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特許訂正審判

2024-390125

SNSサーバ装置、プログラム及びアプリケーションプログラム

審判番号
2024-390125
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2020-215945
登録番号
6875628
請求日
2024年10月31日
審決日
2025年02月14日
公報発行日
2025年06月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】Tavern 株式会社
  • 【請求人代理人】伊吹 欽也
審判長/審判官
  • 審判長 馬場 慎
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 土居 仁士
分類
P141 .851-Y (H04M) / P141 .853-Y (H04M) / P141 .856-Y (H04M) / P141 .537-Y (H04M) / P141 .112-Y (H04M) / P141 .121-Y (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条、特許法第29条、特許法第36条
データ出所
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特許第6875628号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6875628号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔6~8〕について訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6875628号(以下「本件特許」という。)は、令和2年12月25日に特願2020-215945号として出願されたものであり、令和3年4月27日にその請求項1~9に係る特許権の設定登録がなされ、令和6年10月31日に本件訂正審判の請求がされたものである。 その後、当審において請求人に対して令和6年11月15日付けで審尋を行い、請求人は、同年11月30日に回答書を提出した。 以下では、本件訂正審判による訂正を「本件訂正」といい、令和6年11月30日の回答書を単に「回答書」という。 第2 本件訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件訂正審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項6~8について訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、以下の1~3に示す訂正事項1~3のとおりである。また、本件訂正前の請求項6~8を以下の4に、本件訂正後の請求項6を以下の5に示す。なお、下線は訂正箇所を示す。 1 訂正事項1 請求項6に「コンピュータに、」とあるのを、「コンピュータを、」と訂正する。(請求項6を引用する請求項7及び8も同様に訂正する。) 2 訂正事項2 請求項6に 「グループ通話の参加者を募集するための参加者募集投稿の情報を、」とあるのを、 「3人以上のユーザのユーザ端末間で通話が可能であり、音声通話であるグループ通話の参加者を募集するための参加者募集投稿の情報を、」と訂正する。(請求項6を引用する請求項7及び8も同様に訂正する。) 3 訂正事項3 請求項6に 「アプリケーションプログラム。」とあるのを、 「アプリケーションプログラムであって、前記表示手段は、前記グループ通話の開始時間前に、前記参加者募集投稿を表示するものであり、前記グループ通話の実行中、前記グループ通話に参加したユーザのアイコンを表示する参加者欄を有しているアプリケーションプログラム。」と訂正する。(請求項6を引用する請求項7及び8も同様に訂正する。) 4 本件訂正前の請求項6~8 本件訂正前の請求項6~8は、次のとおりである。なお、後の参照の便宜のため、請求項6を以下のA~Fに分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項6】 A コンピュータに、 B グループ通話の参加者を募集するための参加者募集投稿の情報を、SNSサーバ装置に送信する投稿手段と、 C SNSサーバ装置のタイムライン上に公開された参加者募集投稿の情報を表示する表示手段と、 D 前記参加者募集投稿に応じて参加したユーザのユーザ端末間で、前記グループ通話を実行する通話手段と、 E 前記参加者募集投稿に対応付けてSNSサーバ装置のタイムライン上に公開された前記グループ通話の録音データを再生する再生手段と、 F して機能させるためのアプリケーションプログラム。 【請求項7】 前記参加者募集投稿は、前記録音データとともに、前記グループ通話に参加したユーザのプロフィールを含むこと、 を特徴とする請求項6に記載のアプリケーションプログラム。 【請求項8】 コンピュータに、 ユーザによるスワイプ操作又はフリック操作を入力する入力手段として機能させ、 前記通話手段は、 前記グループ通話の通話中に、該グループ通話に非参加のユーザのユーザ端末に対して、該グループ通話の通話音声を提供し、 前記スワイプ操作又はフリック操作が入力された場合、提供中のグループ通話の通話音声を、別のグループ通話の通話中の通話音声又は別のグループ通話の録音データの通話音声に相互に切り替えて提供すること、 を特徴とする請求項6に記載のアプリケーションプログラム。 5 本件訂正後の請求項6 本件訂正後の請求項6は、次のとおりである。なお、後の参照の便宜のため、請求項6を以下のA~Iに分説(本件訂正前の請求項6と対応するものには同じ分説記号を付した。)し、「発明特定事項A」のようにして参照する。(請求項7及び8の文言は、本件訂正によって変化しないため、請求項7及び8については掲載を省略する。) A コンピュータを、 B 3人以上のユーザのユーザ端末間で通話が可能であり、音声通話であるグループ通話の参加者を募集するための参加者募集投稿の情報を、SNSサーバ装置に送信する投稿手段と、 C SNSサーバ装置のタイムライン上に公開された参加者募集投稿の情報を表示する表示手段と、 D 前記参加者募集投稿に応じて参加したユーザのユーザ端末間で、前記グループ通話を実行する通話手段と、 E 前記参加者募集投稿に対応付けてSNSサーバ装置のタイムライン上に公開された前記グループ通話の録音データを再生する再生手段と、 F して機能させるためのアプリケーションプログラムであって、 G 前記表示手段は、前記グループ通話の開始時間前に、前記参加者募集投稿を表示するものであり、 H 前記グループ通話の実行中、前記グループ通話に参加したユーザのアイコンを表示する参加者欄を有している I アプリケーションプログラム。 第3 独立特許要件以外の訂正要件についての判断 以下では、本件訂正が一群の請求項ごとにしたものか(特許法126条3項)、その目的が適法なものか(同条1項)、本件訂正に新規事項の追加がないか(同条5項)、及び、本件訂正が特許請求の範囲の拡張・変更をするものではないか(同条6項)について判断する。 1 一群の請求項について 本件訂正前の請求項7及び8は、本件訂正前の請求項6を引用するものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項6に連動して訂正されるものであり、また、本件訂正前の請求項6を引用する請求項は請求項7及び8以外に存在しない。 そうすると、請求項6~8は、特許法126条3項に規定する一群の請求項をなす。 そして、本件訂正は、上記一群の請求項である請求項6~8について行うものであるから、特許法126条3項の規定に適合する。 2 訂正事項1について 訂正事項1に係る訂正が、特許法126条1項ただし書き、5項及び6項の規定に適合するかについて、以下、判断する。 (1)訂正事項1に係る訂正の目的 本件訂正前の請求項6は、「コンピュータに、…(略)…投稿手段と、…(略)…表示手段と、…(略)…通話手段と、…(略)…再生手段と、して機能させるためのアプリケーションプログラム。」という記載となっており、当該記載は日本語として明瞭でない記載である。 本件訂正により、前記記載に対応する本件訂正後の請求項6の記載は、「コンピュータを、…(略)…投稿手段と、…(略)…表示手段と、…(略)…通話手段と、…(略)…再生手段と、して機能させるためのアプリケーションプログラム」となり、日本語として明瞭に理解できる記載となる。 よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法126条1項ただし書き3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められる。 (2)訂正事項1に係る訂正による新規事項追加の有無 本件明細書の「また、上記の課題を解決するため、本発明に係るアプリケーションプログラムは、コンピュータに、…(略)…投稿手段と、…(略)…表示手段と、…(略)…通話手段と、…(略)…再生手段と、して機能させる。」(【0008】)との記載によれば、訂正事項1に係る訂正は、本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法126条5項の規定に適合すると認められる。 (3)訂正事項1に係る訂正による特許請求の範囲の拡張・変更の有無 訂正事項1に係る訂正は、明瞭でない記載を釈明したに過ぎないから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法126条6項の規定に適合すると認められる。 3 訂正事項2について 訂正事項2に係る訂正が、特許法126条1項ただし書き、5項及び6項の規定に適合するかについて、以下、判断する。 (1)訂正事項2に係る訂正の目的 訂正事項2に係る訂正は、請求項6に係る発明の発明特定事項である「グループ通話」について、「3人以上のユーザのユーザ端末間で通話が可能であり、音声通話である」との限定を加えるものであるから、特許法126条1項ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。 (2)訂正事項2に係る訂正による新規事項追加の有無 本件明細書には、「通話最大人数216は、グループ通話の参加者(第2のユーザ)の募集最大人数、即ち通話参加可能最大人数を示す。投稿者である第1のユーザが投稿時に設定する。」(【0024】)との記載及び「但し図8A及び図8Bの場合、ユーザ投稿212に設定されている通話最大人数216は4人である。」(【0045】)との記載があり、これらの記載から、グループ通話が3人以上のユーザのユーザ端末間で可能であることは明らかである。 また、前記グループ通話が音声通話であることは、「本変形例は、上述の実施形態に係るグループ通話を、音声通話に代えてビデオ通話を適用したものである。」(【0066】)等の記載から明らかである。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法126条5項の規定に適合すると認められる。 (3)訂正事項2に係る訂正による特許請求の範囲の拡張・変更の有無 訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法126条6項の規定に適合すると認められる。 4 訂正事項3について 訂正事項3に係る訂正が、特許法126条1項ただし書き、5項及び6項の規定に適合するかについて、以下、判断する。 (1)訂正事項3に係る訂正の目的 訂正事項3に係る訂正は、請求項6に係る発明の発明特定事項である「アプリケーションプログラム」について、「前記表示手段は、前記グループ通話の開始時間前に、前記参加者募集投稿を表示するものであ」ること、及び、「前記グループ通話の実行中、前記グループ通話に参加したユーザのアイコンを表示する参加者欄を有している」ことを限定するものであるから、特許法126条1項ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。 (2)訂正事項3に係る訂正による新規事項追加の有無 本件明細書の「タイムライン上にグループ通話の参加者募集投稿が投稿されると、タイムライン上、新規のユーザ投稿212として原則全ユーザが閲覧可能に表示される。」(【0034】)との記載、及び、「投稿者である第1のユーザが開始時刻設定236で設定した通話開始時刻になると、グループ通話が可能な状態となる。他ユーザ(第2のユーザ)は、例えば参加を応募したいグループ通話の参加者募集投稿を選択の上、メニュー211から「通話」(非図示)を選択し、「通話に参加する」218を押下操作することで、ユーザの画面がグループ通話画面に切り替わる。」(【0035】)との記載によれば、参加者募集投稿は、グループ通話の開始時間前に表示されていると理解できる。 また、本件明細書の「図8A(c)は、続いて第2のユーザ(例えば、Ren、佐々木、aiu)が通話に参加した状態のグループ通話画面を示す。また参加者欄240には、第2のユーザ(例えば、Ren、佐々木、aiu)を示すユーザアイコンが表示されている。」(【0041】)との記載によれば、グループ通話の実行中に、グループ通話に参加したユーザのアイコンを表示する参加者欄が存在することが理解できる。 したがって、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法126条5項の規定に適合すると認められる。 (3)訂正事項3に係る訂正による特許請求の範囲の拡張・変更の有無 訂正事項3に係る訂正は、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法126条6項の規定に適合すると認められる。 第4 独立特許要件についての判断 前記第3に示したように、本件訂正は特許法126条7項以外の規定に適合し、訂正事項2及び3に係る訂正が、同条1項ただし書き1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるから、本件訂正後における特許請求の範囲の請求項6~8に記載されている事項により特定される発明(以下、それぞれ「本件発明6」~「本件発明8」といい、これらを総称して「本件発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか(同条7項)について、以下、検討する。 なお、本件訂正後の請求項6の記載は、前記第2、5に示したとおりであり、本件訂正後の請求項7及び8の記載は、本件訂正により変更されないため、前記第2、4に示した請求項7及び8のとおりである。 1 別件訴訟における特許無効の抗弁の概要 本件特許について、請求人は、東京地方裁判所に対して訴えを提起した。(以下「別件訴訟」という。) 別件訴訟の手続における被告(以下、単に「被告」という。)の主張には、本件特許に対する特許無効の抗弁が含まれる。その概要は、以下の(1)及び(2)のとおりである。 (1)別件訴訟における特許無効の抗弁に関連する文書 請求人は、回答書に添付して、別件訴訟において被告が提出した以下の文書を提出した。 被告準備書面(2)(無効論) 証拠説明書(2) 乙第4号証~乙第12号証 乙第13号証の2、乙第13号証の3 乙第14号証 乙第15号証の2、乙第15号証の3 乙第16号証~乙第22号証 乙第23号証の2、乙第23号証の3 乙第24号証の2、乙第24号証の3 乙第25号証の2、乙第25号証の3 乙第26号証の1、乙第26号証の2 乙第27号証~乙第35号証 本件審判では、上記文書を請求人が提出した証拠方法として扱うが、簡便のため、その呼称を別件訴訟のままとし、本件審判において上記文書に改めて甲号証としての番号は付さない。 以下では、乙第4号証~乙第35号証(枝番を含む。)を、それぞれ「乙4」~「乙35」と略称する。 動画の証拠方法である乙13の1、乙15の1、乙23の1、乙24の1及び乙25の1は、請求人から提出されなかった。これらの動画によって立証しようとする事項は、証拠説明書(2)の立証趣旨、乙13の2、乙15の2、乙23の2、乙24の2及び乙25の2の写真撮影報告書並びに被告準備書面(2)(無効論)により理解でき、乙13の1、乙15の1、乙23の1、乙24の1及び乙25の1の存在は結論を左右しないと判断できたため、当審では乙13の1、乙15の1、乙23の1、乙24の1及び乙25の1の動画について職権による証拠調べは行わなかった。 (2)被告の主張の概要 被告準備書面(2)(無効論)によれば、別件訴訟における特許無効の抗弁に関する被告の主張の概要は、以下の無効理由1~5のとおりである。(括弧内に被告準備書面(2)(無効論)における主張箇所を示す。) 無効理由1(明確性要件違反) 以下の理由1-1及び1-2により、本件発明6に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由1-1 本件発明6の「SNSサーバ装置のタイムライン」の意義が不明である。(5頁10行~12頁3行) 理由1-2 本件発明6の「コンピュータに、…投稿手段と、…表示手段と、…通話手段と、…再生手段と、して機能させるためのアプリケーションプログラム」の意義が不明である。(12頁4行~13頁5行) 無効理由2(サポート要件違反) 本件発明6は「SNSサーバ装置のタイムライン」を発明特定事項とする発明であるが、発明の詳細な説明には、ユーザ端末に存在するタイムラインを構成要素とする発明のみが記載されているため、本件発明6は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件発明6に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(13頁6~17行) 無効理由3(公然実施発明1に基づく新規性欠如) 乙8~乙20(後述)によって立証される本件特許の出願日前に公然実施された「stand.fm」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの発明(以下「公然実施発明1」という。)は、本件発明6と同一であるから、本件発明6に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。(14~31頁) 無効理由4(公然実施発明2に基づく新規性欠如) 乙21~乙30(後述)によって立証される本件特許の出願日前に公然実施された「Facebook」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの発明(以下「公然実施発明2」という。)は、本件発明6と同一であるから、本件発明6に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。(32~48頁) 無効理由5(公然実施発明2に基づく進歩性欠如) 本件発明6は、当業者が公然実施発明2並びに乙14、31及び32(後述)に示される周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明6に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(49~55頁) 2 明確性要件違反の有無についての判断 本件発明6~8が特許出願の際独立して特許を受けることができるかについて判断するにあたり、まず、被告が主張する無効理由1を構成する理由1-1及び1-2に理由があるかを検討し(以下の(1)及び(2))、次いで、本件発明6~8における明確性要件違反の有無について小括する(以下の(3))。 発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 (1)理由1-1について 理由1-1は、要するに、本件発明6の「SNSサーバ装置のタイムライン」が明確ではないというものであるから、これについて、以下、検討する。 ア まず、本件発明6の発明特定事項から得られる「SNSサーバ装置のタイムライン」の理解を示す。 本件発明6は、「参加者募集投稿の情報を、SNSサーバ装置に送信」し(発明特定事項B)、「SNSサーバ装置のタイムライン上に公開された参加者募集投稿の情報を」表示手段に「表示する」(発明特定事項C)と特定されている。 上記に鑑みれば、「参加者募集投稿の情報」は、「SNSサーバ装置」で管理されていると理解され、発明特定事項Cにおける「参加者募集投稿の情報」の「表示」は、「SNSサーバ装置」で管理されている当該情報を取得することにより、はじめて表示できるものと理解される。 そして、SNSサービスにおいて、各ユーザの投稿は、その投稿時間に基づいて新しい順に「タイムライン」として表示されることが技術常識であるから、「SNSサーバ装置」における「参加者募集投稿の情報」は、「タイムライン」を形成できるように、投稿時間とともに管理されていると当然に理解される。 そうすると、発明特定事項Cにおける「SNSサーバ装置のタイムライン」は、全ユーザの投稿がその投稿時間とともにSNSサーバ装置上で管理されたデータの集合を指すと明確に理解できる。 上記理解は、発明特定事項Eの「SNSサーバ装置のタイムライン」についても整合する。 イ 次いで、本件発明6の「SNSサーバ装置のタイムライン」について、発明の詳細な説明の記載を検討する。 発明の詳細な説明には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した。 「【0013】 SNSサーバ10は、SNSに関するプログラムがインストールされており、ユーザからの投稿を受付けて、タイムライン上に、ユーザからの投稿を公開掲載するサーバ装置である。またSNSサーバ10は、2人以上のユーザ間で通話が行える通話機能(電話機能)、通話音声の録音機能、録音した通話音声の録音データをタイムライン上に公開する機能、他ユーザが通話音声の録音データを再生可能にする機能などを有している。 【0014】 ユーザ端末20は、SNSを利用するために、ユーザが所持するスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PCなどを含む各種の情報処理端末装置である。ユーザ端末20は、ディスプレイ、マイク、スピーカ、カメラ等を具備している。またユーザ端末20には、所定のSNSアプリケーションプログラム(以下単にSNSアプリ、アプリという)や汎用のウェブブラウザプログラムなどが予めインストールされており、これらプログラムを介してSNSサーバ10とのアクセスが行われる。なお本実施形態においては、説明の便宜上、ユーザが所持するユーザ端末20のうち、グループ通話の主催する第1のユーザの端末をユーザ端末20a、グループ通話に参加する第2のユーザの端末をユーザ端末20b、グループ通話の録音データを聞く第3のユーザの端末をユーザ端末20cとする。」 「【0055】 (ソフトウェア構成) 図12は、本実施形態に係るSNSサーバのソフトウェア構成例を示す図である。SNSサーバ10は、主な機能部として、投稿受付部101、投稿公開部102、通話制御部103、録音部104、録音公開部105、再生制御部106、及び記憶部107を有する。 【0056】 投稿受付部101は、ユーザ端末20からグループ通話の参加者募集投稿の情報を受信することで、当該参加者募集投稿を受け付ける機能を有している。 【0057】 投稿公開部102は、ユーザ端末20から受け付けたグループ通話の参加者募集投稿を、タイムライン上に公開する機能を有している。即ち投稿公開部102は、ユーザ端末20に参加者募集投稿の情報を送信することで、ユーザ端末20のデバイス側の画面上で投稿が表示される。」 上記の発明の詳細な説明の記載によれば、ユーザ端末20は、プログラムを介してSNSサーバ10とのアクセスを行う(【0014】)が、ユーザ端末20同士が直接(SNSサーバ10を介さずに)アクセスを行うものではないと理解される。このことは、SNSサーバ10が有する投稿受付部101(【0055】)が、ユーザ端末20から参加者募集投稿の情報を受信すること(【0056】)、及び、SNSサーバ10が有する投稿公開部102(【0055】)が、ユーザ端末20に参加者募集投稿の情報を送信すること(【0057】)とも整合する。 そして、発明の詳細な説明には、SNSサーバ10の投稿公開部102が「ユーザ端末20に参加者募集投稿の情報を送信することで、ユーザ端末20のデバイス側の画面上で投稿が表示される」ことを、「参加者募集投稿を、タイムライン上に公開する機能」としていること(【0057】)が記載されているから、SNSサーバ10は、ユーザ端末20に表示されるタイムライン(ユーザ個別のタイムライン)を構成する情報を全て管理しており、各ユーザ端末20に、それぞれのユーザ個別のタイムラインを構成するための情報を送信するものと理解できる。 よって、SNSサーバ10は、全ユーザのタイムラインを実質的に管理していると理解され、当該全ユーザのタイムラインに相当する情報が、本件発明6でいう「SNSサーバ装置のタイムライン」であると整合的に理解できる。 ウ 次いで、一般的なタイムラインの意味について検討する。 乙4は、本件出願日(令和2年12月25日)前の2020年(令和2年)1月1日に発行された「現代用語の基礎知識2020」の抜粋の写しであり、その「タイムライン」の項目には、「SNSで自分がフォローしたり友だちになったりしているアカウントの投稿が表示される場のこと。ユーザーがSNSで主に見る場であり、主に時系列に投稿が並ぶためこのように呼ばれる。投稿は友だち全体を対象として公開できるため、メッセージと違い特定の相手に送り付けるわけではなく見たい人が見て反応する場となっている。投稿は通常時系列・新着順で表示されるが、重要と判断される投稿が上位に表示されるハイライト表示などもある。」(216頁)との説明文が記載されている。 乙4の前記記載は、前記イで触れた「ユーザ個別のタイムライン」の説明であると理解され、サーバ側の構成については説明していないから、乙4の前記記載は、前記ア及びイの解釈と矛盾することはない。むしろ、乙4は、前記アにおいて本件発明6の「SNSサーバ装置のタイムライン」を理解する基礎となる技術常識を開示するものであり、前記理解と整合するものである。 また、乙5は、2021年(令和3年)6月24日に公開され、同年7月28日に更新されたウェブページの写しであり、乙6は2021年(令和3年)7月6日に公開されたウェブページの写しであり、どちらも本件特許の出願日後の文書であって、「タイムライン」について乙4と同様の内容を開示するにとどまるものであるから、乙5及び乙6は、本件発明6の「SNSサーバ装置のタイムライン」の理解を左右しない。 エ 前記ア~ウによれば、本件発明6の「SNSサーバ装置のタイムライン」は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (2)理由1-2について 本件訂正によって、請求項6の「コンピュータに、…投稿手段と、…表示手段と、…通話手段と、…再生手段と、して機能させるためのアプリケーションプログラム」という日本語として不明確な記載は、「コンピュータを、…投稿手段と、…表示手段と、…通話手段と、…再生手段と、して機能させるためのアプリケーションプログラム」という日本語として明確な記載となった。 よって、当該記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (3)明確性要件違反の有無についての小括 前記(1)及び(2)によれば、本件発明6が明確ではないとする無効理由1には理由がない。 また、本件補正後の請求項6のその他の発明特定事項についても不明確な点はなく、請求項6を引用する請求項7及び8にも不明確な点はない。 よって、本件発明6~8は第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえず、特許法36条6項2号に規定する要件を満たす。 3 サポート要件違反の有無についての判断 前記2(1)イによれば、本件の発明の詳細な説明には、SNSサーバ10によって管理される全ユーザのタイムラインが実質的に開示されており、これが本件発明6の「SNSサーバ装置のタイムライン」に対応すると認められる。よって、無効理由2には理由がない。 また、本件発明6のその他の発明特定事項についても、全て発明の詳細な説明に記載があり、本件発明7及び8に係る発明特定事項も発明の詳細な説明に記載がある。 したがって、本件発明6~8は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法36条6項1号に規定する要件を満たす。 4 公然実施発明1に基づく新規性の欠如の有無についての判断 「stand.fm」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成等を立証するための乙20は、令和6年8月20日に作成されたものであり、写真の撮影日は同年8月19日であるから、乙20によって立証される「stand.fm」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成は、令和6年8月19日時点のものである。 そして、乙20により立証される構成が本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の「stand.fm」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成と同一であることを立証する証拠は存在しない。 よって、本件発明6~8が、本件特許の出願日前に公然実施された「stand.fm」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムと同一であることは、乙20によっては立証されない。 仮に、乙20により立証される構成が、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の「stand.fm」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成と同一であるとしても、以下の(1)~(8)に示すように、本件発明6~8と公然実施発明1とは同一ではない。 (1)乙14の記載 乙14は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の2020年(令和2年)8月3日に公開された「最大5人で同時配信!音声配信アプリ「stand.fm」に複数人でLIVE配信ができる新機能登場」と題するウェブページの写しである。 乙14には、以下の記載がある。 ア 1頁1行~中程やや下 「最大5人で同時配信!音声配信アプリ「stand.fm」に複数人でLIVE配信ができる新機能登場 LIVE配信の公開範囲を「URL限定公開」に設定することも可能に 株式会社stand.fm 2020年8月3日 17時28分 …(略)… 株式会社stand.fm(本社:東京都渋谷区、代表取締役:河合真吾)は、音声プラットフォーム「stand.fm」の収録方法として、遠隔で2人以上(最大5人)でLIVE配信ができる新機能をリリースしました。 …(略)… 自宅で過ごす時間が多くなっている中で、距離が離れていてもアプリ一つで簡単に繋がれて、リアルタイムで一緒に配信を楽しむことができます。 最大5人でLIVE配信が可能(※初回リリース時点ではiOSのみ。Android版も対応予定) 「stand.fm」アプリをダウンロードしている世界中の人とLIVEで繋がることが可能 LIVE配信を視聴しているリスナーに、配信に参加してもらうことが可能 また、リスナーからのLIVE配信参加リクエストも可能」 イ 1頁下から3行~2頁1行 「■使い方 …(略)… 配信者から招待する場合 LIVEの配信者がリスナー一覧から最大4人まで「招待」します 招待されたリスナーが「LIVEに参加」ボタンを押すと、LIVEに参加できます」 ウ 2頁2~5行 「リスナーから参加リクエスト送る場合 LIVEに入ると現れる「参加」ボタンを押して、配信者にLIVE参加リクエストを送ります 配信者がリスナー一覧から届いた参加リクエストに対して「通話開始」をすると、リスナーがLIVEに参加できます ※配信者が参加リクエストを受け付けたくない場合、「リクエストを受付」のボタンをオフにするとリクエストは送信されなくなります」 エ 2頁9~12行 「■こんな時に… リアルタイムで友人らと配信をしてみたい いつも自分の配信を聴いてくれるリスナーさんとラフに話をしてみたい 誰かとふらっと話したい」 オ 2頁41行 「このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります」 (2)乙16の記載 乙16は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の2020年(令和2年)9月7日に公開され、同年9月8日に更新された「stand.fmのライブ音声配信方法を解説【1分の準備で配信】」と題するウェブページの写しである。 乙16には、以下の記載がある。 ア 4頁最下行~5頁6行 「stand.fmのライブ音声配信のはじめ方 1.アプリのダウンロード アプリをダウンロードしてアカウントを作成します。 Web版はありません stand.fm(iOS版) ※Google Play版を見つけられませんでした。何かのトラブルかもしれません(2020年9月現在)」 イ 8頁下から3行~最終行、9頁図 「3.ライブ配信をスタートする【ボタンを押すだけ】 準備が整ったら、いよいよライブ配信スタートです LIVEのボタンを押します▼」 [図:0001423395000001.jpg] ウ 9頁最終行~10頁 「背景画像、タイトル、公開設定を決めて「ライブ放送を開始」をクリック」 [図:0001423395000002.jpg] エ 12頁4行~13頁2行 「ライブ配信を始めると、stand.fmの「ライブ放送」に表示されます▼」 [図:0001423395000003.jpg] 「ライブ放送をしたタイミングで、ライブ放送をしているユーザーが少なければ、トップ表示される可能性大です!!」 オ 15頁下から2行~17頁1行 「ライブ配信中にできること→超インタラクティブです! リスナーさんがアクティブですと、コメントが届きます。 コメントを見ながら、「○○さんからコメント頂きました」とか「○○さんの質問にお答えします」「この中で△△な人はいますか?」とインタラクティブなやり取りができるようになります。 インタラクティブな放送は、 リスナーとの距離を縮め、リスナーが聞きたいことを知れたり、ネタ切れがなくなったりと、メリット大です ライブ配信が終わったら→保存して公開へ stand.fmはライブ配信した放送を保存して公開することができます。 聞き逃してしまった人のために、「LIVEを保存して公開」することがおすすめ▼」 [図:0001423395000004.jpg] 「保存して再度公開する時に、タイトルを変えたり、アイキャッチ画像を変えることができます。」 (3)乙18の記載 乙18は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の2020年(令和2年)3月14日に公開された「【1週間やってみた】stand.fmのかんたん説明」と題するウェブページの写しである。 乙18には、以下の記載がある。 ア 1頁1~9行 「【1週間やってみた】stand.fmのかんたん説明 Hikaru Hashimoto 2020年3月14日 00:08 こんにちは!株式会社POLの橋本です。 今回はTwitterを中心にジワジワと広がっているstand.fmというサービスを1週間しっかり使ってみたので、使い方などを簡単に説明していきます。 stand.fmとは stand.fmとは「簡単な操作で誰でも配信ができる音声プラットフォームアプリ」です。(公式HPより)」 イ 4頁最終行~5頁2行 「タイムライン」 [図:0001423395000005.jpg] 「スマホ画面下部に並んでいる5つのタブの左から2番目を選ぶと、自分がフォローしているアカウントの最新配信が並ぶタイムラインに移ります。」 (4)乙20の記載 乙20は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)後の令和6年8月19日に撮影された写真を使って作成された「写真撮影等報告書(stand.fm)」と題した文書の原本であり、特許庁にはその写しが提出された。 乙20には、以下の記載がある。 ア 1頁5行~11行、15~最終行 「特許権侵害差止等請求事件につき、私は、アプリ「stand.fm」を下記使用端末にインストールし、ライブ配信機能を使用した際に端末に表示された画面の写真を撮影いたしましたので、下記のとおり報告いたします。なお、画面遷移の状況(写真相互の関係)を示すため、写真を掲載した頁には、矢印を追記しています。 記 撮影日: 令和6年8月19日」 「使用端末: Rakuten BIG ZR01(ホスト端末) iPhone 13(リスナー端末) 撮影結果: 本報告書末尾に写真18葉を添付する。」 イ 2~3頁 「1 ホスト端末画面の写真6葉(ライブ配信の開始) (1)次頁に添付の写真6葉は、ホスト端末画面のスクリーンショット画像です。「ホーム」画面(次頁上段左の画像)において、当該画面下部の「+」マーク(ベルマーク(お知らせ)の左のマーク)をタップすると、「収録」、「ライブ」、「コミュニティ」の選択肢が表示されます(次頁上段中央の画像)。当該表示のうち、「ライブ」の表示をタップすると、ライブ配信作成画面(次頁上段右の画像)に遷移します。 (2)ライブ配信作成画面のタイトル情報欄には、「(チャンネル名) ライブ」の文言(次頁に添付の写真では、「ホスト端末 ライブ」の文言が入力された状態となっていますが(次頁上段右の画像)、当該タイトル情報欄をタップすると、タイトル情報を入力することができます。次頁に添付の写真では、「ホスト端末 ライブ」を削除した上で(次頁下段左の画像)、「XXXXテスト配信YYYY」と入力しました(次頁下段中央の画像)。 (3)ライブ配信作成画面において、タイトル情報を入力した上で、「ライブを開始」の表示をタップすると(次頁下段中央の画像)、ライブ配信が開始します(次頁下段右の画像)。」 [図:0001423395000006.jpg] ウ 4~5頁 「2 リスナー端末画面の写真4葉(ライブ配信の視聴及び参加リクエストの送信) (1)次頁に添付の写真4葉は、リスナー端末画面のスクリーンショット画像です。リスナー端末において、ホストをフォローした状態で、ホスト端末においてライブ配信が開始されると、リスナー端末の「フォロー中」画面(次頁上段左の画像)において、ライブ配信のタイトル情報(次頁に添付の写真では、「XXXXテスト配信YYYY」という文言)及びライブ配信中であることを示す「LIVE」マーク(ピンク色の略四角形に白抜きで「LIVE」と表示があるもの)を含む投稿が表示されます。当該投稿をタップすると、ライブ配信画面(次頁上段右の画像)に遷移し、ライブ配信を視聴することができます。 (2)ライブ配信画面(次頁上段右の画像)において、当該画面右下の挙手マーク(プレゼントマークの右のマークで「参加」と書かれている部分)をタップすると、スピーカー参加リクエスト画面(次頁下段左の画像)に遷移します。当該画面において、「参加リクエスト」の表示をタップすると、スピーカー(発言者)として参加する旨のリクエストが、ホストに対して送信されます(次頁下段右の画像)。」 [図:0001423395000007.jpg] エ 6~7頁 「3 ホスト端末画面の写真4葉(参加リクエストの承認) (1)次頁に添付の写真4葉は、ホスト端末画面における、コラボ招待画面(本報告書3頁下段右の画像において、2つの顔が重なっているマーク(吹き出しマークの右のマーク)をタップすると遷移する画面です。)のスクリーンショット画像です。リスナー(視聴者)がライブ配信を視聴していない状態では、「まだリスナーがいません。URLをシェアしてゲストの募集ができます」との文言が表示されていますが(次頁上段左の画像)、リスナー(視聴者)がライブ配信の視聴を開始すると、「リスナー」欄にその旨が表示されます(次頁上段右の画像)。なお、当該画面において、「招待」の表示をタップすると、リスナーに対し、スピーカー(発言者)としてライブ配信へ参加する招待を送信することができます。 (2)リスナーからスピーカー参加リクエストを受信すると、ホスト端末のコラボ招待画面において、「リクエストを受付」欄にその旨が表示されます(次頁下段左の画像)。当該画面において、「コラボ開始」の表示をタップすると、スピーカー参加リクエストが承認されます。当該承認がされ、リスナーがスピーカー(発言者)としてライブ配信へ参加すると、ホスト端末のコラボ招待画面において、「コラボ中」欄にその旨が表示されます(次頁下段右の画像)。」 [図:0001423395000008.jpg] オ 8頁 「4 リスナー端末画面の写真1葉(ライブ配信へのスピーカーとしての参加) (1)次の写真1葉は、リスナー端末画面のスクリーンショット画像です。 (2)リスナーからのスピーカー参加リクエストがホストにより承認されると、ライブ配信へスピーカー(発言者)として参加している状態となり、リスナー端末画面において、その旨が表示されます。」 [図:0001423395000009.jpg] カ 9~10頁 「5 ホスト及びリスナー端末画面の写真3葉(ライブ配信の終了及び録音の再生) (1)次頁に添付の写真3葉は、ホスト端末画面のスクリーンショット画像(背景が黒色の画像)及びリスナー端末画面のスクリーンショット画像(背景が白色の画像)です。ライブ配信を終了するときに、ホストは、アーカイブ(当該ライブの録音データ)の公開の有無及び公開範囲を選択することができます(次頁左の画像)。 (2)ライブ配信を終了する際、ホストがアーカイブ(当該ライブ配信の録音データ)の公開を承認すると、リスナー端末の「フォロー中」画面(次頁中央の画像)において、ライブ配信のタイトル情報(次頁に添付の写真では、「XXXXテスト配信YYYY」という文言)及びグループ通話の録音時間(次頁に添付の写真では、3分という録音時間が、「△」マークの右に表示されています。)を含む投稿が表示されます。「△」マークをタップする、又は、当該投稿をタップして再生画面(次頁右の画像)に遷移し、「△」マークをタップすると、録音データを再生することができます。 …(略)…」 (当審注:上記の「△」は、右向きの三角形を表す。) [図:0001423395000010.jpg] (5)公然実施発明1の認定 乙16は、令和2年9月7日に公開され、同年9月8日に更新されたウェブページの写しであるから、乙16に説明されたstand.fmのサービスは、当該ウェブページの更新時点(令和2年9月8日時点。以下「乙16時点」という。)のものであると推認される。 乙16の前記(2)アの記載によれば、乙16時点において、stand.fmのライブ音声配信は、アプリをダウンロードして行うものであり、iOS版のアプリが不特定多数にダウンロードされ得る状態にあったと認められる。iOSは主にiPhoneと呼ばれるスマートフォンに用いられるOSであるから、当該アプリはスマートフォンにダウンロードして使用されるものであると理解できる。 そうすると、stand.fmのスマートフォン用ライブ音声配信アプリは、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前である乙16時点で、公然と実施されていたと認められる。 当審では、乙16時点で公然実施されていたstand.fmのスマートフォン用ライブ音声配信アプリを公然実施発明1として認定し、以下では公然実施発明1の具体的構成を認定する。 ア 乙16及び乙20を参照する。 前記(2)イ及び(2)ウの図は、いずれも、公然実施発明1をダウンロードしたスマートフォンの画面に公然実施発明1が表示したものであると理解される。 前記(2)イの図の右下にある「LIVE」のボタンを押すと、上部に「LIVE配信」と書かれた前記(2)ウの図に示される画面(以下に再掲。以下「乙16配信設定画面」という。)に遷移すると理解される。 《乙16配信設定画面》 [図:0001423395000011.jpg] 乙16には、「背景画像、タイトル、公開設定を決めて「ライブ放送を開始」をクリック」との記載(前記(2)ウ)があり、乙16配信設定画面には、カメラのアイコンの下に「背景を変更」との文言がある箇所と、その下に「リッキーの7分ライフハックラジオLIVE」との文言がある箇所と、「公開設定」との文言の右に「全体公開」との文言がある箇所があり、これらの箇所はそれぞれ、前記記載の「背景画像」、「タイトル」、「公開設定」に対応すると解される。 よって、乙16配信設定画面は、少なくとも「タイトル」を入力し、「ライブ放送を開始」と記載されたボタンをタップ(乙16はスマートフォンのアプリを説明しているから、「クリック」は「タップ」の意味と解される。)することによってライブ配信を開始するためのユーザーインターフェース(以下「UI」と略す。)であると理解できる。 上記の理解は、令和6年8月19日時点(以下「乙20時点」という。)の乙20に説明されるstand.fmのアプリ(以下「乙20アプリ」という。)とも整合する。乙20の前記(4)イに示した画像のうち、下段中央の画像(以下に要部を拡大して再掲する。以下「乙20配信設定画面」という。)は、乙16配信設定画面と同様のUIであると認められ、乙16配信設定画面で「リッキーの7分ライフハックラジオLIVE」との文言があった箇所に対応する乙20配信設定画面には、「XXXXテスト配信YYYY」との文言があり、その直上に「タイトル」という文言が記載されていることから、当該文言がタイトルであると解される。また、乙20配信設定画面の下部にある「ライブを開始」と記載されたボタンは、ライブ配信を開始するためのボタンであると解される。 《乙20配信設定画面》 [図:0001423395000012.jpg] 以上によれば、公然実施発明1であるスマートフォン用ライブ音声配信アプリは、スマートフォンを、ライブ音声配信のタイトルを入力し、「ライブ放送を開始」ボタンをタップすることによってライブ配信を開始するためのUIとして機能させるものであると認められる。 イ 乙16、乙18及び乙20を参照する。 乙16、乙18及び乙20から、以下の(ア)~(エ)がいえる。 (ア)乙16には、「ライブ配信を始めると、stand.fmの「ライブ放送」に表示されます」との記載の下に、以下に再掲する画面(以下「乙16ライブ放送画面」という。)が記載されている(前記(2)エ)。 《乙16ライブ放送画面》 [図:0001423395000013.jpg] 乙16ライブ放送画面には、3つの配信が表示されており、3つの配信それぞれは、左側に表示されたアイコンの左上隅に、白抜きで「LIVE」と書かれた四隅が丸まった四角形(以下「LIVE表示」という。)が表示されていることから、これら3つの配信がライブ配信されていることが示されていると理解される。また、アイコンの右側にある文言は、その記載内容から、上に位置する文言が配信のタイトルであると推察される。 つまり、公然実施発明1のアプリは、スマートフォンを、ライブ配信が始まると、ライブ放送画面に当該ライブ配信の情報をアイコン及びタイトルで表示するUIとして機能させるものであると認められる。 (イ)乙18は、令和2年3月14日(以下「乙18時点」という。)に公開されたウェブページの写しであり、stand.fmというサービスを利用するための音声プラットフォームアプリ(以下「乙18アプリ」という。)について記載したものである(前記(3)ア)。乙18アプリは、公然実施発明1(乙16のアプリ)と同じくstand.fmのアプリであるが、乙16時点(令和2年9月8日)よりも前(乙18時点、令和2年3月14日)のアプリであると推認される。 乙18には、「自分がフォローしているアカウントの最新配信が並ぶタイムライン」(前記(3)イ)として、「フォロー中」と題された下図(前記(3)イの再掲。以下「乙18フォロー中画面」という。)が示されている。 《乙18フォロー中画面》 [図:0001423395000014.jpg] 乙18フォロー中画面は、乙16ライブ放送画面と同様に、左側にアイコン、右側にタイトルが示された配信が4つ表示されており、そのうち最も下に表示された配信のアイコンには、LIVE表示があるため、当該配信はライブ配信中であると理解される。 つまり、乙18アプリは、フォロー中画面として、自分がフォローしているアカウントの最新配信の情報が並ぶタイムラインを表示するUIを有しており、該最新配信にはライブ配信が含まれ、該最新配信の情報には、アイコン及びタイトルが含まれると理解される。 (ウ)乙20には、「リスナー端末において、ホストをフォローした状態で、ホスト端末においてライブ配信が開始されると、リスナー端末の「フォロー中」画面(次頁上段左の画像)において、ライブ配信のタイトル情報(次頁に添付の写真では、「XXXXテスト配信YYYY」という文言)及びライブ配信中であることを示す「LIVE」マーク(ピンク色の略四角形に白抜きで「LIVE」と表示があるもの)を含む投稿が表示されます。」(前記(4)ウ)との記載があり、前記(4)ウの画像のうち、上段左のものは、「フォロー中」と題されたもの(以下に拡大して掲載。以下「乙20フォロー中画面」という。)が示されている。 《乙20フォロー中画面》 [図:0001423395000015.jpg] 乙20フォロー中画面は乙18フォロー中画面と同様であると理解される。すなわち、乙20アプリは、フォロー中画面として、自分がフォローしているアカウントのライブ配信の情報が並ぶタイムラインを表示するUIを有しており、該配信の情報には、アイコン及びタイトルが表示されるものであると理解される。 よって、乙18アプリと乙20アプリのフォロー中画面を表示するUIは同様のものであって、このUIは、stand.fmのアプリにおいて、乙18時点から乙20時点までの間、大きな変更なく継続的に実装され続けていたと推認される。 (エ)stand.fmのアプリにおけるフォロー中画面を表示するUIは、乙18時点から乙20時点まで大きな変更なく継続的に実装され続けていた(前記(ウ))のであれば、乙18時点と乙20時点の間に位置する乙16時点の公然実施発明1にも同様のUIが備わっており、フォロー中画面を表示するUIを有していたと推認される。 そして、前記(ア)も参照すると、乙16ライブ放送画面は、乙18及び乙20のフォロー中画面と同様に、ライブ配信の情報をアイコン及びタイトルで表示するものであるから、乙16ライブ放送画面を表示するUIと乙16アプリのフォロー中画面を表示するUIは同様の表示機能を実装していると推認される。 以上のとおりであるから、前記(イ)及び(ウ)によれば、公然実施発明1のアプリは、スマートフォンを、ライブ配信が始まると、自分がフォローしているアカウントの最新配信が並ぶタイムラインであるフォロー中画面に、当該ライブ配信の情報をアイコン及びタイトルで表示するUIとして機能させるものであると認められる。 ウ 乙14を参照する。 乙14は、「LIVEの配信者がリスナー一覧から最大4人まで「招待」する」(前記(1)イ)ことにより、又は、「リスナーから参加リクエスト送る場合」「配信者がリスナー一覧から届いた参加リクエストに対して「通話開始」をする」ことにより、「LIVEに参加でき」る(前記(1)ウ)のだから、乙14アプリでは、LIVEの配信者がリスナー一覧から招待することにより、又は、リスナーから届いた参加リクエストに対して配信者が「通話開始」をすることにより、当該リスナーがLIVEに参加できると理解される。 そして、乙14アプリのLIVEは、「遠隔で2人以上(最大5人)でLIVE配信ができる」もの(前記(1)ア)であり、「いつも自分の配信を聴いてくれるリスナーさんとラフに話をしてみたい/誰かとふらっと話したい」(前記(1)エ、「/」は改行を表す。)といった用途が想定されているから、最大5人でのグループ通話になり得ると理解できる。 そうすると、乙14アプリは、LIVEの配信者がリスナー一覧から招待することにより、又は、リスナーから届いた参加リクエストに対して配信者が「通話開始」をすることにより、当該リスナーがLIVEに参加でき、最大5人でのグループ通話が可能なUIを備えていると理解できる。 乙14時点(令和2年8月3日)は、乙16時点(同年9月8日)よりも前であるから、乙16時点の公然実施発明1も同様のUIを備えていると推認できる。すなわち、公然実施発明1は、スマートフォンを、LIVEの配信者がリスナー一覧から招待することにより、又は、リスナーから届いた参加リクエストに対して配信者が「通話開始」をすることにより、当該リスナーがLIVEに参加でき、最大5人でのグループ通話が可能なUIとして機能させるものであると推認できる。 エ 前記ア~ウを総合すると、乙14、乙16、乙18及び乙20によれば、以下に1a1、1b~1d及び1a2に分説して示す公然実施発明1が認められる。なお、後に参照する際には、分説された構成を「構成1a1」のようにして参照する。 1a1 stand.fmのスマートフォン用アプリであって、スマートフォンを、 1b ライブ音声配信のタイトルを入力し、「ライブ放送を開始」ボタンをタップすることによってライブ配信を開始するためのUIと、(前記ア) 1c ライブ配信が始まると、自分がフォローしているアカウントの最新配信が並ぶタイムラインであるフォロー中画面に、当該ライブ配信の情報をアイコン及びタイトルで表示するUIと、(前記イ) 1d LIVEの配信者がリスナー一覧から招待することにより、又は、リスナーから届いた参加リクエストに対して配信者が「通話開始」をすることにより、当該リスナーがLIVEに参加でき、最大5人でのグループ通話が可能なUIと、(前記ウ) 1a2 として機能させるスマートフォン用アプリ。 (6)本件発明6と公然実施発明1との対比 事案に鑑み、本件発明6の「表示手段」に係る発明特定事項Gについて、公然実施発明1と対比する。 ア 発明特定事項Gについて 発明特定事項Gは「前記表示手段は、前記グループ通話の開始時間前に、前記参加者募集投稿を表示するものであり、」というものである。 (ア)公然実施発明1は、「自分がフォローしているアカウントの最新配信が並ぶタイムラインであるフォロー中画面に、当該ライブ配信の情報を」「表示するUI」を備え(構成1c)、公然実施発明1の「表示するUI」は、本件発明6の「表示手段」に相当する。 (イ)公然実施発明1は、「ライブ音声配信のタイトルを入力し、「ライブ放送を開始」ボタンをタップすることによってライブ配信を開始する」(構成1b)ものであるから、ライブ配信を開始した時点では、発言者は配信者のみの1名であって、複数人での通話すなわちグループ通話はなされていないと解される。 (ウ)公然実施発明1の「ライブ配信の情報」は、「ライブ配信が始まると」表示される(構成1c)ものであるから、前記(イ)によれば、「ライブ配信の情報」が表示されるのは、グループ通話がなされていない時点であると解される。 (エ)公然実施発明1において、「最大5人でのグループ通話」が可能となるのは、「配信者がリスナー一覧から招待する」又は「リスナーから届いた参加リクエストに対して配信者が「通話開始」をする」ことによる(構成1d)から、公然実施発明1では、グループ通話は必ず開始されるものではない。 (オ)前記(ウ)及び(エ)によれば、公然実施発明1における「ライブ配信の情報」の表示は、グループ通話が開始されるか否かによらずにされる。すなわち、前記表示が、グループ通話の開始時間前にされるということはできない。 そして、公然実施発明1においては、「ライブ配信の情報」が「タイムラインであるフォロー中画面に」表示される(構成1c)から、前記「ライブ配信の情報」は、タイムラインに投稿されたものと解され、「ライブ配信についての投稿」の情報であるといえる。 よって、本件発明6と公然実施発明1とは、「投稿を表示するものであ」る点で共通するが、本件発明6の投稿は「参加者募集投稿」であるのに対し、公然実施発明1の投稿は「ライブ配信についての投稿」である点で相違するとともに、当該投稿が表示される時期が、本件発明6では「前記グループ通話の開始時間前」であるのに対し、公然実施発明1では、グループ通話が開始されるか否かによらない点で相違する。 イ 前記アによれば、本件発明6と公然実施発明1とは、少なくとも以下の相違点1-1及び1-2において相違する。 〈相違点1-1〉 本件発明6の投稿は「参加者募集投稿」であるのに対し、公然実施発明1の投稿は「ライブ配信についての投稿」である点。 〈相違点1-2〉 投稿が表示される時期が、本件発明6では「前記グループ通話の開始時間前」であるのに対し、公然実施発明1では、グループ通話が開始されるか否かによらない点。 (7)相違点1-2が実質的なものであるかの判断 事案に鑑み、相違点1-2が実質的な相違点であるかについて判断する。 前記(6)ア(エ)に示したとおり、公然実施発明1ではグループ通話は必ずしも開始されるものではないから、グループ通話の開始を前提とした本件発明6とはその前提において相違する。 したがって、相違点1-2は実質的な相違点である。 (8)本件発明の公然実施発明1に対する新規性の有無についての判断 前記(7)によれば、本件発明6と公然実施発明1との相違点1-2は、実質的な相違点であるから、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明6と公然実施発明1とは同一ではない。 また、本件発明7及び8は、本件発明6の発明特定事項を全て有し、さらに別の発明特定事項を含むものであるから、本件発明7及び8と公然実施発明1との間には、少なくとも相違点1-2が存在するため、本件発明7及び8は、公然実施発明1とは同一ではない。 したがって、無効理由3には理由がなく、本件発明は、いずれも、特許法29条1項2号に掲げる発明に該当する公然実施発明1とは異なるから、同項の規定により特許を受けることができないとされるものではない。 5 公然実施発明1に基づく進歩性の欠如の有無についての判断 前記4(8)の判断をさらに進めて、本件発明6が公然実施発明1に対して進歩性を有するか否かを判断する。 公然実施発明1では、配信者が背景画像、タイトル、公開設定を決めて「ライブ放送を開始」をクリック(タップ)すること(乙16、前記4(2)ウ)で、ライブ配信が始まり、当該ライブ配信についての情報が表示される(乙16、前記4(2)エ)から、公然実施発明1のライブ配信は単独の発言者で開始されることが想定されており、ライブ配信の開始後にグループ通話を開始せず、単独の発言者のままライブ配信を行うことを可能とするものである。 そうすると、公然実施発明1における投稿の表示を「グループ通話の開始時間前」に変更すると、グループ通話の開始を必須とするよう、公然実施発明1の前提を変更する必要があり、公然実施発明1が元来想定していた単独の発言者によるライブ配信のみを行うことを不可能としてしまうため、阻害要因があるといえる。 そして、グループ通話の開始を前提としてグループ通話の開始時間前に投稿を表示することを、開示ないし示唆する証拠は存在せず、そのような表示が技術常識であったとも認められない。 そうすると、相違点1-2に係る発明特定事項Gで特定される事項は、当業者といえども容易に想到し得たとは認められない。 よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は、当業者が公然実施発明1に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 本件発明7及び8も、相違点1-2を含むから、本件発明6と同様である。 したがって、本件発明は、いずれも、当業者が公然実施発明1に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められないから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとされるものではない。 6 公然実施発明2に基づく新規性の欠如の有無についての判断 「Facebook」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成等を立証するための乙30は、令和6年8月20日に作成されたものであり、写真の撮影日は同年8月19日であるから、乙30によって立証される「Facebook」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成は、令和6年8月19日時点のものである。 そして、乙30により立証される構成が本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の「Facebook」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成と同一であることを立証する証拠は存在しない。 よって、本件発明6~8が、本件特許の出願日前に公然実施された「Facebook」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムと同一であることは、乙30によっては立証されない。 仮に、乙30により立証される構成が、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の「Facebook」という名称のサービスに係るアプリケーションプログラムの構成と同一であるとしても、以下の(1)~(8)に示すように、本件発明6~8と公然実施発明2とは同一ではない。 (1)乙22の記載 乙22の1葉には「Meta」との記載の下に「Facebook、ライブ動画をより楽しくする「Live Chat with Friends」、「Live With」を提供開始」との記載があり、さらにその下に「2017年05月24日」と記載されており、1葉上部欄外には「2024/08/20 19:25:45「乙22.pdf」」との記載があり、その下にMeta Platforms, Inc.(以下「Meta社」という。)のロゴマークと「Meta」との記載がある。 2021年(令和3年)にFacebook, Inc.(以下「Facebook社」という。)は、社名変更してMeta社となったことは周知である。 そうすると、乙22は、Meta社がまだFacebook社であった時点である2017年(平成29年)5月24日時点に公開された「Facebook、ライブ動画をより楽しくする「Live Chat with Friends」、「Live With」を提供開始」と題するウェブページを、2024年(令和6年)8月20日以前のMeta社のwebページから再出力して作成した写しと解されるので、その本文の内容は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の2017年(平成29年)5月24日に公開されたと認められる。 乙22には、以下の記載がある。 ア 2葉1~6行 「Facebookは5月23日(米国時間)、Facebookのライブ動画に二つの新たな機能、「Live Chat With Friends」と「Live With」を提供することを発表しました。 Facebookはこれまで、先月発表したエフェクト機能を始め、ライブ動画をより楽しく、ソーシャルに、そして双方向にコミュニケーションが取れるようにする方法を考えてきました。今回の新機能により、リアルタイムで友達と繋がり、さまざまな経験を簡単に共有することができます。」 イ 2葉25行~3葉7行 「Live With Facebookは昨年、著名人のアカウントに限り、ゲストを招待したライブ配信を可能にしました。そしてこの度、iOSの全てのプロフィールとFacebookページでのライブ配信への招待が可能になり、「Live With」の機能によって、同じ場所にいなくても、まるで一緒にいるかのように同じライブ動画を楽しむことができるようになります。友達とスクリーンを共有することによって、ライブ配信をより楽しく、双方向なものにするのです。 ライブ配信に友達を招待するには、視聴者の中から選択するか、コメントをした人の中からタップして招待する方法があります。招待された友達は、ストリーミングに参加するかどうかを選ぶことができます。承認されると、ライブ配信者の写るスクリーン内に、追加された参加者の画面がワイプで映し出される「ポートレートモード」、あるいは、それぞれが隣り合って映し出される「ランドスケープモード」のどちらかを選び、一緒にライブ配信を楽しむことができます。詳しくは、こちらをご覧ください。」 (2)乙27の記載 乙27は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の2017年(平成29年)3月15日に公開された「【Facebook】投稿を新しい順で表示するには?ニュースフィードを「最新情報」に切り替える方法」と題するウェブページの写しである。 乙27には、以下の記載がある。 ア 1頁本文1~3行 「Facebookのニュースフィードには、「ハイライト」と「最新情報」の2つの表示形式があります。通常はハイライトが選択されていますが、最新情報に切り替えると、投稿を新しい順に並べ替えることが可能です。」 イ 2頁1~4行 「通常、ニュースフィードは「ハイライト」の状態で表示されますが、手動で「最新情報」に切り替えることもできます。スマホアプリ、パソコンのWebブラウザーのそれぞれでの方法を見てみましょう。 iPhone/Androidアプリで「最新情報」に切り替える」 (3)乙28の記載 乙28は全1頁の文書であり、上部欄外に「2024/08/19 6:24」との記載があり、その下に、「The Wayback Machine - https://web.archive.org/web/20161212072606/https://www.facebook.com/help/1468879913412530?helpref=related&ref=related」との記載があることから、乙28は、インターネットアーカイブが保存しているウェブサイトを閲覧するサービスであるWayback Machineを用いて、URLがhttps://www.facebook.com/help/1468879913412530?helpref=related&ref=relatedで表されるページであって2016年(平成28年)12月12日に収集されたものを、2024年8月19日に印刷した写しであると解され、乙28の本文の記載は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)前の2016年(平成28年)12月12日時点のものであると認められる。 乙28には、「How do I find live videos on Facebook?」(当審訳:Facebookでライブ動画を見つけるには?)とのタイトルとともに、以下の記載がある。 「Live videos from your friends and public figures you follow appear in your News Feed.」 (当審訳:あなたがフォローしている友達及び有名人からのライブ動画は、あなたのニュースフィードに現れます。) (4)乙30の記載 乙30は、本件特許の出願日(令和2年12月25日)後の令和6年8月19日に撮影された写真を使って作成された「写真撮影等報告書(Facebook)」と題した文書の原本であり、特許庁にはその写しが提出された。 乙30には、以下の記載がある。 ア 1頁5行~11行、15~最終行 「特許権侵害差止等請求事件につき、私は、アプリ「Facebook」を下記使用端末にインストールし、「Live With」機能を使用した際に端末に表示された画面の写真を撮影いたしましたので、下記のとおり報告いたします。なお、画面遷移の状況(写真相互の関係)を示すため、写真を掲載した頁には、矢印を追記しています。 記 撮影日: 令和6年8月19日」 「使用端末: Rakuten BIG ZR01(ホスト端末) iPhone 13(リスナー端末) 撮影結果: 本報告書末尾に写真19葉を添付する。」 イ 2~3頁 「1 ホスト端末画面の写真6葉(ライブ配信の開始) (1)次頁に添付の写真6葉は、ホスト端末画面のスクリーンショット画像です。「ホーム」画面(次頁上段左の画像)において、当該画面右上の「+」マーク(虫眼鏡マークの左のマーク)をタップすると、「投稿」、「ストーリーズ」、「リール動画」、「ライブ動画」の選択肢が表示されます。当該表示のうち、「ライブ動画」をタップすると、ライブ配信作成画面(次頁上段中央の画像)に遷移します。 (2)ライブ配信作成画面(次頁上段中央の画像)において、「タップして説明を追加...」の表示をタップすると、ライブ動画の内容入力画面(次頁上段右の画像)に遷移し、「ライブ動画の内容」を入力することができます。次頁に添付の写真では、当該画面において「XXXXテスト配信YYYY」との文言を入力しました(次頁下段左の画像)。当該情報を入力後、「完了」の表示をタップすると、ライブ配信作成画面(次頁下段中央の画像)に戻ります。 (3)ライブ配信作成画面(次頁下段中央の画像)において、「ライブ配信を開始」の表示をタップすると、ライブ配信が開始します(次頁下段右の画像)。」 [図:0001423395000016.jpg] ウ 4~5頁 「2 リスナー端末画面の写真4葉(ライブ配信の視聴及び参加リクエストの送信) (1)次頁に添付の写真4葉は、リスナー端末画面のスクリーンショット画像です。リスナー端末において、ホストをフォローした状態で、ホスト端末においてライブ配信が開始されると、リスナー端末の「ニュースフィード」画面(次頁上段左の画像)において、「ライブ動画の内容」情報(次頁に添付の写真では、「XXXXテスト配信YYYY」という文言)及び「ライブ」という赤地に白文字の表示を含む投稿が表示されます。また、当該投稿には、「(ホストのユーザ名)さんがライブ配信中です。」との文言が表示されます。当該投稿をタップすると、ライブ配信画面(次頁上段右の画像)に遷移し、ライブ配信を視聴することができます。 (2)ライブ配信画面(次頁上段右の画像)において、当該画面左下の人型マーク(矢印マークの左のマーク)をタップすると、スピーカー参加リクエスト画面(次頁下段左の画像)に遷移します。当該画面において、「リクエストを送信」の表示をタップすると、スピーカー(発言者)として参加する旨のリクエストが、ホストに対して送信されます(次頁下段右の画像)。」 [図:0001423395000017.jpg] エ 6~7頁 「3 ホスト端末画面の写真4葉(参加リクエストの承認) (1)次頁に添付の写真4葉は、ホスト端末画面のスクリーンショット画像です。ライブ配信へリスナー(視聴者)が参加すると、その旨がホスト端末のライブ配信画面において表示され(次頁上段左の画像)、また、リスナー(視聴者)からスピーカー参加リクエストが送信されると、その旨がホスト端末のライブ配信画面において表示されます(次頁上段右の画像)。 (2)リスナーからスピーカー参加リクエストを受信したホスト端末のライブ配信画面(次頁上段右の画像)において、当該画面左下の人型マーク(棒グラフマークの右のマーク)をタップすると、リクエスト承認画面(次頁下段左の画像)に遷移します。当該画面において、「承認」の表示をタップすると、リクエスト承認の最終確認画面(次頁下段右の画像)に遷移し、当該画面において、「追加する」の表示をタップすると、スピーカー参加リクエストが承認されます。」 [図:0001423395000018.jpg] オ 8頁 「4 リスナー端末画面の写真2葉(ライブ配信へのスピーカーとしての参加) (1)次の写真2葉は、リスナー端末画面のスクリーンショット画像です。スピーカー参加リクエストがホストにより承認されると、ライブ配信参加画面(左の画像)に遷移します。 (2)ライブ配信参加画面(左の画像)では、「音声のみで参加」、「カメラオンで参加」、「承認しない」という選択肢が表示されます。当該画面で、「カメラオンで参加」の表示をタップすると、カメラオンの状態で、ライブ配信へスピーカー(発言者)として参加することができます(右の画像)。」 [図:0001423395000019.jpg] カ 9~10頁 「5 ホスト及びリスナー端末画面の写真3葉(ライブ配信の終了及び録画の再生) (1)次頁に添付の写真3葉は、ホスト端末画面のスクリーンショット画像(背景が黒色の画像)及びリスナー端末画面のスクリーンショット画像(背景が白色の画像)です。ライブ配信を終了するときに、ホストは、当該ライブ配信の録画データの公開の有無及び公開期間を選択することができます(次頁左の画像)。 (2)ライブ配信を終了する際、ホストが当該ライブ配信の録画データの公開を承認すると、リスナー端末の「ニュースフィード」画面(次頁中央の画像)において、「ライブ動画の内容」情報(次頁に添付の写真では、「XXXXテスト配信YYYY」という文言)を含む投稿が表示されます。また、当該投稿には、「(ホストのユーザ名)さんがライブ配信をしましたーゲスト:(ゲストのユーザ名)さん」との文言が表示されます。当該投稿をタップすると、再生画面(次頁右の画像)に遷移し、録画データを再生することができます。 …(略)…」 [図:0001423395000020.jpg] (5)公然実施発明2の認定 Facebookは、本件特許の出願時においても、世界的に著名なSNSサービスとして多くの人々に認知されていた。 乙27は、Facebookのニュースフィードについて説明したものであり(前記(2)ア)、乙27の「スマホアプリ、パソコンのWebブラウザーのそれぞれでの方法を見てみましょう。」「iPhone/Androidアプリで「最新情報」に切り替える」(前記(2)イ)との記載によれば、Facebookサービスのためのスマートフォン(iPhone、Android)用アプリ(以下「Facebookアプリ」という。)が乙27の公開時点(平成29年3月15日、以下「乙27時点」という。)で使用されていたと認められる。 他方、乙30は、Facebookと称されるアプリをRakuten BIG ZR01及びiPhone13にインストールして「Live With」機能を使用した際の画面の写真を示すもの(前記(4)ア)であり、Rakuten BIG ZR01がAndroidスマートフォンであることは周知であるから、乙30の撮影日時点(令和6年8月19日、以下「乙30時点」という。)でも、スマートフォン(iPhone、Android)用のFacebookアプリが使用されていたと認められる。 そして、乙22によれば、Live Withと呼ばれる機能は、米国時間2017年5月23日、日本時間で遅くとも平成29年5月24日(以下「乙22時点」という。)に提供開始されたこと(前記(1))が認められる。 以上によれば、Facebookアプリは、少なくとも乙27時点から乙30時点まで公然と実施されており、そのうち、乙22時点以降のものは、スマートフォンを、Live With機能を提供するためのUIとして機能させるものであったと認められる。 当審では、乙22時点(平成29年5月24日)のスマートフォン用のFacebookアプリを公然実施発明2として認定する。上記によれば、公然実施発明2は、スマートフォンを、Live With機能を提供するUIとして機能させるFacebookアプリであると認められる。 以下では公然実施発明2の要部構成を認定する。 ア 乙22を参照する。 乙22のLive Withに関する「ライブ配信に友達を招待するには、視聴者の中から選択するか、コメントをした人の中からタップして招待する方法があります。招待された友達は、ストリーミングに参加するかどうかを選ぶことができます。」(前記(1)イ)との記載によれば、Live Withは、ライブ配信に配信者の友達を招待する機能であり、友達を招待するには、配信者が視聴者の中から選択する方法と、コメントをした人の中からタップして招待する方法とがあり、招待された友達は、ストリーミング(ライブ配信のことと認める。)に参加するかどうかを選ぶことができるものと解される。 よって、公然実施発明2は、スマートフォンを、ライブ配信に友達を招待するために、配信者が視聴者の中から友達を選択する方法、及び、配信者がコメントをした人の中からタップして友達を選択する方法を提供するUIとして機能させ、かつ、招待を受けた友達が、ライブ配信に参加するかどうかを選ぶことができるLive With機能を提供するUIとして機能させるFacebookアプリであると認められる。 イ 乙30及び乙28を参照する。 乙30には、「リスナー端末において、ホストをフォローした状態で、ホスト端末においてライブ配信が開始されると、リスナー端末の「ニュースフィード」画面…(略)…において、「ライブ動画の内容」情報…(略)…を含む投稿が表示されます。」(前記(4)ウ)との記載がある。該記載において「ホスト端末」は「ライブ配信」をする端末であるから、該記載の「ホスト」は「配信者」である。また、該記載において「リスナー端末において、ホストをフォローした状態」であるから、「リスナー」は配信者の「フォロワー」である。よって、乙30時点のFacebookアプリは、スマートフォンを、配信者端末においてライブ配信が開始されると、配信者をフォローしているフォロワー端末のニュースフィード画面に、ライブ動画の内容情報を含む投稿を表示するUIとして機能させるものであると解される。 また、乙28には、「あなたがフォローしている友達及び有名人からのライブ動画は、あなたのニュースフィードに現れます。」(前記(3))との記載がある。 乙28の本文が収集された日(平成28年12月12日、以下「乙28時点」という。)は、Live With機能が提供開始された乙22時点(平成29年5月24日)よりも前であり、上記によれば、Live With機能が提供開始される前(乙28時点)から提供開始後(乙30時点)にかけて、フォローしている人のライブ動画の情報がニュースフィールドに現れることは変わっていないと推認される。 よって、Live With機能の提供開始時である乙22時点のFacebookアプリ(公然実施発明2)は、乙30時点のFacebookアプリと同様に、スマートフォンを、配信者端末においてライブ配信が開始されると、配信者をフォローしているフォロワー端末のニュースフィード画面に、ライブ動画の内容情報を含む投稿を表示するUIとして機能させるアプリであったと推認される。 ウ 以上から、乙22、乙27、乙28及び乙30によれば、以下に2a1、2b、2c及び2a2に分説して示す公然実施発明2が認められる。なお、後に参照する際には、分説された構成を「構成2a1」のようにして参照する。 2a1 Facebookアプリであって、スマートフォンを、少なくとも、 2b ライブ配信に友達を招待するために、配信者が視聴者の中から友達を選択する方法、及び、配信者がコメントをした人の中からタップして友達を選択する方法を提供するUIとして機能させ、かつ、招待を受けた友達が、ライブ配信に参加するかどうかを選ぶことができるLive With機能を提供するUIと、(前記ア) 2c 配信者端末においてライブ配信が開始されると、配信者をフォローしているフォロワー端末のニュースフィード画面に、ライブ動画の内容情報を含む投稿を表示するUIと、(前記イ) 2a2 として機能させるFacebookアプリ。 (6)本件発明6と公然実施発明2との対比 事案に鑑み、発明特定事項Gについて、本件発明6と公然実施発明2とを対比する。 ア 発明特定事項Gについて 発明特定事項Gは「前記表示手段は、前記グループ通話の開始時間前に、前記参加者募集投稿を表示するものであり、」というものである。 (ア)公然実施発明2は、「配信者端末においてライブ配信が開始されると、配信者をフォローしているフォロワー端末のニュースフィード画面に、ライブ動画の内容情報を含む投稿を表示する」(構成2c)ものであるから、本件発明6と公然実施発明2とは、コンピュータを、「投稿を表示する」表示手段として機能させる点で共通する。 (イ)公然実施発明2は、「ライブ配信に友達を招待するために、配信者が視聴者の中から友達を選択する方法、及び、配信者がコメントをした人の中からタップして友達を選択する方法を提供」しており、「招待を受けた友達が、ライブ配信に参加するかどうかを選ぶことができる」(構成2b)のであるから、公然実施発明2は、友達とのライブ配信すなわちグループ通話を含む動画配信が、必ず開始されるものではない。 (ウ)前記(イ)によれば、公然実施発明2における「ライブ動画の内容情報を含む投稿」の表示は、グループ通話が開始されるか否かによらずにされる。すなわち、前記表示が、グループ通話の開始時間前にされるということはできない。 よって、本件発明6と公然実施発明2とは、「表示手段は、」「投稿を表示するものであ」る点で共通するが、本件発明6の投稿は「前記参加者募集投稿」であるのに対し、公然実施発明2の投稿は「ライブ動画の内容情報を含む投稿」である点で相違するとともに、当該投稿が表示される時期が、本件発明6では「前記グループ通話の開始時間前」であるのに対し、公然実施発明2では、グループ通話が開始されるか否かによらない点で相違する。 イ 前記アによれば、本件発明6と公然実施発明2とは、少なくとも、以下の相違点2-1及び2-2において相違する。 〈相違点2-1〉 本件発明6の投稿は「前記参加者募集投稿」であるのに対し、公然実施発明2の投稿は「ライブ動画の内容情報を含む投稿」である点。 〈相違点2-2〉 投稿が表示される時期が、本件発明6では「前記グループ通話の開始時間前」であるのに対し、公然実施発明2では、グループ通話が開始されるか否かによらない点。 (7)相違点2-2が実質的なものであるかの判断 事案に鑑み、相違点2-2が実質的な相違点であるかについて判断する。 前記(6)ア(イ)に示したとおり、公然実施発明2ではグループ通話は必ずしも開始されるものではないから、グループ通話の開始を前提とした本件発明6とはその前提において相違する。 したがって、相違点2-2は実質的な相違点である。 (8)本件発明の公然実施発明2に対する新規性の有無についての判断 前記(7)によれば、本件発明6と公然実施発明2との相違点2-2は、実質的な相違点であるから、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明6と公然実施発明2とは同一ではない。 また、本件発明7及び8は、本件発明6の発明特定事項を全て有し、さらに別の発明特定事項を含むものであるから、本件発明7及び8と公然実施発明2との間には、少なくとも相違点2-2が存在するため、本件発明7及び8は、公然実施発明2とは同一ではない。 したがって、無効理由4には理由がなく、本件発明は、いずれも、特許法29条1項2号に掲げる発明に該当する公然実施発明2とは異なるから、同項の規定により特許を受けることができないとされるものではない。 7 公然実施発明2に基づく進歩性の欠如の有無についての判断 事案に鑑み、相違点2-2について判断する。 公然実施発明2は、ライブ配信中に友達を招待するものである(構成2b)から、公然実施発明2のライブ配信は単独の発言者で開始されることが想定されており、ライブ配信の開始後にグループ通話を開始せず、単独の発言者のままライブ配信を行うことを可能とするものである。 そうすると、公然実施発明2における投稿の表示を「グループ通話の開始時間前」に変更すると、グループ通話の開始を必須とするよう、公然実施発明2の前提を変更する必要があり、公然実施発明2が元来想定していた単独の発言者によるライブ配信のみを行うことを不可能としてしまうため、阻害要因があるといえる。 そして、グループ通話の開始を前提としてグループ通話の開始時間前に投稿を表示することを、開示ないし示唆する証拠は存在せず、そのような表示が技術常識であったとも認められない。 そうすると、相違点2-2に係る発明特定事項Gで特定される事項は、当業者といえども容易に想到し得たとは認められない。 したがって、その他の相違点について判断するまでもなく、相違点2-2に係る発明特定事項Gを備える本件発明は、いずれも、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められないから、無効理由5には理由がなく、本件発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとされるものではない。 8 独立特許要件についての判断の小括 前記1~7のとおり、被告が主張する無効理由1~5には理由がないため、無効理由1~5によっては、本件発明が特許を受けることができないと認めることができない。 また、本件発明が特許を受けることができないとするその他の理由はない。 したがって、本件訂正後の本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法126条7項の規定に適合する。 第5 むすび 前記第3及び第4のとおりであるから、本件訂正は、訂正要件に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-390125

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