2025-011951
配列特異性およびDNA-結合親和度が変更された、合理設計メガヌクレアーゼ
- 審判番号
- 2025-011951
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-148314外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2025年07月31日
- 審決日
- 2026年01月13日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】デューク大学
- 【請求人代理人】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
- 分類
- P18 .14 -Z (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 本願の経緯
本願は、平成18年10月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2005年10月18日、米国)を国際出願日とする特願2008-536805号の一部を、平成24年5月14日に新たな特許出願である特願2012-110691号とし、さらにその一部を平成24年6月1日に新たな特許出願である特願2012-125663号とし、さらにその一部を平成28年8月30日に新たな特許出願である特願2016-167826号とし、さらにその一部を平成29年9月15日に新たな特許出願である特願2017-177739号とし、さらにその一部を平成30年12月28日に新たな特許出願である特願2018-246447号とし、さらにその一部を令和2年11月27日に新たな特許出願である特願2020-196767号とし、さらにその一部を令和4年2月8日に新たな特許出願である特願2022-017853号とし、さらにその一部を令和5年9月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
同年 7月31日 :審判請求書
第2 本願発明
令和5年10月12日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】野生型I-CREIメガヌクレアーゼと比べ、少なくとも一つの認識配列半分部位に対する特異性が変更された組み換えメガヌクレアーゼを用いて、真核細胞において遺伝子治療によりヒトの疾患を治療する方法であって、前記組み換えメガヌクレアーゼは、配列番号1のI-CREIメガヌクレアーゼの残基2-153に対し少なくとも85%の配列類似性を有するポリペプチドを含み、かつ、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5から成る群より選ばれるI-CREIメガヌクレアーゼ認識配列内の半分部位と、少なくとも1塩基対異なる認識配列半分部位に対して特異性を有し、排外的修飾ではない表5の少なくとも一つの修飾を含む、方法。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の理由の一つは、本願発明は人間を治療する方法に該当し、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができないというものである。
第4 当審の判断
(1)本願明細書の記載
本願明細書には、次の記載がある(下線は当審による。以下同様)。
「【0173】ある実施態様では、合理設計メガヌクレアーゼは、病原体ゲノム内の認識配列、例えば、該病原体の増殖、生殖又は毒性にとって必須である、遺伝子または調整要素を標的とすることが可能である。ある実施態様では、認識配列は、細菌プラミド内にあってもよい。病原体ゲノムの認識配列のメガヌクレアーゼ介在性切断は、非相同的末端接合を刺激することによって、挿入、欠失又はフレームシフトの形で、標的必須遺伝子内の突然変異を刺激することが可能である。それとは別に、細菌プラスミドの切断は、その上にコードされる任意の遺伝子、例えば、トキシン遺伝子(例えば、B.ANTHRACIS致死因子遺伝子)又は抗生物質耐性遺伝子などと共にプラスミドの消失を招く可能性がある。前述のように、メガヌクレアーゼは、従来技術で一般的な技術を用いて、タンパク質又は核酸の形で、感染患者、動物又は植物に輸送してよい。ある実施態様では、メガヌクレアーゼ遺伝子は、病原体細菌類に輸送するために、バクテリオファージゲノムの中に組み込んでもよい。【0174】本発明の局面はさらに、ある形の癌の治療のための治療薬を提供する。ヒトのウィルスは、多くの場合、腫瘍形成と関連するので(例えば、エプスタインバーウィルスと鼻咽頭癌;ヒトパピローマウィルスと子宮頚部癌)、これらのウィルス性病原体の不活性化は、癌の発達または進行を阻止することがある。それとは別に、合理設計メガヌクレアーゼによる、これらの腫瘍関連ウィルスのゲノムを標的とする、二本鎖切断点を用いて、DNA損傷反応経路を介してアポトーシスを誘発してもよい。このようにして、ウィルスゲノムを抱える腫瘍細胞において選択的にアポトーシスを誘発することが可能となる場合がある。」
(2)判断
本願発明は「ヒトの疾患を治療する方法」に係る発明であり、これは字義どおり、人間の疾患を治療する方法に他ならないものであるところ、本願発明において、「真核細胞において遺伝子治療によりヒトの疾患を治療する方法」と、遺伝子治療が「真核細胞において」行われることを特定しているので、この記載について検討する。
本願明細書には、「癌の治療のため」に、「腫瘍関連ウィルスのゲノムを標的」とした、「合理設計メガヌクレアーゼ」により、「ウィルスゲノムを抱える腫瘍細胞において選択的にアポトーシスを誘発する」ことが記載されており(【0174】)、「癌の治療」を目的とした場合、真核生物細胞である「ウィルスゲノムを抱える腫瘍細胞」は、癌患者の体内に存在することを前提とするものである。
このことは、メガクレアーゼを「感染患者」「に輸送してもよい」(【0173】)と記載されていることとも符合する。
そうすると、本願発明において、遺伝子治療が「真核細胞において」行われることを特定しても、本願明細書の記載を参照すれば、本願発明は、本願発明において特定する組み換えメガヌクレアーゼを人間に投与して治療する方法に他ならない。
以上のことから、本願発明は、人間を治療する方法に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、令和7年7月31日付けの審判請求書において、本願発明は人間を適用対象として含まないことから、人間を手術、治療または診断する方法の発明に該当しない旨主張する。
しかしながら、本願発明が「ヒトの疾患を治療する方法」である以上、人間を適用対象としていることは明らかである。
また、本願発明における「真核細胞において」という特定を考慮しても、当該真核細胞が、ヒトの体内に存在することを前提とするものであることは、上記(2)で説示したとおりであるから、当該特定により、真核生物に含まれる人間が適用対象から除外されるものではない。
よって、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
したがって、本願発明は、人間を治療する方法であるから、特許法第29条第1項柱書の「産業上利用することができる発明」に該当しない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項柱書の「産業上利用することができる発明」に該当せず、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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