特許訂正審判
2024-390011
携帯電話、Rバッジ、受信装置
- 審判番号
- 2024-390011
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2008-145098
- 登録番号
- 4789092
- 請求日
- 2024年01月24日
- 審決日
- 2024年10月22日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 モビリティ
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 須田 勝巳
- 審判官 山崎 慎一
- 分類
- P141 .841-Y (G06K) / P141 .851-Y (G06K) / P141 .852-Y (G06K) / P141 .853-Y (G06K) / P141 .854-Y (G06K) / P141 .113-Y (G06K) / P141 .121-Y (G06K) / P141 .16 -Y (G06K) / 標準データ:手続:訂正 / 標準データ:41・841-Y (G06K) / 標準データ:41・851 / 標準データ:41・852 / 標準データ:41・853 / 標準データ:41・854 / 標準データ:41・113 / 標準データ:41・121 / 標準データ:41・16 / 標準データ:確定ステータス:1 維持(出訴無し)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第131条の2第1項、特許法第29条の2、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第3項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)、特許情報標準データ(審判)
事件の表示
特許第4789092号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第4789092号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4789092号(以下、「本件特許」という。)は、2002年(平成14年)4月17日(優先権主張 平成13年4月17日(以下、「優先日」という。))を国際出願日とする特願2002-584251号の一部を平成20年5月7日に新たな特許出願とした特願2008-145098号(以下、「本件特許出願」という。)の請求項1~6に係る発明について、平成23年7月29日に特許権の設定登録がされたものである。
その後、平成30年12月6日に請求された訂正審判(以下、「訂正審判1」という。)により、明細書及び特許請求の範囲が訂正され、さらに、令和2年3月6日に請求された訂正審判(以下、「訂正審判2」という。)により、明細書及び特許請求の範囲が訂正されたところ、これらの訂正審判による訂正はいずれも確定している(以下、訂正審判2により訂正されて確定した訂正明細書及び特許請求の範囲を「願書に添付した明細書及び特許請求の範囲」という。)。
そして、令和6年1月24日に本件訂正審判の請求がなされ、同年4月23日に請求人より手続補正書が提出され、同年7月12日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年7月29日に意見書が提出され、同年8月1日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年8月6日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月20日に手続補正書が提出され、同年8月23日に意見書が提出されたものである。
なお、本件訂正審判の請求に係る訂正を、以下、「本件訂正」という。
第2 令和6年4月23日及び同年8月6日に提出された手続補正書による手続補正の適否
1 令和6年4月23日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正1」という。)について
本件補正1は、審判請求書の内容を実質的に変更するものではないから、審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、本件補正1は、特許法第131条の2第1項の規定に適合するから、これを認める。
2 令和6年8月6日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正2」という。)について
(1)本件補正2の内容
本件補正2の内容は以下のとおりである。
ア 補正事項1
訂正事項6を、「特許請求の範囲の請求項6に、「RFIDインターフェースを有し、前記携帯電話からの要求に応じて前記識別情報を送信する手段」と記載されているのを、「RFIDインターフェースを有するRバッジであって、前記携帯電話からの要求に応じて当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な前記識別情報を送信する手段」と訂正する」ものから、「特許請求の範囲の請求項6を削除する訂正をする」ものに変更する補正。
イ 補正事項2
訂正事項12を、「明細書の段落【0016】に、「RFIDインターフェースを有し、前記携帯電話からの要求に応じて前記識別情報を送信する手段」と記載されているのを、「RFIDインターフェースを有するRバッジであって、前記携帯電話からの要求に応じて当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な前記識別情報を送信する手段」と訂正する」ものから、「明細書の段落【0016】を削除する訂正をする」ものに変更する補正。
ウ 補正事項3
訂正事項13を削除する補正。
エ 補正事項4
訂正事項14を削除する補正。
(2)本件補正2についての判断
ア 補正事項1は、請求項6についての訂正事項6を請求項6を削除するという訂正に変更するものであり、また、補正事項2は、補正事項1に伴って明細書の記載を特許請求の範囲の記載に整合させるためのものであり、いずれも、審理対象の拡張変更を伴うものではないから、審判請求書の要旨を変更するものではない。
イ 補正事項3、4は、訂正事項13、14を削除するものであるから、審判請求書の要旨を変更するものではない。
ウ よって、本件補正2は、特許法第131条の2第1項の規定に適合するから、これを認める。
第3 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第4789092号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第4 本件訂正の内容
上記第2のとおり、本件補正1及び本件補正2は認められるから、本件訂正は、以下の訂正事項1~12からなるものである。(下線は訂正箇所を示す。)
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号又はリーダライタから送信されるトリガ信号を」と記載されているのを、「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号を」に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、「RFIDインターフェースを有するRバッジに対してRバッジを一意に識別できる識別情報」と記載されているのを、「RFIDインターフェースを有するRバッジに対して当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報」に訂正すると共に、「前記Rバッジより識別情報を受け取って」と記載されているのを、「前記Rバッジより前記識別情報を受け取って」と訂正する。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に、「前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過するまでは前記被保護情報へのアクセスを許可する」と記載されているのを、「前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」に訂正する。
4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、「前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つである」と記載されているのを、「前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであって、それらの中から1つが選択され得る」に訂正する。
5 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、「RFIDインターフェースを有し、個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する」と記載されているのを、「RFIDインターフェースを有する受信装置であって、当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する」と訂正すると共に、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたとき」と記載されているのを、「前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたとき」と訂正する。
6 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する訂正をする。
7 訂正事項7
明細書の段落【0011】に、「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号又はリーダライタから送信されるトリガ信号を」と記載されているのを、「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号を」に訂正する。
8 訂正事項8
明細書の段落【0011】に、「RFIDインターフェースを有するRバッジに対してRバッジを一意に識別できる識別情報」と記載されているのを、「RFIDインターフェースを有するRバッジに対して当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報」に訂正すると共に、「前記Rバッジより識別情報を受け取って」と記載されているのを、「前記Rバッジより前記識別情報を受け取って」と訂正する。
9 訂正事項9
明細書の段落【0011】に、「前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過するまでは前記被保護情報へのアクセスを許可する」と記載されているのを、「前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」に訂正する。
10 訂正事項10
明細書の段落【0014】に、「前記新たな機能は、例えば、プリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットなどである」と記載されているのを、「前記新たな機能は、例えば、プリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットなどであって、それらの中から1つが選択され得る」に訂正する。
11 訂正事項11
明細書の段落【0015】に、「RFIDインターフェースを有し、個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する」と記載されているのを、「RFIDインターフェースを有する受信装置であって、当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する」と訂正すると共に、「前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたとき」と記載されているのを、「前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたとき」と訂正する。
12 訂正事項12
明細書の段落【0016】を削除する訂正をする。
第5 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
そして、訂正事項1~12からなる本件訂正は、一群の請求項1~6についてなされたものである。
2 訂正要件(独立特許要件以外の訂正要件)について
以下、訂正事項1~12が訂正要件を満たしているか否かについて検討する。
なお、独立特許要件については、後記する3においてまとめて検討する。
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に、「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号又はリーダライタから送信されるトリガ信号を」と記載されているのを、「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号を」と訂正することで、訂正前の請求項1における択一的記載の要素である「又はリーダライタから送信されるトリガ信号」を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと
訂正事項1は、上記アのとおり、訂正前の請求項1における択一的記載の要素を削除するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」ともいう。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、請求項1の記載について、「又はリーダライタから送信されるトリガ信号」との記載を削除するものであるから、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に、「Rバッジを一意に識別できる識別情報」と記載されているのを、「当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報」と訂正することで、「Rバッジを一意に識別できる識別情報」を「当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと
訂正事項2は、上記アのとおり、訂正前の請求項1における「Rバッジを一意に識別できる識別情報」を「当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報」に限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、上記アのとおり、訂正前の請求項1における「Rバッジを一意に識別できる識別情報」を「当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報」に限定するものである。
ここで、願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)には以下の記載がある。(下線は当審で付加したものである。)
「【0107】
また、図19に示すように、レッドバッジ70に内蔵されたICチップ51には、識別情報をメモリ30の識別情報記憶部35に格納する。識別情報記憶部35はROMなど書換不可能な記録素子で構成されることが望ましい。また、識別情報350は一意に識別できるように割り振ったものである。識別情報350はレッドバッジ70の製造時に、一意となるように書き込むようにしても良い。」
上記記載から、「Rバッジを一意に識別できる識別情報」が「当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報」であることは、本件特許明細書に記載されている事項といえる。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項1に、「前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過するまでは前記被保護情報へのアクセスを許可する」と記載されているのを、「前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」と訂正することで、訂正前の請求項1においては特定されていなかった、「所定時間」が経過した後の動作について、「前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと
訂正事項3は、上記アのとおり、「所定時間」が経過した後の動作について、「前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」と特定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、上記アのとおり、「所定時間」が経過した後の動作について、「前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」と特定するものである。
ここで、本件特許明細書には以下の記載がある。(下線は当審で付加したものである。)
「【0036】
また、照合結果が所定の条件を満たした後所定時間が経過する前に被保護情報へのアクセスがなされた場合はそれを許可し、この所定時間が経過した後の場合はアクセスを禁止するようにしてもよい。この場合、例えば、ICアセンブリ130または140のいずれか一方または両方にタイマを設けることで、上述のような所定時間が経過したか否かを検出することが可能となる。このような方法をとることで、ICアセンブリ130と140との間の距離が通信可能距離よりも長い場合であっても本発明を実現することが可能である。」
上記記載から、「アクセス制御手段」が「当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」ことは、本件特許明細書に記載されている事項といえる。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項4に、「前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つである」と記載されているのを、「前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであって、それらの中から1つが選択され得る」と訂正することで、訂正前の請求項4における択一的記載の要素である「定期券」と「乗車券」を削除するとともに、「新たな機能」は、択一的記載の要素の「中から1つが選択され得る」ものであることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと
訂正事項4は、上記アのとおり、訂正前の請求項4における択一的記載の要素を削除するとともに、「新たな機能」は、択一的記載の要素の「中から1つが選択され得る」ものであることを限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項4のうち、請求項4の記載について、「定期券」と「乗車券」を削除することは、択一的記載の要素の削除であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
(イ)次に、訂正事項4のうち、「新たな機能」は、択一的記載の要素の「中から1つが選択され得る」ものであることが、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえるかについて検討する。
本件特許明細書等には以下の記載がある。(下線は当審で付加したものである。)
a 「【0085】
第2の実施の形態では、携帯端末10に(ICカードで行われている)定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能を内蔵させる個別情報システムについて説明する。ここでは、クレジットカードなどカード機能を携帯端末10に内蔵させる場合を例に説明する。前述の実施の形態と同一のものには同一符号を伏して詳細な説明を省略する。
・・・中略・・・
【0094】
本実施の形態では、携帯端末10にカード機能を持たせる場合について説明したが、定期券や乗車券の機能を持たせることも可能である。この場合には、受信装置60の送受信部20には、多少離れた位置から読み取り可能なように近接型を利用することが好ましい。
【0095】
また、携帯端末10に鍵の機能を持たせることも可能である。この場合には、受信装置60の送受信部20には、やや離れた位置から読み取り可能なように近傍型または近接型を利用することが好ましい。
【0096】
また、電子マネー・クレジットカード・会員権・診察券・健康保健所・身分証明書・アミューズメント施設のチケット類の機能を持たせることも可能である。
・・・中略・・・
【0098】
さらにまた、携帯端末10を買い換えるなど置き換えをする場合には、携帯端末10に記録されている電子マネー・クレジットカード・会員権などを管理する管理会社にインターネットなどを介して置き換えを通知する。そこで、古い携帯端末10では利用できないようにし、新しい携帯端末10にその情報をダウンロードして利用するようにすることも可能である。
【0099】
以上、説明したように、携帯端末10に、複数の機能を兼ね備えるようにすることが可能である。」
b 「【0056】
また、携帯端末10には、図7のブロック図に示すように、各RFIDインターフェースに対応した送受信部20と、この各RFIDインターフェースを利用するためのデバイスドライバ(制御プログラム)31とを複数用意し、OS(オベレーティングシステム)などからなるシステム管理部32上でさまざまなアプリケーションプログラム33を動作させることができ多種多様な機能を持たせることが可能である。さらに、必要に応じて、アプリケーションプログラム33で利用するデータを格納するデータ格納部34を持つ。
【0057】
さらに、このアプリケーションプログラム33やデバイスドライバ31は、インターネットなどのネットワークからダウンロードして、新たな機能の追加や、更新することが可能である。」
c 「図28
[図:0001419282000001.jpg]
」
d 「【0147】
次に、本実施の形態の動作を携帯端末10を例に、図27のフローチャートと図28の携帯端末10の画面の遷移図に従って説明する。
【0148】
まず、携帯端末10では、図28の画面の遷移図に示すように、メニューからプリペイドカードのモード1000~商品購入モード1001~自動販売機モード1002を選択する(S300)。ここで、識別情報350を携帯端末10のRFIDインターフェースから自動販売機90に発信すると、携帯端末10には、個人認証中の画面1003が表示される(S301)。以下、自動販売機90と携帯端末10とは、RFIDインターフェースで送受信されるものとする。」
上記aの記載から、携帯端末は、「複数の機能を兼ね備える」ことができることが読み取れ、上記bの記載から、携帯端末に「新たな機能」を追加することが可能であることが読み取れ、また、上記c及びdの記載から、携帯端末が備える「複数の機能」は、利用する際に「選択」されることが読み取れるから、これらを総合すると、本件特許明細書等には、追加された「新たな機能」も含めて、携帯端末が備える「複数の機能」は、利用する際に「選択」され得ることが記載されていると解される。
したがって、訂正事項4のうち、「新たな機能」は、択一的記載の要素の「中から1つが選択され得る」ものであることは、本件特許明細書等に記載されている事項といえる。
(ウ)したがって、訂正事項4は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項4は、特許法第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、次の4つの訂正事項を含むものである。
(ア)訂正事項5-1
訂正前の請求項5における「個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する」ことを、「当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって」発信することに限定する訂正。
(イ)訂正事項5-2
訂正前の請求項5における「個別情報」を「前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報」に限定する訂正。
(ウ)訂正事項5-3
訂正前の請求項5における「個別情報の発信要求を」「発信する」「前記携帯電話」を、「当該受信装置に近づけられた前記携帯電話」に限定する訂正。
(エ)訂正事項5-4
訂正前の請求項5における「受信した判断情報」を「前記受信した個別情報」とする訂正。
(オ)上記訂正事項5-1~訂正事項5-3は、いずれも訂正前の請求項5に記載されていた事項を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(カ)次に、上記訂正事項5-4について検討する。
訂正前の請求項5では、「前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断されたときに」と記載されており、当該記載における前段では、「受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する」と記載されているのに対して、後段では、「受信した判断情報が、前記要求した個別情報であると判断され」(以下、「後段の記載」という。)と記載されていて、「要求した個別情報であるか否かを判断する」情報が、「受信した個別情報」であるのか、「受信した判断情報」であるのかが不明な記載となっている。
ここで、訂正前の請求項5の「個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する発信手段」と、「前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」との記載からすると、「前記判断手段で受信した“情報”が、前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」という動作における「受信した“情報”」が「受信した“個別情報”」でなければならないことは明らかである。
そうすると、上記後段の記載における「受信した判断情報」は「受信した個別情報」の明らかな誤記であるといえる。
なお、上記の結論は、願書に最初に添付した明細書の段落0092~0093の「【0092】携帯端末10で、利用するカードを選択して(S120)、携帯端末10を受信装置60に近づける。受信装置60では、例えば、受信装置60に設けられている読み取りスイッチの押下によって、カード情報340の読み取り指示を受け取ると、読み取りコマンドを送受信部20に送る(S220)。そこで、送受信部20から指定されているカードのカード情報340(個別情報)の発信要求(パワーパルスなど)を携帯端末10に発信する(S221)。【0093】携帯端末10では、カード情報340の発信要求を受け取ると選択されているカード情報340を発信する(S122)。受信装置60では、受信したカード情報340が、要求したカード情報であれば処理を続行するが(S224)、要求したカード情報でない場合はエラー終了する(S225)。」との記載とも整合している。
したがって、上記訂正事項5-4は、誤記の訂正を目的とするものである。
(キ)以上の検討から、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び同第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと
訂正事項5は、上記アのとおり、訂正前の請求項5における「個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する」ことを、「当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって」発信することに限定し、訂正前の請求項5における「個別情報」を「前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報」に限定し、さらに、訂正前の請求項5における「個別情報の発信要求を」「発信する」「前記携帯電話」を、「当該受信装置に近づけられた前記携帯電話」に限定するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
また、訂正事項5は、「判断情報」を「個別情報」と誤記訂正するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等(訂正事項5-4については、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」(以下、「当初明細書等」という。))に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、上記した訂正事項5-1~訂正事項5-4を含むものである。
そこで、上記した訂正事項5-1~訂正事項5-3が、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえるか、また、訂正事項5-4が、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえるかについて検討する。
(ア)本件特許明細書等には以下の記載がある。なお、当初明細書等にも同様の記載がある。(下線は当審で付加したものである。)
a 「図13
[図:0001419282000002.jpg]
」
b 「図14
[図:0001419282000003.jpg]
」
c 「【0085】
第2の実施の形態では、携帯端末10に(ICカードで行われている)定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能を内蔵させる個別情報システムについて説明する。ここでは、クレジットカードなどカード機能を携帯端末10に内蔵させる場合を例に説明する。前述の実施の形態と同一のものには同一符号を伏して詳細な説明を省略する。
【0086】
他の実施の形態における個別情報
システム11は、図12に示すように、携帯端末10とRFIDインターフェースの送受信部20’(受信部)を組み込んだ受信装置60とで概略構成される。
【0087】
受信装置60は、送受信部20’と制御部40’が設けられ、携帯端末10から個別情報を読み取る機能を備えている。この受信装置60に携帯端末10を近づけて個別情報を読み取るようにするため、送受信部20’には、近接型を使用することが好ましい。
【0088】
携帯端末10は、図13に示すように、メモリ30上のデータ格納部34に個別情報340を記憶する。ここでは、個別情報340としてカード情報を記憶している例について説明する。
【0089】
個別情報340には、複数のカード情報(例えば、図13のA、B、C)を記憶することも可能でその中から利用するカードを選択する機能を備える。さらに、カードに応じたアプリケーションプログラム33を複数用意し、各カードに応じた機能を持たせることが可能である。
【0090】
以下、個別情報340をカード情報と置き換えて説明する。
【0091】
次に、本実施の形態の動作を図14のフローチャートに従って説明する。
【0092】
携帯端末10で、利用するカードを選択して(S120)、携帯端末10を受信装置60に近づける。受信装置60では、例えば、受信装置60に設けられている読み取りスイッチの押下によって、カード情報340の読み取り指示を受け取ると、読み取りコマンドを送受信部20に送る(S220)。そこで、送受信部20から指定されているカードのカード情報340(個別情報)の発信要求(パワーパルスなど)を携帯端末10に発信する(S221)。
【0093】
携帯端末10では、カード情報340の発信要求を受け取ると選択されているカード情報340を発信する(S122)。受信装置60では、受信したカード情報340が、要求したカード情報であれば処理を続行するが(S224)、要求したカード情報でない場合はエラー終了する(S225)。」
(イ)訂正事項5-1について
上記(ア)cの段落0092の記載から、「当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって」「個別情報の発信要求を前記携帯電話に発信する」ことが読み取れるから、訂正事項5-1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
(ウ)訂正事項5-2について
上記(ア)cの段落0085によれば、個別情報システムは、携帯端末10に(ICカードで行われている)定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの機能を内蔵させたものであり、例示として、クレジットカードなどカード機能を携帯端末10に内蔵させる場合が説明されているところ、上記(4)ウ(イ)で検討したとおり、携帯端末10に内蔵される定期券・乗車券・クレジットカード・鍵などの複数の機能は、追加された「新たな機能」も含めて、利用する際に「選択」され得るものである。
そして、上記(ア)の個別情報システムの説明は、特定のクレジットカードの機能を利用する際に、複数のクレジットカードの機能の中から、当該特定のクレジットカードの機能を選択した場合の動作を説明したものと解することができ、受信装置から発信要求される「個別情報」は、「選択された特定のクレジットカードの機能に対応した個別情報」であると解される。
そうすると、例えば、「新たな機能」として、「特定のクレジットカードの機能」を追加した場合に、選択し得る「新たな機能」のうちの1つが選択されることとなり、当該「特定のクレジットカードの機能」に対応した「個別情報」を発信要求することも想定されるから、その場合には、受信装置が発信要求する「個別情報」は、「前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報」であるといえる。
したがって、訂正事項5-2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
(エ)訂正事項5-3について
上記(ア)cの段落0092から、受信装置が「個別情報の発信要求を」「発信する」「前記携帯電話」が「当該受信装置に近づけられた前記携帯電話」であることが読み取れるから、訂正事項5-3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
(オ)訂正事項5-4について
上記ア(カ)で検討したとおり、「受信した判断情報」は「受信した個別情報」の明らかな誤記であり、「判断情報」が「個別情報」と訂正された受信装置の発明は、上記(ア)cの段落0092~0093に記載されているといえるから、訂正事項5-4は、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
(カ)したがって、訂正事項5は、本件特許明細書等(訂正事項5-4については、当初明細書等)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、請求項6を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと
訂正事項6は、上記アのとおり、請求項6を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、上記アのとおり、請求項6を削除するものであるから、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(7)訂正事項7~12について
ア 訂正の目的について
訂正事項7~12は、訂正事項1~6によって訂正される請求項1、4~6の記載に整合させるために、本件特許明細書の段落0011、0014~0016の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
したがって、訂正事項7~12は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと
訂正事項7~12は、上記アのとおり、訂正事項1~6によって訂正される請求項1、4~6の記載に整合させるために、本件特許明細書の段落0011、0014~0016の記載を訂正するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項7~12は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7~12は、上記アのとおり、訂正事項1~6によって訂正される請求項1、4~6の記載に整合させるために、本件特許明細書の段落0011、0014~0016の記載を訂正するものであるところ、訂正事項1~6に係る訂正は、上記(1)~(6)で検討したとおり、本件特許明細書等(訂正事項5-4については、当初明細書等)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、これらと同様の内容である訂正事項7~12も、本件特許明細書等(当初明細書等)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項7~12は、特許法第126条第5項に適合するものである。
(8)小括
上記(1)~(7)のとおりであるから、訂正事項1~12は、独立特許要件以外の訂正要件については満たしているといえる。
3 独立特許要件について
上記「2」の検討によれば、訂正事項1~5は、特許請求の範囲の減縮、又は誤記の訂正を目的とするものであるので、訂正後の請求項1~5に係る発明(以下、「訂正発明1」~「訂正発明5」という。)については、特許法第126条第7項の規定(独立特許要件の規定)に適合する必要がある。
(1)訂正後の請求項1~5に係る発明(訂正発明1~訂正発明5)は以下のとおりのものである。
【請求項1】
RFIDインターフェースを有する携帯電話であって、当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号を、当該携帯電話の所有者が第三者による閲覧や使用を制限し、保護することを希望する被保護情報に対するアクセス要求として受け付ける受付手段と、前記トリガ信号に応答して、RFIDインターフェースを有するRバッジに対して当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報を要求する要求信号を送信する送信手段と、前記Rバッジより前記識別情報を受け取って、該受け取った識別情報と当該携帯電話に予め記録してある識別情報との比較を行う比較手段と、前記比較手段による比較結果に応じて前記受付手段で受け付けた前記アクセス要求を許可または禁止するアクセス制御手段とを備え、前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止することを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
前記被保護情報は、プリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、定期券、乗車券、電子マネー、鍵、会員権、診察券、健康保険証、身分証明書、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケット、社員証、学生証、通行証、各種証明書発行用カード、図書館の貸出カード、入退室管理カードのうち少なくとも1つに記録されたデータであることを特徴とする請求項1記載の携帯電話。
【請求項3】
請求項1記載の携帯電話であって、アプリケーションプログラムやデバイスドライバをインターネットを経由してダウンロードして新たな機能を追加および/または更新する手段を有することを特徴とする携帯電話。
【請求項4】
前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであって、それらの中から1つが選択され得ることを特徴とする請求項3記載の携帯電話。
【請求項5】
請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有する受信装置であって、当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する発信手段と、前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うことを特徴とする受信装置。
(2)訂正発明1について
ア 訂正発明1について、請求人により、本件特許出願の優先日前に出願され、その後公開された甲第1号証(特願2000-56204号(特開2001-245354号公報)。出願日:平成12年3月1日。公開日:平成13年9月7日。)が証拠として提出され、この証拠によっては訂正発明1が特許法第29条の2(拡大先願)の規定により特許を受けることができないとはいえないから訂正発明1は独立特許要件の規定に適合する、との主張がなされているので、以下検討する。
なお、甲第1号証は、本件特許に係る損害賠償請求事件(東京地方裁判所 令和3年(ワ)第20886号、令和5年(ワ)第70045号)で被告が特許無効の抗弁の主張を裏付けるために提出した証拠である。
イ 甲第1号証に基づく拡大先願について
(ア)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面とともに以下の記載がある。(下線は当審で付加したものである。)
a 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は携帯電話機の自動ダイヤルロックシステムに係り、特に携帯電話機のセキュリティー保護を高度に実現し得る携帯電話機の自動ダイヤルロックシステムに関するものである。」
b 「【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による携帯電話機の自動ダイヤルロックシステムの構成を示したブロック図である。
【0025】図1において、10は携帯電話機、20はロック解除装置である。携帯電話機10内において、11は携帯電話機10全体の制御を行う制御部であり、12はロック解除装置20に微弱電波を用いてロック解除コードを送信するロック解除コード送信部であり、13は無線基地局との間で音声またはデータ呼の発着信を行う送受信部であり、14はキーボード等を備え、該キーボードにより携帯電話機使用者からの操作指示情報や発信の相手先番号等のデータを入力し制御部11へ通知する入力装置であり、15は制御部11からの各種の情報を表示するための表示部であり、16はロック解除コード、ID情報、並びに認証演算結果をあらかじめ記憶したEEPROM等から成るコード記憶回路であり、17はこれらロック解除コード、ID情報を用いて認証演算を行う認証装置であり、18は、ロック解除コード送信部12がロック解除コードをロック解除装置20に送信した後、該ロック解除装置20から送られて(返送されて)きた認証演算結果を制御部11に通知する認証結果受信部であり、19は上記各部に必要な電源を供給する電源部である。
【0026】また、制御部11内において、112はプログラムを格納したROM110及びデータ処理用のRAM111を用いて全体の制御を行うCPUであり、113は送受信部13を制御する送受信制御部である。尚、上述の実施の形態1における携帯電話機の自動ダイヤルロックシステムの構成の説明において、携帯電話機10とロック解除装置20間にて授受される信号の通信媒体として電波が用いられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば赤外線や可視光等を用いるようにしてもよい。
【0027】さらに、ロック解除装置20内において、21はあらかじめ携帯電話機10のコード記憶回路16に記憶されたものと同一のID情報が記憶されているID情報記憶回路であり、22は携帯電話機10のロック解除コード送信部12より微弱電波にて送信されてきたロック解除コードを受信するロック解除コード受信部であり、23はロック解除コード受信部22から通知されたロック解除コードとID情報記憶回路21に記憶されたID情報とから認証演算(認証装置17と同一の処理)を行う認証装置であり、24は認証装置23による演算結果を携帯電話機10に送信する認証結果送信部であり、25は上記ロック解除装置20の各部に電源を供給する電源部である。
【0028】次に、図2を参照しながら動作について説明する。図2はこの発明の実施の形態1による携帯電話機の自動ダイヤルロックシステムの動作を示したフローチャートである。
【0029】まず、携帯電話機10の特定(正規)の使用者あるいはサービス提供者等は、あらかじめ設定された所定のID情報を、携帯電話機10のコード記憶回路16とロック解除装置20のID情報記憶回路21に、図示しないROMライタ等を介して入力し記憶させる。尚、携帯電話機10のコード記憶回路16へのID情報の入力は、入力装置14を介して行うようにしても良い。また、携帯電話機10の電源投入時、携帯電話機10はロック状態であるものとする。
【0030】さて、携帯電話機10に電源が投入されると(ステップST1)、携帯電話機10の認証装置17は乱数を生成し、制御部11に供給する。制御部11は、この乱数をロック解除コードとしてコード記憶回路16に記憶する(ステップST2)。コード記憶回路16にロック解除コードが記憶されると、認証装置17はID情報と電源投入時に記憶されたロック解除コードを、コード記憶回路16から読み出し、認証演算(任意の算術演算等)を実施し(ステップST3)、該認証演算の結果を制御部11に供給する。前記認証演算の結果の供給を受けた制御部11は、該認証演算の結果(第1の認証演算結果)をコード記憶回路16に記憶する。
【0031】次に、携帯電話機使用者により、発信またはメモリダイヤル等の個人情報へのアクセス等の操作を行うべく、入力装置14のキーボードより、一連のキー操作によるデータの入力(動作処理要求等)が行われると、この一連のキー操作によるデータの入力に対応する操作内容が制御部11に供給(通知)される。制御部11は、入力装置14から前記操作内容が供給されたタイミングにて、コード記憶回路16よりロック解除コードを読み出してロック解除コード送信部12に供給する。ロック解除コード送信部12は、ロック解除コードを微弱電波にのせ、携帯電話機使用者が所持している(身に付けている)ロック解除装置20に送信する(ステップST4、5)。
【0032】ロック解除装置20のロック解除コード受信部22は、携帯電話機10から微弱電波で送信されたロック解除コードを受信すると、該ロック解除コードを認証装置23に供給する。このロック解除装置20の認証装置23は、ロック解除コードが供給(受信)された時点で、ID情報記憶回路21にあらかじめ記憶されているID情報を読み出し、該ID情報と受信したロック解除コードとで認証演算を行い(ステップST6)、該認証演算の結果を認証結果送信部24に供給する。また、認証結果送信部24は認証装置23より供給された認証演算の結果(第2の認証演算結果)を、携帯電話機10に送信する。(ステップST7)
【0033】なお、携帯電話機10におけるロック解除コード送信部12の送信出力及びロック解除装置20におけるロック解除コード受信部22の受信感度は、例えば、障害物(遮蔽物)の無い状態での電波の到達距離が、1m程度となるように調整しておく。また、ロック解除装置20の認証装置23で用いる認証演算アルゴリズムは、携帯電話機10の認証装置17の認証演算アルゴリズムと同一のものを用いるものとする。
【0034】次に、携帯電話機10の認証結果受信部18は、ロック解除装置20から微弱電波で送信された認証演算の結果(第2の認証演算結果)を受信すると、制御部11に供給する。制御部11は、コード記憶回路16に既に記憶されている認証演算の結果(第1の認証演算結果)を読み出して、受信した認証演算の結果(第2の認証演算結果)との比較認証(認証処理による認証判定)を行う(ステップST8)。
【0035】制御部11は、比較認証の結果が一致していた場合、前記ステップST4におけるキー入力は、特定の使用者(使用が許可されている携帯電話機使用者)によるキー入力であるものと判断し、ロック解除状態とし、前記ステップST4にて入力装置14から入力された発信操作及びメモリダイヤル等の操作を有効として(ステップST9)、発信処理等を継続する(一連のキー入力による処理が完了するまでの処理の継続を可能とする)。
【0036】一方、携帯電話機10のコード記憶回路16に記憶されたID情報とロック解除装置20のID情報記憶回路21に記憶されたID情報とが異なっていたり、或いは、携帯電話機10の認証装置17における認証アルゴリズムとロック解除装置20の認証装置23における認証アルゴリズムが異なっていた場合(携帯電話機10とロック解除装置20の対応がとれていない場合)等によって、前記比較認証の結果が不一致となった場合、制御部11は、前記ステップST4におけるキー入力が、特定の使用者でない者(使用が許可されていない携帯電話機使用者)によるキー入力であると判断し、ロック解除は行わず、前記ステップST4にて入力された操作を無効として破棄し(ステップST10)、例えば、表示部15に、前記ステップST4にて入力された発信操作またはメモリアクセス操作が無効である旨の表示を行う。
【0037】また、制御部11は、許可された発信処理(発信、メモリダイヤル等の個人情報へのアクセス操作等)が実施中、新たに入力装置14から通知(入力)された操作に対しては、ロック状態として扱う。さらに、許可された発信処理が完了した後、新たに入力装置14から通知された操作に対しては、制御部11は、再びロック解除コードをロック解除装置20に送信して認証処理を実施する。すなわち、一旦、ダイヤルロックが解除された操作に対し、一連の処理が完了するまでの期間についてのみ、キー入力された一連の処理要求に対する動作の継続が可能となる。
c 「図1
[図:0001419282000004.jpg]
」
d 「図2
[図:0001419282000005.jpg]
」
e 上記aの段落0001の記載、上記bの段落0024~0025の記載及び図1の記載から、甲第1号証には、「携帯電話機10とロック解除装置20とから構成される自動ダイヤルロックシステムにおける携帯電話機10」が記載されていると認められる。
f 上記bの段落0025の記載及び図1の記載から、甲第1号証には、「携帯電話機10は、携帯電話機10全体の制御を行う制御部11と、ロック解除装置20に微弱電波を用いてロック解除コードを送信するロック解除コード送信部12と、キーボードにより携帯電話機使用者からの操作指示情報や発信の相手先番号等のデータを入力し制御部11へ通知する入力装置14と、ロック解除コード、ID情報、並びに認証演算結果をあらかじめ記憶したEEPROM等から成るコード記憶回路16と、これらロック解除コード、ID情報を用いて認証演算を行う認証装置17と、ロック解除コード送信部12がロック解除コードをロック解除装置20に送信した後、該ロック解除装置20から送られて(返送されて)きた認証演算結果を制御部11に通知する認証結果受信部18を備え」ることが記載されていると認められる。
g 上記bの段落0026の記載から、甲第1号証には、「携帯電話機10とロック解除装置20間にて授受される信号の通信媒体として電波、赤外線、可視光等が用いられ」ることが記載されていると認められる。
h 上記bの段落0027の記載及び図1の記載から、甲第1号証には、「ロック解除装置20は、あらかじめ携帯電話機10のコード記憶回路16に記憶されたものと同一のID情報が記憶されているID情報記憶回路21と、携帯電話機10のロック解除コード送信部12より微弱電波にて送信されてきたロック解除コードを受信するロック解除コード受信部22と、ロック解除コード受信部22から通知されたロック解除コードとID情報記憶回路21に記憶されたID情報とから認証演算(認証装置17と同一の処理)を行う認証装置23と、認証装置23による演算結果を携帯電話機10に送信する認証結果送信部24を備え」ることが記載されていると認められる。
i 上記bの段落0028~0037の記載及び図2の記載から、甲第1号証には、「携帯電話機10の特定(正規)の使用者あるいはサービス提供者等は、あらかじめ設定された所定のID情報を、携帯電話機10のコード記憶回路16とロック解除装置20のID情報記憶回路21に、ROMライタ等を介して入力し記憶させ、
携帯電話機10の電源投入時、携帯電話機10はロック状態であり、
携帯電話機10に電源が投入されると(ステップST1)、携帯電話機10の認証装置17は乱数を生成し、制御部11に供給し、
制御部11は、この乱数をロック解除コードとしてコード記憶回路16に記憶し(ステップST2)、
認証装置17はID情報と電源投入時に記憶されたロック解除コードを、コード記憶回路16から読み出し、認証演算(任意の算術演算等)を実施し(ステップST3)、該認証演算の結果を制御部11に供給し、
制御部11は、該認証演算の結果(第1の認証演算結果)をコード記憶回路16に記憶し、
携帯電話機使用者により、発信またはメモリダイヤル等の個人情報へのアクセス等の操作を行うべく、入力装置14のキーボードより、一連のキー操作によるデータの入力(動作処理要求等)が行われると、操作内容が制御部11に供給(通知)され、
制御部11は、入力装置14から前記操作内容が供給されたタイミングにて、コード記憶回路16よりロック解除コードを読み出してロック解除コード送信部12に供給し、
ロック解除コード送信部12は、ロック解除コードを微弱電波にのせ、携帯電話機使用者が所持している(身に付けている)ロック解除装置20に送信し(ステップST4、5)、
ロック解除装置20のロック解除コード受信部22は、携帯電話機10から微弱電波で送信されたロック解除コードを受信すると、該ロック解除コードを認証装置23に供給し、
ロック解除装置20の認証装置23は、ロック解除コードが供給(受信)された時点で、ID情報記憶回路21にあらかじめ記憶されているID情報を読み出し、該ID情報と受信したロック解除コードとで認証演算を行い(ステップST6)、該認証演算の結果を認証結果送信部24に供給し、
認証結果送信部24は認証装置23より供給された認証演算の結果(第2の認証演算結果)を、携帯電話機10に送信し(ステップST7)、
ここで、ロック解除装置20の認証装置23で用いる認証演算アルゴリズムは、携帯電話機10の認証装置17の認証演算アルゴリズムと同一のものを用いるものであり、
携帯電話機10の認証結果受信部18は、ロック解除装置20から微弱電波で送信された認証演算の結果(第2の認証演算結果)を受信すると、制御部11に供給し、
制御部11は、コード記憶回路16に既に記憶されている認証演算の結果(第1の認証演算結果)を読み出して、受信した認証演算の結果(第2の認証演算結果)との比較認証(認証処理による認証判定)を行い(ステップST8)、
制御部11は、比較認証の結果が一致していた場合、前記ステップST4におけるキー入力は、特定の使用者(使用が許可されている携帯電話機使用者)によるキー入力であるものと判断し、ロック解除状態とし、前記ステップST4にて入力装置14から入力された発信操作及びメモリダイヤル等の操作を有効として(ステップST9)、発信処理等を継続する一方、前記比較認証の結果が不一致となった場合、制御部11は、前記ステップST4におけるキー入力が、特定の使用者でない者(使用が許可されていない携帯電話機使用者)によるキー入力であると判断し、ロック解除は行わず、前記ステップST4にて入力された操作を無効として破棄し(ステップST10)、
制御部11は、許可された発信処理(発信、メモリダイヤル等の個人情報へのアクセス操作等)が実施中、新たに入力装置14から通知(入力)された操作に対しては、ロック状態として扱い、さらに、許可された発信処理が完了した後、新たに入力装置14から通知された操作に対しては、制御部11は、再びロック解除コードをロック解除装置20に送信して認証処理を実施することで、一旦、ダイヤルロックが解除された操作に対し、一連の処理が完了するまでの期間についてのみ、キー入力された一連の処理要求に対する動作の継続が可能となる」ことが記載されていると認められる。
(イ)甲1発明(先願発明)
上記(ア)の検討から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
(甲1発明)
携帯電話機10とロック解除装置20とから構成される自動ダイヤルロックシステムにおける携帯電話機10であって、
携帯電話機10は、携帯電話機10全体の制御を行う制御部11と、ロック解除装置20に微弱電波を用いてロック解除コードを送信するロック解除コード送信部12と、キーボードにより携帯電話機使用者からの操作指示情報や発信の相手先番号等のデータを入力し制御部11へ通知する入力装置14と、ロック解除コード、ID情報、並びに認証演算結果をあらかじめ記憶したEEPROM等から成るコード記憶回路16と、これらロック解除コード、ID情報を用いて認証演算を行う認証装置17と、ロック解除コード送信部12がロック解除コードをロック解除装置20に送信した後、該ロック解除装置20から送られて(返送されて)きた認証演算結果を制御部11に通知する認証結果受信部18を備え、
携帯電話機10とロック解除装置20間にて授受される信号の通信媒体として電波、赤外線、可視光等が用いられ、
ロック解除装置20は、あらかじめ携帯電話機10のコード記憶回路16に記憶されたものと同一のID情報が記憶されているID情報記憶回路21と、携帯電話機10のロック解除コード送信部12より微弱電波にて送信されてきたロック解除コードを受信するロック解除コード受信部22と、ロック解除コード受信部22から通知されたロック解除コードとID情報記憶回路21に記憶されたID情報とから認証演算(認証装置17と同一の処理)を行う認証装置23と、認証装置23による演算結果を携帯電話機10に送信する認証結果送信部24を備え、
携帯電話機10の特定(正規)の使用者あるいはサービス提供者等は、あらかじめ設定された所定のID情報を、携帯電話機10のコード記憶回路16とロック解除装置20のID情報記憶回路21に、ROMライタ等を介して入力し記憶させ、
携帯電話機10の電源投入時、携帯電話機10はロック状態であり、
携帯電話機10に電源が投入されると(ステップST1)、携帯電話機10の認証装置17は乱数を生成し、制御部11に供給し、
制御部11は、この乱数をロック解除コードとしてコード記憶回路16に記憶し(ステップST2)、
認証装置17はID情報と電源投入時に記憶されたロック解除コードを、コード記憶回路16から読み出し、認証演算(任意の算術演算等)を実施し(ステップST3)、該認証演算の結果を制御部11に供給し、
制御部11は、該認証演算の結果(第1の認証演算結果)をコード記憶回路16に記憶し、
携帯電話機使用者により、発信またはメモリダイヤル等の個人情報へのアクセス等の操作を行うべく、入力装置14のキーボードより、一連のキー操作によるデータの入力(動作処理要求等)が行われると、操作内容が制御部11に供給(通知)され、
制御部11は、入力装置14から前記操作内容が供給されたタイミングにて、コード記憶回路16よりロック解除コードを読み出してロック解除コード送信部12に供給し、
ロック解除コード送信部12は、ロック解除コードを微弱電波にのせ、携帯電話機使用者が所持している(身に付けている)ロック解除装置20に送信し(ステップST4、5)、
ロック解除装置20のロック解除コード受信部22は、携帯電話機10から微弱電波で送信されたロック解除コードを受信すると、該ロック解除コードを認証装置23に供給し、
ロック解除装置20の認証装置23は、ロック解除コードが供給(受信)された時点で、ID情報記憶回路21にあらかじめ記憶されているID情報を読み出し、該ID情報と受信したロック解除コードとで認証演算を行い(ステップST6)、該認証演算の結果を認証結果送信部24に供給し、
認証結果送信部24は認証装置23より供給された認証演算の結果(第2の認証演算結果)を、携帯電話機10に送信し(ステップST7)、
ここで、ロック解除装置20の認証装置23で用いる認証演算アルゴリズムは、携帯電話機10の認証装置17の認証演算アルゴリズムと同一のものを用いるものであり、
携帯電話機10の認証結果受信部18は、ロック解除装置20から微弱電波で送信された認証演算の結果(第2の認証演算結果)を受信すると、制御部11に供給し、
制御部11は、コード記憶回路16に既に記憶されている認証演算の結果(第1の認証演算結果)を読み出して、受信した認証演算の結果(第2の認証演算結果)との比較認証(認証処理による認証判定)を行い(ステップST8)、
制御部11は、比較認証の結果が一致していた場合、前記ステップST4におけるキー入力は、特定の使用者(使用が許可されている携帯電話機使用者)によるキー入力であるものと判断し、ロック解除状態とし、前記ステップST4にて入力装置14から入力された発信操作及びメモリダイヤル等の操作を有効として(ステップST9)、発信処理等を継続する一方、前記比較認証の結果が不一致となった場合、制御部11は、前記ステップST4におけるキー入力が、特定の使用者でない者(使用が許可されていない携帯電話機使用者)によるキー入力であると判断し、ロック解除は行わず、前記ステップST4にて入力された操作を無効として破棄し(ステップST10)、
制御部11は、許可された発信処理(発信、メモリダイヤル等の個人情報へのアクセス操作等)が実施中、新たに入力装置14から通知(入力)された操作に対しては、ロック状態として扱い、さらに、許可された発信処理が完了した後、新たに入力装置14から通知された操作に対しては、制御部11は、再びロック解除コードをロック解除装置20に送信して認証処理を実施することで、一旦、ダイヤルロックが解除された操作に対し、一連の処理が完了するまでの期間についてのみ、キー入力された一連の処理要求に対する動作の継続が可能となる、
携帯電話機10。
(ウ)対比
訂正発明1と甲1発明(先願発明)とを対比する。
a 甲1発明の「携帯電話機10」は、後記する点を除けば、訂正発明1の「携帯電話」に一致する。
b 甲1発明の「メモリダイヤル等の個人情報」は、訂正発明1の「当該携帯電話の所有者が第三者による閲覧や使用を制限し、保護することを希望する被保護情報」に相当する。
そして、甲1発明では、「入力装置14のキーボード」から「一連のキー操作によるデータの入力(動作処理要求等)」が行われると、「操作内容」が「制御部11」に供給(通知)されて、「メモリダイヤル等の個人情報」へのアクセスが行われるものであるから、甲1発明の「入力装置14のキーボード」は、訂正発明1の「携帯電話のスイッチ」に相当し、甲1発明の「一連のキー操作によるデータの入力(動作処理要求等)」による「操作内容」は訂正発明1の「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号」に相当する。
また、甲1発明の「制御部11」は、「操作内容」を“受け付ける”と、所定の認証処理を実行して、「メモリダイヤル等の個人情報」へのアクセスを行うものであるから、訂正発明1の「トリガ信号」を「被保護情報に対するアクセス要求として受け付ける受付手段」に相当する。
したがって、甲1発明の「携帯電話機10」と訂正発明1の「携帯電話」とは、「当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号を、当該携帯電話の所有者が第三者による閲覧や使用を制限し、保護することを希望する被保護情報に対するアクセス要求として受け付ける受付手段」を備える点で一致する。
c 甲1発明の「制御部11」は、「入力装置14から前記操作内容が供給されたタイミングにて」、コード記憶回路16より「ロック解除コード」を読み出して「ロック解除コード送信部12」に供給し、「ロック解除コード送信部12」は、「ロック解除コード」を「携帯電話機使用者が所持している(身に付けている)ロック解除装置20」に送信し、「ロック解除コード」を受信した「ロック解除装置20」は、あらかじめ記憶されているID情報と受信したロック解除コードとで認証演算を行い、該認証演算の結果(第2の認証演算結果)を携帯電話機10に送信するように動作するところ、甲1発明の「携帯電話機使用者が所持している(身に付けている)ロック解除装置20」は、後記する点で相違するものの、携帯電話機10において使用者を認証するための“情報記憶媒体”である点で、訂正発明1の「Rバッジ」に対応するものである。
ここで、甲1発明の「入力装置14から前記操作内容が供給されたタイミングにて」動作することは、訂正発明1の「前記トリガ信号に応答して」動作することに相当し、また、甲1発明において、「制御部11」及び「ロック解除コード送信部12」が、「ロック解除コード」を「ロック解除装置20」へ送信することは、「ロック解除装置20」に対して、「認証演算の結果(第2の認証演算結果)」という“情報”を要求することに他ならないから、甲1発明の「ロック解除コード」は、訂正発明1の「要求信号」に相当する。
したがって、甲1発明の「制御部11」及び「ロック解除コード送信部12」と、訂正発明1の「前記トリガ信号に応答して、RFIDインターフェースを有するRバッジに対して当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報を要求する要求信号を送信する送信手段」とは、後記する点で相違するものの、「前記トリガ信号に応答して、情報記憶媒体に対して、情報を要求する要求信号を送信する送信手段」である点で一致する。
d 甲1発明の「コード記憶回路16に既に記憶されている認証演算の結果(第1の認証演算結果)を読み出して、受信した認証演算の結果(第2の認証演算結果)との比較認証(認証処理による認証判定)を行」う「制御部11」と、訂正発明1の「前記Rバッジより前記識別情報を受け取って、該受け取った識別情報と当該携帯電話に予め記録してある識別情報との比較を行う比較手段」とは、上記cを踏まえると、後記する点で相違するものの、「前記情報記憶媒体より情報を受け取って、該受け取った情報と当該携帯電話に予め記録してある情報との比較を行う比較手段」である点では一致する。
e 甲1発明の「比較認証の結果が一致していた場合、前記ステップST4におけるキー入力は、特定の使用者(使用が許可されている携帯電話機使用者)によるキー入力であるものと判断し、ロック解除状態とし、前記ステップST4にて入力装置14から入力された発信操作及びメモリダイヤル等の操作を有効として(ステップST9)、発信処理等を継続する一方、前記比較認証の結果が不一致となった場合、制御部11は、前記ステップST4におけるキー入力が、特定の使用者でない者(使用が許可されていない携帯電話機使用者)によるキー入力であると判断し、ロック解除は行わず、前記ステップST4にて入力された操作を無効として破棄」する「制御部11」は、訂正発明1の「前記比較手段による比較結果に応じて前記受付手段で受け付けた前記アクセス要求を許可または禁止するアクセス制御手段」に相当する。
f 甲1発明の「制御部11は、比較認証の結果が一致していた場合、前記ステップST4におけるキー入力は、特定の使用者(使用が許可されている携帯電話機使用者)によるキー入力であるものと判断し、ロック解除状態とし、前記ステップST4にて入力装置14から入力された発信操作及びメモリダイヤル等の操作を有効として(ステップST9)、発信処理等を継続する」ことと、訂正発明1の「前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止すること」とは、後記する点で相違するものの、「前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、当該アクセスを許可」する点では一致する。
g 上記a~fの対比から、訂正発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
携帯電話であって、当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号を、当該携帯電話の所有者が第三者による閲覧や使用を制限し、保護することを希望する被保護情報に対するアクセス要求として受け付ける受付手段と、
前記トリガ信号に応答して、情報記憶媒体に対して情報を要求する要求信号を送信する送信手段と、
前記情報記憶媒体より前記情報を受け取って、該受け取った情報と当該携帯電話に予め記録してある情報との比較を行う比較手段と、
前記比較手段による比較結果に応じて前記受付手段で受け付けた前記アクセス要求を許可または禁止するアクセス制御手段とを備え、
前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、当該アクセスを許可することを特徴とする携帯電話。
<相違点1>
訂正発明1の携帯電話は、「RFIDインターフェースを有する」と特定されているのに対して、甲1発明の携帯電話機10は、そのような特定がなされていない点。
<相違点2>
訂正発明1の情報記憶媒体は、「Rバッジ」と呼称されているのに対して、甲1発明のロック解除装置20は、そのような呼称はされていない点。
<相違点3>
訂正発明1のRバッジは、「RFIDインターフェースを有する」と特定されているのに対して、甲1発明のロック解除装置20は、そのような特定がなされていない点。
<相違点4>
訂正発明1では、要求信号が要求する情報が、「当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報」であり、比較手段が比較するものが、当該「識別情報」であるのに対して、甲1発明では、要求信号が要求する情報が、「ID情報とロック解除コードとで認証演算を行った結果(第2の認証演算結果)」であり、比較手段が比較するものが、「第1の認証演算結果」と「第2の認証演算結果」である点。
<相違点5>
訂正発明1のアクセス制御手段は、比較手段でアクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、「前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止する」のに対して、甲1発明には、そのような特定がなされていない点。
(エ)判断
事案に鑑み、まず、上記相違点4について検討する。
甲1発明は、携帯電話機10とロック解除装置20とが、同じID情報と同じ認証アルゴリズムを記憶していることを前提とし、まず、携帯電話機10側でロック解除コード(乱数)を生成し、これと自身が記憶しているID情報と認証アルゴリズムとを用いて認証演算を行って演算結果(第1の認証演算結果)を保存しておき、次に、携帯電話機10からロック解除装置20に、生成したロック解除コード(乱数)を送信し、ロック解除装置20では、受信したロック解除コード(乱数)と自身が記憶しているID情報と認証アルゴリズムとを用いて認証演算を行って演算結果(第2の認証演算結果)を得、これを携帯電話機10に送信し、携帯電話機10側では、受信した第2の認証演算結果と保存している第1の認証演算結果とを比較して、一致していれば、ロック解除装置20は、携帯電話機10と同じIDと認証アルゴリズムを有していることが確認できるという発明であるところ、比較手段が比較の対象とする「第2の認証演算結果」は、受信したロック解除コード(乱数)によって変化する認証演算の結果であるから、これを、一旦書き込まれると変化することのない「当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報」とみることはできないし、また、認証演算の結果である「第2の認証演算結果」を「当該Rバッジの製造時に書き込まれた」ものに変更することが、本件出願時における周知、慣用技術であるとは認められないから、上記相違点4は、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、訂正発明1と甲1発明との間には実質的な相違点があるから、訂正発明1と甲1発明は同一とはいえない。
(オ)結論
上記(エ)のとおり、訂正発明1は、甲1発明(先願発明)と同一ではなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものではないから、独立特許要件を満たしていないとはいえない。
(3)訂正発明2~4について
訂正発明2~4は、訂正発明1をさらに限定するものであるから、上記(2)の検討を踏まえれば、独立特許要件を満たしていないとはいえない。
(4)訂正発明5について
ア 訂正発明5について、請求人により、本件特許出願の優先日前に公開された甲第2号証(特開平10-162176号公報。公開日:平成10年6月19日)が証拠として提出され、この証拠によっては訂正発明5が特許法第29条第1項第3号(新規性)の規定により特許を受けることができないとはいえないから訂正発明5は独立特許要件の規定に適合する、との主張がなされているので、以下検討する。
なお、甲第2号証は、本件特許に係る損害賠償請求事件(東京地方裁判所 令和3年(ワ)第20886号、令和5年(ワ)第70045号)で被告が特許無効の抗弁の主張を裏付けるために提出した証拠である。
また、甲第2号証は、本件特許に係る別の損害賠償請求事件(東京地方裁判所 令和3年(ワ)第18031号、令和3年(ワ)第23863号)で被告が特許無効の抗弁の主張を裏付けるために提出した証拠でもある。
また、甲第2号証は、本件特許に係るさらに別の損害賠償請求事件(東京地方裁判所 令和3年(ワ)第22564号、令和4年(ワ)第16085号)で原告が特許無効の抗弁の主張を裏付けるために提出した証拠でもある。
イ 甲第2号証に基づく新規性について
(ア)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、図面とともに以下の記載がある。(下線は当審で付加したものである。)
a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道分野等に広く普及している自動改札に関し、特に自動改札通過時のチケットの処理を非接触で行う自動改札システムに関する。」
b 「【0016】図1は本発明に係る自動改札システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0017】この実施形態の自動改札システム1は、携帯通信端末11と、自動改札機13と、基地局15と、電話回線網17と、チケットセンター19とから構成されている。
【0018】携帯通信端末11は、基地局15および電話回線網17を介してチケットセンター19から後述するチケットデータをダウンロードするようになっている。
【0019】また、携帯通信端末11は、ダウンロードされたチケットデータを、自動改札機13から送信要求された場合には、その要求に従ってこのデータを出力するようになっている。
【0020】この携帯通信端末11は、図2に示すように、端末を構成する構成部分を制御する制御部111、端末を制御する制御プログラムを記憶するメモリ112、自動改札を通過する際のチケットデータを記憶するチケットデータ記憶部113、チケットデータをダウンロードする際の発行依頼の電話番号(後述する)を基地局15に無線で送信し、この発行依頼により発行されたチケットセンター19からのチケットデータを基地局15から無線で受信する対基地局無線送受信部14、自動改札機13と無線で送受信を行う対自動改札無線送受信部115、キーボード、マイク等で構成され、利用者が入力操作を行う入力部116および液晶ディスプレイやスピーカ等で構成され、利用者にサービス情報を出力する出力部117で構成されている。
【0021】ここで、対基地局用と対自動改札用の無線送受信部114、115を2つ有しているのは、対基地局無線送受信部114から出力される電波の送信出力が大きく、数10~数100mの範囲まで届いてしまい、利用者が自動改札機13に近づく前に自動改札機13の扉が開いてしまうとともに、隣の自動改札機13が誤動作してしまうという不都合が発生し、これを回避するために、対基地局無線送受信部114より送信出力が小さく、通信可能範囲(数cm~数10cm)が小さい対自動改札無線送受信部115を、対基地局無線送受信部114とは別個に設けたのである。
【0022】自動改札機13は、携帯通信端末11から受信したチケットデータに基づき、改札扉の開閉を行うものであって、図3に示すように、各構成部分を制御する制御部131、携帯通信端末11に記憶されているチケットデータの送信要求を送信するとともに、チケットデータを受信する無線送受信部132、チケットデータの検査を行わずに改札口を通過しようとする利用者を検知する人間検知センサ133、制御部131の指示に基づき、改札扉を開閉して利用者の改札口からの通過を制御する通過制御部134および使用済みチケットの通し番号を記憶するチケットデータベース135から構成されている。
【0023】この通し番号は、チケットデータごとに異なる番号が割振りされており、このデータベース135に登録されているものと同じ通し番号を有するチケットデータは不正チケットと見なされる。
c 「【0056】(1)入場時の通信手順について
自動改札機13は、利用者がいようといまいと関係なしに、携帯通信端末に対するチケットデータ送信要求を常時定期的に送信している(図8中の(1)、(2)、(3)、(4)参照)。(当審注:原文の丸付きの数字を括弧付きの数字で表記した。以下、同様。)
【0057】利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末11を自動改札機13にかざすと、携帯通信端末13(当審注:「携帯通信端末13」は、「携帯通信端末11」の誤記である。)は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信し、チケットデータを自動改札機13に送信する(図8中の(5)参照)。
【0058】このチケットデータは、ダウンロード時にチケットセンター19で暗号化されたものである。
【0059】自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定するとともに、使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定する。
【0060】自動改札機13は、チケットデータの正当性が確認できた場合には、通し番号がそのままで、チケット種別(図6参照)を確認済みの種別に更新した新しいチケットデータを作成し、これを暗号化して「確認済みチケットデータ」として携帯通信端末11に送信するとともに(図8中の(6)参照)、このチケットデータの通し番号を使用済みチケットデータベース135に登録する。
【0061】携帯通信端末11は、「確認済みチケットデータ」を受信すると、旧チケットデータを破棄し、この「確認済みチケットデータ」をチケットデータ記憶部113に記憶するとともに、チケットデータを更新完了した旨を自動改札機13に送信する(図8中の(7)参照)。
【0062】自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを更新完了した旨を受信すると、再び携帯通信端末11に対してチケットデータ送信要求を送信する(図8中の(8)参照)。
【0063】携帯通信端末11は、すると、既に更新されたチケットデータを自動改札機13に出力する(図8中の(9)参照)。
【0064】自動改札機13は、携帯通信端末11から更新されたチケットデータを受信すると、上述したようにして再びこのチケットデータの正当性をチェックし、チェックした結果、チケットデータが正しければ、利用者の通行を許可する。」
d 「図1
[図:0001419282000006.jpg]
」
e 「図3
[図:0001419282000007.jpg]
」
f 「図8
[図:0001419282000008.jpg]
」
g 上記aの段落0001の記載、上記bの段落0017の記載及び図1の記載から、甲第2号証には、「携帯通信端末11と、自動改札機13と、基地局15と、電話回線網17と、チケットセンター19とから構成され、自動改札通過時のチケットの処理を非接触で行う自動改札システムにおける自動改札機13」が記載されていると認められる。
h 上記bの段落0018~0019の記載から、甲第2号証には、「携帯通信端末11は、基地局15および電話回線網17を介してチケットセンター19からチケットデータをダウンロードするようになっており、また、携帯通信端末11は、ダウンロードされたチケットデータを、自動改札機13から送信要求された場合には、その要求に従ってこのデータを出力するようになって」いることが記載されていると認められる。
i 上記bの段落0022~0023の記載及び図3の記載から、甲第2号証には、「自動改札機13は、携帯通信端末11から受信したチケットデータに基づき、改札扉の開閉を行うものであって、各構成部分を制御する制御部131、携帯通信端末11に記憶されているチケットデータの送信要求を送信するとともに、チケットデータを受信する無線送受信部132、制御部131の指示に基づき、改札扉を開閉して利用者の改札口からの通過を制御する通過制御部134および使用済みチケットの通し番号を記憶するチケットデータベース135から構成されており、この通し番号は、チケットデータごとに異なる番号が割振りされており、このデータベース135に登録されているものと同じ通し番号を有するチケットデータは不正チケットと見なされ」ることが記載されていると認められる。
j 上記cの段落0056~0064の記載、及び図8の記載から、甲第2号証には、
「入場時の通信手順において、
自動改札機13は、利用者がいようといまいと関係なしに、携帯通信端末に対するチケットデータ送信要求を常時定期的に送信しており、
利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末11を自動改札機13にかざすと、携帯通信端末11は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信し、チケットデータを自動改札機13に送信し、
このチケットデータは、ダウンロード時にチケットセンター19で暗号化されたものであり、
自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定するとともに、使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定し、
自動改札機13は、チケットデータの正当性が確認できた場合には、通し番号がそのままで、チケット種別を確認済みの種別に更新した新しいチケットデータを作成し、これを暗号化して「確認済みチケットデータ」として携帯通信端末11に送信するとともに、このチケットデータの通し番号を使用済みチケットデータベース135に登録し、
携帯通信端末11は、「確認済みチケットデータ」を受信すると、旧チケットデータを破棄し、この「確認済みチケットデータ」をチケットデータ記憶部113に記憶するとともに、チケットデータを更新完了した旨を自動改札機13に送信し、
自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを更新完了した旨を受信すると、再び携帯通信端末11に対してチケットデータ送信要求を送信し、
携帯通信端末11は、すると、既に更新されたチケットデータを自動改札機13に出力し、
自動改札機13は、携帯通信端末11から更新されたチケットデータを受信すると、上述したようにして再びこのチケットデータの正当性をチェックし、チェックした結果、チケットデータが正しければ、利用者の通行を許可する」ことが記載されていると認められる。
(イ)甲2発明
上記(ア)の検討から、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
(甲2発明)
携帯通信端末11と、自動改札機13と、基地局15と、電話回線網17と、チケットセンター19とから構成され、自動改札通過時のチケットの処理を非接触で行う自動改札システムにおける自動改札機13であって、
携帯通信端末11は、基地局15および電話回線網17を介してチケットセンター19からチケットデータをダウンロードするようになっており、また、携帯通信端末11は、ダウンロードされたチケットデータを、自動改札機13から送信要求された場合には、その要求に従ってこのデータを出力するようになっており、
自動改札機13は、携帯通信端末11から受信したチケットデータに基づき、改札扉の開閉を行うものであって、各構成部分を制御する制御部131、携帯通信端末11に記憶されているチケットデータの送信要求を送信するとともに、チケットデータを受信する無線送受信部132、制御部131の指示に基づき、改札扉を開閉して利用者の改札口からの通過を制御する通過制御部134および使用済みチケットの通し番号を記憶するチケットデータベース135から構成されており、この通し番号は、チケットデータごとに異なる番号が割振りされており、このデータベース135に登録されているものと同じ通し番号を有するチケットデータは不正チケットと見なされるものであり、
入場時の通信手順において、
自動改札機13は、利用者がいようといまいと関係なしに、携帯通信端末に対するチケットデータ送信要求を常時定期的に送信しており、
利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末11を自動改札機13にかざすと、携帯通信端末11は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信し、チケットデータを自動改札機13に送信し、
このチケットデータは、ダウンロード時にチケットセンター19で暗号化されたものであり、
自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定するとともに、使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定し、
自動改札機13は、チケットデータの正当性が確認できた場合には、通し番号がそのままで、チケット種別を確認済みの種別に更新した新しいチケットデータを作成し、これを暗号化して「確認済みチケットデータ」として携帯通信端末11に送信するとともに、このチケットデータの通し番号を使用済みチケットデータベース135に登録し、
携帯通信端末11は、「確認済みチケットデータ」を受信すると、旧チケットデータを破棄し、この「確認済みチケットデータ」をチケットデータ記憶部113に記憶するとともに、チケットデータを更新完了した旨を自動改札機13に送信し、
自動改札機13は、携帯通信端末11からチケットデータを更新完了した旨を受信すると、再び携帯通信端末11に対してチケットデータ送信要求を送信し、
携帯通信端末11は、すると、既に更新されたチケットデータを自動改札機13に出力し、
自動改札機13は、携帯通信端末11から更新されたチケットデータを受信すると、上述したようにして再びこのチケットデータの正当性をチェックし、チェックした結果、チケットデータが正しければ、利用者の通行を許可する
自動改札機13。
(ウ)対比
訂正発明5と甲2発明との対比に際し、訂正発明5の記載について検討する。
a 訂正発明5の記載
訂正発明5の記載は、上記(1)に摘記したとおりである。
b 上記訂正発明5は、「請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有する受信装置であって、・・・受信装置。」というものであり、「携帯電話と受信装置との間で送受信を行う個別情報システム」(本件特許明細書の段落0085、図12を参照。)という「全体装置」の発明に対する「受信装置」の発明であるから、いわゆるサブコンビネーションの発明である。
そして、審査基準第III部第2章第4節の「4.1.2」には、「「他のサブコンビネーション」に関する事項が、「他のサブコンビネーション」のみを特定する事項であって、請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造、機能等を何ら特定していない場合」、「審査官は、「他のサブコンビネーション」に関する事項は、請求項に係るサブコンビネーションの発明を特定するための意味を有しないものとして発明を認定する。」と記載されている。
また、同基準の「4.2 新規性又は進歩性の判断」の「4.2.2」には、「請求項中に記載された「他のサブコンビネーション」に関する事項がサブコンビネーションの発明の構造、機能等を何ら特定していない場合」、「「他のサブコンビネーション」に関する事項と、引用発明特定事項とに記載上、表現上の相違が生じていても、他に相違点がなければ、サブコンビネーションの発明と引用発明との間で、構造、機能等に差異は生じない。したがって、審査官は、このサブコンビネーションの発明が新規性を有していないと判断する。」と記載されている。
そこで、上記審査基準の観点で、以下、訂正発明5について検討する。
c 訂正発明5についての検討
(a)訂正発明5における「請求項4記載の携帯電話」との事項について
訂正発明5における「受信装置」と「携帯電話」は、それぞれ、審査基準にいう「サブコンビネーション」と「他のサブコンビネーション」に対応するので、訂正発明5における「請求項4記載の携帯電話」との事項は、「「他のサブコンビネーション」に関する事項」に対応するものであるところ、「請求項4記載の携帯電話」、請求項4が引用する「請求項3記載の携帯電話」、請求項3が引用する「請求項1記載の携帯電話」は、それぞれ、上記(1)に摘記した請求項4、請求項3、及び請求項1のとおりのものである。
そして、「請求項4記載の携帯電話」を特定する請求項1、請求項3及び請求項4に記載された内容をみても、「受信装置」の構造、機能等を特定する記載は一切ないから、「請求項4記載の」との事項(「「他のサブコンビネーション」に関する事項」)は、携帯電話(他のサブコンビネーション)のみを特定する事項であって、「受信装置」(請求項に係るサブコンビネーション)の発明の構造、機能等を何ら特定していないといえる。
したがって、「請求項4記載の」との事項(「「他のサブコンビネーション」に関する事項」)は、受信装置(請求項に係るサブコンビネーション)の発明を特定するための意味を有しないものである。
(b)訂正発明5における「前記選択した1つの新たな機能に対応する」との事項について
訂正発明5における「前記選択した1つの新たな機能に対応する」との事項は、「選択した1つの新たな機能」がどこに前記されたものであるのかが必ずしも明確ではないものの、請求項5が引用する請求項4には、「前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであって、それらの中から1つが選択され得る」と記載され、また、請求項4が引用する請求項3には、「アプリケーションプログラムやデバイスドライバをインターネットを経由してダウンロードして新たな機能を追加および/または更新する」と記載されていることからすると、「前記選択した1つの新たな機能」は、「アプリケーションプログラムやデバイスドライバをインターネットを経由してダウンロードして追加および/または更新した機能であって、プリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであり、携帯電話において使用するために選択された機能」であると認められる。
訂正発明5は、「当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する発信手段」を特定するものであるが、本件特許明細書の段落0085~0099の「個別情報システム」の説明をみても、例えば段落0092に「携帯端末10で、利用するカードを選択して(S120)、携帯端末10を受信装置60に近づける。受信装置60では、例えば、受信装置60に設けられている読み取りスイッチの押下によって、カード情報340の読み取り指示を受け取ると、読み取りコマンドを送受信部20に送る(S220)。そこで、送受信部20から指定されているカードのカード情報340(個別情報)の発信要求(パワーパルスなど)を携帯端末10に発信する(S221)。」と記載されているように、受信装置では、「個別情報の発信要求(パワーパルスなど)を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する」だけで、その個別情報が、「前記選択した1つの新たな機能に対応する」ものか否かによって何ら異なる発信要求(パワーパルスなど)を発信するものではないし、また、「受信装置60では、受信したカード情報340が、要求したカード情報であれば処理を続行するが(S224)、要求したカード情報でない場合はエラー終了する(S225)。」(段落0093)と記載されているだけで、ここでも、「前記選択した1つの新たな機能に対応する」個別情報であるか否かを判断しているわけではない。
そうすると、要求する個別情報が、「アプリケーションプログラムやデバイスドライバをインターネットを経由してダウンロードして追加および/または更新した機能であって、プリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであり、携帯電話において使用するために選択された機能」に対応するものであることが特定されたとしても、受信装置の構造、機能等が特定されているとはいえない。
したがって、「前記選択した1つの新たな機能に対応する」との事項(「「他のサブコンビネーション」に関する事項」)は、受信装置(請求項に係るサブコンビネーション)の発明を特定するための意味を有しないものである。
(c)上記(a)、(b)の検討によれば、訂正発明5の記載のうち、「請求項4記載の」との事項及び「前記選択した1つの新たな機能に対応する」との事項は、受信装置(請求項に係るサブコンビネーション)の発明を特定するための意味を有しないものであるから、これを除外した以下の訂正発明5’について、新規性・進歩性の判断を行うこととする。
(訂正発明5’)
携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有する受信装置であって、当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって、個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する発信手段と、前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うことを特徴とする受信装置。
d 訂正発明5’と甲2発明とを対比する。
(a)甲2発明の「携帯通信端末11」は訂正発明5’の「携帯電話」に相当する。
甲2発明では、「利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末11を自動改札機13にかざすと、携帯通信端末11は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信し、チケットデータを自動改札機13に送信」するものであるから、「自動改札機13」は、携帯通信端末11との間で“送受信するためのインターフェースを有する”といえる。
そして、甲2発明の「自動改札機13」は、携帯通信端末11からチケットデータを受信する“受信装置”であるといえる。
したがって、甲2発明の「自動改札機13」と訂正発明5’の「受信装置」とは、後記する点で相違するものの、“携帯電話との間で送受信するためのインターフェースを有する受信装置”である点では一致する。
(b)本件特許明細書の段落0090に「以下、個別情報340をカード情報と置き換えて説明する。」と記載され、また、同段落0094に「本実施の形態では、携帯端末10にカード機能を持たせる場合について説明したが、定期券や乗車券の機能を持たせることも可能である。この場合には、受信装置60の送受信部20には、多少離れた位置から読み取り可能なように近接型を利用することが好ましい。」と記載されていることからすると、訂正発明5’における「個別情報」とは、カード機能における「カード情報」や、定期券や乗車券の機能における「チケット情報」に対応するものであるから、甲2発明の「チケットデータ」は、訂正発明5’の「個別情報」に相当する。
上記のことから、甲2発明の「自動改札機13からのチケットデータ送信要求」は、訂正発明5’の「個別情報の発信要求」に相当する。
そして、甲2発明の自動改札機13が備える「無線送受信部132」は、「携帯通信端末11に記憶されているチケットデータの送信要求を送信する」ものであり、「利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末11を自動改札機13にかざすと、携帯通信端末11は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信」するものであるから、甲2発明の「無線送受信部132」は、訂正発明5’の「個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する発信手段」に相当する。
(c)甲2発明の「自動改札機13」は、「携帯通信端末11からチケットデータを受信すると、このデータを解読し、改札機を通過できる種類のチケットであるか否かを判定するとともに、使用済みチケットデータベース135を検索して同じ通し番号を有するチケットが既に使われているか否かを判定」するから、訂正発明5’の「前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段」に相当する構成を有しているといえる。
(d)甲2発明の「自動改札機13」は、「チケットデータの正当性が確認できた場合には、通し番号がそのままで、チケット種別を確認済みの種別に更新した新しいチケットデータを作成し、これを暗号化して「確認済みチケットデータ」として携帯通信端末11に送信する」から、訂正発明5’の「前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う」に相当する構成を有しているといえる。
(e)上記(a)~(d)の対比から、訂正発明5’と甲2発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
携帯電話との間で送受信するためのインターフェースを有する受信装置であって、個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する発信手段と、前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うことを特徴とする受信装置。
<相違点1>
携帯電話との間で送受信するためのインターフェースについて、訂正発明5’では、「RFIDインターフェース」と特定されているのに対して、甲2発明では、そのように明示的に特定されていない点。
<相違点2>
訂正発明5’では、「当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって」、個別情報の発信要求を発信するのに対して、甲2発明では、自動改札機13は、利用者がいようといまいと関係なしに、携帯通信端末に対するチケットデータ送信要求を常時定期的に送信している点。
(エ)判断
上記(ウ)で検討したとおり、訂正発明5’と甲2発明との間には、上記のとおりの相違点があるから、訂正発明5’は甲2発明(甲第2号証に記載された発明)ではない。
したがって、訂正発明5’は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものではない。
ウ 甲第2号証に基づく進歩性について
上記イ(ウ)で検討した相違点について検討する。
事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。
甲2発明の自動改札機13は、利用者がいようといまいと関係なしに、携帯通信端末に対するチケットデータ送信要求を常時定期的に送信しているものであり、不特定多数の利用者の所有する携帯通信端末に同じ「チケットデータ送信要求」を常時定期的に送信するものであり、ある利用者が自動改札機13に近づき、携帯通信端末11を自動改札機13にかざすと、当該携帯通信端末11は、自動改札機13からのチケットデータ送信要求を受信することができ、これに応答してチケットデータを自動改札機13に送信するように動作するものであって、自動改札機13を利用する場面において、「自動改札機13」に設けられた読み取りスイッチの押下によって、チケットデータ送信要求を携帯通信端末11に送信することは通常は想定されないことから、甲2発明において、自動改札機13に「読み取りスイッチ」を設け、これを押下することによって、チケットデータ送信要求を携帯通信端末11に送信するように構成する動機付けがなく、そのようにすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、訂正発明5’は甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、訂正発明5’は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
エ 結論
以上のとおり、訂正発明5’は、甲第2号証に記載された発明ではないから、訂正発明5も、甲第2号証に記載された発明ではない。
また、訂正発明5’は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、訂正発明5も、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、訂正発明5は、独立特許要件を満たしていないとはいえない。
(5)小括
上記(1)~(4)によれば、訂正発明1~5は、いずれも独立特許要件を満たしているから、訂正事項1~5は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
4 当審において通知した訂正拒絶理由について
(1)当審において令和6年8月1日付けで通知した訂正拒絶理由の要旨は以下のア及びイのとおりである。
ア 訂正の目的要件違反
訂正事項13、14は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするものに該当しないから、訂正後の請求項1~6に係る一群の請求項に係る訂正を認めることができない。
イ 独立特許要件違反
訂正後の請求項6は、特許法第126条第7項の規定に適合しないから、訂正後の請求項1~6に係る一群の請求項に係る訂正を認めることはできない。
(2)訂正拒絶理由についての判断
ア 上記第2の2のとおり、本件補正2により、訂正事項13、14は削除されたので、上記(1)アの訂正拒絶理由は解消した。
イ 上記第2の2のとおり、本件補正2により、訂正事項6が請求項6を削除する訂正に変更され、請求項6が削除されたので、上記(1)イの訂正拒絶理由は解消した。
第6 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項、第6項、第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-390011