特許異議申立
2025-700021
灯具装着器具、照明装置および矯正具
- 審判番号
- 2025-700021
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-031688
- 登録番号
- 7511356
- 請求日
- 2024年12月24日
- 審決日
- 2025年02月25日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三菱電機株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 【権利者】三菱電機照明株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 【異議申立人】坂井 弘人
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 覚
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 倉橋 紀夫
- 分類
- P1651.121-Y (F21S) / P1651.537-Y (F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7511356号発明「灯具装着器具、照明装置および矯正具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7511356号の請求項1~13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7511356号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~13に係る出願は、令和2年2月27日に出願され、令和6年6月27日にその特許権の設定登録がされ、令和6年7月5日に特許掲載公報が発行された。その後、令和6年12月24日に特許異議申立人坂井弘人(以下、「申立人」という。)は、本件の請求項1~13に係る特許について特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~13に係る発明(以下、それぞれの請求項に係る発明に対応して「本件発明1」等という。)は、特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
光源を有する灯具が装着される灯具装着器具であって、
取付対象に沿って配置される器具天面部および前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる器具側面部を有する器具本体部と、
前記器具天面部に取り付けられる基部および前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる矯正部を有する矯正具と
を備え、
前記矯正具は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記器具本体部の前記器具天面部と前記器具側面部とがなす成形角度が前記基部と前記矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正し、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記矯正部と前記器具側面部とが少なくとも一部で離間する灯具装着器具。
【請求項2】
前記器具本体部は、
離間した前記器具側面部と前記矯正部とが一部で接触するように、前記器具側面部が固定手段により矯正される請求項1に記載の灯具装着器具。
【請求項3】
光源を有する灯具が装着される灯具装着器具であって、
取付対象に沿って配置される器具天面部および前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる器具側面部を有する器具本体部と、
前記器具天面部に取り付けられる基部および前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる矯正部を有する矯正具と
を備え、
前記器具天面部は、
前記器具本体部を前記取付対象に取り付ける吊ボルトが挿通される吊ボルト挿通孔を有し、
前記矯正具は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記器具本体部の前記器具天面部と前記器具側面部とがなす成形角度が前記基部と前記矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正し、前記器具天面部が有する前記吊ボルト挿通孔とともに前記吊ボルトが挿通可能な吊ボルト挿通孔を有し、前記器具本体部に複数取り付けられる灯具装着器具。
【請求項4】
前記矯正具は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記矯正部の少なくとも一部が前記器具側面部と接触する請求項3に記載の灯具装着器具。
【請求項5】
前記成形角度は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられていない状態において、前記矯正角度よりも小さい角度である請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の灯具装着器具。
【請求項6】
前記器具本体部は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態の前記成形角度が、前記基部が前記器具天面部に取り付けられていない状態の前記成形角度よりも大きくなるように、前記器具側面部が矯正される請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の灯具装着器具。
【請求項7】
前記成形角度は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられていない状態において、前記矯正角度よりも大きい角度である請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の灯具装着器具。
【請求項8】
前記器具本体部は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態の前記成形角度が、前記基部が前記器具天面部に取り付けられていない状態の前記成形角度よりも小さくなるように、前記器具側面部が矯正される請求項1または請求項7に記載の灯具装着器具。
【請求項9】
前記基部は、前記器具天面部における前記取付対象に設置される側と反対側に取り付けられる請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の灯具装着器具。
【請求項10】
前記基部は、前記器具天面部の前記取付対象に設置される側に取り付けられる請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の灯具装着器具。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の灯具装着器具と、
前記灯具装着器具に取り付けられる灯具と
を備えた照明装置。
【請求項12】
取付対象に沿って配置される器具天面部および前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる器具側面部を有する器具本体部に取り付けられる矯正具であって、
前記器具天面部に取り付けられる基部と、
前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる矯正部と
を備え、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記器具本体部の前記器具天面部と前記器具側面部とがなす成形角度が前記基部と前記矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正し、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記矯正部と前記器具側面部とが少なくとも一部で離間する矯正具。
【請求項13】
請求項12に記載の矯正具および前記矯正具により矯正された器具本体部を有する灯具装着器具と、
前記灯具装着器具に取り付けられる灯具と
を備えた照明装置。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠として以下の甲第1号証~甲第4号証(以下、各甲号証に付された数字に対応して「甲1」等という。)を提出し、本件特許を取り消すべき理由として、次の申立理由1及び2を主張する。
甲1:特開2016-219238号公報
甲2:特開2016-136533号公報
甲3:特開2016-136536号公報
甲4:特開2002-109947号公報
1 申立理由1
本件発明1~13は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するものであるから、それらの特許は特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
2 申立理由2
本件発明1、2及び5~13に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
第4 当審の判断
1 各甲号証について
(1)甲1に記載された発明
甲1(特に、【0001】、【0011】~【0014】、【0032】~【0038】、図1~2、9、13~20参照。)には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「発光素子を備える光源ユニット200が取り付けられる照明器具本体100であって、
長手形状をなす平板形状の平板部111-1および前記平板部111-1から下方向Z1に立ち上がる一対の側壁部111-2とから成る凹部111を有する本体部110と、
光源ユニットを取り付けるための光源ユニット取り付け部311、光源ユニット取り付け部311の両側面を折り曲げて形成される2つの脚部312、2つの脚部312の先端から互いに対向するように内側方向へ折り曲げられて形成される先端部313を有する固定具300と
を備え、
前記固定具300は、
前記平板部111-1に前記先端部313が引っかかった状態においてリベットで締結される照明器具本体100。」
(2)甲2に記載された事項
甲2(特に、【0001】、【0010】~【0011】、【0013】~【0014】、【0023】~【0027】、【0035】、図1~4参照)には、以下の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されている。
「発光素子22を備える光源部2が取り付けられる器具本体1であって、
天板部11aと、前記天板部11aから直角に垂下するように折曲されて形成された側壁11bとから構成されている収容凹部11と、
ケースを備えた点灯装置3と、
ステンレス材料等のばね材によって略コ字状に折曲して形成されている係止部材4と
を備え
前記点灯装置3は、そのケースの両側壁が前記収容凹部11の前記側壁11bに隙間なく接触するように配置されているが全面的に接触している必要はなく、僅かな隙間の存在は許容されるものであり、
前記係止部材4は、前記収容凹部11に外側から重合するように取付けられ、光源部2が取り付けられ、
器具本体1の天板部11aには、天井の構造体に設けられた取付ボルトBtが貫通する取付穴11fが形成されている器具本体1。」
(3)甲3に記載された事項
甲3(特に、【0001】、【0011】~【0012】、【0014】~【0016】、【0024】~【0028】、【0036】、図1~4参照。)には、以下の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されている。
「発光素子22を備える光源部2が取り付けられる器具本体1であって、
天板部11aと、前記天板部11aから直角に垂下するように折曲されて形成された側壁11bとから構成されている収容凹部11と、
ケースを備えた点灯装置3と、
ステンレス材料等のばね材によって略コ字状に折曲して形成されている係止部材4と
を備え
前記点灯装置3は、そのケースの両側壁が前記収容凹部11の前記側壁11bに隙間なく接触するように配置されているが全面的に接触している必要はなく、僅かな隙間の存在は許容されるものであり、
前記係止部材4は、前記収容凹部11に外側から重合するように取付けられ、光源部2が取り付けられ、
器具本体1の天板部11aには、天井の構造体に設けられた取付ボルトBtが貫通する取付穴11fが形成されている器具本体1。」
(4)甲4に記載された事項
甲4(特に、【0001】、【0020】~【0022】、【0024】~【0026】、【0041】~【0044】、図1~3参照。)には、以下の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されている。
「照明器具1の器具本体2のベース壁21に取付け凸部23が突設され、前記取付け凸部23に固定孔25が開けられ、
前記取付け凸部23の内面に、通孔28が開けられた補強板3を添設し、
天井裏の吊りボルト17が前記固定孔25及び前記通孔28を通される器具本体2。」
2 申立理由1について
(1)本件発明1
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「発光素子」は前者の「光源」に相当し、以下同様に、「備える」態様は「有する」態様に、「光源ユニット200」は「灯具」に、「取り付けられる」態様は「装着される」態様に、「照明器具本体100」は「灯具装着器具」に、それぞれ相当する。
また、後者の「長手形状をなす平板形状の平板部111-1」は、取付対象に取り付けられる部分であることが明らかであるから、前者の「取付対象に沿って配置される器具天面部」に相当し、以下同様に、「前記平板部111-1から下方向Z1に立ち上がる」態様は「前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる」態様に、「側壁部111-2」は「器具側面部」に、それぞれ相当し、後者の「長手形状をなす平板形状の平板部111-1と、前記平板部111-1から下方向Z1に立ち上がる一対の側壁部111-2とから成る凹部111を有する本体部110」は前者の「取付対象に沿って配置される器具天面部および前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる器具側面部を有する器具本体部」に相当する。
さらに、後者の「先端部313」は、平板部111-1に引っかかった状態においてリベットで締結されるものであるから、前者の「前記器具天面部に取り付けられる基部」に相当し、後者の「脚部312」は、その先端から互いに対向するように内側方向へ折り曲げて先端部313を形成するから、前者の「前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる矯正部」とは、「前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる壁部」という限りにおいて一致し、同様に、「固定具300」と「矯正具」とは、「構成具」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「光源を有する灯具が装着される灯具装着器具であって、
取付対象に沿って配置される器具天面部および前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる器具側面部を有する器具本体部と、
前記器具天面部に取り付けられる基部および前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる壁部を有する構成具と
を備える灯具装着器具。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
構成具に関し、本件発明1は、「矯正部を有する矯正具」であって、「前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記器具本体部の前記器具天面部と前記器具側面部とがなす成形角度が前記基部と前記矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正し、前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記矯正部と前記器具側面部とが少なくとも一部で離間する」のに対し、甲1発明は、そのようなものであるか不明な点。
イ 判断
上記相違点1について、以下検討する。
甲1発明の「固定具300」は、その脚部312が、凹部111を有する本体部110の側壁部111-2に当接するか否か明らかではなく、先端部313が平板部111-1に取り付けられた状態において、凹部111を有する本体部110の平板部111-1と側壁部111-2とがなす角度が先端部313と脚部312とがなす角度になるように側壁部111-2を矯正するものか明らかではない。また、先端部313が平板部111-1に取り付けられた状態において、脚部312と側壁部111-2とが少なくとも一部で離間するか否かも不明である。
甲2記載事項の「点灯装置3」は、そのケースの両側壁が収容凹部11の側壁11bに隙間なく接触するように配置されているが全面的に接触している必要はなく、僅かな隙間の存在は許容されるものではあるが、だからといって、収容凹部11の天板部11aと側壁11bとがなす角度が点灯装置3のケースの上面部分と側壁とがなす角度になるように側壁11bを矯正するものか明らかではない。
また、甲3記載事項の「点灯装置3」についても同様である。
さらに、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲4に記載されていないことは明らかである。
したがって、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1~4のいずれにも記載されておらず、また、当業者が適宜なし得る設計的事項であるとも、周知技術であるともいえない。
よって、当業者が相違点1に係る本件発明1の発明特定事項に容易に想到し得るという理由は見いだせないから、本件発明1は、当業者が甲1発明及び甲2~4記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2
本件発明2は、本件発明1の全ての発明特定事項を含んだ上で、さらに発明特定事項を追加したものであり、上記(1)に示した理由と同様の理由により、本件発明2は、当業者が甲1発明及び甲2~4記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明3
ア 対比
本件発明3と甲1発明との対比については、上記(1)アに記載のとおりである。
したがって、両者は、
「光源を有する灯具が装着される灯具装着器具であって、
取付対象に沿って配置される器具天面部および前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる器具側面部を有する器具本体部と、
前記器具天面部に取り付けられる基部および前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる壁部を有する構成具と
を備える灯具装着器具。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点2]
器具天面部に関し、本件発明3は、「前記器具本体部を前記取付対象に取り付ける吊ボルトが挿通される吊ボルト挿通孔を有し」ているのに対し、甲1発明は、そのように構成されているか不明な点。
[相違点3]
構成具に関し、本件発明3は、「矯正部を有する矯正具」であって、「前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記器具本体部の前記器具天面部と前記器具側面部とがなす成形角度が前記基部と前記矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正し、前記器具天面部が有する前記吊ボルト挿通孔とともに前記吊ボルトが挿通可能な吊ボルト挿通孔を有し、前記器具本体部に複数取り付けられる」のに対し、甲1発明は、そのようなものであるか不明な点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点3についてまず検討する。
上記(1)イ同様、甲1発明の「固定具300」は、その脚部312が、凹部111を有する本体部110の側壁部111-2に当接するか否か明らかではなく、先端部313が平板部111-1に取り付けられた状態において、凹部111を有する本体部110の平板部111-1と側壁部111-2とがなす角度が先端部313と脚部312とがなす角度になるように側壁部111-2を矯正するものか明らかではない。また、吊ボルトが挿通可能な吊ボルト挿通孔を有しているか否かも不明である。
甲2記載事項の「点灯装置3」は、そのケースの両側壁が収容凹部11の側壁11bに隙間なく接触するように配置されているが全面的に接触している必要はなく、僅かな隙間の存在は許容されるものではあるが、だからといって、収容凹部11の天板部11aと側壁11bとがなす角度が点灯装置3のケースの上面部分と側壁とがなす角度になるように側壁11bを矯正するものか明らかではない。
また、甲3記載事項の「点灯装置3」についても同様である。
さらに、相違点3に係る本件発明3の発明特定事項は、甲4に記載されていないことは明らかである。
したがって、相違点3に係る本件発明3の発明特定事項は、甲1~4のいずれにも記載されておらず、また、当業者が適宜なし得る設計的事項であるとも、周知技術であるともいえない。
よって、当業者が相違点3に係る本件発明3の発明特定事項に容易に想到し得るという理由は見いだせないから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明3は、当業者が甲1発明及び甲2~4記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明4~11
本件発明4は、本件発明3の全ての発明特定事項を含んだ上で、さらに発明特定事項を追加したものであり、上記(3)に示した理由と同様の理由により、本件発明4は、当業者が甲1発明及び甲2~4記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
本件発明5~11は、本件発明1又は3の全ての発明特定事項を含んだ上で、さらに発明特定事項を追加したものであり、上記(1)又は(3)に示した理由と同様の理由により、本件発明5~11は、当業者が甲1発明及び甲2~4記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明12
ア 対比
本件発明12と甲1発明との対比については、上記(1)アに記載のとおりである。
したがって、両者は、
「取付対象に沿って配置される器具天面部および前記器具天面部から前記器具天面部と交わる方向に沿って立ち上がる器具側面部を有する器具本体部に取り付けられる構成具であって、
前記器具天面部に取り付けられる基部と、
前記基部から前記基部と交わる方向に沿って立ち上がる壁部と
を備える構成具。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点4]
構成具に関し、本件発明12は、「矯正部」を備え、「前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記器具本体部の前記器具天面部と前記器具側面部とがなす成形角度が前記基部と前記矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正し、前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記矯正部と前記器具側面部とが少なくとも一部で離間する」のに対し、甲1発明は、そのようなものであるか不明な点。
イ 判断
相違点4は、上記(1)アに記載した相違点1と実質的に同一である。
したがって、相違点4に係る判断も、上記(1)イで説示した相違点1に係る判断と同様である。
よって、当業者が相違点4に係る本件発明12の発明特定事項に容易に想到し得るという理由は見いだせないから、本件発明12は、当業者が甲1発明及び甲2~4記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明13
本件発明13は、本件発明12の全ての発明特定事項を含んだ上で、さらに発明特定事項を追加したものであり、上記(5)に示した理由と同様の理由により、本件発明13は、当業者が甲1発明及び甲2~4記載事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(7)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書の18頁6~9行において、甲1発明の「固定具300」について、
「固定具300は、先端部313が平板部111-1に取り付けられた状態において、本体部110の平板部111-1と側壁部111-2とがなす成形角度が先端部313と脚部312とがなす矯正角度になるように側壁部111-2を矯正する」
と認定することを主張しているが、上記(1)イで説示したとおり、甲1発明の固定具300は、平板部111-1と側壁部111-2とがなす角度が先端部313と脚部312とがなす角度になるように側壁部111-2を矯正するものか明らかではない。
よって、申立人の主張は根拠を有するものではなく、採用できない。
(8)小括
以上のとおり、本件の請求項1~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたことではなく、申立理由1によって取り消すことはできない。
3 申立理由2について
(1)申立人の主張の概要
本件特許発明1には、「前記矯正部と前記器具側面部とが少なくとも一部で離間する」と記載されており、矯正部の全体と器具側面部全体とが、物理的に離れている場合も権利範囲に含まれる。
この場合、矯正具は、基部が器具天面部に取り付けられた状態において、器具本体部の器具天面部と器具側面部とがなす成形角度が基部と矯正部とがなす矯正角度になるように器具側面部を矯正することに何ら影響を与えていない。
また、ネジなどの固定手段で固定しようとすると、成形角度は90度より小さい角度となり、成形角度が矯正角度になるように器具側面部を矯正することはできない。
したがって、本件特許発明1は、明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
また、同様の理由で、本件特許発明12も明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
さらに、本件特許発明1を引用する本件特許発明2、5~11、及び本件特許発明12を引用する本件特許発明13も明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)判断
ア 本件特許の請求項1には、
「前記矯正具は、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記器具本体部の前記器具天面部と前記器具側面部とがなす成形角度が前記基部と前記矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正し、
前記基部が前記器具天面部に取り付けられた状態において、前記矯正部と前記器具側面部とが少なくとも一部で離間する灯具装着器具。」
と記載されている。
したがって、矯正具は、器具本体部の器具天面部と器具側面部とがなす成形角度が基部と矯正部とがなす矯正角度になるように前記器具側面部を矯正するものであることは明らかである。
ここで、申立人の主張どおり、矯正具の矯正部の全体と器具本体部の器具側面部全体とが、物理的に離れている場合は、基部が器具天面部に取り付けられた状態において、器具本体部の器具天面部と器具側面部とがなす成形角度が基部と矯正部とがなす矯正角度になるように器具側面部を矯正することに何ら影響を与えないことから、本件発明1は、矯正具の矯正部の全体と器具本体部の器具側面部全体とが、物理的に離れている場合を含まないことは明らかである。
イ さらに、発明の詳細な説明には、
「【0080】
<作用および効果>
矯正具29の矯正部293は、器具本体部20の器具側面部22の先端部を矯正できる位置まで延びている。具体的には、矯正部293は、カール部223の上端付近まで延びている。そして、矯正部293における先端部P6の外面は、器具本体部20に矯正具29が取り付けられた組立後の状態で、器具本体部20の器具側面部22の内面と接触する。
【0081】
矯正具29は、基部290が器具本体部20の器具天面部21に取り付けられた状態において、器具天面部21と器具側面部22(第1側面部220)との角度である成形角度(θ2)が基部290と矯正部293との角度である矯正角度(θ1)になるように器具側面部22を矯正する。ここで、成形角度(θ2)が矯正角度(θ1)になるように矯正するとは、成形角度(θ2)が矯正角度(θ1)と一致すること、および成形角度(θ2)が矯正角度(θ1)と近いことを含む。
【0082】
矯正具29は、器具本体部20よりも剛性が高くなるような材料、組成、厚さ寸法、形状などが選択されて形成される。このため、矯正部293の先端部P6は、器具本体部20に矯正具29が取り付けられた組立後の状態で、器具本体部20の器具側面部22の内面を短手方向Y(第2方向)の外側に向かって変位させることができる。」
と記載されている(下線は、当審で付与。)。
これらの記載からも、器具本体部の器具側面部を矯正するために、矯正具の矯正部と器具本体部の器具側面部とは、少なくとも一部で接触することが明らかである。
よって、本件発明1は、明確である。
また、同様の記載がある請求項12に係る発明である本件発明12も、同様に明確であり、請求項1、12を引用する各請求項に係る発明である本件発明2、5~11、13も、同様に明確である。
(3)小括
以上のとおり、本件の請求項1、2及び5~13に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たした特許出願に対してされており、申立理由2によって取り消すことはできない。
第5 むすび
したがって、申立人がした特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1~13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700021