特許異議申立
2024-700491
速結端子ユニット、及び配電盤
- 審判番号
- 2024-700491
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-055097
- 登録番号
- 7386528
- 請求日
- 2024年05月24日
- 審決日
- 2025年10月24日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社因幡電機製作所
- 【権利者代理人】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
- 【異議申立人】松田 寛之
- 審判長/審判官
- 審判長 石井 孝明
- 審判官 小川 恭司
- 審判官 岩瀬 昌治
- 分類
- P1652.121-YAA(H02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7386528号発明「速結端子ユニット、及び配電盤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7386528号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7386528号の請求項1、2、6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯の概略
特許第7386528号の請求項1~6に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和2年3月25日の出願であり、手続の経緯は、概ね、次のとおりである。
令和 5年11月16日 特許権の設定登録
令和 5年11月27日 特許掲載公報
令和 6年 5月24日 特許異議申立人松田寛之(以下「特許異議申立人」という。)による請求項1、2、6に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 6年 7月22日付け 取消理由通知書
令和 6年 9月19日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 6年11月 1日 特許異議申立人による意見書の提出
令和 6年11月29日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和 7年 2月 3日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 7年 2月21日 特許権者による訂正請求書に関する手続補正書の提出
令和 7年 4月11日 特許異議申立人による意見書の提出
令和 7年 6月30日付け 訂正拒絶理由通知書
令和 7年 7月17日 特許権者による手続補正書及び意見書の提出
以下、令和7年2月3日に提出された訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和6年9月19日に提出された訂正請求書は、取り下げられたものと見なす(特許法120条の5第7項)。
第2 本件訂正の適否
1 令和7年7月17日に提出された手続補正書による手続補正について
上記手続補正は、令和7年2月3日に提出された訂正請求書における訂正事項3を削除する補正であるから、上記手続補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
したがって、上記手続補正は、特許法120条の5第9項において準用する同法131条の2第1項の規定に適合するものであるから、上記手続補正を認める。
2 本件訂正の内容
本件訂正の請求は、特許第7386528号の特許請求の範囲を、令和7年7月17日に提出された手続補正書によって補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1に「前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部から延びて前記挿入状態を表示する表示端部を備え、前記表示端部及び前記覗き窓は、前記回転軸よりも前記電線の挿抜方向の抜く側に位置しており、前記表示端部は、前記第1姿勢で前記覗き窓を介して視認できない位置に位置し、前記第2姿勢で前記覗き窓を介して視認可能な位置に位置し、前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触しておらず、前記回転軸と平行な視線で見て、前記回転軸は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路と重ならない」という記載を追加する訂正をする。(請求項1の記載を引用する請求項2、3、6も同様の訂正をする。)
(訂正事項2)
訂正事項1に伴い、特許請求の範囲の請求項2において訂正後の請求項1と重複する記載を改める。具体的には、特許請求の範囲の請求項2の記載「前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部から延びて前記電線と接触し得る電線接触端部と、前記軸部から延びて前記挿入状態を表示する表示端部と、を備え、前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触していない、請求項1に記載のアース用速結端子ユニット。」を「前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部から延びて前記電線と接触し得る電線接触端部を備える、請求項1に記載のアース用速結端子ユニット。」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項6も同様の訂正をする。)
(訂正事項4)
特許請求の範囲の請求項4に「前記ケースは、前記速結端子部及び前記表示部材を収容する内部空間を有するケース本体と、前記内部空間を閉塞するケース蓋と、を有し、前記ケース本体は、前記電線挿通孔を有し、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の挿抜方向の抜く側に前記ケース蓋が配置されており、前記速結端子部及び前記表示部材は、前記ケース本体及び前記ケース蓋に挟まれ、前記回転軸は、前記電線の挿抜方向に直交しており、前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部を有し、前記軸部が前記ケース本体及び前記ケース蓋に前記電線の挿抜方向の両側から挟まれた状態で回転可能に支持されている、請求項1~3のいずれかに記載のアース用速結端子ユニット。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「電線が差し込まれる電線挿通孔を正面側に有するケースと、前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線を保持する速結端子部と、前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線に接触し回転軸を中心に回転して前記ケースの覗き窓を介して前記電線の挿入状態を表示する表示部材と、前記速結端子部に保持された状態の前記電線に電気的に導通可能であり且つ前記ケースの背面側に露出し且つアースに接続されるための接続用端子と、を備え、前記表示部材は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路に侵入する第1姿勢と、前記電線の進路から退避した第2姿勢とのいずれかの姿勢に回転により姿勢変更可能に構成されており、前記表示部材は、前記電線の差し込み量の増加に応じて前記第1姿勢から前記第2姿勢に姿勢変更し、前記第2姿勢において前記電線の差し込み量にかかわらず姿勢変更せず、前記速結端子部は、前記表示部材以外から外力を受けることで保持状態の前記電線を解放可能に構成されており、前記表示部材は、前記ケースの内部に収容され前記ケースに包囲されており、前記ケースは、前記速結端子部及び前記表示部材を収容する内部空間を有するケース本体と、前記内部空間を閉塞するケース蓋と、を有し、前記ケース本体は、前記電線挿通孔を有し、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の挿抜方向の抜く側に前記ケース蓋が配置されており、前記速結端子部及び前記表示部材は、前記ケース本体及び前記ケース蓋に挟まれ、前記回転軸は、前記電線の挿抜方向に直交しており、前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部を有し、前記軸部が前記ケース本体及び前記ケース蓋に前記電線の挿抜方向の両側から挟まれた状態で回転可能に支持されている、アース用速結端子ユニット。」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5、6も同様の訂正をする。)
3 本件訂正の適否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1に係る本件訂正は、請求項1に係る発明における覗き窓及び表示部材について、「前記回転軸を有する軸部から延びて前記挿入状態を表示する表示端部を備え、前記表示端部及び前記覗き窓は、前記回転軸よりも前記電線の挿抜方向の抜く側に位置しており、前記表示端部は、前記第1姿勢で前記覗き窓を介して視認できない位置に位置し、前記第2姿勢で前記覗き窓を介して視認可能な位置に位置し、前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触しておらず、前記回転軸と平行な視線で見て、前記回転軸は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路と重ならない」ことでさらに特定するものである。
よって、訂正事項1に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものか否か
訂正事項1に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項1における覗き窓及び表示部材について、概念的により下位のものに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものには該当しないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、【0017】に「表示部材65は、電線挿通孔63に差し込まれた電線Sに接触し回転軸C1を中心に回転して電線Sの挿入状態を表示する。具体的には、表示部材65の軸部65bがケース60によって回転軸C1を中心として回転可能に支持されている。表示部材65は、軸部65bから延びて挿入状態を表示する表示端部65aと、軸部65bから延びて電線Sと接触し得る電線接触端部65cと、を有する。ケース60には、覗き窓60hが形成されている。表示部材65の表示端部65aが除き窓60hを介して外部から視認できるか否かにより、表示部材65は電線Sの挿入状態を表示する。表示端部65aには、表示部材65の他の部位とは異なる色(例えば、黄色や赤色など)が付されている。本実施形態では、表示端部65aが覗き窓60h全体を占めて視認できる場合には、電線Sが適切な接続状態であることを意味する。表示端部65aが覗き窓60hから視認できない場合又は表示端部65aが覗き窓60hの一部のみを占めて視認される場合には、電線Sが差し込み不足であることを意味する。」と記載されており、【0023】に「図5(b)に示すように、第2姿勢p2において表示端部65aはケース60に接触せずに、表示端部65aとケース60との間に隙間が設けられている。」と記載されており、図5から、表示端部65a及び覗き窓60hは、回転軸C1よりも電線Sの挿抜方向の抜く側に位置していること、回転軸C1と平行な視線で見て、回転軸C1は、電線挿通孔63に差し込まれ速結端子部62を通過する電線Sの進路Rと重ならないことが看取されるから、本件特許明細書等には、「前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部から延びて前記挿入状態を表示する表示端部を備え、前記表示端部及び前記覗き窓は、前記回転軸よりも前記電線の挿抜方向の抜く側に位置しており、前記表示端部は、前記第1姿勢で前記覗き窓を介して視認できない位置に位置し、前記第2姿勢で前記覗き窓を介して視認可能な位置に位置し、前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触しておらず、前記回転軸と平行な視線で見て、前記回転軸は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路と重ならない」ことが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2において特定されていた「前記表示部材は、」「前記軸部から延びて前記挿入状態を表示する表示端部と、を備え、前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触していない」との構成を、訂正事項1により本件訂正後の請求項1において特定した結果、上記構成が重複することを避けるために、請求項2から削除するものであるから、訂正事項1によって生じる不整合を解消すること、すなわち、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものか否か
訂正事項2に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項2における覗き窓及び表示部材について、概念的により下位のものに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものには該当しないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項の追加の有無
訂正事項1に伴い、実質的に請求項2に係る発明における覗き窓及び表示部材について限定した事項については、上記(1)ウで検討した通りであるから、訂正事項2に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項4は請求項1~3のいずれか1項を引用していたところ、引用する請求項の数を減少させて請求項1を引用する場合のみに限定するとともに、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項へ改めるための訂正であるから、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮、及び、他の請求項記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものか否か、及び、新規事項の追加の有無
訂正事項4に係る本件訂正は、特許請求の範囲を減縮するとともに、請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項へ改めるための訂正であって、実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ 独立特許要件
訂正事項4は、特許異議の申立てがされていない本件訂正前の請求項4について、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を含むものである。
そこで、独立特許要件について検討する。
訂正後の請求項4に係る発明(以下「訂正発明4」という。)と下記第5の1(1)イおいて認定する甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、下記第5の2おいて挙げる<一致点>において一致し、相違点1及び次の相違点3において相違する。
<相違点3>
訂正発明4は「前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線に接触し回転軸を中心に回転して前記ケースの覗き窓を介して前記電線の挿入状態を表示する表示部材」を備え、「前記表示部材は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路に侵入する第1姿勢と、前記電線の進路から退避した第2姿勢とのいずれかの姿勢に回転により姿勢変更可能に構成されており、前記表示部材は、前記電線の差し込み量の増加に応じて前記第1姿勢から前記第2姿勢に姿勢変更し、前記第2姿勢において前記電線の差し込み量にかかわらず姿勢変更せず、」「前記表示部材は、前記ケースの内部に収容され前記ケースに包囲されており、前記ケースは、前記速結端子部及び前記表示部材を収容する内部空間を有するケース本体と、前記内部空間を閉塞するケース蓋と、を有し、前記ケース本体は、前記電線挿通孔を有し、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の挿抜方向の差し込み側に前記ケース蓋が配置されており、前記速結端子部及び前記表示部材は、前記ケース本体及び前記ケース蓋に挟まれ、前記回転軸は、前記電線の挿抜方向に直交しており、前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部を有し、前記軸部が前記ケース本体及び前記ケース蓋に前記電線の挿抜方向の両側から挟まれた状態で回転可能に支持されている」のに対し、甲1発明は、覗き窓及び表示部材を備えておらず、ケース本体と、電線の挿抜方向の差し込み側に配置されたケース蓋とからなるケースでもない点。
そして、相違点3に係る構成は、特許異議申立人が提出した甲第1号証~甲第12号証のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用の範疇にあるというに足る根拠もないことから、訂正発明4が甲1発明及び甲2~甲12に記載されている事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
また、他に独立特許要件を満たさない理由も発見しない。
したがって、訂正発明4は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
(4)一群の請求項について
本件訂正前の請求項6は請求項1~6を直接又は間接的に引用する関係であるから、請求項1~6は一群の請求項である。そして、本件訂正は、請求項1~6について訂正することを求めるものであるから、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであって、同条第9項において準用する同法第126条第5項~第7項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記「第2」のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりである。
【請求項1】
電線が差し込まれる電線挿通孔を正面側に有するケースと、前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線を保持する速結端子部と、前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線に接触し回転軸を中心に回転して前記ケースの覗き窓を介して前記電線の挿入状態を表示する表示部材と、前記速結端子部に保持された状態の前記電線に電気的に導通可能であり且つ前記ケースの背面側に露出し且つアースに接続されるための接続用端子と、を備え、
前記表示部材は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路に侵入する第1姿勢と、前記電線の進路から退避した第2姿勢とのいずれかの姿勢に回転により姿勢変更可能に構成されており、
前記表示部材は、前記電線の差し込み量の増加に応じて前記第1姿勢から前記第2姿勢に姿勢変更し、前記第2姿勢において前記電線の差し込み量にかかわらず姿勢変更せず、
前記速結端子部は、前記表示部材以外から外力を受けることで保持状態の前記電線を解放可能に構成されており、
前記表示部材は、前記ケースの内部に収容され前記ケースに包囲されており、
前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部から延びて前記挿入状態を表示する表示端部を備え、
前記表示端部及び前記覗き窓は、前記回転軸よりも前記電線の挿抜方向の抜く側に位置しており、
前記表示端部は、前記第1姿勢で前記覗き窓を介して視認できない位置に位置し、前記第2姿勢で前記覗き窓を介して視認可能な位置に位置し、
前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触しておらず、
前記回転軸と平行な視線で見て、前記回転軸は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路と重ならない、アース用速結端子ユニット。
【請求項2】
前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部から延びて前記電線と接触し得る電線接触端部を備える、請求項1に記載のアース用速結端子ユニット。
【請求項3】
前記第1姿勢へ向かう弾性反発力を前記表示部材に対して付与する復帰部を更に備え、
前記復帰部は前記表示部材に一体に形成され、前記復帰部と前記表示部材は同一部材である、請求項1又は2に記載のアース用速結端子ユニット。
【請求項4】
電線が差し込まれる電線挿通孔を正面側に有するケースと、前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線を保持する速結端子部と、前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線に接触し回転軸を中心に回転して前記ケースの覗き窓を介して前記電線の挿入状態を表示する表示部材と、前記速結端子部に保持された状態の前記電線に電気的に導通可能であり且つ前記ケースの背面側に露出し且つアースに接続されるための接続用端子と、を備え、
前記表示部材は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路に侵入する第1姿勢と、前記電線の進路から退避した第2姿勢とのいずれかの姿勢に回転により姿勢変更可能に構成されており、
前記表示部材は、前記電線の差し込み量の増加に応じて前記第1姿勢から前記第2姿勢に姿勢変更し、前記第2姿勢において前記電線の差し込み量にかかわらず姿勢変更せず、
前記速結端子部は、前記表示部材以外から外力を受けることで保持状態の前記電線を解放可能に構成されており、
前記表示部材は、前記ケースの内部に収容され前記ケースに包囲されており、
前記ケースは、前記速結端子部及び前記表示部材を収容する内部空間を有するケース本体と、前記内部空間を閉塞するケース蓋と、を有し、
前記ケース本体は、前記電線挿通孔を有し、
前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の挿抜方向の差し込み側に前記ケース蓋が配置されており、
前記速結端子部及び前記表示部材は、前記ケース本体及び前記ケース蓋に挟まれ、
前記回転軸は、前記電線の挿抜方向に直交しており、
前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部を有し、前記軸部が前記ケース本体及び前記ケース蓋に前記電線の挿抜方向の両側から挟まれた状態で回転可能に支持されている、アース用速結端子ユニット。
【請求項5】
前記表示部材の一部は、前記速結端子部よりも前記ケース蓋側に配置されており、前記表示部材は、前記電線の挿抜方向に沿って見て、前記速結端子部に部分的に重なっている、請求項4に記載のアース用速結端子ユニット。
【請求項6】
複数の遮断器と、帯状導体のアースと、前記アースに前記接続用端子が接続された請求項1~5のいずれかに記載のアース用速結端子ユニットと、を有する配電盤。
第4 取消理由の概要
1 概要
本件訂正前の本件特許に対し通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
本件の請求項1、2、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と、相違点1(速結端子部が保持状態の電線を解放するための構成)、相違点2及び3(表示部材を備える点)において相違するが、相違点1に係る構成は周知技術1(甲第2号証~甲第3号証)であり、相違点2及び3に係る構成は周知技術2(甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証)であって、本件の請求項1、2、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1、2、6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、取消理由(決定の予告)において通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
令和6年9月19日の訂正請求により訂正された請求項1、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と、相違点1(速結端子部が保持状態の電線を解放するための構成)及び相違点2(表示部材を備える点)において相違するが、相違点1に係る構成は周知技術1であり、相違点2に係る構成は甲第3号証に記載された技術的事項又は甲第6号証に記載された技術的事項であって、本件の請求項1、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、周知技術1、及び、甲第3号証に記載された技術的事項又は甲第6号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、令和6年9月19日の訂正請求により訂正された請求項1、6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 証拠方法
特許異議申立人提出の証拠方法は以下のとおりである。
甲第1号証:特開2019-149898号公報
甲第2号証:特開2000-243483号公報
甲第3号証:登録実用新案第3098937号公報
甲第4号証:実願平4-82484号(実開平6-45260号)のCD-ROM
甲第5号証:特開平5-343111号公報
甲第6号証:特開平10-177869号公報
甲第7号証:特開平11-40216号公報
甲第8号証:特開2000-215780号公報
甲第9号証:特開2010-205567号公報
甲第10号証:特開2010-205568号公報
甲第11号証:特開2010-205569号公報
甲第12号証:特開2010-205570号公報
以下、証拠番号に従い「甲1」「甲2」などという。
第5 当審合議体の判断
1 各甲号証について
(1)甲1について
ア 甲1の記載事項
「【0012】
図2及び図3に示すように、配電盤は、複数の遮断器1と、配電盤の回路部の一部を構成する銅帯等の帯状導体5と、を有する。配電盤の外部から引き込まれた電線Sは、遮断器1又は帯状導体5と電気的に接続される。電線Sを遮断器1に接続する作業を容易に行えるようにするために、遮断器1には速結端子部が設けられている。また、帯状導体5と電線Sとを電気的に接続する作業を容易に行えるようにするために、速結端子ユニット6を設けている。
【0013】
なお、電線の配線は仕様に応じて適宜変わるので、配電盤の出荷時には電線が配線されていない場合があり、図2は、配線の様子を示す正面図である。
【0014】
帯状導体5は、アースとして設けられ、互いに平行に複数配置される。本実施形態では、2本配置され、1つがELCB(Earth Leakage Circuit Breaker;漏電ブレーカ用)用の第1導体5aとして設けられ、もう1つがED(D種接地用)用の第2導体5bとして設けられているが、これに限定されない。帯状導体5の長手方向は、筐体2に対して上下方向(Y1,Y2)に沿って配置される。図2では上下方向、図3では紙面に対して垂直方法である。第1導体5a及び第2導体5bは、正面側X1から背面側X2を見た奥行方向における位置(高さ)が同じである。
【0015】
速結端子ユニット6は、図3、図4、図5A及び図5Bに示すように、第1導体5a及び第2導体5bよりも正面側X1に配置される。速結端子ユニット6は、筐体60と、筐体60の正面側X1に形成された1つの電線挿通孔63と、1つの電線挿通孔63に挿入された電線と電気的に接続可能であり、挿入された電線の挿抜が自在に構成された1つの速結端子部62と、速結端子部62に電気的に接続され且つ筐体60の背面側X2に露出する接続用端子61と、を有する。速結端子部62は、電線挿通孔63と、電線挿通孔63の奥に設けられた電線を挟む挟持構造(非図示)と、挟持構造から電線を離すための解除操作を入力するための解除操作部64と、を有する。図4の側面図にて破線で示すように、速結端子部62はその基端部が接続用端子61(図4にて斜線で示す)と導通している。速結端子ユニット6の筐体60は絶縁性の部材(例えば樹脂)で形成されているが、適切な電気的接続(導通)を確保することができれば、材料を任意に変更可能である。筐体60の正面側X1には、電線Sの被覆を剥ぐ寸法を示すストリップゲージ65と、適合する電線径を示す表示66と、が設けられている。
【0016】
図5Aに示すように、速結端子ユニット6は、接続用端子61が第1導体5aに導通し且つ第2導体5bに導通しない第1の向きp1で第1導体5a又は第2導体5bに取り付け可能に構成されている。さらに、図5Bに示すように、速結端子ユニット6は、接続用端子61が第2導体5bに導通し且つ第1導体5aに導通しない第2の向きp2で第1導体5a又は第2導体5bに取り付け可能に構成されている。図5A、Bに示す実施形態では、第1の向きp1にて第1導体5aに速結端子ユニット6が取り付けられ、第2の向きp2にて第2導体5bに速結端子ユニット6が取り付けられているが、これに限定されない。例えば、筐体60の背面側X2に露出する接続用端子61の場所を変更することにより、第1の向きp1にて第2導体5bに速結端子ユニット6が取り付けられ、第2の向きp2にて第1導体5aに速結端子ユニット6が取り付けられるように構成することも可能である。」
「 図4
[図:0001432026000001.jpg]
」
イ 甲1発明
上記アを総合すると、甲1には、次の発明が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「電線Sが差し込まれる電線挿通孔63を正面側に有する筐体60と、前記電線挿通孔63に差し込まれた前記電線Sを保持する速結端子部62と、前記速結端子部62に保持された状態の前記電線Sに電気的に導通可能であり且つ前記筐体60の背面側に露出し且つアースとして設けられた第1導体5a又は第2導体5bに接続されるための接続用端子61と、を備え、
前記速結端子部62は、解除操作部64から解除操作を入力することで挟持構造から電線を離すように構成されている、
速結端子ユニット6。」
(2)甲2について
甲2には次のとおりに記載されている。
「【0014】端子装置は、速結端子部75と、連結部7とを有する。」
「【0019】絶縁性ケース3は、下面開口22を有して、一対の対向側片4、5に被さるように取着されるケースであって、鎖錠ばね2に対応する上壁23に電線導体18を挿通する電線挿通孔24を各々設けるとともに内部に個々の鎖錠ばね2毎に位置決めする位置決め壁25を設けている。」
「【0020】また解除釦30が、絶縁性ケース3の2つ毎の電線挿通孔24の中間で電線挿通孔24の並設方向に対して直交方向にずらした位置に設けられ、2つ毎の電線挿通孔24から挿通された電線導体18を、鎖錠ばね2に鎖錠された状態から各々鎖錠ばね2を撓めて解錠する。すなわち、解錠釦30で操作される一対の鎖錠ばね2を個々に位置決めする位置決め壁25を跨がる形で解錠釦30を絶縁性ケース3内に配設し、この解錠釦30が跨がる位置決め壁25に、解錠釦30を絶縁性ケース3の上面から内面方向にスライドさせるガイド突起31を設けるとともに、解錠釦30にスライド突起31に沿って係合するスライド溝32を設けている。また解除釦30は略長方体であり、解除動作する方向の後端部にマイナスドライバを係合するための溝40を両側の四隅に突条41を設けることにより形成し、また両側に鎖錠ばね2の鎖錠部20に係止する係止突起42を設けている。一方マイナスドライバ44(図8参照)を挿通するため、絶縁性ケース3の上壁23に各一対の電線挿通孔24にまたがるようにドライバ挿通孔33を形成している。」
「【0023】つぎに電線導体18の速結は、図6が電線導体18を電線挿通孔24に臨ませた状態であり、図7が電線導体18を電線挿通孔24より挿入した状態であり、このとき電線導体18は鎖錠部20を押して進入し接触部21に接触しながらこれらに押されて対向側片5の内面に押圧され、対向側片5と鎖錠ばね2との間に挟持される。また電線導体18に鎖錠部20が食い込むので、電線導体18を引き抜くことができない。図8はマイナスドライバ44をドライバ挿通孔33より挿入して解除釦30を押圧し係止突起42で鎖錠部20を押し下げ鎖錠部20の先端を電線導体18から離した状態であり、この状態で電線導板18を引き抜くことができる。」
「 図8
[図:0001432026000002.jpg]
」
(3)甲3について
ア 甲3の記載事項
「【0008】
27,27は解除棒で端子基台20の上部の孔28、28より挿入され、解除棒27、27の下端部が接続板バネ21、21の電線29の挿入側の側片部21b、21b上側面に当接し、解除棒27、27の押圧で側片部21b、21bを内側に変形させて、電線29の挿入時、引き外しの時に接続部24a、24aと側片部21b、21bの間に空間を形成して電線29の接続、引き外しができる。30は表示体で上部に表示部31を有し、下部に電線29の下端が当接する当接部32を有し、表示体30は上下間の適切な位置で表示体30の軸部33が端子基台20の回動孔に回動自在に軸止され、端子基台20の電線挿入孔34に隣接して設置されると共に表示体30と一体に形成したバネ体35で表示体30は常時、時計方向に付勢されている。
【0009】
電線29を端子基台20の電線挿入孔34に接続挿入する際の電線接続検知方法を説明すると、
図3に示す如く電線29を電線挿入孔34に挿入し電線29の芯線が接続板バネ21の側片部21bと接続板24の接続部24a間に圧入されると、電線29の芯線が接続板バネ21の側片部21bと接続板24の接続部24a間に圧入完了して電線29の芯線の下端が表示体30の当接部32を押圧すると、表示体30は軸部33を支点に反時計方向に回動し図3の点線で示す位置となり、表示体30上部の表示部31が端子基台20の表示窓36に表われ、目視により電線が完全に挿入されていることが確認でき、電線接続が確実にできる。」
「図2 図3 図4
[図:0001432026000003.jpg]
」
イ 甲3の図3に実線で示された当接部32が電線29の進路に侵入する姿勢を第1姿勢、図3に点線で示された当接部32が電線29の進路から退避した姿勢を第2姿勢ということができる。そして、図2から、前記第2姿勢において電線29の芯線の下端は、当接部32から外れて当接部32より電線29の軸方向先端側に位置していることが看取されるから、表示体30は前記第2姿勢において前記電線29の差し込み量にかかわらず姿勢変更しないことがわかる。また、図2から、表示体30は、端子基台20の内部に収容され端子基台20に包囲されていること、表示部31及び表示窓36は、軸部33よりも電線29の挿抜方向の抜く側に位置していること、前記第2姿勢において表示部31は端子基台20に接触していること、表示体30の回動中心軸と平行な視線で見て、軸部33は、電線挿入孔34に差し込まれる電線29の進路と重ならないことが看取される。
ウ 甲3に記載された技術的事項
上記ア及びイを総合すると、甲3には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「電線挿入孔34に差し込まれた電線29に接触し軸部33を中心に回転して表示窓36を介して前記電線29の挿入状態を表示する表示体30を備え、
前記表示体30は、前記電線挿通孔4に差し込まれる電線29の進路に侵入する第1姿勢と、前記電線の進路から退避した第2姿勢とのいずれかの姿勢に回転により姿勢変更可能に構成されており、
前記表示体30は、前記電線29の差し込み量の増加に応じて前記第1姿勢から前記第2姿勢に姿勢変更し、前記第2姿勢において前記電線の差し込み量にかかわらず姿勢変更せず、
接続板バネ21の側片部21bは、解除棒27の押圧で、接続されている前記電線29を引き外しできるように構成されており、
前記表示体30は、端子基台20の内部に収容され前記端子基台20に包囲されており、
前記表示体30は、上部に前記挿入状態を表示する表示部31を備え、
前記表示部31及び前記表示窓36は、前記軸部33よりも前記電線29の挿抜方向の抜く側に位置しており、
前記表示部31は、前記第2姿勢で前記表示窓36に表れ、
前記第2姿勢において前記表示部31は前記端子基台20に接触しており、
前記表示体30の回動中心軸と平行な視線で見て、前記軸部33は、前記電線挿入孔34に差し込まれる電線29の進路と重ならない、端子台の表示体30」
(4)甲4について
甲4には次のとおりに記載されている。
「【0011】
【実施例】
以下、本考案の第1実施例を図1乃至図3に基づいて説明する。
すなわちケース10は、プラスチック等の絶縁材料により、上本体11と下本体12とを重ね合わせて箱状に形成し、導体18(図2参照)が挿入される導体挿入孔13とこれに連通する内方収容部14とを有している。上本体11は、その上面に後述する駆動部材が回動自在となるための開口部15を有し、この開口部15に駆動部材を保持するための保持凹所15a を設けている。
【0012】
端子部材20は、導体挿入孔13から挿入された導体18が接触固定される端子板21と、この端子板21に対向した底板22と、これら端子板21と底板22とを連結する縦支持板23とを有している。底板22には、電路の開閉状態を反転する反転機構部(図示せず)に電気的に接続する接続部22a (接点)を設けている。この端子部材20が内方収容部14に収容されるのである。
【0013】
鎖錠ばね30は、この種のもので周知の弾性導電板を変形S字状に折曲形成することにより、一方側に導体挿入孔13から挿入された導体18を係止する鎖錠片31と後述する操作部材を鎖錠片31が撓む位置から鎖錠片31が撓まない位置に移動させる押し上げ片32とを設けるとともに、他方側に導体18を端子板21に接圧する接圧片33を設けている。この鎖錠ばね30が端子部材20の端子板21と底板22との間に配設されるのである。」
「【0024】
次に、導体の接続作業を説明する。図4は導体18が挿入されていない状態であり、駆動部材50の把手52を立たせ操作部材40を鎖錠片31と押し上げ片32とが導体18の外径以上に撓む位置に保持している。この状態で、導体挿入孔13から導体18を端子部材20の接続板24に当接するまで挿入する。次に、図5に示すように把手52を左方向に向かって回動し、駆動部材50を寝かせ操作部材40を鎖錠片31と押し上げ片32とが撓まない位置に保持することによって端子板21に導体18を接続するのである。
【0025】
また、導体18の接続を解鍵する場合は、駆動部材50を寝かせた状態から立たせた状態に向かって回動し、操作部材40を鎖錠片31と押し上げ片32とが撓む位置に保持し、この状態で導体18を引き抜けばよい。」
「【0033】
表示体70は、プラスチック等の合成樹脂で形成され、通孔17から視認できる表示片71と、この表示片71に連設され対向板25を跨ぐように配設された脚片72とから構成されている。脚片72は、表示片71から延びた脚片本体72aと、脚片本体72aの先端に設けられ対向板25と端子板21との間に位置し導体挿入孔13から挿入された導体18に押圧される導体当接部72bと、後述する復帰ばねを復帰ばね保持突起14a との間に保持する復帰ばね保持部72cとから構成されている。また、脚片本体72aには、ケース10の保持凹所(図示せず)に回動自在となるよう保持するための保持突起72d を設けている。復帰ばね80は、コイルばねからなり、復帰ばね保持部72c と復帰ばね保持突起14a に架設される。」
「【図8】
[図:0001432026000004.jpg]
」
(5)甲5について
甲5には次のとおり記載されている。
「【0018】すなわちケース10は、プラスチックのような絶縁材料により、上本体11と下本体12とを重ね合わせて箱状に形成され、電線挿入孔13とこれに連通する内方収容部14とを有する。上本体11には、電線挿入孔13と交差する方向に開口孔15が設けられている。電線挿入孔13は、後述する操作部材と上本体11との間がほぼ境目となるように形成され、この孔から電線導体16が挿入される。内方収容部14には、後述する端子部材と操作部材とが収容される。
【0019】端子部材20は、対向する端子板21と縦支持壁23を設けた底板22とを有して内方収容部14に配設される。また奥側には、電線導体16が完全に挿入されるように電線導体ストッパー24が形成されている。
【0020】鎖錠ばね30は、弾性導電板を変形S字状に折曲形成することにより、電線挿入孔13側に電線導体16を係止する鎖錠片31と後述する操作部材を作動位置(図1参照)から復帰位置(図2参照)に移動させる押し上げ片32とを設けるとともに平面部34を介して内方側に電線導体16を押圧する接圧片33とを連設している。この接圧片33には、後述する操作部材を作動位置に保持するための被係止部33a を有している。」
「【0022】次に、電線の接続作業を説明する。図1は電線導体16が挿入されていない状態であり、操作部材40を復帰位置から作動位置に向かって移動させ、第1と第2の押圧部41,42 が、鎖錠片31と押し上げ片32とを押圧して係止部43を被係止部33aに係止することによって、操作部材40を作動位置に保持している。この場合、開口孔開閉部44が開口孔15を塞がないので、ケース10の上面から電線挿入孔13を視認することができる。この状態で、電線挿入孔13から電線導体16(外径1.6 mm)を挿入し電線導体16の先端が接圧片33を押し下げることによって、操作部材40の係止部43が被係止部33a から外れる。そして、操作部材40が押し上げ片32の弾性反発力によって復帰位置に移動される。この状態では、電線導体16が完全に接触固定されているとは限らないので、そのまま図2に示すように、電線導体16の先端が端子部材40の電線ストッパー24に当接するまで挿入する。このとき第1の押圧部41が鎖錠片31に当接しないので、鎖錠片31の先端によって電線導体16の抜け止めをするとともに、接圧片33によって電線導体16と端子板31とを接触固定している。この場合、開口孔開閉部44が開口孔15を塞ぐので、ケース10の上面から電線挿入孔13を視認することができない。
【0023】また、電線導体16の接続を解錠する場合は、操作部材40を復帰位置から作動位置に向かって移動させ、第1の押圧部41で鎖錠片31を電線導体16の外径以上に押圧することによって電線導体16を抜け易くし、この状態で電線導体16を引き抜けば良い。」
「【図2】
[図:0001432026000005.jpg]
」
(6)甲6について
ア 甲6の記載事項
「【0015】また解錠部材15は、鎖錠ばね13を撓める解錠位置(図2の状態)および鎖錠ばね13を復帰する復帰位置(図1,図5の状態)の間で鎖錠ばね13の側面に沿って電線導体33の挿通方向で移動自在にケース12に収納されている。実施の形態の解錠部材15は細長い板状であり、ケース12に移動可能に枢支される枢支点部47と、この枢支点部47に連設されて電線導体33を解錠する方向に押圧される被押圧部18と、この被押圧部18とは反対側で枢支点部47に連設されて鎖錠ばね13に差し込まれた電線導体33の先端に押されて解錠部材15を回動する当接部17と、被押圧部18を押圧することにより鎖錠ばね13を押圧する押圧部16とで構成している。押圧部16と枢支点部47は同じ位置で反対向きに突設され、被押圧部18はT字形に形成され、当接部17およびばね接触部は一体に形成され、当接部17を枢支点部47に対して回動する方向に傾斜し、電線導体33の先端が解錠部材15の枢支点部47の径方向に当接することにより摺動して解錠部材15を回動させるようにしている。図5に示すように、押圧部16が鎖錠片13aの上側に位置し、被押圧部18を押圧すると図2に示すように鎖錠片13aが撓めれらて先端の電線導体33への食い込みから離れるように働き、電線導体33を引き抜くことができる。19は解錠部材15の復帰用の板状の復帰ばねであり、解錠部材15が操作孔12に接近する方向に付勢するように当接部17と一体のばね接触部を押圧して図5のように復帰する。
【0016】ケース12は、速結端子部23を収納する収納部25を有し、電線導体33を速結端子部23に差し込ませる電線挿通孔26を収納部25に形成している。実施の形態のケース12は、端子接続部10が端子板3に取着された状態で、収納部25が電気機器4の端面4aの端子板3よりも取付面7側に位置し、かつ速結端子部23に電線導体12を差し込んだときに電気機器4の端面4aに収納部25の壁34の外面が当接するように略L字状に形成するもので、端子接続部10の両側を包囲するとともに電気機器4の両側壁21,22に当接する側壁35,36を、収納部25からL字状に延出して形成している。電線導体接触板14の端片14aはケース12の電気機器4の端面4aに当接する壁34の内面に当接している。」
「【0019】18aは被押圧部18の一部に形成した未接続表示部、28aは工具挿通孔28に隣接して形成した表示孔である。図1に示すように電線導体33が挿入されると、鎖錠ばね13に鎖錠されると同時に電線導体33の先端で当接部17の傾斜面を押して当接部17を電線導体33に対して摺動し軸部47を中心に回動させ、被押圧部部18の未接続表示部18aが表示孔28aから隠れる。したがって、電線導体33が接続未完了状態のときは被押圧部18の未接続表示部18aが表示孔28aに臨むとともに電線導体33の接続完了状態のときは被押圧部18の未接続状態表示部18aが表示孔28aに臨まなくなる。」
「【0022】電線挿通孔26から挿通された電線導体33が先端側で解錠部材15の当接部17に当接すると枢支点部47を中心として解錠部材15がケース12内で回動するので、解錠部材15の回動によりケース12の上面側から見ると電線導体33の接続完了状態を確認することができる。また操作孔28からそのまま被押圧部18を押圧すれば押圧部16により鎖錠ばね13が撓んで電線導体33を引き抜くことができるので、電線導体33の解錠作業が容易となる。」
「【0024】なお、電線導体33が接続未完了状態のときは被押圧部18の未接続表示部18aが表示孔28aに臨むとともに電線導体33の接続完了状態のときは被押圧部18の未接続状態表示部18aが表示孔28aに臨まなくなるようにしたが、電線導体33の接続完了状態のときは被押圧部18の一部が表示孔に臨むとともに電線導体33の接続未完了状態のときは被押圧部18の一部が表示孔に臨まないようにしてもよい。」
「 図1 図3 図4
[図:0001432026000006.jpg]
」
イ 甲6の図1、図3及び図4から、被押圧部18は、ケース12の内部に収容され、ケース12に包囲されていること、解錠部材15は枢支点部47を有しており(特に図4の解錠部材15参照)、被押圧部材18の未接続表示部18aは解錠部材15において枢支点部47を有する部分から延びていること、未接続表示部18a及び表示孔28aは枢支点部47よりも電線導体33の挿抜方向の抜く側に位置していること、解錠部材15の回動中心軸と平行な視線で見て、枢支点部47は、電線挿通孔26に差し込まれ速結端子部23を通過する電線導体33の進路と重なること、被押圧部18が図1の姿勢において、接続表示部18aはケース12に接触していないことが看取される。また、図1に示された被押圧部18が電線導体33の進路から退避した姿勢を第2姿勢、図5に示された被押圧部18が電線導体33の進路に侵入する姿勢を第1姿勢ということができ、図1から、前記第2姿勢において電線導体33の下端は、当接部17から外れて当接部17より電線導体33の軸方向先端側に位置していることが看取されるから、被押圧部18は前記第2姿勢において前記電線導体33の差し込み量にかかわらず姿勢変更しないことがわかる。
ウ 甲6に記載された技術的事項
上記ア及びイを総合すると、甲6には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「電線挿通孔26に差し込まれた電線導体33に接触し枢支点部47を中心に回転してケース12の表示孔28aを介して前記電線導体33の挿入状態を表示する被押圧部18を備えた解錠部材15であって、
前記被押圧部18は、前記電線挿通孔26に差し込まれ速結端子部23を通過する電線導体33の進路に侵入する第1姿勢と、前記電線導体33の進路から退避した第2姿勢とのいずれかの姿勢に回転により姿勢変更可能に構成されており、
前記被押圧部18は、前記電線導体33の差し込み量の増加に応じて前記第1姿勢から前記第2姿勢に姿勢変更し、前記第2姿勢において前記電線導体33の差し込み量にかかわらず姿勢変更せず、
前記被押圧部18は、前記ケース12の内部に収容され前記ケース12に包囲されており、
前記被押圧部18は、前記枢支点部47を有する部分から延びて前記挿入状体を表示する未接続表示部18aを備え、
前記未接続表示部18a及び前記表示孔28aは、前記枢支点部47よりも前記電線導体33の挿抜方向の抜く側に位置しており、
前記未接続表示部28aは、前記第1姿勢で前記表示孔28aに臨まないようにし、前記第2姿勢で前記表示孔28aに臨み、
前記被押圧部18は、前記枢支点部47を有する部分から延びて前記電線導体33と接触し得る当接部17と、前記枢支点部47から延びて前記挿入状態を表示する未接続表示部18aと、を備え、
前記第2姿勢において前記未接続表示部18aは前記ケースに接触しておらず、
前記解錠部材15の回動中心軸と平行な視線で見て、前記枢支点部47は、前記電線挿通孔26に差し込まれ前記速結端子部23を通過する電線導体33の進路と重なる、速結端子装置の解錠部材15。」
(7)甲7について
甲7には次のとおりに記載されている。
「【0012】1は鎖錠ばねであり、接圧片2と鎖錠片3とを有している。4は端子板であり、鎖錠ばね1と対向する位置に設置されている。5は電線挿通孔である。6は表示部材であり、枢支点7において器体8に回動自在に枢支されている。9は線状ばねであり、表示部材6の枢支点7近傍に設けられた溝と器体8に設けられた突起8aとにおいて係止され、枢支点7を中心として反時計回りの方向に表示部材6を付勢している。10は表示孔であり、表示部材6が図1に示した状態から僅かでも時計回りに回転すると表示部材6に設けられた表示部11が表示孔10から視認できるようになっている。」
「【0016】そして、さらに深く電線13が挿通されると、表示部材6は導体部12の先端により押圧され、枢支点7を中心に時計回りに回転する。すると、器体8に設けられた表示孔10から表示部材6に設けられた表示部11が視認できるようになる。これにより、端子板4と電線13の導体部12とが電気的に接続されたことを使用者に知らせる。」
「【図2】
[図:0001432026000007.jpg]
」
(8)甲8について
甲8には次のとおりに記載されている。
「【0021】5は鎖錠ばねであり、接圧片5aと鎖錠片5bとを有している。4は端子板であり、鎖錠ばね5と対向する位置に配設されている。1cは電線挿通孔である。6は表示部材であり、軸支点6aにおいて器体1に回動自在に軸支されている。7は線状ばねであり、表示部材6の軸支点6a近傍に設けられた溝と器体1に設けられた突起1eとにおいて係止され、軸支点6aを中心として反時計回りの方向に表示部材6を付勢している。1fは表示孔であり、表示部材6が図5に示した状態から僅かでも時計回りに回転すると表示部材6に設けられた表示部6bが表示孔1fから視認できるようになっている。
【0022】この回路遮断器の端子装置の動作について説明する。図6に示す通り、先端の導体部3aが露出した電線3を電線挿通孔1dから挿通すると、鎖錠ばね5の接圧片5aが電線3の導体部3aを端子板4に圧接し、端子板4と電線3の導体部3aとが電気的に接続されることになる。この際、鎖錠片5bは電線3の導体部3aを係止し、振動や衝撃等によって電線3が抜けようとするのをねじ等により固定することなく防止している。
【0023】そして、さらに深く電線3が挿通されると、表示部材6は導体部3aの先端により押圧され、軸支点6aを中心に時計回りに回転する。すると、器体1に設けられた表示孔1fから表示部材6に設けられた表示部6bが視認できるようになる、これにより、端子板4と電線3の導体部3aとが電気的に十分に接続されたことを作業者に知らせる。」
「【図6】
[図:0001432026000008.jpg]
」
(9)甲9について
甲9には次のとおりに記載されている。
「【0020】
コンセントにおける造営材の内側となる面に備えられる接続端子については,その接続部については配線器具では一般的に用いられている速結式端子により構成している。前記速結式端子は,接続される電線に接触して導通を得る端子板と,端子板に電線を押し付ける鎖錠ばねと,前記鎖状ばねの周囲に配設された導体を備えている。電線との接続は,コンセントの器体に設けられた電線挿入孔に電線を差込むことにより行われ,電線は電線挿入孔の内部に配設されてある鎖状ばねと端子板との間に入り込み,鎖状ばねの弾性により端子板に電線が押し付けられて,導通状態となる。接地端子101の接続部についても同様である。」
「【0022】
まず,図3および図4の接地線接続状態判別手段200aは,前記接地線の挿入力を受けて回転することにより,判別状態識別部201aが外部から視認可能になるものである。前記接地線接続状態判別手段200aは,コンセント1の内部に回動自在に設けられ,一端には電線の挿入通路104に露出して電線の導体部に当接することにより回動力を得る当接部202aを備え,他端には電線が前記当接部202aに当接することにより回転して,判別状態確認窓100から視認可能な判別状態識別部201aを備えて構成された接地線接続状態判別手段200aを示している。
【0023】
前記当接部202aには,前記電線が当接したときに電線挿入の動きを妨げず,なおかつ,挿入方向の力を受けて回転方向に分力が得られるように,挿入方向に対して傾斜させた面を設けている。
【0024】
これにより,接地線3を電線挿入孔103に挿入すると,電線の導体部は挿入通路104をとおり,当接部202aに当接し,接地線接続状態判別手段200aが図中右回りに回転し,判別状態識別部201aが判別状態確認窓100から視認可能に変位し,コンセント1のプラグを差込む側から,接地線が接地端子に接続されていることが分かる。接地線3を引き抜いた場合には,前記接地線接続状態判別手段200aは図中左回りに回転し,判別状態識別部201aが判別状態確認窓100から視認不可能に変位し,引き抜いたことがコンセント1のプラグを差込む側から分かる。」
「【図3】
[図:0001432026000009.jpg]
【図4】
[図:0001432026000010.jpg]
」
(10)甲10について
甲10には次のとおり記載されている。
「【0023】
コンセントにおける造営材の内側となる面に備えられる接続端子については,その接続部については配線器具では一般的に用いられている速結式端子により構成している。前記速結式端子は,接続される電線に接触して導通を得る端子板と,端子板に電線を押し付ける鎖錠ばねと,前記鎖状ばねの周囲に配設された導体を備えている。電線との接続は,コンセントの器体に設けられた電線挿入孔に電線を差込むことにより行われ,電線は電線挿入孔の内部に配設されてある鎖状ばねと端子板との間に入り込み,鎖状ばねの弾性により端子板に電線が押し付けられて,導通状態となる。接地端子101の接続部についても同様である。」
「【0050】
まず,図5および図6の接地線接続状態判別手段200aは,前記接地線の挿入力を受けて回転することにより,判別状態識別部201aが外部から視認可能になるものである。前記接地線接続状態判別手段200aは,コンセント1の内部に回動自在に設けられ,一端には電線の挿入通路104に露出して電線の導体部に当接することにより回動力を得る当接部202aを備え,他端には電線が前記当接部202aに当接することにより回転して,判別状態確認窓100から視認可能な判別状態識別部201aを備えて構成された接地線接続状態判別手段200aを示している。」
「【0052】
これにより,接地線3を電線挿入孔103に挿入すると,電線の導体部は挿入通路104をとおり,当接部202aに当接し,接地線接続状態判別手段200aが図中右回りに回転し,判別状態識別部201aが判別状態確認窓100から視認可能に変位し,コンセント1のプラグを差込む側から,接地線が接地端子に接続されていることが分かる。接地線3を引き抜いた場合には,前記接地線接続状態判別手段200aは図中左回りに回転し,判別状態識別部201aが判別状態確認窓100から視認不可能に変位し,引き抜いたことがコンセント1のプラグを差込む側から分かる。」
「【図5】
[図:0001432026000011.jpg]
【図6】
[図:0001432026000012.jpg]
」
(11)甲11について
甲11には次のとおり記載されている。
「【0054】
コンセントにおける造営材の内側となる面に備えられる接続端子については,その接続部については配線器具では一般的に用いられている速結式端子により構成している。前記速結式端子は,接続される電線に接触して導通を得る端子板と,端子板に電線を押し付ける鎖錠ばねと,前記鎖状ばねの周囲に配設された導体を備えている。電線との接続は,コンセントの器体に設けられた電線挿入孔に電線を差込むことにより行われ,電線は電線挿入孔の内部に配設されてある鎖状ばねと端子板との間に入り込み,鎖状ばねの弾性により端子板に電線が押し付けられて,導通状態となる。接地端子101の接続部についても同様である。」
「【0151】
まず,図15および図16の表示部は,前記接地線の挿入力を受けて回転することにより,判別状態識別部401aが外部から視認可能になるものである。前記表示部は,コンセント1の内部に回動自在に設けられ,一端には電線の挿入通路104に露出して電線の導体部に当接することにより回動力を得る当接部402aを備え,他端には電線が前記当接部402aに当接することにより回転して,判別状態確認窓401から視認可能な判別状態識別部401aを備えて構成された表示部を示している。」
「【0153】
これにより,接地線3を電線挿入孔103に挿入すると,電線の導体部は挿入通路104を通り,当接部402aに当接し,表示部400aが図中右回りに回転し,判別状態識別部401aが判別状態確認窓400から視認可能に変位し,コンセント1のプラグを差込む側から,接地線が接地端子に接続されていることが分かる。接地線3を引き抜いた場合には,前記表示部400aは図中左回りに回転し,判別状態識別部401aが判別状態確認窓400から視認不可能に変位し,引き抜いたことがコンセント1のプラグを差込む側から分かる。」
「【図15】
[図:0001432026000013.jpg]
【図16】
[図:0001432026000014.jpg]
」
(12)甲12について
甲12には次のとおり記載されている。
「【0055】
コンセントにおける造営材の内側となる面に備えられる接続端子については,その接続部については配線器具では一般的に用いられている速結式端子により構成している。前記速結式端子は,接続される電線に接触して導通を得る端子板と,端子板に電線を押し付ける鎖錠ばねと,前記鎖状ばねの周囲に配設された導体を備えている。電線との接続は,コンセントの器体に設けられた電線挿入孔に電線を差込むことにより行われ,電線は電線挿入孔の内部に配設されてある鎖状ばねと端子板との間に入り込み,鎖状ばねの弾性により端子板に電線が押し付けられて,導通状態となる。接地端子101の接続部についても同様である。」
「【0157】
まず,図15および図16の表示部は,前記接地線の挿入力を受けて回転することにより,判別状態識別部401aが外部から視認可能になるものである。前記表示部は,コンセント1の内部に回動自在に設けられ,一端には電線の挿入通路104に露出して電線の導体部に当接することにより回動力を得る当接部402aを備え,他端には電線が前記当接部402aに当接することにより回転して,判別状態確認窓401から視認可能な判別状態識別部401aを備えて構成された表示部を示している。」
「【0159】
これにより,接地線3を電線挿入孔103に挿入すると,電線の導体部は挿入通路104を通り,当接部402aに当接し,表示部400aが図中右回りに回転し,判別状態識別部401aが判別状態確認窓100から視認可能に変位し,コンセント1のプラグを差込む側から,接地線が接地端子に接続されていることが分かる。接地線3を引き抜いた場合には,前記表示部400aは図中左回りに回転し,判別状態識別部401aが判別状態確認窓400から視認不可能に変位し,引き抜いたことがコンセント1のプラグを差込む側から分かる。」
「【図15】
[図:0001432026000015.jpg]
【図16】
[図:0001432026000016.jpg]
」
2 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、甲1発明の「電線S」は本件発明1の「電線」に相当し、以下同様に、「電線挿通孔63」は「電線挿通孔」に、「筐体60」は「ケース」に、「速結端子部62」は「速結端子部」に、「アースとして設けられた第1導体5a又は第2導体5b」は「アース」に、「接続用端子61」は「接続用端子」に、それぞれ相当する。
甲1発明の「解除操作部64から解除操作を入力することで挟持構造から電線を離すように構成されている」という事項と本件発明1の「前記表示部材以外から外力を受けることで保持状態の前記電線を解放可能に構成されており」という事項とは、「所定の操作をされることで保持状態の前記電線を解放可能に構成されている」という点で共通する。
甲1発明の「速結端子ユニット6」は本件発明1の「アース用速結端子ユニット」に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは次の一致点及び相違点を有すると認められる。
<一致点>
「電線が差し込まれる電線挿通孔を正面側に有するケースと、前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線を保持する速結端子部と、前記速結端子部に保持された状態の前記電線に電気的に導通可能であり且つ前記ケースの背面側に露出し且つアースに接続されるための接続用端子と、を備え、
前記速結端子部は、所定の操作をされることで保持状態の前記電線を解放可能に構成されている、
アース用速結端子ユニット。」
<相違点1>
「所定の操作をされる」ことに関し、本件発明1では「表示部材以外から外力を受ける」ことであるのに対し、甲1発明では「解除操作部64から解除操作を入力」しているものの、どのような操作入力か明らかではない点。"
<相違点2>
本件発明1は「前記電線挿通孔に差し込まれた前記電線に接触し回転軸を中心に回転して前記ケースの覗き窓を介して前記電線の挿入状態を表示する表示部材」を備え、「前記表示部材は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路に侵入する第1姿勢と、前記電線の進路から退避した第2姿勢とのいずれかの姿勢に回転により姿勢変更可能に構成されており、前記表示部材は、前記電線の差し込み量の増加に応じて前記第1姿勢から前記第2姿勢に姿勢変更し、前記第2姿勢において前記電線の差し込み量にかかわらず姿勢変更せず、」「前記表示部材は、前記ケースの内部に収容され前記ケースに包囲されており、前記表示部材は、前記回転軸を有する軸部から延びて前記挿入状態を表示する表示端部を備え、前記表示端部及び前記覗き窓は、前記回転軸よりも前記電線の挿抜方向の抜く側に位置しており、前記表示端部は、前記第1姿勢で前記覗き窓を介して視認できない位置に位置し、前記第2姿勢で前記覗き窓を介して視認可能な位置に位置し、前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触しておらず、前記回転軸と平行な視線で見て、前記回転軸は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路と重ならない」のに対し、甲1発明は、覗き窓及び表示部材を備えていない点。
事案に鑑み、相違点2について検討する。
電線を接続する端子において、電線の挿入状態を表示する覗き窓及び表示部材は、甲3又は甲6に記載されている(上記1(3)において検討した甲3に記載された技術的事項、又は、上記1(6)において検討した甲6に記載された技術的事項参照。)。
しかし、甲3に記載された技術的事項は、第2姿勢において表示部31は端子基台20に接触しているから、甲1発明に、甲3に記載された技術的事項を付加しても、依然として本件発明1は「前記第2姿勢において前記表示端部は前記ケースに接触しておらず」という点において相違する。
また、甲6に記載された技術的事項は、解錠部材15の回動中心軸と平行な視線で見て、前記枢支点部47は、電線挿通孔26に差し込まれ速結端子部23を通過する電線導体33の進路と重なるから、甲1発明に、甲6に記載された技術的事項を付加しても、依然として本件発明1は「前記回転軸と平行な視線で見て、前記回転軸は、前記電線挿通孔に差し込まれ前記速結端子部を通過する電線の進路と重ならない」という点において相違する。
さらに、甲2、甲4~甲5、甲7~甲12には上記1のとおりの記載があるが、相違点2に係る全ての構成が記載されている証拠はない。
そして、本件発明1は相違点2に係る構成を備えることで、表示部材にかかる負荷を低減又は無くすことができ、表示部材の耐久性を向上させる(【0023】【0037】参照)等の効果を奏する。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2~甲12に記載されている事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明2、6について
本件発明1を引用する本件発明2、6も、上記2と同様の理由により、甲1発明及び甲2~甲12に記載されている事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和7年4月11日に提出した意見書において、「以上により、構成要件Kは甲第3号証、甲第6号証~甲第12号証により、構成要件Rは甲第3号証、甲第6号証~甲第8号証により、構成要件Sは甲第3号証、甲第9号証~甲第12号証により、構成要件Lは甲第7号証~甲第12号証により、構成要件Tは甲第3号証、甲第7号証~甲第12号証により、それぞれ周知技術であるといえる。
したがって、本件訂正発明1は、甲第1号証、周知技術1(甲第2号証、甲第3号証)、周知技術2(甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証)、周知技術3(第3号証、甲第6号証~甲第12号証)、周知技術4(甲第3号証、甲第6号証~甲第8号証)、周知技術5(甲第3号証、甲第9号証~甲第12号証)、周知技術6(甲第7号証~甲第12号証)、及び周知技術7(甲第3号証、甲第7号証~甲第12号証)に基づいて、当業者にとって容易に発明をすることができたものである。」(9頁下から9行~10頁3行)と主張している。
上記主張について検討すると、特許異議申立人は、本件発明1と甲1発明との相違点について、構成要件K、構成要件R、構成要件S、構成要件L及び構成要件Tのそれぞれについて周知技術を適用することを主張していることから、特許異議申立人は、甲1発明及び周知技術の寄せ集め、すなわち先行技術の寄せ集めによって本件発明1に至ることを主張しているものと解される。
ここで、先行技術の寄せ集めとは、発明特定事項の各々が公知であり、互いに機能的又は作用的に関連していない場合にいえることであるが、上記2において相違点2として示すとおり、構成要件K、構成要件R、構成要件S、構成要件L及び構成要件Tは、電線の挿入状態の表示に係る構成として互いに機能的又は作用的に関連する一体的なものである。
そうすると、本来互いに機能的又は作用的に関連する一体的なものを、そうでないものとすることを前提とする特許異議申立人の主張は、そもそも、先行技術の寄せ集めと判断する前提を欠き、また、互いに機能的又は作用的に関連する技術を重畳的に適用することを前提とする点で、単なる先行技術の寄せ集めとはいえないものである。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1、2、6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1、2、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700491