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特許拒絶査定不服審判

2024-019871

電力取引支援装置

審判番号
2024-019871
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-023747
請求日
2024年12月11日
審決日
2025年12月15日
公報発行日
2026年01月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
  • 【請求人代理人】安部 誠
審判長/審判官
  • 審判長 松田 直也
  • 審判官 古川 哲也
  • 審判官 岡北 有平
分類
P18 .121-WY (G06Q) / P18 .561-WY (G06Q) / P18 .57 -WY (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第5項特許法53条1項特許法159条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項第4号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 23747「電力取引支援装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 8月30日出願公開、特開2023-120735、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和4年2月18日の出願であって、令和6年1月31日付けの拒絶理由の通知に対し、同年6月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年9月5日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年12月11日に審判請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 令和6年12月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年12月11日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 本件補正は、本件補正前である令和6年6月7日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1を、本件補正後である令和6年12月11日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1のとおりに補正するものである(なお、下線は当審において加筆した。以下同様。)。 すなわち、本件補正前の請求項1の「前記電力プロフィールを、他のユーザに提供する処理」であって、「前記電力プロフィールには、電力を供給する際の供給条件が含まれており、供給条件には、前記電力の供給を受けようとするユーザの業種や事業内容が特定できる情報が含まれている」とあるのを、本件補正によって、本件補正後の請求項1の「前記電力プロフィールと電力を供給する際の供給条件を、他のユーザに提供する処理」であって、「供給条件には、前記電力の供給を受けようとするユーザの業種や事業内容が特定できる情報が含まれている」と補正するものである。 2 補正の適否 (1)新規事項の追加についての検討 本件補正が、特許法17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か、すなわち、本件補正が、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かについて検討する。 ア 本願の当初明細書等の記載 本願の当初明細書等には、以下の記載がある。 「【0102】 電力取引支援装置120は、以下の処理S1a~S1gが実行されるように構成されている。 S1a.電力プロフィールを取得する処理 S1b.電力プロフィールを、通信網40を通じて他のユーザU2に提供する処理 S1c.他のユーザU2が、供給可能な電力を有するユーザU1に、当該電力の供給を受けることを申し込む処理 S1d.申し込む処理で申し込んだユーザU2のプロフィールが、申し込まれたユーザU1に送られる処理 S1e.申し込まれたユーザU1が、申し込んだユーザU2の申し込みを承認する処理 S1f.承認する処理を受けて、申し込まれたユーザU1の電力がスマートグリットを通じて申し込んだユーザU2に供給される処理 S1g.電力供給を受けたユーザU2から電力を供給したユーザU1へ対価が支払われる処理」 「【0107】 〈電力プロフィール〉 電力プロフィールは、ユーザU1が供給可能な電力の特徴が記録された情報である。電力プロフィールは、例えば、電力を供給するユーザU1、ユーザU1が供給可能な電力の発電手段、発電場所などを特定する情報であり得る。スマートグリッド10は、ユーザU1が供給可能な電力の電力プロフィールが記録された記憶部を備えているとよい。表2は、電力プロフィールが記憶されたテーブルの一例である。表2に示されたテーブルは、電力プロフィールに関して、電力プロフィールID、電力量、ユーザID、発電手段、発電場所、発電設備ID、供給日時、料金、地域、所属(属性)が記録できるように構成されている。電力プロフィールに含められる情報は、表2に挙げられたものに限定されない。」 「【0112】 電力プロフィールは、例えば、予め定められた単位電力量毎に発電手段、発電場所などの情報と紐付けられた情報であってもよい。また、電力プロフィールに記録される電力量は、ユーザAの供給可能な電力に対する割合から算出されるように構成されてもよい。 ・・・(途中省略)・・・ 【0115】 ここでは、電力プロフィールの一例を挙げたが、電力プロフィールは、かかる例に限定されない。電力プロフィールには、例えば、ユーザが供給可能な電力量と、供給される電力の電源情報と、供給条件とのうち少なくとも1つが含まれていてもよい。ここで、供給される電力の電源情報は、発電設備に関する情報であり得る。また、供給条件は、ユーザが供給可能な電力を供給するに当たり、供給する条件である。 【0116】 〈供給条件〉 供給条件には、例えば、供給する日時、料金、電力を供給する地域、電力の供給を受ける者の所属、属性などが設定できるとよい。電力を供給する地域は、例えば、ユーザが属するマイクログリッド内であるとか、リソースアグリゲータ13が提供するマイクログリッド内であるなど、地域や配電系統を限定することができる。料金は、地域や日時で変動させることができる。例えば、送電経路が長くなるのに応じて、料金が段階的に高くなることや、電力を供給する日時については、電力需要が高い時に電力を供給する対価を高く、発電量が増える時間帯では、電力を供給する対価を安くしたりすることが設定されうる。また、条件が合えば、無償で電力を供給するように条件を設定できるようにしてもよい。 【0117】 電力の供給を受ける者の所属、属性には、例えば、電力の供給を受ける者がどのような者であるかが分かる情報が記録されているとよい。事業者である場合、業種や事業内容が特定できる情報が記録されているとよい。これにより、ユーザが供給可能な電力を供給するための条件として、電力の供給を受ける者についての条件を設定することができる。つまり、電力を供給する相手方としての条件が電力プロフィールに記録され、電力の供給を受ける者を制限できる。例えば、ユーザが供給可能な電力を米の生産者に供給したい場合、電力プロフィールには、供給を受ける者の所属、属性として、米の生産者であることが記録されているとよい。これにより、ユーザは、電力の供給を受ける者を、米の生産者に制限できる。また、米の生産者に限定せず、農業、工場、学校、病院などとしてもよい。また、複数の業種が登録されていてもよいし、特に、供給を受ける者の所属、属性を限定する必要がなければ、「なし」が選択されてもよい。」 「【0119】 〈処理S1a〉 処理S1aでは、図11に示されているように、スマートグリッド10に供給可能な電力を有するユーザU1が供給可能な電力の電力プロフィールが取得される。処理S1aによれば、例えば、ユーザU1が供給可能な電力について、電力プロフィールを取得することができる。ユーザU1がスマートグリッド10に供給可能な電力について、電力量毎に、発電手段、発電場所などの情報が得られる。これにより、取得された電力プロフィールに基づいて、ユーザU1がスマートグリッド10に供給可能な電力について、例えば、発電手段、発電場所、発電設備、供給条件などが特定される。」 「【0122】 〈処理S1d〉 処理S1dでは、申し込む処理S1cで申し込んだユーザのプロフィールが、申し込まれたユーザに送られる。図11に示された形態では、処理S1dでは、申し込む処理S1cで、供給可能な電力を有するユーザU1に電力の供給を受けることを申し込んだユーザU2のプロフィールが、申し込まれたユーザU1に送られる。かかる処理S1dは、インターネットなどの通信ネットワークを通じて、電子的に実行される。この実施形態では、電力取引支援装置120は、申し込む処理S1cで、供給可能な電力を有するユーザU1に電力の供給を受けることを申し込んだユーザU2のプロフィールが、申し込まれたユーザU1に送られるように、予めプログラムされているとよい。かかる処理S1dによって、供給可能な電力を有するユーザU1は、電力の供給を受けることを申し込んだユーザU2のプロフィールを確認することができる。」 「【0130】 ここで、電力供給者(売り手)となるユーザU1は、電力プロフィールにおいて供給条件を設定してもよい。電力プロフィールには、ユーザが供給可能な電力量と、供給される電力の電源情報と、供給条件とのうち少なくとも1つが含まれていてもよい。電力プロフィールに適切な供給条件が設定されていることによって、電力受給者(買い手)となるユーザU2をユーザU1の意図に沿って制限できる。供給条件では、例えば、供給する日時、料金、供給する地域、供給を受ける者の所属、属性などが設定できる。これによって、電力供給者(売り手)となるユーザU1は、意向に沿った相手に電力を供給することができる。」 イ 判断 上記アによれば、電力プロフィールに供給条件が含まれること(段落【0115】等)、電力プロフィールを他のユーザに提供すること(段落【0102】等)、供給条件には電力の供給を受ける者の業種や事業内容が特定できる情報が記録されていること(段落【0116】、【0117】等)は、当初明細書等に記載されているものと認められる。 しかしながら、本件補正後の請求項1の「電力プロフィールと電力を供給する際の供給条件」を「他のユーザに提供する」こと、すなわち、「電力プロフィール」と「電力を供給する際の供給条件」を別個のものとして、それらを他のユーザに提供することは、上記アを含め、当初明細書等には記載も示唆もなく、本件補正発明が属する技術分野の当業者にとって、技術常識といえる事項であるとする合理的な理由もない。 そうすると、本件補正は、「電力プロフィールと電力を供給する際の供給条件を別個のものとして、それらを他のユーザに提供する」という新たな技術的事項を導入するものといえる。 したがって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえない。 (2)補正の目的要件についての検討 上記のとおり、本件補正はいわゆる新規事項の追加に該当する事項を含む不適法なものであるが、本件補正の目的について検討する。 ア 特許請求の範囲の限定的減縮(特許法第17条の2第5項第2号)について 本件補正は、上記1のとおりの補正事項を含むものであって、本件補正前の請求項1の「供給条件」を含む「電力プロフィール」を、本件補正後の請求項1のとおり、「電力プロフィール」が「供給条件」を含まないものとし、「供給条件」を「電力プロフィール」と別個のものとすること(異なる概念のものとすること)は、「電力プロフィール」を減縮するものでも、「供給条件」を減縮するものでもない。 よって、本件補正は、特許請求の範囲の限定的減縮(特許法第17条の2第5項第2号)を目的とするものではない。 イ その他の目的(特許法第17条の2第5項第1号、第3号、第4号)について また、本件補正は、請求項の削除(特許法第17条の2第5項第1号)、誤記の訂正(特許法第17条の2第5項第3号)、明りょうでない記載の釈明(特許法第17条の2第5項第4号)を目的とするものでもないことは明らかである。 ウ むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的とするものでもない。 3 審判請求人の主張 審判請求人は、審判請求書において、「補正の根拠は、明細書の0116,0117,0122,図11などです。」と主張しているが、段落【0116】、【0117】、【0122】、【図11】を参照しても、上記2(1)イのとおり、当初明細書等に「電力プロフィールと電力を供給する際の供給条件」を「他のユーザに提供する」ことが記載されているとは認められないから、審判請求人の主張は採用できない。 なお、補正の目的要件に関しては、審判請求書において何ら主張されていない。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 また、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~8に係る発明は、本件補正前の令和6年6月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-019871

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