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特許拒絶査定不服審判

2016-001784

搬送ベルト又は駆動ベルト

審判番号
2016-001784
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-541535
請求日
2016年02月05日
審決日
2016年12月08日
公報発行日
2017年06月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】フォルボ・ジークリング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
  • 【請求人代理人】江崎 光史
  • 【請求人代理人】鍛冶澤 實
  • 【請求人代理人】篠原 淳司
  • 【請求人代理人】清田 栄章
審判長/審判官
  • 審判長 伊藤 元人
  • 審判官 三島木 英宏
  • 審判官 槙原 進
分類
P18 .121-Z (B65G) / P18 .575-Z (B65G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第184条の5第1項、特許法第17条の2第5項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-541535「搬送ベルト又は駆動ベルト」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月23日国際公開、WO2013/071900、平成26年12月11日国内公表、特表2014-533229〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件出願は、2011年11月18日を国際出願日とする出願であって、平成26年5月14日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成27年2月9日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成27年5月8日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年10月5日付けで拒絶査定がされ、平成28年2月5日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、さらに平成28年5月31日に上申書が提出されたものである。 第2 平成28年2月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」ともいう。)についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成28年2月5日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲に関しては、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年5月8日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す請求項1ないし15の記載を、下記(2)に示す請求項1ないし14の記載へと補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし15 「【請求項1】 少なくとも1つの引張材(2a,2b)を有する、搬送ベルト又は駆動ベルトとして構成されたベルト(1)であって、少なくとも1つの引張材(2a)が外側においてコーティング(3)を備えている前記ベルトにおいて、 前記引張材(2a,2b)の材料が、再生される原料から成り、前記コーティング(3)の材料が、本質的に再生される原料から成ることを特徴とするベルト。 【請求項2】 前記引張材(2a,2b)がセルロースファイバ及び/又はセルロースリグニン及び/又はポリ乳酸から成ることを特徴とする請求項1記載のベルト(1)。 【請求項3】 当該ベルト(1)が、それぞれ中間層(5)によって結合された複数の引張材(2a,2b)を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のベルト(1)。 【請求項4】 前記コーティング(3)が、本質的な材料部分として、生分解可能なポリ塩化ビニル、生分解可能なポリエステル、でんぷん系原料及び/又は生分解可能なポリウレタンを備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項5】 前記コーティング(3)が、本質的な材料部分として、ポリ乳酸及び/又は再生される原料を基礎とする、及び/又は生分解可能なポリエチレンを備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項6】 前記コーティング(3)が、接着層(4)を用いて前記引張材(2a)に結合されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項7】 前記引張材(2b)が、その前記コーティング(3)とは反対側の表面において摩擦低減層(6)を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項8】 前記摩擦低減層(6)が、本質的な構成部分として自然の、かつ、生分解可能なワックスを備えていることを特徴とする請求項7記載のベルト(1)。 【請求項9】 複数の引張材(2a,2b)が中間層(5)によって互いに結合されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項10】 前記引張材(2a,2b)の材料及び/又は前記コーティング(3)の材料が、でんぷん系の原料及び/又はセルロース及び/又は糖類系の原料及び/又はポリアミド又はこれらの混合物を含有していることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のベルト (1)。 【請求項11】 少なくとも1つの引張材(2a,2b)が、多繊条、ステープルファイバ及び/又は短繊維から成る伸ばされた引張材経繊維(7)を有する少なくとも1つの繊維平面を備えていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項12】 少なくとも1つの繊維平面が当該ベルト(1)の主延長の方向へ延在していることを特徴とする請求項11記載のベルト(1)。 【請求項13】 少なくとも1つの繊維平面が当該ベルト(1)の主延長に対して横方向へ延在していることを特徴とする請求項11記載のベルト(1)。 【請求項14】 少なくとも1つの繊維平面の前記引張材経繊維(7)が、結合チェーン繊維(9)によってループ状に結合されていることを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項15】 前記引張材経繊維(7)及び/又は前記結合チェーン繊維(9)が、再生される、及び/又は生分解可能な原料から成ることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載のベルト(1)。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし14 「【請求項1】 少なくとも1つの引張材(2a,2b)を有する、搬送ベルト又は駆動ベルトとして構成されたベルト(1)であって、少なくとも1つの引張材(2a)が外側においてコーティング(3)を備えている前記ベルトにおいて、 前記引張材(2a,2b)の材料が、再生される原料から成り、前記コーティング(3)の材料が、本質的に再生される原料から成ること、及び前記引張材(2b)が、その前記コーティング(3)とは反対側の表面において摩擦低減層(6)を備えていることを特徴とするベルト。 【請求項2】 前記引張材(2a,2b)がセルロースファイバ及び/又はセルロースリグニン及び/又はポリ乳酸から成ることを特徴とする請求項1記載のベルト(1)。 【請求項3】 当該ベルト(1)が、それぞれ中間層(5)によって結合された複数の引張材(2a,2b)を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のベルト(1)。 【請求項4】 前記コーティング(3)が、本質的な材料部分として、生分解可能なポリ塩化ビニル、生分解可能なポリエステル、でんぷん系原料及び/又は生分解可能なポリウレタンを備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項5】 前記コーティング(3)が、本質的な材料部分として、ポリ乳酸及び/又は再生される原料を基礎とする、及び/又は生分解可能なポリエチレンを備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項6】 前記コーティング(3)が、接着層(4)を用いて前記引張材(2a)に結合されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項7】 前記摩擦低減層(6)が、本質的な構成部分として自然の、かつ、生分解可能なワックスを備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項8】 複数の引張材(2a,2b)が中間層(5)によって互いに結合されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項9】 前記引張材(2a,2b)の材料及び/又は前記コーティング(3)の材料が、でんぷん系の原料及び/又はセルロース及び/又は糖類系の原料及び/又はポリアミド又はこれらの混合物を含有していることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項10】 少なくとも1つの引張材(2a,2b)が、多繊条、ステープルファイバ及び/又は短繊維から成る伸ばされた引張材経繊維(7)を有する少なくとも1つの繊維平面を備えていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項11】 少なくとも1つの繊維平面が当該ベルト(1)の主延長の方向へ延在していることを特徴とする請求項10記載のベルト(1)。 【請求項12】 少なくとも1つの繊維平面が当該ベルト(1)の主延長に対して横方向へ延在していることを特徴とする請求項10記載のベルト(1)。 【請求項13】 少なくとも1つの繊維平面の前記引張材経繊維(7)が、結合チェーン繊維(9)によってループ状に結合されていることを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載のベルト(1)。 【請求項14】 前記引張材経繊維(7)及び/又は前記結合チェーン繊維(9)が、再生される、及び/又は生分解可能な原料から成ることを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載のベルト(1)。」(なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。) 2 本件補正の目的 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「引張材(2b)」について、「コーティングとは反対の表面において摩擦低減層を備えている」ことを限定するものであるから、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「引張材(2b)」の構成を限定するものといえる。 よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 なお、請求人は審判請求書において、本件補正の目的について、特許請求の範囲の限定的減縮である旨を述べている。 そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3 独立特許要件の判断 (1)引用文献 (a)引用文献1 (a-1)引用文献1の記載 本件出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-37679号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次のような記載がある。 ア「【0001】 本発明はコンベアベルト等の産業用ベルトに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来の合成繊維はその大部分が石油などの化石燃料資源を原料としているのであるが、該化石燃料資源は近年、埋蔵残量が懸念されるだけでなく、廃棄時の焼却処分で発生する二酸化炭素が地球温暖化を誘引するとして大きな社会問題となっており、新たな資源の探索・開発が急務となっている。 【0003】 このような状況下、バイオマス由来物質は、廃棄後も余分な二酸化炭素を産出しない資源として注目を集めている。バイオマス由来物質から製造された資材等は、燃焼させても、その際に発生する二酸化炭素はもともと大気中に存在したものであり、人類の産業活動のタイムスケールにおいて大気中の二酸化炭素のマクロバランスとしては増加しないという考え方に基づく。このように二酸化炭素の増減に影響を与えない性質はカーボンニュートラルと称され、重要視される傾向にある。」(段落【0001】ないし【0003】) イ「【0011】 以下、本発明の実施の形態について説明する。 本発明の産業用ベルトは、バイオマス由来ポリマーを含んだ繊維で構成された繊維構造体を補強体として、この繊維構造体の例えば上部および下部を被覆する樹脂層を形成してなる。繊維構造体は単層でも2層以上でもよく、2層以上とする場合には通常、その層間に樹脂層などを存在させる。 【0012】 バイオマス由来ポリマーはベルト全体の25質量%以上含有させる。25質量%未満とすれば、残部に用いる汎用ポリマーの含有割合が多くなり、産業用ベルトとしての力学物性などに関しては好ましい傾向にあるが、本発明が目的とする環境負荷の軽減、カーボンニュートラルにはそぐわず、上述のバイオプラスチックの認定にも当てはまらない。 【0013】 使用するバイオマス由来のポリマーは、溶融紡糸が可能であればよく、特に限定されるものではない。たとえば、PLA(ポリ乳酸)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)やPBS(ポリブチレンサクシネート)など、バイオマス由来のモノマーを化学的に重合してなるポリマー類や、ポリヒドロキシ酪酸等のPHA(ポリヒドロキシアルカノエート)などの微生物生産系ポリマー類が使用可能である。 【0014】 これらの内、ポリ乳酸は耐熱性の点で安定であり、量産化されてきてもいるため好ましい。具体例としては、ポリD-乳酸、ポリL-乳酸、ポリD-乳酸とポリL-乳酸との共重合体であるポリDL-乳酸、ポリD-乳酸とポリL-乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD-乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL-乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD-乳酸またはポリL-乳酸と脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらのブレンド体などが挙げられる。」(段落【0011】ないし【0014】) ウ「【0031】 繊維構造体を被覆する被覆層は、産業用ベルトに汎用されているゴムまたは樹脂を使用することができ、産業用ベルトの使用目的、態様に応じて、天然ゴム、合成ゴムなどのゴム系化合物、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの合成樹脂を用いることができる。 【0032】 好ましくは、被覆層にも、ポリブチレンサクシネートやポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂その他の生分解性を有する樹脂や、同様に生分解性を有する天然ゴムを用いることができる。このように繊維構造体だけでなく被覆層も生分解性材料で構成すると、廃棄処分を極めて容易にかつ環境への負荷を抑えて行うことができる。例えば土中に埋没しても、全てが生分解され無害に消失する。繊維構造体との複合物としてでなく、被覆層のみでの廃棄処理やリサイクル処理なども適用できる。」(段落【0031】及び【0032】) エ「【0044】 本発明の産業用ベルトは、食品搬送用コンベアベルト等のコンベアベルトや伝動ベルトなどに好適に使用できる。」(段落【0044】) (a-2)引用文献1記載の事項 a 上記(a-1)ア及びエの記載によれば、引用文献1には、コンベアベルトが記載されていることが分かる。 b 上記(a-1)イの記載から、遷移構造体は1層又は2層以上の層を形成することが分かる。 c 上記(a-1)ウの記載から、ポリ乳酸は生分解可能であり、再生可能であることが分かる。 d 上記(a-1)イ及びウの記載から、引用文献1には、産業用ベルトが、ポリ乳酸から成る繊維構造体を有する補強体及び当該補強体を被覆するポリ乳酸から成る被覆層を備えることが分かる。 (a-3)引用発明 上記(a-1)及び(a-2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「1層又は2層以上の繊維構造体からなる補強体を有するコンベアベルトであって、前記補強体が表面に被覆層を備えている前記コンベアベルトにおいて、 前記補強体の材料がポリ乳酸から成り、前記被覆層の材料が、ポリ乳酸から成る、コンベアベルト。」 (2)対比 本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「1層又は2層以上の繊維構造体からなる補強体」又は「補強体」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件補正発明における「少なくとも1つの引張材」に相当し、以下同様に、「コンベアベルト」は「搬送ベルト又は駆動ベルトとして構成されたベルト」に、「表面に」は「外側において」に、「被覆材」は「コーティング」に、それぞれ相当する。 また、引用発明における「ポリ乳酸」は、上記(1)(a-2)cで述べたとおり、再生可能な原料であるから、本件補正発明における「再生される原料」及び「本質的に再生される原料」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明とは、 「少なくとも1つの引張材を有する搬送ベルト又は駆動ベルトとして構成されたベルトであって、引張材が外側にコーティングを備えている前記ベルトにおいて、前記引張材の原料が、再生される原料から成り、前記コーティングの材料が、本質的に再生される材料からなる、ベルト。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 本件補正発明においては、「引張材が、そのコーティングとは反対側の表面において摩擦低減層を備えている」のに対し、引用発明においては、摩擦低減層を備えているか否か不明である点(以下、「相違点」という。)。 (3)判断 上記相違点について検討する。 コンベアベルトの技術分野において、コンベアベルトの裏面に滑剤又は低摩擦剤を配合した低摩擦層を形成し、駆動電力代又は稼働に要する所要動力等のランニングコストを低減させるとともに寿命を向上させる技術は、本件出願前に周知技術(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-218413号公報[特に、第1ページ右下欄12ないし14行、第2ページ右下欄第3ないし10行及び第3ページ左上欄第14ないし18行並びに図1及び3]のほか、本件出願前に頒布された特開2003-34413号公報[特に、【特許請求の範囲】の【請求項1】、段落【0009】及び段落【0046】並びに図1]等参照。以下、「周知技術」という。)である。 また、機械装置においては、一般的にランニングコストの低減及び部品の長寿命化は普遍的かつ継続的な課題であると解されるところ、コンベアベルトの技術分野において、ランニングコストの低減及びコンベアベルトを長寿命化することは、本件出願前に周知の課題である(例えば、特開昭63-218413号公報[特に、第1ページ右下欄12ないし14行並びに第3ページ左上欄第14ないし18行]及び特開2003-34413号公報[特に、段落【0009】]等参照。)。 そうすると、引用発明においても、ランニングコストの低減及びコンベアベルトの長寿命化という課題が内在するものといえる。 してみると、引用発明において、例えばランニングコストの低減又はコンベアベルト(搬送ベルト)の長寿命化を目的として、周知技術を付加し、前記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明及び周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 (4)まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 むすび 以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本件発明について 1 本件発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成27年5月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本件発明は、上記第2の[理由]の1(1)に記載されたとおりである。 2 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1については、上記第2の[理由]の3(1)(a)のとおりである。 3 対比・検討 上記第2の[理由]の2で検討したように、本件補正発明は本件発明の発明特定事項を限定したものである。そして、本件発明の発明特定事項を限定した本件補正発明が上記第2の[理由]の3のとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明は、実質的に同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 まとめ 以上のとおり、本件発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 予備的検討 前述のとおり、本件補正は特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして判断したところであるが、本件補正は、特許請求の範囲に関して、本件補正前の請求項1を削除するとともに本件補正前の請求項1のみを引用する本件補正前の請求項7を本件補正後の請求項1とすることを含むもの、すなわち、特許請求の範囲に関して、特許法第17条の2第5項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当すると解することもできる。 そして、このように解した場合、本件補正は適法にされたものであるといえる。 そこで、本件補正が、適法にされたものであるとして、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明1」という。)について、予備的に検討を行う。 本件補正発明1は、平成28年2月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本件補正発明1は、上記第2の[理由]の1(2)に記載されたとおりであるから、本件補正発明である。 そして、本件補正発明1である本件補正発明が、上記第2の[理由]の3のとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正発明1は、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 以上のとおり、本件補正発明1は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 なお、請求人は審判請求書及び上申書において、原査定の拒絶の理由で引用された特開昭63-218413号公報の第1ページ右下欄第15ないし20行の記載(以下、「第1の記載」という。)は、蝋等により形成された潤滑層の欠点を開示するものであるから、特開昭63-218413号公報を他の引用文献に記載された発明に適用して本願発明のようにする動機付けはない旨主張している。 しかし、原査定の拒絶の理由の備考において、第1の記載を特に参照としたのは、原査定時の、すなわち本件補正前の請求項8の「自然の、かつ、生分解可能なワックス」という技術的事項に対応する記載箇所を特に示すためと考えるのが自然であり、第1の記載が、請求項7の「摩擦低減層」という技術的事項について、特開昭63-218413号公報には他に参照する記載箇所がないことを示したものとまではいえない。 よって、請求人の主張は受け入れられない。 第5 むすび 上記第3のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、又は、本件補正発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本件出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-001784

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