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特許異議申立

2024-700442

LED照明装置の製造方法

審判番号
2024-700442
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-063727
登録番号
7408172
請求日
2024年05月10日
審決日
2024年10月28日
公報発行日
2024年11月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】エイテックス株式会社
  • 【権利者代理人】南瀬 透
  • 【権利者代理人】宇野 智也
  • 【異議申立人】FKK 株式会社
  • 【異議申立人代理人】龍竹 史朗
審判長/審判官
  • 審判長 草野 顕子
  • 審判官 澤崎 雅彦
  • 審判官 高橋 学
分類
P1651.121-Y (F21V)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7408172号発明「LED照明装置の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7408172号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7408172号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、令和4年4月7日に出願されたものであって、令和5年12月22日にその特許権の設定登録がされ、令和6年1月5日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、令和6年5月10日に特許異議申立人FKK株式会社(以下「申立人」という。)により本件特許異議の申立て(全請求項)がされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、本件特許の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。 「 【請求項1】 光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えたLED照明装置の製造方法であって、 前記ケース部は、光透過性の仕切り板で前記基板部が収納される収納用空間と前記LED素子の光拡散を有効に機能させるための拡散用空間とに区画され、 前記収納用空間には前記基板部を収納した後に充填用樹脂を注入し、 前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、 前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、 前記キャップ部を成形により製造するLED照明装置の製造方法。 【請求項2】 前記収納用空間に充填用樹脂を注入した後に、前記ケース部の端部の底部を削って、前記収納用空間に収納された前記基板部のパッドを露出させている 請求項1記載のLED照明装置の製造方法。 【請求項3】 前記基板部の端部に形成され、前記LED素子の電源用電線に接続された端子部に、電源用電線を接続するときに、前記電源用電線を前記基板部の長さ方向と交差する方向へ接続する請求項1または2記載のLED照明装置の製造方法。 【請求項4】 前記成形型により成形する際に、前記ケース部の尾根部側を露出する切り欠き部が前記キャップ部の縁部に対応する位置に形成された前記成形型により成形する請求項1または2記載のLED照明装置の製造方法。」 第3 申立理由の概要 申立人が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由(以下「申立理由」という。)の概要は次のとおりである。 (進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 <申立人が提出した証拠> (以下、申立人が提出した「甲第○号証」を「甲○」という。) ・甲1:特開2018-78044号公報 ・甲2:意匠登録第1639010号公報 ・甲3:特開2022-29889号公報 ・甲4:岩崎電気株式会社,“技術資料 防浸型コンパクト樹脂充填LEDユニット「LEDioc RECT」”,[online],2020年4月23日,インターネット<https://www.iwasaki.co.jp/tech-rep/technical/227/> ・甲5:株式会社日本経済新聞社,“連載コラム 「ライティング・フェア2007を視察して」(その2)LEDについて”,[online],2007年6月11日,インターネット<https://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/704.html> ・甲6:特開2020-68150号公報 ・甲7:森山産業株式会社,モジュラーLEDs,2019年3月,vol.10,p.38,48 <請求項に係る発明及び証拠の関係> ・請求項:1 ・証拠 :甲1~甲6 ・請求項:2~4 ・証拠 :甲1~甲7 第4 申立理由(進歩性)についての判断 1 証拠について (1)甲1 (1-1)甲1の記載事項 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は主要な参照箇所を示す。)。 ア 「【0010】 以下に、本発明の実施の形態に係る照明装置について添付図面を参照しながら説明する。図1(A)および(B)に示すように、照明装置1は、可撓性を有する長尺の回路基板21と、複数の発光素子22と、発光素子22に流れる電流を制限するための限流素子23と、可撓性を有する長尺なカバー11と、を備える。また、照明装置1は、発光素子22へ電流を供給するための導電線13と、カバー11の長手方向における両端部に装着されカバー11内を密閉するキャップ12と、を備える。照明装置1は、導電線13を介して直流電源(図示せず)に接続される。」 イ 「【0012】 発光素子22は、例えばSMD(Surface Mount Device)タイプLED(Light Emitting Diode)素子から構成される。複数の発光素子22は、回路基板21の第1主面(以下「実装面21b」と称する。)21bに等間隔に列状に実装されている。発光素子22は、回路基板21に形成された導体パターンを介して、互いに直列または並列に接続されている。限流素子23は、回路基板21に形成された導体パターンに介挿され、発光素子22に流れる電流を予め設定された大きさに制限する。直流電源から導電線13および導電パターンを通じて発光素子22に電流が流れると、発光素子22が点灯する。 【0013】 カバー11は、透光性の軟性材料から形成されている。軟性材料としては、透光性を有する熱硬化性のポリウレタン樹脂やシリコーン樹脂等を採用することができる。カバー11全体が、発光素子22から放射される光を透過する透光性部となっている。カバー11は、角筒状である。カバー11は、回路基板21に実装された複数の発光素子22からの光を出射する平坦な光出射面113(第2面)と、光出射面113に対向する平坦な背面114と、を有する。回路基板21および複数の発光素子22は、カバー11の内側に配置されている。回路基板21の短手方向における両端部21aは、カバー11に埋設されており、回路基板21における実装面21bとは反対側の第2主面(以下「裏面」と称する)21cは、カバー11に密着している。ここで、回路基板21の少なくとも長手方向の中央部における短手方向の両端部が、カバー11に埋設されている。また、回路基板21の長手方向の両端部も、カバー11に埋設されている。また、カバー11は、その外壁の角部に、その長手方向に沿ってテーパ面(第1面)112が形成されている。カバー11の光出射面113は、回路基板21の実装面21bに平行であり、カバー11の、実装面21bが臨む方向側の外壁にカバー11の長手方向に沿って形成されている。光出射面113には、カバー11の長手方向に沿って延長された溝111が設けられている。この溝111は、装飾用の溝である。テーパ面112は、図2に示すように、回路基板21における複数の発光素子22が実装される実装面21bに対して傾斜している。」 ウ 「【0015】 次に、本実施の形態に係る照明装置1の製造方法について説明する。本実施の形態に係る照明装置1の製造方法は、回路基板21に複数の発光素子22を列状に実装する工程と、回路基板21および複数の発光素子22を覆うカバー11を形成する工程と、を含む。回路基板21に発光素子22を実装する工程では、可撓性を有するテープ状の樹脂基板上に導体パターンを形成し、その後、発光素子22および限流素子23を列状にボンディングすることによりテープ状発光モジュール20Bを作製する。カバー11を形成する工程では、例えば図3(A)に示すようなカバー形成装置が使用される。カバー形成装置は、第1リール1011と、押し出し成型機1012と、軟性樹脂供給部1013と、熱硬化機1014と、カバー11Aと一体となったテープ状発光モジュール20Bを巻き取る第2リール1015と、を備える。そして、テープ状発光モジュール20Bは、カバー11を形成する工程を行う前において、予め第1リール1011に巻回されている。ここで、軟性樹脂供給部1013は、軟性樹脂を押し出し成型機1012へ供給するためのものである。」 エ 「【0018】 その後、第2リール1015に巻き取られたカバー11Aと一体となったテープ状発光モジュール20Bを、照明装置1の仕様により定められた長さに切断する。これにより得られる回路基板21、発光素子22およびカバー11からなる構造体が得られる。そして、この構造体にキャップ12および導電線13を接続することにより、照明装置1が得られる。」 オ 「【図2】 [図:0001416492000001.jpg] 」 (1-2)甲1の認定事項 甲1の図2から、カバー11は、回路基板21が内側に配置される空間が設けられていることが看取される。 (1-3)甲1発明 甲1の上記記載事項及び認定事項から、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。 「SMDタイプLED素子から構成される複数の発光素子22と、(段落【0010】、【0012】) 複数の発光素子22が実装面21bに等間隔に列状に実装されている回路基板21と、(段落【0012】) 回路基板21および複数の発光素子22が内側に配置されているカバー11と、(段落【0013】) カバー11の長手方向における両端部に装着されカバー11内を密閉するキャップ12と、(段落【0010】) を備えた照明装置1の製造方法であって、(段落【0010】、【0015】) カバー11は、回路基板21が内側に配置される空間が設けられ、(上記(1-2)) 回路基板21、発光素子22およびカバー11からなる構造体にキャップ12を接続する照明装置1の製造方法。(段落【0018】)」 (2)甲5 甲5には、以下の事項が記載されている。 「 [図:0001416492000002.jpg] 」 当該記載から、甲5には以下の事項が記載されていると認められる(以下「甲5認定事項」という。)。 「LEDs基板が収納された透明ケースと、前記透明ケースの端部の開口を塞ぐ第1の防水のためのパッキン、第2の防水のための接着剤封止エンドキャップ及び第3の防水のための接着剤封止防水カバーを備えた、優れた3重の防水機能を有する“LEDsライン”。」 (3)甲6 (3-1)甲6の記載事項 甲6には、以下の事項が記載されている。 ア 「【0011】 図1に示すように、本実施の形態に係る照明装置1は、可撓性を有する長尺のカバー11と、外部電源(図示せず)に接続された電源ケーブル13と、カバー11の長手方向における両端部に設けられた封止樹脂部12と、を備える。また、照明装置1は、図2(A)および(B)に示すように、複数の発光素子22と、可撓性を有する長尺の4つの回路基板21と、複数の発光素子22に流れる電流を制限するための限流素子(図示せず)と、電源端子23と、を備える。ここで、外部電源は、例えば直流電源である。 【0012】 発光素子22は、例えばSMD(Surface Mount Device)タイプLED(Light Emitting Diode)素子から構成される。複数の発光素子22は、回路基板21の+Z方向側の実装面に等間隔に列状に実装されている。」 イ 「【0015】 カバー11は、図2(B)および図3に示すように、全体として角筒状であり、4つの回路基板21および複数の発光素子22が内側に配置されている。ここで、回路基板21における-Z方向側の裏面は、カバー11の内壁に密着している。カバー11は、透光性の軟性材料から形成された透光性部111、113と、非透光性の軟性材料から形成され回路基板21および複数の発光素子22の一部を覆う非透光性部112と、を有する。透光性の軟性材料としては、例えば透光性を有する乳白色の熱硬化性樹脂であるポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を採用することができる。また、非透光性の軟性材料としては、例えば白色の熱硬化性樹脂であるポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を採用することができる。透光性部111は、カバー11における複数の発光素子22をそれらの光の出射方向側から覆う部分に位置している。透光性部111の長手方向における両端部は、+Z方向側の端部が最も外側に突出しており、-Z方向側ほど透光性部111の長手方向における中央部側に後退するように傾斜している。」 ウ 「【0017】 封止樹脂部12は、例えば非透光性の樹脂材料から形成されている。樹脂封止部12は、封止樹脂部12の+Z方向側において電源ケーブル13が導出する端部側に近づくほど電源ケーブル13に近づくように傾斜したテーパ面12aと、封止樹脂部12のX軸方向における両端側において電源ケーブル13が導出する端部側に近づくほど電源ケーブル13に近づくように傾斜したテーパ面12bと、を有する。また、封止樹脂部12は、電源ケーブル13が導出する端部に設けられた円筒状の筒状部12cと、筒状部12cにおけるテーパ面12a、12b側とは反対側に設けられたフランジ部12dと、を有する。カバー11の材料と封止樹脂部12の材料とは、同種類である。即ち、カバー11の材料がシリコーン樹脂である場合、封止樹脂部12の材料もシリコーン樹脂が採用される。封止樹脂部12は、4つの回路基板21がカバー11の内側に配置され、電源ケーブル13がカバー11の筒軸方向、即ち、Z軸方向の両端部ら電源端子23に接続された状態で、カバー11の両端部を封止する。 【0018】 次に、本実施の形態に係る照明装置1の製造方法について説明する。本実施の形態に係る照明装置1の製造方法は、4つの回路基板21それぞれに複数の発光素子22を列状に実装する工程と、回路基板21および複数の発光素子22を覆うカバー11を形成する工程と、カバー11の両端部に封止樹脂部12を設ける工程と、を含む。回路基板21に発光素子22を実装する工程では、可撓性を有するテープ状の樹脂基板上に導体パターンを形成し、その後、発光素子22および限流素子を列状にボンディングする。カバー11を形成する工程は、例えば本願の出願人が先に開示した特開2018-78044号公報に記載された工程を採用することができる。これにより、回路基板21、発光素子22およびカバー11からなる長尺の構造体が得られる。 【0019】 次に、この構造体の長手方向における両端部に封止樹脂部12を設ける工程を行うことにより、照明装置1が得られる。ここで、このモールド樹脂を設ける工程について詳細に説明する。まず、熱硬化性樹脂から形成された基材(図示せず)を形成する工程を行う。この工程では、例えばシリコーン樹脂に加硫促進剤を予め設定された配合量だけ配合することにより、シリコーン樹脂から形成された板状の基材を形成する。 【0020】 次に、基材から、図4(A)および(B)に示すような第1樹脂部材1012Aと、図4(C)および(D)に示すような第2樹脂部材1012Bと、を生成する工程を行う。ここで、第1樹脂部材1012Aは、カバー11の+Z方向(第1方向)側からカバー11の端部を覆うように配置され、第2樹脂部材1012Bは、カバー11の-Z方向(第2方向)側からカバー11の端部を覆うように配置される。第1樹脂部材1012Aは、図4(A)および(B)に示すように、カバー11の端部が内側に嵌入される第1凹部1121Aと、電源ケーブル13が内側に嵌入される第2凹部1122Aと、電源ケーブル13の芯線31が内側に配置される溝1123Aと、を有する。第1凹部1121Aの内側におけるカバー11の非透光性部112の端部が嵌入される部分には、段部1124Aが形成されている。また、第2樹脂部材1012Bは、図4(C)および(D)に示すように、カバー11の端部が内側に嵌入される第3凹部1121Bと、電源ケーブル13が内側に嵌入される第4凹部1122Bと、を有する。」 エ 「【0023】 その後、回路基板21の電源端子23に電源ケーブル13の芯線31が接続された状態で、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bをカバー11の端部に配置する工程を行う。ここでは、第1樹脂部材1012Aを、図5(A)の矢印AR11に示すように、+Z方向側からカバー11の端部を覆うように配置し、第2樹脂部材1012Bを、図5(A)の矢印AR12に示すように、-Z方向側からカバー11の端部を覆うように配置する。これにより、図5(B)に示すように、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bをカバー11の端部を覆うように配置した状態となる。 【0024】 次に、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bをカバー11の端部を覆うように配置した状態で、カバー11の端部、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bを、図6に示すような第1金型101と第2金型102との間に配置する工程を行う。ここで、第1金型101は、カバー11が配置される部分に立設した一対の壁101aと、第1樹脂部材1012Aが配置される部分に立設し壁101aに連続する一対の壁101cと、壁101cにおける壁101a側とは反対側に立設した壁101dと、電源ケーブル13が配置される部分に設けられた半筒部101bと、を有する。第2金型102は、カバー11が配置される部分に設けられた溝102aと、第2樹脂部材1012Bが配置される部分に立設した一対の壁102cと、電源ケーブル13が配置される部分に設けられた半筒部102bと、壁102cにおける半筒部102b側に立設した壁102dと、を有する。 【0025】 続いて、図7(A)に示すように、第1金型101と第2金型102とを突き合わせて、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bが硬化する温度まで加熱する工程を行う。この工程では、第1金型101と第2金型102とを突き合わせて、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bに圧力を加えながら、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bの温度を、常温(25℃)から予め設定された150℃乃至200℃の温度まで上昇させる。これにより、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bは、互いに接触した部分で融着されるとともに、第1金型101と第2金型102の形状に応じた形状に成型される。 【0026】 その後、図7(B)の矢印AR13に示すように、第1金型101を第2金型102から離脱させると、封止樹脂部12が生成される。」 (3-2)甲6発明 甲6の上記記載事項から、甲6には、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲6発明」という。なお、括弧内には、主な参照箇所を示した。)。 「SMDタイプLED素子から構成される複数の発光素子22と、可撓性を有する長尺の4つの回路基板21と、(段落【0011】、【0012】) 全体として角筒状であり、4つの回路基板21および複数の発光素子22が内側に配置されているカバー11と、(段落【0015】) 4つの回路基板21がカバー11の内側に配置された状態で、カバー11の両端部を封止する封止樹脂部12と、(段落【0017】) を備えた照明装置1の製造方法であって、(段落【0018】) 熱硬化性樹脂から形成された基材から、第1樹脂部材1012Aと第2樹脂部材1012Bとを生成する工程を行い、(段落【0019】、【0020】) その後、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bをカバー11の端部に配置する工程を行い、(段落【0023】) 次に、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bをカバー11の端部を覆うように配置した状態で、カバー11の端部、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bを、第1金型101と第2金型102との間に配置する工程を行い、(段落【0024】) 続いて、第1金型101と第2金型102とを突き合わせて、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bが硬化する温度まで加熱する工程を行い、これにより、第1樹脂部材1012Aおよび第2樹脂部材1012Bは、互いに接触した部分で融着されるとともに、第1金型101と第2金型102の形状に応じた形状に成型され、(段落【0025】) その後、第1金型101を第2金型102から離脱させると、封止樹脂部12が生成されること。(段落【0026】)」 2 申立理由(進歩性)についての判断 (1)本件発明1について (1-1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 後者の「SMDタイプLED素子から構成される複数の発光素子22」は前者の「光源となるLED素子」に相当し、以下同様に、「回路基板21」は「基板部」に、「カバー11」は「ケース部」に、「キャップ12」は「キャップ部」に、「回路基板21が内側に配置される空間」は「前記基板部が収納される収納用空間」に、「照明装置1の製造方法」は「LED照明装置の製造方法」に、それぞれ相当する。 以上の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 イ 後者の回路基板21が「複数の発光素子22が実装面21bに等間隔に列状に実装されている」ことは、前者の基板部が「前記LED素子が列状に搭載された」ことに相当する。 ウ 後者のカバー11が「回路基板21および複数の発光素子22が内側に配置されている」ことは、前者のケース部が「前記基板部が収納された」ことに相当する。 エ 後者のキャップ12が「カバー11の長手方向における両端部に装着されカバー11内を密閉する」ことは、前者のキャップ部が「前記ケース部の端部の開口を塞ぐ」ことに相当する。 オ 後者の「カバー11は、回路基板21が内側に配置される空間が設けられ、」との構成は、前者の「前記ケース部は、光透過性の仕切り板で前記基板部が収納される収納用空間と前記LED素子の光拡散を有効に機能させるための拡散用空間とに区画され、」との構成と、「前記ケース部は、前記基板部が収納される収納用空間が設けられ」ることで共通する。 カ 後者の「回路基板21、発光素子22およびカバー11からなる構造体にキャップ12を接続する」との構成は、前者の「前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造する」との構成と、「前記ケース部の端部に前記キャップ部を設ける」ことで共通する。 キ 以上の相当関係を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。 [一致点] 「光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えたLED照明装置の製造方法であって、 前記ケース部は、前記基板部が収納される収納用空間が設けられ、 前記ケース部の端部に前記キャップ部を設けるLED照明装置の製造方法。」 [相違点1] ケース部に関して、本件発明1では、「光透過性の仕切り板で前記基板部が収納される収納用空間と前記LED素子の光拡散を有効に機能させるための拡散用空間とに区画され」るのに対して、甲1発明では、「回路基板21が内側に配置される空間」(収納用空間)しか設けられていない点。 [相違点2] 本件発明1では、「前記収納用空間には前記基板部を収納した後に充填用樹脂を注入」するのに対して、甲1発明では、そのことが特定されていない点。 [相違点3] ケース部の端部にキャップ部を設けるにあたり、本件発明1では、「前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造する」のに対して、甲1発明では、「回路基板21、発光素子22およびカバー11からなる構造体にキャップ12を接続する」点。 (1-2)検討 事案に鑑みて、まず相違点3について検討する。 上記1(3-2)から、甲6発明は、要するに、熱硬化性樹脂であらかじめ生成しておいた液状でない第1樹脂部材1012A及び第2樹脂部材1012Bとカバー11(本件発明1の「ケース部」に対応。)の端部とを金型に配置し、これらを加熱することにより封止樹脂部12(本件発明1の「キャップ部」に対応。)を生成するものである。 したがって、甲6発明は、封止樹脂部12を「前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して」成形により製造するものではない。 また、甲6発明は、封止樹脂部12によるカバー11の両端部の封止に先立って、「前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着」するものでもない(成形型に液状樹脂を充填しないから、そもそも閉鎖部材を装着する必要がない。)。 以上のことから、甲6発明は、「前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造する」ものではなく、仮に、甲1発明に甲6発明を適用しても相違点3に係る本件発明1の構成にはならない。 また、ケース部の端部にキャップ部を設けるにあたり、「前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造する」ことは、他のいずれの証拠にも記載も示唆もされていない。 よって、甲1発明において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 (1-3)小括 以上のことから、その他の相違点については判断するまでもなく、本件発明1は甲1発明及びその他の証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (1-4)申立人の主張について 申立人は、特許異議申立書において、 ア 「そして、甲1-1発明と本件特許発明1は、以下の相違点1の(i)~(iv)において相違する。 《相違点1》 (i)本件特許発明1では、ケース部は、光透過性の仕切り板で基板部が収納される収納用空間とLED素子の光拡散を有効に機能させるための拡散用空間とに区画されている点。 (ii)収納用空間には基板部を収納した後に充填用樹脂を注入する点。 (iii)ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着する点。 (iv)ケース部の端部をキャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、成形型に液状樹脂を充填して、キャップ部を成形により製造する点。」(第36、37ページ参照。)、 イ 「・相違点(iii)について、 「回路基板を収納するケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着している」ことは、甲第5号証に記載の管状の透明ケースの端部の開口に第1の防水パッキン、第2の防水接着剤封止エンドキャップを装着することで閉鎖する技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たことと認められる。また、(イ)で述べたように、甲第5号証に記載の技術は、管状であり内側にLEDs基板が収納される透明ケースを備える照明装置に関するものであり、本件特許発明1とは技術分野が共通することは明らかである。 従って、甲1-1発明に、甲第5号証に記載された技術を適用することで、本件特許発明1の「回路基板を収納するケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着している」構成1Gとすることに、格別の技術的困難性はない。」(第36、37ページ参照。)、 ウ 「・相違点(iv)について、 甲6-1発明の「発光素子22」は、本件特許発明1の「LED素子」に相当し、甲6-1発明の「回路基板21」は、本件特許発明1の「基板部」に相当する。また、甲6-1発明の「カバー11」は、本件特許発明1の「ケース部」に相当し、甲6-1発明の「封止樹脂部12」は、本件特許発明1の「キャップ部」に相当する。更に、甲6-1発明の「第1金型101」、「第2金型102」は、本件特許発明1の「ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型」に相当する。 また、(イ)で述べたように、甲1-1発明と甲6-1発明の技術分野は、共に「照明装置および照明装置の製造方法」であり共通する。このため、甲1-1発明に甲6-1発明を適用することにつき阻害する事由はなく、甲1-1発明について、甲6-1発明の構成を適用することは当業者であれば容易になし得たことと認められる。 従って、「ケース部の端部をキャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、成形型に液状樹脂を充填して、キャップ部を成形により製造する」構成1Hを採用することに格別の技術的困難性はない。」(第38、39ページ参照。)、 と主張している。 しかしながら、上記アの主張について、(iii)と(iv)とを個別の相違点とすることは適切でない。 本件発明1の閉鎖部材は、「前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造する」プロセスに先立ってケース部の端部の開口に装着されるものであるから、成形型に充填した液状樹脂がケース部の端部の開口から流入することを防止するものであると理解される。 このことから、本件発明1の「前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、」との構成と、「前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造する」との構成は、技術的に不可分の構成と理解すべきであり、甲1発明との対比において、本件発明1のこれらの構成に係る相違点もまた、不可分の相違点として扱うべきである。 そして、上記(1-2)で示したとおり、当該不可分の相違点に係る構成(ケース部の端部にキャップ部を設けるにあたり、「前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造する」こと。)は、いずれの証拠にも記載も示唆もされていない また、以下で示すように、甲5、甲6には、それぞれ相違点(iii)、(iv)に係る本願発明1の構成は記載されていないから、仮に、本来不可分とすべき相違点(iii)、(iv)を、上記アの主張のとおりに個別の相違点として扱ったとしても、甲1発明に甲5認定事項及び甲6発明をそれぞれ適用したものが、相違点(iii)、(iv)に係る本願発明1の構成になることもない。 また、上記イの主張について、甲5には、上記1(2)で示したとおり、防水のための「防水パッキン」、「接着剤封止エンドキャップ」及び「接着剤封止防水カバー」でケース部の端部の開口を塞ぐことが記載されているものの、これらは防水を目的とするものであって本件発明1の「キャップ部」に対応する構成である。 したがって、甲5には、成形型に充填した液状樹脂がケース部の端部の開口から流入することを防止するために「前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着」(相違点(iii))することは記載されていない。 また、上記ウの主張について、甲6発明は、上記(1-2)で示したとおり、封止樹脂部12を「前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して」(相違点(iv))成形により製造するものではない。 よって、申立人の上記主張はいずれも採用することができない。 (2)本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、さらに限定を付加したものであるから、上記と同様の理由により、甲1発明及びその他の証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 小括 以上により、申立理由は成り立たない。 第5 むすび 以上によれば、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできないし、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700442

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