特許異議申立
2024-700822
スタンプラリー提供システム、スタンプラリー提供方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2024-700822
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-126201
- 登録番号
- 7451466
- 請求日
- 2024年09月02日
- 審決日
- 2024年11月08日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】楽天グループ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人はるか国際特許事務所
- 【異議申立人】株式会社 ギックス
- 【異議申立人代理人】金本 哲男
- 【異議申立人代理人】萩原 康司
- 【異議申立人代理人】扇田 尚紀
- 【異議申立人代理人】齊藤 隆史
- 【異議申立人代理人】三根 卓也
- 【異議申立人代理人】矢田 充洋
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 直也
- 審判官 月野 洋一郎
- 審判官 伏本 正典
- 分類
- P1651.113-Y (G06Q) / P1651.121-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7451466号発明「スタンプラリー提供システム、スタンプラリー提供方法、及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7451466号の請求項1~22に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7451466号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~22に係る特許についての出願は、令和3年7月30日に出願され、令和6年3月8日にその特許権の設定登録がされ、同年3月18日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、同年9月2日に特許異議申立人 株式会社ギックス(以下「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7451466号の請求項1~22に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明22」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
種類の異なる複数の媒体が利用可能な1の電子マネーをユーザに提供する電子決済サービス内で、前記ユーザが利用する前記媒体の前記種類を特定する特定手段と、
前記媒体の前記種類それぞれに応じたスタンプ条件のうち、前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段と、
前記ユーザの行動に基づいて、前記スタンプ帳にスタンプが押されるように、前記スタンプ帳を更新する更新手段と、
前記スタンプ帳の達成状況に応じた特典を、前記ユーザに付与する付与手段と、
を含むスタンプラリー提供システム。
【請求項2】
前記スタンプラリー提供システムは、前記複数の媒体のそれぞれに記録される媒体識別情報を読み取り可能な読取部を有する店舗端末を更に含み、
前記特定手段は、前記ユーザの前記媒体から読み取られる前記媒体識別情報に基づいて前記種類を特定し、
前記店舗端末は、前記スタンプ帳を示す画面を表示する表示部を有する、
請求項1に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項3】
前記作成手段は、前記種類に応じた方法でチャージすることが前記スタンプ条件として設定されるように、前記スタンプ帳を作成し、
前記更新手段は、前記種類に応じた方法でチャージされた場合に、前記スタンプ帳を更新する、
請求項1又は2に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項4】
スタンプラリー提供システムは、前記ユーザに関連付けられた複数の媒体の各々の利用額に基づいて、前記複数の媒体のうちの少なくとも1つの媒体を選択する第1選択手段を更に含み、
前記特定手段は、前記少なくとも1つの媒体の種類を特定し、
前記作成手段は、前記少なくとも1つの媒体の種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記スタンプ帳を作成し、
前記少なくとも1つの媒体は、前記複数の媒体のうち最も利用額が多い媒体を含む、
請求項1~3の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項5】
前記電子決済サービスでは、スタンプラリーが繰り返し開催され、
前記スタンプラリー提供システムは、過去の前記スタンプラリーにおける前記ユーザの達成状況に関する達成状況情報を取得する達成状況情報取得手段を更に含み、
前記作成手段は、前記種類及び前記達成状況情報に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記スタンプ帳を作成する、
請求項1~4の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項6】
前記スタンプラリー提供システムは、前記達成状況情報に基づいて、前記ユーザのレベルを決定するレベル決定手段を更に含み、
前記作成手段は、前記種類と、前記達成状況情報に基づいて決定された前記レベルと、に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記スタンプ帳を作成する、
請求項5に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項7】
前記作成手段は、前記過去のスタンプラリーで前記ユーザが達成したスタンプ条件とは異なる前記スタンプ条件が設定されるように、前記スタンプ帳を作成する、
請求項5又は6に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項8】
前記異なるスタンプ条件は、前記過去のスタンプラリーで前記ユーザが達成した前記スタンプ条件よりも厳しい条件である、
請求項7に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項9】
前記スタンプラリー提供システムは、
前記電子決済サービスを利用可能な店舗を前記ユーザが訪れた場合に、前記ユーザによる、スタンプラリーへのエントリー操作を受け付ける受付手段と、
前記エントリー操作が受け付けられた場合に、前記店舗に独自の独自スタンプ帳と、他の店舗と共通の共通スタンプ帳と、を前記ユーザに提供する提供手段と、
を更に含み、
前記作成手段は、前記独自スタンプ帳及び前記共通スタンプ帳の少なくとも一方を作成し、
前記更新手段は、前記独自スタンプ帳及び前記共通スタンプ帳を更新し、
前記付与手段は、前記独自スタンプ帳の達成状況に応じた特典と、前記共通スタンプ帳の達成状況に応じた特典と、を前記ユーザに付与する、
請求項1~8の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項10】
前記受付手段は、前記ユーザが前記店舗を訪れた場合に、前記独自スタンプ帳に対応する第1エントリー操作と、前記共通スタンプ帳に対応する第2エントリー操作と、を受け付け可能である、
請求項9に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項11】
前記ユーザには、複数の媒体が関連付けられており、
前記提供手段は、前記媒体ごとに、前記ユーザに、前記独自スタンプ帳及び前記共通スタンプ帳を提供する、
請求項9又は10に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項12】
前記スタンプラリー提供システムは、
前記ユーザが前記電子決済サービスを利用した利用場所に関する利用場所情報を取得する利用場所情報取得手段と、
前記利用場所情報に基づいて、前記ユーザが普段いる場所を特定する場所特定手段と、
を更に含み、
前記作成手段は、前記種類と、前記ユーザが普段いる場所と、に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記スタンプ帳を作成する、
請求項11に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項13】
前記作成手段は、前記ユーザに関連付けられた複数の媒体のうちの特定の媒体の利用が前記スタンプ条件として設定されるように、前記スタンプ帳を作成し、
前記更新手段は、前記特定の媒体の利用に基づいて、前記スタンプ帳を更新する、
請求項1~12の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項14】
前記複数の媒体は、前記ユーザの媒体と、他のユーザの媒体と、を含み、
前記スタンプラリー提供システムは、前記複数の媒体の中から、前記他のユーザの媒体を選択する第2選択手段を更に含み、
前記特定の媒体は、前記他のユーザの媒体である、
請求項13に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項15】
前記スタンプラリー提供システムは、前記複数の媒体の各々の利用状況に基づいて、前記複数の媒体の中から、最近利用されている媒体を選択する第3選択手段を更に含み、
前記特定の媒体は、最近利用されている媒体である、
請求項13又は14に記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項16】
前記スタンプラリー提供システムは、前記複数の媒体の各々の利用状況に基づいて、最近利用されなくなった媒体を選択する第4選択手段を更に含み、
前記特定の媒体は、最近利用されなくなった媒体である、
請求項13~15の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項17】
前記ユーザには、複数のユーザ属性が関連付けられており、
前記種類は、前記複数のユーザ属性の1つであり、
前記スタンプ帳には、前記スタンプ条件に関する複数の条件属性が関連付けられており、
前記複数の条件属性の各々は、前記複数のユーザ属性の少なくとも1つに関連付けられており、
前記作成手段は、前記複数の条件属性の各々に関連付けられた前記少なくとも1つのユーザ属性に基づいて、前記スタンプ帳を作成する、
請求項1~16の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項18】
前記作成手段は、前記ユーザを識別可能なユーザ識別情報と、前記媒体に記録された決済手段を識別可能な決済手段識別情報と、を関連付けることが前記スタンプ条件として設定されるように、前記スタンプ帳を作成する、
請求項1~17の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項19】
前記スタンプラリー提供システムは、前記ユーザに関連付けられた場所に関するユーザ場所情報を取得するユーザ場所情報取得手段を更に含み、
前記作成手段は、前記種類及び前記ユーザ場所情報に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記スタンプ帳を作成する、
請求項1~18の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項20】
前記電子決済サービスでは、電子マネーが利用され、
前記媒体には、前記電子マネーに関する情報が記録される、
請求項1~19の何れかに記載のスタンプラリー提供システム。
【請求項21】
特定手段が、種類の異なる複数の媒体が利用可能な1の電子マネーをユーザに提供する電子決済サービス内で、前記ユーザが利用する前記媒体の前記種類を特定する特定ステップと、
作成手段が、前記媒体の前記種類それぞれに応じたスタンプ条件のうち、前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記ユーザのスタンプ帳を作成する作成ステップと、
更新手段が、前記ユーザの行動に基づいて、前記スタンプ帳にスタンプが押されるように、前記スタンプ帳を更新する更新ステップと、
付与手段が、前記スタンプ帳の達成状況に応じた特典を、前記ユーザに付与する付与ステップと、
を含むスタンプラリー提供方法。
【請求項22】
種類の異なる複数の媒体が利用可能な1の電子マネーをユーザに提供する電子決済サービス内で、前記ユーザが利用する前記媒体の前記種類を特定する特定手段、
前記媒体の前記種類それぞれに応じたスタンプ条件のうち、前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段、
前記ユーザの行動に基づいて、前記スタンプ帳にスタンプが押されるように、前記スタンプ帳を更新する更新手段、
前記スタンプ帳の達成状況に応じた特典を、前記ユーザに付与する付与手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。」
第3 申立理由の概要
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲5」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):特表2008-529103号公報
甲第2号証(甲2):特開2015-018488号公報
甲第3号証(甲3):特開2015-022706号公報
甲第4号証(甲4):特開2021-036371号公報
甲第5号証(甲5):特開2010-231777号公報
2 特許異議の申立理由
異議申立人の主張は、概略、以下のとおりである。
(1)新規性欠如
本件発明1、21、22は、甲1に記載された発明であって、本件特許は、特許法29条1項3号に該当するから、本件発明1、21、22についての本件特許は、特許法29条1項3号の規定に違反してされたものである。
(2)進歩性欠如
ア 本件発明1~4、12~22は、甲1~3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~4、12~22についての本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
イ 本件発明5~8は、甲1~4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5~8についての本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
ウ 本件発明9~11は、甲1~3に記載された発明及び甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明9~11についての本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
第4 甲号証の記載
1 甲1(特表2008-529103号公報)
(1)甲1の記載
本件特許の出願前である平成20年7月31日に公開された甲1には、以下の記載がある(下線は合議体が付した。以下同様。)。
「【請求項1】
支払いモードに応じて異なるインセンティブを与えるための加盟店による資金提供がされた報酬プログラムのためのコンピュータ実行プロセスであって、
報酬管理サーバーと引き換え端末と加盟店端末とを含むコンピュータネットワーク手段において、前記報酬プログラム内に顧客を登録するステップと、
前記ロイヤルティ・プログラムを提供している加盟店からの購入に対して、前記消費者から支払いを受けるステップと、
前記消費者によって選択された支払いモードに基づいて、データ処理プログラム論理手段を用いて、報酬インセンティブを決定するステップと、
前記消費者によって選択された複数の異なる支払いモードに従って、複数の異なるレベルの報償を適用するステップ(報酬のレベルは、各モードにおいて支払いを処理する加盟店のコストに反比例するように関連づけられている)と、
を備えたコンピュータ実行プロセス。
【請求項2】
前記支払いが現金ならば第1の報酬インセンティブを適用し、前記支払いがPINデビットカードならば第2の報酬インセンティブを適用し、前記支払いがサインデビットカードならば第3の報酬インセンティブを適用し、前記支払いが前記加盟店の発行でもなく提携先でもないクレジットカードによる場合は第4の報酬インセンティブを適用するステップをさらに備える、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1報酬インセンティブは前記第2より大きく、前記第2は前記第3より大きく、前記3は前記第4より大きい、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記報酬インセンティブは、カタログに従って引き換え可能なポイントの形式であり、前記購入者のロイヤルティ・ポイント口座内に電子的に信用化されたクーポン、スタンプ又はポイントの形式で発行され、又は商品券又はデータ処理手段を用いる金銭口座内に電子的に信用化された形式で発行された金銭的価値である、請求項3に記載のプロセス。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、インセンティブ・ポイント、スタンプ及びクーポンを介して交換可能に、支払いに対するインセンティブを実現するコンピュータによって実行される処理に関する。
他の見地からは、本発明は、商取引がカードではなく現金でされた場合でも、支払いカードによって利子が付くこと及びインセンティブの支払いを可能にする支払いカード技術の改良された金融プロセスのためのインセンティブに関する。」
「【0021】
固有の支払いカード及びポイント利息発生カードが提案されている。本発明を専用の既存の資源システムネットワークを介して実現するためのデバイスとして、そのため、カード購入にリンクされたインセンティブを失うことなく、既存の支払いカードの持ち主は、現金での支払いを行うことが可能となる。さらに、固有のポイント、クーポン及びスタンプの構成が、コンピュータによって実行される処理において、特定のギフトに対する引き換え目的のため又は将来の商品支払いのために提供されている。スタンプは収集の趣味をもたらす。クーポン、スタンプ及びポイントの交換の可能性も提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図3は、インセンティブを発行するための例示的方法200を示している。顧客は、ブロック202において、加盟店からの商取引に支払う。顧客がブロック204において現金で支払うかカードで支払うかを決定する。一つのシナリオでは、顧客は、現金を支払う。例えば、$100である。顧客は商取引のためにクレジットカードではなく現金で支払ったのだから、加盟店は顧客が商取引のためにクレジットカードで支払った場合のように購入価格のある割合を支払ったりクレジットカード会社によって控除されたりすることはない。この結果、クレジットカードより現金での支払いを受けることへの加盟店のインセンティブが存在する。顧客のためにクレジットカードの代わりに現金を用いるインセンティブを提供することで、加盟店はブロック206において顧客へのインセンティブを提供することができ、インセンティブは将来における小売業からの他の商品の購入に向けて引き換えできる。支払いがカードでされた場合は、加盟店はブロック208でより少ない報酬を発行することもできる。加盟店は、もしクレジットカードの代わりに現金が支払いに用いられるとより大きな報酬の提供が得られるかもしれない宣伝することで、次に現金の使用をカードよりも顧客に促進する。他の状況では、支払いが現金証券でなされたときにのみインセンティブはもっぱら提供される。
【0023】
簡単なシナリオでは、費用のために又は他のいくつかの性能基準の結果として、顧客は提案されたインセンティブ・プログラムに登録される。顧客にカードが発行され、それは、現金で支払ったときに、顧客にリベート、クレジット、又はギフトを通してのインセンティブを直接加盟店から得る資格を与える。顧客は非連携支払いカード及び提案されたインセンティブ会員カードを持つことができる。顧客が支払いカードで買い物をすると、加盟店はクレジットカード管理へのパーセンテージを失う。しかし、支払いが現金でなされると、加盟店は顧客にそのパーセンテージを持たせることができ、一方で正味売り上げは加盟店に対しては同じである。同様にして、加盟店がインセンティブを全ての顧客に対してインセンティブカード持ち主のような特定グループに提供する場合、加盟店はカードで支払う人々に比べて現金で支払う人々により高いインセンティブを与える余裕がある。
【0024】
他のシナリオでは、両状況をカバー可能な提案されたインセンティブ・プログラム、すなわち、上記例の現金又はカードによる支払いと連携した支払いカードも実現可能である。加盟店は報酬を異なり好ましくはより高い特定のレートでカードよりも現金で支払う消費者に支払い、それらはクレジット又はデビットカードなどであり、そこには商売人が最後に手にした量からの控除がある。支払いはそれぞれ異なるモード、例えば、現金、小切手又はカードであるが、異なるインセンティブのレベルが支払いのモードに基づいて適用されるかもしれない。具体的には、以下の段落で説明されるように、インセンティブは、提案されたインセンティブ・プログラムに提携している同じ支払いカードを介して適用されて配達される。インセンティブは、ポイント、スタンプ又はクーポンの形で発行され得る。インセンティブの共通貨幣単位は$マイルという形式である。このように、上述のものは、$マイル・ポイント、$マイルスタンプ及び$マイルクーポンと呼ばれる。これらの各々は交換可能な数値を例えば5.00$スマイルズと呼ばれる。例えば、2$マイル・ポイントは2スマイルズも意味することになる。同様にして、$マイルクーポン又はスタンプは5又は10スマイルズとなるかもしれない。アナロジーに基づいてさらに説明すると、スマイルズはドルのような通貨と同様である。つまり、ポイント、スタンプ及びクーポンは、コイン、紙幣及び小切手のように交換可能なインスツルメントである。
【0025】
各ポイントは、電子的に与えられかつ扱われる$マイル単位を表している。スタンプは、好ましくは切手収集の構成及び電子コードがその上に記録された改良された商品券である。クーポンは基本的にはポイント及びスタンプの代わりである。クーポンは、従来のオフラインのクレジットカード処理において、周知の手書きで刷り込まれた草稿として構成可能である。クーポンは、加盟店が買い手が探している特定の又は非特定のスタンプを切らしているときでも、発行可能である。なぜなら、引き換えより前か同時に買い手はインセンティブの1つの形式を他のものとをいつでも交換可能である。時々、ネットワークにおける割り込みと同様の理由で、オンライの加盟店がクーポンを使用するかもしれない。さらに、クーポンは広告に印刷されたりスタンプまたは電子ポイントの挿入を許可しないパッケージ・ラベルに挿入されたり載せられたりされる。」
「【0028】
他のバリエーションでは、取引おける異なる報酬のレベルがあり、そこでは商売人からの控除は、PINに基づいたデビットカード支払いと同様に、少なくなっている。この報酬は、紙取引の場合より少なくなっているが、従来のサインベースの支払いカード取引より大きくなっている。
【0029】
クレジットカード及びカードという用語がここでは用いられているが、本発明は、支払いカードのいかなる種類の使用も意図している。クレジットカード、クレジットカード、デビットカード、ストアード・バリュー現金カード、コマーシャルカード、購入カード等である。同様にして、現金による又は現金も用いた支払いが、加盟店が最後に受け取った量からの控除がないトラベラーズ・チェック、電信送金又は他の支払い手段を含む紙幣や小切手による支払いを意味すると解される。」
「【0035】
図6A~6Bは、異なる購入環境における$マイル報酬の発行を示している。図6Aでは、顧客は現金を用いて2つの商品に支払っている。加盟店は、取引に関連するポイントのある数のための現金購入に基づいて、$マイル報酬を発行している。図示された例では、$マイル報酬は、顧客に対して購入済みの各アイテムに対してポイント価値9.0及び7.0として発行されている。顧客は、上述したように、これらポイント価値に関連づけられた$マイル報酬を特定のギフト又は将来の商取引購入のために引き換えることができる。図6Bは、2つの同じアイテムが異なる方法で購入される環境を示している。図6Aに示すように、第1のアイテムは現金で購入され、それに関連づけられた同じ9.0ポイント価値を有している。しかし、図6Bの第2のアイテムはクレジットカードで購入されている。購入のクレジットカード部分の処理は、従来のやり方で行われており、クレジットカード会社は購入価格のパーセンテージを受け取っている。この結果、同様の現金を用いた購入に比べて低いポイント価値である3.5がこの購入に対して与えられる。したがって、もし支払いがクレジットカードでなく現金でされると、より大きな報酬が顧客に与えられる。図6Cは、スタンプ及びポイントの引き換え及び交換の例示シナリオを示している。」
「【0038】
上述のように、インセンティブ・ポイント・サービス処理は、インターネットを介して実行できる。コンピュータ・サーバーでは、各顧客の口座は一つのデータベースに保持され、顧客記録は固有の個人識別番号(PIN)にリンクされた固有の個人名記録(PNR)にリンクされている。PNR及びPINは同じ又は異なるデータベースに保持されている。サーバーは加盟店の販売時点情報管理(POS)端末にコンピュータ・ネットワーク及び関連ソフトウェアによってリンクされている。顧客がインセンティブに関連づけられた商取引を購入した瞬間に、インセンティブはPOS端末で適用される。インセンティブは、同じ又は異なるデータベース内で維持可能である。前と同じように、第1のインセンティブは支払いが現金法定紙幣でなされたときに適用され、第2のインセンティブは支払いが支払いカードでなされたときに適用される。インセンティブは、切手収集価値の無数のデザインのクーポン又はスタンプの形式で提供されるかもしれない。別の場合、インセンティブは、支払いカードの追加特徴の有無はあるが、PIN5がある利息発生カードにリンクされた同じ又は異なるデータベースで、$マイル・ポイントとして信用化されるかもしれない。インセンティブは、顧客のオプションの形式にかかわらず適用されるかもしれない。インセンティブの1つの形式は顧客のオプションによって他のものと交換可能である。顧客、ポイント、スタンプ又はクーポンの形式でインセンティブを与えられた者は、コンピュータ・ネットワーク及び関連ソフトウェアを介してサーバーに接続されたターミナルにおいて、それらを引き換えのためにプレゼントできるかもしれない。引き換え端末は、インセンティブを与えながらも、サーバーに連結し、データベース内の顧客のアイデンティティをチェックし、そしてデータベース内の口座をアップデートできる。スタンプは、使用済み切手のようにキャンセルすることができ、顧客に収集目的で戻すことができる。適用されたインセンティブは「金銭単位」に変換することができ、サーバー内のデータベースに信用化することができ、さらに顧客の通貨口座として表すことができる。このプロセスは、支払いカードの既存の支払いシステムネットワークを通して実行可能である。支払いカードの新しいフォームは、クレジット、デビット、チャージ、又はストアード・バリュー・カードのような従来の知られた支払いカードと組み合わせて又は組み合わせずに、上述のように、ポイントの蓄積を促進するために導入され得る。これは、加盟店、アクワイアラ、銀行カード協会を含むカード交換、及びイシュアーを含む既存の支払いシステム内の既存の事業体と協同してさらに協同でブランド作りをすることで、実現される。加盟店は、電子データ・キャプチャ装置を有するオンライの加盟店又は手動の転写機を使うオフラインの加盟店である。」
「【0040】
本発明は、コンピュータ・ネットワークのハードウェア及び関連ソフトウェアによるインセンティブ・ポイント・サービス処理として実行可能であり、そこでは、コンピュータ・サーバー上で、各顧客の口座が一つのデータベースに保持される。ただし、固有の個人識別番号(PIN)にリンクされた固有の個人名記録(PNR)を持つ顧客記録は同じ又は異なる安全が確保されたデータベースに保持される。サーバーは、加盟店の販売時点情報管理(POS)端末に、コンピュータ・ネットワークのハードウェア及び関連ソフトウェアを通してリンクされている。インセンティブは、顧客がインセンティブに関連づけられた商取引を購入した瞬間に、データベースにしたがってPOSターミナルにおけるデータ処理手段を介して、適用される。支払いが現金法定紙幣でなされる場合に、第1のインセンティブはデータ処理手段によって適用される。支払いがクレジットカード、デビットカード、クレジットカード、又はストアード・バリュー・カードを含む支払いカードでなされた場合に第2のインセンティブはデータ処理手段によって適用される。
【0041】
インセンティブは、独自の番号又は電子コード付きの切手収集価値の無数のデザインのクーポン又はスタンプの形式で提供され、又は、PNR及びPIN番号を有する利息発生カードにリンクされたデータベース内の$マイル・ポイントとして信用化される。その場合、クレジット、デビット、チャージ及びストアード・バリュー現金カード等の支払いカード追加された特徴があったり無かったりする。」
(2)甲1発明
上記(1)によれば、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。
[甲1発明]
「 支払いモードに応じて異なるインセンティブを与えるための加盟店による資金提供がされた報酬プログラムのためのコンピュータ実行プロセスであって、
報酬管理サーバーと引き換え端末と加盟店端末とを含むコンピュータネットワーク手段において、前記報酬プログラム内に顧客を登録するステップと、
前記ロイヤルティ・プログラムを提供している加盟店からの購入に対して、前記消費者から支払いを受けるステップと、
前記消費者によって選択された支払いモードに基づいて、データ処理プログラム論理手段を用いて、報酬インセンティブを決定するステップと、
前記消費者によって選択された複数の異なる支払いモードに従って、複数の異なるレベルの報償を適用するステップ(報酬のレベルは、各モードにおいて支払いを処理する加盟店のコストに反比例するように関連づけられている)と(以上【請求項1】)、
前記支払いが現金ならば第1の報酬インセンティブを適用し、前記支払いがPINデビットカードならば第2の報酬インセンティブを適用し、前記支払いがサインデビットカードならば第3の報酬インセンティブを適用し、前記支払いが前記加盟店の発行でもなく提携先でもないクレジットカードによる場合は第4の報酬インセンティブを適用するステップをさらに備え(【請求項2】)、
前記報酬インセンティブは、カタログに従って引き換え可能なポイントの形式であり、前記購入者のロイヤルティ・ポイント口座内に電子的に信用化されたクーポン、スタンプ又はポイントの形式で発行され、又は商品券又はデータ処理手段を用いる金銭口座内に電子的に信用化された形式で発行された金銭的価値であり(【請求項4】)、
固有のポイント、クーポン及びスタンプの構成が、コンピュータによって実行される処理において、特定のギフトに対する引き換え目的のため又は将来の商品支払いのために提供されており、スタンプは収集の趣味をもたらす(【0021】)、
コンピュータ実行プロセス。」
2 甲2(特開2015-018488号公報)
(1)甲2の記載
本件特許の出願前である平成27年1月29日に公開された甲2には、以下の記載がある。
「【0005】
本発明の目的は、メッセンジャーを活用してリアル世界と仮想空間を融合させてスタンプラリーを実現する技術を提供することである。」
「【0015】
〔1.構成〕
図1(本実施形態の構成図)において、サーバ1は、通信ネットワークN(インターネット、携帯電話網など)を介し、端末Tから参加できるスタンプラリーを実現する情報処理装置である。開催者の設備2(以下単に「設備2」とも呼ぶ)は、スタンプラリーの開催者(例えば、企業)が、サーバ1へアクセスしてスタンプラリーの開催条件を設定するのに用いる端末や、スタンプラリーの一環として開催者の公式アカウントとのチャットを端末Tへ提供するための端末である。
【0016】
端末Tは、スタンプラリーの参加者が用いる情報端末(例えば、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯端末や、その他のパーソナルコンピュータなど)で、実際にはユーザ数に応じて多数存在する。端末Tは、アプリケーションプログラム(「アプリ」とも呼ぶ)の一種として、メッセンジャーの機能を実現するアプリ(「メッセアプリM」と表すこととする)を備えた端末で、メッセンジャー端末とも呼ぶこととする。
(中略)
【0020】
記憶手段のうち、場所記憶手段25は、スタンプラリーの条件として、スタンプラリーの参加者が訪問すべき場所及び対応するスタンプを記憶する手段である。同様にスタンプラリーの条件として、アカウント記憶手段35は、参加者がチャットすべき相手のアカウント及び対応するスタンプを記憶する手段、条件特典記憶手段45は、揃えるべきスタンプ及び付与すべき特典を記憶する手段である。
【0021】
場所記憶手段25、アカウント記憶手段35及び条件特典記憶手段45の例は、図2に一体のものを示す。同様にスタンプラリーの条件として、グループ記憶手段86は、グループで参加する複数の端末Tを記憶する手段である(例えば図3)。」
「【0023】
〔2.設定時の作用〕
図4は、サーバ1がスタンプラリーのいくつかの条件について設定を受け付けて記録する処理を示すフローチャートである。図5は、スタンプラリーのためのサーバ1の動作を示すフローチャートである(後述)。図6は、二人のユーザU1及びU2が協力してスタンプラリーに参加する状態を示す概念図である。」
「【0031】
〔2-3.条件の指定〕
また、スランプラリーの他の条件として、条件指定手段44は、スタンプラリーの開催者から設備2を介し、スタンプラリーにおいて揃えるべきスタンプとスタンプが揃ったときに付与すべき特典について、指定を受け付けて条件特典記憶手段45に記憶させる(ステップS13)。例えば、図2の例では、スタンプaからfを全て揃えること(コンプリート)を条件に、新商品○○の無料サンプル進呈クーポンが付与される。
【0032】
また、条件指定手段44は、揃えるべきスタンプの一部に代える電子商取引(以下「EC」とも表す)の指定を受け付けて、指定されたEC(以下「指定EC」とも表す)として条件特典記憶手段45に記憶させる(ステップS14)。指定ECは、メッセアプリMから利用するECサービスの利用でも、それ以外のECサービスの利用でもよいが、ここではメッセアプリMから利用するECサービスであるものとする。」
「【0035】
〔3.開催中の作用〕
図5は、スタンプラリー開催中のサーバ1の動作を示すフローチャートである。なお、図4に示した設定は、スタンプラリー開催前に行われるほか、スタンプラリーの開催中にも条件変更として行われる。
【0036】
〔3-1.グループ化と場所の検出〕
設定された条件に基づいて開催されるスタンプラリーには、ユーザは単独でも参加できるが、他人とのグループで参加することもできる。この場合、グループ受付手段85が、複数の端末Tのグループ化を受け付けてグループ記憶手段86に記憶させる(ステップS21及びS22)。例えば、図6の例では、ユーザU1とU2がグループ001のメンバーとして、グループ記憶手段86に記憶されている(図3)。
【0037】
スタンプラリーの開催中、参加しているユーザの端末Tについては(図5)、場所検出手段50が、指定場所へ端末Tが到達したことを検出して(ステップS23:「YES」)、指定場所と対応するスタンプを端末Tへ送信する(ステップS24)。」
「【0047】
〔3-3.コンプリートと特典〕
そして、特典提供手段74は、端末Tへ送信されたスタンプについて、揃えるべきスタンプが揃ったことすなわちコンプリートを、条件特典記憶手段45を参照することにより検出して(ステップS29:「YES」)、付与すべき特典を端末Tに提供する(ステップS30)。この際、特典提供手段74は、端末において指定ECが行われたことを検出すると、その指定ECをした事実を、揃えるべきスタンプの一部に代えてコンプリートを検出する。
(中略)
【0050】
また、特典提供手段74は、グループ化されている複数の端末Tへ送信された全てのスタンプを対象に、揃えるべきスタンプが揃ったことを検出する(ステップS29)。例えば、図6の例では、端末T1とT2で合わせて、スタンプa-fが揃っていれば、ユーザU1とU2の両方に特典としてクーポン(例えば図2)が与えられる。グループで得るクーポンと単独で得るクーポンとで内容に差をつけることは、望ましいが、必須ではない。」
「【0051】
〔4.効果〕
(中略)
【0055】
(4)また、本実施形態では、指定された電子商取引が端末で行われれば、揃えるべきスタンプの一部の代替とすることにより(図2、図4のステップS14及び図5のステップS27からS28)、ユーザがスタンプをコンプリートする支援と、開催者に関わる電子商取引の促進が可能となる。
【0056】
(5)また、本実施形態では、複数の端末をグループ化し(図3、図5のステップS21からS22、図6)、グループ横断でスタンプが揃ったことを検出することにより(図5のステップS29からS30)、スタンプラリーへ参加するハードルを下げ、参加者間の協力による一体感の醸成や気持ちの盛り上がりを実現し、プロモーション効果を改善できる。
【0057】
〔5.他の実施形態〕」
(中略)
【0059】
また、本発明の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、端末を含むシステムなど)としても把握できる。方法やプログラムのカテゴリでは、装置のカテゴリで示した「手段」を「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、「手段」の全部又は任意の一部を「部」(ユニット、セクション、モジュール等)と読み替えることができる。」
「【図1】
[図:0001417674000001.jpg]
」
【図1】の記載によれば、「サーバ1は、場所記憶手段25、場所検出手段50、条件指定手段44、条件特典記憶手段45、特典提供手段74、グループ受付手段85、グループ記憶手段86とを備えている」ことが見て取れる。
「【図3】
[図:0001417674000002.jpg]
」
「【図5】
[図:0001417674000003.jpg]
」
「【図6】
[図:0001417674000004.jpg]
」
(2)甲2発明
上記(1)によれば、甲2には、「スタンプラリーを実現する技術」(【0005】)として、「サーバ1は、通信ネットワークN(インターネット、携帯電話網など)を介し、端末Tから参加できるスタンプラリーを実現する情報処理装置」(【0015】)が記載されている。
ここで、「サーバ1」と「端末T」からなる構成はシステムといえるところ、甲2には、「本発明の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、端末を含むシステムなど)としても把握できる」(【0059】)としているから、甲2には、「スタンプラリーを実現する技術」として、スタンプラリーを実現するシステムに関する発明が記載されているといえる。
また、【図1】から、サーバ1は、場所記憶手段25、場所検出手段50、条件指定手段44、条件特典記憶手段45、特典提供手段74、グループ受付手段85、グループ記憶手段86とを備えることが看取される。
よって、上記(1)によれば、甲2には、以下の甲2発明が記載されている。
[甲2発明]
「 スタンプラリーを実現するシステムであって、
サーバ1は、通信ネットワークNを介し、端末Tから参加できるスタンプラリーを実現する情報処理装置であり(【0015】)、
端末Tは、スタンプラリーの参加者が用いる情報端末であり(【0016】)、
サーバ1は、場所記憶手段25、場所検出手段50、条件指定手段44、条件特典記憶手段45、特典提供手段74、グループ受付手段85、グループ記憶手段86とを備えており(【図1】)、
場所記憶手段25は、スタンプラリーの条件として、スタンプラリーの参加者が訪問すべき場所及び対応するスタンプを記憶する手段であり(【0020】)、
グループ記憶手段86は、グループで参加する複数の端末Tを記憶する手段であり(【0021】)、
条件指定手段44は、スタンプラリーの開催者から設備2を介し、スタンプラリーにおいて揃えるべきスタンプとスタンプが揃ったときに付与すべき特典について、指定を受け付けて条件特典記憶手段45に記憶させるものであって(【0031】)、
条件指定手段44は、揃えるべきスタンプの一部に代える電子商取引(以下「EC」とも表す)の指定を受け付けて、指定されたEC(以下「指定EC」とも表す)として条件特典記憶手段45に記憶させ(【0032】)、
設定された条件に基づいて開催されるスタンプラリーには、他人とのグループで参加することもでき、グループ受付手段85が、複数の端末Tのグループ化を受け付けてグループ記憶手段86に記憶させ(【0036】)、
スタンプラリーの開催中、参加しているユーザの端末Tについては、場所検出手段50が、指定場所へ端末Tが到達したことを検出して、指定場所と対応するスタンプを端末Tへ送信し(【0037】)、
特典提供手段74は、端末Tへ送信されたスタンプについて、揃えるべきスタンプが揃ったことすなわちコンプリートを、条件特典記憶手段45を参照することにより検出して、付与すべき特典を端末Tに提供するものであって(【0047】)、
特典提供手段74は、グループ化されている複数の端末Tへ送信された全てのスタンプを対象に、揃えるべきスタンプが揃ったことを検出し、端末T1とT2で合わせて、スタンプa-fが揃っていれば、ユーザU1とU2の両方に特典としてクーポンが与えられる(【0050】)、
スタンプラリーを実現するシステム。」
3 甲3(特開2015-022706号公報)
(1)甲3の記載
本件特許の出願前である平成27年2月2日に公開された甲3には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードの会員に対して特典を付与する特典付与システムに関する。」
「【0021】
[特典付与システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る特典付与システム及びその通信先の構成を示すブロック図である。本実施の形態の特典付与システムは、図1における特典付与装置1により構成されている。図1に示すとおり、この特典付与装置1は、クレジットカードの各会員(以下、「カード会員」という)側で用いられる複数の会員端末2,2,…及びクレジットカードの各加盟店に設置される複数の加盟店端末3,3,…と通信可能に接続されている。その他にも、特典付与装置1は、クレジットカード会社側に設けられ、クレジットカードの利用に必要な各種の処理を実行するクレジットカードシステム4と通信可能に接続されている。」
「【0030】
以下、ハードディスク13に設けられている各データベースの詳細について説明する。
(A)会員情報DB13A
図3は、本発明の実施の形態に係る特典付与装置1に設けられている会員情報DB13Aのレイアウトの一例を示す図である。図3に示すように、会員情報DB13Aは、クレジットカードのカード番号が格納されるカード番号フィールド101、クレジットカードの所有者であるカード会員の氏名が格納される氏名フィールド102、カード会員が使用する電子メールアドレスが格納される電子メールフィールド103、カード会員の住所が格納される住所フィールド104、カード会員の電話番号が格納される電話番号フィールド105、及びカード会員が参加しているコミュニティを識別するコミュニティIDが格納されるコミュニティフィールド106を有している。ここで、コミュニティとは、カード会員が参加できる組織を意味しており、例えば、既に知り合いとなっているカード会員のみが参加するコミュニティ、及び共通の趣味を持つカード会員が参加するコミュニティ等、様々なものが想定される。
(中略)
【0033】
(D)グループ情報DB13D
図6は、本発明の実施の形態に係る特典付与装置1に設けられているグループ情報DB13Dのレイアウトの一例を示す図である。図6に示すように、グループ情報DB13Dは、グループを識別するためのグループIDが格納されるグループIDフィールド401、グループ名が格納されるグループ名フィールド402、グループを構成する構成員のカード番号が格納される構成員フィールド403を有している。ここで、グループとは、特定の複数のカード会員によって構成される組織であって、後述するグループ登録処理によって登録されるものをいう。本実施の形態では、同一の旅行先に旅行する複数人がグループとして組織される。後述するように、本実施の形態では、このグループに対して特典が与えられ、その特典を各構成員及び/又はグループが享受することができる。
【0034】
(E)特典情報DB13E
図7は、本発明の実施の形態に係る特典付与装置1に設けられている特典情報DB13Eのレイアウトの一例を示す図である。図7に示すように、特典情報DB13Eは、特典の提供元となる加盟店の名称が格納される店舗フィールド501、特典が適用される優先度が格納される優先度フィールド502、特典の内容が格納される特典フィールド503、特典が適用される期間が格納される期間フィールド504、及び特典付与の条件が格納される条件フィールド505を有している。なお、条件フィールド505には、グループの購買力に関する1以上の条件が格納される。ここで、グループの購買力とは、複数の構成員で構成されるグループ全体の購買する能力の指標であり、詳細については後述する。この特典情報DB13Eに格納される各情報は、後述する特典情報登録処理によって登録される。」
「【0059】
以下、図16A乃至図16Cに示す例を用いて、特典の内容及び特典付与の条件などの具体例を説明する。
図16Aに示す例では、グループの最長距離が200km以上であり、旅行先利用額合計が100,000円以上の場合、優先度1の特典である「10%割引」が適用される。また、グループの最長距離が100km以上200km未満であって旅行先利用額合計が50,000円以上100,000円未満の場合は優先度2の特典「5%割引」が、同じく最長距離が50km以上100km未満であって旅行先利用額合計が10,000円以上50,000円未満の場合は優先度3の特典「ドリンクサービス」が、それぞれ適用される。この場合は、グループの各構成員が今回の旅行において当該加盟店でクレジットカードを利用した場合に、その構成員が特典を得ることになる。なお、この例では、最長距離の値が大きいほど、より遠くから移動して旅行先を訪れることになるため、そのことを評価してより高い特典を提供するようにしている。その他にも、例えば、最短距離の値が小さいほど、より高い頻度で訪問してくれる可能性が高いと考えられるため、そのことを評価してより高い特典を提供するようにしてもよい。
【0060】
また、図16Bに示す例では、グループの個人最小利用回数が0の場合、すなわち構成員のうちの少なくとも一人が一度もその加盟店を利用したことがない場合は、優先度1の特典「未利用者1000円利用でグループにお土産を1つ贈呈」が適用される。この場合は、未利用者が1000円以上利用した場合に、その未利用者が属するグループが特典を得ることになる。また、グループの個人最小利用回数が1の場合は優先度2の特典「3000円利用でグループにお土産を1つ贈呈」が適用される。この場合は、グループの構成員の一人が今回の旅行において当該加盟店で3000円以上を利用した場合に、そのグループが特典を得ることになる。
【0061】
さらに、図16Cに示す例では、グループの個人最大利用回数が20以上であり、個人最大利用金額が50,000円以上の場合、優先度1の特典「グループの方全員に茶団子と宇治茶をご用意」が、同じく個人最大利用回数が10以上20未満であり、個人最大利用金額が20,000円以上50,000円未満の場合、優先度2の特典「グループの方全員に宇治茶をご用意」が、それぞれ適用される。この場合、グループ中に条件に合致する構成員が一人でもいれば、そのグループに属する構成員の全員が特典を得ることになる。
【0062】
このように、本実施の形態では、グループの構成員がクレジットカードを利用した場合に当該構成員が特典を獲得するのは勿論のこと、グループ内の一人の構成員によるクレジットカードの利用によって当該グループの他の構成員が特典を得ることができたり、クレジットカードの利用の有無に関わらず、グループ中に条件に合致する構成員が一人でもいれば当該グループに属する構成員の全員が特典を得ることができたり等、様々な態様が想定される。このようにグループ内の各カード会員が様々な態様で特典を享受することができるため、グループでの行動が促されることになる。」
(2)甲3発明
上記(1)によれば、甲3には、以下の甲3発明が記載されている。
「 クレジットカードの会員に対して特典を付与する特典付与システムであって(【0001】)、
特典付与システムは特典付与装置1により構成されており、この特典付与装置1は、クレジットカードの各会員(以下、「カード会員」という)側で用いられる複数の会員端末2,2,…及びクレジットカードの各加盟店に設置される複数の加盟店端末3,3,…と通信可能に接続されており(【0021】)、
特典付与装置1に設けられている会員情報DB13Aは、クレジットカードのカード番号が格納されるカード番号フィールド101を有しており(【0030】)、
特典付与装置1に設けられているグループ情報DB13Dは、グループを識別するためのグループIDが格納されるグループIDフィールド401、グループを構成する構成員のカード番号が格納される構成員フィールド403を有しており(【0033】)、
特典付与装置1に設けられている特典情報DB13Eは、特典の提供元となる加盟店の名称が格納される店舗フィールド501、特典が適用される優先度が格納される優先度フィールド502、特典の内容が格納される特典フィールド503、及び特典付与の条件が格納される条件フィールド505を有しており(【0034】)、
グループの各構成員が今回の旅行において当該加盟店でクレジットカードを利用した場合に、その構成員が特典を得ることになり(【0059】)、
グループの個人最小利用回数が0の場合、すなわち構成員のうちの少なくとも一人が一度もその加盟店を利用したことがない場合は、優先度1の特典「未利用者1000円利用でグループにお土産を1つ贈呈」が適用され、グループの個人最小利用回数が1の場合は優先度2の特典「3000円利用でグループにお土産を1つ贈呈」が適用され(【0060】)、
グループの個人最大利用回数が20以上であり、個人最大利用金額が50,000円以上の場合、優先度1の特典「グループの方全員に茶団子と宇治茶をご用意」が、同じく個人最大利用回数が10以上20未満であり、個人最大利用金額が20,000円以上50,000円未満の場合、優先度2の特典「グループの方全員に宇治茶をご用意」が、それぞれ適用される(【0061】)、
特典付与システム。」
4 甲4(特開2021-036371号公報)
本件特許の出願前である令和3年3月4日に公開された甲4には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店に対して顧客の再来店を効果的に促すことができ、固定客を増やすことができる飲食店利用促進システム、方法及びプログラムに関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、客にもう一度行けばランクアップし、ランク別に用意された特別なサービスを受けられるという再来店の動機を与えることができ、しかも来店回数に応じて次々にランクアップするランク別に用意されたカードを受け取ることで、客自身に来店回数に応じてランクアップしたランク別カードを受け取りたいとの動機を誘い、さらに来店回数を増やして固定客になればさらに大きなサービスが受けられるという再来店動機も誘い、固定客を増やすことができる飲食店利用促進システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。」
「【0055】
(A)パターン1の来店でも、パターン2の来店でも、グリーンカード13を受け取った時点で、スタンプは2個押印済みとなる。そして次の来店でグリーンカード13のスタンプ欄の残り1個に押印してスタンプ欄は満杯となり、同時にシルバーカード15へランクアップしシルバー特典プレゼントとなる。
【0056】
(B)この2回目来店で、グリーンカード13のスタンプ欄は3個全て押印済みとなり、同時に、シルバーカード15へランクアップしてシルバー特典プレゼントとなる。また同時に、シルバーカード15のスタンプ欄は1個押印済みとなる。
【0057】
(C)3回目来店時で、シルバーカード15のスタンプ欄は2個目の押印となる。
【0058】
(D)4回目来店時で、シルバーカード15のスタンプ欄は3個全て押印済みとなり、同時に、ゴールドカード17へランクアップしゴールド特典プレゼントとなる。また同時に、ゴールドカード17のスタンプ欄は1個押印済みとなる。」
5 甲5(特開2010-231777号公報)
本件特許の出願前である平成22年10月14日に公開された甲5には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント管理システムに関する。更に詳しくは、本発明は、消費者が様々な店舗から別個に受け取る複数のポイントカードに蓄積されたポイント自体を消費者とカード発行者との双方にとって便利な態様で管理することを可能にするポイント管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の消費者は、様々な店舗で買い物をする際やサービスの提供を受ける際に、支払った金額に応じて与えられ次回以降の利用の際に特典が得られる「ポイント」を蓄積するためのカード(以下では、簡単に「ポイントカード」と称する)を渡されることがある。家電量販店におけるポイントサービスや航空会社におけるマイレージサービスはよく知られているし、クレジットカードの利用額に応じて付与されるポイントやレンタルビデオ店で付与されるポイントも広く知られている。
【0003】
コンピュータの利用が一般的になる以前には、地域の商店街単位で運営される地域通貨的なポイントなど、切手型のシールをポイントの表象形態として用い集めたシールを台紙に貼って集計する方式が存在した。また、紙製のポイントカードに押印することによってポイントを記録するスタンプカードも、類似の方式と見なすことができる。このような手作業的なポイントサービスは、得意客への将来の利用の際の割引的な性質が主であり、ポイント発行者が顧客の消費行動を知るための情報収集手段としての側面は小さい。」
「【0034】
ポイントサービスは、大別して2種類に分けられる。一つは、各会員店舗でのみ利用可能な固有のポイント(以下、オリジナルポイントという)、もう一つは会員店舗全店で利用可能な共通のポイント(以下、共通ポイントという)である。
【0035】
オリジナルポイントの利用方法は、図1のAの欄を用いて説明したので省略する。一方、共通ポイントは、ある消費者が、ある会員店舗(例えば、レンタルビデオ店)にて主に蓄積してきた共通ポイントを、ある会員店舗とは直接の関係がない他の店舗(例えば、クリーニング店)において利用するものである。
【0036】
また、本発明によるポイント管理システムでは、そのシステム内でオリジナルポイント及び共通ポイントを相互に交換、利用することも可能である。つまり、例えば、レンタルビデオ店で付与されたオリジナルポイントを、消費者とレンタルビデオ店との両者の合意があれば、クリーニング店のオリジナルポイントに振り替えて、利用できるように設定することもできる。また、特定の1つのポイントサービスと所定の関係を有するポイントサービスを利用することができるような設定も可能である。前述したポイント振り替えの際には、ある店舗と別の店舗との間で、それぞれのポイントがまったく同等の価値を有するような設定も可能であるが、例えば、1:1.5や1:2などの重みを介して換算、振り替えるような設定も可能である。」
第5 当審における判断
1 甲2に基づく判断
事案に鑑みて、甲2を主引用例とした場合について判断する。
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1の「スタンプラリー提供システム」について
甲2発明は「スタンプラリーを実現するシステム」であって、スタンプラリーを実現することは、参加者にスタンプラリーを提供することに他ならないから、スタンプラリーを提供するシステムであるといえる。
よって、本件発明1と甲2発明とは、後述する相違点は別にして、「スタンプラリー提供システム」である点で一致する。
(イ)本件発明1の「前記媒体の前記種類それぞれに応じたスタンプ条件のうち、前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段」について
甲2発明は、「サーバ1は、・・・、条件特典記憶手段45、特典提供手段74、・・・とを備えており」、「端末Tは、スタンプラリーの参加者が用いる情報端末であり」、「特典提供手段74は、端末Tへ送信されたスタンプについて、揃えるべきスタンプが揃ったことすなわちコンプリートを、条件特典記憶手段45を参照することにより検出して、付与すべき特典を端末Tに提供するもの」である。
ここで、甲2発明の「スタンプラリーの参加者」は本件発明1の「ユーザ」に相当し、「スタンプラリーの参加者が用いる」「端末T」はユーザが用いる端末であるところ、「特典提供手段74」が「端末Tへ送信されたスタンプについて、揃えるべきスタンプが揃ったこと」を「検出」するためには、「スタンプラリーの参加者」であるユーザが過去に揃えたスタンプを記憶しておくことが必要であることは自明であり、甲2発明は、ユーザが揃えたスタンプを記憶するための、いわゆるユーザのスタンプ帳を備えていることは明らかである。
そして、甲2発明は、このようなスタンプ帳を備えるものである以上、かかるスタンプ帳を作成する手段も実質的に備えていると解するのが相当である。
以上を踏まえると、本件発明1と甲2発明は、下記の相違点2を除いて、「ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段」を含む点で一致するといえる。
(ウ)本件発明1の「前記ユーザの行動に基づいて、前記スタンプ帳にスタンプが押されるように、前記スタンプ帳を更新する更新手段」について
甲2発明は、「サーバ1は、場所記憶手段25、場所検出手段50、・・・とを備えており」、「場所記憶手段25は、スタンプラリーの条件として、スタンプラリーの参加者が訪問すべき場所及び対応するスタンプを記憶する手段であり」、「スタンプラリーの開催中、参加しているユーザの端末Tについては、場所検出手段50が、指定場所へ端末Tが到達したことを検出して、指定場所と対応するスタンプを端末Tへ送信」するものである。
ここで、甲2発明の「スタンプラリーの開催中、参加しているユーザの端末Tについては、場所検出手段50が、指定場所へ端末Tが到達したことを検出して、指定場所と対応するスタンプを端末Tへ送信」するとは、端末Tを用いるユーザが指定場所に到達した場合に、対応するスタンプが端末Tへ送信されることを示しており、これはユーザにスタンプを付与していることに他ならない。
そして、ユーザが指定場所に到達することはユーザの行動といえるから、甲2発明は、ユーザが指定場所に到達するというユーザの行動に基づいてユーザにスタンプを付与しているといえ、上記(イ)で検討したとおり、甲2発明は、ユーザのスタンプ帳を備えていることは明らかなところ、ユーザにスタンプを付与することは、かかるスタンプ帳にスタンプが押されてスタンプ帳が更新されることを意味することも明らかである。
してみると、甲2発明は、スタンプ帳にスタンプが押されるようにスタンプ帳を更新する更新手段を備えていると解するのが相当である。
よって、本件発明1と甲2発明は、「ユーザの行動に基づいて、前記スタンプ帳にスタンプが押されるように、前記スタンプ帳を更新する更新手段」を含む点で一致するといえる。
(エ)本件発明1の「前記スタンプ帳の達成状況に応じた特典を、前記ユーザに付与する付与手段」について
甲2発明は、「サーバ1は、・・・、条件特典記憶手段45、特典提供手段74、・・・とを備えており」、「特典提供手段74は、端末Tへ送信されたスタンプについて、揃えるべきスタンプが揃ったことすなわちコンプリートを、条件特典記憶手段45を参照することにより検出して、付与すべき特典を端末Tに提供する」ものである。
そして、上記(ウ)で検討したとおり、甲2発明において、ユーザにスタンプを付与することは、スタンプ帳にスタンプが押されてスタンプ帳が更新されることを意味するところ、「特典提供手段74」が「付与すべき特典を端末Tに提供する」ことは、「揃えるべきスタンプが揃ったことすなわちコンプリート」の時に実行されることから、甲2発明の当該「特典提供手段74」と、本件発明1の「前記スタンプ帳の達成状況に応じた特典を、前記ユーザに付与する付与手段」とは、「前記スタンプ帳の達成に基づいた特典を、前記ユーザに付与する付与手段」である点で共通する。
(オ)一致点及び相違点
以上を踏まえると、本件発明1と甲2発明とは、以下の一致点、及び相違点を有する。
[一致点]
ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段と、
前記ユーザの行動に基づいて、前記スタンプ帳にスタンプが押されるように、前記スタンプ帳を更新する更新手段と、
前記スタンプ帳の達成状況に基づいた特典を、前記ユーザに付与する付与手段と、
を含むスタンプラリー提供システム。」
[相違点]
[相違点1]
本件発明1は、「種類の異なる複数の媒体が利用可能な1の電子マネーをユーザに提供する電子決済サービス内で、前記ユーザが利用する前記媒体の前記種類を特定する特定手段」を含むものであるのに対して、甲2発明は、そのようなユーザが電子決済に利用する媒体の種類を特定する特定手段を含むとはしていない点。
[相違点2]
本件発明1は、「前記媒体の前記種類それぞれに応じたスタンプ条件のうち、前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように」スタンプ帳を作成するものであるのに対して、甲2発明は、上記相違点1のとおり、ユーザが電子決済に利用する媒体の種類を特定する特定手段を有していないため、当然、ユーザが電子決済に利用する媒体の種類に応じたスタンプ条件が設定されるようにスタンプ帳を作成するとはしていない点。
[相違点3]
本件発明1は、「付与手段」によるユーザへの特典付与が「前記スタンプ帳の達成状況に応じ」て行われるのに対して、甲2発明は、「特典提供手段74」によるユーザへの特典付与が「揃えるべきスタンプが揃ったことすなわちコンプリート」したことで行われる点。
イ 判断
事案に鑑み相違点2を先に検討する。
甲1発明及び甲3発明は上記第4の1及び3で示したとおりであって、甲1発明及び甲3発明のいずれも、ユーザが電子決済に利用する媒体の種類に応じたスタンプ条件が設定されるようにスタンプ帳を作成するという上記相違点2に係る構成を有するものではない。
また、甲4及び甲5に記載された事項は、上記第4の4及び5のとおりであって、甲4及び甲5のいずれにも、ユーザが電子決済に利用する媒体の種類に応じたスタンプ条件が設定されるようにスタンプ帳を作成するという上記相違点2に係る構成は記載されていない。
そうすると、甲2発明に、甲1発明及び甲3発明を組み合わせても、さらに、甲4及び甲5に記載された事項に鑑みても、上記相違点2に係る構成には至らないし、上記相違点2に係る構成が周知技術であったということもできない。
そして、本件発明1は、相違点2に係る構成を有することにより、「ユーザが普段から利用する媒体に応じたスタンプ条件になるので、スタンプラリーの興趣性が高まる」(本件特許明細書段落【0004】)という格別の効果を奏するものである。
ウ 異議申立人の主張について
[主張1]
異議申立人は、本件発明1と甲2に記載された発明との相違点として、甲2に記載された発明は、「前記ユーザが利用する前記媒体の前記種類を特定する特定手段」、及び「前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段」を有さない点において相違すると認めつつも、甲3には、「前記グループの前記カード会員を識別するための識別情報を記憶する識別情報記憶手段」、及び「前記識別情報記憶手段により識別される前記種類に応じた前記特典付与の条件が設定され格納される特典情報DB13Eを有する特典付与装置1」が記載されており、また、スタンプとは特典の一形態であることは技術常識であるから、甲3には異議申立人が認定する上記相違点に係る構成が開示されているとし、さらに、甲2の段落【0056】には、「参加者間の協力による一体感の醸成や気持ちの盛り上がりを実現し、プロモーション効果を改善できる」と記載され、甲3の段落【0062】には、「グループ内の各カード会員が様々な態様で特典を享受することができるため、グループでの行動が促されることになる。」と記載されていることから、参加者の協力をさらに促すという観点において、甲2に甲3を組み合わせる動機があるとし、本件発明1は、甲2及び甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。
しかしながら、甲3発明は、上記第4の3(2)で示したとおり、「クレジットカードの会員に対して特典を付与する特典付与システムであって」、「特典付与装置1に設けられている会員情報DB13Aは、クレジットカードのカード番号が格納されるカード番号フィールド101を有しており」、「特典付与装置1に設けられているグループ情報DB13Dは、グループを識別するためのグループIDが格納されるグループIDフィールド401、グループを構成する構成員のカード番号が格納される構成員フィールド403を有しており」、「特典付与装置1に設けられている特典情報DB13Eは、特典の提供元となる加盟店の名称が格納される店舗フィールド501、特典が適用される優先度が格納される優先度フィールド502、特典の内容が格納される特典フィールド503、及び特典付与の条件が格納される条件フィールド505を有しており」、「グループの個人最小利用回数」、「グループの個人最大利用回数」、あるいは「個人最大利用金額」などに応じて、「グループの各構成員が今回の旅行において当該加盟店でクレジットカードを利用した場合に、その構成員が特典を得る」ものである。
してみると、甲3発明では、グループの構成員が電子決済で利用する媒体の種類はクレジットカードの一種類であって、クレジットカード以外の媒体を利用することは想定しておらず、まして、電子決済で利用する媒体の種類に応じた特典付与の条件が設定されるようにスタンプ帳を作成するものではない。また、甲3には、ユーザが電子決済で利用する媒体の種類に応じた特典付与の条件が設定されるようにスタンプ帳を作成することは記載されておらず、示唆もされてもいない。
よって、甲3には、「前記識別情報記憶手段により識別される前記種類に応じた前記特典付与の条件が設定され格納される特典情報DB13Eを有する特典付与装置1」が記載されているとする異議申立人の上記主張は失当であり、本件発明1は、甲2及び甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとする異議申立人の上記主張は前提を欠くものである。
[主張2]
なお、異議申立人は、上記[主張1]に関連して、甲3の【0060】には、加盟店未利用者による加盟店の利用に対する特典(「未利用者1000円利用でグループにお土産を1つ贈呈」)が設定されることが記載されており、この例では、まず識別情報記憶手段において、カード会員のうち加盟店未利用であるカード会員が識別されるのであって、これは本件発明1に係る特定手段において媒体の種類が特定されることに相当し、次に、特典付与装置1において、当該カード会員に応じた特典(お土産)が設定され、特典情報DB13Eに格納されることは、前記特定手段により特定される種類に応じたスタンプ条件が設定されるようにスタンプ帳を作成することに相当する旨主張する。
しかしながら、加盟店未利用であるカード会員を識別することは、加盟店でクレジットカードを利用したことがないカード会員を識別しているのであって、ユーザが電子決済に利用する媒体の種類を識別しているのではないし、まして、識別した媒体の種類に応じた特典を付与する条件が設定されるようにスタンプ帳を作成するものでもないから、異議申立人の上記主張は失当である。
よって、異議申立人の主張に理由はない。
エ 小括
よって、本件発明1は、上記相違点1及び相違点3を検討するまでもなく、甲1~甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2~20について
本件発明2~20は、本件発明1の構成にさらに構成を付加し、本件発明1を限定したものであるから、本件発明2~20と甲2発明は、少なくとも、上記(1)ア(オ)に示した相違点1~3を有する。
そうすると、少なくとも相違点2は、上記(1)イと同様に、甲2発明に、甲1発明及び甲3発明を組み合わせても、当業者が容易に想到することができたものではないから、本件発明2~20は、甲1~甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明21~22について
本件発明21は、本件発明1の「スタンプラリー提供システム」について、カテゴリーの異なる「スタンプラリー提供方法」とした発明である。
そうすると、本件発明21は、甲2に記載された発明を方法発明として認定した発明と対比すると、上記(1)ア(オ)に示した相違点1~3と同様の相違点1’~3’を有することとなり、少なくとも相違点2’は、上記(1)イと同様に、甲2に記載された発明を方法として認定した発明に、甲1発明及び甲3発明を組み合わせても、当業者が容易に想到することができたものではないから、本件発明21は、甲1~甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件発明22は、本件発明1の「スタンプラリー提供システム」について、カテゴリーの異なる「プログラム」とした発明である。
そうすると、本件発明22は、甲2に記載された発明をプログラム発明として認定した発明と対比すると、上記(1)ア(オ)に示した相違点1~3と同様の相違点1’’~3’’を有することとなり、少なくとも相違点2’’は、上記(1)イと同様に、甲2に記載された発明をプログラムとして認定した発明に、甲1発明及び甲3発明を組み合わせても、当業者が容易に想到することができたものではないから、上記(1)イと同様、本件発明22は、甲1~甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 甲1に基づく判断
(1)本件発明1について
ア 対比・判断
甲1発明は、上記第4の1(2)のとおりである。
しかるところ、上記1(1)イのとおり、甲1発明は、ユーザが電子決済に利用する媒体の種類に応じたスタンプ条件が設定されるようにスタンプ帳を作成するという上記1(1)ア(オ)に示した相違点2に係る構成を有するものではなく、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。
また、甲1には、「スタンプ条件」及び「スタンプ帳」に関する記載はなく、甲1発明に基づいて相違点2の構成にしようとする動機付けもないため、甲1発明に基づいて相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。
さらに、上記相違点2に係る構成は、上記1(1)イのとおり、甲2発明及び甲3発明のいずれも有しておらず、甲4及び甲5のいずれにも記載されておらず、周知技術であるということもできないから、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
イ 異議申立人の主張について
異議申立人は、甲1発明における支払いモードは、現金、PINデビットカード、サインデビットカード及びクレジットカードを含み、これらは本件発明1の「媒体」に含まれると解釈され、甲1発明において支払いモードの選択に応じて異なるスタンプを発行することと、本件発明1において媒体の種類に応じて異なるスタンプ条件を設定することは同義であるから、甲1には「前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記報酬インセンティブを設定するデータ処理プログラム論理手段」が記載されており、これは本件発明1の「前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段」に相当する旨主張する。
しかしながら、甲1にはスタンプラリーに関する記載は一切なく、甲1発明はスタンプラリーを提供とするものとはいえないから、「スタンプラリー提供システム」である本件発明1とは、そもそも発明の前提が異なるものである。
そして、甲1発明は、「前記消費者によって選択された支払いモードに基づいて、データ処理プログラム論理手段を用いて、報酬インセンティブを決定する」ものであって、「前記報酬インセンティブは、カタログに従って引き換え可能なポイントの形式であり、前記購入者のロイヤルティ・ポイント口座内に電子的に信用化されたクーポン、スタンプ又はポイントの形式で発行され、又は商品券又はデータ処理手段を用いる金銭口座内に電子的に信用化された形式で発行された金銭的価値であり」としていることから、甲1発明における「スタンプ」は、消費者に報酬インセンティブとして付与されるポイントの一種にすぎないと解されるのであって、前記「スタンプ」がスタンプラリーにおいて参加者に付与されるスタンプと同等のものであると解することはできない。
さらに、甲1発明は、「前記支払いが現金ならば第1の報酬インセンティブを適用し、前記支払いがPINデビットカードならば第2の報酬インセンティブを適用し、前記支払いがサインデビットカードならば第3の報酬インセンティブを適用し、前記支払いが前記加盟店の発行でもなく提携先でもないクレジットカードによる場合は第4の報酬インセンティブを適用する」ものであるが、これは、支払いモードに基づいて異なる報酬インセンティブ(スタンプ)を付与することを意味しており、支払いモードが異なってもスタンプが付与されることには変わりはないから、支払いモードの選択に応じて異なるスタンプ条件を設定しているとはいえず、甲1発明において支払いモードの選択に応じて異なるスタンプを発行することと、本件発明1において媒体の種類に応じて異なるスタンプ条件を設定することは同義であるとする異議申立人の上記主張は失当である。
よって、上記アのとおり、甲1発明は、少なくとも、ユーザが電子決済に利用する媒体の種類に応じたスタンプ条件が設定されるようにスタンプ帳を作成するという上記相違点2に係る構成を有するものではないから、甲1には「前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記報酬インセンティブを設定するデータ処理プログラム論理手段」が記載されており、これは本件発明1の「前記特定手段により特定される前記種類に応じた前記スタンプ条件が設定されるように、前記ユーザのスタンプ帳を作成する作成手段」に相当するとする異議申立人の上記主張は前提を欠くものであって理由はない。
ウ 小括
よって、本件発明1は、甲1発明ではなく、また、本件発明1は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、さらに、本件発明1は、甲1~甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2~20について
本件発明2~20は、本件発明1の構成にさらに構成を付加し、本件発明1を限定したものであるから、本件発明2~20と甲1発明は、少なくとも、上記1(1)ア(オ)に示した相違点2を有する。
そうすると、上記(1)アと同様に、相違点2は実質的な相違点であって、甲1には、「スタンプ条件」及び「スタンプ帳」に関する記載はなく、甲1発明に基づいて相違点2の構成にしようとする動機付けもないため、甲1発明に基づいて相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえないから、本件発明2~20は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明21~22について
本件発明21は、本件発明1の「スタンプラリー提供システム」について、カテゴリーの異なる「スタンプラリー提供方法」とした発明である。
そうすると、本件発明21は、甲1に記載された発明を方法発明として認定した発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(オ)に示した相違点2と同様の相違点2’を有することとなり、上記(1)アと同様に、相違点2’は実質的な相違点であるから、本件発明21は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1には、「スタンプ条件」及び「スタンプ帳」に関する記載はなく、甲1発明に基づいて、相違点2の構成にしようとする動機付けもないため、甲1発明に基づいて、相違点2’の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。
また、本件発明22は、本件発明1の「スタンプラリー提供システム」について、カテゴリーの異なる「プログラム」とした発明である。
そうすると、本件発明22は、甲1に記載された発明をプログラム発明として認定した発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(オ)に示した相違点2と同様の相違点2’’を有することとなり、上記(1)アと同様に、相違点2’’は実質的な相違点であるから、本件発明22は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1には、「スタンプ条件」及び「スタンプ帳」に関する記載はなく、甲1発明に基づいて、相違点2’’の構成にしようとする動機付けもないため、甲1発明に基づいて、相違点2’’の構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。
3 小括
以上のとおり、本件発明1~22は、特許法29条1項3号に該当せず、特許を受けることができるものである。また、本件発明1~22は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
したがって、本件発明1~22に係る特許は、取り消されるべきものではない。
第6 むすび
以上によれば、特許異議の申立ての理由及び申立人の提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~22に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700822