特許拒絶査定不服審判
2024-016072
医薬品容器を検査するための装置
- 審判番号
- 2024-016072
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-121143
- 請求日
- 2024年10月07日
- 審決日
- 2025年11月07日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】森田 拓
- 【請求人代理人】前川 純一
- 【請求人代理人】永島 秀郎
- 【請求人代理人】上島 類
- 【請求人代理人】遠藤 太介
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 石井 孝明
- 審判官 岩瀬 昌治
- 分類
- P18 .575-Z (B65G) / P18 .121-Z (B65G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-121143「医薬品容器を検査するための装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 8日出願公開、特開2021- 54654〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年7月15日(パリ条約による優先権主張2019年9月27日、(EP)欧州特許庁)の出願であって、その手続の経緯は概ね以下のとおりである。
令和6年 4月25日付け:拒絶理由通知書
令和6年 6月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 8月 6日付け:拒絶査定
令和6年10月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年10月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年10月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由](補正の適否の判断)
1.本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1-15の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
ガラス製またはポリマー製の医薬品円筒容器(4)を検査するための装置であって、前記装置は、処理デバイス(1)および摩擦ホイール(2)を備え、
前記処理デバイス(1)は、前記容器(4)をその側面で保持するための少なくとも1つの保持手段(3)を備え、前記保持手段(3)は、前記容器(4)を支持するための少なくとも第1の支持ホイール(5)および第2の支持ホイール(6)を備え、
前記容器(4)は、前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の回転および/または前記摩擦ホイール(2)の回転により、前記容器(4)の長手方向軸線(24)を中心として回転可能であり、
前記第1の支持ホイール(5)の回転軸線(25)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第1の平面(26)を規定しており、前記第2の支持ホイール(6)の回転軸線(27)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第2の平面(28)を規定しており、前記第1の平面(26)と前記第2の平面(28)とは、60°~80°の角度(29)で交差しており、
前記容器(4)は、前記処理デバイス(1)のクロック周波数と同期して搬送デバイス(12)によって供給可能である、
装置。
【請求項2】
前記処理デバイス(1)は、前記容器(4)を最初に第1の移送位置(9)から検査区域(10)に移送でき、次に前記検査区域(10)から第2の移送位置(11)に移送できるように回転可能であり、かつ/または、
前記保持手段(3)および/または前記摩擦ホイール(2)は、前記容器(4)が前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の回転および/または前記摩擦ホイール(2)の回転により、前記容器(4)の長手方向軸線(24)を中心として回転可能となるように、前記検査区域(10)内の前記容器(4)を前記摩擦ホイール(2)に接触させるために第1の軸線(21)に沿って移動可能である、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記処理デバイス(1)は、3つの保持手段(3)をそれぞれ前記第1の移送位置(9)、前記検査区域(10)および前記第2の移送位置(11)に備え、前記保持手段(3)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記容器(4)を前記第1の移送位置(9)に搬送し、前記容器(4)を前記処理デバイス(1)から前記第2の移送位置(11)にて受けるための搬送デバイス(12)をさらに備える、
請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、搬送デバイス(12)、第1の移送デバイス(13)および第2の移送デバイス(14)をさらに備え、
前記搬送デバイス(12)は、前記容器(4)を前記第1の移送デバイス(13)に搬送し、前記容器(4)を前記第2の移送デバイス(14)から受けるように構成されており、
前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を前記搬送デバイス(12)から取り、それを前記第1の移送位置(9)に移送するように構成されており、前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を、その側面で保持するための少なくとも1つの保持機構(15)を備え、前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を前記保持機構(15)によって保持されているときに前記第1の移送位置(9)に持ってくるように、回転可能であり、
前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)を前記処理デバイス(1)から受けるように構成されており、前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)を、その側面で保持するための少なくとも1つの保持機構(18)を備え、前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)が、その側面で前記搬送デバイス(12)上に位置決めされるように、前記容器(4)を前記第2の移送位置(11)から前記搬送デバイス(12)に移送できるように回転可能である、
請求項2または3記載の装置。
【請求項6】
前記第1の移送デバイス(13)は、3つの保持機構(15)を備え、前記保持機構(15)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第2の移送デバイス(14)は、3つの保持機構(18)を備え、前記保持機構(18)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
前記第1の移送デバイス(13)の前記保持機構(15)および/または前記第2の移送デバイス(14)の前記保持機構(18)および/または前記処理デバイス(1)の前記保持手段(3)は、吸引要素(7,16,19)を備える、
請求項5から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記第1の移送デバイス(13)の前記保持機構(15)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記第2の移送デバイス(14)の前記保持機構(18)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記摩擦ホイール(2)の前記容器(4)に接触している表面は、ポリマーまたは鋼を含む、
請求項5から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記保持手段(3)または前記処理デバイス(1)は、検査区域(10)内の前記容器(4)を前記摩擦ホイール(2)に接触させるために第1の軸線(21)に沿って移動可能である、
請求項5から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記第1の移送デバイス(13)および前記第2の移送デバイス(14)は、第1の軸線(21)に沿って移動可能である、
請求項5から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記第1の移送デバイス(13)は、第2の軸線(22)に沿って移動可能であり、かつ/または、前記第2の移送デバイス(14)は、第3の軸線(23)に沿って移動可能である、
請求項5から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記第1の軸線(21)と前記第2の軸線(22)とは、30°~60°の角度で交差しており、かつ/または、
前記第1の軸線(21)と前記第3の軸線(23)とは、30°~60°の角度で交差している、
請求項12記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの駆動手段は、前記第1の移送デバイス(13)および/または前記第2の移送デバイス(14)および/または前記処理デバイス(1)を、前記第1の軸線(21)に沿ってかつ/または前記第2の軸線(22)に沿ってかつ/または前記第3の軸線(23)に沿って移動させるように配置されている、
請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
前記搬送デバイス(12)は、コンベヤベルトである、
請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和6年6月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-15の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
ガラス製またはポリマー製の医薬品円筒容器(4)を検査するための装置であって、前記装置は、処理デバイス(1)および摩擦ホイール(2)を備え、
前記処理デバイス(1)は、前記容器(4)をその側面で保持するための少なくとも1つの保持手段(3)を備え、前記保持手段(3)は、前記容器(4)を支持するための少なくとも第1の支持ホイール(5)および第2の支持ホイール(6)を備え、
前記容器(4)は、前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の回転および/または前記摩擦ホイール(2)の回転により、前記容器(4)の長手方向軸線(24)を中心として回転可能であり、
前記第1の支持ホイール(5)の回転軸線(25)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第1の平面(26)を規定しており、前記第2の支持ホイール(6)の回転軸線(27)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第2の平面(28)を規定しており、前記第1の平面(26)と前記第2の平面(28)とは、45°~120°未満の角度(29)で交差しており、
前記容器(4)は、前記処理デバイス(1)のクロック周波数と同期して搬送デバイス(12)によって供給可能である、
装置。
【請求項2】
前記処理デバイス(1)は、前記容器(4)を最初に第1の移送位置(9)から検査区域(10)に移送でき、次に前記検査区域(10)から第2の移送位置(11)に移送できるように移動可能であり、かつ/または、
前記保持手段(3)および/または前記摩擦ホイール(2)は、前記容器(4)が前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の回転および/または前記摩擦ホイール(2)の回転により、前記容器(4)の長手方向軸線(24)を中心として回転可能となるように、前記検査区域(10)内の前記容器(4)を前記摩擦ホイール(2)に接触させるために第1の軸線(21)に沿って移動可能である、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記処理デバイス(1)は、3つの保持手段(3)をそれぞれ前記第1の移送位置(9)、前記検査区域(10)および前記第2の移送位置(11)に備え、前記保持手段(3)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記容器(4)を前記第1の移送位置(9)に搬送し、前記容器(4)を前記処理デバイス(1)から前記第2の移送位置(11)にて受けるための搬送デバイス(12)をさらに備える、
請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、搬送デバイス(12)、第1の移送デバイス(13)および第2の移送デバイス(14)をさらに備え、
前記搬送デバイス(12)は、前記容器(4)を前記第1の移送デバイス(13)に搬送し、前記容器(4)を前記第2の移送デバイス(14)から受けるように構成されており、
前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を前記搬送デバイス(12)から取り、それを前記第1の移送位置(9)に移送するように構成されており、前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を、その側面で保持するための少なくとも1つの保持機構(15)を備え、前記第1の移送デバイス(13)は、前記容器(4)を前記保持機構(15)によって保持されているときに前記第1の移送位置(9)に持ってくるように、回転可能であり、
前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)を前記処理デバイス(1)から受けるように構成されており、前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)を、その側面で保持するための少なくとも1つの保持機構(18)を備え、前記第2の移送デバイス(14)は、前記容器(4)が、その側面で前記搬送デバイス(12)上に位置決めされるように、前記容器(4)を前記第2の移送位置(11)から前記搬送デバイス(12)に移送できるように回転可能である、
請求項2または3記載の装置。
【請求項6】
前記第1の移送デバイス(13)は、3つの保持機構(15)を備え、前記保持機構(15)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第2の移送デバイス(14)は、3つの保持機構(18)を備え、前記保持機構(18)は、互いに120°の角度を成して円上に配置されている、
請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
前記第1の移送デバイス(13)の前記保持機構(15)および/または前記第2の移送デバイス(14)の前記保持機構(18)および/または前記処理デバイス(1)の前記保持手段(3)は、吸引要素(7,16,19)を備える、
請求項5から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記第1の移送デバイス(13)の前記保持機構(15)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記第2の移送デバイス(14)の前記保持機構(18)の少なくとも前記容器(4)に接触している表面および/または前記摩擦ホイール(2)の前記容器(4)に接触している表面は、ポリマーまたは鋼を含む、
請求項5から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記保持手段(3)または前記処理デバイス(1)は、検査区域(10)内の前記容器(4)を前記摩擦ホイール(2)に接触させるために第1の軸線(21)に沿って移動可能である、
請求項5から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記第1の移送デバイス(13)および前記第2の移送デバイス(14)は、第1の軸線(21)に沿って移動可能である、
請求項5から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記第1の移送デバイス(13)は、第2の軸線(22)に沿って移動可能であり、かつ/または、前記第2の移送デバイス(14)は、第3の軸線(23)に沿って移動可能である、
請求項5から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記第1の軸線(21)と前記第2の軸線(22)とは、30°~60°の角度で交差しており、かつ/または、
前記第1の軸線(21)と前記第3の軸線(23)とは、30°~60°の角度で交差している、
請求項12記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの駆動手段は、前記第1の移送デバイス(13)および/または前記第2の移送デバイス(14)および/または前記処理デバイス(1)を、前記第1の軸線(21)に沿ってかつ/または前記第2の軸線(22)に沿ってかつ/または前記第3の軸線(23)に沿って移動させるように配置されている、
請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
前記搬送デバイス(12)は、コンベヤベルトである、
請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。」
2.補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1の平面(26)」と「第2の平面(28)」とが交差する「角度(29)」の範囲について、上記1(1)のとおり「60°~80°」に限定するものである。
また、本件補正は、本件補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「処理デバイス(1)」の「移動」について、上記1(1)のとおり「回転」に限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1-15に記載された発明と補正後の請求項1-15に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1-15に記載される発明(以下「本件補正発明」といい、請求項1に記載される発明は「本件補正発明1」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献1の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開昭50-72783号公報(昭和50年6月16日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、下線は当審合議体が付した。
(ア)「この発明はびんの回転装置、さらに詳しくは透明ガラスびん等のきずその他の欠陥の検査機あるいはびんの胴周にラベルを貼る札貼機(ラベラー)等に適用され、びんの移送を継続しながらそれに追従運動する光電素子等でびんの傷や目盛表示部を検査するさい、その検査中にびんをその中心線を軸に回転させる装置に関する。
連続的びん検査機において、欠陥びんを除去するために光電素子等を用いて移送中のびんの傷等を検査する場合、あるいは札貼機においてびん外周に付された目盛部分を検出し、その向きを一定に揃えて札貼部に送り出そうとするような場合、びんの全周面を検査部材に臨ませて傷や目盛り部分の発見を行わせるため、びんの移送過程中の検査区間で、びんをその中心線を軸に少なくとも一回転以上回転させるようにしなければならない。
この発明は上記のような要請に鑑み、移動中のびんをその移動過程の所定区間で良好な安定状態に保持しつつ一回転以上回転させることができ、しかも必要に応じて回転途中でもびんを急速に停止させることを可能としたものであり、以下その構成を図面の実施例につき説明する。」(1ページ右欄5行~2ページ左上欄11行)
(イ)「第1図ないし第3図は、この発明のびん回転装置をびんの検査機に適用した場合の実施例を示すもので、第1図においては(1)はびん搬入コンベアを示し、該コンベア上を単列状態で送られてきたびん(B)はタイミング・スクリユー(2)により間隔を調整され、入り口スパイダ(3)を介してびんの迂回移送路を構成する移送用回転円板(4)の周縁部上に等間隔に移乗される。回転円板(4)の下方には、これを同軸に扇形の往復作動板(5)が設けられており、これの回転円板(4)より外方に突出せられた先端部分に、投受光器対等よりなる複数個の検査部材(6)が取付けられると共に、これに対応して回転摩擦ローラ(7)を含む複数個のびん回転装置(8)が取付けられている。往復作動板(5)は、ある角度範囲において回転円板(4)の回転に追従してそれと同調した速度で運動し、その間に所定の検査を終えたのち原位置に一挙に復帰するようになされる。この往復運動を与える機構は、カム等を用いた適宜の構造を採用しうるものであり、たとえば先に出願した特願昭46-23269号に示したようなカムと復帰用ばねを用いた機構を採用しうる。回転円板(4)上でびんの位置を規定し、それを保持する位置決め用ローラ(9)は、前記摩擦ローラ(7)の水平面の上方と下方に左右1対づつ設けられており、びんの胴部の下部と首部に接触し、前記摩擦ローラ(7)と相対するときはそれとの間にびん(B)をしつかりと挟持するようになつている。この位置決め用ローラ(9)は支持ブラケツト(10)を介して回転円板(4)上に取付けられている。回転円板(4)上での移送過程で摩擦ローラ(7)によつて1回転すなわち360°以上の中心線を軸とする回転が与えられ、その間に検査部材(6)により欠陥の有無を検査されたびん(B)のうち、無欠陥のびんは、出口スパイダ(11)を介して搬出コンベア(12)に送られるが、欠陥のあるびんは、検査部材(6)の検出信号を記憶装置からの信号で吸着動作する吸着装置(13)により、出口スパイダ(11)から除びんテーブル(14)上に移されびん列から除去される。」(2ページ左上欄12行~右下欄2行)
(ウ)「ところで、この発明に係る上記びんの回転装置(8)は、第2図および第3図にその構造の詳細を示す。これらの図に示すように、ゴム等よりなる回転摩擦ローラ(7)はコ字状軸片(15)に周面の一部を突出させて取付られており、かつ軸受片(15)はステー(16)を介して往復作動板(5)上に横軸(17)で枢着された軸受枠(18)に結合されている。したがつて摩擦ローラ(7)は上記横軸(17)を中心として回転円板(4)の半径方向に自由に揺動しうるものとなつており、これを回転円板(4)の中心方向に押付けるばね装置(19)と、逆に外方に引張るエア・シリンダー(20)とにより、びん(B)の外周面に圧接または離間せしめられるようになつている。ばね装置(19)は、ケーシング(19a)に納められたコイル・ばね(19b)と、これで押出されるブツシャ・ロツド(19c)とを含み、前記シリンダー(20)と共にブラケツト(21)に取付けられて前記ステー(16)に関与せられている。摩擦ローラ(7)の軸(22)はフレキシブル・シヤフトからなり、下端が前記軸受枠(18)に保持された縦軸(23)に連結されている。そしてこの縦軸(23)の下端に固着されたスプロケツト(24)と、これに掛けられたチエン(25)とにより、隣接する回転装置相互が同時に連動回転せられるようになつている。所定の1つの回転装置(8)には図示しない電動機から動力が与えられる。電動機は回転円板(4)の下方の適宜の場所に設けられ、これより電磁クラツチ・ブレーキ(26)、横軸(27)及び傘歯車(28)を介して前記縦軸(23)に回転動力が伝達される。この伝動用の横軸(27)はスライド軸(27a)を含んで伸縮自在となされると共に、ボール・ジヨイント等の自在継手(27b)を含んで屈曲自在なものとなされ、往復作動板(5)の運動および軸受枠(18)の運動に拘らず、電磁クラツチ・ブレーキからの動力を確実に縦軸(23)に伝達しうるものとなつている。なおその他(29)はチエン(25)のテークアツプ装置(第2図)、(30)は回転円板(4)の中心軸、(31)は検出部材(6)の支持部材である。」(2ページ右下欄3行~3ページ右上欄8行)
(エ)「上記びん回転装置(8)は、往復作動板(5)が回転円板(4)に追従して同調運動をはじめたのち、それまで摩擦ローラ(7)をびん(B)の移動線から外方に引き離していたエア・シリンダー(20)の引込み力が除かれる。したがつて摩擦ローラ(7)はばね装置(19)の力で中心方向へ移動し、相対するびん(B)の胴周に圧接する。このとき位置決め用ローラ(9)は反対側からびん(B)を受け止め、それの中心を規正する。この動作が終ると、次にリミツト・スイツチ等により電磁クラツチ・ブレーキ(26)が入り、摩擦ローラ(7)が起動される。これにより、びん(B)は、回転円板(4)上で移動を継続しながら、中心線を軸にかつ摩擦ローラ(7)と位置決め用ローラ(9)で挟着された安定状態のもとに回転される。こうして一回転以上回転され、その間に検査部材(6)による所定の検査が行われたのち、電磁クラツチ・ブレーキ(26)が作動され摩擦ローラ(7)の回転が停止される。これによりびん(B)の回転が強制的に止められ、その後エア・シリンダー(20)が作動せられることによつて摩擦ローラ(7)はびん(B)から引離される。こうして一回の検査工程を完了したのち、往復作動板(5)は後続の複数個のびんの検査のために、回転円板(4)の回転方向と逆方向に急速に回転して原位置に復帰され、以後上記同様の動作を繰返して次々と流れてくるびん(B)のすべての検査を行う。なお、エア・シリンダー(20)の作動信号および摩擦ローラ(7)の起動停止を司る電磁クラツチ・ブレーキ(26)の作動信号は、回転円板(4)とタイミングを合わせたカムにより作動されるリミツト・スイツチによつて取出されるものである。」(3ページ右上欄9行~右下欄7行)
(オ)
[図:0001433729000001.jpg]
イ 上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア) 上記ア(イ)及び(エ)によれば、「びん(B)」は、「回転円板(4)上での移送過程で」、「ばね装置(19)の力で中心方向へ移動し、相対するびん(B)の胴周に圧接し」た「摩擦ローラ(7)によつて1回転すなわち360°以上の中心線を軸とする回転が与えられ」、「回転円板(4)上で移動を継続しながら、中心線を軸にかつ摩擦ローラ(7)と」「びんの胴部の下部と首部に接触し」た「位置決め用ローラ(9)で挟着された安定状態のもとに回転される」ものであるから、少なくともその胴部において円筒部を備えることがわかる。
(イ) 上記ア(ア)、(イ)及び(エ)によれば、「回転円板(4)上でびんの位置を規定し、それを保持する位置決め用ローラ(9)は、前記摩擦ローラ(7)の水平面の上方と下方に左右1対づつ設けられており、びんの胴部の下部と首部に接触し、前記摩擦ローラ(7)と相対するときはそれとの間にびん(B)をしつかりと挟持するようになつている」ものであり、「びん(B)は、回転円板(4)上で移動を継続しながら、中心線を軸にかつ摩擦ローラ(7)と位置決め用ローラ(9)で挟着された安定状態のもとに回転される」から、(オ)も併せて参照すれば、「左右1対」の「位置決め用ローラ(9)」は、「びんの胴部の下部と首部に接触し」、「回転円板(4)上でびんの位置を規定し、それを保持」し「前記摩擦ローラ(7)と相対するときはそれとの間にびん(B)をしつかりと挟持する」ものであり、「左右1対」の「位置決め用ローラ(9)」それぞれの中心線と「びん(B)」の「中心線」とにより規定される平面は所定の角度で交差していることがわかる。
ウ 上記ア、イから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「その胴部に円筒部を備える透明ガラスびん等のびんの検査装置であり、
びん搬入コンベア(1)上を単列状態で送られてきたびん(B)はタイミング・スクリユー(2)により間隔を調整され、入り口スパイダ(3)を介してびんの迂回移送路を構成する移送用回転円板(4)の周縁部上に等間隔に移乗され、
移送用回転円板(4)上での移送過程で、ばね装置(19)の力で中心方向へ移動し、相対するびん(B)の胴周に圧接し、びん(B)に1回転すなわち360°以上の中心線を軸とする回転を与える摩擦ローラ(7)と、
びんの胴部の下部と首部に接触し、移送用回転円板(4)上でびんの位置を規定し、それを保持し、前記摩擦ローラ(7)と相対するときはそれとの間にびん(B)をしつかりと挟持する左右1対の位置決め用ローラ(9)とを備え、
左右1対の位置決め用ローラ(9)それぞれの中心線とびん(B)の中心線とにより規定される平面同士は所定の角度で交差している、
びんの検査装置。」
(3)対比
本願補正発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「その胴部に円筒部を備える透明ガラスびん等のびん」と、本願補正発明1の「ガラス製またはポリマー製の医薬品円筒容器(4)」とは、「ガラス製の円筒容器」の点で共通する。
引用発明の「検査装置」は、本願補正発明1の「検査するための装置」に相当し、以下同様に、「回転摩擦ローラ(7)」は「摩擦ホイール(2)」に相当する。
そして、引用発明の「位置決め用ローラ(9)」のそれぞれは、本願補正発明1の「第1の支持ホイール(5)」及び「第2の支持ホイール(6)」に相当するから、引用発明の「びんの胴部の下部と首部に接触し、回転円板(4)上でびんの位置を規定し、それを保持し、前記摩擦ローラ(7)と相対するときはそれとの間にびん(B)をしつかりと挟持する左右1対の位置決め用ローラ(9)」は、本願補正発明1の「第1の支持ホイール(5)および第2の支持ホイール(6)を備え」た「前記容器(4)をその側面で保持するための少なくとも1つの保持手段」に相当する。
そうすると、引用発明の「移送用回転円板(4)」及び「左右1対の位置決め用ローラ(9)」は全体として、本願補正発明1の「処理デバイス(1)」に相当する。
次に、引用発明の「びん(B)」が「摩擦ローラ(7)」により「1回転すなわち360°以上の中心線を軸とする回転を与え」られることは、本願補正発明1の「前記容器(4)は、前記第1および第2の支持ホイール(5,6)の回転および/または前記摩擦ホイール(2)の回転により、前記容器(4)の長手方向軸線(24)を中心として回転可能であ」ることに相当する。
また、引用発明の「左右1対の位置決め用ローラ(9)それぞれの中心線とびん(B)の中心線とにより規定される平面同士」のそれぞれの平面は、本願補正発明1の「前記第1の支持ホイール(5)の回転軸線(25)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)と」により規定される「第1の平面(26)」及び「前記第2の支持ホイール(6)の回転軸線(27)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)と」により規定される「第2の平面(28)」に相当するから、引用発明の「左右1対の位置決め用ローラ(9)それぞれの中心線とびん(B)の中心線とにより規定される平面同士は所定の角度で交差している」ことと本願補正発明1の「前記第1の支持ホイール(5)の回転軸線(25)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第1の平面(26)を規定しており、前記第2の支持ホイール(6)の回転軸線(27)と前記容器(4)の前記長手方向軸線(24)とは、第2の平面(28)を規定しており、前記第1の平面(26)と前記第2の平面(28)とは、60°~80°の角度(29)で交差して」いることとは、「前記第1の支持ホイールの回転軸線と前記容器前記長手方向軸線とは、第1の平面を規定しており、前記第2の支持ホイールの回転軸線と前記容器の前記長手方向軸線とは、第2の平面を規定しており、前記第1の平面と前記第2の平面とは、所定の角度で交差している」の点で共通する。
さらに、引用発明の「びん搬入コンベア(1)」は、本願補正発明1の「搬送デバイス(12)」に相当するから、引用発明の「びん(B)」が「びん搬入コンベア(1)上を単列状態で送られてきた」ことと本願補正発明1の「前記容器(4)は、前記処理デバイス(1)のクロック周波数と同期して搬送デバイス(12)によって供給可能である」こととは、「前記容器は、搬送デバイスによって供給可能である」ことの点で共通する。
そうすると、本願補正発明1と引用発明とは、以下の点で一致及び相違する。
[一致点]
ガラス製の円筒容器を検査するための装置であって、前記装置は、処理デバイスおよび摩擦ホイールを備え、
前記処理デバイスは、前記容器をその側面で保持するための少なくとも1つの保持手段を備え、前記保持手段は、前記容器を支持するための少なくとも第1の支持ホイールおよび第2の支持ホイールを備え、
前記容器は、前記第1および第2の支持ホイールの回転および/または前記摩擦ホイールの回転により、前記容器の長手方向軸線を中心として回転可能であり、
前記第1の支持ホイールの回転軸線と前記容器前記長手方向軸線とは、第1の平面を規定しており、前記第2の支持ホイールの回転軸線と前記容器の前記長手方向軸線とは、第2の平面を規定しており、前記第1の平面と前記第2の平面とは、所定の角度で交差しており、
前記容器は、搬送デバイスによって供給可能である、
装置。
[相違点1]
「円筒容器」について、本願補正発明1は「医薬品」用であるのに対し、引用発明における「びん(B)」の用途は不明である点。
[相違点2]
「所定の角度」について、本願補正発明1は「60°~80°」であるのに対し、引用発明は不明である点。
[相違点3]
「前記容器は、搬送デバイスによって供給可能である」ことについて、本願補正発明1は「前記容器(4)は、前記処理デバイス(1)のクロック周波数と同期して搬送デバイス(12)によって供給可能である」のに対し、引用発明は「びん搬入コンベア(1)上を単列状態で送られてきたびん(B)はタイミング・スクリユー(2)により間隔を調整され、入り口スパイダ(3)を介してびんの迂回移送路を構成する移送用回転円板(4)の周縁部上に等間隔に移乗される」点。
(4)判断
ア 相違点1について
本願補正発明1において、「円筒容器」を「医薬品」用と特定したことにより、「装置」に係る構成が特定されるわけではないから、相違点1は実質的な相違点ではない。
また、相違点1が実質的な相違点であったとしても、引用発明における「びん(B)」の用途を「医薬品」用に限定することは、引用発明を具体化する際に当業者が設計上適宜になし得た程度のことであり、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。
イ 相違点2について
引用発明における「左右1対の位置決め用ローラ(9)それぞれの中心線とびん(B)の中心線とにより規定される平面同士」が交差する角度は、「位置決め用ローラ(9)」の「回転円板(4)上でびんの位置を規定し、それを保持」し、「前記摩擦ローラ(7)と相対するときはそれとの間にびん(B)をしつかりと挟持する」(上記2(2)ア(イ))という機能を奏する範囲で適宜設定可能なものであり、かつ、引用発明における前記角度の範囲を60°~80°にしたことにより、ただちに前記「位置決め用ローラ(9)」の機能を奏しないとはいえない。
また、本件補正発明1の「60°~80°」という角度の範囲につき、本件明細書には「好ましい実施形態によれば、角度29は、45°~120°未満、好ましくは50°~90°、より好ましくは60°~80°、より好ましくは65°~75°の角度にわたっていて、最も好ましくは約70°の角度である。」(【0048】)と記載されているにとどまり、前記「60°~80°」という角度の範囲の上下限において、当業者に予測不可能な格別顕著な効果や異質な効果が生じるとはいえないから、当該範囲について臨界的意義はない。
以上によれば、引用発明において上記相違点2に係る本願発明1のように構成することは、引用発明を具体化する際に当業者が設計上適宜になし得たことであり、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。
ウ 相違点3について
引用発明において「びん(B)」が「移送用回転円板(4)の周縁部上に等間隔に移乗される」ことは、「びん搬入コンベア(1)」による「びん(B)」の搬送が「移送用回転円板(4)の周縁部上に等間隔に移乗される」に足るタイミングでなされている点で、「移送用回転円板(4)」のクロック周波数に同期しているといえるから、相違点3は実質的な相違点ではない。
また、相違点3が実質的な相違点であるとしても、上記相違点3に係る本願発明1のように構成することは、引用発明を具体化する際に当業者が設計上適宜になし得たことであり、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。
エ 小括
したがって、本件補正発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「しかしながら、添付図に示すように、引例1では、第1の平面と第2の平面との交差角A、Bはともに少なくとも90°超であり(交差角Aは、びんBの胴体部に接触するローラ9とびんBの軸線との間の角度であり、交差角Bは、びんBのネック部に接触するローラ9とびんBの軸線との間の角度です)、引例1において、交差角A、Bを60°~80°に変更する動機付けはありません。」と主張するが、引用発明における“左右1対の位置決め用ローラ(9)それぞれの中心線とびん(B)の中心線とにより規定される平面同士が交差する角度”については、上記(4)イに示したとおり当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎないであって、相違点2に係る本願発明1の構成とすることに特段の動機付けを要するものではないから、請求人の主張は採用できない。
なお、請求人は、令和6年12月10日提出の上申書において「引例1において、現在は少なくとも90°超である交差角B(添付図左)を80°程度の交差角C(添付図右)のように変更すると(交差角B、Cは、びんBのネック部に接触するローラ9とびんBの軸線との間の角度です)、ローラ9は、びんBをつかむことができないか、少なくとも、90°超である交差角Bの場合より、びんBをつかむことが困難になります。図示を省略しますが、これは、びんBの胴体部に接触するローラ9の場合も同様です。このように、引例1において、びんBをつかむというローラ9の機能を損なう方向への変更を行うとは考えられません。」と主張するが、引用発明の「位置決め用ローラ(9)」は、「回転円板(4)上でびんの位置を規定し、それを保持」し、「前記摩擦ローラ(7)と相対するときはそれとの間にびん(B)をしつかりと挟持する」(上記2(2)ア(イ))という機能を奏する限りのものであり、「びん(B)」をつかむという機能を予定していないから、請求人の主張はその前提を欠くものであり採用できない。
3.補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する
第3 本願の請求項1-15に係る発明について
1.本願発明
令和6年10月7日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-15に係る発明(以下「本願発明」といい、請求項1に係る発明は「本願発明1」という。)は、上記1(2)に記載したとおりのものである。
2.原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
(1)この出願の請求項1-15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開昭50-72783号公報
引用文献2.特表2001-525542号公報
引用文献3.実願昭61-11375号(実開昭62-124925号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
(2)この出願は、特許請求の範囲の記載が次の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
本願請求項2には、「前記処理デバイス(1)は、前記容器(4)を最初に第1の移送位置(9)から検査区域(10)に移送でき、次に前記検査区域(10)から第2の移送位置に移送できるように移動可能であり」と記載されているが、発明の詳細な説明には、容器を第1の移送位置から検査区域に移送し、次に前記検査区域から第2の移送位置に移送する具体的機構として、処理デバイスを回転させることで容器を移送するという機構が記載されているのみであり、それ以外の具体的な機構がどうようなものであるのかを把握することは、技術常識を考慮しても困難である。
したがって、請求項2に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の2(2)に記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明1は、「第1の平面(26)」と「第2の平面(28)」とが交差する「角度(29)」の範囲について、前記第2の2で検討した本件補正発明1の「60°~80°」を、「45°~120°未満」と拡張したものである。
そうすると、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに「第1の平面(26)」と「第2の平面(28)」とが交差する「角度(29)」の範囲を狭めたものに相当する本件補正発明1が、前記第2の2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明1も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5.小括
したがって、本願発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、本願の請求項2-15に係る発明について検討するまでもなく、また、前記第3の2(2)に記載した拒絶の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-016072