特許異議申立
2025-700153
微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット及び洗面台用水栓装置
- 審判番号
- 2025-700153
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-079302
- 登録番号
- 7527749
- 請求日
- 2025年02月05日
- 審決日
- 2025年11月07日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社富士計器
- 【権利者代理人】西山 善章
- 【異議申立人】竹内 一喜
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 立澤 正樹
- 審判官 有家 秀郎
- 分類
- P1652.85 -YAA(E03C) / P1652.121-YAA(E03C) / P1652.537-YAA(E03C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条、特許法第29条、特許法第115条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7527749号発明「微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット及び洗面台用水栓装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7527749号の特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-15〕について訂正することを認める。
特許第7527749号の請求項1ないし9及び15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7527749号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし15に係る特許についての出願は、令和5年5月12日に出願され、令和6年7月26日にその特許権の設定登録がされ、同年8月5日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、令和7年2月5日に、特許異議申立人 竹内 一喜(以下「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1ないし9及び15に係る特許について、特許異議の申立てがされた。
本件特許異議の申立て以降の経緯の概要は、次のとおりである。
令和7年 2月 5日 特許異議の申立て
同年 4月 3日付け 取消理由通知書
同年 6月 3日 特許権者より意見書及び訂正請求書の提出
同月12日付け 手続補正指令書(方式)
同年 7月11日 特許権者より手続補正書の提出
同年 8月22日 申立人より意見書の提出
以下、特許権者が令和7年6月3日に提出した意見書を、「特許権者意見書」といい、申立人が同年8月22日に提出した意見書を、「申立人意見書」という。
第2 訂正の適否
1 訂正請求の趣旨と訂正の内容
令和7年7月11日提出の手続補正書により補正された同年6月3日提出の訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)による訂正請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許第7527749号の特許請求の範囲及び明細書を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-15〕について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記洗面台内に設けられている温水供給口に接続されて温水を通す温水チューブ管と、前記洗面台内に設けられている冷水供給口に接続されて冷水を通す冷水チューブ管と、前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口と、前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口と、温水と冷水の混合水を排出する混合水排水口と、を有し、温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排水口から排水する混合栓と、前記混合栓の混合水排水口に接続され、前記混合水をシャワーヘッドを備える水栓に導く混合水チューブ管と、前記混合水チューブ管の途中に接続され、前記混合水中に含まれる空気泡を微細サイズに粉砕して微細気泡水を生成する微細気泡水生成器と、を備え、前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ、且つ、前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ、前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向の断面形状は、概ね正六角形を成す」
と記載されているのを、
「前記洗面台内に設けられている温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し、温水を通す温水チューブ管と、前記洗面台内に設けられている冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し、冷水を通す冷水チューブ管と、前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口と、前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口と、温水と冷水の混合水を排出する混合水排出口と、を有し、温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排出口から混合水を排出する混合栓と、前記混合栓の混合水排出口に接続され、前記混合水をシャワーヘッドを備える水栓に導く混合水チューブ管と、前記混合水チューブ管の途中に接続され、前記混合水中に含まれる空気泡を微細サイズに粉砕して微細気泡水を生成する微細気泡水生成器と、を備え、前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向における断面形状が、概ね正六角形を成す」
に訂正する。
(請求項1を引用する訂正後の請求項2-15も、同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「温水接続口」と記載されているのを、「温水管接続口」に訂正する。
(請求項2を引用する訂正後の請求項4-7、9-15も、同様に訂正する。)
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「冷水接続口」と記載されているのを、「冷水管接続口」に訂正する。
(請求項3を引用する訂正後の請求項4-7、9-15も、同様に訂正する。)
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9に、
「前記微細気泡水生成器は、前記混合栓の混合水排水口からの温水と冷水の混合水を受水する微細気泡水生成器における受水管口から流入する混合水を、その中央内部の円筒状内に形成された流水路が形成され、空気を含んだ水道水が、円錐形状の流水路の壁に流速を速めて通過する際に、水道水が流水路のラッパ状の略円錐状の内壁に接触及び衝突し、その後に、ラッパ状にその径が漸次拡がった流水路を通過する」
と記載されているのを、
「前記微細気泡水生成器は、前記混合栓の混合水排出口からの温水と冷水の供給される混合水を受水する混合水入水口と、前記混合水入水口からの混合水の流水路の径を漸次狭くする円錐形状の第1の流水路と、前記第1の流水路に接続されその流水路の径を漸次広くする円錐形状の第2の流水路と、前記第2の流水路に接続されて混合水を排出する混合水排水口と、を有し、前記混合水入水口には、円状に等間隔で複数設けられた取水孔を有する取水プレートが設けられ、前記混合水入水口から流れ込む混合水が、前記取水プレートに設けられた複数の取水孔を通過して前記第1の流水路の内壁に衝突し、その後、前記第2の流水路を通過して前記混合水排水口から排出される」
に訂正する。
(請求項9を引用する訂正後の請求項10-14も、同様に訂正する。)
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10に、
「前記微細気泡水生成器の前記受水管口には、複数の取水孔を有する取水プレートが設けられ、当該取水孔は、その入口側から出口側に向けての中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し傾斜している」
と記載されているのを、
「前記取水プレートにおける前記複数の取水孔は、その入口側から出口側に向けての中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し傾斜している、ことを特徴とする」
に訂正する。
(請求項10を引用する訂正後の請求項11-14も、同様に訂正する。)
(6)訂正事項6
明細書の段落【0001】に「アップグレードするため洗面台用水栓キット」と記載されているのを、「アップグレードするための洗面台用水栓キット」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0015】に「アップグレードするため洗面台用水栓キット」と記載されているのを、「アップグレードするための洗面台用水栓キット」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の段落【0016】に「前記洗面台内に設けられている温水供給口に接続されて温水を通す温水チューブ管と、前記洗面台内に設けられている冷水供給口に接続されて冷水を通す冷水チューブ管と、前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口と、前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口と、温水と冷水の混合水を排出する混合水排水口と、を有し、温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排水口から排水する混合栓と、前記混合栓の混合水排水口に接続され、前記混合水をシャワーヘッドを備える水栓に導く混合水チューブ管と、前記混合水チューブ管の途中に接続され、前記混合水中に含まれる空気泡を微細サイズに粉砕して微細気泡水を生成する微細気泡水生成器と、を備え、前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ、且つ、前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ、前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向の断面形状は、概ね正六角形を成す、こと」と記載されているのを、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し、温水を通す温水チューブ管と、前記洗面台内に設けられている冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し、冷水を通す冷水チューブ管と、前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口と、前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口と、温水と冷水の混合水を排出する混合水排出口と、を有し、温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排出口から混合水を排出する混合栓と、前記混合栓の混合水排出口に接続され、前記混合水をシャワーヘッドを備える水栓に導く混合水チューブ管と、前記混合水チューブ管の途中に接続され、前記混合水中に含まれる空気泡を微細サイズに粉砕して微細気泡水を生成する微細気泡水生成器と、を備え、前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向における断面形状が、概ね正六角形を成すこと」に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の段落【0017】に「前記洗面台内の前記温水供給口」、「温水接続口」と記載されているのを、「前記洗面台内の温水供給口」、「温水管接続口」にそれぞれ訂正する。
(10)訂正事項10
明細書の段落【0018】に「前記洗面台内の前記冷水供給口」、「冷水接続口」と記載されているのを、「前記洗面台内の冷水供給口」、「冷水管接続口」にそれぞれ訂正する。
(11)訂正事項11
明細書の段落【0023】に「この微細気泡水生成器の内部構造は、前記混合栓の混合水排水口からの温水と冷水の混合水を受水する微細気泡水生成器における受水管口から流入する混合水を、その中央内部の円筒状内に形成された流水路が形成され、空気を含んだ水道水が、円錐形状の流水路の壁に流速を速めて通過する際に、水道水が流水路のラッパ状の略円錐状の内壁に接触及び衝突し、その後に、ラッパ状にその径が漸次拡がった流水路を通過するように形成さえている」と記載されているのを、「この微細気泡水生成器は、前記混合栓の混合水排出口からの温水と冷水の供給される混合水を受水する混合水入水口と、前記混合水入水口からの混合水の流水路の径を漸次狭くする円錐形状の第1の流水路と、前記第1の流水路に接続されその流水路の径を漸次広くする円錐形状の第2の流水路と、前記第2の流水路に接続されて混合水を排出する混合水排水口と、を有し、前記混合水入水口には、円状に等間隔で複数設けられた取水孔を有する取水プレートが設けられ、前記混合水入水口から流れ込む混合水が、前記取水プレートに設けられた複数の取水孔を通過して前記第1の流水路の内壁に衝突し、その後、前記第2の流水路を通過して前記混合水排水口から排出されるように形成されている」に訂正する。
(12)訂正事項12
明細書の段落【0025】に「この取水孔は、円状に等間隔で複数設けられる。さらに、この取水孔を水の入口側から出口側に向けて屈曲形成させると共に、前記取水孔の内面」と記載されているのを、「この取水孔は、円状に等間隔でその入口側から出口側に向けて屈曲形成させるべく各取水孔の中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し傾斜させると共に、各取水孔の内面」に訂正する。
(13)訂正事項13
明細書の段落【0038】に「温水接続口」と記載されているのを、「温水管接続口」に訂正する。
(14)訂正事項14
明細書の段落【0039】に「冷水接続口」と記載されているのを、「冷水管接続口」に訂正する。
(15)訂正事項15
明細書の段落【0043】に「図4において、洗面台40には、ごみ入れを備える排水口41と排水口41から、排水」と記載されているのを、「図2において、洗面台40には、ごみ入れを備える排水口41から排水」に訂正する。
(16)訂正事項16
明細書の段落【0048】に「本発明に係る水生成器付き洗面台用水栓キット」と記載されているのを、「本発明に係る微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット」に訂正する。
(17)訂正事項17
明細書の段落【0051】に「本発明に係る水生成器付き洗面台用水栓キット」と記載されているのを、「本発明に係る微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット」に訂正する。
(18)訂正事項18
明細書の段落【0057】に「図8(b)に示す混合水排水口」と記載されているのを、「図8(b)に示すように、微細気泡水生成器30の混合水排水口」に訂正する。
(19)訂正事項19
明細書の段落【0058】に「取水プレート34が取り付けさられ」、「混合水排水口」と記載されているのを、「取水プレート34が取り付けされ」、「微細気泡水生成器30の混合水排水口」にそれぞれ訂正する。
(20)訂正事項20
明細書の段落【0067】に
「100 微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット
101 洗面台用水栓装置
30 微細気泡水生成器
40 洗面台
10 混合栓
11 操作レバー(混合栓シングルレバー)
12 シャワーヘッド
14 混合水生成機構
21 温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口
22 冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口
23 温水管接続口(混合栓内)
24 冷水管接続口(混合栓内)
25 温水チューブ管
26 冷水チューブ管
27 混合水チューブ管
27-1 第1の混合水チューブ管(混合水栓と微細気泡水生成器間)
27-2 第2の混合水チューブ管(微細気泡水生成器間とシャワーヘッド間)
34 微細気泡水生成器を構成する取水プレート
35-1,35-2,35-3,35-4 取水孔
32 第1の流水路(微細気泡水生成器)
33 第2の流水路(微細気泡水生成器)」
と記載されているのを、
「100 微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット
101 洗面台用水栓装置
30 微細気泡水生成器
30-1 微細気泡水生成器の混合水入水口
30-2 微細気泡水生成器の混合水排水口
40 洗面台
10 混合栓
11 操作レバー(混合栓シングルレバー)
12 シャワーヘッド
14 混合水生成機構
20 混合栓における混合水排出口
21 温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口
22 冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口
23 温水管接続口(混合栓内)
24 冷水管接続口(混合栓内)
25 温水チューブ管
26 冷水チューブ管
27 混合水チューブ管
27-1 第1の混合水チューブ管(混合水栓と微細気泡水生成器間)
27-2 第2の混合水チューブ管(微細気泡水生成器間とシャワーヘッド間)
28 温水供給口
29 冷水供給口
34 微細気泡水生成器を構成する取水プレート
35-1,35-2,35-3,35-4 取水孔
32 第1の流水路(微細気泡水生成器)
33 第2の流水路(微細気泡水生成器)」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項追加の有無、独立特許要件、及び訂正の単位について
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1の詳細
訂正事項1は、詳細にみると、訂正前の請求項1に係る発明について、以下の訂正事項1-1~訂正事項1-5の訂正を行うものと認められる。
(ア)訂正事項1-1
訂正前の請求項1における「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ」の記載のうち、「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に」の記載を削除し、「着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ」の記載を、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に接続されて温水を通す温水チューブ管と」の記載中に移して、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し、温水を通す温水チューブ管」と整理する。
(イ)訂正事項1-2
訂正前の請求項1における「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ」の記載のうち、「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に」の記載を削除し、「着脱自在に接続可能な冷水接続口が設けられ」の記載を、「前記洗面台内に設けられている冷水供給口に接続されて冷水を通す冷水チューブ管」の記載中に移して、「前記洗面台内に設けられている冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し、冷水を通す冷水チューブ管」と整理する。
(ウ)訂正事項1-3
訂正前の請求項1における「混合水排水口」の記載を、「混合水排出口」に訂正する。
(エ)訂正事項1-4
訂正前の請求項1における「温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して・・・排水する混合栓」の記載を、「温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して・・・混合水を排出する混合栓」に訂正する。
(オ)訂正事項1-5
訂正前の請求項1における「前記混合水の水流方向の鉛直方向の断面形状は、概ね正六角形を成す」の記載を、「前記混合水の水流方向の鉛直方向における断面形状が、概ね正六角形を成す」に訂正する。
イ 訂正の目的
(ア)訂正事項1-1について
訂正前の請求項1は、「前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口・・・を有し、・・・排水する混合栓」という記載から、「温水管受水口」は「混合栓」が有するものであり、「混合栓」が「温水管受水口」を有することは、明細書の段落【0032】における、「混合栓10」が「温水管受水口21」を有する旨の記載とも整合していた。
そうであるところ、訂正前の請求項1における「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に」という記載は、「温水チューブ管」が「温水管受水口」を有するような表記となっている点で、同訂正前の請求項1において特定される、「混合栓」が「温水管受水口」を有する構成と整合しないから、明細書の段落【0032】等の記載を考慮すれば、誤記を含むものであった。
また、訂正前の請求項1における「着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ」という記載は、直前に記載される「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に」という記載が誤記を含むことを踏まえると、他の部材との関係が明確に特定されない、不明瞭なものであった。
そうすると、訂正事項1-1において、「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に」の記載を削除した点は、誤記の訂正を目的としたものと認められ、また、「着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ」の記載を、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に接続されて温水を通す温水チューブ管と」の記載中に移して、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し、温水を通す温水チューブ管」と整理した点は、「温水接続口」を「温水管接続口」とした表記の修正を含めて、不明瞭な記載の釈明、及び特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
したがって、訂正事項1-1は、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
(イ)訂正事項1-2について
訂正前の請求項1は、「前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口・・・を有し、・・・排水する混合栓」という記載から、「冷水管受水口」は「混合栓」が有するものであり、「混合栓」が「冷水管受水口」を有することは、明細書の段落【0032】における、「混合栓10」が「冷水管受水口22」を有する旨の記載とも整合していた。
そうであるところ、訂正前の請求項1における「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に」という記載は、「冷水チューブ管」が「冷水管受水口」を有するような表記となっている点で、同訂正前の請求項1において特定される、「混合栓」が「冷水管受水口」を有する構成と整合しないから、明細書の段落【0032】等の記載を考慮すれば、誤記を含むものであった。
また、訂正前の請求項1における「着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ」という記載は、直前に記載される「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に」という記載が誤記を含むことを踏まえると、他の部材との関係が明確に特定されない、不明瞭なものであった。
そうすると、訂正事項1-2において、「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に」の記載を削除した点は、誤記の訂正を目的としたものと認められ、また、「着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ」の記載を、「前記洗面台内に設けられている冷水供給口に接続されて冷水を通す冷水チューブ管と」の記載中に移して、「前記洗面台内に設けられている冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し、冷水を通す冷水チューブ管」と整理した点は、不明瞭な記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
したがって、訂正事項1-2は、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認められる。
(ウ)訂正事項1-3について
上記訂正事項1-3は、訂正前の請求項1における「混合水排水口」の記載が、明細書の段落【0032】等における「混合水排出口20」の記載と整合していなかったところ、明細書の記載と整合する「混合水排出口」の記載へと訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(エ)訂正事項1-4について
上記訂正事項1-4は、上記訂正事項1-3にあわせて、訂正前の請求項1における「排水」の語を「排出」の語に整合させるとともに、訂正前の請求項1において、「排水」(排出)の語とその語に先立つ「混合水」の語との距離が離れていたのを、「排出」の語の直前に「混合水」の語を挿入することで、「排出」の対象が「混合水」であることをより明瞭とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(オ)訂正事項1-5について
上記訂正事項1-5は、訂正前の請求項1において「の」の記載が近接して3度繰り返されていたところ、最後の「の」を「における」に改めるとともに、「概ね正六角形を成す」の主語が「断面形状」であることをより明瞭とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(カ)訂正の目的の小括
上記(ア)~(オ)のとおり、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮、同ただし書き2号に規定する誤記の訂正、及び同ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記アで説示したとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明について、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 新規事項追加の有無について
(ア)訂正事項1-1について
願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件明細書等」という。)の段落【0036】には、「温水チューブ管25の先端の温水管接続口23は、既存の洗面台40内に多く設備されている標準の温水供給口28(図2)にそのまま接合可能な接続ネジ仕様のものが取り付けられ」ることが記載されているから、訂正事項1-1により特定された内容は、本件明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される事項である。
(イ)訂正事項1-2について
本件明細書等の段落【0036】には、「冷水チューブ管26の先端の冷水管接続口24は、既存の洗面台40内に多く設備されている標準の冷水供給口29(図2)にそのまま接合可能な接続ネジ仕様のものが取り付けられている。」と記載されているから、訂正事項1-2により特定された内容は、本件明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される事項である。
(ウ)訂正事項1-3~訂正事項1-5について
訂正事項1-3~訂正事項1-5は、上記イ(ウ)~(オ)に示したとおり、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、訂正事項1-3~訂正事項1-5により特定された内容は、本件明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される事項である。
(エ)新規事項の追加の有無の小括
上記(ア)~(ウ)のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
オ 独立特許要件について
本件においては、訂正前の請求項1ないし9及び15について、特許異議の申立てがされているので、訂正事項1において、請求項1、及び請求項1を引用する請求項2ないし9及び15について、誤記の訂正及び特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項1ないし9及び15に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
また本件においては、訂正前の請求項10ないし14について、特許異議の申立てはされておらず、訂正事項1により、請求項1を引用する請求項10ないし14について誤記の訂正及び特許請求の範囲の減縮が行われているところ、訂正後の請求項10ないし14に係る発明について、特許出願の際に独立して特許を受けることができない理由は、発見しない。
したがって、訂正事項1について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件の観点から、訂正が拒絶されるべきものではない。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載される「温水接続口」について、訂正事項1-1により訂正される請求項1の「温水管接続口」、及び明細書の段落【0036】等に記載される「温水管接続口23」と整合するよう、「温水管接続口」の記載へと訂正するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記アで説示したとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項2に係る発明について、明瞭でない記載の釈明を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項追加の有無について
訂正事項2により訂正される「温水管接続口」の語は、本件明細書等の段落【0036】に記載される「温水管接続口23」の記載から導出される事項であるから、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
エ 独立特許要件について
上記アで説示したとおり、訂正事項2は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正事項2に係る訂正について、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項2に係る発明、及び請求項2を引用する訂正後の請求項4-7、9-15に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3に記載される「冷水接続口」について、訂正前後の請求項1の「冷水管接続口」、及び明細書の段落【0036】等に記載される「冷水管接続口24」と整合するよう、「冷水管接続口」の記載へと訂正するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記アで説示したとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項3に係る発明について、明瞭でない記載の釈明を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項追加の有無について
訂正事項3により訂正される「冷水管接続口」の語は、本件明細書等の段落【0036】に記載される「冷水管接続口24」の記載から導出される事項であるから、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
エ 独立特許要件について
上記アで説示したとおり、訂正事項3は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正事項3に係る訂正について、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項3に係る発明、及び請求項3を引用する訂正後の請求項4-7、9-15に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(4)訂正事項4について
ア 訂正事項4の詳細
訂正事項4は、詳細にみると、訂正前の請求項9に係る発明について、以下の訂正事項4-1~訂正事項4-4の訂正を行うものと認められる。
(ア)訂正事項4-1
訂正前の請求項9において、「前記微細気泡水生成器は、前記混合栓の混合水排水口からの温水と冷水の混合水を受水する」の記載を、「前記微細気泡水生成器は、前記混合栓の混合水排出口からの温水と冷水の供給される混合水を受水する」に訂正する。
(イ)訂正事項4-2
訂正前の請求項9において、「微細気泡水生成器」が有する水の入り口や流水路について、「受水管口から流入する混合水を、その中央内部の円筒状内に形成された流水路が形成され、空気を含んだ水道水が、円錐形状の流水路の壁に流速を速めて通過する際に、水道水が流水路のラッパ状の略円錐状の内壁に接触及び衝突し、その後に、ラッパ状にその径が漸次拡がった流水路を通過する」という文章の中で「受水管口」、「円錐形状の流水路」、「ラッパ状の略円錐状の」、「ラッパ状にその径が漸次拡がった」等の記載を有するものの、結局のところどのような水の入り口や流水路を有するのか明確でなかったところ、「混合水入水口と、前記混合水入水口からの混合水の流水路の径を漸次狭くする円錐形状の第1の流水路と、前記第1の流水路に接続されその流水路の径を漸次広くする円錐形状の第2の流水路と、前記第2の流水路に接続されて混合水を排出する混合水排水口と、を有」することを特定する。
(ウ)訂正事項4-3
訂正前の請求項9において、「微細気泡水生成器」が有する部材として、「前記混合水入水口には、円状に等間隔で複数設けられた取水孔を有する取水プレートが設けられ」ていることを、追加する。
(エ)訂正事項4-4
訂正前の請求項9において、流入した水の流れ、及び、どの部分で「内壁」への「衝突」等が起きるのかについて、上記訂正事項4-2及び訂正事項4-3で特定した部材に言及し、「前記混合水入水口から流れ込む混合水が、前記取水プレートに設けられた複数の取水孔を通過して前記第1の流水路の内壁に衝突し、その後、前記第2の流水路を通過して前記混合水排水口から排出される」と訂正する。
イ 訂正の目的について
(ア)訂正事項4-1について
上記訂正事項4-1は、訂正前の請求項9における「混合水排水口」の記載を「混合水排出口」にあらためるとともに、若干の表記の修正を行うものであるから、上記(1)イ(ウ)において訂正事項1-3について述べたのと同様に、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
(イ)訂正事項4-2について
上記訂正事項4-2は、訂正前の請求項9において明確でなかった「微細気泡水生成器」が有する水の入り口や流水路について、具体的に特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
(ウ)訂正事項4-3について
上記訂正事項4-3は、「微細気泡水生成器」が有する部材として、訂正前の請求項9においては特定されていなかった「取水プレート」を有することを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
(エ)訂正事項4-4について
上記訂正事項4-4は、訂正前の請求項9においては明瞭でなかった「微細気泡水生成器」内の水の流れを明瞭とするとともに、「微細気泡水生成器」が有する各部材との関係を特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
(オ)訂正の目的の小括
上記(ア)~(エ)のとおり、訂正事項4は、特許法120条の5第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び同ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記イで説示したとおり、訂正事項4は、訂正前の請求項9に係る発明について、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
エ 新規事項追加の有無について
訂正事項4により特定された事項は、本件明細書等の【請求項10】、段落【0058】、【図8】及び【図9】の記載を総合することにより導出される事項である。
オ 独立特許要件について
本件においては、訂正前の請求項1ないし9及び15について、特許異議の申立てがされているので、訂正事項4において、請求項9、及び請求項9を引用する請求項10ないし14について、特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項9に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
また本件においては、訂正前の請求項10ないし14について、特許異議の申立てはされておらず、訂正事項4により、請求項9を引用する請求項10ないし14について特許請求の範囲の減縮が行われているところ、訂正後の請求項10ないし14に係る発明について、特許出願の際に独立して特許を受けることができない理由は、発見しない。
したがって、訂正事項4について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件の観点から、訂正が拒絶されるべきものではない。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項10に記載されていた「前記微細気泡水生成器の前記受水管口には、複数の取水孔を有する取水プレートが設けられ」という構成を、訂正事項4(上記(4)アに示した訂正事項4-3)により、請求項10が引用する請求項9に移したことに対応して、重複することとなる構成を整理し、その他の記載を整えるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記アで説示したとおり、訂正事項5は、訂正前の請求項10に係る発明について、明瞭でない記載の釈明を行うものであり、発明のカテゴリーや対象又は目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項追加の有無について
上記アで説示したとおり、訂正事項5は、訂正前の請求項10に係る発明について、明瞭でない記載の釈明を行うものであるから、訂正事項5に係る訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
エ 独立特許要件について
上記アで説示したとおり、訂正事項5は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正事項5に係る訂正に関し、訂正の適否の要件として、訂正後の請求項10に係る発明、及び請求項10を引用する訂正後の請求項11-14に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(6)訂正事項6~20について
ア 訂正の目的
訂正事項6、7及び14~19は、明細書中で若干不自然な表記、及び/又は他の箇所と整合しない表記を、自然な表記及び/又は他の箇所と整合する表記に整えるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
訂正事項8~11及び13は、訂正事項1及び4により訂正された請求項1及び請求項9に、明細書の段落【0016】及び【0023】の記載を整合させるとともに、明細書中の用語の表記や「前記」を用いる箇所についても記載を整えるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
訂正事項12は、訂正事項5により訂正された請求項10における「取水孔」の構成を、「取水孔」についての説明を記載する段落【0025】に付記しており、訂正後の請求項10の記載との整合を図るものと整理できるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
訂正事項20は、図番の説明を行う明細書の段落【0067】に、訂正後の請求項1ないし15で言及される部材の一部の番号及び部材名を加えるものであり、訂正後の請求項1~15の記載との整合を図るものと整理できるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項6~20は、上記アで説示したとおり、明細書において特許請求の範囲の記載との整合を図るとともに、明瞭でない記載の釈明を行うものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項追加の有無について
訂正事項6~20は、上記アで説示したとおり、明細書において特許請求の範囲の記載との整合を図るとともに、明瞭でない記載の釈明を行うものであるから、特許請求の範囲についてする訂正事項1~5に係る訂正が本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであることを踏まえると、明細書についてする訂正事項6~20に係る訂正についても、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてするものである。
エ 独立特許要件について
上記アで説示したとおり、訂正事項6~20は、明細書の記載について、特許法120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正事項6~20に係る訂正に関し、訂正の適否の要件として、訂正事項6~20に対応する訂正後の請求項1~15に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
(7)訂正の単位について
本件訂正前の請求項1~15について、請求項2~15は、請求項1を直接又は間接的に引用しているから、訂正事項1により訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正事項1~20により、本件訂正前の請求項1~15に係る発明についてする本件訂正は、一群の請求項[1-15]に係る発明について、訂正をするものである。
(8)申立人の主張について
ア 申立人の主張
申立人は、申立人意見書において、訂正事項1について、以下の(ア)及び(イ)の点で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである旨を主張している。そして申立人は、訂正事項1が特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項の規定に違反しているから、本件訂正は認められない旨を主張している(同意見書第2頁第1行~第5頁最終行)。
(ア)「温水管接続口」及び「冷水管接続口」の接続対象の変更
a 「温水管接続口」について
訂正事項1による訂正前の請求項1においては、「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ」の記載より、「温水接続口」(温水管接続口)の接続対象は、「温水チューブ管」の「温水管受水口」であった。
これに対し、訂正事項1による訂正後の請求項1においては、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し、温水を通す温水チューブ管」の記載より、「温水管接続口」の接続対象は、「洗面台内」の「温水供給口」に変更された。
このように訂正事項1は、「温水接続口」(温水管接続口)の接続対象を、「温水チューブ管」の「温水管受水口」から、「洗面台内」の「温水供給口」に変更するから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
b 「冷水管接続口」について
訂正事項1による訂正前の請求項1においては、「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ」の記載より、「冷水管接続口」の接続対象は、「冷水チューブ管」の「冷水管受水口」であった。
これに対し、訂正事項1による訂正後の請求項1においては、「前記洗面台内に設けられている冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し、冷水を通す冷水チューブ管」の記載より、「冷水管接続口」の接続対象は、「洗面台内」の「冷水供給口」に変更された。
このように訂正事項1は、「冷水管接続口」の接続対象を、「冷水チューブ管」の「冷水管受水口」から、「洗面台内」の「冷水供給口」に変更するから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
(イ)「温水管接続口」及び「冷水管接続口」が形成される部分の変更
a 「温水管接続口」について
訂正事項1による訂正前の請求項1においては、「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ」の記載より、「温水接続口」(温水管接続口)は、接続対象となる「温水チューブ管」以外に形成されるものであった。
これに対し、訂正事項1による訂正後の請求項1においては、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し、温水を通す温水チューブ管」の記載より、「温水管接続口」は、「温水チューブ管」に形成されるものに変更された。
このように訂正事項1は、「温水接続口」(温水管接続口)の形成箇所を、「温水チューブ管」以外から、「温水チューブ管」に変更するから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
b 「冷水管接続口」について
訂正事項1による訂正前の請求項1においては、「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ」の記載より、「冷水管接続口」は、接続対象となる「冷水チューブ管」以外に形成されるものであった。
これに対し、訂正事項1による訂正後の請求項1においては、「前記洗面台内に設けられている冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し、冷水を通す冷水チューブ管」の記載より、「冷水管接続口」は、「冷水チューブ管」に形成されるものに変更された。
このように訂正事項1は、「冷水管接続口」の形成箇所を、「冷水チューブ管」以外から、「冷水チューブ管」に変更するから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
イ 上記主張についての判断
上記(1)イ(ア)において、訂正事項1-1の目的について説示したように、訂正前の請求項1における「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ」の記載は、「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に」という部分に誤記を含むものであったから、上記記載を根拠として、訂正前の請求項1において、「温水接続口」の接続対象が「温水チューブ管」の「温水管受水口」であることが明確に特定されていたとはいえず、また、「温水接続口」の形成箇所が「温水チューブ管」以外であることが明確に特定されていたとはいえない。
そして、誤記を含む訂正前の上記記載について、訂正事項1-1に係る訂正を行うことで、「温水接続口」(温水管接続口)の接続対象が、訂正前には「温水チューブ管」の「温水管受水口」であったのが、訂正後には「洗面台内」の「温水供給口」に変更されたとはいえない。また、「温水接続口」(温水管接続口)の形成箇所が、訂正前には「温水チューブ管」以外であったのが、訂正後には「温水チューブ管」に変更されたとはいえない。
「冷水管接続口」の接続対象、及び「冷水管接続口」の形成箇所についても、上記(1)イ(イ)において、訂正事項1-2の目的について説示したことを踏まえると、同様である。
したがって、上記アに示した申立人の主張について検討しても、訂正事項1について、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正事項1~5は、特許法120条の5第2項ただし書1号、2号または3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-15〕について、本件訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は全て認められたので、本件特許の請求項1ないし9及び15に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1ないし9及び15に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の、請求項1ないし9及び15に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
なお、当審において適宜に改行を整え、分説を付した。
【請求項1】
(1A)既存の洗面台に設けられている温水冷水混合栓とシャワーヘッドから成る洗面台用水栓装置を、微細気泡水生成機能を有するタイプのものにアップグレードするための洗面台用水栓キットであって、
(1B)前記洗面台内に設けられている温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し、温水を通す温水チューブ管と、
(1C)前記洗面台内に設けられている冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し、冷水を通す冷水チューブ管と、
(1D)前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口と、前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口と、温水と冷水の混合水を排出する混合水排出口と、を有し、温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排出口から混合水を排出する混合栓と、
(1E)前記混合栓の混合水排出口に接続され、前記混合水をシャワーヘッドを備える水栓に導く混合水チューブ管と、
(1F)前記混合水チューブ管の途中に接続され、前記混合水中に含まれる空気泡を微細サイズに粉砕して微細気泡水を生成する微細気泡水生成器と、を備え、
(1G)前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向における断面形状が、概ね正六角形を成す、
(1H)ことを特徴とする微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項2】
(2A)前記温水チューブ管の接続ネジ仕様と前記洗面台内の前記温水供給口との接続ネジ仕様とが異なる場合には、前記温水チューブ管先端の温水管接続口には、前記温水管接続口の接続ネジ仕様と前記温水供給口の両方に夫々適合する二つの接続ネジ仕様の接続口を有するアダプタが選択されて接続される、
(2B)ことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項3】
(3A)前記冷水チューブ管の接続ネジ仕様と前記洗面台内の前記冷水供給口との接続ネジ仕様とが異なる場合には、前記冷水チューブ管先端の冷水管接続口には、前記冷水管接続口の接続ネジ仕様と前記冷水供給口の両方に夫々適合する二つの接続ネジ仕様の接続口を有するアダプタが選択されて接続される、
(3B)ことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項4】
(4A)前記アダプタは、予め用意された複数種類の異なる前記二つの接続ネジ仕様の接続口を有するものの中から選択されて使用される
(4B)請求項2又は3に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項5】
(5A)前記シャワーヘッドは、前記混合水チューブ管に対して着脱可能に接続された
(5B)請求項1乃至3の何れかの項に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項6】
(6A)前記混合水チューブ管の先端における前記シャワーヘッドの接続は、前記複数種類の異なる二つの接続ネジ仕様の接続口を有する適合する何れか一つのアダプタを介して接続される、
(6B)請求項4に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項7】
(7A)前記シャワーヘッドは、ユーザが任意に選択したシャワーヘッドと交換可能である、
(7B)請求項6に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項8】
(8A)前記微細気泡水生成器の外装素材は、真鍮又はステンレスである、
(8B)請求項1に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項9】
(9A)前記微細気泡水生成器は、
(9B)前記混合栓の混合水排出口からの温水と冷水の供給される混合水を受水する混合水入水口と、前記混合水入水口からの混合水の流水路の径を漸次狭くする円錐形状の第1の流水路と、前記第1の流水路に接続されその流水路の径を漸次広くする円錐形状の第2の流水路と、前記第2の流水路に接続されて混合水を排出する混合水排水口と、を有し、
(9C)前記混合水入水口には、円状に等間隔で複数設けられた取水孔を有する取水プレートが設けられ、
(9D)前記混合水入水口から流れ込む混合水が、前記取水プレートに設けられた複数の取水孔を通過して前記第1の流水路の内壁に衝突し、その後、前記第2の流水路を通過して前記混合水排水口から排出される、ことを特徴とする
(9E)請求項1乃至3の何れかの項に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット。
【請求項15】
(15A)洗面台と、
(15B)前記洗面台に取り付けた請求項1、2又は3の何れかの項に記載の微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キットと、から成る
(15C)微細気泡水生成器付き洗面台用水栓装置。
第4 証拠方法、特許異議申立理由等の要旨、及び先の取消理由通知書に記載した取消理由の要旨
1 証拠方法
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。
(以下、申立人の提出した甲第1号証を、甲1という。甲第2号証以下についても同様。)
(1)申立書に添付して提出
・甲1: 特開平6-146355号公報
・甲2: 特開2007-270539号公報
・甲3: 特開2019-25451号公報
・甲4: 登録意匠第1732926号公報
・甲5: JIS B8741-1 2019、”ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定に関する一般原則-第1部:用語”、表紙、第1頁及び奥付け、一般財団法人 日本規格協会
・甲6: 実願平1-44702号(実開平2-136163号)のマイクロフィルム
(2)申立人意見書に添付して提出
・甲5の2: JIS B8741-1 2019、”ファインバブル技術-ファインバブルの使用及び測定に関する一般原則-第1部:用語”、表紙、第1頁、第2頁及び奥付け、一般財団法人 日本規格協会
・甲7: SANEI株式会社、”施工・取扱説明書”、シングルワンホールスプレー混合栓、K87121E2TJV型・K87121TJK型 標準型、シングル混合栓(ファインバブル付)2,K87121ET6JV型・K87121ET6JK型、表紙、第1-26頁、裏紙、インターネットホームページ WayBackMachine収集日2022年12月22日
・甲7の2: 甲7のWayBackMachine収集日を示す印刷物1枚
・甲8: 特開2008-291537号公報
2 特許異議申立理由等の要旨
(1)申立書において主張する申立理由
申立人が申立書において主張する申立理由の要旨は、次のとおりである。
ア 甲1を主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「申立理由1」という。)
本件特許の請求項1ないし9及び15に係る発明は、その出願日よりも前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明、及び甲2~甲6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 明確性要件違反(以下、「申立理由2」という。)
本件特許の請求項1ないし9及び15に係る発明は、特許を受けようとする発明が明確でなく、特許法36条6項2号の規定を満たさないから、これらの発明に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
ウ サポート要件違反(以下、「申立理由3」という。)
本件特許の請求項1ないし9及び15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法36条6項1号の規定を満たさないから、これらの発明に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立人意見書で主張する理由
・新たに提出する甲7を主たる証拠とした進歩性欠如(以下、「補正申立理由」という。)
本件特許の請求項1ないし9及び15に係る発明は、その出願日よりも前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲7に記載された発明、及び甲3~甲5の2及び甲8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
なお、甲7及び甲8は、本件訂正に付随して提出が必要となった証拠である(同意見書第1頁第13行~第20行、第14頁第1行~第27頁第8行)。
3 先の取消理由通知書に記載した取消理由の要旨
(1)明確性要件違反(以下、「取消理由1」という。)
本件特許の請求項1ないし9及び15に係る発明は、特許を受けようとする発明が明確でなく、特許法36条6項2号の規定を満たさないから、これらの発明に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)サポート要件違反(以下、「取消理由2」という。)
本件特許の請求項1ないし9及び15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法36条6項1号の規定を満たさないから、これらの発明に係る特許は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
1 先の取消理由通知書に記載した取消理由について
(1)取消理由1について
ア 取消理由1の具体的内容
取消理由1の具体的内容は、本件訂正前の請求項1~9及び15に係る発明について、以下の点で不明確である、というものである。
(ア)本件訂正前の請求項1について
a 本件訂正前の請求項1において、「温水接続口」という語について、明細書中で用いられる「温水管接続口」と表記を変えていることにより、同じものを指す趣旨であるのか異なるものを指す趣旨であるのか明確でない。
b 本件訂正前の請求項1において、「前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口・・・を有し、・・・排水する混合栓」という記載と「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ、」という記載、及び、「前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口・・・を有し、・・・排水する混合栓」という記載と「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ、」という記載は、互いに整合せず、明細書の説明を参酌しても、「温水接続口」及び「冷水管接続口」がどこに設けられてどこに接続されることを特定する趣旨であるのか、明確でない。
(イ)本件訂正前の請求項2について
a 本件訂正前の請求項2において、引用する請求項1について上記(ア)に指摘した点が明確でない。
b 本件訂正前の請求項2において、「温水接続口」という語について、上記(ア)aと同様の点で明確でない。
c 本件訂正前の請求項2において、引用する請求項1に記載される「前記温水チューブ管の前記温水管受水口に着脱自在に接続可能な温水接続口が設けられ、」という記載と、請求項2に記載される「前記温水チューブ管の接続ネジ仕様と前記洗面台内の前記温水供給口との接続ネジ仕様とが異なる場合には、前記温水チューブ管先端の温水接続口には、前記温水接続口の接続ネジ仕様と前記温水供給口の両方に夫々適合する二つの接続ネジ仕様の接続口を有するアダプタが選択されて接続される」という記載とは、互いに整合せず、「温水接続口」がどこに設けられてどこに接続されることを特定する趣旨であるのか、明確でない。
(ウ)本件訂正前の請求項3について
a 本件訂正前の請求項3において、引用する請求項1について上記(ア)に指摘した点が明確でない。
b 本件訂正前の請求項3において、「冷水接続口」という語と、引用する請求項1に記載される「冷水管接続口」との関係が、明確でない。
c 本件訂正前の請求項3において、引用する請求項1に記載される「前記冷水チューブ管の前記冷水管受水口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口が設けられ、」という記載と、請求項3に記載される「前記冷水チューブ管の接続ネジ仕様と前記洗面台内の前記冷水供給口との接続ネジ仕様とが異なる場合には、前記冷水チューブ管先端の冷水接続口には、前記冷水接続口の接続ネジ仕様と前記冷水供給口の両方に夫々適合する二つの接続ネジ仕様の接続口を有するアダプタが選択されて接続される」という記載とは、互いに整合せず、「冷水接続口」及び/又は「冷水管接続口」がどこに設けられてどこに接続されることを特定する趣旨であるのか、明確でない。
(エ)本件訂正前の請求項4~8について
本件訂正前の請求項4~8において、引用する請求項1、請求項2または請求項3について、上記(ア)~(ウ)に指摘した点が明確でない。
(オ)本件訂正前の請求項9について
a 本件訂正前の請求項9において、引用する請求項1、請求項2または請求項3について、上記(ア)~(ウ)に指摘した点が明確でない。
b 本件訂正前の請求項9において、「前記微細気泡水生成器は、前記混合栓の混合水排水口からの温水と冷水の混合水を受水する微細気泡水生成器における受水管口から流入する混合水を、その中央内部の円筒状内に形成された流水路が形成され、空気を含んだ水道水が、円錐形状の流水路の壁に流速を速めて通過する際に、水道水が流水路のラッパ状の略円錐状の内壁に接触及び衝突し、その後に、ラッパ状にその径が漸次拡がった流水路を通過する」という記載について、文章構造、「流水路」についてどのような構造を特定しているのか、及び明細書の説明との整合性が、いずれも明確でない。
(カ)本件訂正前の請求項15について
本件訂正前の請求項9において、引用する請求項1、請求項2または請求項3について、上記(ア)~(ウ)に指摘した点が明確でない。
イ 判断基準
特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載のみならず、願書に添付した明細書の記載及び図面(以下、「本件明細書等」という。)を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から、判断されるべきものである。
ウ 判断対象、及び具体的判断
上記第2のとおり、本件訂正は認められたので、上記第3に示した本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~9及び15の記載により特定される、本件発明1~9及び15について、上記イの基準に基づいて判断する。
(ア)本件発明1について
本件訂正後の請求項1において、「温水接続口」の語と「温水管接続口」の語とは、「温水管接続口」の語に統一された。また、「温水管接続口」及び「冷水管接続口」が、どこに設けられてどこに接続されるかは、本件訂正後の記載において明確とされ、明細書の説明とも整合するものとされた。
したがって、本件発明1を特定する本件訂正後の請求項1の記載は、上記ア(ア)に指摘した不備を有するものではなく、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
(イ)本件訂正後の請求項2について
本件訂正後の請求項2において、「温水接続口」の語と「温水管接続口」の語とは、「温水管接続口」の語に統一された。また、「温水管接続口」が、どこに設けられてどこに接続されるかは、本件訂正後の記載において明確とされた。
したがって、本件発明2を特定する本件訂正後の請求項2の記載は、上記ア(イ)に指摘した不備を有するものではなく、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
(ウ)本件訂正後の請求項3について
本件訂正後の請求項3において、「冷水接続口」の語と「冷水管接続口」の語とは、「冷水管接続口」の語に統一された。また、「冷水管接続口」が、どこに設けられてどこに接続されるかは、本件訂正後の記載において明確とされた。
したがって、本件発明3を特定する本件訂正後の請求項3の記載は、上記ア(ウ)に指摘した不備を有するものではなく、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
(エ)本件訂正後の請求項4~8について
本件訂正により請求項1~3が訂正されたことにより、本件訂正後の請求項4~8は、引用する請求項1~3について上記(ア)~(ウ)のとおり明確とされた。
したがって、本件発明4~8を特定する本件訂正後の請求項4~8の記載は、上記ア(エ)に指摘した不備を有するものではなく、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
(オ)本件訂正後の請求項9について
本件訂正後の請求項9について、上記第2の2(4)アに示した訂正事項4-1~訂正事項4-4からなる訂正がされたことにより、文章構造、「流水路」についてどのような構造を特定しているのか、及び明細書の説明との整合性に関し、特段の不備はないものとなった。
したがって、本件発明9を特定する本件訂正後の請求項9の記載は、上記ア(オ)に指摘した不備を有するものではなく、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
(カ)本件訂正後の請求項15について
本件訂正により請求項1~3が訂正されたことにより、本件訂正後の請求項15は、引用する請求項1~3について上記(ア)~(ウ)のとおり明確とされた。
したがって、本件発明15を特定する本件訂正後の請求項15の記載は、上記ア(カ)に指摘した不備を有するものではなく、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものではない。
エ 申立人の主張について
申立人は申立人意見書において、本件訂正後の請求項1~9及び15に係る発明については、明確性要件に違反する旨を特段主張していない。
オ 取消理由1のまとめ
上記ア~エのとおり、本件発明1~9及び15を特定する本件訂正後の請求項1~9及び15の記載は、取消理由1で指摘した点で特許法36条6項2号の規定を満たさないものではない。
したがって、これらの発明に係る特許は、取消理由1で指摘した点で、同法113条4号に該当し取り消されるべきものではない。
(2)取消理由2について
ア 取消理由2の具体的内容
取消理由2の具体的内容は、本件訂正前の請求項1~9及び15に係る発明について、以下の点で、課題を解決できると認識される範囲のものではない、というものである。
(ア)本件訂正前の請求項1について
本件訂正前の請求項1は、請求項1中で言及される各部材相互の関係、及び各部材がどのような接続相手に接続されるのかを、明確に理解できない状態となっているから、既存の洗面台を適切な接続によってアップグレードするという課題を、解決できると認識される範囲のものではない。
(イ)本件訂正前の請求項2~8について
本件訂正前の請求項2~8は、請求項2~8が引用する本件訂正前の請求項1について、上記(ア)で指摘したのと同様の点で、既存の洗面台を適切な接続によってアップグレードするという課題を、解決できると認識される範囲のものではない。
(ウ)本件訂正前の請求項9について
本件訂正前の請求項9は、請求項9が引用する本件訂正前の請求項1について、上記(ア)で指摘したのと同様の点で、既存の洗面台を適切な接続によってアップグレードするという課題を、解決できると認識される範囲のものではない。
また、本件訂正前の請求項9は、「微細気泡水生成器」について特定する記載について、上記(1)ア(オ)bに指摘する不備があり、微細気泡水を適切に生成するという課題を、解決できると認識される範囲のものではない。
(エ)本件訂正前の請求項15について
本件訂正前の請求項15は、請求項15が引用する本件訂正前の請求項1について、上記(ア)で指摘したのと同様の点で、既存の洗面台を適切な接続によってアップグレードするという課題を、解決できると認識される範囲のものではない。
イ 判断基準
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
ウ 判断対象、及び具体的判断
上記第2のとおり、本件訂正は認められたので、上記第3に示した本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~9及び15の記載により特定される、本件発明1~9及び15について、上記イの基準に基づいて判断する。
(ア)解決すべき課題
a 本件明細書等の記載
本件明細書等の段落【0015】には、次のとおり記載されている。
「【0015】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、既存の洗面台を撤去して新たな微細気泡水生成機能を有する洗面台を新たに買い替えることなく、ユーザ自身による簡易な作業で且つ極めて低コストで、本格的な微細気泡水の生成能力を有する必要なサイズの微細気泡水生成器付き洗面台水栓装置にアップグレードするための洗面台用水栓キットを提供することを目的とする。」
b 課題1
上記段落【0015】の記載より、本件明細書等において解決すべき課題は、次の課題1であると認められる。
<課題1>
既存の洗面台を撤去して新たな微細気泡水生成機能を有する洗面台を新たに買い替えることなく、ユーザ自身による簡易な作業で且つ極めて低コストで、本格的な微細気泡水の生成能力を有する必要なサイズの微細気泡水生成器付き洗面台水栓装置にアップグレードするため洗面台用水栓キットを提供すること。
c 課題2
また、上記課題1に「微細気泡水生成器付き洗面台水栓装置」とすることが含まれるから、使用する「微細気泡水生成器」については、次の課題2が当然に内在すると認められる。
<課題2>
使用する「微細気泡水生成器」について、微細気泡水の生成能力を有すること。
(イ)本件訂正後の請求項1について
本件訂正後の請求項1において、請求項1中で言及される各部材相互の関係、及び各部材がどのような接続相手に接続されるのかは、上記(1)ウ(ア)で指摘したとおり、明確に理解されるものとなったから、本件発明1は、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、既存の洗面台に適宜に接続することにより、上記課題1を解決できると認識される範囲のものである。
(ウ)本件訂正後の請求項2~8について
本件訂正後の請求項2~8において、引用される本件訂正後の請求項1を含めて、各部材相互の関係、及び各部材がどのような接続相手に接続されるのかは、上記(1)ウ(イ)~(エ)で指摘したとおり、明確に理解されるものとなったから、本件発明2~8は、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、既存の洗面台に適宜に接続することにより、上記課題1を解決できると認識される範囲のものである。
(エ)本件訂正後の請求項9について
本件訂正後の請求項9において、引用される本件訂正後の請求項1~3を含めて、各部材相互の関係、及び各部材がどのような接続相手に接続されるのかは、明確に理解されるものとなったから、本件発明9は、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、既存の洗面台に適宜に接続することにより、上記課題1を解決できると認識される範囲のものである。
また本件訂正後の請求項9において、上記第2の2(4)アに示した訂正事項4-1~訂正事項4-4からなる訂正がされたことにより、「微細気泡水生成器」は、微細気泡水の生成能力を有すると合理的に理解されるものとなったから、本件発明9は、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、「微細気泡水生成器」について、上記課題2を解決できると認識される範囲のものである。
(オ)本件訂正後の請求項15について
本件訂正後の請求項15において、引用される本件訂正後の請求項1~3を含めて、各部材相互の関係、及び各部材がどのような接続相手に接続されるのかは、明確に理解されるものとなったから、本件発明15は、発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、既存の洗面台に適宜に接続することにより、上記課題1を解決できると認識される範囲のものである。
エ 申立人の主張について
申立人は申立人意見書において、本件訂正後の請求項1~9及び15に係る発明については、サポート要件に違反する旨を特段主張していない。
オ 取消理由2のまとめ
上記ア~エのとおり、本件発明1~9及び15を特定する本件訂正後の請求項1~9及び15の記載は、取消理由2で指摘した点で特許法36条6項1号の規定を満たさないものではない。
したがって、これらの発明に係る特許は、取消理由2で指摘した点で、同法113条4号に該当し取り消されるべきものではない。
2 先の取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について
事案に鑑み、申立理由2(明確性要件違反)のうち、取消理由1として採用しなかった具体的理由について判断し、次に、申立理由1(進歩性欠如)について、判断する。
申立理由2(明確性要件違反)のうち、取消理由1として採用した具体的理由、及び、申立理由3(サポート要件違反)については、上記1において、取消理由1、及び取消理由2について判断したとおりである。
(1)申立理由2のうち、取消理由1として採用しなかった具体的理由について
ア 申立理由2のうち、取消理由1として採用しなかった具体的理由
特許法36条6項2号に係る申立理由2のうち、取消理由1として採用しなかった具体的理由は、次のものである。
・具体的理由
本件発明1を特定する特許請求の範囲の請求項1において、「微細気泡水生成器の中央部」における「断面形状」について、「概ね正六角形を成す」と記載する点は、正六角形を基準としてどこまでの変更が含まれるのか、外縁が不明確である。
したがって、本件発明1、及び本件発明1を引用する本件発明2~9及び15は、特許法36条6項2号の規定により特許を受けることができない発明である。
イ 上記具体的理由についての判断
特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、上記1(1)イに示した判断基準により、判断されるべきものである。
本件発明1において、「微細気泡水生成器の中央部」の「断面形状」が「概ね正六角形を成す」構成に関し、本件明細書の段落【0021】には、「本発明に係る洗面台用水栓キットにおける微細気泡水生成器の中央部の前記混合水の水流方向の鉛直方向の断面形状は、概ね正6角形を成すことにより、その形状の美観のみならず、既存の洗面台への取付作業において、レンチ等を用いて混合水をシャワーヘッドに組み込む際に回転することがないことから、シャワーヘッドに混合水を導く混合水チューブ管に組み込むことを容易にしたのである。」と記載されている。
上記段落【0021】の記載、及び技術常識を考慮すると、本件訂正後の請求項1における「前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向における断面形状が、概ね正六角形を成す」という記載について、「概ね」という語が用いられているからといって、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確なものとはいえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は申立人意見書において、本件訂正後の請求項1~9及び15に係る発明については、明確性要件に違反する旨を特段主張していない。
エ 申立理由2のまとめ
したがって、本件発明1、及び本件発明1を引用する本件発明2~9及び15に係る発明は、申立理由2のうち、取消理由1として採用しなかった上記アの具体的理由で、特許法36条6項2号の規定を満たさないものではない。
申立理由2のうち、取消理由1として採用した具体的理由については、上記1(1)に示したとおりである。
よって、これらの発明に係る特許は、同法113条4号に該当し取り消されるべきものではない。
(2)申立理由1について
申立理由1は、甲1を主たる証拠として、甲2~甲6を従たる証拠とした、進歩性欠如の特許異議申立理由である。
ア 甲1~甲6について
(ア)甲1について
a 記載及び図示
本件特許の出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には、次の記載及び図示がある(下線は当審において付した。)。
(a)「【0008】
【実施例】以下に本発明の一実施例を添付した図面に従って詳述する。図1は本発明にかかる多目的吐水装置を備える洗面台の一例を示す斜視図、図2は上記洗面台の正面図、図3は給水、給湯機構の正面図で、洗面台を断面として示した正面図、図4は多目的吐水部の正面図、図5は同平面図、図6は多目的吐水部の縦断側面図、図7は湯水混合栓の断面図、図8は口腔洗浄ノズルユニットの説明図で、保持ケースを断面として示した図である。
【0009】図1、図2、図3において1は洗面台を示し、洗面台1は上面のカウンター2、下方部のキャビネット状の本体3を備え、カウンターの前後、左右方向の中間部には、洗面ボール4が設けられ、洗面ボール4の底部には排水部5が設けられ、トラップを備える排水管6に接続されている。カウンター2上で、洗面ボール4の後方の部分には湯水混合栓7が起設され、湯水混合栓7の詳細は図7に示す如くで、ボディ8、これの上部に内装されたバルブ機構9、これの上から被せられたキャップ部材10、上記バルブ機構9を左右、上下に作動させる操作レバー11とを備える。
【0010】湯水混合栓7は、カウンター2の下方に内装、延設された給水管12、給湯管13、湯水混合水(温水)供給管14に接続され、又これ等配管12,13,14の吐水がなされる吐水管15が接続され、吐水管15はフレキシブルホース16に接続されている。図2、図3のようにカウンター2の左側には、一般吐水を行う吐水部、実施例ではシャワーヘッド17が配設され、シャワーヘッド17は側面視略逆L型をなし、カウンター2に設けた支持金具18に基部が嵌合、保持され、上記したフレキシブルホース16の下流端部に接続され、シャワーヘッド17は図3に示すように把持して引き出し、洗髪等に際して頭部等にシャワーヘッド17を臨ませることができ、引出した状態を図3の想像線Aで示した。
【0011】カウンター2の下方には給水本管19、給湯本管20が内装、配設され、給水本管19は水道管に、又給湯本管20は給湯機に夫々接続されている。上記した給水管12は給水本管19に、又給湯管13は給湯本管20に接続され、これ等の接続部には分岐給水管21、分岐給湯管22を設け、これを下流に設けた湯水混合部23に接続し、ここで分岐給水管21、分岐給湯管22の湯と水は所定比率で混合され、設定された温度の混合水(温水)を得る。尚、内部にサーモスタット等を内装させ、混合比率を制御し、一定した温度の混合水を得るようにする。
【0012】かかる湯水混合部23は、吐出部を上記供給管14の上流端に接続し、供給管14に所定温度の温水を供給する。従って、上記した湯水混合栓7には、常温の水道水が給水管12で、給湯機で生成した熱い湯が給湯管13で、所定温度の温水が供給管14で夫々湯水混合栓7に導入される。湯水混合栓7は、上記した操作レバー11の上下動でバルブ機構9の開閉、及び流量調節を行い、中立位置で上下動させると供給管14の所定温度に設定された温水が吐出、或いは遮断され、左右の一方に回動させることで、給水管12で供給される水と供給管14の温水とを混合し、この方向の回動限で常温の水が吐出される。一方、操作レバー11の反対側への回動で、給湯管13の湯と供給管14の温水とが混合し、回動限で湯のみが吐出される。
【0013】以上の湯水混合栓7の吐水管15は、上記したフレキシブルホース16に接続されているので、湯水混合栓7でレバー操作により好みの温度に調整された温水は、シャワーヘッド17に供給され、一般吐水を行う。
【0014】カウンター2上の上記した湯水混合栓7とシャワーヘッド17の支持金具18との間には、小流量の多目的吐水部24を起設する。多目的吐水部24の詳細は、図4乃至図6に示す如くで、ボディ25のカウンター2下側には、上流側の水圧で開くチェックバルブ26が介装され、ボディ25の上流端は接続管27の下流端に接続され、接続管27の上流端は、接続金具28を介して上記した温水の供給管14の湯水混合栓7に至る上流部の適所に接続されている。従って、多目的吐水部24には、湯水混合部23で生成された温水が供給されることとなる。」
(b)「【0022】
【発明の効果】以上で明らかなように本発明によれば、一般的な吐水に用いる湯水混合栓を利用し、この湯水混合栓の上流に湯水混合部を設け、この混合水(温水)を湯水混合栓を切換えて多目的吐水部に供給するので、適温の小流量の温水吐水がなされ、又小流量吐水の場合には、湯水混合栓を切換えるので、水道水圧がそのまま小流量吐水部に供給され、温水吐水による口腔洗浄等を、必要とする圧力で、円滑、確実に行うことができる。
【0023】又小流量温水吐水の系路が湯水混合栓の系路を利用しているので、付設する配管は短くて済み、配管系、機器等の追加も最少で足り、設備も簡易であり、配管も上記により長くなったりすることが少なく、圧損が小さく、低水圧地域でも円滑、確実な利用が保障でき、更に湯水混合部下流の全ての温水を吐出形態を切換えて利用するので、捨水が発生せず、省エネルギー上、省資源上極めて有利である。」
(c)【図3】
「
[図:0001432070000001.jpg]
」
b 記載された発明
上記aより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
なお、当審において適宜に分説を付し、認定の根拠とした段落番号等を括弧書きで付記した。
<甲1発明>
(甲1A)洗面台1に備えられる多目的吐水装置であって、(【0008】、【0009】)
(甲1B)湯水混合栓7と、一般吐水を行うシャワーヘッド17と、小流量の多目的吐水部24とを有し、(【0010】、【0014】)
(甲1C)湯水混合栓7は、カウンター2の下方に内装、延設された給水管12、給湯管13、湯水混合水(温水)供給管14に接続され、又これ等配管12,13,14の吐水がなされる吐水管15が接続され、吐水管15はフレキシブルホース16に接続され、(【0010】)
(甲1D)フレキシブルホース16の下流端部にシャワーヘッド17が接続され、(【0010】)
(甲1E)カウンター2の下方には水道管に接続されている給水本管19、給湯機に接続されている給湯本管20が配設され、(【0011】)
(甲1F)給水管12は給水本管19に、又給湯管13は給湯本管20に接続され、これ等の接続部には分岐給水管21、分岐給湯管22を設け、これを下流に設けた湯水混合部23に接続し、ここで分岐給水管21、分岐給湯管22の湯と水は所定比率で混合され、湯水混合部23は、吐出部を上記供給管14の上流端に接続し、供給管14に所定温度の温水を供給し、(【0011】、【0012】)
(甲1G)湯水混合栓7には、常温の水道水が給水管12で、給湯機で生成した熱い湯が給湯管13で、所定温度の温水が供給管14で夫々湯水混合栓7に導入され、操作レバー11を中立位置で上下動させると供給管14の所定温度に設定された温水が吐出し、左右の一方に回動させることで、給水管12で供給される水と供給管14の温水とを混合して吐出し、操作レバー11の反対側への回動で、給湯管13の湯と供給管14の温水とを混合して吐出し、(【0012】)
(甲1H)湯水混合栓7の吐水管15は、フレキシブルホース16に接続されて、湯水混合栓7でレバー操作により好みの温度に調整された温水を、シャワーヘッド17に供給し、(【0013】)
(甲1I)小流量の多目的吐水部24は、接続管27の上流端が、接続金具28を介して、温水の供給管14の湯水混合栓7に至る上流部の適所に接続されており、多目的吐水部24には、湯水混合部23で生成された温水が供給される、(【0014】)
(甲1J)多目的吐水装置。(【0008】、【図3】)
(イ)甲2について
摘記は省略するが、甲2には、水栓装置の取換え施工に関する記載がある。
(ウ)甲3について
摘記は省略するが、甲3には、家庭用のシャワーヘッド等に取り付けることができる微細気泡水生成器に関する記載がある。
(エ)甲4について
摘記は省略するが、甲4には、シャワーヘッド等に取付けて使用できるフアインバブル発生器に関する記載がある。
(オ)甲5について
摘記は省略するが、甲5には、JIS規格におけるフアインバブルの用語の定義が記載されている。
(カ)甲6について
摘記は省略するが、甲6には、配管構造の連結部に用いる可撓管に関する記載がある。
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1は、上記第3に認定したとおりのものである。
本件発明1と、甲1発明とを対比する。
なお、対比に際し、本件発明1の各構成について、上記第3に示した分説を用いて、「構成1A」等という。甲1発明の各構成については、上記ア(ア)bに示した分説を用いて、「甲1A」等という。
a 構成1Aについて
甲1発明における甲1Aの「洗面台1」は、本件発明1の「洗面台」に相当する。
甲1発明における甲1Bの「湯水混合栓7」、「シャワーヘッド17」及び「多目的吐水装置」は、それぞれ本件発明1の「温水冷水混合栓」、「シャワーヘッド」及び「洗面台用水栓装置」に、相当する。
本件発明1において、構成1Aのうち「洗面台に設けられている温水冷水混合栓とシャワーヘッドから成る洗面台用水栓装置」の構成と、甲1発明において、甲1A及び甲1B]より、「洗面台1に備えられる多目的吐水装置」が「湯水混合栓7と、一般吐水を行うシャワーヘッド17と、小流量の多目的吐水部24とを有」する構成とは、甲1発明における「多目的吐水装置」が「湯水混合栓7」及び「シャワーヘッド17」の他に「小流量の多目的吐水部24」を有することを踏まえると、「洗面台に設けられている温水冷水混合栓とシャワーヘッドとを含む洗面台用水栓装置」という点で、共通する。
そうすると、甲1発明は、本件発明1の構成1Aと、「洗面台に設けられている温水冷水混合栓とシャワーヘッドとを含む洗面台用水栓装置に関する」という点で、共通する構成を有する。
b 構成1Bについて
甲1発明において、甲1Eより有する「カウンター2の下方」の「給湯機に接続されている給湯本管20」は、本件発明1の構成1Bにおける「前記洗面台内に設けられている温水供給口」に相当する。
甲1発明において、甲1Cより「湯水混合栓7」が「接続」される「給水管12、給湯管13、湯水混合水(温水)供給管14」及び「吐水管15」のうち、甲1Fより「給湯本管20」の「接続」される「給湯管13」は、「湯」を通すことが明らかであり、「湯」は温水と言い得るから、本件発明1の構成1Bにおける「温水を通す温水チューブ管」に、相当する。
本件発明1の構成1Bにおいて、「湯水チューブ管」が「温水供給口」に「着脱自在に接続可能な温水管接続口を有し」て接続される構成と、甲1発明において、甲1Fより、「給湯管13」が「給湯本管20」に「接続部には・・・分岐給湯管22を設け」たうえで接続される構成とは、分岐給湯管22を設けるための分岐用接続部材を介して「給湯管13」と「給湯本管20」との接続が行われることが明らかであるから、「湯水チューブ管」が「温水供給口」に「接続部により接続される」という点で、共通する。
そうすると、甲1発明は、本件発明1の構成1Bと、「前記洗面台内に設けられている温水供給口に、接続部により接続され、温水を通す温水チューブ管」という点で、共通する構成を有する。
c 構成1Cについて
甲1発明において、甲1Eより有する「カウンター2の下方」の「水道管に接続されている給水本管19」は、本件発明1の構成1Cにおける「前記洗面台内に設けられている冷水供給口」に相当する。
甲1発明において、甲1Cより「湯水混合栓7」が「接続」される「給水管12、給湯管13、湯水混合水(温水)供給管14」及び「吐水管15」のうち、甲1Fより「給水本管19」に「接続」される「給水管12」は、加熱されていない冷水を通すことが明らかであるから、本件発明1の構成1Cにおける「冷水を通す冷水チューブ管」に、相当する。
本件発明1の構成1Cにおいて、「冷水チューブ管」が「冷水供給口」に「着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有し」て接続される構成と、甲1発明において、甲1Fより、「給水管12」が「給水本管19」に「接続部には・分岐給水管21・・・を設け」たうえで接続される構成とは、分岐給水管21を設けるための分岐用接続部材を介して「給水管12」と「給水本管19」との接続が行われることが明らかであるから、「冷水チューブ管」が「冷水供給口」に「接続部により接続される」という点で、共通する。
そうすると、甲1発明は、本件発明1の構成1Cと、「前記洗面台内に設けられている冷水供給口に、接続部により接続され、冷水を通す冷水チューブ管」という点で、共通する構成を有する。
d 構成1Dについて
甲1発明において、甲1Cより「湯水混合栓7」が「給水管12、給湯管13、湯水混合水(温水)供給管14」及び「吐水管15」に「接続」されるから、「湯水混合栓7」は上述した各々の管との接続口を有することが明らかである。
そして、甲1発明の「湯水混合栓7」が有する「給湯管13」との接続口は、本件発明1の甲1Dにおける「前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口」に相当する。また、甲1発明の「湯水混合栓7」が有する「給水管12」との接続口は、本件発明1の甲1Dにおける「前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口」に相当する。
本件発明1の構成1Dにおける「温水と冷水の混合水を排出する混合水排出口」と、甲1発明の「湯水混合栓7」が有する「これ等配管12,13,14の吐水がなされる吐水管15が接続され」る接続口とは、甲1発明では甲1Gより「常温の水道水が給水管12で、給湯機で生成した熱い湯が給湯管13で、所定温度の温水が供給管14で夫々湯水混合栓7に導入され」て混合されることを措くとして、「混合水を排出する混合水排出口」という点で、共通する。
本件発明1の構成1Dにおいて、「混合栓」が「温水と冷水の混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排出口から混合水を排出する」構成と、甲1発明において甲1Gより、「湯水混合栓7には、常温の水道水が給水管12で、給湯機で生成した熱い湯が給湯管13で、所定温度の温水が供給管14で夫々湯水混合栓7に導入され、操作レバー11を中立位置で上下動させると供給管14の所定温度に設定された温水が吐出し、左右の一方に回動させることで、給水管12で供給される水と供給管14の温水とを混合して吐出し、操作レバー11の反対側への回動で、給湯管13の湯と供給管14の温水とを混合して吐出」する構成とは、甲1発明の「湯水混合栓7」において、「操作レバー11」の操作により「常温の水道水」、「熱い湯」及び「所定温度の温水」を混合し、流量及び温度を調節して、「吐水管15が接続され」る接続口から吐出することが明らかであるから、3種類の温度の水を混合するか否かを措くとして、「混合栓」が「混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排出口から混合水を排出する」構成という点で、共通する。
そうすると、甲1発明は、本件発明1の構成1Dと、「前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口と、前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口と、混合水を排出する混合水排出口と、を有し、混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排出口から混合水を排出する混合栓」という点で、共通する構成を有する。
e 構成1Eについて
甲1発明において、甲1Cより「湯水混合栓7」に「接続」された「吐水管15」であって、甲1Hより「フレキシブルホース16に接続されて、湯水混合栓7でレバー操作により好みの温度に調整された温水を、シャワーヘッド17に供給」する「吐水管15」は、本件発明1の構成1Eにおいて、「前記混合栓の混合水排出口に接続され、前記混合水をシャワーヘッドを備える水栓に導く混合水チューブ管」に、相当する。
f 一致点
以上を整理すると、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
(1a)洗面台に設けられている温水冷水混合栓とシャワーヘッドとを含む洗面台用水栓装置に関し、
(1b)前記洗面台内に設けられている温水供給口に、接続部により接続され、温水を通す温水チューブ管と、
(1c)前記洗面台内に設けられている冷水供給口に、接続部により接続され、冷水を通す冷水チューブ管と、
(1d)前記温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口と、前記冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口と、混合水を排出する混合水排出口と、を有し、混合水の流量及び温度を調節して前記混合水排出口から混合水を排出する混合栓と、
(1E)前記混合栓の混合水排出口に接続され、前記混合水をシャワーヘッドを備える水栓に導く混合水チューブ管と、
を有するもの。
g 相違点
そして、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1においては、構成1A及び構成1Hより、「洗面台用水栓装置」が、「温水冷水混合栓とシャワーヘッドから成る」のに対し、
甲1発明においては、甲1A及び甲1Bより、「洗面台1」の「多目的吐水装置」が、「湯水混合栓7と、一般吐水を行うシャワーヘッド17」の他に、「小流量の多目的吐水部24」を有する点。
<相違点2>
本件発明1においては、構成1A及び構成1Hより、「既存の洗面台に設けられている」上記相違点1に係る「洗面台用水栓装置」を、「微細気泡水生成機能を有するタイプのものにアップグレードするための洗面台用水栓キット」であるのに対し、
甲1発明においては、「既存の洗面台に設けられている」多目的吐水装置を、「微細気泡水生成機能を有するタイプのものにアップグレードするための洗面台用水栓キット」ではない点。
<相違点3>
「温水チューブ管」の「温水供給口」への接続に関し、
本件発明1においては、構成1Bより、「温水チューブ管」が「温水供給口に着脱自在に接続可能な温水管接続口を有」するのに対し、
甲1発明においては、甲1Fより、「給湯管13」は、「分岐給湯管22を設け」た「接続部」で「給湯本管20」に接続される点。
<相違点4>
「冷水チューブ管」の「冷水供給口」への接続に関し、
本件発明1においては、構成1Cより、「冷水チューブ管」が「冷水供給口に着脱自在に接続可能な冷水管接続口を有」するのに対し、
甲1発明においては、甲1Fより、「給水管12」は、「分岐給水管21」を設けた「接続部」で「給水本管19」に接続される点。
<相違点5>
「混合栓」に関し、
本件発明1においては、構成1B~1Dより、「温水チューブ管」からの「温水」と「冷水チューブ管」からの「冷水」を混合して「混合水」とするのに対し、
甲1発明においては、甲1Cより、「湯水混合栓7」は、「給水管12、給湯管13」及び「吐水管15」の他に「湯水混合水(温水)供給管14」にも接続されており、甲1Gより、「給水管12」からの「常温の水道水」、「給湯管13」からの「熱い湯」、及び「供給管14」からの「所定温度の温水」を「混合」する点。
<相違点6>
本件発明1においては、構成1F及び構成1Gより、「前記混合水チューブ管の途中に接続され、前記混合水中に含まれる空気泡を微細サイズに粉砕して微細気泡水を生成する微細気泡水生成器」を備え、「前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向における断面形状が、概ね正六角形を成す」のに対し、
甲1発明においては、「微細気泡水生成器」を備えない点。
<相違点7>
本件発明1においては、構成1Bに係る「温水チューブ管」、構成1Cに係る「冷水チューブ管」、構成1Dに係る「混合栓」、構成1Eに係る「混合水チューブ管」、及び構成1Gに係る形状を有する構成1Fに係る「微細気泡水生成器」を、構成1A及び1Hに係る「微細気泡水生成機能を有するタイプのものにアップグレードするための」「微細気泡水生成器付き洗面台用水栓キット」が備えるのに対し、
甲1発明においては、甲1A及び甲1Jに係る「洗面台1に備えられる多目的吐水装置」として、甲1B~甲1Iの各構成を備える点。
(イ)相違点の判断
事案に鑑み、上記相違点1、相違点2、相違点5及び相違点7について、互いに関連するので、関連する相互の関係を含めて判断する。
a 相違点1及び相違点2について
甲1発明において、「多目的吐水部24」は、甲1Iより、「湯水混合部23で生成された温水」を「小流量」吐水するために設けられたものであり、「多目的吐水装置」について、「多目的吐水部24」をなくして「湯水混合栓7」と「シャワーヘッド17」から成るものとし、上記相違点1に係る本件発明1の構成とする動機付けがあるとはいえない。
また、甲1発明において、補修などに対応するという一般的な観点から、「水道管に接続されている給水本管19」及び「給湯機に接続されている給湯本管20」に対して接続する部材の組み合わせを「キット」とする場合について、仮に考慮したとしても、甲1発明が有する「多目的吐水部24」を無視して、「キット」を「湯水混合栓7」と「シャワーヘッド17」から成る「多目的吐水装置」のためのものとし、さらに「微細気泡水生成機能を有するタイプのものにアップグレードするため」の部材を当該「キット」に含めて、上記相違点1及び相違点2に係る本件発明1の構成とすることについて、動機付けがあったとはいえない。
b 相違点2及び相違点5について
甲1発明において、「湯水混合栓7」を、甲1Gのように「常温の水道水が給水管12で、給湯機で生成した熱い湯が給湯管13で、所定温度の温水が供給管14で夫々湯水混合栓7に導入され、操作レバー11を中立位置で上下動させると供給管14の所定温度に設定された温水が吐出し、左右の一方に回動させることで、給水管12で供給される水と供給管14の温水とを混合して吐出し、操作レバー11の反対側への回動で、給湯管13の湯と供給管14の温水とを混合して吐出」するものから、本件発明1の構成1Dのように、「温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口」と「冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口」からの「温水と冷水の混合水を排出する」ものとし、上記相違点5に係る本件発明1の構成とする動機付けがあるとはいえない。
また、甲1発明において、補修などに対応するという一般的な観点から、「水道管に接続されている給水本管19」及び「給湯機に接続されている給湯本管20」に対して接続する部材の組み合わせを「キット」とする場合について、仮に考慮したとしても、甲1発明が有する「多目的吐水部24」と「シャワーヘッド17」の両方に「所定温度の温水」を供給する「湯水混合部23」との接続を無視して、「キット」に含める「湯水混合栓7」を、上記甲1Gのように「常温の水道水」、「熱い湯」及び「所定温度の温水」の3つを「導入」して「混合」するものから、本件発明1の構成1Dのように、「温水チューブ管の温水出口に接続される温水管受水口」と「冷水チューブ管の冷水出口に接続される冷水管受水口」からの「温水と冷水の混合水を排出する」ものとし、さらに「微細気泡水生成機能を有するタイプのものにアップグレードするため」の部材を当該「キット」に含めて、上記相違点2及び相違点5に係る本件発明1の構成とすることについて、動機付けがあったとはいえない。
c 相違点2及び相違点7
甲1発明において、仮に「多目的吐水装置」を「微細気泡水生成機能を有するタイプのもの」にすることを検討したとしても、「アップグレードするため」の部材の組み合わせとして、本件発明1の構成1Bに係る「温水チューブ管」、構成1Cに係る「冷水チューブ管」、構成1Dに係る「混合栓」、構成1Eに係る「混合水チューブ管」、及び構成1Gに係る形状を有する構成1Fに係る「微細気泡水生成器」を、「湯水混合栓7」と「シャワーヘッド17」から成るものとすることは、動機付けがあったとはいえない。
d 甲2~甲6を考慮して
甲2には、水栓装置の取換え施工に関する記載がある。甲3には、家庭用のシャワーヘッド等に取り付けることができる微細気泡水生成器に関する記載がある。甲4には、シャワーヘッド等に取付けて使用できるフアインバブル発生器に関する記載がある。甲5には、JIS規格におけるフアインバブルの用語の定義の記載がある。甲6には、配管構造の連結部に用いる可撓管に関する記載がある。
しかしながら、甲2~甲6のいずれにも、甲1発明を出発点として、上記相違点1、相違点2、相違点5、及び相違点7に係る本件発明1の構成とすることは、記載も示唆もされていない。
e 小括
上記a~dのとおり、甲1発明を出発点として、上記相違点1、相違点2、相違点5及び相違点7に係る本件発明1の構成に至ることは、たとえ甲2~甲6に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易であったとはいえない。
したがって、その余の相違点3、相違点4及び相違点6について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載される事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
(ウ)申立人の主張
a 甲1の開示について
申立人は、申立書及び申立人意見書において、甲1の図3に以下の書き込みを付した図を示している。
(申立書第36頁)
「
[図:0001432070000002.jpg]
」
(申立人意見書第7頁)
「
[図:0001432070000003.jpg]
」
b 本件発明1の「冷水チューブ管」及び「温水チューブ管」に相当する部材について
そして申立人は、甲1において、上記書き込みをした図に示される「給水管12」、「給湯管13」及び「吐水管15」が、本件発明1の構成1Dにおいて「混合栓」が有する「冷水管受水口」、「温水管受水口」及び「混合水排出口」に相当し、上記書き込みをした図に示される「給水管12」の先の「冷水配管(名称付加)」が本件発明1の構成1Cにおける「冷水チューブ管」に、また「給湯管13」の先の「温水配管(名称付加)」が本件発明1の構成1Bにおける「温水チューブ管」に、それぞれ相当する旨を主張している。
c 本件発明1と甲1に記載された発明との一致点及び相違点について
そのうえで申立人は、甲1には、次の相違点1’~相違点3’を除き本件発明1と一致する発明が記載されている旨を主張している。
<申立人が主張する相違点1’>
本件発明1は、「既存の洗面台用水栓装置を、微細気泡水生成機能を有するタイプのものにアップグレードするための洗面台用水栓キット」であるのに対し、
甲1に記載された発明は、そうではない点。
<申立人が主張する相違点2’>
本件発明1は、「前記混合水チューブ管の途中に接続され、前記混合水中に含まれる空気泡を微細サイズに粉砕して微細気泡水を生成する微細気泡水生成器」を備え、「前記微細気泡水生成器の中央部における前記混合水の水流方向の鉛直方向における断面形状が、概ね正六角形を成す」のに対し、
甲1に記載された発明は、「微細気泡水生成器」を備えない点。
<申立人が主張する相違点3’>
本件発明1は、「温水チューブ管」と「温水供給口」の接続、及び「冷水チューブ管」と「冷水供給口」の接続が、いずれも「着脱自在」であるのに対し、
甲1に記載された発明では、「着脱自在」であるか不明な点。
d 相違点の容易想到性について
そして申立人は、上記相違点1’~相違点3’は、いずれも想到容易である旨を主張している(申立書第15頁第4行~第24頁第12行、第35頁第1行~第41頁第22行、申立人意見書第7頁第9行~第9頁第20行)。
(エ)申立人の主張についての検討
a 甲1発明について
甲1に記載される多目的吐水装置は、上記ア(ア)a(b)に示した段落【0022】及び【0023】に示されるように、「湯水混合部」と「小流量の温水吐水」を行う「多目的吐水部」とを有することで、発明の効果を奏するものであるから、甲1発明は、「多目的吐水部24」及び「湯水混合部23」、及び「湯水混合部23」と関係する各流路を含めて、上記ア(ア)bに認定した甲1発明のとおり、認定されるべきである。
b 本件発明1と甲1発明との対比、一致点及び相違点について
甲1発明において、甲1Cのとおり、「湯水混合栓7は、・・・給水管12、給湯管13、湯水混合水(温水)供給管14に接続され、又・・・吐水管15が接続され」ているから、「給水管12」、「給湯管13」及び「吐水管15」は、申立人が上記(ウ)a及びbに主張するように「湯水混合栓7」の一部と位置づけるのではなく、「湯水混合栓7」に接続される部材として、本件発明1において「混合栓」に接続される「冷水チューブ管」、「湯水チューブ管」及び「混合水チューブ管」に相当させるべきである。
本件発明1と甲1発明とのその余の対比も、上記(ア)のとおり対比されるべきである。
そして、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、上記(ア)fに示した一致点、及び上記(ア)gに示した相違点1~相違点7のとおり、認定されるべきである。
c 本件発明1の容易想到性について
申立人は、甲1に記載された発明について、甲1において発明が効果を奏するための構成である「多目的吐水部24」、「湯水混合部23」、及び「湯水混合部23」と関係する各流路を無視して甲1に記載された発明を認定しており、本件発明1と甲1に記載された発明との相違点として、申立人が主張する相違点1’~ 相違点3’のみであるとして、当該相違点1’~ 相違点3’は想到容易である旨を主張している。
しかしながら、本件発明1と甲1発明との相違点は、上記(ア)gに示した相違点1~相違点7のとおり、認定されるべきであり、上記相違点1~相違点7のうち、申立人が看過した相違点を含む相違点1、相違点2、相違点5及び相違点7は、上記(イ)に示したとおり、甲2~甲6に記載される事項を考慮しても、当業者にとって想到容易であったとはいえない。
d 小括
したがって、上記申立人の主張を考慮しても、本件発明1の進歩性について、上記(ア)及び(イ)の対比・判断を変更すべき事情はない。
(オ)本件発明1の進歩性のまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
ウ 本件発明2~9及び15について
本件発明2~9及び15は、本件発明1の構成を有し、さらに構成を付加したものである。
上記イに対比・判断したとおり、本件発明1は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえないから、本件発明2~9及び15において付加された構成について検討するまでもなく、本件発明2~9及び15は、甲1発明、及び甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
エ 申立理由1のまとめ
したがって、本件発明1、及び本件発明1を引用する本件発明2~9及び15に係る発明は、申立理由1により、特許法29条2項の規定から特許を受けることができないものではない。
よって、これらの発明に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消されるべきものではない。
3 補正申立理由について
補正申立理由は、申立人意見書の第1頁第13行~第20行、及び第14頁第1行~第27頁第8行において新たに主張された、甲7を主たる証拠とした特許法29条2項に係る申立理由である。
補正申立理由に係る申立の理由の補正は、進歩性欠如の申立理由に係る主たる証拠を、新たに提出する甲7に変更する補正であるから、特許法115条2項に規定される申立書の要旨を変更する補正である。
そして、新たに提出された甲7は、本件訂正により訂正された本件発明1における「温水チューブ管」と「冷水チューブ管」の接続に関する構成とは異なる構成に関し、申立理由1において主たる証拠とされた甲1とは異なる内容を開示するものであり、上記補正申立理由は、本件発明1における「温水チューブ管」と「冷水チューブ管」の接続に関する構成とは異なる構成について、新たに提出した甲7の開示する内容に依拠する申立理由であるから、補正申立理由に係る申立の理由の補正は、本件訂正の請求により補正をする必要が生じたものとは認められない。
したがって、補正申立理由に係る申立人の主張は、採用することができない。
第6 むすび
以上のとおり、本件発明1ないし9及び15に係る特許は、特許異議申立理由、及び先の取消理由通知書に記載した取消理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件発明1ないし9及び15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-700153