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特許拒絶査定不服審判

2024-020279

少なくとも2つの封入体集団を有する消費者製品組成物

審判番号
2024-020279
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-519313外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年12月18日
審決日
2026年03月17日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (C11D) / P18 .121-Z (C11D) / P18 .537-Z (C11D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-519313「少なくとも2つの封入体集団を有する消費者製品組成物」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月21日国際公開、WO2022/082190、令和 5年10月17日国内公表、特表2023-543578〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3)年10月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2020年10月16日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、令和6年2月21日付けの拒絶理由通知書による通知に対し、同年5月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月7日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して同年12月18日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和6年12月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年12月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「液体布地ケア組成物であって、 第1のシェル材料によって取り囲まれた第1のコア材料を有する第1の封入体の第1の集団であって、前記第1のコア材料が第1の有益剤を含み、前記第1のコア材料及び前記第1のシェル材料が、96:4~99:1の第1のコア:シェル重量比で存在する、第1の集団と、 第2のシェル材料によって取り囲まれた第2のコア材料を有する第2の封入体の第2の集団であって、前記第2のコア材料が第2の有益剤を含み、前記第2のコア材料及び前記第2のシェル材料が、85:15~92:8未満の第2のコア:シェル重量比で存在する、第2の集団と、を含み、 前記第1のシェル材料及び前記第2のシェル材料の両方が、(メタ)アクリレート材料を含み、 前記第1の有益剤及び前記第2の有益剤の両方が、香料原材料を含む、液体布地ケア組成物。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和6年5月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「液体布地ケア組成物であって、 第1のシェル材料によって取り囲まれた第1のコア材料を有する第1の封入体の第1の集団であって、前記第1のコア材料が第1の有益剤を含み、前記第1のコア材料及び前記第1のシェル材料が、少なくとも96:4の第1のコア:シェル重量比で存在する、第1の集団と、 第2のシェル材料によって取り囲まれた第2のコア材料を有する第2の封入体の第2の集団であって、前記第2のコア材料が第2の有益剤を含み、前記第2のコア材料及び前記第2のシェル材料が、92:8未満の第2のコア:シェル重量比で存在する、第2の集団と、を含み、 前記第1のシェル材料及び前記第2のシェル材料の両方が、(メタ)アクリレート材料を含む、液体布地ケア組成物。」 2 補正の適否 (1)補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1の集団」の「第1のコア:シェル重量比」について、「少なくとも96:4」と記載されていたものを、本願明細書の【0090】の記載に基づき上限を「96:4~99:1」と限定し、同様に、本件補正前の請求項1の「第2の集団」の「第2のコア:シェル重量比」について、「92:8未満」と記載されていたものを、同【0090】の記載に基づき下限を「85:15~92:8未満」と限定し、さらに、本件補正前の請求項1の「液体布地ケア組成物」について、同【0060】の記載に基づき「前記第1の有益剤及び前記第2の有益剤の両方が、香料原材料を含む」ことを限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (2)本件補正発明 本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。 3 進歩性について (1)引用文献等 原査定で引用された引用文献1~4は、いずれも、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである。 引用文献1:特表2015-533863号公報(原査定の文献1) 引用文献2:特表2009-544812号公報(原査定の文献2、 周知技術を示すための文献) 引用文献3:特表2018-522976号公報(原査定の文献3、 周知技術を示すための文献) 引用文献4:特表2016-538133号公報(原査定の文献4、 周知技術を示すための文献) (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1には、次の記載がある。以下、下線は合議体による。 「【0001】 本発明は、ハイブリッド香料マイクロカプセルを含有する香料組成物、及び前記マイクロカプセルを界面活性剤や他の常用の成分と共に含むホームケア製品組成物又はパーソナルケア製品組成物に関する。」 「【0003】 洗濯済みの洗濯物についた香りは、多くの消費者にとって重要である。洗濯を体験する上で、消費者が関わるいわゆる「タッチポイント」が多数存在する。このタッチポイントの非限定例には、布地用ケア容器の開放、洗濯物を洗濯した後の洗濯機の開放、洗濯物を乾燥させた後の洗濯用乾燥機の開放に伴うフレッシュ感の体験や、洗濯済みの衣類の着用に伴うフレッシュ感が含まれる。・・・ ・・・ 【0007】 従って、消費者に心地よい体験を提供するために、異なる生物学的特性、例えば匂い閾値濃度を有する香料成分を含有し、かつ香料を所望の持続時間や洗濯プロセスの間の所望の時点で適切なレベルで放出する組成物が工業的に求められている。また、パーソナルケア用途では香料の放出や拡散を改善することも求められている。本発明は、工業における上記及びその他の要求を満たすものである。」 「【0012】 本発明の他の実施形態は、本明細書に記載の香料組成物を含むホームケア製品又はパーソナルケア製品の形態の消費者製品である。該製品は、洗剤組成物、布地用柔軟剤、硬質表面清浄化用組成物又は汎用清浄化組成物の形態であってよい。該製品は、シャンプー、ヘアコンディショナー、シャワームース、バスムース、シャワーオイル、バスオイル、シャワージェル、バスジェル、消臭剤又は発汗抑制剤の形態であってもよい。」 「【0035】 種々の香油の望ましい放出を達成するためのその他の方法は、前記第二のマイクロカプセルよりも薄いカプセル壁膜を有する前記第一のマイクロカプセルを提供することであろう。樹脂タイプが同じである場合、マイクロカプセル樹脂の調製に使用されるモノマーの量が少ないほど、一般にはより薄い壁膜のカプセルが生じる。該モノマーの量が多いほどより透過性の低いバリヤが生じ、量が少ないほどより透過し易いバリヤがもたらされる。その他の方法としては、2種類のマイクロカプセルのモノマーの種類を変更することが考えられる。例えば、芳香族イソシアネートのタケネート(R)モノマーはより透過性の低いバリヤをもたらすが、一方で脂肪族イソシアネートのDESMODUR(R)モノマーはより透過性の高いバリヤをもたらす。・・・当業者は、前記混合物中に含ませるべき個々の香油成分に応じて、ルーチン試験によりこうした種々の特徴を選択することができる。 【0036】 こうして前記第一の香油を含有するマイクロカプセルによってより迅速な拡散がもたらされると、最初に前記製品を扱う際、つまりボトルやパッケージを開封する際、又は該マイクロカプセルの混合物を含む製品を扱う際に香気が感知される。その後、透過性のより低いマイクロカプセルが、後の時点まで、例えば該製品が例えば洗剤又は布地用柔軟剤として洗濯機中で使用されて該香油が洗濯される布地へと移る時まで、又は清浄化製品においては該製品が床の清浄化に適用される時まで、又はパーソナルケア製品においては該製品が人間に使用される時まで、前記第二の香油の放出を妨げる。」 「【0037】 本発明の一実施形態においては、第一及び第二の香油を内包している香料マイクロカプセルはコア/シェル構造を有しており、その際、封入材がシェルを形成しており、他方で前記香油がコアを形成している。 【0038】 前記香料組成物のカプセル化は、当業者に公知の種々の方法で実施可能である。好ましくは、本発明の香油成分はシェル内に内包される。個々の第一及び第二の香料マイクロカプセルについてのマイクロカプセルのシェルは、同じであっても異なっていてもよい。・・・ 【0039】 一実施形態において、前記シェルは、アミノプラストコポリマー、例えばメラミン-ホルムアルデヒド又は尿素ホルムアルデヒド又は架橋メラミンホルムアルデヒド又はメラミングリオキサール、又はこれに限定されるものではないが例えばイソシアネートベースのモノマーとアミン含有架橋剤、例えばグアニジンカーボネート又はグアナゾールとからなるポリ尿素、又はこれに限定されるものではないが例えばポリイソシアネートとポリオール、ポリアミド、ポリエステルなどからなるポリウレタンシェルを含有する。好ましいポリ尿素マイクロカプセルは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含む少なくとも1種のポリイソシアネートと、水溶性グアニジン塩及びグアニジンからなる群から選択された少なくとも1種の反応物との重合の反応生成物であるポリ尿素壁膜;コロイド安定剤;及びカプセルに内包された香料を含有する。前記コロイド安定剤は、ポリビニルアルコール0.1%~0.4%及びビニルピロリドンと四級化ビニルイミダゾールとのカチオン性コポリマー0.6%~1%(パーセンテージはいずれも該コロイド安定剤の総質量に対する質量により定義されたものである)の水溶液である。そのようなポリ尿素マイクロカプセルの製造方法は、2009年6月8日付けで出願された米国特許出願第12/993,190号明細書に記載されており、その内容全体を本明細書に援用する。 ・・・ 【0045】 マイクロカプセルの凝集を防止し、そのようにして保護コロイドとして作用するためにポリマー安定剤を使用することができる。ポリマー安定剤を重合前にモノマー混合物に添加すると、該ポリマー安定剤はポリマーによって部分的に保持される。好適なポリマー安定剤の具体例には、スルホネート基を有するアクリル系コポリマー、例えば登録商標LUPASOL(R)(BASF社製)で商業的に入手可能であるもの、例えばLUPASOL(R) PA 140又はLUPASOL(R) VFR;アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー、アルキルアクリレートとN-ビニルピロリドンとのコポリマー、例えば登録商標LUVISKOL(R)で商業的に入手可能であるもの(例えばLUVISKOL(R) K 15、K 30又はK 90、BASF社製);ポリカルボン酸ナトリウム(Polyscience Inc.社製)又はポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウム(Polyscience Inc.社製);ビニル及びメチルビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー(例えばAGRIMER(R) #8482又はVEMA(R) #8482)及び、エチレン、イソブチレン又はスチレン-無水マレイン酸コポリマーが含まれる。従って、好ましいポリマー安定剤は、アニオン性高分子電解質である。」 「【0048】 前記マイクロカプセルは、好ましくは、15%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の、コアに対するシェルの公称質量比を有している。従って、前記マイクロカプセルは極めて薄く壊れやすいシェルを有することができる。・・・」 「【0081】 本発明によるカプセル 第一のマイクロカプセル 【表2】 [図:0001438827000001.jpg] 【0082】 第一のマイクロカプセルの製造 DESMODUR(R) N100 1.15gを前記第一の香油40g中に溶解させた。この油相を、スクレーパ撹拌機及びIkaロータ/ステータ系(6500~24000rpm)を具備した150mLビーカー中に導入した。この油相をこのスクレーパ撹拌機で50rpmで5分間撹拌した。 【0083】 ポリビニルアルコール(Fluka社製MOWIOL(R) 18-88)を脱イオン水50.8g中に溶解させることにより、安定剤水溶液を、この安定剤溶液の総質量に対して1質量%で調製した。 【0084】 その後、前記香料相をこの水相中でIkaデジタルウルトラタラックス系を用いて24000rpmで3分間均質化することにより、エマルションを調製した。生じたエマルション溶液を室温で100mL反応器中に導入し、撹拌を500rpmに設定した。 【0085】 その後、脱イオン水2.7g中の炭酸グアニジン0.45gの溶液を、室温で1時間かけて前記反応器に添加した。反応温度を30分間かけて50℃に上げ、続いて30分かけて70℃に上げ、続いて70℃で2時間保持した。この反応を30分間かけて室温に冷却した。油40gをカプセルに内包させるため、このカプセルは、イソシアネート6ミリモル(1.15g)及びアミン10ミリモル(0.45g)からなっていた。従って、樹脂対油の質量比は1:25である。 【0086】 第二のマイクロカプセル 【表3】 [図:0001438827000002.jpg] 【0087】 第二のマイクロカプセルの製造 DESMODUR(R) N100 2.29gを前記第二の香油40g中に溶解させた。この油相を、スクレーパ撹拌機及びIkaロータ/ステータ系(6500~24000rpm)を具備した150mLビーカー中に導入した。この油相をこのスクレーパ撹拌機で50rpmで5分間撹拌した。 【0088】 前記ポリビニルアルコールを脱イオン水50.8g中に溶解させることにより、安定剤水溶液を、この安定剤溶液の総質量に対して1質量%で調製した。 【0089】 その後、前記香料相をこの水相中でIkaデジタルウルトラタラックス系を用いて24000rpmで3分間均質化することにより、エマルションを調製した。生じたエマルション溶液を室温で100mL反応器中に導入し、撹拌を500rpmに設定した。 【0090】 その後、脱イオン水5.4g中の炭酸グアニジン0.9gを、室温で1時間かけて前記反応器に添加した。反応温度を30分間かけて50℃に上げ、続いて30分かけて70℃に上げ、続いて70℃で2時間保持した。この反応を30分間かけて室温に冷却した。 【0091】 このカプセル懸濁液中の香料含有率は、この懸濁液の総質量に対して約40%であった。油40gをカプセルに内包させるため、このカプセルは、イソシアネート12ミリモル(2.29g)及びアミン20ミリモル(0.90g)からなっていた。従って、樹脂対油の質量比は1:12.5である。 【0092】 フリーの香油: 【表4】 [図:0001438827000003.jpg] 【0093】 この油を前記ポリビニルアルコール溶液中でIkaデジタルウルトラタラックス系を用いて24000rpmで3分間均質化することにより、第三の香油のエマルションを調製した。 【0094】 本発明によるカプセルとフリーな香油との混合物 第一のカプセルと第二のカプセルと第三の香油とを含むバッチを、3.5:2.2:4.3の比で混合したところ、最終的に、全体としてベンチマークカプセルと同じ賦香組成物が生じた。」 イ 引用文献2には、次の記載がある。 「【0001】 本願は、有益剤含有デリバリー粒子、このような粒子を含む組成物、並びにこのような粒子及び組成物の製造並びに使用方法に関する。 【背景技術】 【0002】 香料、防虫剤、鬱血除去剤、及びフェロモンなどの有益剤は高価であるが、一般に、パーソナルケア組成物、洗浄組成物及び布地ケア組成物の中に高濃度で使用される場合、あまり効果がない。結果として、これらの効果を最大化したいという要望が存在している。」 「【0027】 有用な壁材料としては、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオレフィン、多糖、エポキシ樹脂、ビニルポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料が挙げられる。・・・。」 ウ 引用文献3には、次の記載がある。 「【0001】 本開示は、マイクロカプセルを用いることによって芳香剤の複数ブルームを提供する布地ケア及びホームケア組成物に関する。」 「【0034】 マイクロカプセルのシェルは、乳化剤を含む第2の混合物の存在下での第1の混合物の反応生成物を含んでもよく、第1の混合物は、i)油溶性又は分散性アミンと、ii)多官能性アクリレート又はメタクリレートモノマー若しくはオリゴマー、油溶性酸、及び開始剤と、の反応生成物を含み、乳化剤は、水溶性又は水分散性アクリル酸アルキル酸コポリマー、アルカリ又はアルカリ塩、及び任意に水相開始剤を含む。いくつかの例では、前述のアミンは、アミノアルキルアクリレート又はアミノアルキルメタクリレートである。マイクロカプセルは、コア材料及びコア材料を包囲するシェルを含んでもよく、ここでシェルは、アミノアルキルアクリレート、アルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキル(aminoalykl)アクリレート、アミノアルキルメタクリレート、アルキルアミノアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、第3ブチルアミンエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジプロピルアミノエチルメタクリレート、及びこれらの混合物、並びに複数の多官能性モノマー又は多官能性オリゴマーからなる群から選択される複数のアミンモノマーを含む。乳化剤の非限定的な例としては、アルキルサルフェートの水溶性塩、・・・ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸ブチルアクリレートコポリマー、・・・が挙げられる。」 エ 引用文献4には、次の記載がある。 「【0001】 製品の消費者の楽しみを高めるために多くの製品にフレグランス材料が用いられている。フレグランス材料は、消費者製品、例えば洗濯用洗剤、織物柔軟剤、石けん、洗浄剤、パーソナルケア用品、例えばシャンプー、ボディソープ、脱臭剤等だけでなく、他の多数の製品に添加されている。 使用者のためのフレグランス材料の有効性を高めるために、フレグランス材料の送達を望ましい時間に強めるように種々の技術が使われてきた。1つの広く使われている技術は、保護コーティングの中にフレグランス材料を封入することである。しばしば、保護コーティングはポリマー材料である。フレグランス材料を使用前の蒸発、反応、酸化或いは放散から保護するためにポリマー材料が用いられている。・・・」 「【0044】 実施例1: 高安定性フレグランス含有マイクロカプセルの調製 フレグランスをNEOBEE-M5及び40%エチレン尿素溶液と混合し、このことによりフレグランス/溶媒組成物を形成した(表2)。ポリマー壁を生成して、フレグランス/溶媒組成物液滴を封入することによって被覆されていないカプセルを調製した。カプセルスラリーにするために、コポリアクリルアミド/アクリレート(ALCAPSOL 200)を高イミノメチル化メラミン架橋剤(CYMEL 385、Cytec Industries、ベルギー)と共に水に分散させた(表2)。カプセル成分を酸性条件下で反応させた。次にフレグランス/溶媒組成物を溶液に添加し、高剪断均質化によって望ましいサイズの液滴を達成した。 12種類の異なるカプセルを得た。カプセル1~10は、表に示されるようにフレグランス組成物(表2)及び硬化温度/時間が異なったものである。・・・」 (3)引用文献1に記載された発明 引用文献1の【0094】の「第一のカプセルと第二のカプセルと第三の香油とを含むバッチを、3.5:2.2:4.3の比で混合した賦香組成物」に着目し、第一のカプセルについて【0039】及び【0081】~【0085】の記載を、第二のカプセルについて【0039】及び【0086】~【0091】の記載を参酌すれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明) 「第一のマイクロカプセルと第二のマイクロカプセルと第三の香油を、3.5:2.2:4.3の比で混合した賦香組成物であって、 第一のマイクロカプセルは、ショウノウ等からなる第一の香油40gを内包する、イソシアネート6ミリモル(1.15g)及びアミン10ミリモル(0.45g)の反応物であるポリ尿素壁膜からなる、樹脂対油の質量比が1:25のカプセルであり、 第二のマイクロカプセルは、アルデヒドMNA等からなる第二の香油40gを内包する、イソシアネート12ミリモル(2.29g)及びアミン20ミリモル(0.90g)の反応物であるポリ尿素壁膜からなる、樹脂対油の質量比が1:12.5のカプセルである、賦香組成物。」 (4)本件補正発明と引用発明との対比、判断 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「第一のマイクロカプセル」は、賦香組成物に含まれる集団であるから、本件補正発明の「第1の封入体の第1の集団」に相当し、引用発明の「イソシアネート6ミリモル(1.15g)及びアミン10ミリモル(0.45g)の反応物であるポリ尿素壁膜」及び「樹脂」は、本件補正発明の「第1のシェル材料」に相当する。また、引用発明の「ショウノウ等からなる第一の香油」は本件補正発明の「第1の有益剤」に相当し、前記ポリ尿素壁膜に内包されるものであるから、本件補正発明の「第1のシェル材料によって取り囲まれた第1のコア材料」に相当する。 本件補正発明の「コア:壁重量比」は本願明細書の【0195】に定義されるとおりであるから、引用発明の第一のマイクロカプセルの「樹脂対油の質量比が1:25」は、本件補正発明の「前記第1のコア材料及び前記第1のシェル材料」の「重量比」に換算すると、96.2:3.8(≒25/(1+25)×100:1/(1+25)×100)となり、本件補正発明の「前記第1のコア材料及び前記第1のシェル材料が、96:4~99:1の第1のコア:シェル重量比で存在する」を充足する。 引用発明の「第二のマイクロカプセル」は、賦香組成物に含まれる集団であるから、本件補正発明の「第2の封入体の第2の集団」に相当し、引用発明の「イソシアネート12ミリモル(2.29g)及びアミン20ミリモル(0.90g)の反応物であるポリ尿素壁膜」及び「樹脂」は、本件補正発明の「第2のシェル材料」に相当する。また、引用発明の「アルデヒドMNA等からなる第二の香油」は本件補正発明の「第2の有益剤」に相当し、前記ポリ尿素壁膜に内包されるものであるから、本件補正発明の「第2のシェル材料によって取り囲まれたコア材料」に相当する。 引用発明の「第一のマイクロカプセルは、ショウノウ等からなる第一の香油40gを内包する」及び「第二のマイクロカプセルは、アルデヒドMNA等からなる第二の香油40gを内包する」は、本件補正発明の「前記第1の有益剤及び前記第2の有益剤の両方が、香料原材料を含む」を充足する。 また、引用発明の賦香組成物は第一のマイクロカプセルと第二のマイクロカプセルを3.5:2.2の比で混合したものであるから、「第1の封入体の第1の集団」と、「第2の封入第の第の集団と、を含」むものと認められる。 さらに、引用発明の「賦香組成物」は、マイクロカプセルと香油からなる液状のものと認められるから、本件補正発明の「液体布地ケア組成物」と、「液体組成物」である点で共通する。 してみれば、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「液体組成物であって、 第1のシェル材料によって取り囲まれた第1のコア材料を有する第1の封入体の第1の集団であって、前記第1のコア材料が第1の有益剤を含み、前記第1のコア材料及び前記第1のシェル材料が、96:4~99:1の第1のコア:シェル重量比で存在する、第1の集団と、 第2のシェル材料によって取り囲まれた第2のコア材料を有する第2の封入体の第2の集団であって、前記第2のコア材料が第2の有益剤を含む、第2の集団と、を含み、 前記第1の有益剤及び前記第2の有益剤の両方が、香料原材料を含む、液体組成物。」 <相違点1> 液体組成物が、本件補正発明は「液体布地ケア組成物」であるのに対し、引用発明は「賦香組成物」である点。 <相違点2> 第2の集団の第2のコア:シェル重量比が、本件補正発明は「85:15~92:8未満」であるのに対し、引用発明は、12.5:1である点。 <相違点3> 第1のシェル材料及び前記第2のシェル材料の両方が、本件補正発明は「(メタ)アクリレート材料」であるのに対し、引用発明は、イソシアネートとアミンの反応物である点。 イ 判断 (ア)相違点1について検討する。 引用発明の組成物について、引用文献1の【0012】には、引用発明の「賦香組成物」を含むホームケア製品又はパーソナルケア製品が、洗剤組成物、布地用柔軟剤の形態であってよいことが記載されている。そうすると、引用発明の「賦香組成物」を、洗剤組成物、布地用柔軟剤のような、布地ケアの用途に用いることは、当業者が容易になし得たことである。 (イ)相違点2について検討する。 引用発明の第二のマイクロカプセルの「樹脂対油の質量比が1:25」は、本件補正発明の「前記第2のコア材料及び前記第2のシェル材料」の「重量比」に換算すると、92.6:7.4(≒12.5/(12.5+1)×100:1/(12.5+1)×100)となり、本件補正発明の「前記第2のコア材料及び前記第2のシェル材料が、85:15~92:8未満の第2のコア:シェル重量比で存在する」との範囲からわずかに外れる(本件補正発明と比べると、ややコアが多くシェルが少ないため、第一のマイクロカプセルのコア:シェル比との差が、本件補正発明よりもやや小さい。)ものである。 しかしながら、引用発明を認定した引用文献1の【0003】には、洗濯済みの洗濯物についた香りは、布地用ケア容器の開放、洗濯済みの衣類の着用に伴うフレッシュ感のような「タッチポイント」が多数存在することが記載され、同【0007】には、香料を所望の時点(各タッチポイント)で適切なレベルで放出することが求められていることが記載されている。そして、引用発明における「樹脂対油の質量比」の意味について、引用文献1の【0035】には、種々の香油の望ましい放出を達成するための方法として、マイクロカプセル樹脂の調製に使用されるモノマーの量が少ないほど薄い壁膜のカプセルが生じ、より透過しやすいバリヤとなり、モノマーの量が多いほど透過性の低いバリヤが生じることが記載されているから、引用文献1には、マイクロカプセルの「樹脂対油の質量比」を調整して、カプセルの壁膜の厚さを変更することにより、容器の解放から着用時のフレッシュ感まで、さまざまなタッチポイントで香料が適切なレベルで放出できることが記載されているものと認められる。 そうすると、引用発明においても、よりタッチポイントの幅を所望の範囲に広げるために、第二のマイクロカプセルのコア:シェル重量比について、第一のマイクロカプセルのコア:シェル重量比との差が適度に大きくなるように、すなわち、コアが少なくシェルが多くなるようにコア材料とシェル材料の重量比を調整して、本件補正発明のコア:シェル重量比の程度とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 (ウ)相違点3について検討する。 引用発明を認定した引用文献1の【0039】には、マイクロカプセルのシェルのポリマー材料として、引用発明のポリ尿素壁膜等が記載されている。また、同【0045】には、マイクロカプセルの凝集を防止し、保護コロイドとして作用するために、スルホネート基を有するアクリル系コポリマー等のポリマー安定剤が使用できることが記載され、ポリマー安定剤はマイクロカプセルのポリマーに部分的に保持されることが記載されている。そうすると、引用発明のマイクロカプセルの凝集を防止するために、第一のマイクロカプセルと第二のマイクロカプセルの双方に、スルホネート基を有するアクリル系コポリマー等のポリマー安定剤を添加することは、当業者が容易になし得たことである。 あるいは、例えば引用文献2~4に記載されるように、引用発明と同様の布地ケア製品の香料保持技術において、マイクロカプセルのシェル材料のポリマー自体を(メタ)アクリル材料とすることは周知技術であるから、引用発明のシェル材料である「イソシアネートとアミンの反応物」に代えて、周知の(メタ)アクリレート材料を用いることは、当業者が容易になし得たことである。 (エ)本件補正発明の効果について 本願明細書には、実施例3~5として、香料を含有するコアとアクリレート系シェルの重量比が異なる2つの封入体集団を含有する組成物において、前記重量比が単一の封入体を含有する組成物と比較して、2つ以上のタッチポイントで良好に機能したと記載されている。しかしながら、このような効果は、引用文献1の「種々の香油の望ましい放出を達成するためのその他の方法は、前記第二のマイクロカプセルよりも薄いカプセル壁膜を有する前記第一のマイクロカプセルを提供することであろう。樹脂タイプが同じである場合、マイクロカプセルの調製に使用されるモノマーの量が少ないほど、一般的にはより薄い壁膜のカプセルが生じる。」等の記載(【0003】、【0007】、【0035】等)から、当業者が予測しえる範囲内のものである。 さらに、本願明細書の実施例の記載は、本件補正発明に包含される全ての重量比において実施例と同様の効果が奏されることを示すものではなく、加えて、本件補正発明は、封入体のサイズ等を特定するものでもないから、下記4(4)で検討するとおり、本願明細書の実施例等の記載をもって、あらゆる本件補正発明の組成物が様々なタッチポイントで好ましい香料放出をもたらすことが明らかともいえない。 以上のとおりであるから、本件補正発明により、本件補正発明の構成から予測しえない顕著な効果が奏されたとはいえない。 (オ)したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)請求人の主張 請求人は、審判請求書において、概略次の主張をしている。 ア シェルへのポリマー安定剤の使用について 引用文献1は、マイクロカプセルのシェルをアミノプラストポリマーで製造する際にスルホネート基を有するアクリル系コポリマー等のポリマー安定剤を使用することを示唆しているに過ぎず、第一の香料マイクロカプセル及び第二の香料マイクロカプセルの両方のシェルが、(メタ)アクリレート材料を含有することを示唆しているとはいえないし、引用文献1には、そのような(メタ)アクリレート材料を含むシェルと、コアとの重量比を本願発明で規定される重量比の範囲内とすることも具体的に記載されてはいない。 イ シェルの材料について 原査定において、周知技術を示す文献として引用された引用文献2~4には、香料マイクロカプセルのシェル材料としてポリアクリレートを用いることが記載されているものの、それを引用文献1に記載されるようなコア:シェル重量比の異なる2種類の香料マイクロカプセルを含む消費者製品に適用することを動機付ける記載はないし、また、そのようなポリアクリレートを含むシェルとコアとの重量比を本願発明で規定される重量比の範囲内とすることも何ら記載されてはいない。 しかしながら、アについて、前記(4)イ(ウ)で検討したとおり、引用文献1の【0045】には、スルホネート基を有するアクリル系コポリマー等のポリマー安定剤は、マイクロカプセルの凝集を防止するために添加され、マイクロカプセルのポリマーに部分的に保持されることが記載されているから、引用文献1の当該記載に基づいて、スルホネート基を有するアクリル系コポリマーを安定剤として添加して製造された引用発明のマイクロカプセルは、第1及び第2のシェル材料の両方が、(メタ)アクリレート材料を含むものと認められる。 また、イについて、前記(4)イ(イ)で検討したとおり、引用発明と同様の技術分野の周知技術を考慮すれば、引用発明のシェル材料を(メタ)アクリレート材料とすることは当業者が容易になし得たことであって、そうすることを阻害するような特段の事情は存在しない。 そして、引用文献1には、マイクロカプセルの「樹脂対油の質量比」を調整して、カプセルの壁膜の厚さを変更することにより、容器の解放から着用時のフレッシュ感まで、さまざまなタッチポイントで香料が適切なレベルで放出できることが記載されているものと認められるから、シェルの材料を変更したとしても同様に、さまざまなタッチポイントで香料が適切なレベルで放出できることは予測できる。そうすると、引用発明のシェルの材料を周知な(メタ)アクリル材料とすることに、特段の困難性はないし、その効果についても顕著なものとはいえない。 してみれば、請求人の主張は採用できない。 (6)小括 したがって、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術(要すれば、引用文献2~4等参照。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 サポート要件について (1)サポート要件の規範 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明の記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきであるとされており、以下、この点を踏まえて検討する。 (2)発明の詳細な説明の記載 本願明細書には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本開示は、封入体の第1の集団及び第2の集団を含み、集団のうちの少なくとも1つが、相対的に高いコア:シェル重量比を特徴とする、消費者製品組成物、例えば、布地ケア組成物に関する。本開示はまた、このような組成物の使用及び作製に関連する方法に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 様々な消費者タッチポイントにわたって望ましい性能を提供する、封入体を含有する消費者製品組成物が必要とされている。」 「【0072】 ・・・好ましくは、ラジカル重合可能な官能基は、各々独立して、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選択される。これらの官能基は、他の官能基と比較して、高いコア:壁比でのより少ない漏出等の好ましい特性を有する送達粒子をもたらすと考えられる。」 「【0085】 c.コア:シェル重量比 上でより詳細に記載されるように、第1及び第2の集団の封入体は、コアと、コアを取り囲むシェルと、を含む。驚くべきことに、特に、シェル材料に対するコア材料の特定の比、又は比の組み合わせを選択することによって、改善された性能を示す組成物を得ることができることが見出された。 【0086】 理論に縛られることを望むものではないが、少なくとも1つの集団が、相対的に高い壁に対するコアの比を有する封入体の集団を配合することにより、本開示に記載の所望の破壊強度プロファイルを有する集団が提供されると考えられる。これに加えて、高いコア:シェル比を有する封入体は、有益剤をより効率的に送達することができ、同量の有益剤を送達するのに必要な壁材料が少なくてすむ。更に、封入体が、相対的に高い有益剤の含有量を有するため、特定の組成物に必要とされ得る封入体材料が少なくてすみ、費用の節約になり、及び/又は配合空間を解放する。また、このような封入体を他の封入体(例えば、相対的に低いコア:シェル比を有するもの)と組み合わせて、所望の性能を提供する組成物を提供することができることも考えられる。」 「【0092】 第2のコア-シェル比は、第1のコア-シェル比と異なっていてもよい。異なる比を有する2つの封入体集団は、異なるタッチポイントで有益剤の放出をもたらすことができ、これが好ましい場合がある。第1のコア-シェル比と第2のコア-シェル比とは異なっていてもよいが、第1のシェル材料と第2のシェル材料とは、同じであってもよく、又は類似であってもよい。このような場合は、製造の複雑さを低減し、かつ/又は製品適合性を高めることができる。第1のコア-シェル比と第2のコア-シェル比とは異なっていてもよく、第1のシェル材料と第2のシェル材料とは、異なっていてもよい。異なる材料及びコア-シェル比は、有益剤が望ましいタッチポイント及び/又は順序で放出されるように、製造者が製品を調整することを可能にし得る。」 「【実施例】 【0191】 以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。 ・・・ 【0195】 コア:壁重量比-試料計算 コア:壁重量比は、全コア材料のインプット(例えば、香油及び分配変性剤)の重量を、全壁材料のインプット(例えば、壁モノマー及び開始剤)の重量によって割り算することによって、決定される。代替的に、粒子集団中のコア材料の相対百分率は、全コア材料のインプットの重量を、コア材料のインプットの総重量と壁材料のインプットの総重量の合計によって割り算して、100を掛け算することによって決定することができ、残りの百分率(100-%コア)は、壁材料の相対百分率であり、これらの数は、比率として表され得る。同様に、粒子集団中の壁材料の相対百分率は、壁材料のインプットの総重量を、全コア材料のインプット及び全壁材料のインプットの重量の合計によって割り算して、100を掛け算することによって決定することができる。 ・・・ 【0199】 実施例2.例示的な封入体集団の破壊強度データ 香料封入体の例示的な集団は、実質的に上の実施例1の合成手順に従って作製され、ここで、壁は、主にCN975アクリレートモノマーで作製される。集団における差を、以下の表2Aに提供する。 【0200】 実施例1A及び1Bは、これらが、本明細書に記載され、特許請求される第1の封入体集団のコア:シェル比とは一致しないコア:シェルを特徴とするものを含むため、比較例としてラベル付けされる。しかしながら、いずれも第2の封入体集団として機能し得る。開始剤の量は、全壁材料(例えば、モノマー+開始剤)の百分率として提供される。 【0201】 【表3】 [図:0001438827000004.jpg] a開始剤1=2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)/CAS番号:13472-08-7 b開始剤2=4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)/CAS番号:2638-94-0 【0202】 実施例1A、1B、及び2~12の封入体集団を、サイズ分布の様々な点(5%、50%、及び90%)での体積加重封入体サイズについて分析し、各点での破壊強度を決定する。このデータから、ブロードネス指数(Broadness Index)及びデルタ破壊強度(Delta Fracture Strength)を、上で提供した試験方法に従って決定する。結果を表2Bに提供する。 【0203】 【表4】 [図:0001438827000005.jpg] 【0204】 図1は、上の表2A及び2Bからのいくつかの例のグラフを示しており、d5、d50、及びd90での封入体サイズが、それぞれの破壊強度に対してグラフ化されている。図1のグラフ及び上の表2Bに示されるように、比較例1Aは、J型曲線を示し、d5での破壊強度は、d50及びd90での破壊強度よりも相対的に高い。一方で、本開示による実施例2、4、及び10は、比較例1Aと比較して、比較的平坦な曲線を示す。異なる破壊強度プロファイルを有する封入体の2つの集団が選択される場合、特にそれらのうちの少なくとも1つが、95:5以上のコア:シェル比を特徴とする場合、改善された消費者製品を配合することができる。 【0205】 例えば、図1のグラフに示すように、実施例2(例えば、第1の集団)の10ミクロンのカプセルは、実施例1A(例えば、第2の集団)の10ミクロンのカプセルとは異なる破壊強度を有すると予想される。これにより、様々なタッチポイントにわたって好ましい香料放出がもたらされ得る。 【0206】 表2Bによる別の比較を見ると、実施例1B及び実施例11の封入体は、同様の中央粒径を有し(36.1対39.4ミクロン)、d5で同じ粒径(9.2ミクロン)を有する。しかしながら、集団は、コア:壁比が異な(90:10対98:2)。この差によって、ほぼ同じサイズである粒子について、d5で異なる破壊強度(6.2MPa対1.4MPa)がもたらされ、4.8MPaの絶対差がもたらされる。更に、実施例1Bの粒子の9.2ミクロンでの破壊強度は、実施例11の粒子の破壊強度より400%大きい。同じサイズの粒子についてのこれらの異なる破壊強度に起因して、これらの2つの集団を用いて配合された製品は、いくつかのタッチポイントにわたって、肯定的な香料放出プロファイルを有すると考えられる。 【0207】 実施例3.二重封入体集団の比較(1) 以下の実施例では、液体布地強化剤組成物を比較し、ここで、各々が香料封入体の2つの集団を含有する。様々な封入体集団のシェル材料は、実質的に同じである(アクリレート系シェル-主にCN975モノマー、例えばSartomer)が、表3Aに示されるように、異なるコア:シェル重量比で存在する。更に、配合物2及び3の第1の封入体集団は、比較配合物1の第1の封入体集団の香料と比較して、少ない香料含有量及びわずかに異なる香料配合物(例えば、いくつかの香料原材料が省かれている)を有する。 【0208】 封入体集団を、表3Aにより詳細に記載する。表3Aに提供される「送達された香料」は、最終製品組成物の重量による、封入体集団によって提供された香料の量である。 【0209】 【表5】 [図:0001438827000006.jpg] 【0210】 配合物1、2、及び3は、布地見本を処理するための洗濯プロセスに使用される。布地を処理した後、専門の調香師が、WET、DRY、及びRUBタッチポイントでの香料強度について嗅覚評価を行い、各タッチポイントでのスコアを平均して、そのタッチポイントについてのスコアを得る。スコアは、0~100の香料臭気強度スケールに基づき、ここで、0=香料臭気なし、25=わずかな香料臭気、50=中程度の香料臭気、75=強い香料臭気、及び100=極めて強い香料臭気である。結果を表3Bに提供する。比較例である配合物1を参照として使用する。アステリクス(*)を付したエントリーは、同じ列の参照値に対して統計的に有意である。 【0211】 【表6】 [図:0001438827000007.jpg] 【0212】 表5Bに示されるように、配合物2及び3は、相対的に少ない香料を送達していながら、2つ以上のタッチポイントで、比較配合物1よりも有意に良好に機能する。 【0213】 実施例4.二重封入体集団の比較(2) 以下の実施例では、液体布地強化剤組成物を比較し、ここで、各々が香料封入体の2つの集団を含有する。表4Aに記載される主なシェル材料の違いに加えて、配合物2の第1の封入体集団は、少ない香料含有量及びわずかに異なる香料配合物(例えば、いくつかの香料原材料が省かれている)を有する。 【0214】 【表7】 [図:0001438827000008.jpg] 1MF=メラミンホルムアルデヒド、Encapsys,LLC(Appleton,WI)からの封入体 2アクリレート=CN975モノマー(例えば、Sartomer) 【0215】 配合物1及び2を洗濯プロセスで使用し、処理された布地を、実施例3で提供されたスコアリング法に従って、湿潤状態の布地の臭気(Wet Fabric Odor:WET)、時間0でのRoom Bloom(RB-0h)、及び1時間後のRoom Bloom(RB-1h)について試験した。結果を表4Bに提供する。比較例である配合物1を参照として使用する。アステリクス(*)を付したエントリーは、同じ列の参照値に対して統計的に有意である。 【0216】 【表8】 [図:0001438827000009.jpg] 【0217】 表4Bに示されるように、配合物2は、相対的に少ない香料を送達していながら、2つのRoom Bloomタッチポイントで、比較配合物1よりも有意に良好に機能する(及び湿潤状態の布地の臭気(Wet Fabric Odor)について方向的に良好)。 【0218】 実施例5.二重封入体集団の利点 この実施例では、アクリレート系香料封入体の様々な組み合わせを液体布地強化剤製品に適用し、洗いたて感の性能について試験する。カプセル集団を表5Aに記載する。表5Aに提供される粒径は、集団についての目標の体積加重中央粒径である。 【0219】 【表9】 [図:0001438827000010.jpg] 1分配変性剤=ミリスチン酸イソプロピル 2CN975=6官能性芳香族ウレタンアクリレートエステル(例えば、Sartomer Company、Exton,PA) 3SR368=脂肪族ウレタンアクリレートを有するトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、Sartomer Company、Exton,PA) 【0220】 試験の各レッグについて、1つ以上の集団を、等しいレベル(0.2重量%)の香料を最終製品に提供するような量で、ベース液体布地強化剤組成物(柔軟化活性物質として7重量%のester quatを有する)に提供する。封入体の2つの集団が単一の製品に提供される試験レッグ(例えば、レッグ2~6)について、各集団が各々0.1重量%の香料に寄与するような量で封入体が提供される(50:50重量比)。 【0221】 布地(綿テリー見本)を、洗濯サイクル(自動洗濯機(1200rpm)での短い綿サイクル)で処理し、布地強化剤を最後のすすぎサイクル中に添加する。 【0222】 布地を処理した後、専門の調香師が、RUB、DRY、及びWETタッチポイントでの香料強度について嗅覚評価を行い、スコアを平均する。スコアは、0~100の香料臭気強度スケールに基づき、ここで、0=香料臭気なし、25=わずかな香料臭気、50=中程度の香料臭気、75=強い香料臭気、及び100=極めて強い香料臭気である。これに加えて、3つのタッチポイントにわたる所与のレッグについての平均嗅覚スコアが提供される(「タッチポイント平均」)。更に、GCMS機器を使用して、各タッチポイントで処理された布地の上のヘッドスペースデータを収集する。結果を表5B(嗅覚スコア)及び表5C(ヘッドスペースデータ)に提供する。 【0223】 レッグ1及び5は、比較例である。例えば、試験組成物は、本開示に従って、好ましいコア:壁重量比(例えば、95:5以上)を有する封入体集団を含まない。 【0224】 【表10】 [図:0001438827000011.jpg] *比較例 【0225】 【表11】 [図:0001438827000012.jpg] *比較例 【0226】 表5B及び5Cのデータによって示されるように、第1及び第2の封入体集団を含む布地強化剤製品(少なくとも1つの集団は、少なくとも95:5のコア:シェル重量比を特徴とする封入体を含む)(例えば、レッグ2、3、4、及び6に例示される封入体集団B及びC)は、典型的には、特にRUB及びDRYタッチポイントで、同様の香料系及びレベルを有する比較封入体集団を有するものと比較して、より良好に機能する。例えば、比較レッグ1をレッグ2、3、及び4と比較されたい。また、例えば、比較レッグ5をレッグ6と比較されたい。」 「【図1】 [図:0001438827000013.jpg] 」 (3)本件補正発明が解決しようとする課題 本件補正発明が解決しようとする課題は、前記本願明細書の【0006】等の記載から見て、様々な消費者タッチポイントにわたって望ましい性能を提供する、封入体を含有する消費者製品組成物を提供することと認められる。 (4)サポート要件についての当審の判断 ア 実施例の記載について 実施例2: 本願明細書の【0199】の「実施例2」において、【0203】の【表4】の「表2B」には、封入体サイズと破壊強度(MPa)の試験結果が示され、同【図1】のグラフによれば、封入体サイズが5μm付近では、実施例1A(比較例)~実施例10の間で、破壊強度の差が顕著にみられるものの、封入体サイズが15μm以上の範囲での破壊強度は1~2.5MPa程度であって、実施例1A(比較例)~実施例10の間で大差がないことが示されている。 すなわち、封入体サイズが10μm程度のものについては、コア:シェル質量比の違いにより、破壊強度に大きな差が出る可能性があるが、封入体サイズが15μm以上のものについては、コア:シェル質量比が異なっても破壊強度に大きな差はでないということである。 そこで、実施例1A(比較例)~実施例10について、それぞれの封入体集団に、10μm以下の封入体サイズの粒子がどの程度の量含まれているかを検討すると、10μm以下の封入体サイズの粒子の量は、各粒子集団のd5、d50、d90の値から推定される粒度分布に応じて大きく異なることが想定される。特に、d50の値が大きく、ブロードネス指数が小さい実施例5~7、9~11の集団には、封入体サイズが10μm以下の粒子が少ししか含まれていない(粒度分布を、例えば対数正規分布で近似した場合に、実施例10で5%強程度。)から、このような集団においては、コア:シェル重量が異なっていても、破壊強度に大きな差が出ないことを理解できる。 したがって、封入体サイズが10μm程度以下の粒子を多く含む集団であれば、コア:シェル質量比の違いにより、破壊強度に差が出て、結果として様々なタッチポイントが得られる可能性があるものの、封入体サイズが15μmを超える粒子を多く含む集団は、コア:シェル質量比に違いがあっても、タッチポイントが多様化することはないと理解される。 実施例3: 本願明細書の【0207】の「実施例3」について、【表5】及び【表6】を見ると、コア:シェル重量比が90:10の集団(第2の集団に対応)のみの比較例1に対して、コア:シェル重量比が90:10の集団(第2の集団に対応)とコア:シェル重量比が98:2の集団(第1の集団に対応)を含む実施例2、3を比べると、実施例2、3の方が比較例1よりもWET、DRY、RUBのいずれにおいても嗅覚スコアが高いことが示されているが、本件補正発明の例えばコア:シェル重量比が91.9:8.1の第1の集団と96:4の第2の集団の態様においても、第1の集団のみの比較例に対して嗅覚スコアが高くなることを開示するものではなく、また、用いられたマイクロカプセルの封入体サイズは不明であるから、実施例3の記載をもって、本件補正発明のコア:シェル重量比の集団の混合物であれば、タッチポイントが多様化することが明かとはいえない。 実施例4: 本願明細書の【0213】の「実施例4」について、【表7】、【表8】をみると、シェル材料がMF(メラミンホルムアルデヒド)の集団とアクリレートの集団を含む比較例1に対して、シェル材料がアクリレートの集団のみの実施例2を比べると、実施例2の方がWET、RB(0時間)、RB(1時間)のいずれにおいても嗅覚スコアが高いことが示されているが、用いられたマイクロカプセルの封入体サイズは不明であり、実施例4の記載から、シェル材料として、第1のシェル材料及び第2のシェル材料の両方ともアクリレートを採用したことにより、封入体のサイズに依存することなく、本件補正発明で特定される重量比の範囲の組み合わせであれば、タッチポイントが多様化することが明らかとはいえない。 実施例5: 本願明細書の【0218】の「実施例5」について、【表9】~【表11】をみると、本件補正発明の第1の集団に該当する封入集団A、D、Eと、第2の集団に該当する封入集団B、Cの組合せにおいて、調香師の嗅覚スコアである【表10】の結果と、GCMS機器を用いたヘッドスペースデータである【表11】の結果のいずれにおいても、本件補正発明に含まれるレッグ2、4、6が、比較例相当のレッグ1、3、5と比べて、実施例の方が比較例よりも評価結果がよいという傾向を理解することはできない。 また、封入集団A、Eの粒径が18μm(破壊強度の大きな粒子が含まれる可能性がある。)であり、封入集団B~Dの粒径が36μm(破壊強度の大きな粒子はほとんど含まれていない。)であることを考慮しても、各封入集団の想定される破壊強度と、タッチポイントの多様化との関係を理解することはできない。 イ 明細書の記載について 本願明細書の【0086】、【0092】等には、異なるコア:シェル重量比を有する2つの封入体集団は、異なるタッチポイントで有益剤の放出をもたらす可能性があることが記載されている。しかしながら、前記アで実施例2等について検討したとおり、タッチポイントの多様化は、本件補正発明で特定されるようなコア:シェル重量比を有する2つの集団を含み、2つの集団のシェル材料の両方が(メタ)アクリレート材料を含むことにより奏されるとは認められない。 ウ 技術常識等 一般論として、コア:シェル重量比について、コアが多くシェルが少なければシェルが薄くなって破壊強度が低下し、コアが少なくシェルが多くなればシェルが厚くなって破壊強度が高くなることが想定できるが、シェルの厚さと破壊強度の関係は、マイクロカプセルの粒径にも依存すると考えられるところ、マイクロカプセルの粒径も含めたコア:シェル重量比と破壊強度の関係について、確立した技術常識があるとはいえない。 エ そうすると、本願出願時の技術常識等を勘案しても、本願明細書の実施例等の記載をもって、本件補正発明により、前記(3)の課題が解決されることが明らかとはいえない。 (5)請求人の主張 請求人は、本願明細書の[0072]、[0085]、[0086]及び[0092]等の記載から、異なる比を有する2つの封入体集団は、異なるタッチポイントで有益剤の放出をもたらすことができることを理解でき、また、本願明細書の段落[0207]~[0230]に示された香料封入体を含む液体布地強化剤組成物の評価結果等を総合的に考慮することで、補正後の請求項1で規定される液体布地ケア組成物であれば、本願発明の課題を解決できる程度の効果を奏するであろうと認識することができるとの趣旨の主張をしている。 しかしながら、前記(4)で検討したとおり、本件補正発明は、あらゆる封入体サイズの集団において、第1の集団と第2の集団のコアシェル重量比がそれぞれ所定の範囲であれば課題を解決できると認識できるものではなく、また、シェルの材料が(メタ)アクリレート材料を含むことにより課題を解決できると認識できるものでもないから、請求人の主張は採用できない。 (6)小括 以上のとおり、本件補正発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえず、また、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものともいえない。 したがって、本件補正発明は、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 本件補正についてのむすび 前記3、4で検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反し、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」ともいう。)は、令和6年5月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定には「この出願については、令和6年2月21日付け拒絶理由通知書に記載した理由3-4によって、拒絶をすべきものです。」と記載され、次の理由を含むものである。 「理由3:(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特表2015-533863号公報 2.特表2009-544812号公報(周知技術を示すための文献) 3.特表2018-522976号公報(周知技術を示すための文献) 4.特表2016-538133号公報(周知技術を示すための文献) 理由4:(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」 3 判断 (1)進歩性について 原査定の拒絶の理由で引用した引用文献1~4、及びそれらの記載事項は、前記第2の[理由]3(2)に記載したとおりである。 そして、本願発明は、前記第2の[理由]3で検討した本件補正発明を特定するために必要な事項のうち、「第1の集団」の「第1のコア:シェル重量比」の範囲の上限の限定を削除し、「第2の集団」の「第2のコア:シェル重量比」の範囲の下限の限定を削除し、さらに、「前記第1の有益剤及び前記第2の有益剤の両方が、香料原材料を含む」との特定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]3に記載したとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術(要すれば、引用文献2~4等参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)サポート要件について 本願発明は、前記(1)のとおり本件補正発明を包含するものであるが、本件補正発明が、前記第2の[理由]4に記載したとおり、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない以上、本件補正発明を包含する本願発明も、前記したような他の事項による特定を削除したことにより、発明の詳細な説明に記載したものとなることはないから、本願発明も、前記第2の[理由]4と同様の理由から、発明の詳細な説明に記載したものではない。 第4 むすび 以上のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、特許法29条2項に規定する要件を満たしておらず、また、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないものであるから、特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-020279

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