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特許異議申立

2025-700063

収納装置

審判番号
2025-700063
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-043486
登録番号
7523148
請求日
2025年01月14日
審決日
2025年04月16日
公報発行日
2025年05月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】東海理研株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
  • 【異議申立人】高崎 重樹
審判長/審判官
  • 審判長 川俣 洋史
  • 審判官 門 良成
  • 審判官 殿川 雅也
分類
P1652.121-Y (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7523148号発明「収納装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7523148号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7523148号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、令和4年3月18日に出願され、令和6年7月18日にその特許権の設定登録がされ、同月26日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1ないし5に係る特許に対し、令和7年1月14日に特許異議申立人 高崎 重樹(以下「特許異議申立人」という。)が特許異議の申立てをした。 第2 本件特許発明 特許第7523148号の請求項1ないし5の特許に係る発明(以下「本件特許発明1」ないし「本件特許発明5」といい、併せて「本件特許発明」という。)は、各々その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 物を収納するための複数の扉付きロッカーと、前記扉付きロッカーの開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置において、 前記扉の表面にディスプレイが取り付けられていること、 前記ディスプレイの面積は、前記扉の面積の70%以上であること、 前記制御装置が、 前記ディスプレイに表示する画像を前記扉毎に独立して表示する独立表示モードと、複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードとを各別に制御する画像制御手段を有すること、 前記独立表示モードでは、前記ロッカーを使用するための使用情報を提供すること、 前記全体画面表示モードでは、広告表示を提供すること、 を特徴とする収納装置。 【請求項2】 請求項1に記載する収納装置において、 前記独立表示モードの前記使用情報は、使用可能な前記扉付きロッカーを指示する情報を含むこと、 前記全体画面表示モードの広告表示は、観光案内情報、土産案内情報、スポーツ中継情報の少なくとも1つを含むこと、 を特徴とする収納装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載する収納装置において、 前記制御装置は、使用者が予め携帯端末から予約した予約情報を、前記携帯端末から取得して、予約してあった前記扉付きロッカーを前記独立表示モードにより表示すること、 を特徴とする収納装置。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、 前記収納装置が公共交通機関のターミナルに設置されていること、 前記全体画面表示モードで表示される広告表示は、前記ターミナルの事務室から取得した前記公共交通機関の運行情報、または当地の気象情報を含むこと、 を特徴とする収納装置。 【請求項5】 請求項1乃至請求項3に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、 前記収納装置がショッピングモールやテーマパークなど人が多く集まる場所に設置されていること、 前記全体画面表示モードで表示される広告表示は、前記人が多く集まる場所の事務室から取得した広告情報を含むこと、 を特徴とする収納装置。」 第3 申立理由の概要 特許異議申立人は、主たる証拠として特開2014-150806号公報(以下「甲第1号証」といい、「甲1」ということがある。)及び従たる証拠として特開2021-77235号公報(以下「甲第2号証」といい、「甲2」ということがある。)、特開2005-314944号公報(以下「甲第3号証」といい、「甲3」ということがある。)を提出し、請求項1ないし5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1ないし5に係る特許を取り消すべきものである旨を主張する。 第4 文献の記載 1 甲第1号証 (1)甲第1号証記載事項 甲1には、次の記載がある。なお、下線は参考のため当審において付した(以下同じ。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は物品収受装置、特に集合住宅に配置され、電気錠により施錠可能な物品収受ボックスを用いて、種々の物品を受け渡しする物品収受装置に関するものである。」 「【0026】 図1に示すように、物品収受装置100は、縦3個の物品収受ボックスの区画を4列に配置したもので、左上のコンソール103の区画を除いて計14個の物品収受ボックス101、101…を有する。ただし、図示のようなボックス構成は一例に過ぎず、たとえばコンソール103の配置位置や物品収受ボックスの数、列の数、サイズや配置に関する構成は集合住宅の規模などに応じて当業者が任意に決定できる設計的な事項である。 【0027】 図1の手前側に示した物品収受ボックス101、101…の前面は、宅配物などの物品を出し入れ(たとえば業者による配達物の収容と、宛先人による取り出し)するための扉として構成される。これらの扉の開閉は電気錠(不図示)により制御される。」 「【0029】 後述のように、この扉の前面には、それぞれLCDパネル、プラズマディスプレイパネル、LEDパネル、などの表示装置を用いたディスプレイ1011、1011…(図2ではこの参照符号を用いている)が設けられる。」 「【0033】 このため、本実施例の物品収受装置100の物品収受ボックス101、101…の各々の扉の前面は情報表示用のディスプレイ1011、1011…として構成される。このディスプレイ1011、1011…は、好ましくは各扉の前面のほぼ全体を占める大きさ、あるいは各扉の前面ほぼ全体に近い大きさを有し、これら複数の扉のディスプレイ1011、1011…の表示を連動して制御することにより全体として大画面の情報コンテンツを表示することができる。 【0034】 このように複数のディスプレイ1011、1011…により複合ディスプレイを構成し、1つの情報コンテンツを大画面で分割表示する手法によると、大型の表示装置を用いて同じ表示面積の表示を行なうよりも低コストで装置を構成でき、大画面の迫力のある情報コンテンツを再生できる。」 「【0039】 あるいはさらに、図2に破線で示したように、物品収受ボックスの扉を開いたときに視認できるよう、物品収受ボックスの扉の裏側(内面)にも情報コンテンツを表示するためのディスプレイ1013を配置することもできる。この扉の内側のディスプレイ1013には、たとえば物品の取り出し(あるいは配達)の際に物品収受ボックスの扉が開かれる操作に連動して、そのタイミングで情報表示を行なうことができる。」「【0055】 物品収受装置100の制御部200は、コンソール103でのIDカード111の提示やキー操作などに応じて、物品収受装置100の物品収受ボックス101、101…を施錠/開錠する電気錠の開閉制御を行なうとともに、後述の情報表示制御を行なう。」 「【0062】 さらに、ネットワーク206上には物品収受装置100のディスプレイ1011、1012、1013で表示する広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報(あるいは他の任意の情報)コンテンツを配信する情報配信サーバ501が配置される。」 「【0080】 この情報コンテンツは、たとえば広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報(あるいは他の任意の情報)を表現した動画(ビデオ:当然ながら音声情報なども含むことができる)、静止画(+音声情報)や文字情報であって、MPEGのようなフォーマットの動画ファイル、JPEG、GIF、PNGなどの画像ファイル、あるいはMP3のような音声情報ファイル、プレーンテキストやHTML(あるいは任意のプログラム表現形式)の文字情報ファイル、あるいはこれらのフォーマットのファイルを適宜組合せた形式で表現される。」 「【0086】 ここで、ステップS34の詳細を図4に例示する。図4の例では、物品収受ボックス101の扉の操作と、人感センサ305によって検出される物品収受ボックス101近傍の人体の動きや、その態様などに応じて情報表示を行なうディスプレイ1011、1012、1013を選択するようになっている。 【0087】 図4の例では、ステップS331、S332、およびS333において、物品収受ボックス101の扉の開放、人感センサ305による物品収受装置100の正面付近への人体の近接、および人感センサ305による物品収受装置100の側面付近への人体の近接、をそれぞれ検出する。 【0088】 ステップS331、S332、またはS333のいずれかが肯定されると、処理はそれぞれステップS341、S342およびS343に進み、情報表示を行なうディスプレイとして開放された扉のディスプレイ(1013)、装置正面のディスプレイ(1011)、ないしは装置側面のディスプレイ(1012)がそれぞれ選択される。」 「 [図:0001422477000001.jpg] 」 「 [図:0001422477000002.jpg] 」 (2)甲1発明 上記(1)を整理すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 縦3個の物品収受ボックス101の区画が4列に配置されており(【0026】)、 物品収受ボックス101の前面は扉として構成されており(【0027】)、 物品収受ボックス101の各々の扉の前面は情報表示用のディスプレイ1011として構成され、このディスプレイ1011は、各扉の前面のほぼ全体を占める大きさ、あるいは各扉の前面ほぼ全体に近い大きさを有しており、複数の扉のディスプレイ1011の表示を連動して制御することにより全体として大画面の情報コンテンツを表示することができ(【0033】)、 物品収受ボックス101の扉の裏側(内面)にも情報コンテンツを表示するためのディスプレイ1013を配置し、この扉の内側のディスプレイ1013には、たとえば物品の取り出しの際に物品収受ボックスの扉が開かれる操作に連動して、そのタイミングで情報表示を行なうことができ(【0039】)、 制御部200は、コンソール103でのIDカード111の提示やキー操作などに応じて、物品収受装置100の物品収受ボックス101を施錠/開錠する電気錠の開閉制御を行なうとともに、情報表示制御を行ない(【0055】)、 ディスプレイ1011、1012、1013で表示される情報コンテンツは、広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報であり(【0062】、【0080】)、 物品収受ボックス101の扉の開放、人感センサ305による物品収受装置100の正面付近への人体の近接、および人感センサ305による物品収受装置100の側面付近への人体の近接、をそれぞれ検出すると(【0087】)、 それぞれステップS341、S342およびS343に進み、情報表示を行なうディスプレイとして開放された扉のディスプレイ1013、装置正面のディスプレイ1011、ないしは装置側面のディスプレイ1012がそれぞれ選択される(【0088】)、 物品収受装置100(【0026】)。 2 甲第2号証 (1)甲第2号証記載事項 甲2には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明の実施形態は、収納装置及びプログラムに関する。」 「【0011】 図2は、収納装置10の外観構成の一例を示す斜視図である。ここで、図2Aは、収納装置10を前面側から見た斜視図である。また、図2Bは、収納装置10を背面側から見た斜視図である。なお、本実施形態では、フードコートを利用するユーザに面する側を前面と定義している。 【0012】 図2に示すように、収納装置10は、台座部11と、ロッカー12と、制御装置13とを備える。台座部11は、収納部の一例であるロッカー12を下方から保持する。具体的には、台座部11は、ロッカー12の形状や配置レイアウトに応じた矩形状の構造物であり、地面から所定の高さを有する。これにより、収納装置10では、ロッカー12を地面から離間させることが可能となっている。 【0013】 ロッカー12は、略箱状の筐体で構成され、その内部に商品を収納するための空間を有する。ロッカー12は、1又は複数個用意され、台座部11の上部に並べて又は積み重ねて配置される。図2では、水平方向にロッカー12を4個並べ、当該ロッカー12を高さ方向に3段積み重ねた、計15個の構成としている。なお、ロッカー12の個数や配置レイアウトは、図2の例に限定されないものとする。 【0014】 ロッカー12の各々には、固有の識別子であるロッカーIDが付されている。ロッカーIDは、例えばロッカー番号である。後述する制御装置13及びサーバ装置40では、ロッカーIDに基づきロッカー12を管理することが可能となっている。 【0015】 ロッカー12は、前面側に開口12aを有する。また、ロッカー12は、開口12aを開閉可能な扉部121を備える。ここで、開口12aは第1の開口に対応する。また、扉部121は、第1の扉部に対応する。 【0016】 扉部121の表面にはLCD(Liquid Crystal Display)等の平面型ディスプレイである表示部122が設けられている。図2では、扉部121の表面全面に表示部122を設けた例を示しているが、扉部121の表面を占める表示部122の面積はこれに限らないものとする。」 「【0097】 図12は、収納装置10に表示される画像の一例を示す図である。図12は、表示方法として拡大表示が指示された場合の表示例を示している。ここでは、図10及び図11に示したクラスタを形成するロッカー12(外形が四角の画像を表示するロッカー12)の表示部122に亘って一の店舗画像G2を表示させた例を示している。 【0098】 図12に示すように、表示方法として拡大表示が指定されると、同一店舗(店舗ID)の商品が収納されたクラスタを形成する各ロッカー12の表示部122に、その店舗を表す店舗画像G2が拡大して表示される。かかる表示により、オーダユーザは、収納装置10の前面側を見ることで、店舗画像G2が表示されている位置から、自己がオーダした商品が収納されているロッカー12の大凡の位置を把握することができる。 【0099】 また、オーダユーザ以外の他のユーザは、収納装置10の前面側を見ることで、各店舗の店舗画像G2の大きさや、全画面中に占める割合から、人気のある店舗を直観的に確認することができる。このように、収納装置10では、表示部122に表示する店舗画像G2をデジタルサイネージとして利用することもできるため、オーダユーザ以外の他のユーザに対し、店舗の宣伝や購買意欲の促進を図ることができる。 【0100】 なお、拡大表示を行う場合、表示先のロッカー12の最小個数は2個となるが、ロッカー12の個数や配置レイアウト等に条件を設けてもよい。例えば、クラスタを構成するロッカー12の個数が閾値(例えば5個)以上の場合に拡大表示を行うよう制限条件を設定 してもよい。また、例えば、クラスタを構成するロッカー12の配置レイアウトが、2×2の配列(正方配列)を含む場合に拡大表示を行うよう制限条件を設定してもよい。このような制限条件を設けることで、店舗画像G2を拡大表示させた際の視認性を向上させることができる。 【0101】 また、表示制御部4002は、制御装置13から端末IDが通知されると、ロッカー管理部4001と協働することで、その端末IDに対応するロッカーIDをロッカー管理テーブルT1から特定する。そして、表示制御部4002は、特定したロッカーIDの明示を制御装置13に指示する。 【0102】 制御装置13の表示制御部1305は、サーバ装置40(表示制御部4002)から特定のロッカーIDの明示が指示されると、図13に示すように、指示されたロッカーIDに対応するロッカー12の表示部122に表示された画像を強調表示させる。 【0103】 図13は、収納装置10に表示される画像の一例を示す図である。図13では、収納装置10の上から2段目、左から4番目のロッカー12の画面(商品画像G1)を強調表示した例を示している。なお、図13では、画面縁部に枠G3を表示させることで、画像の強調表示を行った例を示している。 【0104】 上述の処理により、制御装置13は、ユーザにより近距離通信部131を介して端末IDの入力が行われると、当該ユーザがオーダした商品を収納するロッカー12を画面の強調表示によって明示する。これにより、オーダユーザは、自己がオーダした商品がどのロッカー12に収納されているのかを容易に確認することができる。したがって、収納装置10は、商品の受け取りに係る利便性を向上させることができる。] 「【図12】 [図:0001422477000003.jpg] 」 「【図13】 [図:0001422477000004.jpg] 」 (2)甲2発明 上記(1)を整理すると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 台座部11と、ロッカー12と、制御装置13とを備え(【0012】)、 ロッカー12は、1又は複数個用意され、台座部11の上部に並べて又は積み重ねて配置され(【0013】)、 ロッカー12は、前面側に開口12aと開口12aを開閉可能な扉部121を備え(【0015】)、 扉部121の表面全面にLCD等の平面型ディスプレイである表示部122が設けられており(【0016】)、 表示される画像の一例として、クラスタを形成するロッカー12(外形が四角の画像を表示するロッカー12)の表示部122に亘って一の店舗画像G2を表示させ(【0097】)、 同一店舗(店舗ID)の商品が収納されたクラスタを形成する各ロッカー12の表示部122に、その店舗を表す店舗画像G2が拡大して表示されことにより、オーダユーザは、収納装置10の前面側を見ることで、店舗画像G2が表示されている位置から、自己がオーダした商品が収納されているロッカー12の大凡の位置を把握することができ(【0098】)、 制御装置13の表示制御部1305は、サーバ装置40(表示制御部4002)から特定のロッカーIDの明示が指示されると、指示されたロッカーIDに対応するロッカー12の表示部122に表示された画像を強調表示させ(【0102】)、 制御装置13は、ユーザにより近距離通信部131を介して端末IDの入力が行われると、当該ユーザがオーダした商品を収納するロッカー12を画面の強調表示によって明示し、オーダユーザは、自己がオーダした商品がどのロッカー12に収納されているのかを容易に確認することができる(【0104】)、 収納装置10(【0012】)。 3 甲第3号証 (1)甲第3号証記載事項 甲3には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば駅構内に設置され、複数の利用者にロッカーボックスを利用可能とした貸しロッカーシステムに関する。」 「【0020】 以下、各モードにおける操作方法と装置の動作を説明する。なお、ロッカーボックス2が空き状態(非使用状態)のときは、錠装置21は解錠状態で状態表示用LED25が緑色に点灯されている。また、操作表示部12aの初期画面には「預け入れ」、「取り出し」、「チャージ」等の表示が行われており、利用者は、操作表示部12aのタッチパネルを操作して、所望の処理を選択する。「預け入れ」を選択し、空き状態のロッカーボックス2に荷物を収納してロッカー扉2aを閉めると、施錠確認用LED24が橙色で点滅するので、施錠スイッチ23を押す。これにより、錠装置21は仮施錠される。このとき、他に利用者が操作していなければ、施錠確認用LED24が消灯するとともに状態表示用LED25を赤色で点滅する。そして、操作表示部12aには、「暗証番号」、「携帯電話」、「ICカード」の表示によりモードを選択するように案内が表示されるので、操作表示部12aのタッチパネルを操作してモードを選択する。 【0021】 第1モード(暗証番号):利用者が「預け入れ」を選択して荷物の投入及び施錠スイッチ23を押し、「暗証番号」を選択する。これにより、操作表示部12aに利用料金(金額)と利用料金を投入するように案内する表示が行われる。硬貨投入口16aから硬貨(例えば100円硬貨)を投入するか、紙幣投入口15aから紙幣を投入すると錠装置21が施錠され、状態表示用LED25が赤色の点灯に変わり、レシートと領収書が発行される。このレシートには、解錠用の例えば6桁の暗証番号が印刷されている。 【0022】 解錠操作をするときは、操作表示部12aの初期画面で「取り出し」を選択するとともに、次の画面で「暗証番号」を選択する。そして、操作表示部12aから暗証番号を入力すると、所定の利用時間内であれば錠装置21が解錠されて、状態表示用LED25が赤の点滅となる。時間超過による追加料金が発生している場合には、暗証番号を入力した後、操作表示部12aに追加の料金投入を案内する表示が行われる。そして、追加の料金を硬貨投入口16aあるいは紙幣投入口15aから投入すると、プリンタ11によりレシート及び領収書が発行されるとともに、錠装置21が解錠され、状態表示用LED25が赤の点滅となる。後は上記同様に荷物を取り出してロッカー扉2aを閉めると状態表示LED25が緑色の点灯に変わる。」 (2)甲3発明 上記(1)を整理すると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 ロッカーボックス2が空き状態(非使用状態)のときは、錠装置21は解錠状態で状態表示用LED25が緑色に点灯される、複数の利用者にロッカーボックスを利用可能とした貸しロッカーシステム。 第5 当審の判断 1 請求項1 (1)対比 本件特許発明1と甲1発明を対比する。 ア 甲1発明の「扉」及び「ディスプレイ1011」は、各々本件特許発明1「扉」及び「ディスプレイ」に相当する。 イ 甲1発明の「物品収受ボックス101」は、前面が扉として構成されていて複数の区画が「物品収受装置101」に配置されていて物品を収受するためにこの物品を収納するものといえるので、本件特許発明1の「物を収納するための複数の扉付きロッカー」に相当する。 ウ 甲1発明の「物品収受装置100」は、後述する相違点を除き、本件特許発明1の「収納装置」に相当する。 エ 甲1発明の「制御部200」は、物品収受ボックス101を施錠/開錠する電気錠の開閉制御をするとともに、情報表示制御をするので、後述する相違点を除き、本件特許発明1の「前記扉付き開閉状態を制御する制御装置」に相当する。 オ 甲1発明の扉の前面を「ディスプレイ1011」として構成することは、構造力学上技術常識からみて扉の前面にディスプレイ1011が取り付けられていることを意味していると理解できることから、本件特許発明1の「ディスプレイ」と甲1発明の「ディスプレイ1011」は、「扉の表面に」「取り付けられている」点で一致する。 カ 甲1発明の「ディスプレイ1011」は、各扉の前面のほぼ全体を占める大きさ、あるいは各扉の前面ほぼ全体に近い大きさを有しているので、扉の面積に対するディスプレイの面積の割合が大きい方がよいことが理解できる。すると、扉に対する面積比が大きい方がよいという観点で、本件特許発明1の「ディスプレイ」の面積と甲1発明の「ディスプレイ1011」の面積は、「扉の面積の70%以上」である点で一致する キ 甲1発明の「制御部200」は、複数の扉のディスプレイ1011の表示を連動して制御することにより全体として大画面の広告を含む情報コンテンツを表示制御するので、本件特許発明1の「制御装置」とディスプレイの画像表示を制御する点で機能が共通し、本件特許発明1の「制御装置」と甲1発明の「制御部200」は、「複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する画像制御手段を有」するものであって、「複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する際に、広告表示を提供する」ものである点で共通する。 すると、本件特許発明1と甲1発明は、 [一致点] 「物を収納するための複数の扉付きロッカーと、前記扉付きロッカーの開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置において、 前記扉の表面にディスプレイが取り付けられていること、 前記ディスプレイの面積は、前記扉の面積の70%以上であること、 前記制御装置が、 複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する画像制御手段を有すること、 複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する際に、広告表示を提供すること、 を特徴とする収納装置。」 である点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。 [相違点1] 本件特許発明1の「制御装置」が、「ディスプレイに表示する画像を前記扉毎に独立して表示する独立表示モードと、複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードとを各別に制御する画像制御手段を有する」ものであるのに対し、甲1発明の「制御部200」は、扉の裏側(内側)に配置されたディスプレイ1013に情報コンテンツを表示することと装置正面のディスプレイ1011に情報コンテンツを表示することをそれぞれ選択するものではあるものの、本件特許発明1のように、「扉の表面」に取り付けられた「ディスプレイ」について、「前記扉毎に独立して表示する独立表示モード」と「一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モード」とを各別に制御していない点。 [相違点2] 本件特許発明1の「制御装置」が、「前記ロッカーを使用するための使用情報を」「扉毎に独立して表示」するものであるのに対し、甲1発明の「制御部200」は、「扉」の裏側(内面)のディスプレイが広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報を表示するものの、本件特許発明1のように、「扉の表面」に取り付けられた「ディスプレイ」に「前記ロッカーを使用するための使用情報を提供」するものではない点。 事案に鑑みて、相違点1について検討する。 (2)甲2発明についての判断 ア 甲2発明の「収納装置10」は、扉部121の表面全面にLCD等の平面型ディスプレイである表示部122が設けられて、クラスタを形成するロッカー12(外形が四角の画像を表示するロッカー12)の表示部122に亘って一の店舗画像G2を表示させ、指示されたロッカーIDに対応するロッカー12の表示部122に表示された画像を強調表示させるものではあるが、本件特許発明1のように「ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モード」を有するものではない。 イ 仮に、甲2発明の「制御装置13」が、収納装置10全体のロッカー12をクラスタにして、クラスタ全体にわたって一の店舗画像G2を表示したとしても、この表示は、ロッカーごとの表示部122に対して個別に表示制御して一の店舗情報G2を表示している態様があり得るに留まり、本件特許発明1が備えるような、「ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する」ための専用の「全体画面表示モード」とはいえない。 ウ さらに、甲2発明の「制御装置13」は、少なくとも、ロッカーごとの表示部122に対して個別に表示制御する独立表示モードと、クラスタを形成するロッカー12の表示部122に亘って表示制御する全体画面表示モードを切り換えて個別に制御するものでもない。 (3)甲3発明についての判断 甲3発明の「貸しロッカーシステム」は、「ロッカーボックス2が空き状態(非使用状態)のときは、錠装置21は解錠状態で状態表示用LED25が緑色に点灯される」発明ではあるものの、本件特許発明1の「独立表示モード」及び「全体画面表示モード」を「各別に制御する画像制御手段」を備えるものではない。 (4)まとめ ア 上記(1)ないし(3)のとおり、異議申立人が提出した甲1ないし甲3のいずれも、本件特許発明1の「扉の表面に」「取り付けられ」た「ディスプレイ」に対して、「前記ディスプレイに表示する画像を前記扉毎に独立して表示する独立表示モードと、複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードとを各別に制御する画像制御手段」を開示しない。 イ 甲1発明は、扉の裏側(内側)のディスプレイ1013と装置正面のディスプレイ1011を選択して表示する発明であって、甲1発明に対して、甲2発明の扉の表面の表示部、又は甲3発明の状態表示用LEDを採用したとしても相違点1に係る「独立表示モード」及び「全体画面表示モード」を「各別に制御する画像制御手段」を備えることにならない。また、甲1発明の物品収受装置100において、扉の前面のディスプレイ1011と扉の裏側のディスプレイ1013の双方とも広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報コンテンツを表示することからすると、大画面に表示される情報コンテンツと別に扉毎の表面に情報コンテンツを表示する必然性がないのであるから、甲1発明の装置正面の、連動して制御されて全体として大画面の情報コンテンツを表示するディスプレイ1011に対して、さらに本件特許発明1のような扉の表面に扉毎に独立して表示する独立表示モードを採用する動機がない。 ウ そして、本件特許発明1は、相違点1に係る構成を備えることにより、本件特許の発明の詳細な説明に記載されているとおりの「扉付きロッカー11を使用者が利用しようとしている時間を除き、全体画面表示プログラム3122により広告を提供でき、収納装置1 が設置されている場所を通行する人々に対しても認識可能な大きなディスプレイ13を用いて広告が提供できるため、広告機能性を十分に発揮」(【0031】)する効果、及び、「特定されたロッカーのディスプレイ13は独立表示プログラム3122により、例えば、点灯するなどして、使用者がすぐにどのロッカーか認識することができる」(【0032】)との効果を両立させて奏することができる。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明、甲2発明、及び甲3発明から、当業者が容易に発明できたものとはいえない。 2 請求項2ないし5 請求項2ないし5に係る発明は、請求項1に係る発明を引用し、さらなる発明特定事項を付加したものである。 よって、上記1に示した理由と同様の理由により、請求項2ないし5に係る発明は、甲1発明ないし甲3発明に基いて当業者が容易に発明できたものではない。 以上のとおり、請求項1ないし5に係る発明は、甲1発明ないし甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700063

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