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特許異議申立

2020-700682

物品仕分けシステム及び方法

審判番号
2020-700682
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-567226
登録番号
6660406
請求日
2020年09月10日
審決日
2021年12月24日
公報発行日
2022年03月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】北京極智嘉科技股▲ふん▼有限公司
  • 【権利者代理人】阿部 達彦
  • 【権利者代理人】飯田 雅人
  • 【権利者代理人】▲高▼橋 史生
  • 【権利者代理人】松尾 直樹
  • 【権利者代理人】野村 進
  • 【権利者代理人】塚田 悠貴
  • 【権利者代理人】淺野 耕一朗
  • 【権利者代理人】太田 早紀子
  • 【権利者代理人】宮田 英毅
  • 【権利者代理人】酒井 宏明
  • 【異議申立人】小川 鐡夫
審判長/審判官
  • 審判長 田村 嘉章
  • 審判官 内田 博之
  • 審判官 尾崎 和寛
分類
P1651.121-YAA(B07C) / P1651.113-YAA(B07C) / P1651.536-YAA(B07C) / P1651.537-YAA(B07C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6660406号発明「物品仕分けシステム及び方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6660406号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-14〕、15について訂正することを認める。 特許第6660406号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6660406号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし15に係る特許についての出願は、2017年12月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年9月30日 (CN)中国)を国際出願日とする出願であって、令和2年2月12日にその特許権の設定登録がされ、同年3月11日に特許掲載公報が発行された。その後、同年9月10日に、本件特許について、特許異議申立人小川鐡夫(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年12月11日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和3年3月16日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があり、本件訂正請求に対して異議申立人から同年6月21日に意見書が提出され、本件訂正請求に対して同年9月3日付けで訂正拒絶理由が通知され、この訂正拒絶理由に対して特許権者から同年11月29日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正請求書の補正及びその適否 令和3年11月29日の手続補正書による補正の内容は、訂正前の請求項1における「前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域」との記載を、「前記第3領域の外周の一部又は全部と隣接するスケジューリング領域」に訂正すること(補正前の訂正事項1)及び訂正前の請求項15の「前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域」との記載を、「前記第3領域の外周の一部又は全部と隣接するスケジューリング領域」に訂正すること(補正前の訂正事項4)を削除するものであるから、上記補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 したがって、上記補正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合するから、上記補正を認める。 2 訂正の内容 以上のとおり、訂正請求の補正は認められるから、特許権者が求める補正後の訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は特許権者が付した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における「スケジューリング領域が設置されることを特徴とする」との記載を、「スケジューリング領域が設置され、前記移動搬送装置は、前記スケジューリング領域において前記仕分け対象物品を前記物品受け装置に搬送することを特徴とする」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項11における「提示情報を行う」との記載を、「情報提示を行う」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項15における「スケジューリング領域が設置されることを特徴とする」との記載を、「スケジューリング領域が設置され、前記移動搬送装置は、前記スケジューリング領域において前記仕分け対象物品を前記物品受け装置に搬送することを特徴とする」に訂正する。 3 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1の、訂正前の請求項1の「スケジューリング領域が設置されること」を、「スケジューリング領域が設置され、前記移動搬送装置は、前記スケジューリング領域において前記仕分け対象物品を前記物品受け装置に搬送すること」に限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、請求項2ないし14は、訂正事項1により訂正される請求項1に連動して訂正される請求項であるから、訂正事項1は、一群の請求項〔1-14〕に対して請求されたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項に適合する。 また、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)における、明細書の段落【0030】の「1つの応用シナリオでは、図4に示すように、前記第2領域と前記第3領域の間に前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域がさらに含まれ、このように、移動搬送装置3はスケジューリング領域を介して物品を物品受け装置に順次搬送した後に順次離れる。」との記載及び図面の 【図4】 [図:0001382352000001.jpg] の記載から、移動搬送装置がスケジューリング領域において仕分け対象物品を物品受け装置に搬送することは、本件特許明細書等に記載された事項であるといえるから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 さらに、訂正事項1の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内において移動搬送装置を限定したものといえ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 さらにまた、訂正前の請求項1ないし14は、特許異議の申立ての対象となっているから、訂正事項1について、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2の、訂正前の請求項11の「提示情報を行う」を、「情報提示を行う」とする訂正は、日本語として意味の通じない記載を、意味の通じる記載に改めるものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項2は、「提示」及び「情報」という用語の、各々の記載の順序を入れ替えたものに過ぎす、外国語出願における誤訳であると認められ、「情報提示を行う」との事項は、本件特許明細書等に記載された事項であるといえるから、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 さらに、訂正事項2の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内において配送情報取得装置を明確に特定したものといえ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 (3)訂正事項3について 訂正事項3の、訂正前の請求項15の「スケジューリング領域が設置されること」を、「スケジューリング領域が設置され、前記移動搬送装置は、前記スケジューリング領域において前記仕分け対象物品を前記物品受け装置に搬送すること」に限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、上記(1)で検討したとおり、移動搬送装置がスケジューリング領域において仕分け対象物を物品受け装置に搬送することは、本件特許明細書等に記載された事項であるといえるから、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 さらに、訂正事項3の訂正は、本件特許明細書等に記載された事項の範囲内において移動搬送装置を限定したものといえ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないので、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 さらにまた、訂正前の請求項15は、特許異議の申立ての対象となっているから、訂正事項3について、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4)小括 以上のとおりであるから、訂正後の請求項〔1-14〕、15について、訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1なし15に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明15」という。)は、令和3年11月29日付け手続補正書により補正された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 物品仕分けシステムであって、 仕分け対象物品を供給し、第1領域が形成される物品供給端と、 前記物品供給端から仕分け対象物品を受けて、受けた仕分け対象物品を搬送し、物品を搬送するときに第2領域内で移動している移動搬送装置と、 第3領域において前記移動搬送装置が搬送する仕分け対象物品を受け、底部が前記移動搬送装置の底部と面一である物品受け装置とを備え、 前記第2領域と前記第3領域の間にさらに前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域が設置され、前記移動搬送装置は、前記スケジューリング領域において前記仕分け対象物品を前記物品受け装置に搬送することを特徴とする物品仕分けシステム。 【請求項2】 前記物品供給端の底部は前記移動搬送装置の底部と面一であることを特徴とする請求項1に記載の物品仕分けシステム。 【請求項3】 前記移動搬送装置は、地盤上で作動し、且つ前記物品受け装置は地盤上に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の物品仕分けシステム。 【請求項4】 前記第2領域は環状領域であり、前記第1領域は前記第2領域の内輪領域に位置することを特徴とする請求項1に記載の物品仕分けシステム。 【請求項5】 前記第3領域は環状領域であり、前記第2領域は前記第3領域の内輪領域に位置することを特徴とする請求項4に記載の物品仕分けシステム。 【請求項6】 前記第3領域は、前記第2領域の外輪縁部に順次分散設置される複数の独立領域を含むことを特徴とする請求項4に記載の物品仕分けシステム。 【請求項7】 さらに、前記物品供給端が供給する仕分け対象物品の物品情報を取得する配送情報取得装置を備え、前記物品情報は、前記仕分け対象物品の配送先情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の物品仕分けシステム。 【請求項8】 それぞれ前記配送情報取得装置、前記移動搬送装置に通信可能に接続されている制御システムをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の物品仕分けシステム。 【請求項9】 前記配送情報取得装置が物品情報を正常に読み取ることができない場合、前記制御システムは、前記移動搬送装置が物品情報を正常に読み取ることができない物品を指定位置に搬送するように制御することを特徴とする請求項8に記載の物品仕分けシステム。 【請求項10】 前記配送情報取得装置が物品情報を正常に読み取ることができない場合、前記制御システムは、前記物品供給端が前記物品情報を正常に読み取ることができない物品を回収するように制御することを特徴とする請求項8に記載の物品仕分けシステム。 【請求項11】 前記配送情報取得装置が物品情報を正常に読み取ることができない場合、前記制御システムは、前記配送情報取得装置が情報提示を行うように制御することを特徴とする請求項8に記載の物品仕分けシステム。 【請求項12】 前記制御システムは、物品供給端が提供する仕分け対象物品の数を取得して、前記仕分け対象物品の数に基づいて、該物品供給端に必要な移動搬送装置の数を決定することを特徴とする請求項8に記載の物品仕分けシステム。 【請求項13】 前記制御システムは、物品供給端が提供する仕分け対象物品の数を取得して、前記仕分け対象物品の数に基づいて、前記物品受け装置が前記第3領域内で再配列されるように制御することを特徴とする請求項8に記載の物品仕分けシステム。 【請求項14】 前記移動搬送装置は、仕分け対象物品の配送情報を自動的に識別し、該配送情報に基づき、前記移動搬送装置に割り当てる仕分け対象物品を対応した物品受け装置に輸送することができることを特徴とする請求項1に記載の物品仕分けシステム。 【請求項15】 物品仕分け方法であって、 第1領域に位置する物品供給端は1つ又は複数の仕分け対象物品を移動搬送装置に供給し、 仕分け対象物品を搬送するときに第2領域内で作動する移動搬送装置は前記物品供給端から仕分け対象物品を受けて、特定の搬送経路に基づき、受けた仕分け対象物品を搬送し、 底部が前記移動搬送装置の底部と面一である物品受け装置は、第3領域内で前記移動搬送装置が搬送する仕分け対象物品を受けることを含み、 前記第2領域と前記第3領域の間にさらに前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域が設置され、前記移動搬送装置は、前記スケジューリング領域において前記仕分け対象物品を前記物品受け装置に搬送することを特徴とする物品仕分け方法。」 2 取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし15に係る特許に対して令和2年12月11日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由1(明確性) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は取り消すべきものである。 理由2(実施可能要件) 本件特許は、明細書の発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件特許は取り消すべきものである。 理由3(新規性) 本件特許の請求項1~6及び15に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、本件特許は取り消すべきものである。 理由4(進歩性)本件特許の請求項1~15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1~3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許は取り消すべきものである。 記 引用文献1:特表2009-513457号公報(異議申立人の甲第1号証。) 引用文献2:国際公開第2017/012548号(異議申立人の甲第3号証の1。) 引用文献3:特開2000-122720号公報 (異議申立人の甲第4号証。) (1)理由1(明確性)について ア 請求項1及び請求項15には「前記第2領域と前記第3領域の間にさらに前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域が設置される」と記載されているが、「第3領域の一部又は全部を囲む」とは、どのような状態であるのか不明確である。 したがって、請求項1及び15に係る発明は明確でない。 また、請求項2~14は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するから、請求項2~14に係る発明は、請求項1に係る発明と同様の理由により明確でない。 イ 請求項1及び請求項15には「前記第2領域と前記第3領域の間にさらに前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域が設置される」と記載されているが、「スケジューリング領域」とは、どのような処理又は動作が行われる領域であるのか、明細書の記載を参酌しても不明確である。 したがって、請求項1及び15に係る発明は明確でない。 また、請求項2~14は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するから、請求項2~14に係る発明は、請求項1に係る発明と同様の理由により明確でない。 ウ 請求項6に記載された「独立領域」とは何か、明細書の段落【0036】及び【0072】の記載を参酌しても、不明確である。 したがって、請求項6に係る発明は明確でない。 エ 請求項11には「前記制御システムは、前記配送情報取得装置が提示情報を行うように制御する」と記載されているが、「提示情報を行う」とは、何に対して、どのようなことを行うことを指しているのか、明細書の記載を参酌しても不明確である。 したがって、請求項11に係る発明は明確でない。 オ 請求項13には「前記仕分け対象物品の数に基づいて、前記物品受け装置が前記第3領域内で再配列されるように制御する」と記載されているが、本来の配列がいつ、どのように決まっていて、「仕分け対象物品の数」が、「再配列」による配列の変更に、どのように影響を与えるのか、明細書の記載を参酌しても不明確である。 したがって、請求項13に係る発明は明確でない。 (2)理由2(実施可能要件)について ア 上記(1)アのとおりであるから、「第3領域の一部又は全部を囲む」ことの意味を明確に把握することはできないので、請求項1~15に係る発明を、どのように実施するか当業者といえども理解できない。 したがって、発明の詳細な説明は、請求項1~15に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 イ 上記(1)イのとおりであるから、「スケジューリング領域」を明確に把握することはできないので、請求項1~15に係る発明を、どのように実施するか当業者といえども理解できない。 したがって、発明の詳細な説明は、請求項1~15に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 ウ 上記(1)エのとおり「提示情報を行う」とはどのようなことかを明確に把握することはできないので、請求項11に係る発明を、どのように実施するか当業者といえども理解できない。 したがって、発明の詳細な説明は、請求項11に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 エ 上記(1)オのとおり、「仕分け対象物品の数」が「再配列」に、どのように影響を与えるのか明確に把握することはできないので、請求項13に係る発明を、どのように実施するか当業者といえども理解できない。 したがって、発明の詳細な説明は、請求項13に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 3 引用文献の記載事項等 (1)引用文献1の記載事項及び引用発明 取消理由通知に記載した引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) ア「【0009】 図1は、目録品システム10の内容を示している。目録品システム10は、管理モジュール15、一つまたは複数の移動駆動ユニット20、一つまたは複数の目録品ホルダー30および一つまたは複数の目録品ステーション50を含む。移動駆動ユニット20は、管理モジュール15によって通信されるコマンドに応答して、作業スペース70内の目録品ホルダー30を、保管スペース90および/または目録品ステーション50の間で輸送する。各目録品ホルダー30は一つまたは複数の種類の目録品目40を保管している。結果として、目録品システム10は、目録品システム10からの目録品目40の入力および取り出し(removal)ならびに目録品40に関わるその他のタスクの完了を容易にするために、目録品目40を保管スペースおよび目録品ステーション50の間で動かすことができる。」 イ「【0012】 移動駆動ユニット20は目録品ホルダー30を、目録品システムに関連する作業スペース70内の位置間で動かす。移動駆動ユニット20が表しているのは、目録品ホルダー30および/または目録品システム10の他の要素の特性および構成に基づいて目録品システム10において使うために適切ないかなるデバイスまたはコンポーネントであってもよい。目録品システム10のある特定の実施形態では、移動駆動ユニット20は、作業スペース70を自由に動き回る独立した、自己動力のデバイスを表す。代替的な諸実施形態では、移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30をトラック、レール、ケーブルまたは作業スペース70を通る他の案内要素に沿って動かすよう構成された、軌道式(tracked)目録品システム10の要素を表していてもよい。そのような実施形態では、移動駆動ユニット20は、電力を与えられたレール(powered rail)のような案内要素への接続を通じて動力を受領しうる。」 ウ「【0017】 目録品目40は、自動化された目録品システム10における保管および取り出しのために好適な任意の対象を表す。本記載の目的のためには、「目録品目40」は、目録品システム10に保管されるある特定の型の任意の一つまたは複数の対象を表しうる。一方、目録品目40の「単位」は、その型の個別の対象を表す。たとえば、書籍を保管する目録品システム10において、特定の書籍タイトルは「目録品目40」を表しうる一方、そのタイトルの個々の本は目録品目40の「単位」を表しうる。こうして、特定の目録品ホルダー30が特定の目録品目40を現在「保管している」のは、その目録品ホルダー30が現在、その型の一つまたは複数の単位を保持している場合である。同様に、目録の二つの単位は、該単位が同じ型の場合、「同じ」目録品目40を表しうる。」 エ「【0022】 目録品ステーション50は、目録品ホルダー30からの目録品目40の取り出し、目録品ホルダー30への目録品目40の導入、目録品ホルダー30内の目録品目40の計数および/または他の任意の好適な仕方での目録品目40の処理もしくは扱いのために指定された位置を表す。目録品ステーション50は、目録品目40の処理もしくは扱いのための任意の適切なコンポーネントをも表しうる。たとえば、目録品目が目録品システム10を出入りする流れをモニタリングするためのスキャナ、管理モジュール15と通信するための通信インターフェースおよび/または他の任意の好適なコンポーネントなどである。目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい。さらに、目録品システムの人間または自動化されたオペレーターは、目録品システム10の動作の一部として、目録品目40に対して、目録品目40の梱包または計数といったある種のタスクを実行できてもよい。 【0023】 以下の記述で使われる「目録品ステーション」は目録品システム10によってサポートされる任意の適切な処理動作が完了されうる位置を指すが、目録品システム10の個々の実施形態は、目録品システム10によってサポートされる単一の処理タスクのみを実行するために好適な特化した目録品ステーション50を含んでいてもよい。たとえば、ある個別的な目録品ステーション50は、のちに定義する、取り出し要求のみ、あるいは補充要求のみを扱うことができてもよい。さらに、目録品システム10のある個別的な実施形態は、一般に、複数の型の目録品要求を扱うことができるが、どの所与の時点においても一つの特定の型の目録品要求のみを扱うよう構成されている目録品ステーション50を含んでいてもよい。 【0024】 作業スペース70は、移動駆動ユニット20が移動できる、および/または目録品ホルダー30が保管されることができる、目録品システム10に付随する領域を表す。たとえば、作業スペース70は、目録品システム10が動作するメールオーダー商店の床の全部または一部を表していてもよい。図1は、例示の目的のために、作業スペース70が固定した、所定の、有限の物理的スペースを含む目録品システム10の実施形態を示しているが、目録品システム10の個々の実施形態は、大きさが可変および/または幾何形状が任意の作業スペース70内で動作するよう構成された移動駆動ユニット20および目録品ホルダー30を含んでいてもよい。 【0025】 目録品システム10のある特定の実施形態の動作の間、管理モジュール15は、目録品システム10内での特定の動作をトリガーする目録品要求を受領する。該特定の動作は、これに限られないが、目録品目40および/または目録品ホルダー30の取り出し、保管、補充および計数に関連した動作を含む。目録品要求は、目録品システム10について好適な任意の形の通信を表していてよく、目録品目40を同定する任意の適切な情報および/または目録品システム10によって完了されるべき動作を含みうる。さらに、以下の記述は特定の諸動作を実行できる目録品システム10の実施形態に焦点を当てているが、目録品システム10の個別的な実施形態は、目録品目40の保管、処理または排出に関連した任意の適切な動作を実行するよう構成されていてよい。 【0026】 上記したように、管理モジュール15は、人間のオペレーターまたは目録品システム10の他のコンポーネントから目録品要求を受領しうる。たとえば、目録品システム10のオペレーターは、管理モジュール15に結合されたキーボードを使って目録品要求を手動で入力しうる。もう一つの例として、管理モジュール15は、リモート・コンポーネントから、インターネット接続のようなネットワーク接続を介して、目録品要求を受領しうる。あるいはまた、管理モジュール15自身が目録品要求を生成してもよい。たとえば、管理モジュール15は、所定のスケジュールに基づいて、あるいは特定のイベントに応答して特定の動作を開始するよう構成されていてもよく、しかるべく目録品要求を生成してもよい。一般に、管理モジュール15は、いかなる好適な仕方で目録品要求を受領または生成してもよい。しかしながら、例示のために、以下の記述は、管理モジュール15は目録品システム10の他の要素から目録品要求を受領するとする。」 オ「【0030】 図2および図3は、ここで「取り出し要求(retrieval request)」と称される特定の型の目録品要求に応答した、目録品システム10の特定の実施形態の動作を例解している。該「取り出し要求」は、一つまたは複数の型の目録品目40が目録品システム10内の保管から取り出されることを同定する。図2および図3によって例示される目録品システム10の実施形態では、目録品システム10は取り出し要求に応答するために二段階のプロセスを利用する。より具体的には、目録品システム10はまず、保管スペース90から選択された目録品ホルダー30を取り出し、該選択された目録品ホルダー30を選択された目録品ステーション50に移動させる。適切な目録品目40が目録品ホルダー30から拾い上げられたのち、目録品システム10は、選択された目録品ホルダー30について適切な保管スペース90を決定し、目録品ホルダー30を保管スペース90に移動させるか、目録品ステーション50に別の面を呈するように目録品ホルダー30を動かすか、目録品ホルダー30を別の目録品ステーション50に移動させるかする。図2は、目録品ホルダー30を選択し、取り出す際の目録品システム10の動作を例示する。一方、図3は、選択された目録品ホルダー30を格納する(storing)際の目録品システム10の動作を例示する。以下の記述は、取り出し要求に応答する際、目録品システム10は取り出しステップおよび格納ステップを実行するものとして記載しているが、個別的な実施形態では、目録品システム10は取り出しステップまたは格納ステップのそれぞれを他方から独立して実行するよう構成されていてもよいし、あるいは取り出し要求に応答する際にいかなる適切な追加的ステップを含むよう構成されていてもよい。 【0031】 図2は、上記のように、作業スペース70内の保管から目録品ホルダー30を取り出す際の、目録品システム10の動作を例示している。図2は、移動駆動ユニット20、目録品ホルダー30および目録品ステーション50を含む目録品システム10の上面図を示している。さらに、作業スペース70は、目録品要求に応答するために使われていないときに目録品ホルダー30が安置される物理的位置を表す複数の保管スペース90をも含む。 【0032】 追加的に、例示した実施形態では、各目録品ステーション50は、その目録品ステーション50に付随した、その目録品ステーション50の隣または近くに位置する待ち行列を有する。各待ち行列80は、一つまたは複数の移動駆動ユニット20および/または目録品ホルダー30が、関連する目録品ステーション50がその移動駆動ユニット20または目録品ホルダー30に関連する要求を処理する準備ができるまで安置されているためのスペースを提供する。たとえば、特定の目録品ステーション50は、いくつかの目録品要求を同時に処理することに関わっていてもよく、いくつかの移動駆動ユニット20がその目録品ステーション50にほぼ同時に到着してもよい。その目録品ステーション50のオペレーターが、一つの目録品ホルダー30の目録品目40を、その目録品ホルダー30に関連付けられた目録品要求に基づいて処理する間、他の目録品要求に関連付けられた移動駆動ユニット20および/または目録品ホルダー30は、目録品ステーション50のオペレーターが最初の目録品要求を処理し終わるまで、待ち行列80において待っていてもよい。 【0033】 動作では、管理モジュール15が、目録品システム10の保管から取り出されるべき目録品目40の一つまたは複数の型を同定する取り出し要求を受領する。目録品システム10の構成に依存して、取り出し要求は、取り出されるべき目録品目40の型の同定を、たとえば、製品名あるいは特定の目録品目40を指定することによって、たとえば特定の荷物を同定することによって行ってもよい。取り出し要求を受領するのに応答して、管理モジュール15は、好適な基準を使って、取り出し要求が処理される目録品ステーション50の一つを選択する。本記載の目的のためには、取り出し要求の「処理(processing)」とは、指定された目録品目40を目録品ホルダー30から選択してそれらの目録品目40を出荷のために箱に入れること、指定された目録品目40から完成した製品を組み立てること、目録品ホルダー30中の指定された目録品目40の数を数えることまたは目録品システム10の特性に基づいた他の任意の適切な仕方で、指定された目録品目40を処理することを含む。」 カ「【0063】 保管動作の間の保管スペース90の選択を容易にするために、管理モジュール15は、任意の適切な時点において、複数の保管領域(storage region)100を定義、計算または他の仕方で同定しうる。保管領域は保管スペース90をグループ化するもので、グループ化はグループ化される保管スペース90の一つまたは複数の特性に基づいて行われる。たとえば、管理モジュール15は、各保管スペース90と一つまたは複数の目録品ステーション50との間の距離に基づいて保管スペース90を保管領域100にグループ化してもよい。すると各保管領域100は、上記したように適切な保管スペース90を選択する際に管理モジュール15が使う保管スペース分類に、関連付けられうる。たとえば、管理モジュール15は、これらの保管領域100のそれぞれに、ホルダー速度の範囲を関連付けてもよい。 【0064】 例示される実施形態では、管理モジュール15は、諸保管スペース90を、各保管スペース90と一つまたは複数の目録品ステーション50のグループとの間の距離に基づいて、保管領域100a~dに分けている。たとえば、管理モジュール15は、各保管スペース90を特定の保管領域100に、その保管スペース90と目録品システム10内の任意の一つまたは複数の目録品ステーション50との間の一つまたは複数の距離に基づいて割り当ててもよい。管理モジュール15は、各保管スペース90の割り当てを、その保管スペース90と目録品システム10の諸目録品ステーション50との間の最大距離、最小距離、平均距離またはその他任意の一つもしくは複数の距離に基づいて行ってもよい。」 キ 【図1】(左側)及び【図2】(右側) [図:0001382352000002.jpg] ク 【図3】 [図:0001382352000003.jpg] ケ 【図1】からは、作業スペース70及び目録品ステーション50の床面が一致している構成が見て取れる。 コ 【図2】及び【図3】からは、目録品ステーション50が作業スペース70の外側に備えられ、待ち行列80が前記目録品ステーション50と前記作業スペース70の間を遮るよう配置された構成が見て取れる。 引用文献1の記載事項ア~ク並びに図示内容ケ及びコを総合し、本件特許の請求項1の記載振りに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「目録品システム10であって、 目録品目40及び目録品ホルダー30を保管および取り出し可能とし、保管領域100a~dに分けられる保管スペース90と、 前記保管スペース90から目録品目40及び目録品ホルダー30を取り出し、取り出した目録品目40及び目録品ホルダー30を移動し、目録品目40及び目録品ホルダー30を移動するとき保管スペース90以外の作業スペース70内で移動している移動駆動ユニット20と、 作業スペース70の外側において前記移動駆動ユニット20が移動させた目録品ホルダー30に関連付けられた目録品要求に基づいて処理する、床面が作業スペース70の床面と一致している目録品ステーション50を備え、 前記保管スペース90以外の作業スペース70と前記目録品ステーション50との間にさらに前記目録品ステーション50と前記作業スペース70の間を遮るように、前記目録品ステーション50の隣又は近くに位置する待ち行列80を備え、目録品ステーション50のオペレーターが目録品目40を処理する目録品システム10」 (2)引用文献2の記載事項 取消理由通知に記載した引用文献2には、以下の事項が記載されている。 ア [図:0001382352000004.jpg] (第6頁第6~23行) 当審訳「実施例1 従来技術における荷物仕分け効率を向上させようとする問題を解決するために、図1に示すように、本発明の実施例は荷物仕分けシステムを提供する。当該荷物仕分けシステムは、荷物仕分け装置100及び荷物収集装置101を有する。前記荷物仕分け装置100には、複数の荷物チェック入口104及び複数の荷物出口102が設けられ、前記荷物収集装置101は、前記荷物仕分け装置100の真下に位置する。前記荷物仕分け装置100における前記複数の荷物出口102は、それぞれ前記荷物収集装置101と連通するとともに、前記荷物仕分け装置100の中部又は/及び縁部に位置する。各前記荷物出口102の下方に位置する前記荷物収集装置101の部分には、収容装置103がそれぞれ一つずつ設けられ、収容装置103の開口部のサイズが前記荷物出口102の開口部のサイズより大きい。 また、荷物仕分け装置100及び荷物収集装置101は、例えば、四角形、円形、多辺形等の複数の構成で実現でき、荷物収集装置101と荷物仕分け装置100の面積をほぼ同様にすることが好ましい。 荷物仕分け効率を向上させるために、各前記荷物チェック入口104には荷物情報獲得装置200がそれぞれ一つずつ設けられ、前記荷物チェック入口104は、前記荷物情報獲得装置200と一対一のように対応し、前記荷物情報獲得装置200は、前記荷物情報獲得装置200に対応する前記荷物チェック入口104に進入する仕分け待ち荷物の目的地の情報を含む荷物情報を獲得するためのものであることが好ましい。」 (特表2018-516173号の段落【0022】~【0024】参照。) イ 図1 [図:0001382352000005.jpg] ウ 図4 [図:0001382352000006.jpg] (3)引用文献3の記載事項 取消理由通知に記載した引用文献3には、以下の事項が記載されている。 ア「【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、共通する説明を省略する。図1は、本発明による無人搬送車の検品搬送方法を模式的に示す斜視図であり、図2は、検品ステーションにおける検品搬送方法を示す側面図である。図1において、無人搬送車2は、所定の荷取ステーション5から荷置ステーション6までの搬送経路1に沿って走行するようになっている。この例において、無人搬送車2は、位置決めにレーザーセンサを利用したレーザ式無人フォークリフト車であり、作業エリアを囲んで複数の箇所に設置されたレーザタグ3までの角度をレーザーセンサにより検出し、その位置を精度よく検出するようになっている。なお、無人搬送車2は、かかるレーザ式無人フォークリフト車に限定されず、磁気テープや反射テープを用いた周知の種々の搬送車であってもよい。 【0016】また作業エリアにあるすべての無人搬送車2は、管制制御装置4により統括して制御されている。この管制制御装置4は、各無人搬送車2の位置、作業内容、自動/手動,アラーム等の状態を監視すると共に、在庫管理システムなどの上位計算機からの搬送要求に対して、最適な無人搬送車2を選択し、その無人搬送車2に荷取ステーション,荷置ステーション等の作業指示を出す。また、搬送経路1の合流点,交差点の管制も制御する。なお、特開平8-030328号に示したように、合流点,交差点の管制制御の一部を無人搬送車2自体で行ってもよい。」 イ【図1】 [図:0001382352000007.jpg] (4)甲第2号証の記載事項 異議申立人が特許異議申立書に添付した甲第2号証である特表2009-541175号公報には、次の事項が記載されている。 ア「【0025】 移動駆動ユニット20に関し、特に、管理モジュール15は、特定の諸実施形態において、選択された移動駆動ユニット20にタスク割り当て18を通信してもよい。それは選択された移動駆動ユニット20について一つまたは複数の行き先を同定する。管理モジュール15は関連するタスクを割り当てる移動駆動ユニット20を選択するのを、選択される移動駆動ユニット20の位置または状態、選択される移動駆動ユニット20が先に割り当てられたタスクを完了したという指標、所定のスケジュールおよび/または他の任意の好適な考察に基づいて行ってもよい。これらの行き先は、管理モジュール15が実行している目録品要求または管理モジュール15が満たそうとしている管理目標に関連付けられていてもよい。たとえば、タスク割り当ては、全体としての目録品システム10または目録品システム10の個々のコンポーネントの構成、特性および/または状態に基づき、取り出されるべき目録品ホルダー30の位置、訪問されるべき目録品ステーション50、移動駆動ユニット20が別のタスクを受領するまで駐機する保管位置または他の任意のタスクに関連付けられた位置を定義してもよい。たとえば、特定の諸実施形態において、そのような決定は、特定の目録品の人気、特定の目録品ステーション50の人員状況、特定の移動駆動ユニット20に現在割り当てられているタスクおよび/または他の任意の適切な考察に基づいていてもよい。」 イ「【0065】 図5に示されるように、ルーティング・プロセスは、管理モジュール15がタスク割り当て18を移動駆動ユニット20に送信することで始まる。タスク割り当て18は、対応するタスクに関連付けられた一つまたは複数の行き先を同定する。タスク割り当て18は、直接、あるいは個別的なコンポーネント(たとえば、特定の目録品ホルダー30または目録品ステーション50)の既知の位置または作業スペース70の特定の部分を基準として、関連する行き先を同定してもよい。タスク割り当て18は、割り当てられたタスクを完了する際に使用すべき移動駆動ユニット20のために好適ないかなる追加的な情報を含んでいてもよい。」 ウ【図5】 [図:0001382352000008.jpg] 4 判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について ア 特許法第36条第6項第2号(明確性)及び特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について (ア)上記2(1)ア及び(2)アについて 特許権者が令和3年11月29日付け意見書に添付した乙第1号証(なお、令和3年6月21日付け意見書には、乙第1~4号証が添付されているので、令和3年11月29日付け意見書に添付した乙第1号証は乙第5号証の誤記と認められる。)である、明鏡国語辞典、第2版、319頁の「囲む」の項目には、黒丸に白抜きの「2」の欄に、「囲いとなるもので、中にあるものを取り巻く。」と記載されており、また、黒丸に白抜きの「3」の欄に、「囲いとなるものが外側に位置して、中にあるものを取り巻く。」と記載されていることから、請求項1及び請求項15に記載された「前記第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域」との記載によって、「スケジューリング領域」について「第3領域の一部又は全部を取り巻く」状態が特定されることは明らかであるから、請求項1ないし15に係る発明は明確である。 そして、請求項1ないし15に係る発明を、どのように実施するか当業者は理解できると認められるから、発明の詳細な説明は、請求項1ないし15に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (イ)上記2(1)イ及び(2)イについて 本件訂正により、請求項1及び15において「前記移動搬送装置は、前記スケジューリング領域において前記仕分け対象物を前記物品受け装置に搬送する」との事項が特定されたので、「スケジューリング領域」は、「移動搬送装置」が「仕分け対象物」を「物品受け装置に搬送する」領域であることが明らかとなった。 このため、本件訂正により、請求項1ないし15に係る発明は明確となった。 また、請求項1ないし15に係る発明を、どのように実施するか当業者は理解できると認められるから、発明の詳細な説明は、請求項1ないし15に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (ウ)上記2(1)ウについて 複数の第3領域が、スケジューリング領域で一部または全部を取り巻くことができる状態で、第2領域の外輪縁部に順次分散配置される場合、当該複数の第3領域は、相互に分離した状態で存在できるから、この分離した状態の複数の第3領域のそれぞれを、請求項6において「独立領域」と表記していることは明らかである。 そうであれば、請求項6に係る発明は明確である。 (エ)上記2(1)エ及び(2)ウについて 本件訂正により、請求項11において、訂正前の「提示情報を行う」との記載は、「情報提示を行う」に改められたため、請求項11に係る発明は明確となった。 また、請求項11に係る発明を、どのように実施するか当業者は理解できると認められるから、発明の詳細な説明は、請求項11に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (オ)上記2(1)オ及び(2)エについて 仕分け対象物品の数が少ない場合の第3領域内の物品受け装置の数に比べて、仕分け対象物品の数が多い場合の第3領域内の物品受け装置の数を多くすることが合理的であることは、当業者にとって明らかである。 そうであれば、仕分け対象物品の数に応じて、第3領域内の物品受け装置の数が増減し、増減した物品受け装置の配置場所は制御装置によって制御される必要があり、当該制御の課程において、複数の物品受け装置の配置場所の変更に伴い、各々の配置場所の総体である配列は、変更されることとなる。 そうすると、請求項13に記載された「前記仕分け対象物品の数に基づいて、前記物品受け装置が前記第3領域内で再配列されるように制御する」の「再配列」とは、前述の「配列」の「変更」を意味することは明らかであり、請求項13に係る発明は明確である。 また、請求項13に係る発明を、どのように実施するか当業者は理解できると認められるから、発明の詳細な説明は、請求項13に係る発明を、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 (カ)小括 したがって、本件特許は、特許法第36条第6項第2号及び同条第4項第1号に規定する要件を満たす。 イ 特許法第29条第1項第3号及び同条第2項(新規性・進歩性)について (ア)本件発明1の検討 本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「目録品システム10」は、本件発明1の「物品仕分けシステム」に相当し、以下同様に、 「目録品目40及び目録品ホルダー30」は「仕分け対象物品」に、 「保管領域100a~d」は「第1領域」に、 「保管領域100a~dに分けられる保管スペース90」は「第1領域が形成される物品供給端」に、 「保管スペース90以外の作業スペース70」は「第2領域」に、 「移動駆動ユニット20」は「移動搬送装置」に、 「作業スペース70の外側」は「第3領域」に、 「目録品ステーション50」は「物品受け装置」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「保管および取り出し可能と」することは、本件発明1の「供給」することに相当し、 引用発明の「取り出した目録品目40及び目録品ホルダー30を移動」することは、本件発明1の「受けた仕分け対象物品を搬送」することに相当し、 引用発明の「移動駆動ユニット20が移動させた目録品ホルダー30に関連付けられた目録品要求に基づいて処理する」ことは本件発明1の「移動搬送装置が搬送する仕分け対象物品を受け」ることに相当する。 さらにまた、引用発明の「床面が作業スペース70の床面と一致している」ことは、本件発明1の「底部が前記移動搬送装置の底部と面一である」ことに相当する。 そして、引用発明の「前記目録品ステーション50と前記作業スペース70の間を遮るように、前記目録品ステーション50の隣又は近くに位置する」ことと、本件発明1の「前記第3領域の一部又は全部を囲む」こととは、「前記第3領域の一部又は全部を遮る」という限りで共通し、引用発明の「待ち行列80」と、本件発明1の「スケジューリング領域」とは、「領域」という限りにおいて一致する。 したがって、本件発明1と引用発明とは、 「物品仕分けシステムであって、 仕分け対象物品を供給し、第1領域が形成される物品供給端と、 前記物品供給端から仕分け対象物品を受けて、受けた仕分け対象物品を搬送し、物品を搬送するときに第2領域内で移動している移動搬送装置と、 第3領域において前記移動搬送装置が搬送する仕分け対象物品を受け、底部が前記移動搬送装置の底部と面一である物品受け装置とを備え、 前記第2領域と前記第3領域の間にさらに前記第3領域の一部又は全部を遮る領域が設置される物品仕分けシステム。」 である点で一致し、以下の相違点で相違する。 [相違点] 本件発明1の「スケジューリング領域」は、「前記第3領域の一部又は全部を囲む」領域であるのに対し、引用発明の「待ち行列80」は、「前記目録品ステーション50と前記作業スペース70の間を遮るように、前記目録品ステーション50の隣又は近くに位置する」領域であり、また、本件発明1の「移動搬送装置」は、「スケジューリング領域において前記仕分け対象物品を前記物品受け装置に搬送する」構成であるのに対し、引用発明の「移動駆動ユニット20」は、「目録品ステーション50のオペレーターが目録品目40を処理する」構成である点。 次に相違点について検討する。 引用発明においては、待ち行列80によって、目録品ステーション50を囲む、あるいは取り巻く構成は、想定されていない。 また、複数の移動駆動ユニット20が、1つの目録品ステーション50を囲む、あるいは取り巻く構成は、引用文献1に、記載も示唆もされていない。 さらに、引用文献2及び3並びに異議申立人の甲第2号証には、第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域において、「移動搬送装置」が「仕分け対象物を前記物品受け装置に搬送する」構成は記載も示唆もされていない。 そうであれば、相違点に係る本件発明1の構成は、引用発明及び引用文献2~3並びに甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 また、本件発明1は、第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域の随所で、複数の移動搬送装置搬送から仕分け対象物を物品受け装置に搬送することが可能であるから、「柔軟性が高くて、コストがより低い」(本件明細書段落【0005】参照。)物品仕分けシステムが実現できるという作用効果を奏する。 したがって、本件発明1は、引用発明でなく、また、引用発明及び引用文献2~3並びに甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ)本件発明2~14の検討 本件発明2~14は、本件発明1をさらに減縮したものであるから、本件発明2~14は、引用発明でなく、また、引用発明及び引用文献2~3並びに甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ)本件発明15の検討 本件発明15は、本件発明1の「物品仕分けシステム」という物の発明のカテゴリーを、「物品仕分け方法」という方法の発明に変更した発明に相当し、本件発明15と引用文献1に記載された発明との比較において、上記(ア)の相違点1及び相違点2と同様の相違点を有するから、本件発明15は、引用文献1に記載された発明でなく、また、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2~3に記載された事項及び甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (エ)小括 本件発明1~15は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、同条第2項に違反しない。 (2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 異議申立人は、本件特許の訂正前の請求項1~6及び15に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである旨主張している。 しかしながら、引用文献1及び甲第2号証には、本件発明1~6及び15の有する、第3領域の一部又は全部を囲むスケジューリング領域によって、移動搬送装置が仕分け対象物品を物品受け装置に搬送する構成に相当するものは、記載も示唆もされていない。 そうであれば、本件発明1~6及び15は、引用文献1に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 したがって、本件発明1~6及び15は、特許法第29条第2項に違反しない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-700682

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