特許拒絶査定不服審判
2017-006068
粉体搬送方法
- 審判番号
- 2017-006068
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-258912
- 請求日
- 2017年04月27日
- 審決日
- 2017年12月11日
- 公報発行日
- 2018年03月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本特殊炉材株式会社
- 【請求人代理人】森 寿夫
- 審判長/審判官
- 審判長 冨岡 和人
- 審判官 八木 誠
- 審判官 佐々木 芳枝
- 分類
- P18 .121-Z (B65G) / P18 .113-Z (B65G) / P18 .575-Z (B65G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-258912「粉体搬送方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年6月9日出願公開、特開2014-105061〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月27日の出願であって、平成28年7月7日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月27日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成29年4月27日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。
第2 平成29年4月27日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年4月27日の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関して、本件補正により補正される前(すなわち、願書に最初に添付した特許請求の範囲)の下記の(1)に示す請求項1を下記の(2)に示す請求項1に補正することを含むものである。
(1)本件補正前
「【請求項1】
ホッパに貯留された粉体をエジェクタに吸引し、エジェクタに供給される搬送気体と混合して前記エジェクタから搬送ホースに放出して気体搬送するに際し、
気密状態としたホッパに供給される押圧気体の圧力を加減調整し、エジェクタに吸引される粉体の量を増減調整することを特徴とする粉体搬送方法。」
(2)本件補正後
「【請求項1】
ホッパに貯留された粉体をエジェクタに吸引し、エジェクタに供給される搬送気体と混合して前記エジェクタから搬送ホースに放出して気体搬送するに際し、
気密状態としたホッパに供給される押圧気体の圧力を、押圧気体の供給ホースに介在させた圧力調整バルブにより加減調整し、エジェクタに吸引される粉体の量を増減調整することを特徴とする粉体搬送方法。」
(なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
2 本件補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1における発明特定事項である「押圧気体の圧力を加減調整」することに、「押圧気体の供給ホースに介在させた圧力調整バルブにより」との限定を付与するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。
3 独立特許要件の判断
3-1 引用文献
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開昭59-26824号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面(特に、第1図参照)とともに、次の事項が記載されている(なお、下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
ア 「2.特許請求の範囲
不活性ガスにより粉体を輸送するに際して、不活性ガスの一部によって粉体貯槽内の圧力を調整して粉体の流出量を制御し、この制御された流出量の粉体を不活性ガスの他の一部により輸送することを特徴とする不活性ガスを輸送媒体とする粉体輸送法。」(特許請求の範囲)
イ 「第1図において、不活性ガスは通路1の流量調整弁2により不活性ガス流量は所期の量に設定され、分岐点Pでバイパス通路4とエゼクター6への流量調整弁5を有する通路3に分岐され、エゼクター6へ流れる不活性ガスはこの流量調整弁5でその流量を調整される。そして、エゼクター6では粉体貯槽12内の粉体を吸引する力を生じ、粉体貯槽12下部に設けられている粉体流出量調整孔14の孔断面積との兼ね合により、粉体貯槽12よりエゼクター6により吸引される粉体流出量は定量化され、不活性ガスに吸引混入された粉体は輸送通路7を通って所要個所に搬送される。
他方、分岐点Pでバイパス通路4へ流れる不活性ガスは流量調整弁8と通路9を通って粉体貯槽12の頂部に設けられているエゼクター10に流れていくが、この時、三方切換弁16によって通路15が閉鎖されている場合には、バイパス通路4から流れてくる不活性ガスはエゼクター10を通って粉体貯槽12に入り、そして、粉体貯槽12内は加圧されて粉体の流出量は、上記したエゼクター6により吸引される粉体流出量にプラスされて増大する。
また、三方切換弁16によって、通路15と通路18を連通させるか、或いは、通路15と通路17を連通させると、不活性ガスは分岐点P、バイパス通路4、流量調整弁8、通路9を通ってエゼクター10を通過する際にエゼクター10の作用により粉体貯槽12の圧力は、その吸引分だけ内圧が低下するので、粉体貯槽12下部から流出する粉体の流出量は、上記したエゼクター6により吸引される粉体流出量をマイナスして減少させる。
このように、粉体貯槽12内の圧力を、エゼクター6、及び、10を使用し、かつ、輸送媒体の不活性ガスの一部により、加圧、また減圧することによって、不活性ガスの他の一部により輸送される粉体の流出量を定量的に所期の要求に応じて決めることができるものである。」(第2ページ右上欄第10行ないし右下欄第16行)
ウ 「実施例
アルミニウム合金溶湯精錬において、フラックス-不活性ガス同時吹込みに際してのフラックスの流出量について下記の条件により実施した。
・・・中略・・・
このような条件において、バイパス通路への不活性ガスの流量を変化させた場合のフラックス流出量の変化を(輸送通路7における場合)、三方切換弁16により通路15を閉鎖した場合(即ち、粉体貯槽12内は加圧状態。)と、三方切換弁16により通路15と通路17を連通した場合(即ち、粉体貯槽12内は減圧状態。)とを、第2図、及び、第3図に示す。
即ち、第2図においては、粉体貯槽12内が加圧の状態ではバイパス通路4の不活性ガス流量が毎分1Lづつ多くなるにつれて、フラックスの流出量も定量的に直線的に増大していくことがわかる。」(第3ページ左上欄第15行ないし左下欄第1行)
(2)上記(1)及び図面の記載より分かること
ア 上記(1)イ及び(1)ウの記載をあわせてみると、フラックスは、粉体貯槽12内の粉体の一例であることが分かる。
イ 上記(1)イの記載をみると、三方切換弁16により通路15を閉鎖して、粉体貯槽12内に不活性ガスを入れたときに、粉体貯槽12内の圧力が上がることから、粉体貯槽12は気密状態であることが分かる。
ウ 上記(1)イ、(1)ウ、上記ア及び第2図の記載をあわせてみると、三方切換弁16により通路15を閉鎖した場合、粉体貯槽12に入る不活性ガスの流量を流量調整弁8によって増減すると、エゼクター6により吸引されるフラックスの流出量が増減することが分かる。
エ 上記(1)イ及び第2図の記載をあわせてみると、流量調整弁8は、バイパス通路4と通路9の間に設けられていることが分かる。
(3)引用文献1に記載の発明
したがって、上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用文献1に記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献1に記載の発明>
「粉体貯槽12内の粉体をエゼクター6により吸引し、エゼクター6へ流れる不活性ガスに吸引混入してエゼクター6から輸送通路7を通って搬送するに際し、
気密状態である粉体貯槽12内に入れられる不活性ガスの流量を、バイパス通路4と通路9の間に設けられた流量調整弁8により増減し、エゼクター6により吸引される粉体の流出量を増減する粉体搬送法。」
(4)引用文献2の記載事項
本願の出願前に頒布された特開2012-171739号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面(特に、図1参照)とともに、次の事項が記載されている。
ア 「【0034】
図1に示すように、粉体供給装置1は、所定量の微粉炭等の粉体燃料を供給するフィードタンク11と、フィードタンク11に供給する粉体燃料が貯蔵されている均圧タンク12と、フィードタンク11に接続され、フィードタンク11内に供給する内圧用ガスを搬送する内圧用ガス供給配管32と、内圧用ガス供給配管32に設けられフィードタンク11内の圧力を調節する内圧調節弁22と、フィードタンク11に接続され、フィードタンク11から供給される粉体燃料を搬送する粉体輸送配管31と、粉体輸送配管31に接続され、フィードタンク11から供給される粉体燃料の量を調節する粉体用バルブ21と、粉体輸送配管31に接続され、粉体輸送配管31にキャリアガスを導入するキャリアガス本管33と、粉体輸送配管31で搬送される粉体燃料の流量を検出する粉体流量計40と、を主な構成として備える。」(段落【0034】)
イ 「【0069】
<STEP3>
次に、粉体流量が所定の範囲に入ったt2において、粉体用バルブ21の開度が一定とされる。そして、フィードタンク11内の圧力とキャリアガス本管33内の圧力との差圧が調節される。具体的には、制御部60は、粉体流量計40からの情報に基づいて、粉体流量の変動が打ち消されるようにして、差圧が調節されるように、内圧調節弁22の開度を調節する制御信号を生成し、内圧調節弁指示計42に制御信号を送る。従って、内圧調節弁22は、粉体流量計からの情報に基づいて、内圧調節弁指示計42により、開度が調節されて、これによりフィードタンク11内の圧力が調節されて、その結果、フィードタンク11内の圧力とキャリアガス本管33内の圧力との差圧が調節される。具体的には、例えば、粉体流量が設定値SVよりも小さい場合、内圧調節弁22は、フィードタンク11内の圧力とキャリアガス本管33内の圧力との差圧が大きくなるように、フィードタンク11内の圧力を上げるように調節され、粉体流量が設定値SVよりも大きい場合、内圧調節弁22は、フィードタンク11内の圧力とキャリアガス本管33内の圧力との差圧が小さくなるように、フィードタンク11内の圧力を下げるように調節される。こうして、この差圧により粉体輸送配管31内を搬送される粉体の流量が設定値SVに近づくように調節される。図4に示すようにこの差圧を調節することによる粉体流量の調節は、上述のように微調節が可能である。従って、t2以降、差圧の調節により、粉体流量の設定値からの変動幅が小さくなっている。このときの粉体流量の変動は、粉体燃料の種類や平均粒径により変動するため、特に限定されるものではないが、例えば、±25%の範囲に入っていることが好ましい。例えば、微粉炭であれば、粉体流量の変動は、±20%の範囲に入っていることが好ましく、±10%の範囲に入っていることがより好ましい。」(段落【0069】)
(5)上記(4)及び図面の記載から分かること
ア 上記(4)ア、(4)イ及び図1の記載をあわせてみると、内圧調整弁22は、開度を調節することで、フィードタンク11内の圧力を調節しているといえる。
イ 上記(4)イ及び上記アの記載をあわせてみると、フィードタンク11内の圧力を、内圧調整弁22により上がるよう調節したり下がるよう調節したりして、粉体輸送配管31内を搬送される粉体の流量が設定値SVに近づくように調節することが分かる。
(6)引用文献2技術
したがって、上記(4)及び(5)を総合すると、引用文献2には、「粉体搬送方法」に関して、次の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献2技術>
「フィードタンク11内の圧力を、内圧用ガス供給配管32に設けられた内圧調節弁22により上がるよう調節したり下がるよう調節したりして、粉体輸送配管31内を搬送される粉体の流量が設定値SVに近づくように調節すること。」
(7)引用文献3の記載事項
本願の出願前に頒布された特公昭60-42130号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面(特に、第1図参照)とともに、次の事項が記載されている。
ア 「本実施例における吹付ガン構造のその他の構成要素について述べれば、13は材料投入口部2を開閉する開閉蓋、14は開閉蓋13を回動自在に材料タンク1の頂板1aに取付ける蓋支持具、15は開閉蓋操作用ハンドル、16は圧搾空気供給メインパイプ、17は同メインパイプから材料タンク1に圧搾空気を供給するタンク加圧用パイプ、18は同メインパイプからエア噴出ノズル9に圧搾空気を供給する材料搬送用エアーパイプ、19,20は圧搾空気の圧力調整を行うためそれぞれのパイプ17,18に取付けられている圧力調整バルブ、21,22はそれぞれのパイプ17,18に同様に取付けられた圧力ゲージ、23は材料タンク1内の圧力が設定圧以上になる場合、エアブリードを行うタンク加圧安全弁、24は材料タンク1の切出口30内に配設されている開閉ダンパー、25はダンパー開閉用シリンダー、26は吹付ノズル27を先端に有し基端を材料搬送用ホース7の先端に連結してなる吹付パイプ、28は同吹付パイプ内に水を注入する注入パイプである。」(第2ページ左欄第2行ないし第22行)
イ 「なお、材料投入後は、上部開閉蓋13及び粉塵移送管6の開閉バルブ12を閉じ、底部開閉ダンパー24及びタンク加圧調整バルブ19を開にして、材料タンク1内を加圧しながら圧搾空気をエア噴出ノズル9から噴出し、粉末材料を圧送し、吹付パイプ26所要部にある注水パイプ28より粉末材料と混練して吹付作業を行うことになる。」(第2ページ左欄第42行ないし右欄第4行)
(8)引用文献3技術
したがって、上記(7)を総合すると、引用文献3には、「粉末材料の圧送方法」に関して、次の技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献3技術>
「材料タンク1に供給される圧搾空気の圧力を、タンク加圧パイプ17に取付けられている圧力調整バルブ19により調整すること。」
3-2 対比・判断
本件補正発明と引用文献1に記載の発明とを対比すると、その機能及び構造又は技術的意義からみて、引用文献1に記載の発明における「粉体貯槽12」は、本件補正発明における「ホッパ」に相当し、以下同様に、「粉体貯槽12内の粉体」は「ホッパに貯留された粉体」に、「エゼクター6」は「エジェクタ」に、「エゼクター6により吸引」することは「エジェクタに吸引」することに、「エゼクター6へ流れる不活性ガス」は「エジェクタに供給される搬送気体」に、「エゼクター6へ流れる不活性ガスに吸引混入」することは「エジェクタに供給される搬送気体と混合」することに、「輸送通路7」は「搬送ホース」に、「エゼクター6から輸送通路7を通」ることは「エジェクタから搬送ホースに放出」することに、「搬送」すること「気体搬送」することに、「気密状態である」ことは「気密状態とした」ことに、「粉体貯槽12内に入れられる不活性ガス」は「ホッパに供給される押圧気体」に、「バイパス通路4」及び「通路9」は「押圧気体の供給ホース」に、「バイパス通路4と通路9の間に設けられた」ことは「押圧気体の供給ホースに介在させた」ことに、「増減」することは「加減調整」することに、「粉体の流出量」は「粉体の量」に、「粉体搬送法」は「粉体搬送方法」に、それぞれ相当する。
また、引用文献1に記載の発明における「粉体貯槽12内に入れられる不活性ガスの流量」は、「ホッパに供給される押圧気体の物理量」という限りにおいて、本件補正発明における「ホッパに供給される押圧気体の圧力」と共通し、引用文献1に記載の発明における「流量調整弁8」は、「バルブ」という限りにおいて、本件補正発明における「圧力調整バルブ」という共通する。
してみると、本件補正発明と引用文献1に記載の発明とは、
「ホッパに貯留された粉体をエジェクタに吸引し、エジェクタに供給される搬送気体と混合して前記エジェクタから搬送ホースに放出して気体搬送するに際し、
気密状態としたホッパに供給される押圧気体の物理量を、押圧気体の供給ホースに介在させたバルブにより加減調整し、エジェクタに吸引される粉体の量を増減調整する粉体搬送方法。」の点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
「押圧気体の物理量」を加減調整することに関して、本件補正発明は、「押圧気体の圧力」を加減調整するのに対し、引用文献1に記載の発明は、「不活性ガスの流量」を増減する点(以下、「相違点1」という。)。
(相違点2)
「バルブにより」加減調整することに関して、本件補正発明は、「圧力調整バルブ」により加減調整するのに対し、引用文献1に記載の発明は、「流量調整弁8」により増減する点(以下、「相違点2」という。)。
まず、上記相違点1について検討する。
引用文献1に記載の発明は、三方切換弁16により通路15を閉鎖した場合、粉体貯槽12に入る不活性ガスの流量を増減することで、エゼクター6により吸引されるフラックスの流出量を増減するものであるところ、この場合、粉体貯槽12に入る不活性ガスの流量を増やすと、粉体貯槽12内は加圧されて粉体貯槽12内の圧力は高くなり、粉体貯槽12に入る不活性ガスの流量を減らすと、粉体貯槽12内の圧力は低くなるものである。そうすると、引用文献1に記載の発明も気密状態である粉体貯槽12内に入れられる不活性ガスの圧力を増減するものといえ、相違点1は、実質的には相違点ではない。
次に、上記相違点2について検討する。
本件補正発明及び引用文献2技術は、粉体の搬送という同一の技術分野に属するものであるから、本件補正発明と引用文献2技術とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用文献2技術における「フィードタンク11」は、本件補正発明における「ホッパ」に相当し、以下同様に、「フィードタンク11内に供給される」ことは「ホッパに供給される」ことに、「内圧用ガス」は「押圧気体」に、「内圧用ガス供給配管32」は「押圧気体の供給ホース」に、「設けられた」ことは「介在させた」ことに、「内圧調整弁22」は「圧力調整バルブ」に、「上げるよう調節したり下がるよう調節したり」することは「加減調整」することに、それぞれ相当する。
してみると、引用文献2技術は本件補正発明の用語を用いると、以下の事項を有するものといえる。
「ホッパ内の圧力を、押圧気体の供給ホースに介在させた圧力調整バルブにより加減調整し、粉体輸送配管31内を搬送される粉体の流量が設定値SVに近づくように調節すること。」
また、本件補正発明及び引用文献3技術は、粉体の搬送という同一の技術分野に属するものであるから、本件補正発明と引用文献3技術とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用文献3技術における「材料タンク1」は、本件補正発明における「ホッパ」に相当し、以下同様に、「圧搾空気」は「押圧空気」に、「タンク加圧パイプ17」は「押圧気体の供給ホース」に、「取付けられている」ことは「介在させた」ことに、「圧力調整バルブ19」は「圧力調整バルブ」に、「調整する」ことは「加減調整する」ことに、それぞれ相当する。
してみると、引用文献3技術は本件補正発明の用語を用いると、以下の事項を有するものといえる。
「ホッパに供給される押圧気体の圧力を、押圧気体の供給ホースに介在させた圧力調整バルブにより加減調整すること。」
引用文献2技術及び引用文献3技術から、粉体の搬送において、ホッパ内の圧力やホッパに供給される押圧気体の圧力を、押圧気体の供給ホースに介在させた圧力調整バルブにより加減調整することは、本願の出願前に周知技術(以下、「周知技術」という。)であると認められる。
引用文献1に記載の発明は、相違点1について検討したように、粉体貯槽12内に入れられる不活性ガスの圧力を増減するものであり、引用文献1に記載の発明において、粉体貯槽12内に入れられる不活性ガスの圧力を増減するために、上記周知技術を適用して、本件補正発明の相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明は、全体としてみても、引用文献1に記載の発明及び上記周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本件補正発明は、引用文献1に記載の発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年4月27日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし8に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に示した請求項1に記載されたとおりのものである。
2 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献1(特開昭59-26824号公報)には、上記第2[理由]3-1(1)ないし(3)のとおりのものが記載されている。
3 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「押圧気体の供給ホースに介在させた圧力調整バルブにより」との限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明と引用文献1に記載の発明とを対比すると、上記第2[理由]3-2での検討からみて、相違点1において相違するが、上記第2[理由]3-2に記載したとおり、相違点1は実質的な相違点ではないから、両者には相違するところがない。
4 まとめ
したがって、本願発明は、引用文献1に記載の発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
第4 むすび
上記第3で述べたとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないから、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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