特許異議申立
2025-700222
パレタイズ装置
- 審判番号
- 2025-700222
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-066059
- 登録番号
- 7539686
- 請求日
- 2025年02月25日
- 審決日
- 2025年07月31日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社スター精機
- 【権利者代理人】山田 強
- 【権利者代理人】塩谷 尚人
- 【異議申立人】山本 肇
- 審判長/審判官
- 審判長 本庄 亮太郎
- 審判官 刈間 宏信
- 審判官 大山 健
- 分類
- P1651.121-Y (B25J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7539686号発明「パレタイズ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7539686号の請求項1~4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7539686号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、令和2年(2020年)4月1日の出願であって、令和6年8月16日にその特許権の設定登録がされ、同月26日に特許掲載公報が発行された。
その後、令和7年2月25日に、特許異議申立人 山本肇(以下「申立人」という。)は、本件特許の請求項1~4に係る特許に対する特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件発明1」などという。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~4に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
一対の把持片によりワークを挟持して把持する把持部と、
前記把持部を移動させて前記ワークを搬送する搬送部と、
前記把持部及び前記搬送部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記ワークを順次搬送してパレットに積載するパレタイズ装置において、
前記制御部は、前記把持部を前記パレットの積載面に沿って移動させるように前記搬送部を制御することにより、前記把持片に前記ワークを押し込む動作を行わせ、前記押し込む動作によって前記パレット上にある複数の前記ワーク同士の隙間を埋める隙間埋め制御を実行するものであって、
前記制御部は、前記隙間埋め制御において、前記ワークを把持している前記把持部を移動させることにより、すでに前記パレットに設置されているワーク同士の隙間を埋める、パレタイズ装置。
【請求項2】
前記把持片は、プレート状に形成されており、
前記一対の把持片のうち第1の把持片は、第2の把持片に対して、前記第1の把持片の下端部が前記第2の把持片の側に近づくように、傾いている請求項1に記載のパレタイズ装置。
【請求項3】
前記第2の把持片は、上下方向に沿って伸びるように形成された補強部材により補強されている請求項2に記載のパレタイズ装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記把持部を水平方向において直交する2方向、及び上下方向に直動可能に構成されている請求項1~3のうちいずれか1項に記載のパレタイズ装置。」
第3 特許異議申立理由の概要及び証拠
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として以下の甲第1号証及び従たる証拠として以下の甲第2号証~甲第7号証を提出し、請求項1~4に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~4に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。
2 証拠
申立人が異議申立書に添付して提出した証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証:米国特許第4772170号明細書
甲第2号証:特公平5-85313号公報
甲第3号証:特開2000-309426号公報
甲第4号証:特開平11-278670号公報
甲第5号証:特開平9-142406号公報
甲第6号証:特開平9-193860号公報
甲第7号証:特開2002-308238号公報
(以下、各甲号証を「甲1」などという。)
第4 当審の判断
1 各甲号証の記載事項、甲1発明及び甲2~甲5記載の技術的事項
(1)甲1の記載事項及び甲1発明
ア 甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。(括弧内に、当審での翻訳文を付記する。翻訳文の下線は当審で付したものである。下線については、以下同様。)
(ア)1ページ右上[57]欄「ABSTRACT
A method of stacking boxes, cases, cartons, ・・・without disturbing the placement of the last-lifted box.」
(箱、ケース、カートン、木箱などを積み重ねる方法で、この方法は、持ち上げる箱を挟んで挟むことができる、独立して移動可能な2つのグリッパーを備えた持ち上げグラブを備えたコンピュータ制御の装置を使用する。第1段階では、グラブを積載ステーションに配置し、グリッパーを相対的に離し、次に積み重ねる箱の上にグラブを下ろす。次に、一方のグリッパーを基準位置に移動し、もう一方のグリッパーを一方のグリッパーに向かって移動させて、その間に箱を挟む。グラブを持ち上げ、挟んだ箱と一緒に積み重ねステーションに移動し、そこでグラブを精密に位置決めして、組み立て中の積み重ねに、一方のグリッパーを前に積み重ねた箱の横に正しく配置する。持ち上げた箱は、もう一方のグリッパーを一方のグリッパーから離すことによって解放され、次に、最後に持ち上げた箱の配置を乱すことなく、積み重ねから離れてグラブを持ち上げる。)
(イ)8ページ5欄34~52行
「Next, as illustrated diagrammatically in FIG. 4,・・・and any previously-laid box (such as box 23) in the same layer.」
(次に、図4に図式的に示すように、グラブ15が上昇して箱21を拾い上げ、必要に応じて3次元的に移動させ、垂直軸を中心に回転させて、箱21が必要な最終位置にほぼ重なるまで移動させるが、組み立て中のスタックの同じ層に既に置かれている箱から少し離れて横方向に移動させる。図5は、箱21が、箱が置かれる表面22からちょうど離れるまで下降する様子を示しており、この表面は、パレットなどの適切なサポート、またはスタック内の既に置かれている箱の層の上面のいずれかで構成されている。図5には、以前に置かれた箱23も示されており、箱21はその箱23の右側(図中)に横方向にずれて配置されている。箱21が必要な最終位置から横方向にずれていることを考慮すると、箱21を下ろす際に、箱21と、同じ層に以前に置かれた箱(箱23など)との間に衝突の危険はない。)
(ウ)8ページ5欄53~58行
「The position of the grab 15 is then finely adjusted・・・then moved away from gripper plate 17 so as to release box 21.」
(次に、箱21が必要な最終位置に達するまで、グラブ15の位置を微調整し、この最終位置では、グリッパープレート17が、同じ層に先に置かれていた箱23の側面に実質的に接触する。次に、グリッパープレート18がグリッパープレート17から離されて、箱21が解放される。)
(エ)Fig.1~Fig.8(図1~図8)
「
[図:0001426844000001.jpg]
」
イ 甲1の記載事項から理解できる技術的事項
上記アの甲1の記載事項から、以下の技術的事項を理解できる。(括弧内に甲1の記載箇所を付記する。)
(ア)甲1には、2つのグリッパープレート17、18(上記ア(ウ))を有するグラブ15を備えた装置を使用して、箱を積み重ねること(上記ア(ア))が記載されており、この装置は、グリッパープレート17、18の間に箱を挟んで(上記ア(ア))、箱をパレットの表面22に置くことができる(上記ア(イ))から、パレタイズ装置ということができる。
(イ)甲1のパレタイズ装置は、グラブ15で箱21を3次元的に移動できる(上記ア(イ))から、グラブ15を移動するための移動部を備えることは明らかであり、さらに、その移動を制御するコンピュータ制御部(上記ア(ア))を備えている。
(ウ)甲1のパレタイズ装置は、箱21が最終位置に達するまで、グラブ15の位置を微調整する(上記ア(ウ))が、図5~図6(上記ア(エ))を参照すると、グラブ15をパレットの表面22に沿って移動させるように移動部を制御しているといえ、その制御により、グリッパープレート17が、先に置かれていた箱23の側面に接触する動作(上記ア(ウ))を行わせるといえる。
ウ 甲1発明
上記イの技術的事項を本件発明1の記載に沿って整理すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「2つのグリッパープレート17、18の間に箱21を挟むグラブ15と、
前記グラブ15を移動させて前記箱21を移動する移動部と、
前記グラブ15及び前記移動部の動作を制御するコンピュータ制御部と、を備え、
前記箱21を順次移動してパレットの表面22に置くパレタイズ装置において、
前記コンピュータ制御部は、前記グラブ15をパレットの表面22に沿って移動させるように前記移動部を制御することにより、前記グリッパープレート17が、先に置かれていた箱23の側面に接触する動作を行わせるものである、パレタイズ装置。」
(2)甲2の記載事項及び甲2記載の技術的事項
ア 甲2の記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア)3欄35~39行
「このロボツトハンド6は、箱状の被搬送物の一面を吸着する真空吸着盤31を、この真空吸着盤31から前方に延び被搬送物の一面に隣接する隣接面を支持する支持板32とを有する。」
(イ)5欄24~35行
「第10図は、ロボツトハンド6による中箱Bの取り出し工程を示す。ロボツト6は、同図のA~Cに示すように、支持板32を略水平として中箱切り出し供給装置5の取り出し位置の中箱Bを下方からすくい上げるように移動させ、かつ真空吸着盤31で中箱Bを吸着する。
この後、ロボツトハンド6を下降させ、把持している中箱Bを、第11図のように傾斜装置3上の斜めの外箱A内に箱詰めする。この場合にロボツトハンド6が目標位置に到着した時に真空バルブを閉じる。そうすると、中箱Bが支持板32上を滑り落ち、所定の位置に箱詰めされる。」
(ウ)6欄6~13行
「さらに、第9図のように、1段の最後の狭い空間に中箱Bを詰める際に、支持板32により横方向の押し付け力Fを与えながら箱詰めすることができる。そのため、空間にゆとりができ、吸着面の剥離を防止して円滑に箱詰めすることができる。また、支持板32による支持のため、箱詰め時の中箱Bのずれを防止でき、所定位置に正確に箱詰めすることができる。」
(エ)7欄5行~8欄3行
「〔発明の効果〕
この発明のロボツトハンドは、真空吸着盤からこの真空吸着盤の前方へ延びる支持板を設けて真空吸着盤で箱状の被搬送物の一面を吸着し、支持板で被搬送物の隣接面を支持しているので、真空吸着盤による吸着力の作用方向に対して傾いた荷重を支持板で受けることができる。そのため、被搬送物を斜め姿勢に吸着して箱詰め等を行うことができ、また慣性による落下が防止でき、高速搬送が可能となる。しかも、被搬送物を横側から取りに行くことができ、搬送経路の短縮が図れる。さらに、支持板により横方向の押し付け力を与えながら箱詰めすることができ、寸法精度が悪く余裕のない外箱に対しても円滑に箱詰めすることができる。また、支持板による支持のため、被搬送物の箱詰め時のずれを防止でき、所定位置に正確に箱詰めすることができるという効果がある。」
(オ)第9図
「
[図:0001426844000002.jpg]
」
イ 甲2記載の技術的事項
上記アの甲2の記載事項から、以下の技術的事項を理解できる。(括弧内に甲2の記載箇所を付記する。)
「中箱Bの一面を吸着する真空吸着盤31と、中箱Bの一面に隣接する隣接面を支持する支持板32とを有するロボツトハンド6(上記ア(ア))で、中箱Bを下方からすくい上げるように吸着し、斜めの外箱A内に箱詰めする(上記ア(イ))装置において、最後の狭い空間に中箱Bを詰める際に、支持板32により横方向の押し付け力Fを与えながら箱詰めすること(上記ア(ウ))で、寸法精度が悪く余裕のない外箱に対しても円滑に箱詰めすることができ、被搬送物の箱詰め時のずれを防止でき、所定位置に正確に箱詰めできる(上記ア(エ))こと。」
(以下「甲2記載の技術的事項」という。)
(3)甲3の記載事項及び甲3記載の技術的事項
ア 甲3の記載事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【0050】次に、図5に示すように、積載ユニット6を上昇して、保持アーム31、31で保持したパイプAを、供給位置aから積載位置bに移動させ、待機する台車7上方に停止する。この時、パイプAの両端部を受け板41で略水平に支持し、パイプAの両端部に規制板44を当接して、パイプA端部に被覆した閉塞部材が脱落するのを防止する。」
「【0056】上述と同様に、移載ユニット6を、供給位置aと積載位置bとに往復移動させ、複数本のパイプAを台車7に積載する。後続のパイプAを積載するとき、保持アーム31、31を水平移動したり、開角動作する等して、先に積載したパイプA側部に、後続のパイプAを密着又は近接した状態に積載する。」
「【0058】パイプAを、台車7の最上段両側部に積載するとき、保持アーム31、31の開動作が台車7の両側上部に架設した横枠7cにより妨げられるので、保持アーム31、31を水平移動したり、開角動作する等して、パイプA(又はパイプ群B)を、台車7の縦枠7bに密着又は近接して積載する。」
図7
「
[図:0001426844000003.jpg]
」
図8
「
[図:0001426844000004.jpg]
」
イ 甲3記載の技術的事項
上記アの甲3の記載事項から、以下の技術的事項を理解できる。
「保持アーム31、31でパイプAを保持して台車7に積載する(【0050】)装置において、後続のパイプAを積載するとき、保持アーム31、31を水平移動したり、開角動作する等して、先に積載したパイプA側部に、後続のパイプAを密着又は近接した状態に積載したり(【0056】)、パイプAを台車7の最上段両側部に積載するとき、保持アーム31、31を水平移動したり、開角動作する等して、パイプAを、台車7の縦枠7bに密着又は近接して積載する(【0058】)こと。」
(以下「甲3記載の技術的事項」という。)
(4)甲4の記載事項及び甲4記載の技術的事項
ア 甲4の記載事項
甲4には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】適宜本数の長尺物を整列して台車に積載する長尺物積載装置であって、上記台車側部に供給された長尺物を保持して、該台車の両側縁部に形成した壁部間に上方から積載し、上記長尺物を台車の壁部に対して密着される状態に幅寄せして積載する積載手段を設けた長尺物積載装置。
【請求項2】上記長尺物の両端部を保持して該長尺物を台車に積載する一対の端部保持手段を設けた請求項1記載の長尺物積載装置。」
「【0010】
【作用】請求項1記載の長尺物積載装置は、積載手段で保持した長尺物を、台車の両側縁部に形成した壁部間に上方から積載すると共に、台車に形成した壁部に対して密着される状態に幅寄せして降下させ、台車の角隅部に対して長尺物を密着した状態又は密着に近い状態に近接して積載した後、先に積載された長尺物の側部周面に密着して、後続の長尺物を順次積載するので、適宜本数の長尺物を整列した状態に安定して積載することができる。」
「【0024】保持チャック20は、昇降枠19の左右端部に対して保持板23、24を相対向して取付けている。
【0025】一方の保持板23は、パイプA及びパイプ群Bの側部周面に対して垂直に当接される板形状(例えばI字形)であって、台車5の右側壁部5bに対してパイプA及びパイプ群Bが密着した状態に近接される板厚に形成している。
【0026】他方の保持板24は、パイプA及びパイプ群Bの下部周面が支持される凹形状(例えばL字形)であって、台車5の積載部5aに対してパイプA及びパイプ群Bが密着した状態に積載される板厚に形成している。なお、保持板24の角部は、約60度又はその他の積載作業が容易に行える角度に折曲げ形成している。」
「【0040】上述と同様に、図7に示すように、保持チャック20を、保持位置aと積載位置bとに往復移動させ、保持チャック20で保持したパイプAを、先に積載されたパイプAの側部周面に密着又は近接して、後続のパイプA・・・を台車5の積載部5aに順次積載する。」
図7
「
[図:0001426844000005.jpg]
」
イ 甲4記載の技術的事項
上記アの甲4の記載事項から、以下の技術的事項を理解できる。
「相対向する保持板23、24(【0024】)によりパイプAを保持して台車5に積載する長尺物積載装置(【請求項1】)において、台車5の角隅部に対してパイプAを密着した状態又は密着に近い状態に近接して積載した後、先に積載されたパイプAの側部周面に密着して、後続のパイプAを順次積載する(【0010】、【0040】)こと。」
(以下「甲4記載の技術的事項」という。)
(5)甲5の記載事項及び甲5記載の技術的事項
ア 甲5の記載事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
「【0028】次に、押圧板31が互いに接近し、各包装体5の幅が狭くなるように幅寄せする。幅よせされた包装体5の後方に、供給装置38のけりだし板40が昇降シリンダ42により下降し、更に、摺動シリンダ43がスライド体41を前方に移動させるため、載置台30上の包装体5はトレー39上に移送される(図8(ロ)参照)。」
「【0029】上記説明した工程を更に繰り返すことにより、後続の包装体5もけりだし板40により、トレー39上に移送されこととなるが、けりだし板40で後続の2列目の包装体5を押す際に、該2列目の包装体5は前記一列目の包装体5を押し出すこととなり、ここに、トレー39上には2列の合計20個の包装体5が載置されている(図9(イ),(ロ)参照)。」
図9
「
[図:0001426844000006.jpg]
」
イ 甲5記載の技術的事項
上記アの甲5の記載事項から、以下の技術的事項を理解できる。
「けりだし板40で載置台30上の包装体5がトレー39上に移送される(【0028】)工程が繰り返され、けりだし板40で後続の2列目の包装体5を押す際に、該2列目の包装体5が1列目の包装体5を押し出す(【0029】)こと。」
(以下「甲5記載の技術的事項」という。)
2 本件発明1の進歩性について
(1)対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「2つのグリッパープレート17、18」が本件発明1の「一対の把持片」に相当することは明らかであり、以下同様に、「箱21」が「ワーク」に、「間に箱21を挟む」ことが「ワークを挟持して把持する」ことに、「グラブ15」が「把持部」に、「移動する移動部」が「搬送する搬送部」に、「コンピュータ制御部」が「制御部」に、「パレットの表面22に置く」ことが「パレットに積載する」ことに、それぞれ相当する。
(2)一致点及び相違点
上記(1)から、本件発明1と甲1発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「一対の把持片によりワークを挟持して把持する把持部と、
前記把持部を移動させて前記ワークを搬送する搬送部と、
前記把持部及び前記搬送部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記ワークを順次搬送してパレットに積載するパレタイズ装置において、
前記制御部は、前記把持部を前記パレットの積載面に沿って移動させるように前記搬送部を制御する、パレタイズ装置。」
である点。
[相違点]
本件発明1の制御部は、「前記把持片に前記ワークを押し込む動作を行わせ、前記押し込む動作によって前記パレット上にある複数の前記ワーク同士の隙間を埋める隙間埋め制御を実行するものであって、」「前記隙間埋め制御において、前記ワークを把持している前記把持部を移動させることにより、すでに前記パレットに設置されているワーク同士の隙間を埋める」ものであるのに対して、
甲1発明の制御部(コンピュータ制御部)は、「前記グリッパープレート17が、先に置かれていた箱23の側面に接触する動作を行わせる」ものである点。
(3)相違点の判断
ア 本件発明1の制御部は、相違点に係る「隙間埋め制御」を実行するものであるところ、この隙間埋め制御は、「前記ワークを把持している前記把持部を移動させることにより、すでに前記パレットに設置されているワーク同士の隙間を埋める」ものであり、より具体的に説明すると、あらかじめパレットに設置されているワーク同士の隙間、すなわち、本件特許の願書に添付した図5(a)のワークW1とワークW2との間の隙間について、ワークW3を把持しているチャックハンド部20を、図5(c)のように、左に移動させて、ワークW2を左に押し込むことで、上記の隙間を埋める制御である。
本件特許の願書に添付した図5(a)~(d)
[図:0001426844000007.jpg]
イ 本件発明1の隙間埋め制御について、申立人が提出した甲1~甲7には記載されておらず、また、当業者にとって自明な制御であると評価するに足る証拠はないから、相違点に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2~甲7に基づいて、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
ウ これに対して、申立人は、「すでに設置されているワーク同士の隙間を、後から置くワークを把持している把持部を移動させることにより埋めること」(異議申立書11ページ下から8~5行)が、甲2~甲5に示すように搬送ロボットの技術分野において周知の技術であり、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲5に示す周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである旨を主張している。(異議申立書11ページ下から8行~12ページ9行)
しかし、以下に説示するとおり、甲2~甲5には、申立人がいう周知の技術が示されていないから、申立人の当該主張は採用できない。
エ まず、甲2について検討すると、甲2記載の技術的事項は、上記1(2)イのとおりであって、本件発明1の「ワーク」に相当する「中箱B」は、吸着盤31で吸着されるものであり、把持部で把持されるものではないから、申立人がいう周知の技術における「ワークを把持している把持部」が記載されていない。なお、甲2の5欄30行には「把持」という用語が記載されているが、当該記載を根拠として、甲2の中箱Bが「把持」、すなわち、一対の把持片により挟持されるものであると認定することはできない。
さらに、仮に、把持部の相違を考慮しないとしても、甲2には、申立人が周知の技術と主張する「すでに設置されているワーク同士の隙間を、後から置くワーク」「を移動させることにより埋めること」についても、記載されていない。すなわち、甲2における「すでに設置されているワーク同士」は、第9図の外箱Aの左下側に箱詰めされた2つの中箱Bを意味するが、当該2つの中箱Bの隙間は、後からワークを箱詰めするよりも前に、重力により埋められていることが明らかであるから、後から置く中箱Bを移動させて、外箱Aの左下側に箱詰めされた2つの中箱Bの隙間を埋めることは、全く記載されていない。
したがって、甲2には、上記ウの周知の技術が示されていない。
オ 次に、甲3について検討すると、甲3記載の技術的事項は、上記1(3)イのとおりであって、後続のパイプAを積載するとき、先に積載したパイプA側部に、後続のパイプAを密着又は近接した状態に積載することが示されているにすぎず、先に積載した2つのパイプAの間の隙間について、後続のパイプAを保持する保持アーム31、31を水平移動させることにより埋めることまでは、記載されていない。
したがって、甲3には、上記ウの周知の技術が示されていない。
カ さらに、甲4について検討すると、甲4記載の技術的事項は、上記1(4)イのとおりであって、先に積載されたパイプAの側部周面に密着して、後続のパイプAを順次積載することが示されているにすぎず、先に積載した2つのパイプAの間の隙間について、後続のパイプAを保持する保持チャック20を移動させることにより埋めることまでは、記載されていない。
したがって、甲4には、上記ウの周知の技術が示されていない。
キ 最後に、甲5について検討すると、甲5記載の技術的事項は、上記1(5)イのとおりであって、甲5の「けりだし板40」が本件発明1の「把持部」に相当するものでないことは明らかであるし、けりだし板40で後続の2列目の包装体5を押す際に、該2列目の包装体5が1列目の包装体5を押し出すことが示されているにすぎず、先に積載した包装袋5は、1列目のものだけであるから、そもそも、「すでに設置されているワーク同士の隙間」に相当する隙間が存在しない。
したがって、甲5には、上記ウの周知の技術が示されていない。
そして、甲6~甲7を参照しても、上記ウの周知の技術は示されていないから、申立人が提出した甲2~甲7には、本件発明1の隙間埋め制御が記載されておらず、申立人の上記ウの主張は採用できない。
(4)本件発明1の進歩性の小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明2~4の進歩性について
本件発明2~4は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第5 むすび
したがって、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700222