な1つ以上の動作パラメータのそれぞれの値を測定し記録するステップと、b)前記1つ以上の動作パラメータの前記記録された値に基づいて、前記動電型加振器の振動可能なアーマチュア上のアーマチュア力サイクル累積数を決定するステップと、c)前記アーマチュア力サイクル累積数および前記振動試験装置の既定の寿命に基づいて、前記動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算するステップと、d)オペレータ可読ディスプレー上で、前記振動試験装置の前記残存寿命および/または前記消費寿命を標示するステップと、を含む方法。」
(イ)「【0005】アーマチュアコイルならびにそのフレームおよび軸受などの振動試験装置の可動要素、ならびにローラー(誘導システム)は、動電型加振器が作動させられるにつれて、摩耗、引裂および疲労を受ける。しかしながら、摩耗および引裂の量は、動電型加振器上のペイロードにより生成される力に大きく左右され、そのため、ペイロードの僅かな増加さえ、加振器の摩耗および引裂の劇的な増加および振動試験装置の残存寿命の対応する短縮を導くことになる。振動試験装置の動電型加振器は、修理可能に/オーバーホールされるように設計されており、一定の保守間隔で予めプログラミングされた計画的保守システムを通して作動的状態に保たれている。この保守間隔の長さは、典型的に、振動試験装置のタイプ/型式および該当する顧客の予想される使用パターンから推定される。【0006】このような振動試験システム(VTS)の残存寿命および利用可能性の決定は、これまで、該当する振動試験システムの挙動を反応的に観察することに基づく保守体制により達成されてきた。この反応性観察体制は、計画的保守間隔の間に発生する振動試験システムの機能不良またはエラーが、動電型加振器の機能における可聴的、触覚的または可視的な異常などの明らかなエラーが顕著にならない限り、オペレータまたはユーザーにより検出も報告もされていなかったことを意味している。【0007】固定されたまたは予めプログラミングされた保守間隔は、既存の振動試験装置およびシステムの最適な使用および運用について複数の問題を導く。これらの問題の1つは、振動試験装置の使用パターンが変化して、保守間隔の長さを決定するために利用される使用パターンから逸脱することである。顧客は、例えば、新規のまたは改良された機器を振動試験する必要性から、予想されていたものよりも高いペイロードを振動試験装置の動電型加振器に対して適用する場合がある。顧客は同様に、機器生産の増大またはより綿密な振動試験プロトコルの導入に起因して予想されたものよりもはるかに長い時間的期間にわたり動電型加振器を作動させる場合もある。振動試験装置の可動構成部品、特に動電型加振器上の摩耗および引裂の量はアーマチュアの力に非常に大きく左右されることから、予想された使用パターンからのこれらのタイプの逸脱は、一方では、予想されたものよりはるかに短い寿命、ひいては使用中の保守間隔の間における振動試験装置の故障を導く可能性がある。他方では、加振器の荷重および随伴するアーマチュア力が予想されたものよりも小さい場合、計画的保守間隔間の時間は不必要に短い状態となり、振動試験システムおよび振動試験装置の動作に関連するユーザー資源およびコストを浪費することになる。【0008】したがって振動試験システムおよび振動試験装置のユーザーに対して、振動試験装置の残存寿命および/または消費寿命を推定しさまざまなタイプの関係要員にそれを知らせることのできるメカニズムを提供することが、極めて望ましいと思われる。ユーザーには、保守要員およびシステムオペレータが含まれ得る。【0009】振動試験システムおよび振動試験装置の残存寿命および/または消費寿命についての情報の利用可能性は、予想外の摩耗および引裂誘発型の故障を防止することによって生産計画を改善し、不必要でかつ無駄の多い保守またはメンテナンス活動を取り除くと考えられる。」
(ウ)「【発明の概要】【0012】本発明の第一の態様は、振動試験装置を含む振動試験システムに関する。振動試験装置は、動電型加振器に作動的に結合された電力増幅器を含み、ここで加振器がペイロード支持構造に機械的に結合された振動可能なアーマチュアを含んでいる。データロガーが、ペイロードの機械的励起中、経時的に動電型加振器の1つ以上の動作パラメータのそれぞれの値を測定し記録するように構成されている。振動試験システムのプロセッサまたはコントローラが、1つ以上の動作パラメータのロギングされた値を読取り処理し、かつ1つ以上の動作パラメータの記録された値に基づいて、アーマチュア力サイクルの累積数を決定するように構成されている。プロセッサはさらに、アーマチュア力サイクル累積数および振動試験装置の既定の寿命に基づいて、動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算するように構成されている。プロセッサは、振動試験システムのディスプレー上で、振動試験装置の残存寿命または消費寿命を標示するように構成されている。」
(エ)「【0018】代替的には、振動可能なアーマチュア上の時間的に変動する力の直接的測定は、振動可能なアーマチュア構造の好適な場所(単複)上に1つ以上の加速度計を設置することによって実施され得る。したがって、この実施形態においては、動電型加振器の動作パラメータの少なくとも1つに、加振器上に組付けられた加速度計(単複)により測定されるアーマチュアの加速度が含まれる。」
(オ)「【0022】振動試験システムのプロセッサはさらに、1つ以上の動作パラメータの記録値に基づいて加振器の基準挙動を定期的に計算するように構成され得、この基準挙動には、基本共振周波数などの加振器の周波数応答特性が含まれる。プロセッサは、規則的な時間的間隔でディスプレー上に計算された基準挙動を標示するように適応され得る。この実施形態は、保守間隔の間の加振器の性能を監視し、場合によって基準挙動内の振動を検出することによって加振器の来たるべき摩耗および引裂故障について早期警告を発するための追加のツールとして使用され得る。」
(カ)「【0029】図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動試験システム100の一部を形成する振動試験装置の簡略化された概略図を示す。振動試験装置は、信号および電力ケーブル121を介して動電型加振器104に対し作動的に結合された、別個のハウジングまたはケーシング内に組付けられた電力増幅器108を含む。動電型加振器104は、ペイロード支持構造107に対して機械的に結合された振動可能なアーマチュア105を含む。ペイロード支持構造は、振動試験下にある機器または構成部品であるペイロード106を保持する。振動試験装置は、本発明のこの実施形態において、電力増幅器108の据置型ハウジングまたはフレームに組付けられているディスプレー113を含む。ディスプレー113は、システム100の他の実施形態における別個のまたは遠隔配設のディスプレー、または電力増幅器108の据置型ハウジングまたはフレーム上に組付けられたディスプレーと遠隔ディスプレーの組合せを含み得る。データロガー(図示せず)が電力増幅器108のハウジングの内部に組付けられ、加振器の作動中、すなわちペイロード106の機械的励起の間、経時的に動電型加振器104の複数ある動作パラメータのそれぞれの値を測定し記録するように構成されている。動作パラメータには、好ましくは、最後の保守/オーバーホール以降の累積作動時間の計算を可能にするため、動電型加振器104の作動時間および日付が含まれる。さらに、振動可能なアーマチュア105の可動コイル(図示せず)内を流れる電流のRMS電流値およびピーク電流値も同様に、作動期間中記録/ロギングされる。さらに、動電型加振器104が界磁コイルを含んでいることを条件として、動電型加振器104の界磁コイル(図示せず)の直流電流値および/または直流電圧値も同様に、測定され記録される。これらのRMSおよびピーク電流値は、電力増幅器108の内部に組付けられた好適な電流センサーかまたは動電型加振器104内に組付けられた電流センサーにより直接的または間接的に測定され得る。この目的で、ホール効果素子および誘導交流電流センサーなどのさまざまな周知のタイプの電流センサーを利用することができる。【0030】当業者であれば、アーマチュアコイルおよび界磁コイル内の電流の経時的なそれぞれの測定およびロギングにより、振動可能なアーマチュア105上のアーマチュア力を計算することが可能になるということを認識するだろう。界磁コイル内の電流は、内部でアーマチュアが可動な形で懸架されている磁場の磁場強度を決定する。したがって、動電型加振器104のアーマチュア105により生成される力は、アーマチュアコイル内部を流れる電流、アーマチュアコイル導体の長さおよびアーマチュアコイルが中で運動している磁場の強度に正比例している。」
イ 甲第2号証に記載された発明
上記アの記載事項を総合すると、甲第2号証には、次の2つの発明(以下、「甲2発明1」及び「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。(a~jは、本件特許の請求項1、10のA~Jに対応させて当審にて付した。)
(ア)甲2発明1
「a 振動試験下にある機器または構成部品であるペイロード106を保持するペイロード支持構造107と、(段落【0029】)b ペイロード支持構造107に対して機械的に結合された振動可能なアーマチュア105を含み、界磁コイルを含む動電型加振器104と、を備える振動試験装置であって、(段落【0029】)c 振動可能なアーマチュア構造の好適な場所上に1つ以上の加速度計を設置し、動電型加振器の動作パラメータの少なくとも1つに、加振器上に組付けられた加速度計により測定されるアーマチュアの加速度が含まれ、(段落【0018】)d プロセッサまたはコントローラが、1つ以上の動作パラメータの記録された値に基づいて、アーマチュア力サイクルの累積数を決定し、アーマチュア力サイクル累積数および振動試験装置の既定の寿命に基づいて、動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算する、(段落【0012】)f 振動試験装置。(段落【0029】)」
(イ)甲2発明2
「g 振動試験下にある機器または構成部品であるペイロード106を保持するペイロード支持構造107と、(段落【0029】)h ペイロード支持構造107に対して機械的に結合された振動可能なアーマチュア105を含み、界磁コイルを含む動電型加振器104と、を備える振動試験装置の残存寿命または消費寿命を決定する方法であって、(【請求項13】、段落【0029】)i 振動可能なアーマチュア構造の好適な場所上に1つ以上の加速度計を設置し、動電型加振器の動作パラメータの少なくとも1つに、加振器上に組付けられた加速度計により測定されるアーマチュアの加速度が含まれ、1つ以上の動作パラメータの記録された値に基づいて、アーマチュア力サイクルの累積数を決定し、アーマチュア力サイクル累積数および振動試験装置の既定の寿命に基づいて、動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算する、(段落【0012】、【0018】)j 振動試験装置の残存寿命または消費寿命を決定する方法。(【請求項13】)」
(3)甲第3号証
本願の出願前である昭和55年3月5日に公開された、特開昭55-31466号公報(甲第3号証)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「従来この種の振動発生機においては、往復振動可能なように振動体を支持する支持装置としてベアリングが使用されてきたが、横振れ防止拘束荷重を大とすることが困難であり、ベアリング寿命も短いという欠点があり、さらに致命的欠点として電気的入力信号波形に対して振動体が忠実に往復振動せず、微小びびり振動が該波形に付加した如き振動を行なう性質を有していた。そこで、支持装置に寿命の長いローラを用いる案も考え得るが、このローラをU字状ばねで保持する等の保持機構を要し、所定周波数域ではU字状ばねが共振して短期破断するためにたびたび部品交換等の修理を要する欠点があり実現が困難であった。さらに振動体に設けられたコイルに上記入力信号としての交番電流を送るために、振動体と固定の外容器体との間を良電導材質部材にて連結せねばならないがU字状ばねやコードでは極めて短期間で破断されるという欠点があった。本発明はこのような欠点を悉く解決し、寿命が長く耐久性に富み、構造が簡素であり、電気的入力信号波形に忠実に振動体が往復振動し、かつ振動体の往復振動時の機械的抵抗が小さい振動発生機の提供を目的とする。」(第1頁下右欄第16行~第2頁左上欄第18行)
イ 「第1図において振動発生機の全体を例示し、空気バネ( 1 )… …等の防振部材を介して床面(2)に載置される基台(3)は2個の支持アーム(4)(4)を有し、この支持アーム(4)(4)に両端が揺動自在に枢支されたトラニオン軸(5)によって、励磁コイル(6)が巻設された外容器体(7)が、第2図に示すように例えば水平方向に傾動可能に枢支され、この外容器体(7)の内部に一軸心(8)方向に往復動可能なように振動体(9)の大半乃至全体が内有され、具体的には、上方の支持装置(10)、下方の支持装置(11)及び下端の空気バネ(12)によって、該振動体(9)は第1図では上下方向に、第2図では左右水平方向に、夫々往復振動するように支持されている。(13)は被試験物であって、固定具(14)又はジョイント(16)と水平テ─ ブル(16)等を介して、振動体(9)の取付面(17)に着脱自在に取付けられる。」(第2頁左上欄第20行~右上欄第15行)
ウ 「しかして、励磁コイル(6)により形成される磁場に、振動体(9)に取付けられたコイル(43)が配設され、このコイル(43)内に交番電流が流れることによって、振動体(9)が矢印(A)(B)方向に振動する力が発生する。」(第3頁左下欄第20行~右上欄第3行)
エ 「そしてローラ(18)により振動体(9)が軸心(8)と直交方向に横振れするのを強大な力で防止出来ると共に、このローラ(18)の外径はベアリング等に比較して著しく大きく出来るために転動部分の面圧が低く、寿命が著しく延長されたのである。そして、揺動腕(19)の中間部にてこのローラ(18)は確実に保持されて、不意に脱落するような虞は全くなくなった。さらに弾性ゴム体(30)(31)(29)の弾性変形により振動体(9)が振動保持されるから、がたつきや焼付の原因となる摺動枢支部が全く存在せず、この点からも寿命が延長された。さらに、この支持装置(10)は摩擦抵抗が小であるから、入力電気信号に対して極めて忠実に振動体(9)が往復振動して、所望の振動が再現される。さらに、弾性ゴム体(30)(31)(29)の絶縁性を好適に利用して揺動腕(19)を強度部材兼電導部材として、構造の簡素化と振動体(9)の軽量化を図り、かつ電線等の切損事故を防止して、振動発生機としての寿命の延長を図ることが出来た。」(第4頁右上欄第13行~左下欄第11行)
オ 「[図:0001423549000004.jpg]」
カ 「[図:0001423549000005.jpg]」
(4)甲第4号証
本願の出願前である平成28年2月4日に公開された、国際公開第2016/017744号(甲第4号証)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「[0080] 計測部30は、振動テーブル400に取り付けられた3軸振動センサ(3軸振動ピックアップ)32を備えており、3軸振動センサ32が出力する信号(例えば、速度信号や加速度信号)を増幅及びデジタル変換して制御部20へ送信する。なお、3軸振動センサ32は、X軸、Y軸及びZ軸方向の振動を独立に検出する。また、計測部30は、3軸振動センサ32の信号に基づいて、振動テーブル400の振動状態を示す各種パラメータ( 例えば、速度、加速度、振幅、パワースペクトル密度等)を計算して、制御部20へ送信する。制御部20は、インターフェース部50を介して入力された加振波形や計測部30からの信号に基づいて、各加振ユニット100、200及び300の駆動コイル(後述)に入力する交流電流の大きさや周波数を制御することにより、所望の振幅及び周波数で振動テーブル400を加振することができる」
イ 「図27[図:0001423549000006.jpg]」
(5)甲第5号証
本願の出願前である平成28年8月22日に公開された、「動電式振動試験装置-性能特性 JIS B 7758:2016,一般財団法人 日本規格協会,平成28年8月22日」(甲第5号証)には、次の事項が記載されている。
ア 「1 適用範囲この規格は,電力増幅器及び動電式振動発生機(以下,振動発生機という。)を組み合わせた動電式振動試験装置(以下,振動試験装置という。),並びに電力増幅器及び振動発生機の性能特性及び試験方法について規定する。また,製造業者が提示することが可能な機能特性の項目を参考として附属書A に示す。機器使用者又は機器仕様書の作成者は,この規格の情報を使用することで,用途に適した振動試験装置を選択することができる。」(第1頁)
イ 「3.3動電式振動試験装置(system)振動発生機と電力増幅器とを組み合わせたもので,加振力を発生する装置。」(第2頁)
ウ 「3.9振動数範囲,fmin~fmax(frequency range)振動試験装置及び各機器の能力を表す変数( 変位,速度,加速度など)の定格性能が達成できる振動数の範囲。注記1 ある変数に対応する振動数範囲は,他の変数に対応する振動数範囲とは異なるので, 変数ごと及び負荷ごとに振動数範囲を指定する必要がある。続きを表示(全21行)注記2 加振力の点で注意する内容は,次のとおりである。- fmin 及びfmax の値は,振動発生機及び振動試験装置の正弦波,ランダム波及び衝撃波の定格出力別に,質量mt のそれぞれについて,かつ,電力増幅器の正弦波, ランダム波及び衝撃波の定格出力ごとに,指定する。- 加振力発生能力以外の要因が振動数範囲を制限するのであれば, それらの要因も規定する。例 a) 低振動数範囲において問題となる例を,次に示す。- 可動部質量と本体質量との比率- 本体サスペンションのストローク限界- ひずみ- 横ぶれ- 変位制限- 許容モーメント- 可動部サスペンションの発熱b) 高振動数範囲において問題となる例を,次に示す。- 可動部の機械共振- 可動部テーブルの面共振- ひずみ- 横ぶれ- 可動部の剛性」(第4頁)
エ 「6.3.2 正弦波駆動要求事項(C,s)試験質量m10による正弦波状態調整運転(6.2.2,8.2.1 及び8.2.4)の直後に,規定した振動数範囲において,定格変位,速度及び加振力Fv,s の1 オクターブ/分の掃引を行う。6.3.3のm10曲線計算用に,試験負荷の最上部中央での加速度,駆動コイル電流(実効値)及び駆動コイル電圧(実効値)を規定する。試験質量をm40に変更して,同一の温度が得られるまで調整運転を繰り返す。さらに,規定した振動数範囲において,定格変位,速度及び加振力Fv,sの1オクターブ/分の掃引をもう1回行う。6.3.3のm40曲線計算用に,試験負荷の最上部中央での加速度,駆動コイル電流(実効値)及び駆動コイル電圧(実効値)を規定する。上記の掃引に必要な最大電流は,加振力Fv,sの場合,振動発生機の正弦波電流要求事項Iv,sである。上記の掃引に必要な最大電圧は,加振力Fv,sの場合,振動発生機の正弦波電圧要求事項Vv,sである。試験負荷を取り外し,同一温度に達するまで調整運転を繰り返し,更に規定した振動数範囲において,定格変位,速度及び加振力Fv,sの1 オクターブ/分の掃引を行う。6.3.3のm0曲線計算用の,可動部加速度,駆動コイル電流(実効値) 及び駆動コイル電圧(実効値)を規定する。無負荷運転中に信号純度試験(ファズ試験)を実施する。このときに,振動発生機の音響出力を注意深く聴くとともに,オシロスコープで動きを観察して,雑音,ひずみ及び加速度波形上の高周波信号(ファズ)を計測する。ファズが加速度基本波の2%を超える場合は,記録する。ファズの一般的な原因は,可動部又は可動部サスペンションの接続不良である。」(第12頁)
オ 「6.4 振動発生機のメンテナンス(A,a)振動発生機の性能を維持するためには,メンテナンスが必要である。推奨する定期的メンテナンスには,エアーフィルタ,水フィルタ及びオイルフィルタ,水用の電極,蒸留水,給水塔の水・グリコール,励磁コイル用及び可動部用のフレキシブルケーブル及びホースの点検・交換,並びに堆積したほこりの除去(特に冷却空気通路内)が含まれる。推奨する定期的メンテナンスには,本体,可動部懸架機構,ガイド並びに負荷取付用ねじ部の点検及び修理も含まれる。加速度波形が電流波形と大きく異なるようになった場合には,振動発生機のメンテナンスが絶対に必要となる。このような相違が起きてくる原因は,通常,冷却液内のキャビテーション,可動部関連部品の緩み又は不具合である。常時使用されている振動発生機は,無負荷,最大加速度における低速掃引の正弦波波形を毎月定期的に記録することが望ましい。6.3.2の信号純度試験参照。適切にメンテナンスされている振動発生機は,加速度波形にひずみ又はファズの増加がない。性能が次第に低下する(特に,無負荷時のファズが増加する。)場合は,メンテナンスが必要である。」(第14頁)
カ 「A.1 一般動電式振動試験装置は製造業者間で異なるが,使用者の要求もそれぞれ異なるため,製造業者は,使用者から次のA.2~A.20 の機能特性の追加情報を提供することが要求された場合は,提供しなければならない。」(第23頁)
キ 「A.10 振動台の横方向運動振動台の横方向運動は,無負荷時の振動台の荷重固定位置で,振動数の関数として測定される。」(第24頁)
(6)甲第6号証
本願の出願前である平成29年3月31日に公開された、「フォースリミット振動試験ハンドブック,[online],平成29年3月31日,宇宙航空研究開発機構,インターネット<URL:https://sma.jaxa.jp/TechDoc/Docs/JAXA-JERG-2-130-HB004C.pdf>」(甲第6号証)には、次の事項が記載されている。
ア 「1.3 用語・略語の定義1.3.1 用語(1) クロストーク加振方向と直行する方向の振動入力のこと。通常%の単位で表す」(第2頁第1~4行)
(7)甲第7号証
本願の出願前である平成29年4月27日に公開された、特開2017-78591号公報(甲第7号証)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0014】例え、確率統計的には稀な現象であったとしても、振動試験装置の許容範囲を超えた信号が発生すると、振動試験装置に損傷を与える恐れがあるため、通常は変位センサーが振動試験装置の許容範囲の変位を超えた場合に異常を検出して、振動試験を自動停止させる機能が働くため、試験目的は完遂されない。このため、許容範囲外の加速度信号を除去するためにクリッピングと呼ばれる手法が用いられている。」
(8)甲第8号証
本願の出願前である平成17年3月10日に公開された、特開2005-62097号公報(甲第8号証)には、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】供試体を加振する加振部と、前記加振部の駆動を制御する駆動制御手段と、を備え、前記供試体の振動試験を行う振動試験装置において、前記供試体の振動試験の試験パターンデータと、当該試験パターンデータに応じた前記振動試験における前記加振部の基準伝達特性データとが対応付けられた基準データを記憶する記憶手段と、前記試験パターンデータに基づいて前記駆動制御手段により前記加振部を駆動させて振動試験を行った際の前記加振部の伝達特性データを取得する伝達特性取得手段と、前記伝達特性取得手段により取得された伝達特性データと、前記記憶手段に記憶された基準伝達特性データとに基づいて異常状態を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする振動試験装置。」
イ 「【0022】入力部3は、供試体の振動試験の試験パターンデータを設定入力するためのものであり、例えば、加振開始/停止、条件設定用の操作キー(図示略)を有しており、ユーザの入力操作に応じた各種入力信号をCPU8に対して出力する。ここで、試験パターンデータは、供試体の一連の振動試験を規定するための各種の振動条件に係るデータのことであり、例えば、供試体の加速度、振動数、速度、変位量、加速時間等の各条件のうちで、1または複数を複合的に組み合わせたものに係るデータ等が挙げられる。」
ウ 「【0033】また、上記の第二の振動制御において、CPU8は、振動データ取得手段として、振動データ取得プログラム7eに従って、RAM6に格納された基準データのうちの基準伝達特性データに基づいて加振部1aを駆動させて供試体の振動試験を行った際の供試体の振動データを取得する。具体的には、CPU8は、例えば、振動検出部2から振動台1fの振動状態に応じて出力される検出信号に基づいて、供試体の振動データを取得するようになっている。ここで、振動データとしては、例えば、所定の振動数に応じた供試体の加速度、速度、変位量等に係るデータが挙げられる。なお、振動データの取得は、例えば、予め設定された振動試験の開始時や終了時や、任意のタイミングで行われるようになっている。【0034】さらに、上記の第二の振動制御において、CPU8は、判定手段として、判定プログラム7gに従って、取得した供試体の振動データと、RAM6に格納された基準データのうちの試験パターンデータとに基づいて、供試体及び振動試験装置100の異常状態を判定する。」
(9)甲第9号証
本願の出願前である平成26年4月24日に公開された、特開2014-74612号公報(甲第9号証)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0031】図1に示すように、本実施例の振動発生機10は、磁路部材12を有する固定部11と、磁路部材12の空隙部24に挿入される駆動コイル36を有する可動部30と、磁石14や駆動コイル36の冷却を行う冷却ブロア44と、冷却ブロア44の回転数を制御するための制御装置50と、を備えている。【0032】図2,3に示すように、磁路部材12は、例えば、鉄などから構成されるヨーク16と、このヨーク16に流れる磁束を発生させる磁石14とを備えている。なお、本実施例において、ヨーク16は、図3に示すように、ヨーク部材18と、ボトムプレート部材20と、センターポール部材22とから構成されている。続きを表示(全22行)【0033】また、磁石14の一方の磁極面14aが、センターポール部材22に対向するように、磁石14の他方の磁極面14bが、ヨーク部材18の内周部と磁気的に結合されるとともに、固定されている。【0034】このように構成することによって、磁石14の一方の磁極面14aと、センターポール部材22の外周面22aとの空隙が、磁石14およびヨーク16によって構成される磁気回路のエアギャップ(空隙部24)となり、空隙部24には静磁場が発生する。【0035】また、磁石14の上面には、磁石14を固定するとともに、磁石14上方への漏洩磁束を低減するためのトッププレート26が設けられている。さらに、磁石14の一方の磁極面14aと、該磁極面14aに対向するセンターポール部材22の外周面22aの一部には、磁束ひずみを低減させるための銅リング28a,28bが設けられている。【0036】なお、本実施例において磁石14としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェライト磁石などの酸化物磁石、ネオジム磁石などの希土類磁石などを用いることができる。【0037】また、本実施例では、ヨーク部材18と、ボトムプレート部材20と、センターポール部材22とを、それぞれ別体の部材として構成しており、これらを磁気的に結合するとともに固定することによってヨーク16を構成しているが、これに限らず、例えば、ボトムプレート部材20とセンターポール部材22とを一体の部材として構成したり、ヨーク部材18とボトムプレート部材20と一体の部材として構成したりすることもできる。もちろん、ヨーク部材18とボトムプレート部材20とセンターポール部材22とを一体の部材としてヨーク16を構成してもよい。【0038】なお、本明細書においては、ヨーク部材18とボトムプレート部材20が一体の部材の場合、ボトムプレート部材20とセンターポール部材22が一体の部材の場合、ヨーク部材18とボトムプレート部材20とセンターポール部材22が一体の部材の場合であっても、便宜上、ヨーク部材18、ボトムプレート部材20、センターポール部材22と呼ぶ。【0039】また、ヨーク16(ヨーク部材18、ボトムプレート部材20、センターポール部材22)を構成する材料としては、透磁性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、鉄、特に炭素含有量の少ない鉄が好ましい。【0040】また、磁石14の一方の磁極面14aと、センターポール部材22の外周面22aとの空隙(空隙部24)の幅は、後述する可動部30の駆動コイル32が挿入可能であれば特に限定されるものではないが、可能な限り狭くすることで、エネルギー効率をより向上させることができる。【0041】可動部30は、被試験体(図示せず)を載置する試験台33と、可動部30と固定部11とを連結し可動部30を可動状態で保持する可動部懸架用バネ34と、ヨーク16の空隙部24に挿入される駆動コイル36とから構成されている。」
イ 「【図1】[図:0001423549000007.jpg]」
(10)甲第10号証
本願の出願前である平成31年1月10日に公開された、特開2019-2731号公報(甲第10号証)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0005】ところで、前記従来例のような振動試験装置では、加振機によって振動台をその真横から加振するようにしており、この加振軸に対して、振動台および供試体を合わせた被加振部全体の重心が高くなることから、重心周りの回転力が発生してしまう。このため、振動台の組み付け時のガタや軸受の僅かな隙間等に起因して、加振方向ではない方向の振動(クロストーク振動)が発生することがあり、これによって振動試験の精度が悪化するおそれがあった。」
(11)甲第11号証
本願の出願前である平成30年8月9日に公開された、特開2018-124120号公報(甲第11号証)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0005】ところで、上述したような振動試験装置では、動電型の加振機によって振動台を所定の周波数で水平方向に沿って加振(水平加振)する際、次のような問題点がある。すなわち、振動台の組み付け時のガタや、振動台を支持する軸受け(例えば流体軸受け)と振動台との間の隙間等に起因して、振動台及び供試体の重心を中心とする回転力が振動台に発生し、加振方向ではない垂直方向の共振(クロストーク共振)が発生する可能性があり、振動試験の精度が悪化することが懸念される。つまり、垂直方向の加振(垂直加振)を行っていないにもかかわらず、振動台に垂直方向の加速度(クロストーク加速度)が発生し、振動台が共振する可能性がある。例えば、側面視で、振動台が長尺の形状(例えば長方形等)である場合、振動台及び供試体の重心が、加振機の加振軸から大きくオフセットする可能性があり、上述のような問題点が特に懸念される。」
(12)甲第12号証
本願の出願前である平成13年11月30日に公開された、特開2001-330046号公報(甲第12号証)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、例えば振動発生機における振動台のように所定の振動方向に沿って往復動する可動部を支持する際に好適に用いられる支持装置及びこの支持装置を用いた振動発生機に関するものである。【0002】【従来の技術】振動発生機においては、いわゆる横揺れを防止して可動部である振動台を所定の1軸方向(振動方向)に沿って往復動させることが重要である。横揺れとは、振動台が振動方向に直交する方向(以下、ラジアル方向ということもある)に動くことである。この横揺れを防止するために、振動発生機では、振動台とその周囲に配置されている加振機などの固定部との間に配置され、振動台を振動方向へ案内すると共に、ラジアル方向への振動台の動きを規制する支持装置が用いられている。続きを表示(全11行)【0003】図11は、従来例である支持装置41の構成を示し、(a)は一部を切り欠いて示す上面図であり、(b)は側面図である。支持装置41は、固定部に取り付けられた固定部側受け板42と可動部である振動台に取り付けられた可動部側受け板43とでロッカ44を挟持すると共に、ロッカ44を4個の連結部材45で固定部側受け板42と可動部側受け板43とに連結して構成されている。ロッカ44は、ラジアル方向に剛性を有し、受け板42、43側の表面は円弧状に形成されている。この円弧状表面は、受け板42、43間の距離を直径とする円柱の外周面の一部に相当する。連結部材45は、ゴムなどの弾性体や、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成樹脂で形成され、受け板42、43に設けられた挟持板46とロッカ44に設けられた挟持板47とで挟圧される。尚、固定部側受け板42は、固定部に取り付けられた固定ブロック48に取り付けられている。【0004】支持装置41では連結部材45が変形するので、振動台は振動方向に移動可能である。そして、振動台の移動によってロッカ44も連結部材45の変形に伴ってロッカ44の円弧状表面が受け板42、43に接触した状態で移動し、ロッカ44によって振動台のラジアル方向への移動が規制される。【0005】【発明が解決しようとする課題】上記支持装置41では、固定部側と振動台側とを連結しているため、連結部分に繰返し応力が作用して連結部分が疲労破壊しやすく、耐久性の向上が困難であるという問題がある。【0006】また、振動台の可動範囲は連結部材45の変形範囲内に制限されるため、振動台の可動範囲を拡大するためには大型の支持装置41を用いる必要があり、コストの上昇を招くという問題がある。【0007】さらに、支持装置41が大型化すると可動部側の質量が大きくなるため振動台の加速度が低下し、所望の振動波形を持った振動を発生させることができず、振動発生機の信頼性が低下するという問題もある。【0008】この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、製造コストの低減及び耐久性の向上を図ることができる支持装置を提供することにあり、また他の目的は、所望の振動波形を持った振動を発生させることができ、信頼性が向上する振動発生機を提供することにある。」
イ 「【0025】上述した構成の支持装置1では、可動部が振動方向Rに移動したときは、可動部側受け板2Mが移動することによって一対の受け板2F、2Mで圧接されたローラ部4aが転動する。これは、ローラ部4aの回転軸線が固定されていないからである。このときのローラ部4aの回転軸線の変位量は、理想的には可動部の変位量の1/2である。そして、ローラ部4aは平面3F、3M上を転動しながら可動部の振動方向R以外の自由度を拘束する。【0026】一方、係合部4bは、受け板2F、2Mの傾斜面16F、17F、16M、17Mに沿って転動する。尚、本実施形態では、後述するように弾性体を含む防振部材26を介してローラ部4aと係合部4bとが連結されているので、係合部4bの回転角度は必ずしもローラ部4aの回転角度とは一致しない。ここで、係合部4bの係合面CFa、CMa、CFb、CMb(総称するときは参照符号「C」を用いる)は、ローラ部4aと係合部4bとが同時に転動しても、ローラ部4aの回転軸線と係合部4bの回転軸線とが同一直線上に存在するように定められている。そして、係合面CFa、CFbは傾斜面16F、17Fに、係合面CMa、CMbは傾斜面16M、17Mにそれぞれ接触するので、係合部4bに連結されたローラ部4aは、平面3上での転動以外の動き(滑り運動)を拘束される。但し、上記のように防振部材26を介してローラ部4aと係合部4bとが連結されている場合には、ローラ部4aの滑り運動は、防振部材26の可動範囲内に制限される。ローラ部4aの転動によってロッカ4全体も移動するが、ロッカ4の係合部4bと一対の受け板2M、2Fとの係合作用によってロッカ4は一対の受け板2F、2M間に保持される。したがって、ローラ部4aの転動によって可動部が振動方向Rへ案内されると共に、外形が略同一であるローラ部4aを挟圧することによって可動部が振動方向Rに直交する方向に移動するのが規制される。」
ウ 「【0045】以上のように本実施の形態によれば、可動部が振動方向に直交する方向(ラジアル方向)に移動するのを規制するローラ部4aは比較的簡単な形状であるので、ローラ部4aを含むロッカ4の製造が容易になり、製造コストを低減することができる。また、比較的簡単な形状であるローラ部4aで可動部のラジアル方向の移動を規制するので、可動部を安定して支持することができる。さらに、ローラ部4aは摩耗や欠損が起こりにくいので、耐久性を向上することができる。」
エ 「【0051】図9は、本発明の他の実施の形態である振動発生機31の斜視図であり、図10は振動発生機31の断面図である。振動発生機31は、振動台32と、この振動台32に所定の一軸方向Rとして上下方向に振動を加える加振機33を備えた本体34とを備えて構成される。振動台32は、下方側がローラ式の支持装置35によって支持され、上方側が上述した支持装置1によって支持される。支持装置1は、振動方向Rを中心とした円周回りに互いに120度の間隔をあけて3台配置されている。具体的には、可動部である振動台32の外周部に可動部側受け板2Mを取り付けると共に、本体34の上部に固定部側受け板2Fを取り付けた固定ブロック5を固定し、そして受け板2F、2Mでロッカ4を挟圧して支持装置1が配置される。【0052】上記振動発生機31では、支持装置1によってラジアル方向の移動を防止して振動台32を安定して支持することができる。したがって、所望の振動波形を持った振動を発生させることができ、振動発生機の信頼性が向上する。【0053】【発明の効果】以上のように請求項1の支持装置によれば、可動部が振動方向に直交する方向(ラジアル方向)に移動するのを規制するローラ部は比較的簡単な形状であるので、ローラ部を含む揺動部材の製造が容易になり、製造コストを低減することができる。また、比較的簡単な形状であるローラ部で可動部のラジアル方向の移動を規制するので、可動部を安定して支持することができる。さらに、ローラ部は摩耗や欠損が起こりにくいので、耐久性を向上することができる。」
オ 「【図1】[図:0001423549000008.jpg]」
カ 「【図2】[図:0001423549000009.jpg]」
キ 「【図3】[図:0001423549000010.jpg]」
ク 「【図4】[図:0001423549000011.jpg]」
ケ 「【図8】[図:0001423549000012.jpg]」
コ 「【図9】[図:0001423549000013.jpg]」
サ 「【図10】[図:0001423549000014.jpg]」
(13)甲第13号証
本願の出願前である昭和47年7月24日に公開された、「振動試験機の使用上の問題点」,社団法人 電子通信学会,昭和47年7月24日国立国会図書館受入」(甲第13号証)には、次の事項が記載されている。
ア 「1.はしがき振動試験機は装置とか部品の振動に関する信頼性を試験するための機械であるが試験機自身が非常に苛酷な振動条件にさらされるため、一般に他の環境試験装置よりも故障が多いものと考えられている。それではいったい動電型振動試験装置のどこが一番弱いのか。それはどのような使い方をすればさけられるのか、ということについて考えてみたいと思う。本来ならば使われている全ての動電型振動試験機について調査しなければならないが、ここでは昭和46年1月から12月までのあいだに報告された社内サービス部門のクレーム報告書をもとに、そのなかでも比較的使用頻度が高いと推定される39台について、部品別にその故障率を集計した。つぎに特に故障率の悪い軸受部品の許容荷重と使用上の注意事項について説明する。」(第1頁)
イ 「 テーブルには、駆動コイルが巻かれており、励磁コイルに流れる直流電流によってできた磁界中にある駆動コイルに交流電流を流すと、駆動コイルには上下方向に力が仂き、テーブルは上下運動をする。このとき試料に偏心があったり、テーブルが完全に垂直方向に向いていないときには(常にそうであるが)テーブルは横方向に動こうとするので、これを強制的に上下方向にだけ動くようにするためにテーブルの上と下に軸受を設けてある。軸受の方法としてはロッカーによる方法と(図3参照)ベアリングによる方法などがある。図3からわかるように、テーブルと固定側の間にコロ(ロッカー)をはさみ、このコロ(ロッカー)がずり落ちないようにバネ材で作られた吊り板が設けられており、コロ(ロッカー)はつり板、ロッカー受板を介してテーブルとロッカー台に接している。」(第2~3頁)
ウ 「 VE-3203では軸受け部品としての吊り板、ベアリング、クッションの故障率を合計したものは全体の49.5%を占めており、駆動コイルが19%、リード板が13%である。VE-3204Xでは軸受部品としての吊り板、ロッカー受板の故障率の合計は全体の24.5%を占めており、励磁コイルが13.5%、リード板が9.5%となっている。VE-3205では軸受部品としての吊り板、ロッカー受板の故障率の合計は全体の20%を占めており、励磁コイルが10.5%、リード板が10.5%、フレキシヤが13%となっている。いずれの場合も軸受部品が最も故障率が大きく、20~50%となっている。」(第4頁)
エ 「4.ロッカーの許容荷重VE-3204Xの許容荷重について簡単に説明する。ロッカーの許容荷重の限界は円柱と板との接触において生じる最大圧力が降伏点になったときと仮定し、ヘルツの接触論により図9のようなロッカー1ヶ当りの限界荷重は次式で表わされる。・・・この値がロッカーの円孤が永久変形を起こす荷重となる(ロッカーが永久変形を起こすとテーブルの動きが滑らかでなくなるが、すぐに運転できなくなるわけではない。波形精度が悪くなるだけであるが、そのまま何回も使うと、最終的には軸受部品が破損し運転できなくなる可能性がある。)」(第6頁)
オ 「7.あとがき非常にラフな統計ではあるが、部品別故障率のグラフから、振動試験機の故障の多くは、軸受部品関係にあることがわかったため、軸受部品の許容荷重について関単に述べた。水平方向に加振する場合の限界である許容横荷重と偏重心が原因する許容偏心荷重は本来別けて考えるべきものではなく、横荷重と偏重心は垂直に加振しているときでも同時に仂くと考えられるので、図11、12、13の安全領域は(斜線部分)さらにせまく考えねばならないものと考えられる。実際に偏重心をかけて行なった試験では斜線部分をこえた荷重をかけても運転は続行できたが、これも長時間行なうと軸受部品が破壊するものと思われる。現在この問題は解決された訳ではなく、今後さらにいろんな角度からテストを行なって、解決しなければならないものと考えます。今後特に考えねばならないのは、軸受をバネ、テーブルを剛体とみなしたときの共振の問題である。このような共振が起ると安全領域はさらに小さくなるものと考えられる。」(第11頁)
(14)甲第14号証の1
本願の出願前である2005年に公開された、「Wayne Tustin,「A Minimal-Mathematics Introduction to the Fundamentals of Random Vibration & Shock Testing Measurement, Analysis and Calibration As applied to HALT, ESS, HASS & COTS in the fields of aeronautical, automotive, commercial, seismic, and shipboard design and production」, Equipment Reliability Institute,2005年」(甲第14号証の1)には、図面と共に次の事項が記載されている。また、原文の摘記の後に甲第14号証の2に基づく当審訳を示す。
ア 「15.3 Wanted and unwanted armature motionsAny motion other than uniaxial should prevent its use for accelerometer calibration. ln Figure 15-8, motion(1) is what we want. Motion(2), greatly exaggerated here, of course, can result from unequal dynamic stiffness of the supporting flexures (should be replaced in a matched set) or from unbalanced loading.」(第172頁)
(15.3 望ましいアーマチュアの動きと望ましくないアーマチュアの動き
一軸以外の動きは、加速度計の校正に使用できないようにする必要がある。図15-8では、動作(1)が私たちが望むものである。動作(2)は、もちろんここではかなり誇張されているが、支持機構の動的剛性が不均等であること(適合するセットに交換する必要がある)、または荷重の不均衡によって生じる可能性がある。)
イ 「[図:0001423549000015.jpg]」(第172頁)
(加振希望モーションと加振不要モーション)
(15)甲第15号証
本願の出願前である平成18年3月23日に公開された、国際公開第2006/030786号(甲第15号証)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア「[0001] 本発明は、例えば、鉄道車両の車軸やギアボックス或いは発電用風車の減速機のような、機械設備に用いられる回転或いは摺動する部品の異常診断装置及び異常診断方法に関し、特に、該部品の異常の有無や前兆、或いはその異常部位を特定する異常診断装置及び異常診断方法に関する。
背景技術
[0002] 従来、鉄道車両や発電用風車等の回転部品は、一定期間使用した後に、軸受やその他の回転部品について、損傷や摩耗等の異常の有無が定期的に検査される。この定期的な検査は、回転部品が組み込まれた機械設備を分解することにより行われ、回転部品に発生した損傷や摩耗は、担当者の目視による検査により発見するようにしている。そして、検査で発見される主な欠陥としては、軸受の場合、異物の噛み込み等によって生ずる圧痕、転がり疲れによる剥離、その他の摩耗等、歯車の場合には、歯部の欠損や摩耗等、車輪の場合には、フラット等の摩耗があり、いずれの場合も新品にはない凹凸や摩耗等が発見されれば、新品に交換される。
・・・
[0005] そこで、回転部品が組み込まれた機械設備を分解することなく実稼動状態で回転部品の異常診断を行う様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1~7参照。)。最も一般的なものとしては、特許文献1に記載されるように、軸受部に加速度計を設置し、軸受部の振動加速度を計測し、更に、この信号にFFT(高速フーリエ変換)処理を行って振動発生周波数成分の信号を抽出して診断を行う方法が知られている
[0006] 特許文献2に記載の装置では、鉄道車両において軸受箱に温度センサを装着し、検出温度が基準値以上に上昇した時に異常信号を運転台に発するか、又は地上側力温度を計測して軸受の異常監視を行っている。また、特許文献3に記載の装置では、一般の機械設備において、軸受の状態を振動または温度センサで常時監視し、各値が基準値以上に上昇した場合に、異常警報を出力したり、装置の稼動を停止させたりする。
・・・
[0022] 本発明の目的は、下記の構成により達成される。
(1)静止部材に対して相対的に回転或いは摺動する部品を備えた機械設備に用いられる異常診断装置であって、
回転或いは摺動する部品又は静止部材に固定され、振動センサ、音響センサ、超音波センサ及びAEセンサの少なくとも一つの振動系センサと温度センサとを有する検出部と、
検出部の出力した電気信号力部品の状態を判定する信号処理部と、を備え、
信号処理部は、振動系センサによる計測結果と温度センサによる計測結果との組み合わせに基づいて、部品の異常の有無、或いは異常の有無及び損傷の程度を判定することを特徴とする異常診断装置。
・・・」
イ 「[0042] 振動センサ32は、圧電素子等の振動測定素子であり、複列円すいころ軸受11の内外輪軌道面15,15,17,17の剥離や、歯車の欠損、車輪のフラット摩耗等を検出するのに用いられる。なお、振動センサ32は、加速度、速度或いは変位型等、振動を電気信号化できるものであればよく、ノイズが多いような機械設備に取付ける際には、絶縁型を使用する方がノイズの影響を受けることがないので好ましい。また、音響センサは、車軸部等から発生する音を音波として集音して、電気信号化できるマイク口ホンを用いてもよく、マイクロホンは指向性を有した方が集音により好適である。」
ウ 「[0046] 信号処理部81は、図2に示すように、振動センサ32による振動信号を増幅後に振動計測値分析部50を介して異常判定部42に出力すると同時に、温度センサ33による温度信号を増幅後に温度計測値分析部51を介して異常判定部42に出力し、異常判定部42が振動と温度の各計測値又は時間に対する各変化率の組合せに基づいて、複列円すいころ軸受11の異常の有無及び損傷の程度を判定する。ここで、各計測値は、任意の時間における実効値でもピーク値でもよい。[0047] 即ち、軸受軌道面に剥離損傷が発生した場合には、その損傷部を転動体が通過するごとに衝撃が生じるため振動値の変化が大きくなるが、その前兆または直後では温度はほとんど変化しない。一方、軸受に焼付き異常が生じると、その前兆として計測時間に対する振動と温度の変化が大きくなるという特徴がある。このように、本実施形態では、異常の種類によって振動と温度の変化の仕方が異なるという回転部品の異常形態の特徴を利用したものであり、振動と温度の各計測値又は時間に対する各変化率を組み合わせることにより、複列円すいころ軸受11の異常の有無及び損傷の程度を判定することができる。[0048] 図3は、軸受に焼付き異常が生じるまでの振動の経時変化を示し、図4は、軸受に焼付き異常が生じるまでの温度の経時変化を示す。[0049] 図3及び図4より、軸受に焼付きが発生する前兆として、A点から振動が急激に増加しているが、温度変化はほとんどない。その後、B点から振動がさらに増加し、この時点から温度が上昇している。振動はさらに増加後、C点で焼付きが生じ、焼付き後の温度はさらに上昇して過熱していることがわかる。[0050] 従って、図3及び図4に示した計測結果に基づき、A,B,C点における振動と温度の計測値又は時間に対する変化率を求め、これらの値を予め設定しておいた規定値と比較することにより複列円すいころ軸受11の異常の有無及び損傷の程度を判定する。」
エ 「[0058] このように本実施形態では、回転部品である複列円すいころ軸受11の回転状態に伴う振動及び温度の情報を同時に検出し、振動センサ、音響センサ、超音波センサ、或いは、AEセンサ等の振動系センサによる計測結果と温度センサによる計測結果との組み合わせに基づいて、異常の有無と損傷の程度を同時に判定するので、振動と温度に関する複列円すいころ軸受11の異常形態の特徴を利用した損傷の程度の判定が可能となる。また、突発的な外乱ノイズ等の影響による誤診断を防止して信頼性の高い異常診断を行うことができる。更に、複列円すいころ軸受11が組み込まれている鉄道車両用転がり軸受装置10を分解することなく実稼動状態で複列円すいころ軸受11の異常の有無と損傷の程度を同時に検査することができ、この結果、複列円すいころ軸受11の最適な交換時期が分かり、効率的なメンテナンスを可能にすることができる。特に、本発明では、振動と温度の計測値または変化率を組み合わせることで異常の有無を複数回診断して判定している。」
オ 「[0067] 該異常判定部42では予め設定した閾値を超えるか否かを判定し、閾値を超えない場合は軸受に異常は発生していないと判断し、閾値を超えた場合は焼付き等の異常が軸受に発生したと判断して、出力装置90で複列円すいころ軸受11の異常判定の結果の出力が行われ、アラーム等の警報が発せられる。」
カ 「[図:0001423549000016.jpg]」
(16)甲第16号証の1
本願の出願前である1995年12月15日に公開された、「Mechanical Vibration - Evaluation of machine vibration by measurements on non-rotating parts - Part 1:General guidelines ISO 10816-1 First edition 1995-12-15」,国際標準化機構,1995年12月15日」(甲第16号証の1)には、図面と共に次の事項が記載されている。また、原文の摘記の後に甲第16号証の2に基づく当審訳を示す。
ア 「IntroductionThis part of ISO 10816 is a basic document which establishes general guidelines for the measurement and evaluation of mechanical vibration of machinery, as measured on the non-rotating (and, where applicable, nonreciprocating) parts of complete machines, such as bearing housings. Recommendations for measurements and evaluation criteria pertaining to specific machine types are provided in additional Parts of ISO 10816.For many machines, measurements made on non-rotating Parts are sufficient to characterize adequately their running conditions with respect to trouble-free operation. However, there are some machines, such as those containing flexible rotors, for which measurements on non-rotating parts may not be totally adequate. In such cases, it may be necessary to monitor the machine using measurements on both the rotating and non-rotating parts, or on the rotating parts alone. For such machines, the guidelines presented in this part of ISO 10816 are complemented by those given for shaft vibration in ISO 7919-1. If the procedures of both standards are applicable, the one which is more restrictive generally applies.Vibration measurements can be used for a number of purposes including routine operational monitoring, acceptance tests and diagnostic and analytical investigations. This part of ISO 10816 is designed to provide guidelines for operational monitoring and acceptance tests only.Three primary measurement parameters (displacement, velocity andacceleration) are defined and their limitations given. Adherence to the guidelines presented should, in most cases, ensure satisfactory service performance.」(第IV頁)
(ISO 10816 のこのパートは,機械の機械振動の測定及び評価に関する一般
的な指針を確立する基本文書である。特定の機械タイプに関する測定及び評価基準に関する勧告は、ISO 10816 の追加部分に記載されている。
多くの機械では、トラブルフリー運転に関してその運転状態を適切に特徴付けるには、非回転部分で測定すれば十分である。しかし、フレキシブルなローターを含む機械のように、非回転部分の測定ではまったく十分でない機械もある。そのような場合、回転部分と非回転部分の両方、あるいは回転部分のみの測定で機械を監視する必要があるかもしれない。このような機械の場合、ISO 10816 のこのパートに示された指針は、ISO 7919-1 の軸振動に関する指針によって補完されます。両方の規格の手順が適用可能な場合は、一般的に制限の多い方が適用される。
振動測定は、日常的な運転監視、受入試験、診断及び分析調査を含む多くの目的に使用することができる。ISO 10816 のこのパートは、運転監視及び受入試験のみのためのガイドラインを提供するように設計されている。
3 つの主要な測定パラメータ(変位、速度、加速度)が定義され、その限界が示されている。提示されたガイドラインを遵守することで、ほとんどの場合、満足のいくサービス性能が保証されるはずである。)
イ 「1 ScopeThis part of ISO 10816 establishes general conditions and procedures for the measurement and evaluation of vibration using measurements made on nonrotating and, where applicable, non-reciprocating parts of complete machines. The general evaluation criteria, which are presented in terms of both vibration magnitude and change of vibration, relate to both operational monitoring and acceptance testing. They have been provided primarily with regard to securing reliable, safe, long-term operation of the machine, while minimizing adverse effects on associated equipment. Guidelines are also presented for setting operational limits.The evaluation criteria relate only to the vibration produced by the machine itself and not to vibration transmitted to it from outside.This part of ISO 10816 does not include any consideration of torsional vibration.」(第1頁)
(1 スコープ
ISO 10816 のこの部分は、回転していない、及び該当する場合、完全な機械の往復していない部品に対して行った測定を使って、振動を測定及び評価するための一般的な条件及び手順を規定している。一般的な評価、振動の大きさと振動の変化の両方の観点から示されており、運転監視と受入試験の両方に関連している。これらは主に、関連機器への悪影響を最小限に抑えつつ、機械の信頼性の高い安全な長期運転を確保するために提供されている。また、運転限界値を設定するためのガイドラインも示されている。
評価基準は、機械自体から発生する振動にのみ関係し、外部から機械に伝達される振動には関係しない。
ISO 10816 のこの部分には、ねじり振動に関する考察は含まれていない。)
ウ 「3 MeasurementsThis clause describes the measurements, procedures, and operating conditions recommended for assessing machine vibration. The guidelines given will permit the evaluation of vibration in accordance with the general criteria and principles given in clause 5.・・・3.1.2 Measurement quantityFor the purposes of this part of ISO 10816, the following can be used:a) vibration displacement, measured in micrometres;b) vibration velocity, measured in millimetres per second;c) vibration acceleration, measured in metres per square second.・・・」(第1~2頁)
(3 計測
本項は,機械の振動を評価するために推奨される測定,手順及び運転条件を記述する。指針は,第 5 節に示した一般的な基準及び原則に従って振動を評価することを可能にする。
・・・
3.1.2 測定量
ISO 10816 のこの部分の目的には、以下のものを使用することができる:
a) 振動変位。単位はマイクロメートル;
b) ミリメートル毎秒で測定される振動速度;
c) 振動加速度。単位はメートル毎平方秒。
・・・)
エ 「5.2 CriteriaTwo evaluation criteria are used to assess vibration severity on various classes of machines. One criterion considers the magnitude of observed broadband vibration; the second considers changes in magnitude, irrespective of whether they are increases or decreases.5.3 Criterion 1: Vibration magnitudeThis criterion is concerned with defining limits for absolute vibration magnitude consistent with acceptable dynamic loads on the bearings and acceptable vibration transmission into the support structure and foundation. The maximum vibration magnitude observed at each bearing or pedestal is assessed against four evaluation zones established from international experience. This maximum magnitude of vibration measured is defined as the vibration severity (see 3.1.4).続きを表示(全11行)5.3.1 Evaluation ZonesThe following typical evaluation zones are defined to permit a qualitative assessment of the vibration on a given machine and to provide guidelines on possible actions. Different categorization and number of zones may apply for specific machine types, which are covered by the additional parts of ISO 10816. Interim values for the zone boundaries are presented in Annex B.Zone A: The vibration of newly commissioned machines would normally fall within this zone.Zone B: Machines with vibration within this zone are normally considered acceptable for unrestricted long-term operation.Zone C: Machines with vibration within this zone are normally considered unsatisfactory for long-term continuous operation. Generally, the machine may be operated for a limited period in this condition until a suitable opportunity arises for remedial action.Zone D: Vibration values within this zone are normally considered to be of sufficient severity to cause damage to the machine.Numerical values assigned to the zone boundaries are not intended to serve as acceptance specifications, which shall be subject to agreement between the machine manufacturer and customer. However, these values provide guidelines for ensuring that gross deficiencies or unrealistic requirements are avoided. In certain cases, there may be specific features associated with a particular machine that would require different zone boundary values (higher or lower) to be used. In such cases, it is normally necessary to explain the reasons for this and, in particular, to confirm that the machine will not be endangered by operating with higher vibration values.」(第6頁~第7頁)
(5.2基準
様々なクラスの機械の振動の厳しさを評価するために、2つの評価基準が使用されます。1つは、観測された広帯域振動の大きさを考慮する基準であり、もう1つは、増加か減少かに関係なく、大きさの変化を考慮する基準である。
この基準は、軸受にかかる許容可能な動的荷重と、支持構造物や基礎への許容可能な振動伝達とに整合する、絶対振動の大きさの限界を定義することに関係する。各軸受またはペデスタルで観測された最大振動の大きさは、国際的な経験から確立された4つの評価ゾーンに照らして評価されます。測定されたこの最大振動の大きさは、振動の厳しさとして定義される(3.1.4参照)。
5.3.1評価ゾーン
以下の典型的な評価ゾーンは、与えられた機械の振動の定性的な評価を可能にし、可能な処置のガイドラインを提供するために定義されている。特定の機械タイプには、ISO10816の追加部分でカバーされる異なる分類とゾーン数が適用されるかもしれない。ゾーン境界の暫定値は、附属書Bに示されている。
ゾーン割り当てられた数値は,受入仕様として機能することを意図したものではない。しかし,これらの数値は,重大な欠陥又は非現実的な要件を確実に回避するための指針を提供するものである。場合によっては,異なるゾーン境界値(より高い値又はより低い値)を使用する必要がある特定の機械に関連する特定の特徴が存在することがある。そのような場合、通常、その理由を明確にし、特に、高い振動値で運転しても機械が危険にさらされないことを確認する必要がある。」
オ 「[図:0001423549000017.jpg]」(第8頁)
カ 「5.5 Operational limitsFor long-term operation, it is common practice for some machine types to establish operational vibration limits. These limits take the form of Alarms and TRIPS.ALARMS: To provide a warning that a defined value of vibration has been reached or a significant change has occurred, at which remedial action may be necessary. In general, if an ALARM situation occurs, operation can continue for a period while investigations are carried out to identify the reason for the change in vibration and define any remedial action.TRIPS: To specify the magnitude of vibration beyond which further operation of the machine may cause damage. If the TRIP value is exceeded, immediate action should be taken to reduce the vibration or the machine should be shut down.続きを表示(全11行)Different operational limits, reflecting differences in dynamic loading and support stiffness, may be specified for different measurement positions and directions.Where appropriate, guidelines for specifying alarm and trip criteria for specific machine types are given in the additional parts of ISO 10816.5.5.1 Setting of ALARMSThe ALARM values may vary considerably, up or down, for different machines. The values chosen will normally be set relative to a baseline value determined from experience for the measurement position or direction for that particular machine.It is recommended that the ALARM value should be set higher than the baseline by an amount equal to a proportion of the upper limit of zone B. If the baseline is low, the ALARM may be below zone C. Guidelines for specific machine types are given in the additional parts of ISO 10816.Where there is no established baseline, for example with a new machine, the initial ALARM setting should be based either on experience with other similar machines or relative to agreed acceptance values. After a period of time, a steady-state baseline value will be established and the ALARM setting should be adjusted accordingly.If the steady-state baseline changes (for example, after a machine overhaul), the ALARM setting should be revised accordingly. Different operational ALARM settings may then exist for different bearings on the machine, reflecting differences in dynamic loading and bearing support stiffness. 」(第9頁)
(5.5運営上の制限
長期的な運転のために、機械の種類によっては運転振動の制限を設けるのが一般的です。これらの制限は、ALARMSとTRIPSの形をとる。
動的負荷や支持剛性の違いを反映し、測定位置や測定断面積によって異なる動作限界が指定されることがある。
適切な場合、特定の機械タイプのALARM及びTRIP基準を規定するためのガ
イドラインは、ISO10816の追加部分に記載されている。
5.5.1アラームの設定
ALARM値は、マシンによって上下に大きく異なる場合があります。通常、選択される値は、特定のマシンの測定位置または測定方向について、経験から決定された基準値に対して相対的に設定される。ALARM値は、ゾーンBの上限の割合に等しい量だけベースラインよりも高く設定することが推奨される。ベースラインが低い場合、ALARMはゾーンC以下であってもよい。特定の機械タイプに関するガイドラインは、ISO10816の追加部分に記載されている。
確立された基準値がない場合、例えば新しい機械の場合、最初のALARM設定は、他の類似の機械の経験に基づくか、または合意された許容値との相対値に基づくべきである。一定期間経過後、定常状態のベースライン値が確立され、ALARM設定はそれに従って調整されるべきである。
定常状態のベースラインが変化した場合(例えば、機械のオーバーホール後)、ALARM設定はそれに応じて修正されなければならない。機械上の異なる軸受には、動的荷重と軸受支持剛性の違いを反映して、異なる運転上のALARM設定が存在する可能性があります。」
(17)甲第17号証
本願の出願前である平成17年1月13日に公開された、特開2005-9980号公報(甲第17号証)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0013】載置台12には、振動発生機11x,11zによって加振された載置台12の振動を検出する検出手段としての二つのセンサ13x,13zが設けられている。センサ13x,13zは、載置台12の振動加速度を検出するために用いられ、載置台12とともに振動し、検出したアナログの加速度信号を制御手段としての制御装置2に出力するものである。二つのセンサ13x,13zのうち、一方のセンサ13xは、載置台12の水平方向の振動を検出するものであり、他方のセンサ13zは、載置台12の鉛直方向の振動を検出するものである。」
イ 「[図:0001423549000018.jpg]」
2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲2発明1とを対比する。
ア 構成Aについて
構成aの「振動試験下にある機器または構成部品であるペイロード106」は、構成Aの「被試験体」に相当する。
また、構成aの「ペイロード支持構造107」は、「ペイロード106を保持する」、すなわち、「ペイロード106」が搭載されるものであり、また、構成bによれば、「アーマチュア105」は、「ペイロード支持構造107に対して機械的に結合された振動可能な」ものであるから、「ペイロード支持構造107」と一体となり「振動可能」なものといえる。よって、構成aの「ペイロード支持構造107」及び構成bの「アーマチュア105」は、本件発明1の「被試験体が搭載される可動部」に相当する。
よって、構成a、bより、甲2発明1は、構成Aに相当する構成を有するといえる。
イ 構成Bについて
構成bの「界磁コイル」及び「振動試験装置」は、それぞれ、構成Bの「磁束を発生させる磁束発生手段」及び「振動試験装置」に相当する。
よって、構成bは、構成Bと、「磁束を発生させる磁束発生手段」「を備える振動試験装置であ」る点で共通する。
ウ 構成Cについて
構成cの「振動可能なアーマチュア構造の好適な場所上に」「設置し」た「加速度計」は、「振動可能なアーマチュア構造」の「加速度」を測定するセンサであるといえる。そして、構成cの「振動可能なアーマチュア構造」は、上記アで説示したとおり、構成Cの「可動部」の一部に相当するものである。
よって、構成cと構成Cは、「前記可動部の加速度」を「測定する」「センサ」を備える点で共通する。
エ 構成Dについて
(ア)構成dの「プロセッサまたはコントローラ」は、構成Dの「演算装置」に相当する。
(イ)a 構成dにおいて、「1つ以上の動作パラメータの記録された値に基づいて、アーマチュア力サイクルの累積数を決定し、アーマチュア力サイクル累積数および振動試験装置の既定の寿命に基づいて、動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算する」ことは、記録された「動作パラメータ」に基づき、「動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算する」ことといえる。また、構成dの「動作パラメータ」は、構成cより、「加振器上に組付けられた加速度計により測定されるアーマチュアの加速度が含まれ」ているものであるから、「加速度計」の出力に基づくものといえる。
b 本願の段落【0023】~【0024】には、
「可動部に設けられた可動部センサからの出力に基づき、演算装置によって自動的に故障予知を行うことができるため、振動試験装置の異常を早期に検知し、故障の拡大を防止することができる。・・・振動試験装置の異常箇所を早期に発見し、振動試験装置が故障する前に、ユーザーに部品交換などの修理を促すことができる。」
と記載されているから、構成Dにおいて、「前記振動試験装置の故障予知を行う」ことは、振動試験装置が故障する前の時点で、振動試験装置の故障が発生すること予知することを意味すると解釈される。
そして、構成dの「動電型加振器の残存寿命または消費寿命」は、「動電型加振器」の「寿命」が無くなって「動電型加振器」が故障する前の時点において、残り、あるいは、消費済みの「寿命」を表すものといえる。また、「動電型加振器」の「寿命」がすべて消費された時は、「動電型加振器」が故障する(と予想される)時であるといえるから、構成dにおいて、「残存寿命または消費寿命を計算する」ことは、故障する時を予想することであり、よって、構成Dにおける、「故障予知を行う」ことに相当する。
c 上記a,bのとおりであるから、甲2発明1において、「1つ以上の動作パラメータの記録された値に基づいて、アーマチュア力サイクルの累積数を決定し、アーマチュア力サイクル累積数および振動試験装置の既定の寿命に基づいて、動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算する」ことは、本件発明1の「前記」「センサからの出力に基づき、前記振動試験装置の故障予知を行う」ことに相当する。
(ウ)以上より、構成dと構成Dは、「前記」「センサからの出力に基づき、前記振動試験装置の故障予知を行う演算装置と、をさらに備え」る点で共通する。
オ 構成Fについて
構成fの「振動試験装置」は、構成Fの「振動試験装置」に相当する。
(2)一致点、相違点
上記(1)のとおりであるから、本件発明1と甲2発明1とは、下記アの点で一致し、下記イ~エの点で相違する。
ア 一致点
「A 被試験体が搭載される可動部と、B’磁束を発生させる磁束発生手段を備える振動試験装置であって、C’前記可動部の加速度を測定するセンサと、D’前記センサからの出力に基づき、前記振動試験装置の故障予知を行う演算装置と、をさらに備える、F 振動試験装置。」
イ 相違点1(構成B)
本件発明1は「透磁性を有する磁路部材と、該磁路部材に流れる磁束を発生させる磁束発生手段とを有する固定部と」を備えるのに対し、甲2発明1は、透磁性を有する磁路部材を有する固定部を備えるとは特定されておらず、そのため、磁束発生手段についても、甲2発明1では、固定部が有するとは特定されていない点。
ウ 相違点2(構成C)
本件発明1は、「前記可動部の加速度、速度、変位の少なくともいずれかを測定する複数の1軸センサ」を備えるのに対し、甲2発明1の「加速度計」(センサ)は、複数の1軸センサであるとは特定されていない点。
エ 相違点3(構成D、E)
演算装置による振動試験装置の故障予知について、本件発明1では「複数の1軸センサからの出力に基づき」「可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づ」くと特定されるのに対し、甲2発明1ではそのような特定が成されていない点。
(3)相違点に対する判断
ア 事案に鑑み、相違点3について検討する。
(ア)本件発明1の「クロストーク」について、本願の発明の詳細な説明、段落【0038】には「3軸センサ31の出力に基づき、振動試験装置10の加振軸、すなわち、本実施形態ではX軸以外に生じる振動であるクロストークを検出する。」と記載されているから、本件発明1の「クロストーク」は、加振軸以外の方向に生じる振動を意味すると認められる。
(イ)a 上記1(1)カより、甲第1号証には、
「製造業者は,中央の取付点における軸方向振動に対する横方向振動の比を示す二つの曲線によって,振動台の横振動を,振動数の関数として示さなければならない。横方向振動は,トラニオン軸に平行な軸及び直交する軸の方向の振動とする。中央の点が不都合な場合は,基準点の位置を示す。無負荷及び試験負荷m2の状態で,できれば定格加振力で測定し,使用した測定方法を明示しなければならない。」
と記載されている。
そして、甲第1号証の記載において、「トラニオン軸に平行な軸及び直交する軸の方向の振動」である「振動台の横振動」は、本件発明1の「可動部のクロストーク」に相当する。
上記1(1)アより 、甲第1号証には、「この規格は,動電式振動発生機を使った試験装置の特性表示方法に関するもので,試験装置を選択するときの指針として使用できる。」と記載されているから、甲1号証に記載の「振動台の横振動」は、動電式振動発生機を使った試験装置を選択する際の指針として使用できる特性表示のために測定されるものといえる。
以上より、甲第1号証には、動電式振動発生機を使った試験装置を選択する際の指針として使用できる特性表示のために、可動部のクロストークを測定する点が開示されているといえる。
しかしながら、甲第1号証には、測定した「振動台の横振動」(クロストーク)の振幅に基づき、故障の予知を行う点については記載されていない。
b 上記1(3)エより、甲第3号証には、「そしてローラ(18)により振動体(9)が軸心(8)と直交方向に横振れするのを強大な力で防止出来ると共に、このローラ(18)の外径はベアリング等に比較して著しく大きく出来るために転動部分の面圧が低く、寿命が著しく延長されたのである。」との記載があり、上記記載における「振動体(9)」の「軸心(8)と直交方向」の「横振れ」は、本件発明1の「クロストーク」に相当するから、甲第3号証には、クロストークが振動試験装置の寿命に影響することが示唆されているといえる。
しかしながら、甲第3号証には、「横振れ」(クロストーク)を測定する点ついては記載されておらず、したがって、測定したクロストークの振幅に基づき、故障の予知を行う点についても記載されていない。
c 上記1(5)ウより、甲第5号証には、
「振動数範囲,fmin~fmax(frequency range)振動試験装置及び各機器の能力を表す変数( 変位,速度,加速度など)の定格性能が達成できる振動数の範囲。・・・- 加振力発生能力以外の要因が振動数範囲を制限するのであれば, それらの要因も規定する。続きを表示(全11行)例 a) 低振動数範囲において問題となる例を,次に示す。・・・- 横ぶれ・・・b) 高振動数範囲において問題となる例を,次に示す。・・・- 横ぶれ」
との記載があり、上記記載の「横ぶれ」は、振動試験装置の加振力発生軸に対し横方向(直交方向)の運動を意味すると推認されるから、本件発明1の「クロストーク」に相当するといえる。
また、上記1(5)キより、甲第5号証には、
「A.10 振動台の横方向運動振動台の横方向運動は,無負荷時の振動台の荷重固定位置で,振動数の関数として測定される。」
との記載があり、上記記載の「横方向運動」も、本件発明1の「クロストーク」に相当するといえる。
以上より、甲第5号証には、クロストークを測定する点、及び、クロストークが定格性能達成可能な振動数範囲を制限する場合があることが記載されているといえる。
また、上記1(5)オより、甲第5号証には、「振動発生機の性能を維持するためには,メンテナンスが必要である。・・・常時使用されている振動発生機は,無負荷,最大加速度における低速掃引の正弦波波形を毎月定期的に記録することが望ましい。6.3.2の信号純度試験参照。適切にメンテナンスされている振動発生機は,加速度波形にひずみ又はファズの増加がない。性能が次第に低下する(特に,無負荷時のファズが増加する。)場合は,メンテナンスが必要である。」と記載されているが、当該記載においては、「無負荷,最大加速度における低速掃引の正弦波波形」を測定するものとなっており、クロストークを測定するものとはなっていない。
よって、甲第5号証には、測定した「横方向運動」(クロストーク)の振幅に基づき、故障の予知を行う点については記載されていない。
d 上記1(10)アより、甲第10号証には、「このため、振動台の組み付け時のガタや軸受の僅かな隙間等に起因して、加振方向ではない方向の振動(クロストーク振動)が発生することがあり、これによって振動試験の精度が悪化するおそれがあった。」との記載がある。
よって、甲第10号証には、クロストークの発生により振動試験の精度が悪化するおそれがある点が記載されているといえるが、甲第10号証には、クロストークを測定する点、及び、測定したクロストークの振幅に基づいて故障予知を行う点については記載されていない。
e 上記1(11)アより、甲第11号証には、「すなわち、振動台の組み付け時のガタや、振動台を支持する軸受け(例えば流体軸受け)と振動台との間の隙間等に起因して、振動台及び供試体の重心を中心とする回転力が振動台に発生し、加振方向ではない垂直方向の共振(クロストーク共振)が発生する可能性があり、振動試験の精度が悪化することが懸念される。」との記載がある。
よって、甲第11号証には、クロストークの発生により振動試験の精度が悪化する点が記載されているといえるが、甲11号証には、クロストークを測定する点、及び、測定したクロストークの振幅に基づいて故障予知を行う点については記載されていない。
f 上記1(12)より、甲第12号証には、「振動発生機においては、いわゆる横揺れを防止して可動部である振動台を所定の1軸方向(振動方向)に沿って往復動させることが重要である。横揺れとは、振動台が振動方向に直交する方向(以下、ラジアル方向ということもある)に動くことである。この横揺れを防止するために、振動発生機では、振動台とその周囲に配置されている加振機などの固定部との間に配置され、振動台を振動方向へ案内すると共に、ラジアル方向への振動台の動きを規制する支持装置が用いられている。」(段落【0002】)、「可動部が振動方向に直交する方向(ラジアル方向)に移動するのを規制するローラ部4a・・・ローラ部4aは摩耗や欠損が起こりにくいので、耐久性を向上することができる。」(段落【0045】)、「また、比較的簡単な形状であるローラ部で可動部のラジアル方向の移動を規制するので、可動部を安定して支持することができる。さらに、ローラ部は摩耗や欠損が起こりにくいので、耐久性を向上することができる。」(段落【0053】)と記載されている。
上記記載の「振動台が振動方向に直交する方向(以下、ラジアル方向ということもある)に動くことである」「横揺れ」は、本件発明1の「クロストーク」に相当するといえる。そして、上記記載において、「ラジアル方向への振動台の動きを規制する支持装置」である「ローラ部」は、クロストークを規制する部材であるといえる。
そうすると、甲第12号証には、クロストークを規制する部材を摩耗や欠損が起こりにくいものとすることで、耐久性を向上することができる点が記載されているといえる。
しかしながら、甲第12号証には、クロストークを測定する点、及び、測定したクロストークの振幅に基づいて故障予知を行う点については記載されていない。
g 上記1(13)より、甲第13号証には、「テーブルには、駆動コイルが巻かれており、励磁コイルに流れる直流電流によってできた磁界中にある駆動コイルに交流電流を流すと、駆動コイルには上下方向に力が仂き、テーブルは上下運動をする。このとき試料に偏心があったり、テーブルが完全に垂直方向に向いていないときには(常にそうであるが)テーブルは横方向に動こうとするので、これを強制的に上下方向にだけ動くようにするためにテーブルの上と下に軸受を設けてある。軸受の方法としてはロッカーによる方法と(図3参照)ベアリングによる方法などがある。」(イ)及び「ヘルツの接触論により図9のようなロッカー1ヶ当りの限界荷重は次式で表わされる。・・・この値がロッカーの円孤が永久変形を起こす荷重となる(ロッカーが永久変形を起こすとテーブルの動きが滑らかでなくなるが、すぐに運転できなくなるわけではない。波形精度が悪くなるだけであるが、そのまま何回も使うと、最終的には軸受部品が破損し運転できなくなる可能性がある。)」(エ)との記載がある。
上記記載において、「テーブルは上下運動をする」ものであるから、「テーブル」の「横方向」への動きは本件発明1の「クロストーク」に相当し、「テーブルは横方向に動こうとするので、これを強制的に上下方向にだけ動くようにするためにテーブルの上と下に」「設けてある」「ロッカー」は、クロストークの発生を防ぐための部材であるといえる。
また、上記記載において、「ロッカーが永久変形を起こす」のは、「限界荷重」を超える荷重が負荷された時であることは、明らかである。
よって、甲第13号証には、クロストークの発生を防ぐための部材が、限界荷重を超える荷重が負荷されて永久変形を起こすと、すぐに運転できなくなるわけではなく波形精度が悪くなり、そのまま何回も使うと、最終的には軸受部品が破損し運転できなくなる点が記載されているといえる。
しかしながら、甲第13号証には、クロストークを測定する点、及び、測定したクロストークの振幅に基づいて故障予知を行う点については記載されていない。
h 上記1(14)アより、甲第14号証の1には、「一軸以外の動きは、加速度計の校正に使用できないようにする必要がある。図15-8では、動作(1)が私たちが望むものである。動作(2)は、もちろんここではかなり誇張されているが、支持機構の動的剛性が不均等であること(適合するセットに交換する必要がある)、または荷重の不均衡によって生じる可能性がある)」(翻訳文)と記載されており、上記記載の「一軸以外の動き」は、本件発明1の「クロストーク」に相当する。
また、上記1(14)イにおける「(2)」の図が、「一軸以外の動き」を含むものであることは、明らかである。
よって、甲第14号証の1には、支持機構の動的剛性が不均等であることや荷重の不均衡によって、クロストークが生じ、それは望ましくない点が記載されているといえる。
しかしながら、甲第14号証の1には、クロストークを測定する点、及び、測定したクロストークに基づいて故障予知を行う点については記載されていない。
i 甲第2、4、6~9、15~17号証にも、クロストークを測定し、クロストークに基づいて故障予知を行う点については記載されていない。
(ウ)上記(イ)のとおり、可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて、故障予知を行う点については、甲第1~17号証のいずれにも記載されていない。
よって、甲2発明1において、可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて故障予知を行うとの構成を付加することが、当業者にとって容易であるとはいえない。
また、甲2発明1は、「加振器上に組付けられた加速度計により測定されるアーマチュアの加速度」を「動作パラメータ」とし、「動作パラメータの記録された値に基づいて、アーマチュア力サイクルの累積数を決定し、アーマチュア力サイクル累積数および振動試験装置の既定の寿命に基づいて、動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算する」ものであるが、当該「動作パラメータ」となる「加速度」は、「アーマチュア力サイクルの累積数を決定」して「動電型加振器の残存寿命または消費寿命を計算する」ものであって、その累積数から寿命の予知を行うものであるから、甲第1、3、5、10~14の1号証の記載から、クロストークを測定すること、あるいはクロストークが望ましくないことが周知であるといえるとしても、甲第1、3、5、10~14の1号証にはクロストークの累積数を寿命の計算に用いる点について記載されていない以上、甲2発明1において、「アーマチュア力サイクルの累積数を決定」するための「動作パラメータ」を測定したクロストークとすることが、当業者にとって容易であったとはいえない。
よって、甲2発明1において、可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて故障予知を行うものとし、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることが、当業者にとって容易であったとはいえない。
また、甲第1、3~17号証のいずれに記載された発明を主引用発明としても、上記のとおり可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて、故障予知を行う点については、いずれの甲号証にも記載も示唆もされていないから、相違点3に係る構成を含む本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
イ 申立人の主張について
令和7年2月28日提出の特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)における、上記相違点3(異議申立書における「相違点1-3」)に関する申立人の主張について検討する。
(ア)異議申立書において、申立人は、「このため、本件特許発明の「故障予知」を親出願の「異議の決定」のように、「故障時期の予知」まで拡大して解釈することはできない。」(第114頁)等の主張をしているので検討する。
上記(1)エ(イ)bで示したとおり、構成Dにおいて「前記振動試験装置の故障予知を行う」ことは、振動試験装置が故障する前の時点で、振動試験装置の故障が発生すること予知することを意味すると解釈すべきものであり、上記主張のとおり、故障の「時期」まで予知するものに限定して解釈すべきものとはいえない。
そして、構成Dにおいて「前記振動試験装置の故障予知を行う」ことは、振動試験装置が故障する前の時点で、振動試験装置の故障が発生すること予知することを意味すると解釈した場合において、上記(3)アのとおり、相違点3に係る構成を含む本件発明1は、当業者が容易に発明することができたものとはいえないから、申立人の上記主張により、本件発明1が進歩性を有しないとはいえない。
(イ)異議申立書において、申立人は、
「しかしながら、これまで繰り返し述べてきたように、「故障の進行」と「可動部のクロストーク」が大きくなることとの間に「定性的な関係」があることは周知である(甲13.2等)。また、「可動部のクロストーク」等の振動を監視し、測定された「可動部のクロストーク」等の振動の大きさが、予め設定された閾値を超えると異常あるいは異常の予兆が発生したと判断して警報を発することも周知技術である(甲2.2、甲15.3、甲16.3)。このため、段落0038~段落0040開示されている「クロストークの大きさに基づく故障予知」は、「周知技術」あるいは少なくとも「当業者にとって容易に想到し得る技術」である。」(第112~113頁)
等の主張をしているので検討する。
上記(3)ア(イ)で示したとおり、いずれの甲号証にも、クロストークの大きさに基づいて故障予知を行う点は記載されていないから、上記「「クロストークの大きさに基づく故障予知」は、「周知技術」あるいは少なくとも「当業者にとって容易に想到し得る技術」である。」との主張は採用できない。
特に、上記主張の根拠としている甲号証に関して、甲第13号証には、上記(3)ア(イ)gに示したとおり、クロストークの発生を防ぐための部材が、限界荷重を超える荷重が負荷されて永久変形を起こすと、すぐに運転できなくなるわけではなく波形精度が悪くなり、そのまま何回も使うと、最終的には軸受部品が破損し運転できなくなる点が記載されているといえるが、故障の進行と可動部のクロストークが大きくなることとの間に定性的な関係があることが記載されているとはいえないし、仮に、甲13号証あるいは他の甲号証に故障の進行と可動部のクロストークが大きくなることとの間に定性的な関係があることが記載されているといえると解釈したとしても、クロストークを測定し、故障予知に用いることまで記載されているとはいえないから、「クロストークの大きさに基づく故障予知」が周知技術であるとはいえない。また、甲第2、15、16の1号証には、可動部のクロストークを監視する点は記載されていない。
以上より、申立人の上記主張は採用できない。
(4)小括
以上より、相違点1、2について論ずるまでもなく、本件発明1は、甲2発明1、及び、甲第1、3~17号証に開示された事項又は周知技術から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
3 本件発明2~9について
本件発明2~9はそれぞれ、本件特許の請求項1を直接又は間接的に引用する形式で記載された請求項2~9に係る発明であり、本件発明1の構成を全て含み、それをさらに減縮した発明であるから、甲2発明1とは、上記相違点1~3で少なくとも相違する。
そして、相違点3については、上記2(3)で検討したとおりであるから、本件発明2~9についても、本件発明1と同じ理由により、甲2発明1、及び、甲第1、3~17号証に開示された技術事項又は周知技術から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
4 本件発明10について
(1)対比
上記2(1)で説示した本件発明1と甲2発明1との対比をふまえ、本件発明10と甲2発明2とを対比する。
ア 構成Gについて
上記2(1)アの説示をふまえると、構成g、hより、甲2発明2は、構成Gに相当する構成を有するといえる。
イ 構成Hについて
上記2(1)イの説示をふまえると、構成hは、構成Hと、「磁束を発生させる磁束発生手段」「を備える振動試験装置の故障予知方法であ」る点で共通する。
ウ 構成Iについて
上記2(1)ウ、エの説示をふまえると、構成iは、構成Iと、「前記可動部の」移動を「センサを用いて測定し」、測定結果「に基づいて、故障予知を行う」点で共通する。
エ 構成Jについて
構成jの「残存寿命または消費寿命を決定する方法」は、構成Jの「故障予知方法」に相当する。
(2)一致点、相違点
上記(1)のとおりであるから、本件発明10と甲2発明2とは、下記アの点で一致し、下記イ~ウの点で相違する。
ア 一致点
「G 被試験体が搭載される可動部と、H’磁束を発生させる磁束発生手段を備える振動試験装置の故障予知方法であって、I’前記可動部の移動をセンサを用いて測定し、測定結果に基づいて、故障予知を行うJ 故障予知方法。」
イ 相違点4(構成H)
本件発明10は「透磁性を有する磁路部材と、該磁路部材に流れる磁束を発生させる磁束発生手段とを有する固定部と」を備えるのに対し、甲2発明2は「透磁性を有する磁路部材」「を有する固定部」を備えるとは特定されておらず、そのため、磁束発生手段についても、甲2発明2では、固定部が有するとは特定されていない点。
ウ 相違点5(構成I)
故障予知を行うことについて、本件発明10は、「前記可動部のクロストークを複数の1軸センサを用いて測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づ」くと特定されているのに対し、甲2発明2では、そのような特定が成されていない点。
(3)相違点に対する判断
事案に鑑み、相違点5について検討する。
上記2(3)にて示したとおり、可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて、故障予知を行う点は、いずれの甲号証にも記載されていないし、本件特許出願時における周知技術であるともいえない。
そうすると、いずれの甲号証にも上記相違点5に係る構成が記載されていないのであるから、甲2発明2に、甲第1、3~17号証に開示された事項、あるいは、甲第1、3~17号証に例示される周知技術を組み合わせても、上記相違点5に係る本件発明10の発明特定事項を有するものとはならない。
また、甲第1、3~17号証のいずれかに記載された発明を主引用発明としても、いずれの甲号証にも可動部のクロストークを測定し、該クロストークの振幅の大きさに基づいて、故障予知を行う点は記載されていないから、他の相違点について検討するまでもなく、当業者が本件発明10に係る発明を容易に想到できるとはいえない。
(4)小括
以上より、相違点4について論ずるまでもなく、本件発明10は、甲2発明2、及び、甲第1、3~17号証に開示された技術又は周知技術から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
5 本件発明11~16について
本件発明11~16は、本件の請求項10を直接又は間接的に引用する形式で記載された請求項11~16に係る発明であり、本件発明10の構成を全て含み、さらにそれを減縮した発明であるから、甲2発明2とは、上記相違点4、5で少なくとも相違する。
そして、相違点5については、上記4(3)で検討したとおりであるから、本件発明11~16についても、本件発明10と同じ理由により、甲2発明2、及び、甲第1、3~17号証に開示された技術又は周知技術から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
6 まとめ
以上のとおりであるので、上記第3に示した異議申立理由は、理由がない。
第5 むすび
以上のとおり、申立人が特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1~16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700246