特許異議申立
2024-700646
検査選別装置及び選別装置
- 審判番号
- 2024-700646
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-129760
- 登録番号
- 7412028
- 請求日
- 2024年07月10日
- 審決日
- 2026年03月31日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社 システムスクエア
- 【権利者代理人】折坂 茂樹
- 【異議申立人】藤井 良子
- 【異議申立人】野邉 真美
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 中屋 裕一郎
- 審判官 岩瀬 昌治
- 分類
- P1651.113-ZDA(B07C) / P1651.121-ZDA(B07C) / P1651.537-ZDA(B07C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7412028号発明「検査選別装置及び選別装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7412028号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1、3~12〕、16、17について訂正することを認める。
特許第7412028号の請求項1、3、6、13に係る特許を取り消す。
特許第7412028号の請求項2、5、7~12、14~17に係る特許を維持する。
特許第7412028号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7412028号の請求項1~17に係る特許についての出願は、令和4年8月16日を出願日とする出願であって、令和5年12月28日に特許権の設定登録がされ、令和6年1月12日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人 藤井良子(以下「申立人1」という。)による特許異議の申立て及び特許異議申立人 野邉真美(以下「申立人2」という。)による特許異議の申立てがされた。本件特許に係る特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 7月10日 申立人1による特許異議の申立て
同年 7月11日 申立人2による特許異議の申立て
同年11月 6日付け 取消理由通知書
令和7年 1月 6日 特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年 3月10日 申立人2による意見書の提出
同年 3月14日 申立人1による意見書の提出
同年 6月 4日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年 8月 7日 特許権者による意見書、訂正請求書の提出
同年10月 7日 申立人2による意見書の提出
同年10月 8日 申立人1による意見書の提出
なお、令和7年1月6日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、令和7年8月7日に提出された訂正請求書による訂正の請求がされたため、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
第2 訂正請求について
1 本件訂正の内容について
令和7年8月7日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第7412028号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、3~12、16、17について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下の訂正事項1~7を含むものである(下線部が訂正箇所である。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1、3の「所定の搬送方向に前記検査対象物を搬送する搬送部と、」と記載されているのを、「Y軸方向に前記検査対象物を搬送する、前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向に奥行を持つコンベアである搬送部と、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項8、及び請求項3の記載を引用する請求項6~8も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1、3の「前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、」と記載されているのを、「前記搬送部に載置されて搬送中の前記検査対象物にX線を照射する電磁波照射部と、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項8、及び請求項3の記載を引用する請求項6~8も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1、3の「前記検査対象物を経た前記電磁波を検出する電磁波検出部と、」と記載されているのを、「前記検査対象物を経た前記X線を検出する電磁波検出部と、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項8、及び請求項3の記載を引用する請求項6~8も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1、3の「前記電磁波検出部で検出された前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、」と記載されているのを、「前記電磁波検出部で検出された前記X線に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項8、及び請求項3の記載を引用する請求項6~8も同様に訂正する)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5、9~12の「請求項1から3のいずれか1項に記載の」と記載されているのを、「請求項2に記載の」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項16、17の「請求項13又は14に記載の」と記載されているのを、「請求項14に記載の」に訂正する。
2 一群の請求項について
本件訂正前の請求項4、5、8~12は、直接的又は間接的に請求項1を引用するものであるから、請求項1、4、5、8~12は一群の請求項である。
また、本件訂正前の請求項4~12は、直接的又は間接的に請求項3を引用するものであるから、請求項3~12は一群の請求項である。
そして、共通する訂正前の請求項4、5、8~12を有するこれらの一群の請求項は組み合わされ、請求項1、3~12が、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
訂正事項1~6に係る本件訂正は、一群の請求項1、3~12に対して請求されたものである。
また、訂正事項7に係る本件訂正は、請求項16、17に対して請求項されたものである。
3 本件訂正の適否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1に係る本件訂正は、請求項1及び3に係る発明(並びにそれらを引用する請求項6~8に係る発明)において、「所定の搬送方向」に検査対象物を搬送する「搬送部」が、「Y軸方向」に検査対象物を搬送する「前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向に奥行を持つコンベアである搬送部」であると特定することにより、搬送部をより具体的に特定するものである。
よって、訂正事項1に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、図1及び3において、搬送部の搬送方向を示す矢印がY軸方向であることを示しつつ、段落【0028】において、「搬送部110は、載置された検査対象物Wを所定の搬送方向(図1のY軸方向)に搬送する任意の方式のコンベアである。搬送部110は、図1の正面から見て、搬送方向に交差する幅方向(図1のX軸方向)に奥行きを持つ。」と記載されている(下線は当審合議体が付したもの。)。したがって、本件明細書等には、搬送部が、「Y軸方向」に検査対象物を搬送する「前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向に奥行を持つコンベアである搬送部」であることが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 訂正事項1に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項1及び3(並びにそれらを引用する請求項6~8に係る発明)における「搬送部」について具体的に特定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものには該当しないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2~4について
ア 訂正の目的
訂正事項2~4に係る本件訂正は、請求項1及び3に係る発明(並びにそれらを引用する請求項6~8に係る発明)において、電磁波を照射する対象である「検査対象物」に関し、その検査対象物の電磁波照射時の状態を、「前記搬送部に載置された搬送中の」と限定するとともに、「前記検査対象物に」「照射」される「電磁波」についてその種類を「X線」と限定し、「前記電磁波を検出する電磁波検出部」を「前記X線を検出する電磁波検出部」と限定し、「検出され前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部」を「検出された前記X線に基づき前記検査対象物を検査する検査部」と限定するものである。
よって、訂正事項2~4に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無
本件特許明細書等には、「搬送部110は、載置された検査対象物Wを所定の搬送方向(図1のY軸方向)に搬送する任意の方式のコンベアである」(段落【0028】)、「電磁波照射部120は、搬送部110により搬送される検査対象物Wに向け所定の電磁波を照射する。」(段落【0029】)との記載があり(下線は当審合議体が付したもの。)、図1~3からも、検査対象物Wが搬送部110の搬送方向における略中央の到達したときに、検査対象物Wに対して電磁波があたるように電磁波照射部120が設けられている点が看て取れるところ、「前記搬送部に載置されて搬送中」の検査対象物に電磁波を照射することは、本件特許明細書等に記載されていると認められる。
また、本件特許明細書等には「照射する電磁波の種類は、例えば、X線、可視光、赤外線など、検査の内容に応じて適宜選択してよい。」(段落【0029】)との記載があり、照射する「電磁波」を「X線」とすることは、本件特許明細書等に記載されていると認められる。そして、本件特許明細書等は、「前記電磁波を検出する電磁波検出部」が「X線を検出する電磁波検出部」であること、「検出された前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部」が「検出されX線に基づき検査対象物を検査する検査部」であること明記はないが、照射する電磁波としてX線を選択する場合には、「電磁波検出部」及び「検査部」がそれぞれ、「X線を検出する電磁波検出部」及び「検出されたXに基づき検査対象物を検査する検査部」であることは本件特許明細書等に記載されているに等しいといえる。
そうすると、訂正事項2~4に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲においてしたものである。
ウ 訂正事項2~4に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項1及び3(及びそれらを引用する請求項6~8に係る発明)における電磁波照射時の「検査対象物」の状態、及び電磁波の種類を限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものには該当しないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項5について
訂正事項5に係る本件訂正は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項3は、請求項4を削除するものにすぎないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項6について
訂正事項6に係る本件訂正は、請求項5、9~12について、これらが引用する請求項を「請求項1から3のいずれか1項」から「請求項2」とし、引用する請求項数の削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項6は、請求項5、9~12が引用する請求項数の削減するものにすぎないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(5)訂正事項7について
訂正事項7に係る本件訂正は、請求項16、17について、これらが引用する請求項を「請求項13又は14」から「請求項14」とし、引用する請求項数の削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項7は、請求項16、17が引用する請求項数の削減するものにすぎないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(6)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであって、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3~12〕、16、17について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~17に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」~「本件発明17」という。)は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う検査選別装置であって、
Y軸方向に前記検査対象物を搬送する、前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向に奥行を持つコンベアである搬送部と、
前記搬送部に載置されて搬送中の前記検査対象物にX線を照射する電磁波照射部と、
前記検査対象物を経た前記X線を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波検出部で検出された前記X線に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
前記電磁波検出部の搬送下流に設けられ、前記搬送方向に交差する方向に配列される複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、柔軟性がある素材のホース又はチューブである複数の連通部と、
前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部と、
前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部と、
を備え、
前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部の位置を一体的に調整可能とされている検査選別装置。
【請求項2】
検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う検査選別装置であって、
所定の搬送方向に前記検査対象物を搬送する搬送部と、
前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記検査対象物を経た前記電磁波を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波検出部で検出された前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
前記電磁波検出部の搬送下流に設けられ、前記搬送方向に交差する方向に配列される複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、柔軟性がある素材のホース又はチューブである複数の連通部と、
前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部と、
前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部と、
を備え、
前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている検査選別装置。
【請求項3】
検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う検査選別装置であって、
Y軸方向に前記検査対象物を搬送する、前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向に奥行を持つコンベアである搬送部と、
前記搬送部に載置されて搬送中の前記検査対象物にX線を照射する電磁波照射部と、
前記検査対象物を経た前記X線を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波検出部で検出された前記X線に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
前記電磁波検出部の搬送下流に設けられ、前記搬送方向に交差する方向に配列される複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、柔軟性がある素材のホース又はチューブである複数の連通部と、
前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部と、
を備え、
前記噴出制御部は、前記気体噴出部が配列される列数より多い列数で配列される検査選別装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記電磁波はX線である請求項2項に記載の検査選別装置。
【請求項6】
前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部を更に備える請求項3に記載の検査選別装置。
【請求項7】
前記位置調整部は、前記気体噴出部ごとに位置を調整可能とされている請求項6に記載の検査選別装置。
【請求項8】
前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する請求項1から3のいずれか1項に記載の検査選別装置。
【請求項9】
前記気体噴出部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する請求項2に記載の検査選別装置。
【請求項10】
前記気体噴出部からの前記気体の噴出を検知して報知する報知部を備える請求項2に記載の検査選別装置。
【請求項11】
前記気体分配部、前記噴出制御部及び前記選別制御部は、前記連通部及び前記気体噴出部と別空間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の検査選別装置。
【請求項12】
前記複数の前記連通部は、略同じ長さである請求項2に記載の検査選別装置。
【請求項13】
選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う選別装置であって、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、柔軟性がある素材のホース又はチューブである複数の連通部と、
前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部と、
を備え、
前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部の位置を一体的に調整可能とされている選別装置。
【請求項14】
選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う選別装置であって、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、柔軟性がある素材のホース又はチューブである複数の連通部と、
前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部と、
を備え、
前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている選別装置。
【請求項15】
前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する請求項13又は14に記載の選別装置。
【請求項16】
前記気体噴出部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する請求項14に記載の選別装置。
【請求項17】
前記気体噴出部からの前記気体の噴出を検知して報知する報知部を備える請求項14に記載の選別装置。」
第4 特許異議申立理由及び取消理由(決定の予告)の概要
1 申立人1が提出した特許異議申立書(以下「申立書1」という。)に記載された理由の概要
(1)申立理由1(新規性)
本件発明1、3、4、11~13は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記3(1)の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)申立理由2(進歩性)
本件発明1~17は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記3(1)の甲第1~17号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
(3)申立理由3(サポート要件)
本件発明10、17は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立人2が提出した特許異議申立書(以下「申立書2」という。)に記載された理由の概要
・申立理由(進歩性)
本件発明1、2、3、13、14は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった後記3(2)の甲第1~7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 証拠方法
(1)申立人1が提出した証拠方法
甲第1号証 特開2000-185263号公報
甲第2号証 特開2016-107170号公報
甲第3号証 国際公開公報第95/04611号
甲第4号証 特開2017-164723号公報
甲第5号証 特開2010-94652号公報
甲第6号証 特開2002-153822号公報
甲第7号証 特開平5-131176号公報
甲第8号証 特開平5-126108号公報
甲第9号証 特開2019-130483号公報
甲第10号証 特開平11-267596号公報
甲第11号証 YouTube動画「X線センサ搭載光選別機 ベルトゥーザスペクトラ(日本語版)」、令和3年12月28日公開、SatakeCorporation、インターネット<https://www.youtube.com/watch?v=O8m4M_O_GLw>をウェブブラウザ上で再生した様を記録した動画を収録したDVD-R
甲第12号証 YouTube動画「サタケCM【Challege!サタケ】~枝豆篇15秒ver.type B~」、平成29年12月11日公開、SatakeCorporation、インターネット<https://www.youtube.com/watch?v=QHTGx-yeZ6w>をウェブブラウザ上で再生した様を記録した動画を収録したDVD-R
甲第13号証 YouTube動画「サタケ【選別加工総合センター】紹介ビデオ」、令和4年5月11日公開、SatakeCorporation、インターネット<https://www.youtube.com/watch?v=6B1bcNfWohw>をウェブブラウザ上で再生した様を記録した動画を収録したDVD-R
甲第14号証 特許第7115595号公報
甲第15号証 特許第7274836号公報
甲第16号証 「集英社 国語辞典」、第3版、株式会社集英社、平成24年12月19日、482頁
甲第17号証 「機械工学用語辞典」、第1版第1刷、理工学社、平成8年9月10日、137頁
甲第18号証 国際公開第2022/137822号
甲第19号証 「機械工学辞典」、初版、社団法人日本機械学会、1997年8月20日発行、447頁
なお、甲第18号証、甲第19号証は、申立人1が令和7年10月8日に提出した意見書に添付したものである。
(2)申立人2が提出した証拠方法
甲第1号証 特開平10-297754号公報
甲第2号証 特開昭61-195333号公報
甲第3号証 特開2012-236135号公報
甲第4号証 特開平11-267596号公報
甲第5号証 特開2017-164722号公報
甲第6号証 特開平11-179294号公報
甲第7号証 特開2012-35185号公報
参考資料1 実用新案登録第3198202号公報
参考資料2 特開2000-288481号公報
参考資料3 特開2019-211252号公報
参考資料4 特許第3698255号公報
参考資料5 特開平1-312447号公報
参考資料6 特開平6-47350号公報
なお、参考資料1~4は、申立人2が令和7年3月10日に提出した意見書に添付したものであり、参考資料5、6は、申立人2が令和7年10月7日に提出した意見書に添付したものである。
4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要
令和7年6月4日付けで当審合議体が通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は次のとおりである。
・取消理由(進歩性)
本件発明1、3、5、6、9~13、16、17は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1~15に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
記(引用例一覧)
引用例1:特開2000-185263号公報(申立人1が提出した甲第1号証。)
引用例2:国際公開第95/04611号(申立人1が第3号証。)
引用例3:特開2010-94652号公報(申立人1が提出した甲第5号証。)
引用例4:特開2002-153822公報(申立人1が提出した甲第6号証。)
引用例5:特許第7115595号公報(申立人1が提出した甲第14号証。)
引用例6:特許第7274836号公報(申立人1が提出した甲第15号証。)
引用例7:特開平11-179294号公報(申立人2が提出した甲第6号証。)
引用例8:特開2017-164723号公報(申立人1が提出した甲第4号証。)
引用例9:特開2019-130483号公報(申立人1が提出した甲第9号証。)
引用例10:特開平11-267596号公報(申立人1が提出した甲第10号証、かつ、申立人2が提出した甲第4号証。)
引用例11:YouTube動画「X線センサ搭載光選別機 ベルトゥーザスペクトラ(日本語版)」、令和3年12月28日公開、SatakeCorporation、インターネット<https://www.youtube.com/watch?v=O8m4M_O_GLw>をウェブブラウザ上で再生した様を記録した動画を収録したDVD-R(申立人1が提出した甲第11号証。)
引用例12:実用新案登録第3198202号公報(申立人2が提出した参考資料1)
引用例13:特開2000-288481号公報(申立人2が提出した参考資料2)
引用例14:特開2019-211252号公報(申立人2が提出した参考資3)
引用例15:特許第3698255号公報(申立人2が提出した参考資料4)
第5 引用例の記載事項等
申立人1及び2が提出した証拠のうち、取消理由通知(決定の予告)の引用例としたものについては、以下のとおり。
1 引用例1について
(1)引用例1には、次の記載がある。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被選別物である粒状物(例えば穀物や樹脂ペレットなど)に含まれる異色部分を有する粒状物(以下、「不良品」という)を判定して選別を行う粒状物色彩選別機に関するものである。」
イ「【0006】本発明は、粒子の端部などに不良部分を有する不良品であっても、的確に選別して従来よりも選別精度を向上させることのできる粒状物色彩選別方法及びその選別機を提供することを技術的課題とする。」
ウ「【0022】第1の実施の形態について説明する。図1に示すように、本発明の粒状物色彩選別機1は、粒状物を流下させる傾斜状の流下樋2(移送手段)が設けられ、該流下樋2の下端から落下する粒状物の落下軌跡を挟んで対向する位置に光学検出手段3,3が設けられている。そして、前記光学検出手段3,3の下方には、同じく落下軌跡に沿って設けられた噴風手段4(選別手段)があり、更に、その下方の落下軌跡上には、良品を収容する良品収容筒5が設けられている。前記光学検出手段3,3には、受光センサー部6、バックグランド7及び照明部8(蛍光灯)が備えられており、前記受光センサー部6は、落下軌跡上の光学検出位置Fに焦点が合わされると共に、対向する側のバックグランド7に視線が合されている。なお、前記移送手段は、ベルトコンベアであってもよい。
【0023】前記受光センサー部6,6には、検出光量としきい値とを比較して不良部分となる検出光かどうかを判定する不良判定手段15が接続され、該不良判定手段15には、不良信号に基づいて作動させる電磁バルブを選択する選択手段14が接続されている。そして、該選択手段14は、遅延回路16及びドライブ回路17からなる選別制御手段を介してそれぞれの電磁バルブ12に接続されている。
【0024】次に、図2及び図3を参照しながら、前記選別手段の一例として、噴風手段4について説明する。噴風手段4には、噴風ノズル部9、高圧空気管10、マニーホールド(高圧空気内蔵部)11及び電磁バルブ12が備えられている。前記噴風ノズル部9には、高圧空気を噴風する複数の噴風口(作用部)9a,9b,9c…が連設されている。前記マニーホールド11は、横断面がほぼ六角形で、かつ、長尺角柱形状で形成され、内部に長手方向に沿って形成された一対の空洞部11a,11aが備えられている。該各空洞部11a,11aには、コンプレッサー(図示せず)からの高圧空気を供給すべく供給管(図示せず)が接続されている。
【0025】前記マニーホールド11の一側の面11bには複数の孔11c,11c…が設けられている。そして、これらの孔11c,11c…は、3つの孔を縦方向に整列させると共に、長手方向にも同様に各孔が配設されている。一方、前記一側の面11bの反対側に有する他側の面11d,11e,11fには、前記電磁バルブ12が前記各孔11c…に対応してそれぞれ設けられている。そして、電磁バルブ12と該電磁バルブ12に対応する孔11cとはそれぞれ連通路11gで連通している。
【0026】前記各孔11c…にはそれぞれ高圧空気管10の一端が挿入され、該高圧空気管10の他端は対応する噴風口に連結されている。具体的に示すと、高圧空気管10aは噴風口9aに、高圧空気管10bは噴風口9bに、高圧空気管10cは噴風口9cに、とそれぞれが対応して接続されている(図3の一点鎖線参照)。
【0027】図4を参照しながら説明するが、前記受光センサー部6内に備えられた可視光センサー13(シリコンフォトセンサーやCCDセンサーなど)は、連設された複数の受光素子13a,13b,13c…から構成され、複数を一組とした受光素子は、所定の電磁バルブに対応していると共に、該電磁バルブに対応した噴風口から噴風される噴風幅(作用幅)S1…に対応している。例で説明すると、一組の受光素子13a,13b,13c,13dは電磁バルブ12bに対応しており、該電磁バルブ12bは噴風口9bに対応している。この場合、図4に示すように、前記受光素子13a,13b,13c,13dは、噴風口9bの作用幅S1に対応している。また、一組の受光素子13e,13f,13g,13hは電磁バルブ12cに対応しており、該電磁バルブ12cは噴風口9cに対応している。この場合、同じく図4に示すように、前記受光素子13e,13f,13g,13hは、噴風口9cの作用幅S2に対応している。また、前記可視光センサー13と各電磁バルブ12a,12b,12c…とは、前記不良判定手段15と、前記選択手段14、遅延回路16及びドライブ回路17を介して接続されている。
【0028】次に、該第1の実施の形態の作用について、図1および図4を参照しながら説明する。前記流下樋2によって移送される原料粒状物は、流下樋2の下端から一定の流下軌跡で落下する。前記可視光センサー13は、流下軌跡上の光学検出位置Fにおいて粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光として受光する。受光した検出光は、前記不良判定手段15でしきい値と比較されて、良・不良の判定がなされる。
【0029】そして、不良信号は、前記選択手段14に送られ、該選択手段14は、不良の検出光がどの受光素子で受光されたかによって、作動させるべき電磁バルブを選択する。より具体的に説明すると、図4に示した例の場合、不良品Aの不良部分aの検出光は受光素子13eで検出される。このとき、前記選択手段14では、一組の受光素子13e,13f,13g,13hのうち、受光素子13eは一側受光素子として、また、受光素子13f,13gは中央受光素子として、更に、受光素子13hは他側受光素子として、それぞれの受光素子の位置があらかじめ認識されている。このため、前記選択手段14では、受光素子13e(一側受光素子)で不良部分aの検出光を検出すると、作動させる電磁バルブとして、この受光素子13eに対応した電磁バルブ12cと共に、該電磁バルブ12cに対応した噴風口9cの左隣の噴風口9bに対応した電磁バルブ12bを選択する。そして、電磁バルブを選択した信号出力は、前記遅延回路16及びドライブ回路17に送られる。前記電磁バルブ12c,12bは、前記遅延回路16及びドライブ回路17の作用を受けて所定の遅延時間と作動時間で作動することになり、噴風口(作用部)9c,9bからは高圧空気が噴風されることになる。この高圧空気は不良品Aの全体に当たり、不良品Aは確実に選別されることになる。」
エ「【図1】
[図:0001438257000001.jpg]
」
オ「【図2】
[図:0001438257000002.jpg]
」
カ「【図3】
[図:0001438257000003.jpg]
」
(2)上記(1)の記載から、次のことがいえる。
ア 段落【0006】、【0028】、【0029】から、選別機は、原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光として不良判定手段15で良・不良の判定をし、その判定結果に基づき、不良の検出光がどの受光素子で受光されたかを特定し、その特定された受光素子に対応した電磁バルブ12を作動させ、不良品Aに向けて高圧空気を噴風することで不良品Aを選別するものである。
ここで、不良の検出光がどの受光素子で受光されたかを特定し、その特定された受光素子に対応した電磁バルブ12を作動させることは、最終的に不良品Aを選別することに繋がるのだから、不良の検出光がどの受光素子で受光されたかを特定し、その特定された受光素子の対応した電磁バルブ12を作動させることは、不良品Aを特定し、特定した不良品Aに対応した電磁バルブ12を作動させることに他ならない。
イ 段落【0022】、【0028】、図1から、流下樋2は、斜め下方に原料粒状物を移送する移送手段であるといえる。また、流下樋2の構造に鑑みれば、流下樋2が移送方向に交差する方向に所定の幅を有することは明らかである。
ウ 段落【0022】、【0028】及び図1から、照明部8は一定の流下軌跡で落下する原料粒状物に光を照射するものといえる。
エ 段落【0027】、【0028】から、受光センサー部6は、原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光として受光する可視光センサー13を含むといえる。
オ 段落【0028】から、不良判定手段15は、可視光センサー13で受光した検出光の検出光量としきい値とを比較することにより、検出光の良・不良判定を行うものといえる。そして、検出光の良・不良判定を行うことは、原料粒状物の良・不良判定を行うことに他ならない。
カ 段落【0024】から、選別機はマニーホールド11に高圧空気を供給するコンプレッサーを備えているといえる。
キ マニーホールド11に関し、
・段落【0024】の「前記マニーホールド11は、横断面がほぼ六角形で、かつ、長尺角柱形状で形成され、内部に長手方向に沿って形成された一対の空洞部11a,11aが備えられている。該各空洞部11a,11aには、コンプレッサー(図示せず)からの高圧空気を供給すべく供給管(図示せず)が接続されている。」との記載、
・段落【0025】の「前記マニーホールド11の一側の面11bには複数の孔11c,11c…が設けられている。」「一方、前記一側の面11bの反対側に有する他側の面11d,11e,11fには、前記電磁バルブ12が前記各孔11c…に対応してそれぞれ設けられている。そして、電磁バルブ12と該電磁バルブ12に対応する孔11cとはそれぞれ連通路11gで連通している。」との記載、
・段落【0026】の「前記各孔11c…にはそれぞれ高圧空気管10の一端が挿入され、該高圧空気管10の他端は対応する噴風口に連結されている。」との記載、
・段落【0029】の「前記電磁バルブ12c,12bは、前記遅延回路16及びドライブ回路17の作用を受けて所定の遅延時間と作動時間で作動することになり、噴風口(作用部)9c,9bからは高圧空気が噴風されることになる。」との記載、
・図2、
から、コンプレッサーから供給された高圧空気は、マニーホールド11によって複数の孔11cに分配され、当該高圧空気は、複数の電磁バルブ12が作動すると、孔11cを経て、高圧空気管10a、10b、10cを通して噴風口9a、9b、9cから噴風されるといえる。
ク 図1及び2から、複数の噴風口9a、9b、9cを連設してなる噴風ノズル部9(段落【0024】、図3)は、受光センサー部6の光学検出位置Fよりも移送方向下流側に設けられている点が看て取れる。
そして、流下樋2が移送方向に交差する方向に所定の幅を有しており(上記イ参照)、その流下樋2の所定の幅に広がって落下してくる原料粒状物の中の不良品Aに向けて複数の噴風口9a、9b、9cから高圧空気を噴風するのであるから、複数の噴風口9a、9b、9cは移送方向に交差する方向に連設されていることは明らかである。
ケ 上記キで言及した高圧空気管10a、10b、10cに関し、段落【0026】及び図2から、高圧空気管10a、10b、10cは、一端が孔11cに挿入され、他端が噴風口9a、9b、9cに連結されているといえる。また、図2から、高圧空気管10a、10b、10cが、滑らかに湾曲し、概略同じ長さである点が看て取れる。
コ 段落【0028】、【0029】から、上記アでも言及したとおり、選別機は、不良判定手段15における判定結果に基づき、不良品Aを特定し、その特定した不良品Aに対応する電磁バルブ12b、12cを作動させているといえる。そして、この電磁バルブの作動は、選択手段14、遅延回路16及びドライブ回路17によって行われている(段落【0029】)。
サ 図3からは、複数の噴風口9a、9b、9cが一列で噴風ノズル部9に配列された一体的な構成が看て取れる。
シ 段落【0025】の「これらの孔11c,11c…は、3つの孔を縦方向に整列させると共に、長手方向にも同様に各孔が配設されている。一方、前記一側の面11bの反対側に有する他側の面11d,11e,11fには、前記電磁バルブ12が前記各孔11c…に対応してそれぞれ設けられている。」との記載、図2の噴風手段4の断面図から看て取れる電磁バルブ12の配置、及び図3から看て取れる孔11c配置から、電磁バルブ12は、面11d、11e、11fの各々に1列ずつ、合わせて3列でマニーホールド11に配列された構成であると認められる。
ス 図1及び2から、高圧空気管10a、10b、10cと孔11cとが連結される位置を境として、マニーホールド11、電磁バルブ12、遅延回路16及びドライブ回路17が配置される空間は、噴風ノズル部9及び高圧空気管10a、10b、10cが配置される空間と別であることが看て取れる。
(3) 上記(1)及び(2)から、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
[引用発明]
原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光とした不良判定手段15による判定結果に基づき不良品Aを特定し、特定された不良品Aに向けて高圧空気を噴風することで不良品Aを選別する選別機であって、
斜め下方方向に原料粒状物を移送する移送手段であって、移送方向である斜め下方方向に交差する方向に所定の幅を有する移送手段である流下樋2と、
一定の流下軌跡で落下する原料粒状物に光を照射する照明部8と、
原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光として受光する可視光センサー13を含む受光センサー部6と、
可視光センサー13で受光した検出光の検出光量としきい値とを比較することにより原料粒状物の良・不良の判定をする不良判定手段15と、
高圧空気を供給するコンプレッサーと、
供給された高圧空気を複数の孔11cに複数の電磁バルブ12と連通路11gを介して分配するマニーホールド11と、
前記孔11cに高圧空気を送るように作動する複数の電磁バルブ12と、
前記受光センサー部6の光学検出位置Fよりも移送方向下流側に設けられ、原料粒状物の移送方向と交差する方向に連設される複数の噴風口9a、9b、9cと、
一端が孔11cに挿入され、他端が噴風口9a、9b、9cに連結される高圧空気管であって、孔11cを経た高圧空気を噴風口9a、9b、9cに通して噴風させる、滑らかに湾曲した概略同じ長さの複数の高圧空気管10a、10b、10cと、
不良判定手段15における判定結果に基づき、不良品Aを特定し電磁バルブ12を作動させる選択手段14、遅延回路16及びドライブ回路17と、
を備え、
複数の噴風口9a、9b、9cは、噴風ノズル部9に1列に配列された一体的な構成であり、
電磁バルブ12は、マニーホールド11に3列に配列された構成であり、
マニーホールド11、電磁バルブ12、選択手段14、遅延回路16及びドライブ回路17が配置される空間は、噴風ノズル部9及び高圧空気管10a、10b、10cが配置される空間とは別である、
選別機。」
2 引用例2について
引用例2には、次の記載がある。なお、( )内に当審合議体による訳を付する。
「Preferably, the nonlinear array of valves is substantially circular and lies in a plane substantially parallel to the direction of nozzle alignment, with the valves being interconnected with the respective nozzles by means of respective flexible tubes substantially equal in length.」(第4頁13~18行)
(好ましくは、バルブの非線形アレイは実質的に円形であり、ノズルの配列方向と実質的に平行な平面内に位置し、バルブは実質的に等しい長さのそれぞれのフレキシブルチューブによってそれぞれのノズルと相互接続される。)
「Embedded in the hardened polymeric material of the module is a group of flexible plastic tubes 34 each connected at one end to a respective one of the transversely-aligned nozzles 24a which are also formed in the polymeric material.」(6頁35行~7頁2行)
(モジュールの硬化した高分子材料の中に埋め込まれているのは、柔軟なプラスチックチューブ34の一群であり、それぞれのチューブは一端が横方向に整列したノズル24aに接続されていて、そのノズルもまた高分子材料の中に形成されている。)
3 引用例3について
引用例3には、次の記載がある。
(1)「【0035】
・・・(省略)・・・そして、エアノズル23と、ワッシャ25と、ノズル取付部材31のノズル取付部31bの取付溝31cと、板状ナット26とを、順に貫通するボルト34によって、エアノズル23がノズル取付部材31に取り付けられている。このようにノズル取付部材31に取り付けられたエアノズル23は、図4に示すように、ノズル取付部材31のノズル取付部31bと略平行に回動して、圧縮エアの吹き出し方向を物品の搬送方向前後に調節することができる。」
(2)「【0037】
・・・(省略)・・・ノズル取付部材31は、ノズル取付部材31のユニット取付部31aに設けられた取付溝31cの範囲で取付位置(取付高さ)を調整することができ、これによりエアノズル23の取付位置(取付高さ)を調整することができる。」
(3)「【図4】
[図:0001438257000004.jpg]
」
4 引用例4について
引用例4には、次の記載がある。
(1)「【0030】上記ノズルカバー32は、支持台3から立設する取付フレーム34の正面視右上部の屈曲部34aに固定されており(図4参照)、搬送機構11で搬送される物品Xに対して前後方向の端部が開口し、該ノズルカバー32の前方開口部32aは、このノズルカバー32内にブラケット35を介して固定位置調整可能に固定されたノズル31の先端部31aより前方に位置している。そして、ノズルカバー32は、前方開口部32aが上部カバー8の一方の縁部より少し内方に入り込むように設置されている。」
(2)「【図4】
[図:0001438257000005.jpg]
」
5 引用例5について
引用例5には、次の記載がある。
(1)「【0025】
このような構成とすることで、移送手段3から放出された選別対象物2が案内板5の案内面52を滑走することが可能となり、選別対象物2が広がって落下することが抑制され、通常の落下軌跡(図示破線部)に沿って安定して選別対象物2を落下させることが可能となる。加えて、案内板5を貫通する開口部51の背面53側に設けた選別手段6と、通常の落下軌跡(図示破線部)との間の隙間を従来よりも大幅に縮小することができるため、選別対象となる選別対象物2の選別精度を高めて、より確実に選別対象物2を選別することが可能となる。また、選別手段6と、通常の落下軌跡(図示破線部)との間の隙間を従来よりも大幅に縮小することが可能となったことで、従来よりも選別作用に必要な力を小さくすることができ、省エネ化を図ることが可能である。」
(2)「【0027】
続いて、図3(a)には案内板5の可動態様と選別対象物2の落下態様が、図3(b)には案内板5の可動域が図示されている。図示されるように、本実施形態の案内板5は位置等を変更することが可能となっており、このような構成により、選別対象物2の通常の落下軌跡に対応して案内板5を適切な位置に配置することが可能となっている。
【0028】
より具体的には、図3(b)に示すように、案内板5の開口部51を支点(中心)に角度変更させ、選別対象物2の落下軌跡との相対角度を変更することが可能である。さらに案内板5は、図示されるように移送手段3における選別対象物2の放出位置に対する水平距離や鉛直距離を変更することが可能である。このように、案内板5の位置や角度を変更可能に構成することによって、選別対象物2の種類や移送手段3の種類、移送手段3から放出される選別対象物2の速度などの様々な条件に応じて、選別精度の高い適切な位置に案内板5を配置することが可能となる。」
(3)「【図3】
[図:0001438257000006.jpg]
」
6 引用例6について
引用例6には、次の記載がある。
「【0027】
・・・(省略)・・・更に、電子・電気機器部品屑中の基板を適切に分離選別するためには、エアーバルブ5から吹きつけされるスプレー距離、即ち、先端部の穴51の中心から識別対象物又は非識別対象物の中心までの距離を5~50mmに調整することが好ましく、より好ましくは5~30mmであり、更に好ましくは5~10mmである。」
7 引用例7について
引用例7には、次の記載がある。
(1)「【0004】本発明は上述の問題に鑑みてなされ、大径・中径びんに混入した小径びんに対し、吹き落とすための噴出空気量を節減し得る廃びん選別装置を提供することを課題とする。」
(2)「【0018】また、廃びんBを吹き落とすために受け容器31a~31dのそれぞれ、例えば青緑色の受け容器31cには2個の空気噴出ユニット27c1、27c2が設けられている。図4は空気噴出ユニット27c1を示す図であり、図4のAは正面図、Bは部分破断側面図、Cは裏面図である。空気噴出ユニット27c1にはベルトコンベヤ2の側板に固定された取付け台41に2個のノズル26c11、26c12がそれぞれの電磁弁28c11、28c12と共に取り付けられている。すなわち、下方からの空気配管42c11、42c12が下向きとされた先端部にそれぞれノズル26c11、26c12が取り付けられ、空気配管42c11、42c12の途中に電磁弁28c11、28c12が設けられている。また、2個のノズル26c11、26c12は取付け台41に形成されている垂直方向の長穴44に取り付けられており、上下方向に位置の調整が可能になっている。同様に空気噴出ユニット27c2には空気配管42c21、42c22の先端部にノズル26c21、26c22が取り付けられ、空気配管42c21、42c22の途中に電磁弁28c21、28c22が設けられている。
【0019】図1~図3へ戻り、ベルトコンベヤ2の架台には圧縮空気の元バルブである電磁弁291、292が取り付けられているが、図5の圧縮空気配管図に示すように、電磁弁291からの空気配管は空気噴出ユニット27c1のノズル26c11と、空気噴出ユニット27c2のノズル26c22と連結され、電磁弁292からの空気配管は空気噴出ユニット27c1のノズル26c12と、空気噴出ユニット27c2のノズル26c21に連結されている。すなわち、上流側から下流側へ4個のノズル26c11、26c12、26c21、26c22が並ぶが、元バルブである一方の電磁弁292と電磁弁28c12、28c21を開くことにより、内側の2個のノズル26c12、26c21からのみ空気が噴出されるようになっている。
【0020】そして、長さ検出センサー21と色判定センサー25を通過した廃びんBが大径びんBlであり緑色であるという判定結果と、ベルトコンベヤ2の搬送速度とから、緑色の二点鎖線で示す大径びんBlがその受け容器31c上に到達した時に、制御部は元バルブの電磁弁291、292と、空気噴出ユニット27c1、27c2の電磁弁28c11、28c12、28c21、28c22を開くので、4個のノズル26c11、26c12、26c21、26c22から空気が噴出される。このことは中径びんBmについても同様である。大径びんBl、中径びんBmの中に小径びんBsが混入してくる場合があるが、長さ検出センサー21が小径びんBsを検出し、色判定センサー25がその小径びんBsを緑色であると判定したとすると、制御部は一点鎖線で示す緑色の小径びんBsが受け容器31c上に到達した時に元バルブの電磁弁292および電磁弁28c21、28c22を開き、4個のうちの内側の2個のノズル26c12、26c21からのみ空気が噴出されようになっている。なお、図1~図3においては、電磁弁の符号を簡略化しており、例えば電磁弁28c11、28c12を電磁弁28c1として示している。」
(3)「【図4】
[図:0001438257000007.jpg]
」
以上の記載から、引用例7には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
[引用例7記載の技術的事項]
大径・中径びん、及び大径・中径びんに混入した小径びんに対し、吹き落とすための噴出空気量を節減するために、
廃びんBの受け容器31a~31dのそれぞれに対して、搬送方向に沿って上流側から下流側へ並んだ4個のノズル26c11、26c12、26c21、26c22を設け、
大径・中径びんに対して、前記4個のノズル26c11、26c12、26c21、26c22から空気が噴出し、小径びんに対して、前記4個のうちの内側の2個のノズル26c12、26c21からのみ空気が噴出されようにする際、
上流側の2個のノズル26c11、26c12を取付け台41に形成されている垂直方向の長穴44に取り付けて、上下方向に位置の調整を可能とし、これと同様に、下流側の2個のノズル26c21、26c22も取付け台41に形成されている垂直方向の長穴44に取り付けて、上下方向に位置の調整を可能とすること。」
8 引用例8について
引用例8には、次の記載がある。
(1)「【0015】
図1又は図2に示されるように、検査システム100は、X線検査装置(画像検査装置)1と、振分装置4と、制御部(取得部)6と、を備える。X線検査装置1は、粒状体を搬送方向Fに沿って搬送しつつ、当該粒状体への異物の混入の有無等を検査する。粒状体は、例えば穀物、アメ等である。X線検査装置1は、粒状体に含まれる石、ガラス、不良品等の異物の混入の有無を検査する。
【0016】
X線検査装置1は、振分装置4における搬送方向Fの上流側(以下、単に「上流側」という)に配置されている。X線検査装置1は、装置本体2と、搬入フィーダ8と、を備える。搬入フィーダ8は、装置本体2に検査前の粒状体を搬入する。
【0017】
装置本体2は、検査室21と、X線源22と、X線検出器23と、搬送コンベア24と、を備える。検査室21は、箱状に形成されている。検査室21において上流側及び搬送方向Fの下流側(以下、単に「下流側」という)には、粒状体が通過する搬入口及び搬出口がそれぞれ設けられている。X線源22は、装置本体2内における検査室21の上方に配置されている。X線源22は、スリット機構(図示せず)等を介してX線照射領域Aを形成しつつ、検査室21内に搬入された粒状体にX線を照射する。X線検出器23は、X線源22と対向するように、装置本体2内における検査室21の下方に配置されている。
【0018】
X線検出器23は、搬送コンベア24の幅方向に一列に配列された複数の画素からなるラインセンサを有しており、粒状体を透過したX線を検出する。X線検査装置1では、粒状体がX線照射領域Aを通過するときに、X線検出器23によって所定のタイミングで取得された検出信号が画像処理されて、粒状体への異物の混入の有無等が検査される。より詳細には、X線検査装置1では、図3に示されるように、検出信号に基づく画像Gにおいて、粒状体の搬送方向F(図3におけるX方向)に直交する幅方向(図3におけるY方向)において所定の間隔で区画される複数の領域A1~A7毎に粒状体を検査する。すなわち、X線検査装置1は、多列検査を実施する。X線検出器23は、検査結果に応じた検査結果信号を後述の制御部6に送信する。
【0019】
搬送コンベア24には、一般的な平ベルトコンベアが使用されている。搬送コンベア24の両端部は、検査室21からそれぞれ突出している。搬送コンベア24は、搬入フィーダ8から検査前の粒状体を受け取り、検査室21内に粒状体を搬入する。そして、搬送コンベア24は、検査室21外に粒状体を搬出し、後述する第2振分部42に検査後の粒状体を受け渡す。」
(2)「【図1】
[図:0001438257000008.jpg]
」
9 引用例9について
引用例9には、次の記載がある。
(1)「【0019】
X線検査装置1は、装置本体11と、搬入コンベア12と、を備えている。搬入コンベ ア12は、装置本体11に検査前の物品Gを搬入する。装置本体11は、シールドボックス13と、搬送コンベア14と、X線照射部15と、X線検出部16と、を有している。」
(2)「【0021】
搬送コンベア14は、搬入口13aから搬出口13bまで搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。X線照射部15は、シールドボックス13内に配置されており、搬送コンベア14によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射部15は、例えば、X線を出射するX線管と、X線管から出射されたX線を搬送方向Aと直交する面内において扇状に広げるコリメータと、を有している。【0022】
X線検出部16は、シールドボックス13内に配置されており、物品G及び搬送コンベア14を透過したX線を検出する。X線検出部16は、例えば、ラインセンサとして構成されている。具体的には、X線検出部16は、搬送方向Aと直交する水平方向(図1中の奥行き方向)に沿って配列された複数のフォトダイオードと、各フォトダイオードに対してX線入射側に配置されたシンチレータと、を有している。この場合、X線検出部16では、シンチレータに入射したX線が光に変換され、各フォトダイオードに入射した光が電気信号に変換される。
【0023】
X線検査装置1では、X線照射部15によってX線が照射される領域を物品Gが通過する際に、X線検出部16によって所定のタイミングで取得された検出信号が画像処理され、物品GのX線透過画像が取得される。そして、当該X線透過画像に基づいて、物品Gのプラスチック純度が閾値以上であるか否かが検査される。」
(3)「【0034】
更に、制御部3は、エアノズル23がエアの噴射を継続する時間だけ、光出射部25に光の出射を継続させる。エアノズル23がエアの噴射を継続する時間は、物品Gの振分に要求される確実性や物品Gのサイズ等に応じて、予め設定されている。(以下省略)」
(4)「【図1】
[図:0001438257000009.jpg]
」
10 引用例10について
引用例10には、次の記載がある。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予定移送経路に沿って移送される粒状体群のうちの不良物を前記予定移送経路の幅方向での位置を特定して検出する不良物検出手段が設けられ、前記不良物検出手段にて検出された不良物と正常物とを異なる経路に分離させるためにエアを噴出する複数のエア噴出部を前記予定移送経路の幅方向に沿って並べて備えるエア噴出手段が、前記不良物検出手段の検出情報に基づいて前記複数のエア噴出部を選択的に噴出作動させるように構成された粒状体検査装置に関する。」
(2)「【0037】又、前記エア噴出手段EFに対応させて設置されて、前記複数の噴出ノズル6aの全てを噴出作動させない状態からそれら複数の噴出ノズル6aのうちのいずれかを噴出作動させたときに前記エア噴出手段EFに現れる変化を検出する噴出状況検出手段102が、前記噴出ノズル6aのいずれを噴出作動させたときにも検出可能な部位に設置されるとともに、前記制御装置10を利用して、複数の噴出ノズル6aのうちのいずれかを噴出作動させたときの前記噴出状況検出手段102の検出情報に基づいて、前記噴出ノズル6aの異常を判別する異常判別手段101が構成されている。」
(3)「【0042】そして、上記各噴出ノズル6aの検査結果は、図13に示すように、前記操作卓21に備えた表示画面21aに表示されて、オペレータに知らされる。(以下省略)」
11 引用例11について
引用例11には、次が開示されている。
(1)動画開始時刻から21秒後のキャプチャ画面
「
[図:0001438257000010.jpg]
」
(2)動画開始時刻から34秒後のキャプチャ画面
「
[図:0001438257000011.jpg]
」
(3)動画開始時刻から1分43秒後のキャプチャ画面
「
[図:0001438257000012.jpg]
」
(4)上記(1)から「X線センサ搭載 光選別機」との表示が看て取れる。上記(2)から搬送部により搬送中の原料に対してX線を照射している点、及び「X線で原料を透過」の表示が看て取れ、上記(3)から、搬送部はベルト供給システムであることが理解できる。また、原料に対してX線を照射し、X線で原料を透過するのは、その透過したX線に基づき原料を「選別」するためであり、上記(1)の表示中の「X線センサ」とは、この透過したX線を検出するものであることは自明である。
(5)そうすると、上記(1)~(4)から、引用例11は、X線センサ搭載を搭載した光選別機において、ベルト供給システムで搬送中の原料に対してX線を照射し、原料を透過したX線をX線センサで検出する点を開示しているといえる。
12 引用例12について
引用例12には、次の記載がある。
(1)「【0010】
図1は、本考案を説明するための概略構成図を示したものである。この図において、選別装置100は、散在した状態の物品Mを搬送するベルトコンベヤ10と、ベルトコンベヤ10上の複数条の仮想レーンに対応させて設けた除去手段20と、その除去手段20の上流側において、ベルトコンベヤ10で搬送される各物品MにX線Bを照射し、得られたX線透過画像に基づいて、各物品Mの中から不良品Rを検出する不良品検出手段30と、検出された不良品Rがベルトコンベヤ10上のどの仮想レーン上に存在するかを、X線透過画像から検出するレーン検出手段31と、検出された仮想レーンに対応する前記除去手段20を作動させて、不良品をベルトコンベヤ10上から除去させる制御手段40とを備える。
【0011】
ベルトコンベヤ10は、図1、図2に示すように、上段コンベヤ11とそれに続く下段コンベヤ12とで構成され、除去手段20は、これらのコンベヤ11、12間に形成された段差部の下流側に配置されて、上段コンベヤ11の終端から落下する不良品Rに向けてエアーを吹き付けて除去するエアージェット式ノズル21で構成されている。」
(2)「【図1】
[図:0001438257000013.jpg]
」
(3)「【図2】
[図:0001438257000014.jpg]
」
13 引用例13について
引用例13には、次の記載がある。
(1)「【0024】
図1に示すように、このプラスチック分別装置は、内部に振動フィーダーが組み込まれた投入手段であるホッパー1と、このホッパー1により投入されたプラスチックフレークPを搬送する搬送手段であるメッシュコンベア2と、このメッシュコンベア2上を搬送されるプラスチックフレークPに紫外線を照射する光源である紫外線蛍光燈3と、この紫外線蛍光燈3により紫外線が照射された際に材質がPETである場合に発光する蛍光を検知する検知手段である1次元のCCD(charge-coupled device)センサ4と、メッシュコンベア2により搬送されてきたプラスチックフレークPをエアーによりPETとPET以外のプラスチック(不純物)とに仕分する仕分手段であるエアーノズル5と、このエアーノズル5によりPETとPET以外に仕分けられたプラスチックフレークPをそれぞれ収納する仕分シュート6、6’と、仕分シュート6、6’内に仕分けられたそれぞれPETとPET以外のプラスチックとを引き出す引き出しコンベア7、7’とから概略構成されてなるものである。」
(2)「【0025】
この例のプラスチック分別装置においては、まず裁断されたプラスチックフレークPは内部に振動フィーダーが設けられたホッパー1に投入される。ホッパー1に投入されたプラスチックフレークPは、振動フィーダーの作用により搬送手段であるメッシュコンベア2上に重ならないようにかつ幅方向に均一に投入される。メッシュコンベア2は、水平に配置されているので、幅方向に均一に投入されたプラスチックフレークPはそのまま並列に搬送される。」
(3)「【図1】
[図:0001438257000015.jpg]
」
14 引用例14について
引用例14には、次の記載がある。
(1)「【0020】
図中、102はX線源101からX線の曝射エリアを決めるスリット、104は検体105を曝射領域を通過するように搬送する搬送部(ベルトコンベア)、118は、フィルターアレイ116と検出素子アレイ117とを備える検出アレイユニットである。また、109はベルトコンベア104に検体105を供給するためのフィーダー、110は識別された検体105を圧縮空気で仕分ける為のエアノズルである。」
(2)「【0023】
本実施形態の識別装置100は、検体105を所定の搬送方向114に移動する搬送部104を有し、搬送方向114において、X線源101とフィルターアレイ116は、互いに異なる位置に配置されている。また、フィルターアレイ116は、搬送方向114と交差する搬送幅方向115に、複数のフィルター106が配列されている。なお、図1において搬送幅方向115は、紙面の奥行き方向に相当するy方向である。」
(3)「【図1】
[図:0001438257000016.jpg]
」
15 引用例15について
引用例15には、次の記載がある。
(1)「【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項6に記載の発明に係る土壌選別装置の一実施形態を示す概略構成図である。
この土壌選別装置は、鉛等の重金属で汚染された土壌から粗粒分を分離除去する振動篩1と、土壌を所定の速度で搬送するベルトコンベアー2と、ベルトコンベアー上の土壌を所定の層厚にする均し部材8と、ベルトコンベアー2と対向する位置に設けられ、この土壌の汚染濃度を検出する蛍光X線分析装置3と、蛍光X線分析装置3の下流側に設けられ、土壌の汚染濃度に対応して、該土壌の搬送経路を汚染土壌用ベルトコンベアー4又は清浄土壌用ベルトコンベアー5に切り換える搬送経路切換装置6と、蛍光X線分析装置3からの出力に基づいて、搬送経路切換装置6の動作を制御する制御装置7とで構成されている。なお、汚染土壌用ベルトコンベアー4はベルトコンベアー2の下流側下方に、清浄土壌用ベルトコンベアー5は上流側下方に設置されている。」
(2)「【図1】
[図:0001438257000017.jpg]
」
第6 引用例以外の証拠の記載事項等
1 申立人1が提出した証拠
申立人1が提出した証拠のうち、上記第5の引用例としてあげられていないものは、次のとおりである。
(1)甲第2号証について
申立人1が提出した甲第2号証には、次の記載がある。
「【発明の効果】
【0009】
手段1によれば、エジェクターのノズル装置は、前記電磁弁装置の個々に対応してそれぞれに独立しており、ノズル装置におけるエアー流路が開口する面と前記マニホールド部におけるエアー流路が開口する面とを当接させた状態で前記ノズル装置を前記マニホールド部へ脱着可能に一体化してあるので、点検・清掃の必要なノズルだけをマニホールドから外すことができる。また、再取付け後の主な調整は、点検・清掃の対象としたノズルに限定され、点検・清掃のための労力が減少する。
手段2によれば、ノズルの脱着が簡単なため、ノズルの点検・清掃に要する時間と労力がさらに減少する。
手段3によれば、ねじ孔のような込み入った箇所に塵埃が堆積しないので、ノズルの点検・清掃に要する時間と労力がさらに減少する。ねじ孔に堆積した塵埃が不測時に飛散して色彩選別精度を劣化してしまうなどのことを防止できる。
手段4によれば、ノズル装置の製造が簡単になり、粒状物色彩選別装置のコストダウンにつながる。
手段5によれば、下部材と上部材の固定がねじによるので、脱着が簡単であり、また、下部材と上部材を分離できるのでノズル装置のエアー流路等を詳細に点検・清掃することができる。
手段6によれば、電磁弁装置を一列に配設する場合と比べ、同じ長さのマニホールドに関してより多くのノズル(ノズル孔)を配置することができる。」
「【0011】
図1は粒状物色彩選別機1であって、全体を機構的に示している。投入ホッパー2から投入された粒状物はバケットコンベアー3によって上方の貯留タンク4に搬送される。貯留タンク4の粒状物はロータリーバルブ5を経て傾斜シュート6へ供給される。傾斜シュート6は、一定の幅を有し縦方向(上下方向)に複数の溝条7が平行に形成されている。
粒状物は傾斜シュート6の溝条7を一列に、かつ、溝条7の下端部では一定の間隔をとって流下し、傾斜シュート6の下端(移送手段の端部)から空中に放出される。
粒状物の落下経路8には、経路8に向けて光学検出装置9とその直下にエジェクター10が配置されている。
光学検出装置9はカメラ11と複数の色彩センサー12及び照明手段や背景手段を備え、エジェクター10(図2)は複数の電磁弁部13とマニホールド部14及びノズル部15を備える。ノズル部15は、複数のノズル装置16からなる
【0012】
前記傾斜シュート6おける複数の溝条の数と前記光学検出装置9における複数の色彩センサー12の数及び電磁弁部13における複数の電磁弁17(図4)の数はそれぞれ1:1で対応しており、また、色彩センサー12の信号は制御装置18に接続され、電磁弁17は制御装置18の指令で弁を開閉する。
この粒状物色彩選別装置1は、概略、傾斜シュート6から落下する粒状物(選別対象粒)の色彩を個々に光学検出装置9の色彩センサー12で検出してその信号を制御装置18に送り、制御装置18では個々の粒状物の色彩が選別の目的とする粒状物(目的粒)に対応したものであるか、そうでない粒状物(非目的粒)であるかを判別し、目的粒である場合、エジェクター10の対応した電磁弁17を開き、電磁弁部13における対応したノズル装置16からエアージェットを噴出させるによってその目的粒を非目的粒から分離して回収するものである。
なお、粒状物が米粒でその集合から異色粒を除去し正常粒(精品)を得る作業では、米粒の集合が選別対象粒であり、異色粒が目的粒であり、また、正常粒が非目的粒となっている。」
「【0014】
蓋体22で密閉されたケース21内の空間は前記の受入口23から供給される高圧エアーで満たされるが、電磁弁17を経て前記の弁側開口24へ通じるエアー流路はケース21の内部で4個の電磁弁17ごとに隔離されている。すなわち、1個の電磁弁装置19は、4個の弁側開口24を備えるが、各弁側開口24は4個の電磁弁17のそれぞれと1:1で対応している。なお、図4に示す電磁弁17は、ピエゾ効果を利用して弁を開閉するピエゾバルブである。
図4において、符号26はビスであり、2対の弁ユニット20、したがって、電磁弁17を4基を相互に気密に隔離して蓋体22へ固定するためのものである。符号27a~27cは、前記の気密を維持するためのパッキングであり、符号28は制御装置18へのコネクタである。
また、蓋体22の外面は電磁弁装置19をマニホールド部14のマニホールド29(後述)に装着する際の取付け面となっている。
複数の電磁弁装置19のいずれも同じ構成である。」
「【0016】
マニホールド29の上面32には、マニホールド上面側開口35がマニホールド29の長手方向に整列して形成されている。
また、マニホールド29の背面側にはマニホールド29の長手方向両端部に高圧エアー供給パイプ36が接続されている。このパイプ36は別途配置されているエアーコンプレッサーに連結されている。
マニホールド29の内部は、中央に前記底面31から上面32へ到達する隔離壁37を有し、その肉部にマニホールド側エアー流路38が貫通している。このエアー流路38の下端は前記マニホールド下面側開口34であり、上端はマニホールド上面側開口35である。
また、マニホールド29の内部で前記隔離壁37の回りに位置する内部空間(エアー空間)は前記高圧エアー供給パイプ36と連通され、常時高圧エアーで満たされている。
【0017】
ノズル装置16は、下部材39、上部材40、カバー部材41及びねじ42を有する(図7、図8)。符号43は、パッキンであり、下部材39と上部材40は重ねあわせて接着固定される。そして、これらの部材は一体にまとめられ、ねじ42でマニホールド29の上面32に固定される。ねじ42は、マニホールド29の上面においてノズル装置16を前後左右に位置決めし、ノズル装置16の後部下面のマニホールド29の後縁に接する部分はマニホールド29に対するノズル装置16の姿勢(回転、傾斜)を定める。即ち、ノズル装置16は、マニホールド29に対する1本のねじによる位置決めとノズル装置の形態による姿勢決めの機構とによって固定されている。
下部材39の先端側上面に4本の下溝44と下溝44の両側となる位置に下隔離突条45が形成されている。下溝44の後端は徐々に浅くなって閉鎖されているが、先端は開放されている。また、各下溝44の基部にノズル側上開口46が設けられると共に下部材39の下面にノズル側下開口47が設けられ、これらノズル側上開口46とノズル側下開口47は下部材39を貫通するノズル側エアー流路48で連通している。
上部材40にも下部材39の場合と同様に上溝49と上隔離突条50が設けられ、上溝49の先端は開放されており、基部は閉鎖されている。したがって、下部材39と上部材40を重ねあわせると、先端に4個のノズル孔51が形成されると共に、下溝44と上溝49とで噴出流路52が形成される(図6)。」
「【0019】
マニホールド29の底面31に電磁弁装置19を取付け、マニホールド29の上面32にノズル装置16を取付けると、ケース21の内部空間において電磁弁装置19の電磁弁17ごとに区画された空間とノズル装置16のノズル孔51とは、弁側開口24、マニホールド下面側開口34、マニホールド側エアー流路38、マニホールド上面側開口35、ノズル側下開口47、ノズル側エアー流路48、ノズル側上開口46及び噴出流路52が連通する。したがって、高圧エアー供給パイプ36からマニホールド29の空間に通じ(図6、矢印A)、マニホールド29下面の供給口33から電磁装置19のケース21内に通じた高圧エアー(矢印B)は、電磁弁17が開かれたとき弁側開口24からマニホールド側エアー流路38に入り(矢印c)、噴出流路52を通ってノズル孔57からエアージェットとなって噴出する。
この噴出のタイミングを目的粒が落下経路8を通過する際のタイミングに合わせることで目的粒を非目的粒とは異なる位置へ吹き飛ばすことにより分離する。
複数のノズル装置16と電磁弁装置19はそれぞれ、いずれも同じ構造であり、マニホールド29に対して同様に取り付けられる。
なお、図6において符号55は取り付け具であり、断面であらわれている。取り付け具55は、エジェクター10を粒状物色彩選別機1の機体へ固定するためのものである。」
「図7
[図:0001438257000018.jpg]
」
(2)甲第7号証について
申立人1が提出した甲第7号証には、次の記載がある。
「【0019】エジェクションメカニズムは、センサーにより測定されその検知器の一連の動作中は保持され得る空気圧データを生成するエアープレッシャー(空気圧)エジェクターにより構成されている。仮に、この空気圧が所定の最低圧力に満たない空気圧データとして測定され、保持された場合には、そのフォルト(誤動作)が指摘される。
【0020】また、分別されるべき物体の各部分(のばらつき)に関しては無視するほうがよい。そこで、この「無視される時間(すなわち、検出されない時間)」は、物体が検知された時刻からカウントされ、この無視される時間においてはサンプリングが代わって行なわれ、そのデータは状況を検証するため「特別の場合」に限り別途に利用される。この特別の場合とは、サンプリングされるものが非常に小さいために、検知ができない時間の次に続く検知時間内に、物体のエントリーが許可されない場合をいう。
【0021】非検知時間後にサンプリングが初期化された時は、その検知器の出力はサンプリング間隙に複数回行なわれ、平均サンプリング値はそのサンプリング間隙におけるサンプル数のカウント値と検知出力とから決定される。そして、その平均値は所定のしきい値と比較される。このしきい値は、所定の放射量と同等のレシオを有し、照射源と検知器との間のパス(光路)に存在する物体が何ら無い場合に送出される照射量により割算されて求められる。この平均値が所定のしきい値に比べて小さい場合には、加圧指示(air-on index)がそのエア・インジェクションメカニズムを一度稼働させるために、サンプルカウント、非検出時間および,被検知物体が検知器から専用のエア・エジェクションメカニズムに移行するための所要時間に基づく時間だけ持続されセットされる。
【0022】検索された検知器の一連の各エア・エジェクションメカニズムからの格納されるべき空気圧データの測定および格納によって、仮にその空気圧データが所定の最小値(しきい値)よりも小さい場合には、フォルトの発生が指摘される。
【0023】本システムは、システムシュミレーション動作を制御し初期化動作を行なうプロセッサも内蔵している。この初期化動作手順においては、各変数は初期化され、検知器の数とエジェクションメカニズムの数が一つづづ比較される。これら検知器とエジェクションメカニズムのカウントに関する上限および下限は、検査が可能であると共に、フォルトの指摘回数も評価される。更に、全稼働時間(オペレーション・タイム)、その履歴、およびエラー発生回数の記録のそれぞれのデータも提供できる。また、以上のような各データ情報を格納は、周期的な割込み検知プロセスによって行なわれる。」
「【0025】エジェクション・メカニズム,例えば、空気圧エジェクターは異なる電磁吸収性および浸透性に関する特性を有する物体が搬入されてきた時に、異なる複数のアクセレーションスライダ上で異なるそれぞれの選別箱にその物体がエジェクトされるように起動される。その制御はカレント・インデックス(動作指示インデックス)を更新するプロセッサにより行なわれる。そのカレント・インデックスは、サーキュラーバッファに於けるポインタに相当し、カレント情報がいまメモリ内の何処に格納されているかを示している。」
「【0046】信号ライン517は、さらにマイクロコントローラ513からの情報を圧力センササンプルアンドホールド回路519へ伝送する。これらの圧力センササンプルアンドホールド回路519は、信号調整回路523により緩衝されるような、エアバルブ圧力センサ521の動作をサンプルするために使用される。」
「図5
[図:0001438257000019.jpg]
」
(3)甲第8号証について
申立人1が提出した甲第8号証には、次の記載がある。
「【0015】図1には音響ダンパ、印刷回路基板25、端子盤25、電磁石へ電力を供給する導電線27及び28が示されている。印刷回路基板25は溝29の中で固定されている。側面21の上には多極丸形プラグ13の他に発光ダイオード30も配置されている。それぞれの発光ダイオード30はそれぞれ1つのサーボ弁14に対応配置されている。」
「図1
[図:0001438257000020.jpg]
」
(4)甲第12号証について
動画開始時刻から3秒後のキャプチャ画面
「
[図:0001438257000021.jpg]
」
(5)甲第13号証について
ア 動画開始時刻から29秒後のキャプチャ画面
「
[図:0001438257000022.jpg]
」
イ 動画開始時刻から1分38秒後のキャプチャ画面
「
[図:0001438257000023.jpg]
」
(6)甲第16号証について
「集英社 国語辞典」における「くだ【管】」の意味が記載されている。
(7)甲第17号証について
「機械工学用語辞典」における「管」の定義が記載されている。
(8)甲第18号証について
申立人1が提出した甲第18号証には、次の記載がある。
「【0068】<第二実施形態>
図6は、本開示の第二実施形態にかかる選別装置(ベルト式選別装置)の概略構成図を示したものである。具体的には、この図6は、図1~図5Cにて説明した識別装置(識別手段)を搭載したベルト式選別装置101の概略構成図を示したものである。
【0069】図6に示すように、本実施形態にかかる選別装置101は、被選別物S0を供給する被選別物供給部120、被選別物S0を搬送する搬送部130、被選別物S0を光学検出する光学検出部150、被選別物S0の選別処理を行う選別部160、およびX線識別装置10等を用いて構成されている。」
「【0073】本実施形態にかかる搬送部130の搬送方向の略中央部には、第一実施形態にて説明したX線識別装置10が設けられている。より具体的には、図6に示すように、搬送ベルト131(第一実施形態における搬送路91)上の被選別物S0の上方位置にX線発生部11が設けられ、被選別物S0の下方位置(図6においては搬送ベルト131の間)にX線検出部12が設けられている。このX線識別装置10にて得られた撮像情報は、後述するX線画像処理手段173に送信される。また、本実施形態においては、X線の漏洩を防止するために、適宜隔壁が設けられている。」
「【0079】
本実施形態においては、被選別物供給部120から供給された被選別物S0が、搬送部130にて搬送(移送)され、搬送中(移送工程中)の被選別物S0に対してX線識別装置10による撮像処理(撮像工程)が行われる。次いで、本実施形態においては、搬送部130から放出された被選別物S0に対して光学検出部150による撮像処理(撮像工程)が行われる。次いで、本実施形態においては、X線識別装置10および光学検出部150の少なくとも一方の撮像情報に起因する識別信号に基づき、選別部160を用いた選別処理(選別工程)が行われる。つまり、識別信号に基づき電磁弁162を介してノズル部161から噴出される流体の噴出タイミングおよび噴出時間等が制御され、ノズル部161から噴出される流体によって、被選別物S0が良品収容部181あるいは不良品排出部182のいずれかに選別される。」
「【0089】<第三実施形態>
図7は、本開示の第三実施形態にかかる選別装置(シュート式選別装置)の概略構成図を示したものである。具体的には、この図7は、図1~図5Cにて説明した識別装置(識別手段)を搭載したシュート式選別装置201の概略構成図を示したものである。
【0090】図7に示すように、本実施形態にかかる選別装置201は、被選別物S0を供給する被選別物供給部220、被選別物S0を移送するシュート230(搬送部、移送手段)、被選別物S0を光学検出する光学検出部250、被選別物S0の選別処理を行う選別部260、およびX線識別装置10等を用いて構成されている。」
「【図6】
[図:0001438257000024.jpg]
」
「【図7】
[図:0001438257000025.jpg]
」
(9)甲第19号証について
「機械工学辞典」における「コンベヤ」の定義が記載されている。
2 申立人2が提出した証拠
申立人2が提出した証拠のうち、上記第5の引用例としてあげられていないものは、次のとおりである。
(1)甲第1号証について
ア 申立人2が提出した甲第1号証(以下「申立人2甲1」という。)について、次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、青果物などの農作物を等階級に仕分けする自動仕分け装置に関する。」
(イ)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従来の自動仕分け装置にあっては、仕分け装置104は、回転自在な回転体106が複数の仕分けアーム107を有しており、構造が複雑になってしまう。また、仕分け装置104の回転体106を回転する駆動装置や仕分けアーム107をは昇降する昇降装置が必要となり、装置が大型化すると共に高価なものとなってしまう。更に、選別コンベヤ101に対して複数の仕分けコンベヤ103が配設される場合には、この構造が複雑で大型である仕分け装置104を各仕分けコンベヤ103ごとに配設しなければならず、自動仕分け装置自体の操作性、メンテナンス性が悪くなり、また、設備コストも一層高くなってしまうという問題がある。
【0007】本発明はこのような問題を解決するものであって、装置の簡素化及び低コスト化を図ると共に仕分け作業の効率化を図り、また、装置の操作性及びメンテナンス性の向上を図った自動仕分け装置を提供することを目的とする。」
(ウ)「【0012】図1に本発明の一実施形態に係る自動仕分け装置の概略、図2に容器の仕分け状態を表す平面視、図3に図2のIII-III断面、図4に噴射ノズルの概略、図5に噴射開始からの時間に対する容器の移動量を表すグラフを示す。
【0013】本実施形態の自動仕分け装置において、図1に示すように、選別コンベヤ11はベルトコンベヤであって、例えば、トマトなどの青果物Aの容器12を搭載して連続して搬送することができる。この選別コンベヤ11の基端部側には門型をなす枠体13が設置され、この枠体13の上部には選別コンベヤ11上を搬送される容器12内の青果物Aを撮影するカメラ14が取付けられている。そして、このカメラ14は制御手段としてのコントローラ15に接続され、このコントローラ15には判定手段としての画像処理装置16が接続されている。従って、画像処理装置16はカメラ14が撮影した青果物Aを画像を処理して処理情報としてコントローラ15に送ると、コントローラ15はこの画像情報を順に記憶していき、この画像情報に基づき、予め設定された仕分け条件からその青果物Aの等階級を判定することができる。
【0014】また、仕分けコンベヤ17a~17fはローラコンベヤであって、複数平行をなして配設され、基端部側の搬送面が選別コンベヤ11の搬送面と連続するように位置しており、選別コンベヤ11から仕分けされた青果物Aの容器12を載置して搬送することができる。そして、選別コンベヤ11と各仕分けコンベヤ17a~17fとの連結部分には、選別コンベヤ11上を搬送される容器12を検出する位置検出手段としての位置検出センサ18a~18fがそれぞれ装着されており、各位置検出センサ18a~18fはコントローラ15に接続されている。また、選別コンベヤ11を挟んで各仕分けコンベヤ17a~17fとは逆側に、この各仕分けコンベヤ17a~17fに対向して複数の噴射ノズル19a~19fが設置されている。この各噴射ノズル19a~19fは中間部に電磁弁20a~20fを有する連結ホース21a~21fを介して圧縮空気供給管22に連結され、この圧縮空気供給管22にはコンプレッサ23が連結されている。
【0015】従って、選別コンベヤ11によって搬送される容器12内の青果物Aが、例えば、仕分けコンベヤ17aに区分けするものであれば、選別コンベヤ11上の容器12が仕分けコンベヤ17aとの連結位置に搬送され、位置検出センサ18aが検出すると、コントローラ15は電磁弁20aを開放する。すると、圧縮空気供給管22内の圧縮空気が連結ホース21aから噴射ノズル19aに供給され、この噴射ノズル19aから容器12に向かって圧縮空気を噴射することで、選別コンベヤ11上の容器12を仕分けコンベヤ17aに押し出して移送することができる。」
(エ)「【0021】従って、例えば、選別コンベヤ11によって搬送される容器12内の青果物Aが、コントローラ15によってその等階級が判定され、仕分けコンベヤ17aに区分けするものであれば、位置検出センサ18aがこの判定された青果物Aの容器12を検出すると、コントローラ15は電磁弁20aを開放する。すると、コンプレッサ23によって圧縮空気供給管22内に貯留されている圧縮空気が、連結ホース21aから噴射ノズル19aに供給され、この噴射ノズル19aから該当する容器12に向かって圧縮空気を噴射する。このとき、容器12は、図2及び図3に示すように、外壁部31に側方より圧縮空気の噴流を受け、圧縮空気はこの外壁部31の外周側に整流となって流れ、これによって発生する抗力と、空気溜め用空間部33内に流れ込む流体のベアリング効果により、容器12が選別コンベヤ11から仕分けコンベヤ17aにスムースに押し出され、仕分けが完了する。」
(オ)「【0023】このように本実施形態の自動仕分け装置にあっては、選別コンベヤ11と各仕分けコンベヤ17a~17fとの連結部にそれぞれ噴射ノズル19a~19fを設け、等階級が判定された青果物Aの容器12が所定の仕分け位置にきたときに、該当する噴射ノズル19a~19fから圧縮空気を噴射することで、容器12を仕分けコンベヤ17a~17fに容易に移送することができる。」
(カ)「図1
[図:0001438257000026.jpg]
」
イ 上記アから、申立人2甲1に記載された「自動仕分け装置」について次のことがいえる。
・自動仕分け装置は、青果物Aを等階級に仕分けする(段落【0001】)。この仕分けは、コントローラ15で電磁弁aを制御し、噴射ノズル19aから容器12に向かって圧縮空気を噴射することで、選別コンベヤ11上の青果物Aの容器12を仕分けコンベヤ17aに押し出して移送することで行われる(段落【0015】)。
・自動仕分け装置は、搬送方向に青果物Aを搬送する搬送コンベア11を備える(段落【0013】)。
・自動仕分け装置は、選別コンベヤ11の基端部側に設置された枠体13に取り付けられ、青果物Aを撮影するカメラ14を備える(段落【0013】)。
・自動仕分け装置は、カメラ14が撮影した青果物Aを画像を処理し、当該処理した画像情報に基づき、予め設定された仕分け条件からその青果物Aの等階級を判定するコントローラ15を備える(段落【0013】)。
・自動仕分け装置は、圧縮空気供給管22に圧縮空気を供給するコンプレッサ23を備える(段落【0014】、【0015】)。
・図1から、圧縮空気供給管22には、複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分が設けられている点が看て取れる。
・自動仕分け装置は、複数の電磁弁20a~20fを備える(段落【0014】)。
・自動仕分け装置は、噴射ノズル19a~19fを備える(段落【0014】)。そして、図1から、この複数の噴射ノズル19a~19fが、搬送コンベア11の搬送方向でみて前記カメラ14の下流に設けられ、その搬送方向に沿って一列に配列されて設けられている点が看てとれる。
・自動仕分け装置は、電磁弁20a~20fと各噴射ノズル19a~19fとをそれぞれ連結する連結ホース21a~21fを備える(段落【0014】)。
・コントローラ15は、青果物Aの等階級の判定結果に基づいて電磁弁20a~20fを制御する(段落【0021】)。
・自動仕分け装置は、選別コンベヤ11と各仕分けコンベヤ17a~17fとの連結部にそれぞれ前記噴射ノズル19a~19fを設け、等階級が判定された青果物Aの容器12が所定の仕分け位置にきたときに、該当する噴射ノズル19a~19fから圧縮空気を噴射することで、青果物Aの容器12を仕分けコンベヤ17a~17fに移送する(段落【0023】)。
以上のことから、申立人2甲1には次の発明(以下「申立人2甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
[申立人2甲1発明]
コントローラ15で電磁弁aを制御し、噴射ノズル19aから容器12に向かって圧縮空気を噴射することで、選別コンベヤ11上の青果物Aの容器12を仕分けコンベヤ17aに押し出して移送し、青果物Aを等階級に仕分けする自動仕分け装置であって、
搬送方向に青果物Aを搬送する搬送コンベア11と、
前記選別コンベヤ11の基端部側に設置された枠体13に取り付けられ、青果物Aを撮影するカメラ14と、
前記カメラ14が撮影した青果物Aを画像を処理し、当該処理した画像情報に基づき、予め設定された仕分け条件からその青果物Aの等階級を判定する前記コントローラ15と、
圧縮空気供給管22に圧縮空気を供給するコンプレッサ23と、
複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分が設けられた、圧縮空気供給管22と、
前記複数の電磁弁20a~20fと、
前記搬送方向でみて前記カメラ14の下流に、前記搬送方向に沿って一列に配列されて設けられている、噴射ノズル19a~19fと、
前記電磁弁20a~20fと前記噴射ノズル19a~19fとをそれぞれ連結する連結ホース21a~21fと、
を備え、
前記コントローラ15は、青果物Aの等階級の判定結果に基づいて前記電磁弁20a~20fを制御し、
前記選別コンベヤ11と各仕分けコンベヤ17a~17fとの連結部にそれぞれ前記噴射ノズル19a~19fを設け、等階級が判定された青果物Aの容器12が所定の仕分け位置にきたときに、該当する噴射ノズル19a~19fから圧縮空気を噴射することで、青果物Aの容器12を仕分けコンベヤ17a~17fに移送する自動仕分け装置。
(2)甲第2号証について
申立人2が提出した甲第2号証には、次の記載がある。
「カスケード14は、なるべくは一対の高温ランプ20で、金属ハロゲン化物ないし他の高強度放電ランプで、普通の白熱灯に比して可視スペクトラムの光の発生率が多いもので照射する。使用さるべき光源の型を選ぶ時に、考慮さるべき一つの因子は、光源により発生される熱が供給される動力の関数として最少化されて、検出されている材料を損わぬように考慮すべきである。考慮さるべき他の因子は、検出が検出されている材料と異物とから反射される光の差に基づいて起るから、差が最大であるところの波長での光源の出力強度は供給される動力の関数として最大化さるべきことである。カスケード14の照射された面積は、なるべくはレンズ22とフィルター23とを有する線走査カメラ21であるところの電子光学的検知器のマトリックスを有する光学検知器16により走査される。」(第4頁右上欄第4~20行)
「
[図:0001438257000027.jpg]
」
(3)甲第3号証について
申立人2が提出した甲第3号証には、次の記載がある。
「【0021】
この識別手段10は、ベルトコンベア6の末端部とエアーノズル7との間の箇所に対して、薄いシート状に放射光L1を照射する光源11と、この光源11からの放射光L1が選別収集物2と除去対象物3のそれぞれの物性および表面状態に応じて反射される反射光L2を検出する反射光検出手段12と、この反射光検出手段12で検出される反射光L2の情報をデータ処理して選別収集物2と除去対象物3とを判別するマイクロコンピュータ等からなるデータ処理手段13とからなる。」
「図1
[図:0001438257000028.jpg]
」
(4)甲第5号証について
申立人2が提出した甲第5号証には、次の記載がある。
「【0016】
装置本体2は、検査室21と、X線源22と、X線検出器23と、搬送コンベア24と、を備える。検査室21は、箱状に形成されている。検査室21において上流側及び搬送方向Fの下流側(以下、単に「下流側」という)には、粒状体が通過する搬入口及び搬出口がそれぞれ設けられている。X線源22は、装置本体2内における検査室21の上方に配置されている。X線源22は、スリット機構(図示せず)等を介してX線照射領域Aを形成しつつ、検査室21内に搬入された粒状体にX線を照射する。X線検出器23は、X線源22と対向するように、装置本体2内における検査室21の下方に配置されている。」
「図1
[図:0001438257000029.jpg]
」
(5)甲第7号証について
申立人2が提出した甲第7号証には、次の記載がある。
「【0026】
ここで、図4から明らかなように、前記ノズル部20の前面には幅方向に複数のノズル孔21が開口する。また、図3及び図4に示すように、前記ノズル部20上面の一側端部には、該上面の他側端部に向けて開口するノズル22を備えるエアースイーパー23が配設される。
なお、マニホールド上部材30aの上面前方には、色彩選別機に対し当該エジェクターシステム8を取り付けるための取付部材31がネジ止めされる。」
「【0028】
ここで、図6から明らかなように、前記マニホールド部30の前面に形成される前記凹部32には、前記ノズル孔21に連通するエアー流路37が幅方向に複数開口する。また、前記凹部32の両側方には、前記一対のロッド33a,33bの各取付穴34a,34bが形成される。
【0029】
図4及び図6に示すように、前記マニホールド上部材30aとマニホールド下部材30bの各後面には、前記凹部32に開口するエアー流路37に対応させて電磁弁35a,35bが幅方向に複数配設される。また、前記マニホールド下部材30bの下面には、圧縮エアー供給用配管を接続するための一対のエアー配管接続部36a,36bが配設される。
ここで、図4から明らかなように、前記各電磁弁35a,35bは、マニホールド上下各部材30a,30bに対し幅方向に位相をずらした状態で配設される。
なお、前記電磁弁35a,35bには周知のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。」
「【0046】
本実施形態のエジェクターシステム8は、マニホールド部30を構成する上下各部材30a,30bのそれぞれに電磁弁35a,35bを複数配設し、該上部材30aに配設する電磁弁35aと該下部材30bに配設する電磁弁35bの位相を異ならせる構成としたので、電磁弁を片方の部材にのみ配設する場合と比べノズル部前面に開口するノズル孔の数を二倍にまで増やすことができる。」
「図6
[図:0001438257000030.jpg]
」
(6)参考資料5について
申立人2が提出した参考資料5には、ベルトコンベア19によって米粒を水平方向に搬送する途中で、ベルトコンベア19上の米粒に主照明装置44および胴側用照明装置45から光を照射し、リニアイメージセンサアレイ51によって光を検出する選別機が記載されている(例えば、第4ページ右上欄、第1図)。
(7)参考資料6について
申立人2が提出した参考資料5には、ベルトコンベア5によって原料を水平方向に搬送し、ベルトコンベア5から落下した原料に蛍光管16から光を照射し、蛍光管と光センサとを有する検出部15によって光を検出する選別機が記載されている(例えば、段落【0012】、【0013】及び図1)
)。
第7 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由についての当審合議体の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
ア 後者の「原料粒状物」は前者の「検査対象物」に相当し、後者の「原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光とした不良判定手段15による判定結果」は、前者の「検査対象物の検査結果」に相当する。
後者の「不良品A」は前者の「選別対象物」に相当し、以下同様に、「高圧空気」は「気体」に、「噴風する」ことは「噴出する」ことに、「不良品Aを選別する」ことは「選別を行う」ことに相当する。
そうすると、後者の「原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光とした不良判定手段15による判定結果に基づき不良品Aを特定し、特定された不良品Aに向けて高圧空気を噴風することで不良品Aを選別する」ことは、前者の「検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う」ことに相当し、後者の「選別機」は前者の「検査選別装置・選別装置」に相当する。
イ 後者の「斜め下方方向」と前者の「Y軸方向」とは、「第1の所定の方向」という限りで一致する。後者の「移送する」ことは前者の「搬送する」ことに相当する。後者の「移送方向である斜め下方方向に交差する方向」は流下樋2の幅方向であるから、後者の「移送方向である斜め下方方向に交差する方向」と前者の「前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向」とは、「前記第1の所定方向に交差する幅方向である第2の所定方向」という限りで一致する。後者の「幅を有する」ことは前者の「奥行きを持つ」ことに相当し、後者の「流下樋2」と前者の「コンベヤである搬送部」とは、「搬送部」という限りで一致する。
ウ 後者の「光」と前者の「X線」とは、「電磁波」である限りにおいて一致する。そうすると、後者の「一定の流下軌跡で落下する原料粒状物に光を照射する照明部8」と前者の「前記搬送部に載置されて搬送中の前記検査対象物にX線を照射する電磁波照射部」とは、「前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部」である限りにおいて一致する。
エ 後者の「原料粒状物からの」は前者の「前記検査対象物を経た」に相当し、後者の「反射光及び/又は透過光を検出光として受光する可視光センサー13を含む受光センサー部6」と前者の「前記X線を検出する電磁波検出部」は、「前記電磁波を検出する電磁波検出部」である限りで一致する。
オ 後者の「可視光センサー13で受光した検出光」と前者の「前記電磁波検出部で検出された前記X線」とは、「前記電磁波検出部で検出された前記電磁波」である限りで一致する。
また、後者の「検出光の検出光量としきい値とを比較することにより」判定する事項は、「検出光」に「基づき」判定することといえるから、後者の「後者の「検出光の検出光量としきい値とを比較することにより」という事項と前者の「前記X線に基づき」との事項は、「前記電磁波に基づき」という限りで一致する。
そして、後者において、「検出光」は「原料粒状物からの反射光及び/又は透過光」であり、その検出光の良・不良を判定することは、実質的に原料粒状物の良・不良を判定していると同じといえる。そうすると、後者における「検出光の良・不良の判定をする」ことは前者の「前記検査対象物を検査する」ことに相当するといえ、後者の「不良判定手段15」は前者の「検査部」に相当する。
カ 後者の「コンプレッサー」は前者の「気体供給部」に相当する。
キ 後者の「孔11c」は前者の「吐出口」に相当し、後者の「マニーホールド11」は前者の「気体分配部」に相当する。
ク 後者の「前記孔11cに高圧空気を送るように作動する」ことは前者の「前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する」ことに相当し、後者の「電磁バルブ12」は前者の「噴出制御部」に相当する。
ケ 後者の「光学検出位置Fよりも移送方向下流側」は前者の「搬送下流」に相当し、以下同様に「原料粒状物の移送方向」は「前記搬送方向」に、「連接される」ことは「配列される」ことに、「噴風口9a、9b、9c」は「気体噴出部」に相当する。
コ 後者の「一端が孔11cに挿入され、他端が噴風口9a、9b、9cに連結される」ことは前者の「前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する」ことに相当し、後者の「高圧空気管」は前者の「流路」に相当する。
後者の「経た」は前者の「吐出された」に相当し、後者の「通して噴風させる」ことは前者の「導き噴出させる」ことに相当する。そして、前述のとおり後者の「高圧空気管」は前者の「流路」に相当するが、それと同時に、後者の「高圧空気管」は前者の「連通部」に相当する。
サ 後者の「判定結果」は前者の「検査結果」に相当し、以下同様に、「作動させる」ことは「制御する」ことに、「選択手段14、遅延回路及びドライブ回路17」は「選別制御部」に相当する。
以上のことから、本件発明1と引用発明とは、次の点で一致し、次の相違点1A~1Cで相違する。
[一致点]
検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う検査選別装置であって、
第1の所定方向に前記検査対象物を搬送する、第1の所定方向に交差する幅方向である第2の所定方向に奥行を持つ搬送部と、
前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記検査対象物を経た前記電磁波を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波検出部で検出された前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
前記電磁波検出部の搬送下流に設けられ、前記搬送方向に交差する方向に配列される複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、複数の連通部と、
前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部と、
を備える、
検査選別装置。
[相違点1A]
「第1の所定方向」に前記検査対象物を搬送する、「第1の所定方向に交差する幅方向である第2の所定方向」に奥行を持つ「搬送部」と、「前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部」と、「前記電磁波を検出する電磁波検出部」と、「前記電磁波検出部で検出された前記電磁波に基づき」検査する検査部とに関し、本件発明1は、これらが、「Y軸方向」に前記検査対象物を搬送する、「前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向」に奥行を持つ「コンベアである搬送部」と、「前記搬送部に載置されて搬送中の前記検査対象物にX線を照射する電磁波照射部」と、「前記X線を検出する電磁波検出部」と、「前記電磁波検出部で検出された前記X線に基づき」検査する検査部であるのに対し、引用発明は、「斜め下方方向」に原料粒状物を移送し、「移送方向である斜め下方方向に交差する方向」に所定の幅を有する「流下樋2」と、「一定の流下軌跡で落下する原料粒状物に光を照射する照明部8」と、「反射光及び/又は透過光を検出光として受光する可視光センサー13を含む受光センサー部6」と、「可視光センサー13で受光した検出光の検出光量としきい値とを比較する」ことにより判定する不良判定手段15である点。
[相違点1B]
本件発明1は、複数の連通部が「柔軟性がある素材のホース又はチューブ」であるのに対し、引用発明の、滑らかに湾曲した複数の高圧空気管10a、10b、10cについては、柔軟性の有無が不明である点。
[相違点1C]
本件発明1は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部の位置を一体的に調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
なお、本異議決定においては、相違点について、対応する本件発明の番号と同じ番号を付すこととし、同じ番号の本件発明について複数の相違点がある場合は、アルファベットを付して区別する。例えば、本件発明1に係る相違点を「相違点1A」、「相違点1B」等と表示し、本件発明5に係る相違点を「相違点5」と表示する。
(2)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1Aについて
上記第5の8、9、11~15、上記6の1(8)から、検査選別装置の技術分野において、搬送部をベルトコンベアとして、電磁波照射部をベルトコンベア上に載置されて搬送中の対象物に対してX線を照射するものとし、電磁波検出部を対象物を経由したX線を検出し、その検出したX線の情報に基づき対象物を判定することは、周知技術(以下「周知技術1」という。)であると認められ、当該周知技術1は、検査選別装置において対象物を搬送し、検知するという一定の課題を解決するという点において、引用発明における流下樋2、照明部8、及び可視光センサー13の均等物であるといえる。
そして、検査選別装置の技術分野において、対象物の形状、特性に応じて、搬送手段や検査手段を公知のものから選択し、変更することは当業者であれば適宜なし得ることであり、引用発明において、搬送手段や検査手段である流下樋2、照明部8、可視光センサー13をその均等物である上記周知技術1により置換することは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
また、引用例1には「前記移送手段は、ベルトコンベアであってもよい」(段落【0022】)との記載があることに鑑みれば、引用発明において、流下樋2を用いる構成に代えて、ベルトコンベアを用いた構成である上記周知技術1を適用することには動機付けがあるといえる。
ここで、本件発明1の「コンベアである搬送部」に関し、本件発明1において「Y軸方向に前記検査対象物を搬送する」と特定され、この他に「Y軸方向」や「前記検査対象物を搬送する」方向を具体的に特定する記載は請求項1にはないことから、「Y軸方向」とは単に「前記検査対象物を搬送する」方向をそのように称しているに過ぎないと理解されるにとどまる。また、同様に、本件発明1において「前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向」と特定され、この他に「X軸方向」や「Y軸方向に交差する幅方向」のを具体的に特定する記載は請求項1にはないことから、「X軸方向」とは、単に「Y軸方向に交差する幅方向」をそのように称しているに過ぎないと理解されるにとどまる。そして、ベルトコンベアは、通常、搬送物を所定の方向に向けて搬送するものであって、その搬送物を載置するために搬送方向に交差する方向に一定程度の幅を有するものである。
そうすると、引用発明において、上記周知技術1を採用すれば、そのベルトコンベアは必然的に、「Y軸方向に前記検査対象物を搬送」し、「前記Y軸方向に交差する幅方向であるX軸方向」に奥行を持つという点において、本件発明1の「コンベアである搬送部」と差違がないものとなる。
したがって、搬送手段や検査手段をその均等物により置換することは当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、引用発明において、搬送手段や検査手段を上記周知技術1により置換することによって、上記相違点1Aに係る本件発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たことである。
あるいは、引用例1の「前記移送手段は、ベルトコンベアであってもよい」との記載を踏まえ、引用発明において、ベルトコンベアを用いた構成である上記周知技術1を適用することによって、上記相違点1Aに係る本件発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点1Bについて
ノズルに空気を送るための管を柔軟性のあるものとすることは慣用技術であり、引用例2のフレキシブルチューブの使用例(上記第5の2参照;以下「引用例2記載の技術事項」という。)も考慮すれば、引用発明の「複数の高圧空気管10a、10b、10c」に柔軟性のあるものを採用して、上記相違点1Bに係る本件発明1の構成とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
ウ 相違点1Cについて
上記第5の3~7から、対象物に気体を吐出して対象物を選別する装置において、気体を吐出するノズルに位置調節のための機構を設けることは周知技術(以下「周知技術2」という。)であると認められる。引用発明も、対象物に気体を吐出して対象物を選別する装置である点において当該周知技術2と共通しており、噴風口9a、9b、9cの位置を調整するという課題を内在しているといえるところ、引用発明において、当該周知技術2を適用し、噴風ノズル部9に位置調節のための機構を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、引用発明においては、複数の噴風口9a、9b、9cは噴風ノズル部9に一体的な構成であるから、上記周知技術1を適用して噴風ノズル部9の位置調整を行うと、複数の噴風口9a、9b、9cの位置調節も一体的に行われることとなる。
したがって、引用発明に上記周知技術2を適用することで上記相違点1Cに係る本件発明1の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 作用・効果について
上記相違点1A~1Cに係る本件発明1の構成によってもたらされる作用・効果は、当業者が予測可能なものにすぎない。
オ 小括
上記ア~エで検討したとおりであるから、本件発明1は、引用発明、上記周知技術1、上記慣用技術又は引用例2記載の技術事項、上記周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本件発明3について
(1)対比
本件発明3は、「前記噴出制御部は、前記気体噴出部が配列される列数より多い列数で配列される」という発明特定事項以外は、本件発明1と共通する。よって、本件発明3と引用発明とを対比すると、上記1(1)と同じ相当関係がいえ、加えて次の相当関係がいえる。
引用発明では、複数の噴風口9a、9b、9cは「1列に配列され」、電磁バルブ12は、「3列に配列され」、電磁バルブ12の方が多い列数である。したがって、引用発明の「複数の噴風口9a、9b、9cは、噴風ノズル部9に1列に配列された一体的な構成であり、電磁バルブ12は、マニーホールド11に3列に配列され」ることは、本件発明3の「前記噴出制御部は、前記気体噴出部が配列される列数より多い列数で配列される」ことに相当する。
そうすると、本件発明3と引用発明とは、上記相違点1A、1Bにおいて相違する。
(2)判断
相違点1A、1Bについては、上記1(2)で検討したとおりである。
したがって、本件発明3は、引用発明、上記周知技術1、上記慣用技術又は引用例2記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件発明5について
(1)対比
本件発明5は、請求項5に記載された「前記電磁波はX線である」という発明特定事項(訂正後の請求項5参照)を本件発明2に付加したものである。本件発明5と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 後者の「原料粒状物」は前者の「検査対象物」に相当し、後者の「原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光とした不良判定手段15による判定結果」は、前者の「検査対象物の検査結果」に相当する。
後者の「不良品A」は前者の「選別対象物」に相当し、以下同様に、「高圧空気」は「気体」に、「噴風する」ことは「噴出する」ことに、「不良品Aを選別する」ことは「選別を行う」ことに相当する。
そうすると、後者の「原料粒状物からの反射光及び/又は透過光を検出光とした不良判定手段15による判定結果に基づき不良品Aを特定し、特定された不良品Aに向けて高圧空気を噴風することで不良品Aを選別する」ことは、前者の「検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う」ことに相当し、後者の「選別機」は前者の「検査選別装置」に相当する。
イ 後者の「斜め下方方向」、「移送する」こと及び「搬送部」はそれぞれ、前者の「所定の搬送方向」、「搬送する」こと及び「搬送部」に相当する。
ウ 後者の「光」及び「照明部8」は前者の「電磁波」及び「電磁波照射部」に相当する。
エ 後者の「原料粒状物からの」は前者の「前記検査対象物を経た」に相当し、後者の「反射光及び/又は透過光を検出光として受光する可視光センサー13を含む受光センサー部6」は前者の「前記電磁波を検出する電磁波検出部」に相当する。
オ 後者の「可視光センサー13で受光した検出光」は前者の「前記電磁波検出部で検出された電磁波」に相当する。
また、後者の「検出光の検出光量としきい値とを比較することにより」判定する事項は、「検出光」に「基づき」判定することといえるから、後者の「後者の「検出光の検出光量としきい値とを比較することにより」という事項は前者の「前記電磁波に基づき」との事項に相当する。
そして、後者において、「検出光」は「原料粒状物からの反射光及び/又は透過光」であり、その検出光の良・不良を判定することは、実質的に原料粒状物の良・不良を判定していると同じといえる。そうすると、後者における「検出光の良・不良の判定をする」ことは前者の「前記検査対象物を検査する」ことに相当し、後者の「不良判定手段15」は前者の「検査部」に相当する。
カ 後者の「コンプレッサー」は前者の「気体供給部」に相当する。
キ 後者の「孔11c」は前者の「吐出口」に相当し、後者の「マニーホールド11」は前者の「気体分配部」に相当する。
ク 後者の「前記孔11cに高圧空気を送るように作動する」ことは前者の「前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する」ことに相当し、後者の「電磁バルブ12」は前者の「噴出制御部」に相当する。
ケ 後者の「光学検出位置Fよりも移送方向下流側」は前者の「搬送下流」に相当し、以下同様に「原料粒状物の移送方向」は「前記搬送方向」に、「連接される」ことは「配列される」ことに、「噴風口9a、9b、9c」は「気体噴出部」に相当する。
コ 後者の「一端が孔11cに挿入され、他端が噴風口9a、9b、9cに連結される」ことは前者の「前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する」ことに相当し、後者の「高圧空気管」は前者の「流路」に相当する。
後者の「経た」は前者の「吐出された」に相当し、後者の「通して噴風させる」ことは前者の「導き噴出させる」ことに相当する。そして、前述のとおり後者の「高圧空気管」は前者の「流路」に相当するが、それと同時に、後者の「高圧空気管」は前者の「連通部」に相当する。
以上のことから、本件発明5と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点5A、5B、5Cで相違する。
[一致点]
検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う検査選別装置であって、
所定の搬送方向に前記検査対象物を搬送する搬送部と、
前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記検査対象物を経た前記電磁波を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波検出部で検出された前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
前記電磁波検出部の搬送下流に設けられ、前記搬送方向に交差する方向に配列される複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、複数の連通部と、
前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部と、
を備える、
検査選別装置。
[相違点5A]
本件発明5は、複数の連通部が「柔軟性がある素材のホース又はチューブ」であるのに対し、引用発明の、滑らかに湾曲した複数の高圧空気管10a、10b、10cについては、柔軟性の有無が不明である点。
[相違点5B]
本件発明5は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
[相違点5C]
本願発明5は、「前記電磁波はX線である」のに対し、引用発明は、照明部8が照射するものが「光」である点。
(2)判断
上記相違点5A、5B、5Cについて検討する。
事案に鑑み、まず、相違点5Bについて検討する。
引用例7記載の技術的事項は、上流側の2個のノズル26c11、26c12を上下方向に位置の調整を可能とし、下流側の2個のノズル26c21、26c22を上下方向に位置の調整を可能としたものであるが、4個のノズルが「搬送方向に沿って上流から下流に並んだ」ものであるのに対し、引用発明は、複数の噴風口が「移送方向と交差する方向に連設」されたものであり、引用例7記載の技術的事項と引用発明とは、ノズルの配置態様が異なっている。また、引用例7記載の技術的事項は、「大径・中径びんに対して、前記4個のノズル26c11、26c12、26c21、26c22から空気が噴出し、小径びんに対して、前記4個のうちの内側の2個のノズル26c12、26c21からのみ空気が噴出されようする」もの、すなわち対象物の大きさに応じて空気を噴出するノズルの数を決定するものであるのに対し、引用発明は、「不良品Aを特定し電磁バルブ12を作動させる」もの、すなわち対象物が不良品であるか否かに応じて高圧空気を噴風する噴風口を決定するものであり、引用例7記載の技術的事項と引用発明とは、対象物への気体の吐出態様も異なっている。
このような違いに鑑みれば、引用例7記載の技術的事項を引用発明に適用することに、動機付があるとはいえない。
また、引用例2~6、8~15にも、搬送方向と交差する方向に配列されたノズルを、2つ以上のグループに分けて、そのグループごとに一体的にノズルの位置を調整可能とするという事項が記載されているとは認められないし、当該事項が周知技術であるといえるような証拠もない。
さらに、そして、1(2)ウのように引用発明に周知技術2を適用し、複数の噴風口9a、9b、9cを位置調整可能にすることが容易であったとしても、引用発明の噴風口9a、9b、9は、「1列に配列された一体的な構成である」ところ、この一体的な構成の噴風口9a、9b、9を2つ以上のグループに分ける動機付けもないし、2つ以上のグループに分けることが設計的事項であるといえる証拠もない。
したがって、相違点5Bに係る本件発明5の発明特定事項は、引用発明、引用例2~15に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえない。
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は、引用発明、引用例2~15に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
4 本件発明6について
(1)対比
本件発明6は、請求項6に記載された「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部を更に備える」という発明特定事項を本件発明3に加えたものである。
そうすると、本件発明6と引用発明とを対比すると、上記2(1)の相違点1A、1Bに加えて、次の相違点6で相違する。
[相違点6]
本件発明6は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部を更に備える」のに対し、引用発明の「複数の噴風口9a、9b、9c」は、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
(2)判断
相違点1A、1Bについては、上記1(2)で検討したとおりである。
次に相違点6について検討する。
上記1(2)ウで言及した周知技術2のとおり、選別装置におけるノズルに位置調節のための機構を設けることは周知技術である。引用発明も、対象物に気体を吐出して対象物を選別する装置である点において周知技術2と共通しており、噴風口9a、9b、9cの位置を調整するという課題を内在しているといえるところ、引用発明において、当該周知技術2を適用し、噴風ノズル部9に位置調節のための機構を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、本件発明6は、引用発明、上記周知技術1、上記慣用技術又は引用例2記載の技術事項、上記周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 本件発明9~12について
本件発明9~12は、本件発明2の発明特定事項を全て含むものである。
そして、上記3(1)において、本件発明2の発明特定事項を全て含む本件発明5と引用発明とを対比したが、上記3(1)であげた相違点5A、5Bは請求項2に記載された発明特定事項に係る相違点であり、相違点5Cは、請求項5に記載された発明特定事項に係る相違点である。
したがって、本件発明9~12と引用発明を対比すると、本件発明9~12と引用発明とは、少なくとも、上記3(1)であげた相違点5A及び5Bで相違する。
そして、相違点5Bに係る本件発明9~12の発明特定事項が、引用発明、引用例2~15に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえないことは、上記3(2)のとおりである。
よって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明9~12は、引用発明、引用例2~15に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
6 本件発明13について
(1)対比
本件発明13と引用発明とを対比する。
ア 後者の「不良品A」は前者の「選別対象物」に相当し、以下同様に、「高圧空気」は「気体」に、「噴風する」ことは「噴出する」ことに、「不良品Aを選別する」ことは「選別を行う」ことに相当する。
そして、後者の「選別機」は前者の「選別装置」に相当する。
イ 後者の「コンプレッサー」は前者の「気体供給部」に相当する。
ウ 後者の「孔11c」は前者の「吐出口」に相当し、後者の「マニーホールド11」は前者の「気体分配部」に相当する。
エ 後者の「前記孔11cに高圧空気を送るように作動する」ことは前者の「前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する」ことに相当し、後者の「電磁バルブ12」は前者の「噴出制御部」に相当する。
オ 後者の「噴風口9a、9b、9c」は前者の「気体噴出部」に相当する。
カ 後者の「一端が孔11cに挿入され、他端が噴風口9a、9b、9cに連結される」ことは前者の「前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する」ことに相当し、後者の「高圧空気管」は前者の「流路」に相当する。
後者の「経た」は前者の「吐出された」に相当し、後者の「通して噴風させる」ことは前者の「導き噴出させる」ことに相当する。そして、前述のとおり後者の「高圧空気管」は前者の「流路」に相当するが、それと同時に、後者の「高圧空気管」は前者の「連通部」に相当する。
以上のことから、本件発明13と引用発明とは、次の点で一致し、次の相違点13A、13Bで相違する。
[一致点]
選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う選別装置であって、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、複数の連通部と、
を備える、
選別装置。
[相違点13A]
本件発明13は、複数の連通部が「柔軟性がある素材のホース又はチューブ」であるのに対し、引用発明の、滑らかに湾曲した複数の高圧空気管10a、10b、10cについては、柔軟性の有無が不明である点。
[相違点13B]
本件発明13は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部の位置を一体的に調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
上記相違点13A、13Bはそれぞれ、上記相違点1B、1Cと実質的に同じである。
そうすると、上記1(2)イと同様に、上記慣用技術ないし引用例2記載の技術事項から、引用発明の「複数の高圧空気管10a、10b、10c」に柔軟性のあるものを採用して、上記相違点13Aに係る本件発明13の構成とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
また、上記1(2)ウと同様に、上記周知技術2を適用して、噴風ノズル部9に当該位置調節のための機構を設け、上記相違点13Bに係る本件発明13の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たことである。
上記相違点13A及び13Bに係る本件発明13の構成によってもたらされる作用・効果は、当業者が予測可能なものにすぎない。
したがって、本件発明13は、引用発明、上記慣用技術ないし引用例2記載の技術事項、上記周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 本件発明16について
(1)対比
本件発明16は、本件発明14の発明特定事項を全て含むものである。
そして、本件発明14の発明特定事項は、請求項14に記載された「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」という発明特定事項以外は、本件発明13と共通する。
そうすると、本件発明16と引用発明とを対比すると、まず、上記6(1)ア~カの相当関係がいえ、本件発明16と引用発明とは上記6(1)の相違点13Aで相違する。さらに、本件発明16と引用発明とは、次の相違点16A、16Bで相違する。
[相違点16A]
本件発明16は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
[相違点16B]
本件発明16は、「前記気体噴出部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cを備えた噴風ノズル部9は、報知する構成を有しない点。
(2)判断
上記相違点13A、16A、16Bについて検討する。
事案に鑑み、まず、相違点16Aについて検討するに、この相違点16Aは、上記3(1)の相違点5Bと実質的に同じである。
そうすると、相違点16Aに係る本件発明16の発明定事項は、引用発明、引用例2~15に記載された事項から容易に想到し得たものといえないことは、上記3(2)と同様である。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は、引用発明、引用例2~15に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
8 本件発明17について
(1)対比
本件発明17は、本件発明14の発明特定事項を全て含むものである。
そして、上記7(1)で述べたとおり、本件発明14の発明特定事項は、請求項14に記載された「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」という発明特定事項以外は、本件発明13と共通する。
そうすると、本件発明17と引用発明とを対比すると、まず、上記6(1)ア~カの相当関係がいえ、本件発明17と引用発明とは上記6(1)の相違点13Aで相違する。さらに、本件発明17と引用発明とは、次の相違点17A、17Bで相違する。
[相違点17A]
本件発明17は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
[相違点17B]
本件発明17は、「前記気体噴出部からの前記気体の噴出を検知して報知する報知部を備える」のに対し、引用発明は、気体の噴出を検知して報知する構成を有しない点。
(2)判断
上記相違点13A、17A、17Bについて検討する。
事案に鑑み、まず、相違点17Aについて検討するに、この相違点17Aは、上記3(1)の相違点5Bと実質的に同じである。
そうすると、相違点17Aに係る本件発明17の発明定事項は、引用発明、引用例2~15に記載された事項から容易に想到し得たものといえないことは、上記3(2)と同様である。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は、引用発明、引用例2~15に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
9 特許権者の主張について
特許権者は、令和7年8月7日に提出した意見書において、相違点1Aに関し、次のような主張をしているが、以下のとおり、いずれの主張も採用することができない。
よって、本件発明1は、上記1(2)のとおり、本件発明1は、引用発明、上記周知技術1、上記慣用技術又は引用例2記載の技術事項、上記周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(1)主張1
「エ 引用例1には、移送手段はベルトコンベアであってもよいとの記載がある。流下樋へのベルトコンベアの適用については、引用例1で先行技術として挙げられている、引用例1と同じ出願人による特開平7-155702に「本実施例においては、穀粒供給手段を振動供給樋及び流下樋などで説明したが、これに限定されるものでなく、豆類を選別する場合には、前記穀粒供給手段にベルト式給穀手段を用いてもよい。」との記載がある一方、このことに関するこれ以外の記載は無い。したがって、「移送手段はベルトコンベアであってもよい」との文言は、流下樋を単純にベルトコンベアに置き換えることだけを示唆していると解すのが相当である。そのため、流下樋をベルトコンベアに置き換える際には、流下樋の場合と同様に、傾斜状に設けるのが自然である。
オ 引用例1の流下樋の表面形状は、粒状体をスムーズに重力滑降させるべく、また、製造の容易性の観点から、概ね平滑に構成するのが合理的である。しかし、傾斜状に設けられたコンベアの場合、流下方向の重力成分に、コンベアの動力が加わるため、流下の軌道が不安定になる。また、コンベアがベルトコンベアの場合、下端のローラ部分で跳ねやすく、軌道はより不安定になる。そのため、流下樋からの落下軌跡が一定にならず、落下中の粒状体に対する光の照射検出や、選別対象の粒状体に対する噴風を適切に行うことが困難になる。
カ また、粒状体を流下させる場合、流下が一定の範囲に収まるよう、移送手段の左右の両側にガイドを設けるなどの措置が必要になる。この点、流下樋は樋という仕掛け自体が物を効率的に移送すべく凹的な構造を備えるものであるため、好適である。これに対し、コンベアは一般に載置面のみでガイド等は備えていないため、流下中に検査物が左右からはみ出して落下するおそれがある。また、仮にガイドを設けたとしても、コンベアとガイドの境界部分に多少の隙間が生じるため、隙間に粒状体が挟まるなどにより、コンベアの動作に支障が生じうる。」(第3頁第12~38行)
(主張1に対する当審合議体の判断)
上記主張のうち、「エ」の主張について、引用発明における「流下樋2」のような、いゆる「シュート」と称される搬送手段は、モータのような動力源を用いない代わりに、傾斜して設けることにより、重力を利用して搬送対象物を滑らして搬送するものである。これに対し、ベルトコンベアは、搬送対象物を搬送するための動力源を有しているため、重力を利用して搬送対象を滑らす必要がない。したがって、引用発明において「流下樋2」をベルトコンベアに置き換えた場合に、そのベルトの角度は、搬送対象物がベルト上を滑るような角度にする必要はなく、搬送対象物がベルト上を滑ることがない角度範囲で適宜調整すればよいと考えるのが自然である。よって、「流下樋をベルトコンベアに置き換える際には、流下樋の場合と同様に、傾斜状に設けるのが自然である」とする、上記「エ」の主張は採用することができない。
上記「オ」、「カ」の主張は、上記「エ」の主張を前提としたものであり、上記「エ」の主張が採用することができないから、上記「オ」、「カ」の主張も採用することができない。
(2)主張2
「ク 引用例1等に基づき本件発明1に想到する上で、他にもケ、コに示す阻害要因がある。
ケ 引用例1で、移送手段が傾斜状に設けられている理由は、引用例1及びその先行技術である特開平7-155702において明示されてはいないが、動力なく粒状体を連続移送可能とすることにあると解される。また副次的に、傾斜状に設けることで、水平に設けるより省スペース化を図れるという効果を奏する。しかし、もし移送手段を水平にすると、動力が必要になり、設置スペースも大きくなり、更に、良品収納筒の位置にも新たな創意工夫が必要になる。そのため、引用例1に接した者が移送手段の傾斜を無くすという発想を阻害するのに十分な要因となりうる。
コ 引用例1では、光学検出手段が流下樋の下端から落下する粒状物の落下軌跡に光学検出手段3、3と噴風手段4が隣接して設けられており、光の照射検出から検査結果に基づく噴風までのタイミングのずれはわずかであるため、単純な遅延回路を設けることで調整可能である。しかし、移送途中の粒状体に光を照射検出するように変形すると、照射検出位置の決定に新たな創意工夫が必要になる。また、それに加え、照射検出位置と噴風位置との間に時間的空間的離隔が生じるため、遅延の制御が複雑になり新たな創意工夫が必要になる。更に、照射検出位置から噴風位置までの移送中に流下の軌道がずれて、ターゲットである粒状体に適切に噴風できないおそれがある。これらの事情は、引用例1に接した者が光の照射検出を移送途中に行うという発想を阻害するのに十分な要因になりうる。また、移送途中に光を照射すると、移送手段により光の透過が妨げられ、対向配置される光学検出手段3、3での検出がうまくいかなくなる。」(第4頁第4~28行)
(主張2に対する当審合議体の判断)
引用発明が解決しようとする課題は、「不良品の中には、粒子の端部に不良部分(異色部分)があるものがある」が、そのような「不良品Aは、該端部で高圧空気を受けるものの、中心部あるいは重心部では高圧空気を受けないので、その落下軌跡が充分変更されることなく選別されずに良品に混じってしまうことになる」という問題に鑑み(引用例1段落【0005】)、「粒子の端部などに不良部分を有する不良品であっても、的確に選別して従来よりも選別精度を向上させることのできる粒状物色彩選別方法及びその選別機を提供すること」(同段落【0006】)であり(以下「甲1課題」という。)、上記「ケ」の主張にあるような省スペース化ではないし、作用効果としての記載もない。
そして、申立人1が提出した甲第1号証においては、上記甲1課題のもとで、「前記移送手段は、ベルトコンベアであってもよい」(同段落【0022】)と記載されていることに鑑みれば、上記甲1課題を解決する上で、「移送手段」、すなわち「流下樋2」をベルトコンベアに置き換えることに阻害要因があるとはいえない。
よって、上記「ケ」の主張は採用することができない。
また、検査選別装置の技術分野において搬送部をベルトコンベアとすることは、上記1(2)アで言及した周知技術1のとおり、周知であることに照らせば、流下樋2をベルトコンベアに置き換えた際の上記「コ」で主張されるような調整や制御が、これまで行ったことのない新たな創意工夫を当業者に強いるものとは認められない。
よって、上記「コ」の主張も採用することができない。
9 取消理由についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項1、3、6、13に係る特許は、当審合議体が取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由により、取り消されるべきものである。
また、以上のとおり、本件特許の請求項5、9~12、16、17に係る特許は、当審合議体が取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由により取り消すことはできない。
第8 取消理由通知(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立理由について
1 採用しなかった特許異議申立理由の概要
(1)採用しなかった申立人1による特許異議申理由
ア 申立理由1(新規性)
本件発明1、3、4、11~13は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記第4の3(1)の甲第1号証(引用例1)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 申立理由2(進歩性)
本件発明2、7、8、14、15は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記第4の3(1)の甲第1~17号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
ウ 申立理由3(サポート要件)
本件発明10、17は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(2)採用しなかった申立人2による特許異議申立理由
・申立理由(進歩性)
本件発明1、2、3、13、14は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記第4の3(2)の甲第1~7号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの請求項に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 採用しなかった特許異議申立理由に対する当審合議体の判断
上記第3において検討した通り本件訂正により請求項4は削除され、上記第7において検討した通り本件特許の請求項1、3、6、13に係る特許は取り消されるべきものであるから、以下では、上記特許異議申立理由のうち、本件特許2、7、8、10~12、14、15、17に係るものについて検討する。
(1)上記1(1)アについて
本件発明11、12は、本件発明2の発明特定事項を全て含むものであり、本件発明2と引用発明とは、次の(2)ア(ア)で述べるとおり相違点を有し、その相違点は実施的な相違点である。
したがって、本件発明11、12は引用発明ではない。
(2)上記1(1)イについて
ア 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と引用発明とを対比するに、上記第7の3(1)において、本件発明2の発明特定事項を全て含む本件発明5と引用発明とを対比しているところ、本件発明2と引用発明との間には、上記第7の3(1)ア~コの相当関係がいえ、本件発明2と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点2A、2Bで相違する。
[一致点]
検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う検査選別装置であって、
所定の搬送方向に前記検査対象物を搬送する搬送部と、
前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記検査対象物を経た前記電磁波を検出する電磁波検出部と、
前記電磁波検出部で検出された前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部と、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
前記電磁波検出部の搬送下流に設けられ、前記搬送方向に交差する方向に配列される複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、複数の連通部と、
前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部と、
を備える、
検査選別装置。
[相違点2A]
本件発明2は、複数の連通部が「柔軟性がある素材のホース又はチューブ」であるのに対し、引用発明の、滑らかに湾曲した複数の高圧空気管10a、10b、10cについては、柔軟性の有無が不明である点。
[相違点2B]
本件発明2は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
(イ)判断
事案に鑑み、まず、上記相違点2Bについて検討する。
引用発明は、「原料粒状物の移送方向と交差する方向に連設される複数の噴風口9a、9b、9c」を備えるものである。このような搬送方向と交差する方向に配列されたノズルに関し、それを2つ以上のグループに分けて、そのグループごとに一体的にノズルの位置を調整可能とするという事項が、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載されているとは認められないし、かかる事項が周知技術であるといえるような証拠もない。
さらに、上記第7の1(2)ウのように引用発明に周知技術2を適用し、複数の噴風口9a、9b、9cを位置調整可能にすることが容易であったとしても、引用発明の噴風口9a、9b、9は、「1列に配列された一体的な構成である」ところ、この一体的な構成の噴風口9a、9b、9を2つ以上のグループに分ける動機付けもないし、2つ以上のグループに分けることが設計的事項であるといえる証拠もない。
したがって、相違点2Bに係る本件発明2の発明特定事項は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(ウ)申立人1の主張
申立人1は異議申立書1(第91頁第10~26行)において、次のとおり主張している。
1つ目の理由:「当業者であれば搬送する物品の量や大きさに応じて噴風ノズルの個数を適宜増加させることがあり、設計者が当然に採用し得る設計事項である。」
2つ目の理由:「本件特許発明2の発明特定事項2M0は、上記の“(イ-1-2)甲第2号証”で説明したとおり、甲第2号証の2M2-1、2M2-2、2M2-3に記載されている甲2発明の発明特定事項である。」「本件特許発明2は、当業者が甲1発明および甲2発明に基づいて容易に想到することができたものである。」
3つめの理由:「複数の気体噴出部に関し、その位置を一体的に調整可能とする(1MO)か、それとも、気体噴出部を2以上のグループに分けて当該グループごとに一体的に位置を調整可能とする(2M0)は、通常の設計者が適宜決める設計事項であ」る。
申立人1が主張する上記理由について検討する。
まず、1つ目の理由について検討する。
申立人1が主張するように噴風口の数を増やすことが設計的事項であったとしても、引用発明において「一体的な構成」となった噴風口9a、9b、9cの数を増やすにあたり、「一体的な構成」を維持したまま噴風口の数を増やそうするのが自然な考え方であり、当業者であれば、噴風口の数を増やす場合に、「一体的な構成」の噴風口9a、9b、9cとは“別体”として噴風口を設けることを想起するといえる証拠は示されていない。
したがって、1つ目の理由は採用することができない。
2つ目の理由について検討する。
申立人1が提出した甲第2号証には、4つの吐出流路52を備えたノズル装置16を複数個取り付ける点が記載されており、各ノズル装置16がそれぞれ本件発明2の「気体噴出部」の「グループ」に相当するものといえる。しかし、引用発明は、噴風口9a、9b、9cとマニホールド11の複数の孔11cとを高圧空気管10a、10b、10cでつなぐため、噴風口9a、9b、9cはマニホールド11とは別の空間に配置されるものであるのに対し、甲立人1が提出した甲第2号証のノズル装置16はマニホールドに固定されるものであり(甲第2号証の段落【0017】)、前提とするノズルの配置態様が大きく異なっている。このようなノズルの配置態様の違いに鑑みれば、甲第2号証記載の技術的事項を引用発明の適用する動機付けがあるとはいえない。
また、甲第2号証には「ねじ42は、マニホールド29の上面においてノズル装置16を前後左右に位置決めし、ノズル装置16の後部下面のマニホールド29の後縁に接する部分はマニホールド29に対するノズル装置16の姿勢(回転、傾斜)を定める。即ち、ノズル装置16は、マニホールド29に対する1本のねじによる位置決めとノズル装置の形態による姿勢決めの機構とによって固定されている。」(段落【0017】。下線は当審合議体が付したもの。)との記載はあるが、あくまで「位置決め」、「姿勢決め」にとどまり、位置や姿勢を“調整可能”としつつ「位置決め」、「姿勢決め」する構成、すなわち、本件発明2の「前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能」とする「位置調整部」に相当する構成が記載されているとは認められない。よって、仮に、引用発明に甲第2号証記載の技術的事項を適用したとしても、相違点2Bに係る本件発明2の発明特定事項となすことはできない。
したがって、2つ目の理由は採用することができない。
3つ目の理由について検討する。
複数の気体噴出部に関し、その位置を一体的に調整可能とするか、それとも、2以上のグループに分けて当該グループごとに一体的に位置を調整可能とするかが、当業者が適宜決定し得る設計事項であると認めるに足る証拠は示されていない。
したがって、3つ目の理由も採用することができない。
よって、申立人1が主張する理由はいずれも採用することができず、上記(イ)のとおり、本件発明2は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
イ 本件発明7について
(ア)対比
本件発明7は、請求項7に記載された「前記位置調整部は、前記気体噴出部ごとに位置を調整可能とされている」という発明特定事項を本件発明6を加えたものである。
そうすると、本件発明7と引用発明とを対比すると、上記第7の4(1)の相違点1A、1B、6に加え、次の相違点で相違する。
[相違点7]
本件発明7は「前記位置調整部は、前記気体噴出部ごとに位置を調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
(イ)判断
事案に鑑み、まず、上記相違点6、7について検討する。上記相違点6、7は、気体噴出部の位置調整に関する相違点であるから、併せて検討する。
上記第7の1(2)ウで言及した周知技術2のとおり、選別装置におけるノズルに位置調節のための機構を設けることは周知技術である。
しかし、引用発明の「複数の噴風口9a、9b、9c」は「原料粒状物の移送方向と交差する方向に連設される」ものである。このような搬送方向と交差する方向に連接されたノズルを、1つずつ個別に調整可能とするという事項は、申立人1が提出したいずれの証拠にも記載されているとは認められないし、かかる事項が周知技術であるといえるような証拠もない。
また、引用発明において、原料粒状物の移送方向と交差する方向に連設される複数の噴風口9a、9b、9は、「1列に配列された一体的な構成である」ところ、上記第7の1(2)ウのように引用発明に周知技術2を適用し、複数の噴風口9a、9b、9cを位置調整可能にすることが容易であったとしても、「一体的な構成」の複数の噴風口9a、9b、9cを1つずつ分離して設ける動機付けもないし、1つずつ分離して設けることが設計的事項であるといえる証拠もない。
したがって、相違点6、7に係る本件発明7の発明特定事項は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(ウ)申立人1の主張
申立人1は異議申立書1(第97頁第2~20行)において、次のとおり主張している。
1つ目の理由:「発明特定事項6A0および発明特定事項7A0は、上記の“(イ-1-5)甲第5号証”および“(イ-1-6)甲第6号証”で説明したとおり、甲第5号証の6A5-1、6A5-2、6A5-3、6A5-4に示される甲5発明の発明特定事項であり、また、甲第6号証の6A6-1、6A6-2、6AS6-3に示される甲6発明の発明特定事項である。」
2つ目の理由:「本件特許の審査時の拒絶理由通知書(起案日:令和5年10月20日)において 「引用文献6(=甲第5号証;段落[0035]から[0038]及び図4等参照)又は引用文献7(=甲第6号証;段落[0030]及び図3、4等参照)に記載されるように、検査選別装置において、気体噴出部(引用文献6のエアノズル23、引用文献7のノズル31)の位置を調整可能に支持する位置調整部(引用文献6の取付具30、引用文献7のブラケット35)を設けるという技術は、従来周知の技術である。」とあるように、本件特許発明6の発明特定事項6A0および本件特許発明7の発明特定事項7A0は“従来周知の技術”である。」
申立人1が主張する上記理由について検討する。
申立人1が提出した甲第5号証(本異議決定における引用例3。上記第5の3参照。)も、甲第6号証(本異議決定における引用例4。上記第5の4参照。)は、ノズルを位置調整可能にするという事項は記載されているが、搬送方向と交差する方向に配列された複数のノズルを1つずつ位置調整可能とするという事項は開示されていない。
そのため、後者の事項が甲第5号証及び甲第6号証を根拠として周知であるということもできない。
よって、申立人1が主張する1つ目の理由、2つ目の理由は、いずれも採用することができず、上記(イ)のとおり、本件発明7は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 本件発明8について
(ア)対比
本件発明8は、本件発明1~3のいずれかに、「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」という発明特定事項を加えたものである。
そうすると、本件発明8と引用発明とを対比すると、上記第7の1(1)で述べた上記相違点1A、1B、1C、上記ア(ア)で述べた相違点2A、2B、又は上記第7の2(1)で述べた上記相違点1A、1Bに加え、次の相違点で相違する。
[相違点8]
本件発明8は、「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」のに対し、引用発明は、「電磁バルブ12」がそのような報知を行うものか不明である点。
(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点8について検討する。
選別装置において、ノズルから噴出させる気体を制御するバルブが、気体の噴出を所定の方法により報知するという事項は、申立人1が提出したいずれの証拠にも記載されているとは認められないし、かかる事項が周知技術であるといえるような証拠もない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(ウ)申立人1の主張
申立人1は異議申立書1(第98頁第13行~第99頁第3行)において、次のとおり主張している。
1つ目の理由:(申立書1第77頁下から1、2行目において、「8A7-1:前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する(フォルトの発生が指摘される)」と主張した上で、)「本件特許発明8の発明特定事項8A0は、上記の“(イ-1-7)甲第7号証”で説明したとおり、甲第7号証の8A7-1に記載されている甲7発明の発明特定事項である。」
2つ目の理由:(申立書1第79頁下から1、2行目において、「8A8-1,8A8-2:前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法(発光ダイオード30)により報知する」と主張した上で、)「本件特許発明8の発明特定事項8A0は、上記の“(イ-1-8)甲第8号証”で説明したとおり、甲第8号証の8A8-1、8A8-2に記載されている甲8発明の発明特定事項である。」
3つめの理由:「甲7発明や甲8発明に示されているように、“気体の噴出を所定の方法により報知する”ことは周知技術である。」
申立人1が主張する上記理由について検討する。
まず、申立人1が提出した甲第7号証(上記第6の1(2)参照)には、空気圧エジェクター(段落【0025】)の空気圧を共有する回路に関し、空気圧データを測定し、その空気圧データが所定の最小値(しきい値)よりも小さい場合には、フォルトの発生を指摘するという事項(段落【0022】)の記載があるが、この「空気圧データの測定」がノズルからの空気の噴出を制御するバルブの空気圧を測定しているとまでは認められない。また、甲第7号証には、「エアバルブ圧力センサ521」との記載もあるが、これがどこのエアバルブの圧力を測定しているのか、図5を含め、甲第7号証の記載を参酌しても明らかでない。さらに、甲第7号証におけるフォルトの「指摘」が、本件発明8における「報知」に相当するものかも、甲第7号証の記載からは明らかではない。
したがって、申立人1が提出した甲第7号証に、本件発明8の「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」という発明特定事項が記載されているとは認められない。
次に、申立人1が提出した甲第8号証(上記第6の1(3)参照)には、「発光ダイオード30」に関する記載があるが、これがどのように作動するかの記載はない。したがって、申立人1が提出した甲第8号証には、本件発明8の「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」という発明特定事項が記載されているとは認められない。
そして、以上のとおり、申立人1が提出した甲第7号証、甲第8号証には、本件発明8の「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」という発明特定事項が記載されているとは認められないから、この本件発明8の発明特定事項が甲第7号証及び甲第8号証を根拠として「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」という発明特定事項が周知であるということもできない。
よって、申立人1が主張する理由はいずれも採用することができず、上記(イ)のとおり、本件発明8は、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
エ 本件発明14について
(ア)対比
本件発明14の発明特定事項は、請求項14に記載された「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」という発明特定事項以外は、本件発明13と共通する。
そうすると、本件発明14と引用発明とを対比すると、まず、上記7の6(1)ア~カの相当関係がいえ、本件発明14と引用発明とは上記7の6(1)の相違点13Aで相違する。さらに、本件発明14と引用発明とは、次の相違点14で相違する。
[相違点14]
本件発明14は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」のに対し、引用発明の複数の噴風口9a、9b、9cは、位置調節部を備えるかどうか不明である点。
(イ)判断
事案に鑑み、まず、相違点14について検討するに、上記相違点14は、上記ア(ア)の相違点2Bと実質的に同じ相違点である。
そうすると、相違点14に係る本件発明14の発明特定事項が、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえないことは、上記ア(イ)と同様である。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明14は、引用発明、甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
オ 本件発明15について
(ア)対比
本件発明15は、本件発明13、又は本件発明14に、請求項15に記載された「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」という発明特定事項を加えたものである。
そうすると、本件発明15と引用発明とを対比すると、上記第7の6(1)の相違点13A、13B、又は上記エ(ア)の相違点13A、14に加え、次の相違点で相違する。
[相違点15]
本件発明15は、「前記噴出制御部は、前記気体の噴出を所定の方法により報知する」のに対し、引用発明は、「電磁バルブ12」がそのような報知を行うものか不明である点。
(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点15について検討するに、上記相違点15は、上記ウ(ア)の相違点8と実質的に同じである。
そうすると、相違点15に係る本件発明15の発明特定事項が、申立人1が提出した甲第1号証に記載された引用発明、申立人1が提出した甲第2~17号証に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえないことは、上記ウ(イ)と同様である。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は、引用発明、甲第2~17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(3)上記1(1)ウについて
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「気体噴出部180から気体の噴出を示す情報の提供を受けて報知を行う報知部を設け」た検査選別装置(本件特許明細書段落【0050】)が記載されている。そして、この検査選別装置は、そのような情報の報知を行うのだから、当然に、その情報を得るために、気体噴出部から気体の噴出を検知する部分を有していることは、当業者には明らかである。
これに対して、本件発明10、17は「前記気体噴出部からの前記気体の噴出を検知して報知する報知部を備える」検査選別装置又は選別装置であり、本件発明10、17は、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。
したがって、本件発明10、17は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
なお、申立人1は、申立書1において、「“前記気体噴出部からの前記気体の噴出を検知”する手段についての記載は、本件の明細書のどこにも存在しない」と主張する(第108頁第3~4行)。
確かに申立人1が主張するように、本件特許明細書等には気体噴出部からの気体の噴出を検知する手段の明記はない。しかしながら、前述のとおり、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段は、気体噴出部から気体が噴出された情報の提供を受けているのだから、当然に、その情報を検知する部分、すなわち、気体噴出部からの体が噴出を検知する部分を備えていることは、当業者には明らかである。
したがって、申立人1の主張は採用することができない。
(4)上記1(2)について
ア 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と申立人2甲1発明と対比する。
a 後者の「青果物A」は前者の「検査対象物」及び「選別対象物」に相当する。
後者において「コントローラ15」が、「前記カメラ14が撮影した青果物Aを画像を処理してした画像情報に基づき、予め設定された仕分け条件からその青果物Aの等階級を判定」し、「青果物Aの等階級の判定結果に基づいて前記電磁弁20a~20fを制御」することを踏まえれば、後者の「コントローラ15で電磁弁aを制御し、噴射ノズル19aから容器12に向かって圧縮空気を噴射することで、選別コンベヤ11上の該当する青果物Aの容器12を仕分けコンベヤ17aに押し出して移送し、青果物Aを等階級に仕分けする」ことは、前者の「検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う」ことに相当し、後者の「自動仕分け装置」は前者の「検査選別装置」に相当する。
b 後者の「搬送方向」は前者の「所定の搬送方向」に相当し、後者の「搬送コンベア11」は前者の「搬送部」に相当する。
c 後者の「圧縮空気供給管22に圧縮空気を供給するコンプレッサ23」は、前者の「前記気体を供給する気体供給部」に相当する。
d 後者の「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」は、前者の「複数の吐出口」に相当する。そして、後者の「圧縮空気供給管22」は、当然に「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」に圧縮空気を分配するから、後者の「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分が設けられ」ていることは、前者の「供給された前記気体を複数の吐出口に分配する」ことに相当し、後者の「圧縮空気供給管22」は前者の「気体分配部」に相当する。
e 後者の「電磁弁20a~20f」は、当然に「前記圧縮空気供給管22に設けられた、複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」から圧縮空気を受けて、その圧縮空気を制御するから、前者の「前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部」に相当する。
f 後者の「噴射ノズル19a~19f」は前者の「気体噴出部」に相当する。
g 前者の「電磁弁20a~20fと各噴射ノズル19a~19fとをそれぞれ連結する連結ホース21a~21f」は、間接的に「圧縮空気供給管22」に設けられた「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」を「各噴射ノズル19a~19f」にそれぞれ連結するものであるから、前者の「前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路」及び「前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる」「ホース又はチューブである複数の連通部」に相当する。
h 後者の「青果物Aの等階級の判定結果に基づいて前記電磁弁20a~20fを制御する」「コントローラ15」は前者の「前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部」に相当する。
以上のことから、本件発明2と申立人2甲1引用発明とは、次の点で一致し、次の相違点で相違する。
[一致点]
検査対象物の検査結果に基づき特定された選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う検査選別装置であって、
所定の搬送方向に前記検査対象物を搬送する搬送部と、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、ホース又はチューブである複数の連通部と、
前記検査部における検査結果に基づき、前記選別対象物を特定し前記噴出制御部を制御する選別制御部と、
を備える、
検査選別装置。
[相違点2a]
本件発明2は、「前記検査対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、前記検査対象物を経た前記電磁波を検出する電磁波検出部と、前記電磁波検出部で検出された前記電磁波に基づき前記検査対象物を検査する検査部と」を備えるのに対し、申立人2甲1発明は、「前記選別コンベヤ11の基端部側に設置された枠体13に取り付けられ、青果物Aを撮影するカメラ14と、前記カメラ14が撮影した青果物Aを画像を処理してした画像情報に基づき、予め設定された仕分け条件からその青果物Aの等階級を判定するコントローラ15と」を備える点。
[相違点2b]
本件発明2は、「複数の気体噴出部」が「前記電磁波検出部の搬送下流に設けられ、前記搬送方向に交差する方向に配列される」のに対し、申立人2甲1発明は、「噴射ノズル19a~19f」が「前記搬送方向でみて前記カメラ14の下流に、前記搬送方向に沿って一列に配列されて設けられている」点。
[相違点2c]
本件発明2は、「ホース又はチューブである複数の連通部」が「柔軟性がある素材」であるのに対し、申立人2甲1発明は、「連結ホース21a~21f」が柔軟性のある素材であるか、明らかでない点。
[相違点2d]
本件発明2は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」のに対し、申立人2甲1発明は、そのような噴射ノズル19a~19fの位置を調整する位置調整部を有さない点。
(イ)判断
事案に鑑み、まず、上記相違点2dについて検討する。
申立人2甲1発明は、「前記選別コンベヤ11と各仕分けコンベヤ17a~17fとの連結部にそれぞれ前記噴射ノズル19a~19fを設け」、「該当する噴射ノズル19a~19fから圧縮空気を噴射することで、青果物Aの容器12を仕分けコンベヤ17a~17fに容易に移送する」ものであり、申立人2甲1発明のおいては、1つの被仕分け対象に対応して1つの噴射ノズルを設けている。これに対し、申立人2が提出した甲第6号証である上記引用例7記載の技術的事項(上記第5の7参照)は、「廃びんBの受け容器31a~31dのそれぞれに対して」、「上流側から下流側へ並んだ4個のノズル26c11、26c12、26c21、26c22」を設けたもの、すなわち、一つの廃びんBを仕分けるために4つのノズルを設けているものである。そうすると、引用例7記載事項における複数のノズルは1つの被仕分け対象に対応したものであり、そのノズルの配置態様は、1つの被仕分け対象に対応して1つずつ設けられている申立人2甲1発明の噴射ノズル19a~19fの配置態様と異なる。
また、引用例7記載の技術的事項は、「大径・中径びんに混入した小径びんに対し、吹き落とすための噴出空気量を節減するため」に、上流側から下流側へ並んだ4個のノズルを設けているが、申立人2甲1発明は、青果物Aの大きさに合わせて噴出空気量を節減することを課題としておらず、その課題は「装置の簡素化及び低コスト化を図ると共に仕分け作業の効率化を図り、また、装置の操作性及びメンテナンス性の向上を図った自動仕分け装置を提供すること」(申立人2甲第1号証の段落【0007】)である。
したがって、引用例7記載の技術的事項は、4個のノズルのうち「上流側の2個のノズル26c11、26c12を」「上下方向に位置の調整を可能とし」、「これと同様に、下流側の2個のノズル26c21、26c22も」「上下方向に位置の調整を可能とする」ものとはいえ、引用例7記載の技術的事項と申立人2甲1発明との間の前述したノズルの配置態様の違いや課題の違いに鑑みれば、引用例7記載の技術的事項を申立人2甲1発明に適用する動機付けがあるとはいえない。
また、申立人2が提出した甲第2号証~甲第5号証、甲第7号証のいずれにも、ノズルを2つ以上のグループに分けて、そのグループごとに一体的にノズルの位置を調整可能とするという事項は記載されていないし、かかる事項が周知技術であるといえるような証拠もない。
さらに、第7の1(2)ウの周知技術2を申立人2甲1発明に適用し、申立人2甲1発明の噴射ノズル19a~19fを位置調整可能にすることが容易であったとしても、「前記選別コンベヤ11と各仕分けコンベヤ17a~17fとの連結部にそれぞれ」「設け」られた噴射ノズル19a~19fを2つ以上のグループにする動機付けもないし、2つ以上のグループにすることが設計的事項であるといえる証拠もない。
したがって、相違点2dに係る本件発明2の発明特定事項は、申立人2甲1発明、申立人2が提出した甲第2号証~甲第7号証に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、申立人2甲1発明、甲第2号証~甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(ウ)申立人2の主張
申立人2は異議申立書2において、申立人2甲1発明に、申立人2が提出した甲第6号証である上記引用例7に記載された事項を適用することは、当業者にとって格別な困難性を有するものではない旨、主張する(異議申立書2第12頁第35行~第14頁第28行)が、上記(イ)で論じたとおり、引用例7記載の技術的事項を申立人2甲1発明に適用する動機付けがあるとはいえない。
よって、申立人2の主張は採用することができない。
イ 本件発明14について
(ア)対比
本件発明14と申立人2甲1発明と対比する。
a 後者の「青果物A」は前者の「選別対象物」に相当する。
後者において、「コントローラ15で電磁弁aを制御し、噴射ノズル19aから容器12に向かって圧縮空気を噴射することで、選別コンベヤ11上の該当する青果物Aの容器12を仕分けコンベヤ17aに押し出して移送し、青果物Aを等階級に仕分けする」ことは、前者の「選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う」ことに相当し、後者の「自動仕分け装置」は前者の「選別装置」に相当する。
b 後者の「圧縮空気供給管22に圧縮空気を供給するコンプレッサ23」は、前者の「前記気体を供給する気体供給部」に相当する。
c 後者の「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」は、前者の「複数の吐出口」に相当する。そして、後者の「圧縮空気供給管22」は、当然に「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」に圧縮空気を分配するから、後者の「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分が設けられ」ていることは、前者の「供給された前記気体を複数の吐出口に分配する」ことに相当し、後者の「圧縮空気供給管22」は前者の「気体分配部」に相当する。
d 後者の「電磁弁20a~20f」は、当然に「前記圧縮空気供給管22に設けられた、複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」から圧縮空気を受けて、その圧縮空気を制御するから、前者の「前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部」に相当する。
e 後者の「噴射ノズル19a~19f」は前者の「気体噴出部」に相当する。
f 前者の「電磁弁20a~20fと各噴射ノズル19a~19fとをそれぞれ連結する連結ホース21a~21f」は、間接的に「圧縮空気供給管22」に設けられた「複数の電磁弁20a~20fに圧縮空気を分配する部分」を「各噴射ノズル19a~19f」にそれぞれ連結するものであるから、前者の「前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路」及び「前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる」「ホース又はチューブである複数の連通部」に相当する。
以上のことから、本件発明14と申立人2甲1引用発明とは、次の点で一致し、次の相違点14a、14bで相違する。
[一致点]
選別対象物に向けて気体を噴出することで選別を行う選別装置であって、
前記気体を供給する気体供給部と、
供給された前記気体を複数の吐出口に分配する気体分配部と、
前記吐出口からの前記気体の吐出を制御する複数の噴出制御部と、
複数の気体噴出部と、
前記吐出口と前記気体噴出部との間を1対1で連通する流路であり、前記吐出口から吐出された前記気体を前記気体噴出部に導き噴出させる、ホース又はチューブである複数の連通部と、
を備える、
選別装置。
[相違点14a]
本件発明14は、「ホース又はチューブである複数の連通部」が「柔軟性がある素材」であるのに対し、申立人2甲1発明は、「連結ホース21a~21f」が柔軟性のある素材であるか、明らかでない点。
[相違点14b]
本件発明14は、「前記複数の前記気体噴出部の位置を調整可能に支持する位置調整部」を備え、「前記位置調整部は、前記複数の前記気体噴出部を2以上のグループに分けたグループごとに一体的に位置を調整可能とされている」のに対し、申立人2甲1発明は、噴射ノズル19a~19fに関し、そのような位置調整部を有さない点。
(イ)判断
事案に鑑み、まず、上記相違点14bについて検討すると、上記相違点14bは、上記相違点2dと実質的に同じ相違点である。
そうすると、相違点14bに係る本件発明14の発明特定事項は、申立人2甲1発明、申立人2が提出した甲第2号証~甲第7号証に記載された事項から容易に想到し得たものとはいえないことは、上記ア(イ)と同様である。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明14は、申立人2甲1発明、甲第2号証~甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(5)採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ
以上のとおり、本件特許の請求項2、7、8、10~12、14、15、17に係る特許は、上記1の採用しなかった特許異議申立理由により、取り消すことはできない。
第9 まとめ
以上のとおり、本件発明1、3、6、13は引用発明等に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。したがって、本件特許の請求項1、3、6、13は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件特許の請求項2、5、7~12、14~17に係る特許については、令和7年6月4日付けの取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件特許の請求項2、5、7~12、14~17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項4に係る特許に対する特許異議の申立てについては、当該請求項が本件訂正により削除され、当該申立てに係る特許が存在しないこととなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700646