特許拒絶査定不服審判
2021-000578
自動化されたラック搬出装置
- 審判番号
- 2021-000578
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-511342
- 請求日
- 2021年01月15日
- 審決日
- 2022年01月05日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ハチェリー・プランニング・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】松尾 淳一
- 【請求人代理人】竹内 茂雄
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 田村 嘉章
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P18 .121-WYA(B65G) / P18 .575-WYA(B65G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第126条第7項、特許法第53条第1項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-511342「自動化されたラック搬出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月17日国際公開、WO2016/040235、平成29年 9月14日国内公表、特表2017-526593、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年) 9月 8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年 9月11日 米国、2014年10月 1日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和 1年 6月 7日付けで拒絶理由が通知され、令和 1年12月 2日に意見書及び手続補正書が提出され、令和 2年 4月21日付けで最後の拒絶理由が通知され、令和 2年 7月27日に意見書及び手続補正書が提出され、令和 2年 9月16日付けで前記令和 2年 7月27日提出の手続補正書でした手続補正についての補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、令和 3年 1月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定について
請求人は、令和 3年 1月15日提出の審判請求書の請求の理由の「【本願発明が特許されるべき理由】」の「(3)引用例の考察」において、「よって、令和2年7月27日付けの手続補正書で補正後の独立請求項1及びそれらに従属する請求項記載の発明は、特許法第29条第2項(進歩性の欠如)に該当せず、よって特許出願の際独立して特許を受けることができるものです。これにより令和2年7月27日付けの手続補正書でした補正は却下されるべきでないから補正は有効であり、同補正後の請求項記載の発明は特許されるべきと考えます。」と主張し、「【むすび】」において、「以上のことから、令和2年7月27日付けの手続補正書でした補正後の請求項に記載の発明は、進歩性を有するから、原査定を取消す、この出願の発明はこれを特許すべきものとする、との審決を求めるものです。」と主張しており、「補正の却下の決定」に対して不服が申し立てられているものと認められるため、令和 2年 9月16日付けの補正の却下の決定の当否について検討する。
[令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定についての結論]
令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定を取り消す。
[理由]
1 補正の内容
令和 2年 7月27日提出の手続補正書でした手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前(令和 1年12月 2日提出の手続補正書により手続補正されたもの)の特許請求の範囲を、以下のとおりに補正するものである。
(1) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
【請求項1】
自動化されたラック搬出装置であって、
フレームと、
前記フレームと動作可能に係合され、かつ複数のラック棚から搬出されることになる複数の容器が位置する前記複数のラック棚と整合するように垂直方向に往復運動するように構成される、搬送アセンブリと、を備え、前記搬送アセンブリが、
並んで位置決めされた一対のスプーンであって、各スプーンは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、各スプーンは第1の端部と第2の端部を有する、一対のスプーンと、
一対の空気圧式ロッドレスシリンダであって、各空気圧式ロッドレスシリンダは各スプーンを延伸及び退縮させるために作動するようになっており、各空気圧式ロッドレスシリンダは、前記各スプーンの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する、前記一対の空気圧式ロッドレスシリンダと、
一対の退縮可能な支持機構であって、各退縮可能な支持機構が、前記枢動点から別の端部で前記各スプーンの前記第2の端部を支持するように構成され、前記各退縮可能な支持機構が、前記枢動点を参照して、前記各スプーンの前縁部を降下させ、それによって、前記スプーンを前記容器の1つの下に挿入するために下方に傾斜させるように動作可能である、前記一対の退縮可能な支持機構と、
前記一対のスプーンの間に配置された排出コンベヤであって、前記排出コンベヤは、前記搬送アセンブリから各スプーン上の前記複数の容器を同時に取り出すようになっている、前記排出コンベヤと
を備える、装置。
【請求項2】
前記一対の退縮可能な支持機構が、回転可能なカムである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スプーンが、平坦な細長いシート様デバイスである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記排出コンベヤが、前記容器に係合して、前記容器を前記スプーンから後方方向において押すように構成される階段を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記排出コンベヤが、前記階段が接続されるエンドレスベルトを備える、請求項4に記載の装置。
(2) 本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲は次のとおり補正された(下線部は、請求人が付したもので、補正箇所を示すものである。)
【請求項1】
自動化されたラック搬出装置であって、
フレームと、
前記フレームと動作可能に係合され、かつ複数のラック棚から搬出されることになる複数の容器が位置する前記複数のラック棚と整合するように垂直方向に往復運動するように構成される、搬送アセンブリと、を備え、前記搬送アセンブリが、
並んで位置決めされた一対のスプーンであって、各スプーンは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、各スプーンは第1の端部と第2の端部を有する、一対のスプーンと、
一対の空気圧式ロッドレスシリンダであって、各空気圧式ロッドレスシリンダは各スプーンを延伸及び退縮させるために作動するようになっており、各空気圧式ロッドレスシリンダは、前記各スプーンの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する、前記一対の空気圧式ロッドレスシリンダと、
一対の退縮可能な支持機構であって、各退縮可能な支持機構が、前記枢動点から別の端部で前記各スプーンの前記第2の端部を支持するように構成され、前記各退縮可能な支持機構が、前記枢動点を参照して、前記各スプーンの前縁部を降下させ、それによって、前記スプーンを前記容器の1つの下に挿入するために下方に傾斜させるように動作可能である、前記一対の退縮可能な支持機構と、
前記一対のスプーンの間に配置されたエンドレスタイプの排出コンベヤであって、前記排出コンベヤは、前記搬送アセンブリから各スプーン上の前記複数の容器を同時に取り出すようになっている、前記排出コンベヤと
を備える、装置。
【請求項2】
前記一対の退縮可能な支持機構が、回転可能なカムである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スプーンが、平坦な細長いシート様デバイスである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記排出コンベヤが、前記容器に係合して、前記容器を前記スプーンから後方方向において押すように構成される階段を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記排出コンベヤが、前記階段が接続されるエンドレスベルトを備える、請求項4に記載の装置。
(3) 補正事項
上記(1)及び(2)から、本件補正は、以下の補正事項からなるものである。
(補正事項)
補正前の請求項1における「前記一対のスプーンの間に配置された排出コンベヤ」につき、「前記一対のスプーンの間に配置されたエンドレスタイプの排出コンベヤ」に限定する。
2 令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定の概要
令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定の概要は、次のとおりである。
(1) 請求項1ないし5についての本件補正は限定的減縮を目的としている
(2-1) 請求項1に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものである。
(2-2) 請求項2ないし5に係る発明は以下の引用文献1ないし6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) したがって、本件補正後の請求項1ないし5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(4) よって、特許請求の範囲に係る本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであるから、特許法第53条第1項の規定により、本件補正を却下することを決定する。
<引用文献等一覧>
1.特開2004-131266号公報
2.特開2002-68412号公報
3.特開昭51-116579号公報
4.特開平8-12017号公報(周知技術を示す文献)
5.特表2009-545504号公報
6.特開昭63-87417号公報
3 令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定についての検討
(1) 補正の目的について
補正事項(上記1(3))は、発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、補正の前後で請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることは明らかであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮に該当する。
請求項2ないし5は、請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、補正事項による補正で、請求項1に係る発明が減縮されたことに伴い、請求項2ないし5に係る発明も減縮されている。
そこで、上記補正事項に係る補正後の請求項1ないし5に係る発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。
(2) 独立特許要件について
ア 本願補正発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1ないし5に係る発明(それぞれ、「本願補正発明1」ないし「本願補正発明5」という。)は、上記1(2)に記載のとおりのものである。
イ 引用文献の記載及び引用発明
(ア) 引用文献1について
a 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、以下の記載がある。(下線は当審が付した。)
(a) 「【請求項1】
物品の底部にコンベヤを接触させることにより該物品を昇降部上に引込むと共に、コンベヤを逆回転させることにより昇降部上の物品を払出すようにしたコンベヤ式搬送装置であって、荷すくいの際、本体を走行させながらコンベヤを物品側へ向けて突出させると共に、物品の底部にコンベヤを接触させるために昇降部を上昇させながらコンベヤを起動させることを特徴とするコンベヤ式搬送装置。」
(b) 「【0007】
本発明は、物品の引込み及び払い出しの作業を時間を無駄にすることなく、高速に行えるようにしたコンベヤ式搬送装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、物品の底部にコンベヤを接触させることにより該物品を昇降部上に引込むと共に、コンベヤを逆回転させることにより昇降部上の物品を払出すようにしたコンベヤ式搬送装置であって、荷すくいの際、本体を走行させながらコンベヤを物品側へ向けて突出させると共に、物品の底部にコンベヤを接触させるために昇降部を上昇させながらコンベヤを起動させることに特徴を有する。つまり、荷すくいの際、本体を走行させながら、コンベヤの物品側への突出動作を実施することにより、また物品へ向けてコンベヤを上昇させながら、コンベヤの回転動作を実施することにより、荷すくいの際の時間の短縮を実現するものである。」
(c) 「【0011】
【発明の実施の形態】
図1に示すように本発明に関するコンベヤ式搬送装置(スタッカークレーン)100は、物品の入庫ステーション101及び収容棚102と出庫ステーション103及び収容棚104との間を走行する。コンベヤ式搬送装置100は。入庫ステーション101から物品105を引込み(荷すくい)、その物品105を収容棚102、104の所定位置に収容し(荷おろし)、又は、収容棚102、104の所定位置に収容されている物品105を引込み(荷すくい)、出庫ステーション103に払出す(荷おろし)装置である。コンベヤ式搬送装置100は、本体としての走行台車106と、昇降部107と、スライダ108と、コンベヤ109とを備える。走行台車106は、レール110に案内され、入庫ステーション101、収容棚102、104及び出庫ステーション103に沿って走行用モータM1によって往復動する。昇降部107は走行台車106に設けられたマスト111に案内され、昇降用モータM2によって上下動する。スライダ108は昇降部107上に設けられ、スライド用モータM3によってレール110に対し直行する方向へ往復動する。コンベヤ109はスライダ108上に設けられ、スライダ108と共に、レール110に対し直行する方向へ移動すると共に、コンベヤ用モータM4によって回転する。上記各モータM1~M4は、制御装置112によって制御される。各モータM1~M4はそれぞれインバータ113~116によって制御される。又、制御装置112は、入力機器としてエンコーダ117、エンコーダ118、スライダ位置センサ119、及び載置センサ120を備える。エンコーダ117は、走行用モータM1の回転から走行台車106の位置を検出する。エンコーダ118は、昇降用モータM2の回転から昇降部107の位置を検出する。スライダ位置センサ119は、スライダ108の水平方向の位置を検出する。載置センサ120は、コンベヤ109上における物品105の位置を検出する。制御装置112は、入力設定部121から目的の物品105の位置が入力された場合、上記エンコーダ117、エンコーダ118、スライダ位置センサ119、及び載置センサ120からの検出信号に基づき、フィードバック制御しながらコンベヤ109を目的の物品105の位置まで移動させる。上記制御装置112はマイクロコンピュータなどによって構成され、ROM等のメモリに格納されているプログラムに基づき上記各モータM1~M4を制御する。
【0012】
次に、制御装置112の制御について図1、図2及び図8に基づき概略説明する。先ず、物品105はその先端が収容棚102、104から前方へ若干突入して載置されている。物品105がこのように載置されている状態において、制御装置112が、収容棚102の物品105(イ)を引込む際の制御について先ず、説明する。この場合、制御装置112は走行用モータM1及び昇降用モータM2を駆動することにより、コンベヤ109を目的の物品105(イ)の正面位置に向けて移動させる。コンベヤ109が目的の高さに達し、昇降用モータM2が停止すると、走行用モータM1に重複してスライド用モータM3を駆動し、コンベヤ109が目的の位置に達し、走行用モータM1が停止すると、スライド用モータM3に重複して昇降用モータM2を再び駆動し、コンベヤ109が目的の位置まで突出し、スライド用モータM3が停止すると、昇降用モータM2に重複してコンベヤ用モータM4を駆動する。上記スライド用モータM3の駆動によって、スライダ108は物品105(イ)に向けて突出することにより、コンベヤ109の先端が物品105(イ)の底面の真下に達する。その後、昇降用モータM4の駆動によってコンベヤ109は物品105(イ)の底面に接触する。上記コンベヤ用モータM4の駆動により、コンベヤ109の回転力によって物品105(イ)はコンベヤ109上に引込まれる。この際、従来技術のコンベヤ式搬送装置1は、コンベヤ109が物品105(イ)の底面に接触した後に、コンベヤ109の回転を開始する(図9(c))に対し、本実施例のコンベヤ式搬送装置100は上述のように、走行用モータM1、昇降用モータM2、スライド用モータM3、コンベヤ用モータM4が順次重複して駆動するため、コンベヤ109が物品105(イ)の底面に接触すると同時に引込みが開始され、物品105(イ)の引込み動作を高速に実行できる。物品105(イ)を引込んだコンベヤ109は、スライダ108のスライドによって昇降部107側へ後退する。物品105(イ)が昇降部107の先端よりも後退したか否かは、昇降部107の先端の設けられたはみ出し検出用センサ122によって検出される。
【0013】
上記はみ出し検出用センサ122が、物品105(イ)が昇降部107の先端よりも後退したことを検出すると、制御装置112は、物品105(イ)をコンベヤ109上を移動させながら走行用モータM1及び昇降用モータM2を駆動させる。これにより、この実施例のコンベヤ式搬送装置100は、時間的な無駄が無く、次の目的とする物品105の位置まで短時間で移動できる。」
(d) 「【0018】
コンベヤ109は、本実施例のおいては図4に示すように、物品引込用の中央部のコンベヤ129と物品支持用の両側部のコンベヤ130,130により構成されている。
【0019】
図6に示すように、これらのコンベヤ129,130は何れも駆動ローラー41と従動ローラー42との間にベルト43を架設した周知の構成のものであり、それぞれの駆動ローラー41がスライダ108に取り付けられた支持台131に回動可能に支持されることにより、コンベヤ129,130は上下方向へ揺動可能に取着されている。
【0020】
又、中間部に配設されたガイドローラー45がそれぞれ昇降部107に取付けられた案内板132,133に案内されて駆動ローラー41を中心にコンベヤ129,130の傾斜角度を変化させるようになっている。
【0021】
ここで、中央部コンベヤ129及び両側部コンベヤ130の相違点は、中央部コンベヤ129は、ガイドローラー45が中央部の案内板132に案内され、両側コンベヤ130は、ガイドローラー45が両側部の案内板133に案内される点である。
【0022】
次に、これら案内板132及び案内板133について説明する。
案内板132,133には、それぞれガイドローラー45が挿入されるガイド溝47,52が形成されている。このガイド溝47,52は、上部水平溝47a,52aと、これの端部から下降する傾斜溝47b,52bと、これに続いて水平な下部水平溝47c,52cとを有している。
【0023】
傾斜溝47b,52bは同じ傾斜角度で形成されているが、中央の上部水平溝47aの高さは(図6に示すH1)、両側の上部水平溝52aのそれよりも若干低く、一方、中央の下部水平溝47cの高さ(図6に示すH2)は両側の下部水平溝52cのそれよりも若干高く構成されている。
【0024】
従って、ガイドローラー45は、スライダ108が図1に示すスライド中央まで後退したときにそれぞれ上部水平溝47a,52aに案内されているため、コンベヤ129,130はほぼ水平に保持されている。この場合、コンベヤ129,130の高さは、上部水平溝47a、52aの高さに応じて、図7(a)に示すように両側が高く、中央が低くなっている。よって、物品105の底面は両側で安定して支持されるのである。
【0025】
次に、スライダ108が移動するに応じて、ガイドローラー45は上部水平溝47a,52aから傾斜溝47b、52bに移動する。それにつれてガイドローラー45の高さは順次低くなり、コンベヤ129,130の先端が下降する。傾斜溝47b,52bは同じ傾斜に形成されているので、コンベヤ129,130の高さは図7(b)に示すように同じ高さになり、物品105の底面は全てのコンベヤ129,130により均等に支持されるのである。ここで、ガイドローラー45が傾斜溝52bの下端に位置した状態を図5においてスライドBと称する。
【0026】
ガイドローラー45が下部水平溝47c,52cに浸入すると、コンベヤ129,130の傾斜角度が最大になる。然しながら、中央の上部水平溝47cの高さは、両側の上部水平溝52cよりも若干低く設定されているので、中央部コンベヤ129の傾斜角度は、例えば10度であるのに対して、両側部コンベヤ130の傾斜角度は11度となる、即ち、コンベヤ129,130は、図7(c)に示すように、中央部が高く両側部が低くなるのである。従って、物品105は、底面中央部の中央が中央部コンベヤ129に接触してその推力を受けることになる。この位置を図5においてスライドと称する。」
(e)「【0029】
走行用のモータM1及び昇降用モータM2を駆動して目的の物品105の底面の下方近傍にまでコンベヤ109を移動させ、スライド用モータM3を駆動することにより、3本のコンベヤ129,130をスライドAまで前進させる(図5(b))。これにより、図6に示すように、各コンベヤ129,130ガイドローラー45は、水平溝47c,52cに浸入してコンベヤ129,130は傾斜した状態で前進し、先端が物品105の下方に位置する。この場合、図7(c)に示すように、中央部のコンベヤ129は両側部より上方突出している。
【0030】
又、上記スライド用モータM3の駆動に重複して昇降用モータM2を駆動することにより、昇降部107を上昇させると、コンベヤ129の上面が物品105の先端部中央部を押上げる(図5(c)参照)。
【0031】
更に、上記スライド用モータM3の駆動に重複してコンベヤ用モータM4を駆動することにより、3本のコンベヤ129,130を駆動すると、物品105はその先端中央部に中央部コンベヤ129による推進力が付与されるので、左右に曲がることなく引込まれてコンベヤ109上に移動する。このように、コンベヤ109を物品105に向かって突出させ、且つ、昇降部107を上昇させながらコンベヤ109を起動させることにより、即ち、これら動作を重複させることにより、物品105の引込み動作において高速化を図ることができる。
【0032】
次に、スライド用モータM3を駆動してスライダ108を左方向に移動させると(図5(d)参照)、ガイドローラ45は傾斜溝47b、52bに移動して、物品105はその底面を3本のコンベヤ129,130により均等に支持され、又、コンベヤ129、130は順次傾斜角度が減少する。スライダ108が更に左行して図6に示すように、ガイドローラー45が上部水平溝47a、52aに案内されると、コンベヤ129,130はほぼ水平となり、且つ両側部コンベヤ130は中央部コンベヤ129よりも高くなる(図7(a)参照)。この時、物品105が昇降部107の先端よりも後退したことを、はみ出し検出用センサ122が検出すると、コンベヤ109上で物品105を移動させながら走行用モータM1及び昇降用モータM2を駆動してコンベヤ109を次の目的の物品105の位置まで移行させる。
【0033】
以上により、物品105の荷すくい動作は完了し、物品105は底面の両側を支持されて中央部が空いた状態となって、安定状態で支持されることとなる。」
(f) 「【0036】
上記実施例によれば、荷すくい時には、中央部コンベヤ129により物品105に推力を付与するので、物品105が回転することなく引き込むことができ、また、昇降部107上に支持するときは両側部コンベヤ130により物品105を支持するので、物品105を安定的に支持することができるのである。
【0037】
又、以上の実施例では、コンベヤ109を3分割して3本のコンベヤ129,130により構成したので、物品105に対して推力を与える部分を中央部のみ、或いは両側部のみといったように容易に変更することができるのである。
【0038】
さらに、コンベヤ129,130の姿勢を制御するためのガイドローラ45が案内される上部水平溝47a、52a及び下部水平溝47c、52cの高さを異なる寸法に設定したので、引込時に物品105に対して中央部のコンベヤ129のみを容易に作用させ、荷おろし時に少なくとも両側部コンベヤ130を作用させることができるようになっている。」
(g) 「【0039】
尚、コンベヤ109として、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤで構成できる。更に、荷おろし時に、3本のコンベヤ129、130の全体により物品105を押出すように構成したが、これに限らず、少なくとも両側のコンベヤ130により物品105を押出すように構成しても良く、要は物品105が曲がらないように真っ直ぐに押出せば良いものである。
【0040】
また、両側部コンベヤ130を中央部コンベヤ129と同様に進退可能に構成したが、両側部コンベヤ130は固定状態に配設されていてもよく、要は引込まれた物品105の両側を安定的に支持できれば良いものである。
【0041】
さらに、中央部コンベヤ129が前進しながらほぼ水平な状態から傾斜するように構成したが、中央部コンベヤ129が常時傾斜した状態としても良い。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明は、荷すくいの際、走行台車を走行させながらコンベヤを物品に向かって突出させると共に、物品の底部にコンベヤを接触させるためにコンベヤを上昇させながらコンベヤを起動させるようにしたため、コンベヤの物品への接近と重複してコンベヤを起動でき、荷すくいの際の時間の短縮を実現できる。」
(h) 「【図1】
[図:0001381460000001.jpg]
」
(i) 「【図2】
[図:0001381460000002.jpg]
」
(j) 「【図4】
[図:0001381460000003.jpg]
」
(k) 「【図5】
[図:0001381460000004.jpg]
」
(l) 「【図6】
[図:0001381460000005.jpg]
」
b 引用文献1に記載された発明
上記(a)ないし(g)の下線部の事項と、上記(h)ないし(l)の図面の事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「物品105の底部にコンベヤ109を接触させることにより該物品105をコンベヤ109上に引込むと共に、コンベヤ109を逆回転させることによりコンベヤ109上の物品105を払出すようにし、荷すくいの際、走行台車106を走行させながらコンベヤ109を物品105側へ向けてスライダ108により突出させると共に、物品105の底部にコンベヤ109を接触させるために昇降部107を上昇させながらコンベヤ109を起動させ回転動作を実施することにより、時間の短縮を実現するものであり、
制御装置112がプログラムに基づき駆動制御するコンベヤ式搬送装置100であって、
走行台車106と、
前記走行台車106に設けられたマスト111に案内され、かつ複数の収容棚102、104から払出すことになる複数の物品105が収容されている前記複数の収容棚102、104の所定位置に物品を払出す及び引込むように上下動するように構成される、昇降部107とスライダ108とコンベヤ109と、を備え、前記昇降部107とスライダ108とコンベヤ109が、
コンベヤ109は駆動ローラー41と従動ローラー42との間にベルト43を架設した構成のものであり、スライダ108のスライドによって物品105に向けて進退可能に構成された、コンベヤ109と
スライド用モータM3を駆動することにより、コンベヤ109を前進及び後退させ、それぞれの駆動ローラー41がスライダ108に取り付けられた支持台131に回動可能に支持されることにより、コンベヤ109は上下方向へ揺動可能に取着されている、スライド用モータM3と、
コンベヤ109の中間部に配設されたガイドローラー45がそれぞれ昇降部107に取付けられた案内板132、133に形成されたガイド溝47、52に案内されて駆動ローラー41を中心にコンベヤ109の傾斜角度を変化させるようになっており、コンベヤ109が傾斜した状態で先端が物品105の下方に位置できる、案内板132、133と、
荷おろし時にコンベヤ109を逆回転させることによりコンベヤ109上の物品105を払出すようにした、コンベヤ109と
を備える、コンベヤ式搬送装置100。」
(イ) 引用文献2について
引用文献2には、段落【0026】に、
「【0026】また、前述のスライドユニット35の移動機構としては、前述の自走式のほかに例えば図4に示されているように、昇降フレーム21の上側にロッドレスシリンダ37を設け、このロッドレスシリンダ37にスライダ39を取り付けるようにしても良い。この場合には、前述した昇降側乗継ぎレール23を設けない構造とすることも可能である。」と記載され、
「スライドユニット35の移動機構としては、自走式のほかに、昇降フレーム21の上側にロッドレスシリンダ37を設け、このロッドレスシリンダ37にスライダ39を取り付けるようにしても良い」
という技術的事項が記載されている。
(ウ) 引用文献3について
引用文献3には、その第4ページ右上欄第11ないし19行に、
「第4図は物品取出コンベア16およびガイドコンベア21,21’を軸18を中心として少し旋回上下動させる構造を示し,持ち上げ用モータ31を駆動すると,チェーン32を介してホイール33が軸34を中心として回転し,このホイール33の偏心位置に取付けたローラ35の位置移動に従ってブロック36を上下動させ,そのことによってコンベア16,21,21’を上下動させるものである。」と記載され、
「物品取出コンベア16およびガイドコンベア21,21’を軸18を中心として少し旋回上下動させる構造を示し,持ち上げ用モータ31を駆動すると,チェーン32を介してホイール33が軸34を中心として回転し,このホイール33の偏心位置に取付けたローラ35の位置移動に従ってブロック36を上下動させ,そのことによってコンベア16,21,21’を上下動させるものである」
という技術的事項が記載されている。
(エ) 引用文献4について
引用文献4には、段落【0019】に、
「【0019】次に、上記のように構成された移載装置10の作用について説明する。二つの荷Wを収納部4に同時に収納する場合、先ず、地上操作盤26からの指令によりクレーンコントローラ11は、キャリッジ9を任意の収納部4の横へ移動させる。次に、クレーンコントローラ11の信号によりフォークモータ15を駆動させ、移載装置10を水平移動させる。そして、図4に示すように、ミドルフォーク13に取着されているドグ25が最長位置スイッチ22に接触すると、最長位置スイッチ22はクレーンコントローラ11に信号を出力する。クレーンコントローラ11は、最長位置スイッチ22の信号に基づき、フォークモータ15の駆動を止め、移載装置10の水平移動を停止させる。このとき、アッパフォーク14はベース12に対する突出長さが最長突出長さLとなる最長位置にあるので、アッパフォーク14に載せられた二つの荷Wが収納部4に同時に収納される。」と記載され、
「棚へものを収納したり、棚からものを取り出す装置において、複数の荷を収納部等の棚へ同時に収納すること」という技術的事項が記載され、当該技術的事項はよく知られていることであって周知技術といえる。
(オ) 引用文献5について
引用文献5には、段落【0029】ないし【0031】に、
「【0029】
物品移載装置1は、伝動手段3を介して棚間通路Rに対して横断方向にスライド可能な物品載置台2を有している。前記伝動手段3、例えばチェーン、ベルト等は、物品載置台2に設けられた係合孔6,7との間で互いのかみ合い形状が対応するように係合することで、矢印方向8に物品載置台2のスライド移動を可能にする係合連動部材4,5を有している。前記伝動手段3はモータ9によって駆動される。符号10は物品載置台2のガイドを表している。
【0030】
物品移載装置1はさらに、回転軸14を中心にして保持ポジションと静止ポジションとの間を揺動する揺動アーム12,13を備えたストッパ手段11を有している。ここでは、揺動アーム12,13は実質的に矩形面体をなす物品載置台2の、例えば各コーナー領域に配置されている。それぞれの揺動アーム12,13の、回転軸14とは反対側に位置する端部12a,13aは互いに自由端となっており、互いに接続されていない。それぞれ同一の回転軸14を中心に揺動する2本の揺動アーム12,13は軸部15によって互いに連結されて、保持ユニット16を構成している。保持ユニット16は棚間通路Rに対して横断方向に走る回転軸14の方向にスライド可能なため、物品21の収納・取り出し荷役プロセスはこれによってスムーズに実現される。
【0031】
物品移載装置1は、区画棚板24上に物品21が載置された保管棚スペース20の前方に位置している。物品21を受け入れるため、物品載置台2は伝動手段3により保管棚スペース20の方向にスライドされ、物品載置台2は保管棚スペース20と物品21との間に差し込まれる。この差し入れを容易にするため、物品載置台2のそれぞれ保管棚スペース20に向き合う側の端縁18は面取りされて鋭角斜面に形成されている。さらに、保管棚スペース20は、物品載置台2の差し入れを容易にする案内斜面22を有している。符号23は棚に設けられた物品21のストッパを表している。」と記載され、
「物品載置台2が、実質的に矩形面体であること、及び、保管棚スペース20へスライドされ保管棚スペース20と物品21との間に差し込まれることが可能であるように、物品移載装置1に配置される」という技術的事項が記載されている。
(カ) 引用文献6について
引用文献6には、その第2ページ左下欄第20行~右下欄第6行に、
「前記搬送部12は、取出し部10に連続する水平のガイド手段、すなわち滑走レール26と、該滑走レール26の下部に平行に配置された移動手段、すなわちコンベアベルト28と、コンベアベルト28に適宜等間隔で固定され、かつ前記滑走レール26の上部に突出する部品搬送用の突起、すなわちローディングアーム30を備えている。」と記載され、
「搬送部12は、取出し部10に連続する水平のガイド手段、すなわち滑走レール26と、該滑走レール26の下部に平行に配置された移動手段、すなわちコンベアベルト28と、コンベアベルト28に適宜等間隔で固定され、かつ前記滑走レール26の上部に突出する部品搬送用の突起、すなわちローディングアーム30を備えている」という技術的事項が記載されている。
ウ 本願補正発明1について
(ア) 対比
本願補正発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「制御装置112がプログラムに基づき駆動制御する」ことは、本願補正発明1の「自動化された」ことに相当する。同様に、
「コンベヤ式搬送装置100」は「ラック搬出装置」及び「装置」に、
「複数の収容棚102、104」は「ラック棚」に、
「払出す」は「搬出される」に、
「上下動する」は「垂直方向に往復運動する」に、
「昇降部107とスライダ108とコンベヤ109」は「搬送アセンブリ」に、
それぞれ相当する。
本願補正発明1の「フレーム」は、「搬送アセンブリ」を「垂直方向に往復運動する」ように「動作可能に係合」するから、「搬送アセンブリ」に関する「基台」ということができるところ、引用発明の「走行台車106」も「昇降部107とスライダ108とコンベヤ109」を「上下動する」ように「案内」するから、「昇降部107とスライダ108とコンベヤ109」に関する「基台」ということができるので、結局、本願補正発明1の「フレーム」と引用発明の「走行台車106」とは「基台」の限りにおいて一致する。そして、本願補正発明1の「フレームと動作可能に係合され」と引用発明の「前記走行台車106に設けられたマスト111に案内され」とは「基台と動作可能に係合され」の限りにおいて一致する。
本願補正発明1の「容器」は、本願明細書の段落【0014】に「物品、品物、材料、または同様の物を格納または輸送するために使用される、任意のトレイ、フラット、蓋つき大箱、箱などを指す」と記載されているところ、引用発明の「物品」も輸送されることから、結局、両者は「被輸送物」の限りにおいて一致する。そして、引用発明の「収容棚102、104の所定位置に物品を払出す及び引込むように」することは「収容棚102、104に整合するように」することといえるから、結局、本願補正発明1の「複数の容器が位置する前記複数のラック棚と整合するように」と引用発明の「複数の物品105が収容されている前記複数の収容棚102、104の所定位置に物品を払出す及び引込むように」とは、「複数の被輸送物が位置する前記複数のラック棚と整合するように」の限りにおいて一致する。
本願補正発明1の「スプーン」と引用発明の「コンベヤ109」とを対比すると、本願明細書の段落【0016】に「搬送アセンブリ3は、搬送アセンブリ3内に装着され、第1のシーケンスにおいて、容器6の下に挿入するために、前方方向においてキャビネット2から摺動し、次いで、後方方向においてキャビネット2に摺動し戻って、それによって、ラックから容器6を回収するように適合される、スプーン9と呼ばれる、平坦な細長いシート様デバイスを有し得る。」と記載されていることから、前者は「ラックから容器6を回収する」ものといえるところ、引用発明は「物品105を収容棚102、104からコンベヤ109上に引込む」ことから、後者は「収容棚102、104から物品105を回収する」ものといえるのであって、両者は「ラックから被輸送物を回収するもの」の限りにおいて一致する。そうすると、本願補正発明1の「並んで位置決めされた一対のスプーンであって、各スプーンは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、各スプーンは第1の端部と第2の端部を有する、一対のスプーン」と、引用発明の「コンベヤ109は駆動ローラー41と従動ローラー42との間にベルト43を架設した構成のものであり、スライダ108のスライドによって物品105に向けて進退可能に構成された、コンベヤ109」とは、「ラックから被輸送物を回収するものであって、ラックから被輸送物を回収するものは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、ラックから被輸送物を回収するものは第1の端部と第2の端部を有する、ラックから被輸送物を回収するもの」の限りにおいて一致する。
本願補正発明1の「空気圧式ロッドレスシリンダ」と引用発明の「スライド用モータM3」とを対比すると、前者は「スプーンを延伸及び退縮させるために作動するようになって」いて「スプーンの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する」ところ、後者は「コンベヤ109を前進及び後退させ、それぞれの駆動ローラー41がスライダ108に取り付けられた支持台131に回動可能に支持されることにより、コンベヤ109は上下方向へ揺動可能に取着されている」のであって、両者は「ラックから被輸送物を回収するもの」の「駆動源」の限りにおいて一致する。そして、引用発明の「前進及び後退させ」、「それぞれの駆動ローラー41がスライダ108に取り付けられた支持台131に回動可能に支持され」「上下方向へ揺動可能に取着されている」及び「スライダ108に取り付けられた支持台131」は、それぞれ本願補正発明1の「延伸及び退縮させ」、「第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる」及び「搬送部材」に相当する。そうすると、本願補正発明1の「一対の空気圧式ロッドレスシリンダであって、各空気圧式ロッドレスシリンダは各スプーンを延伸及び退縮させるために作動するようになっており、各空気圧式ロッドレスシリンダは、前記各スプーンの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する、前記一対の空気圧式ロッドレスシリンダ」と引用発明の「スライド用モータM3を駆動することにより、コンベヤ109を前進及び後退させ、それぞれの駆動ローラー41がスライダ108に取り付けられた支持台131に回動可能に支持されることにより、コンベヤ109は上下方向へ揺動可能に取着されている、スライド用モータM3」とは、「駆動源であって、駆動源はラックから被輸送物を回収するものを延伸及び退縮させるために作動するようになっており、駆動源は、前記ラックから被輸送物を回収するものの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する、前記駆動源」の限りにおいて一致する。
本願補正発明1の「支持機構」と引用発明の「案内板132、133」とを対比すると、前者は「前記各スプーンの前縁部を降下させ、それによって」「下方に傾斜させるように動作可能である」ところ、後者は「コンベヤ109の傾斜角度を変化させるようになっており、コンベヤ109が傾斜した状態で先端が物品105の下方に位置できる」のであって、両者は「ラックから被輸送物を回収するもの」の「傾斜手段」の限りにおいて一致する。そうすると、本願補正発明1の「一対の退縮可能な支持機構であって、各退縮可能な支持機構が、前記枢動点から別の端部で前記各スプーンの前記第2の端部を支持するように構成され、前記各退縮可能な支持機構が、前記枢動点を参照して、前記各スプーンの前縁部を降下させ、それによって、前記スプーンを前記容器の1つの下に挿入するために下方に傾斜させるように動作可能である、前記一対の退縮可能な支持機構」と引用発明の「コンベヤ109の中間部に配設されたガイドローラー45がそれぞれ昇降部107に取付けられた案内板132、133に形成されたガイド溝47、52に案内されて駆動ローラー41を中心にコンベヤ109の傾斜角度を変化させるようになっており、コンベヤ109が傾斜した状態で先端が物品105の下方に位置できる、案内板132、133」とは、「傾斜手段であって、前記傾斜手段が、前記ラックから被輸送物を回収するものの前縁部を降下させ、それによって、前記ラックから被輸送物を回収するものを下方に傾斜させるように動作可能である、前記傾斜手段」の限りにおいて一致する。
本願補正発明1の「排出コンベヤ」と引用発明の「コンベヤ109」とを対比すると、前者は「エンドレスタイプの排出コンベヤ」であって「搬送アセンブリから」「容器を」「取り出すようになっている」ところ、後者は「荷おろし時に」「コンベア109上の物品105を払出すようにした」のであって、「駆動ローラー41と従動ローラー42との間にベルト43を架設した構成のものであ」るから、両者は搬送アセンブリから被輸送物を取り出すようになっているエンドレスタイプの「コンベヤ」の限りにおいて一致する。そうすると、本願補正発明1の「前記一対のスプーンの間に配置されたエンドレスタイプの排出コンベヤであって、前記排出コンベヤは、前記搬送アセンブリから各スプーン上の前記複数の容器を同時に取り出すようになっている、前記排出コンベヤ」と引用発明の「荷おろし時にコンベヤ109を逆回転させることによりコンベヤ109上の物品105を払出すようにした、コンベヤ109」とは、「エンドレスタイプのコンベヤであって、前記コンベヤは、前記搬送アセンブリからラックから被輸送物を回収するもの上の前記被輸送物を取り出すようになっている、前記コンベヤ」の限りにおいて一致する。
してみると、本願補正発明1と引用発明とには以下の一致点及び相違点がある。
(一致点)
「自動化されたラック搬出装置であって、
基台と、
前記基台と動作可能に係合され、かつ複数のラック棚から搬出されることになる複数の被輸送物が位置する前記複数のラック棚と整合するように垂直方向に往復運動するように構成される、搬送アセンブリと、を備え、前記搬送アセンブリが、
ラックから被輸送物を回収するものであって、ラックから被輸送物を回収するものは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、ラックから被輸送物を回収するものは第1の端部と第2の端部を有する、ラックから被輸送物を回収するものと、
駆動源であって、駆動源はラックから被輸送物を回収するものを延伸及び退縮させるために作動するようになっており、駆動源は、前記ラックから被輸送物を回収するものの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する、前記駆動源と、
傾斜手段であって、前記傾斜手段が、前記ラックから被輸送物を回収するものの前縁部を降下させ、それによって、前記ラックから被輸送物を回収するものを下方に傾斜させるように動作可能である、前記傾斜手段と、
エンドレスタイプのコンベヤであって、前記コンベヤは、前記搬送アセンブリからラックから被輸送物を回収するもの上の前記被輸送物を取り出すようになっている、前記コンベヤと
を備える、装置。」
(相違点1)
「基台」に関し、本願補正発明1は「フレーム」であるのに対し、引用発明は「走行台車106」である点、。
(相違点2)
「被輸送物」に関し、本願補正発明1は「容器」であるのに対し、引用発明は「物品105」である点。
(相違点3)
「ラックから被輸送物を回収するものであって、ラックから被輸送物を回収するものは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、ラックから被輸送物を回収するものは第1の端部と第2の端部を有する、ラックから被輸送物を回収するもの」に関し、本願補正発明1は「並んで位置決めされた一対のスプーンであって、各スプーンは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、各スプーンは第1の端部と第2の端部を有する、一対のスプーン」であるのに対し、引用発明は「コンベヤ109は駆動ローラー41と従動ローラー42との間にベルト43を架設した構成のものであり、スライダ108のスライドによって物品105に向けて進退可能に構成された、コンベヤ109」である点。
(相違点4)
「駆動源であって、駆動源はラックから被輸送物を回収するものを延伸及び退縮させるために作動するようになっており、駆動源は、前記ラックから被輸送物を回収するものの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する、前記駆動源」に関し、本願補正発明1は「一対の空気圧式ロッドレスシリンダであって、各空気圧式ロッドレスシリンダは各スプーンを延伸及び退縮させるために作動するようになっており、各空気圧式ロッドレスシリンダは、前記各スプーンの第1の端部が枢動点において枢動可能に取り付けられる搬送部材を有する、前記一対の空気圧式ロッドレスシリンダ」であるのに対し、引用発明は「スライド用モータM3を駆動することにより、コンベヤ109を前進及び後退させ、それぞれの駆動ローラー41がスライダ108に取り付けられた支持台131に回動可能に支持されることにより、コンベヤ109は上下方向へ揺動可能に取着されている、スライド用モータM3」である点。
(相違点5)
「傾斜手段であって、前記傾斜手段が、前記ラックから被輸送物を回収するものの前縁部を降下させ、それによって、前記ラックから被輸送物を回収するものを下方に傾斜させるように動作可能である、前記傾斜手段」に関し、本願補正発明1は「一対の退縮可能な支持機構であって、各退縮可能な支持機構が、前記枢動点から別の端部で前記各スプーンの前記第2の端部を支持するように構成され、前記各退縮可能な支持機構が、前記枢動点を参照して、前記各スプーンの前縁部を降下させ、それによって、前記スプーンを前記容器の1つの下に挿入するために下方に傾斜させるように動作可能である、前記一対の退縮可能な支持機構」であるのに対し、引用発明は「コンベヤ109の中間部に配設されたガイドローラー45がそれぞれ昇降部107に取付けられた案内板132、133に形成されたガイド溝47、52に案内されて駆動ローラー41を中心にコンベヤ109の傾斜角度を変化させるようになっており、コンベヤ109が傾斜した状態で先端が物品105の下方に位置できる、案内板132、133」である点。
(相違点6)
「エンドレスタイプのコンベヤであって、前記コンベヤは、前記搬送アセンブリからラックから被輸送物を回収するもの上の前記被輸送物を取り出すようになっている、前記コンベヤ」に関し、本願補正発明1は「前記一対のスプーンの間に配置されたエンドレスタイプの排出コンベヤであって、前記排出コンベヤは、前記搬送アセンブリから各スプーン上の前記複数の容器を同時に取り出すようになっている、前記排出コンベヤ」であるのに対し、引用発明は「荷おろし時にコンベヤ109を逆回転させることによりコンベヤ109上の物品105を払出すようにした、コンベヤ109」である点。
(イ) 判断
事案に鑑み、「ラックから被輸送物を回収するもの」について検討すると、上記相違点3ないし5に係る本願補正発明1の「スプーン」に係る構成は、少なくとも、「並んで位置決めされた一対のスプーンであって、各スプーンは前記ラック棚の1つに延伸することができるように前記搬送アセンブリ内に摺動可能に取り付けられ、各スプーンは第1の端部と第2の端部を有する、一対のスプーン」であって、「前記各スプーンの第1の端部が枢動点」であり、「前記スプーンを前記容器の1つの下に挿入するために下方に傾斜させる」事項を含むものである。
しかしながら、少なくとも、本願補正発明1の「スプーン」に係る構成の「各スプーンの第1の端部が枢動点」であり「スプーンを容器の1つの下に挿入するために下方に傾斜させる」ものは、上記引用文献2ないし6のいずれにも記載も示唆もされていない。なお、引用文献5に「物品載置台2が、実質的に矩形面体であること、及び、保管棚スペース20へスライドされ保管棚スペース20と物品21との間に差し込まれることが可能であるように、物品移載装置1に配置される」という技術的事項が記載されているが、「各スプーンの第1の端部が枢動点」であり「下方に傾斜させる」ことは記載も示唆もされていない。
また、引用発明の「コンベヤ109」をして、本願補正発明1の「スプーン」のように「物品105の下に挿入する」形態とすることは、引用文献1に示唆がない(引用文献1の段落【0039】ないし【0041】(イ(ア)a(g))参照。)のみならず、引用発明が「物品105の底部にコンベヤ109を接触させるために昇降部107を上昇させながらコンベヤ109を起動させ回転動作を実施することにより、時間の短縮を実現するものであ」ることからすると、当業者に動機づけがあるとはいえないし、「時間の短縮を実現する」との観点からすれば、むしろ阻害要因があるといわざるを得ない。
以上のことから、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術的事項から、上記相違点3ないし5に係る本願補正発明1の「スプーン」に係る構成を当業者が容易に想到し得たということはできない。
(ウ) 小括
したがって、上記相違点3ないし5に係る本願補正発明1の「スプーン」に係る構成の外の上記相違点1、2及び6に係る事項について検討するまでもなく、本願補正発明1は、当業者が引用発明及び引用文献2ないし6に記載の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
エ 本願補正発明2ないし5について
本願補正発明2ないし5も、上記相違点1ないし6に係る本願補正発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願補正発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし6に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
オ また、他に本願補正発明1ないし5について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由はない。
(3) むすび
上記(2)で検討したように、本願補正発明1ないし5が特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである、とはいえない。
そして、他に本件補正を却下すべき理由はない。
したがって、原審における令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定を取り消す。
第3 本願発明についての判断
以上のとおり、令和 2年 9月16日付け補正の却下の決定は取り消されたから、本願の請求項1ないし5に係る発明(それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5(上記第2 1(2)参照。)に記載された事項により特定されるとおりのものであり、上記第2 3で検討した本願補正発明1ないし5と同じ発明である。
ここで、原査定の拒絶の理由は令和 2年 4月21日付け拒絶理由通知書に記載した理由であり、その概要は、令和 1年12月 2日提出の手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る発明は、引用文献1ないし6(上記第2 2の<引用文献等一覧>の引用文献1ないし6と同じ)に記載された発明に基いて、その出願(優先日)前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、本願補正発明1ないし5は、上記第2 3(2)で検討したとおり、引用発明及び引用文献2ないし6に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないのであるから、本願発明1ないし5も同様の理由で、引用発明及び引用文献2ないし6に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。すなわち、本願発明1ないし5については、原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり、審決する。
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2021-000578