特許拒絶査定不服審判
2024-013825
表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラム
- 審判番号
- 2024-013825
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-208474
- 請求日
- 2024年08月28日
- 審決日
- 2025年05月26日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 村松 貴士
- 審判官 米倉 明日香
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-208474「表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月28日出願公開、特開2022- 95256、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年12月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 6年 1月12日付け 拒絶理由通知書
令和 6年 3月25日 意見書、手続補正書の提出
令和 6年 5月22日付け 拒絶査定
令和 6年 8月28日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和6年5月22日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
本願請求項1-3、5、7、8に係る発明は、以下の引用文献1、4、5に記載された発明に基づいて、本願請求項2に係る発明は、以下の引用文献1、2、4、5に記載された発明に基づいて、本願請求項2、4、6に係る発明は、以下の引用文献1、3-5に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2014-225801号公報
2.特開2011-61314号公報
3.特開2013-197766号公報
4.特開2012-186782号公報
5.特開2017-63416号公報
第3 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和6年8月28日提出の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-8は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
オンライン会議のためにユーザが使用する装置から情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された情報を基に、前記装置のマイクの設定がミュートにされたか否か、及び前記ユーザが作業中であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記装置のマイクの設定がミュートにされたと判定された場合、前記オンライン会議の参加者に提示されるアバターであって、前記ユーザに対応するアバターの表示態様を制御し、前記判定部によって前記ユーザが作業中でないと判定された場合、前記アバターの表情を笑顔に置き換える表示制御部と、
を有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記情報を基に、前記ユーザが在席しているか否か、前記ユーザが使用する情報処理装置が稼働中であるか否か、前記ユーザが作業中であるか否か、及び前記ユーザの作業内容のうち少なくともいずれかをさらに判定することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記ユーザの座席に設置された撮影装置によって撮影された画像を取得し、
前記判定部は、前記画像を基に、前記ユーザが在席しているか否か、及び前記ユーザの作業内容のうち少なくともいずれかを判定することを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記判定部が前記情報処理装置が稼働中でないと判定した場合、前記アバターを非表示にすることを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記判定部が前記ユーザの作業内容を判定した場合、前記作業内容に応じた動きを前記アバターにさせることを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記判定部が前記情報処理装置が稼働中かつ前記ユーザが作業中でないと判定した場合、前記アバターの表情を所定の表情に変化させることを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項7】
表示制御装置によって実行される表示制御方法であって、
オンライン会議のためにユーザが使用する装置から情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された情報を基に、前記装置のマイクの設定がミュートにされたか否か、及び前記ユーザが作業中であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって前記装置のマイクの設定がミュートにされたと判定された場合、前記オンライン会議の参加者に提示されるアバターであって、前記ユーザに対応するアバターの表示態様を制御し、前記判定工程によって前記ユーザが作業中でないと判定された場合、前記アバターの表情を笑顔に置き換える表示制御工程と、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか1項に記載の表示制御装置として機能させるための表示制御プログラム。」
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
ア 「【0010】
図1は、会議システム10の全体構造を示す模式図である。会議システム10は、インターネット等の通信網101を通じて互いに接続されたシステムサーバ100と複数の端末装置200、300、400、500とを用いて、形成される。端末装置200、300、400、500の各々は、通信網101を通じて、少なくともシステムサーバ100と相互に通信できる。
【0011】
端末装置200、300、400、500は互いに異なる複数の地点に配置され、それぞれ、個別の会議参加者201、301、401、501により使用される。これにより、会議システム10は、複数の地点にいる複数の会議参加者201、301、401、501が端末装置200、300、400、500のディスプレイを用いて会議を行う。図示の例では4台の端末装置200、300、400、500を用いて4人の会議参加者201、301、401、501が会議に参加するが、人数、台数共に、特定の数に限られるわけではない。」
イ 「【0017】
図1および図3に示したシステムサーバ100において、制御部110は、システムサーバ100全体の動作を包括的に制御すると共に、格納部130または通信部120を通じて外部から読み込んだプログラムに従って、参加者認証部140、表示制御部150およびアバター駆動部190を形成する。なお、参加者認証部140、表示制御部150およびアバター駆動部190は、それぞれ専用のハードウェアにより形成してもよい。」
ウ 「【0021】
表示制御部150は、参加者認証部140において会議への参加を認証された会議参加者201、301、401、501の各々に割り当てて仮想的に表示するアバターを生成して液晶表示パネル272に表示させる。表示制御部150により生成されるアバターは、会議参加者201、301、401、501のそれぞれが液晶表示パネル272等に仮想的に表現された画像、アイコン等である。アバターの多くは人型の図形として表されるが、他の形状であってもよい。アバターのそれぞれは、会議参加者201、301、401、501毎に異なる形態を有して個体を識別できるものであってもよいし、すべて同じ形状であってもよい。
【0022】
アバター駆動部190は、行動検出部160、積極度判定部170および行動反映部180を有する。行動検出部160は、端末装置200、300、400、500のカメラ部242を通じて、会議参加者201、301、401、501のうちの少なくとも一人または全員の行動を個別に検出する。
【0023】
ここで、検出される会議参加者201、301、401、501の行動とは、例えば、カメラ部242を通じて取得した会議参加者201、301、401、501の位置、向き、移動量、移動方向、手や足などの体の動き等を含む。また、行動検出部160は、カメラ部242を通じて、会議参加者201、301、401、501の視線の方向や目の大きさ等を行動のひとつとして検出してもよい。更に、行動検出部160は、マイク部232を通じて、会議参加者201、301、401、501の発言を行動のひとつとして検出してもよい。」
エ 「【0025】
行動検出部160は、広い検出範囲を有して固定されていてもよい。また、行動検出部160は、光学像、音声等を解析して、移動する会議参加者201、301、401、501に追従してもよい。更に、行動検出部160は、行動する会議参加者201、301、401、501が携帯して共に移動してもよい。これにより、会議の終了あるいは会議からの退出まで、会議システム10は、会議参加者201、301、401、501の行動を把握し続ける。」
オ 「【0027】
行動反映部180は、積極度判定部170により判定された積極度に応じて、行動検出部160が検出した行動を、会議参加者201、301、401、501のアバターに反映させる。ただし、会議システム10においては、会議参加者201、301、401、501の行動をアバターの行動に反映させる割合は一定ではない。積極度判定部170による積極度の判定については、他の図を参照して後述するが、積極度判定部170により判定された積極度が高い会議参加者201、301、401、501ほど、アバターに対して行動が強く反映される。」
カ 「【0029】
こうして、アバター駆動部190が生成したアバターの行動は、通信部120を通じて、端末装置200、300、400、500の各々に伝えられる。これにより、端末装置200、300、400、500の各々においては、会議参加者201、301、401、501の各々の行動が反映されたアバターにより開催される会議の映像を共通に視聴できる。」
キ 「【0042】
図5は、アバター202、302、402、502の行動のバリエーションを示す図である。アバター202、302、402、502は、行動検出部160が検出した会議参加者201、301、401、501の行動を反映して、表示状態を変化させることができる。図示の例では、アバターの向きと、口の開き方とを組み合わせることにより、アバター202、302、402、502の状態が変化している。」
ク 「【0045】
なお、アバター202、302、402、502の表示状態の変化が図示のものに限られないことはもちろんであり、より多くの表情、例えば視線の変化、表情、顔色等を表示状態に組み合わせてもよい。また、発声する場合の音質を変化させることにより、アバター202、302、402、502の表現能力を更に拡大してもよい。」
ケ 【図1】「
[図:0001423330000001.jpg]
」
コ 【図5】「
[図:0001423330000002.jpg]
」
(2)引用発明
上記(1)から引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「インターネット等の通信網101を通じて互いに接続されたシステムサーバ100と複数の端末装置200、300、400、500とを用いて、形成され、複数の地点にいる複数の会議参加者201、301、401、501が端末装置200、300、400、500のディスプレイを用いて会議を行う会議システム10におけるシステムサーバ100であって、
システムサーバ100において、表示制御部150およびアバター駆動部190を形成し、
表示制御部150は、会議参加者201、301、401、501の各々に割り当てて仮想的に表示するアバターを生成して表示させ、
アバター駆動部190は、行動検出部160および行動反映部180を有し、
行動検出部160は、端末装置200、300、400、500のカメラ部242を通じて、会議参加者201、301、401、501のうちの少なくとも一人または全員の行動を個別に検出し、
検出される会議参加者201、301、401、501の行動とは、カメラ部242を通じて取得した会議参加者201、301、401、501の位置、向き、移動量、移動方向、手や足などの体の動き等を含み、
光学像、音声等を解析して、移動する会議参加者201、301、401、501に追従してもよく、
行動反映部180は、行動検出部160が検出した行動を、会議参加者201、301、401、501のアバターに反映させ、
行動検出部160が検出した会議参加者201、301、401、501の行動を反映して、表示状態を変化させることができ、
アバター202、302、402、502の表示状態の変化が視線の変化、表情、顔色等の表示状態を組み合わせてもよい、
システムサーバ100。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項の記載がある。
ア 「【0087】
<出席確認>
まず、出席確認動作について説明する。
【0088】
図8は、人物P21のみが出席確認を終了した直後の状態における表示画面DPを示す図である。図8においては、図6と比較すると判るように、各人物の顔画像がグレーダウン(淡色表示)状態で示されている。なお、図8等においては、グレーダウン状態の顔画像が破線で表現されている。
【0089】
人物P21は、表示画面DP内において自らの顔画像G21を在席アイコン画像C1の上にまでドラッグして当該在席アイコン画像C1上にドロップすることによって、人物P21が在席していること(ここでは出席していること)を会議システム100に入力することができる。具体的には、このようなアイコン操作に応じて、人物P21のコンピュータ70(70d)が当該入力を受け付け、コンピュータ70(70d)から会議管理装置10へと当該入力が転送される。会議管理装置10の在席情報取得部22は、当該入力情報を受信して取得すると、当該入力情報の受信動作に応答して、人物P21の在席を認識する。そして、当該人物P21の在席が認識されると、表示制御部34は、表示画面DP内の顔画像G21をグレーダウン表示から通常表示に変更した表示画面DPを再度生成する。そして、再生成された表示画面DP(図8参照)は、再び各コンピュータ70へと送信され、当該各コンピュータ70の表示部において表示される。
【0090】
同様に、人物P11は、表示画面DP(図8)内において自らの顔画像G11を在席アイコン画像C1の上にまでドラッグして当該在席アイコン画像C1上にドロップすることによって、人物P11が在席していること(ここでは出席していること)を会議システム100に入力することができる。具体的には、このようなアイコン操作に応じて、人物P11のコンピュータ70(70a)が当該入力を受け付け、当該コンピュータ70(70a)から会議管理装置10へと当該入力が転送される。会議管理装置10の在席情報取得部22は、当該入力情報を受信して取得すると、当該入力情報(在席情報)の受信動作に応答して、人物P11の在席を認識する。そして、当該人物P11の在席が認識されると、表示制御部34は、表示画面DP内の顔画像G11をグレーダウン表示から通常表示に変更した表示画面DP(図9)を再度生成する。そして、再生成された表示画面DPは、再び各コンピュータ70へと送信され、当該各コンピュータ70の表示部において表示される。この結果、図9のような表示画面DPが各コンピュータ70の表示部に表示される。
【0091】
以降、各人物が同様の在席入力処理を行うことによって、出席を確認することが可能である。例えば、図6においては、全ての参加予定者(参加登録者)の顔画像が通常表示(非グレーダウン表示)されており、全ての参加予定者が出席(在席)している状態が示されている。なお、欠席者が存在する場合には、当該欠席者の顔画像が表示画面DP内においてグレーダウン表示されるため、欠席者の把握が容易である。
【0092】
このようにして在席状況(出席状況)を確認することが可能である。特に、会議管理装置10の表示制御部34は、在席状況情報(ここでは在席情報)に基づいて在席者と不在者とを判別し、複数の参加者に関する複数の顔画像のうち、在席者に対応する顔画像と不在者に対応する顔画像とを区別して表示させる。したがって、各参加者は、複数の参加者の参加状況(出欠情報)を容易に把握することができる。
【0093】
また、この在席状況確認は、会議開始前のみならず会議進行中においてもリアルタイムで実行されることが好ましい。
【0094】
具体的には、会議中において或る人物が何らかの事情で離席する場合には、当該人物は自らの顔画像を不在アイコン画像C2上にまでドラッグして当該不在アイコン画像C2上にドロップすることによって、当該人物が離席していることを会議システム100に入力すればよい。この場合にも上記と同様の動作が実行される。
【0095】
たとえば、人物P33は、表示画面DP(図6)内において自らの顔画像G33を不在アイコン画像C2の上にまでドラッグして当該不在アイコン画像C2上にドロップすることによって、人物P33が離席していることを会議システム100に入力することができる。
【0096】
そして、このようなアイコン操作に応じて、人物P33のコンピュータ70(70i)が当該入力を受け付け、当該コンピュータ70から会議管理装置10へと当該入力が転送される。会議管理装置10の在席情報取得部22は、当該入力情報(離席情報)を受信して取得すると、当該入力情報の受信動作に応答して、人物P33の離席を認識する。そして、当該人物P33の離席が認識されると、表示制御部34は、表示画面DP内の顔画像G33を通常表示からグレーダウン表示に変更した表示画面DP(図11参照)を再度生成する。そして、再生成された表示画面DPは、再び各コンピュータ70へと送信され、当該各コンピュータ70の表示部において表示される。この結果、たとえば図11のような表示画面DPが各コンピュータ70の表示部に表示される。
【0097】
一方、人物P33が再び席に戻ったときには、出席確認時と同様にして、在席情報入力操作および表示画像DPの再作成動作等が行われる。
【0098】
このような態様によれば、リアルタイムに取得される在席状況情報(在席情報および/または離席情報)に基づいて在席者と不在者とが判別され、複数の参加者に関する複数の顔画像のうち、在席者に対応する顔画像と不在者に対応する顔画像とが区別して表示される。したがって、各参加者は、複数の参加者に関するリアルタイムの参加状況(在席/離席)を容易に把握することができる。」
イ 【図6】「
[図:0001423330000003.jpg]
」
ウ 【図8】「
[図:0001423330000004.jpg]
」
エ 【図9】「
[図:0001423330000005.jpg]
」
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項の記載がある。
ア 「【0023】
会議支援装置11のCPU21は、通信端末15の遠隔会議への参加見込みを示す状態(以下、「参加状態」という。)を、以下の状態(1)~(3)に基づいて特定する。
(1)マウス362の操作状態
(2)カメラ361の接続状態
(3)会議支援装置11および通信端末15の通信状態
【0024】
状態(1)を例に挙げて具体的に説明する。例えば、現時点で遠隔会議に参加していない通信端末15に接続されたマウス362を介して、ユーザが操作を実行している場合を想定する。この場合ユーザは、マウス362によって遠隔会議に参加するための操作を行っている可能性がある。従って会議支援装置11のCPU21は、通信端末15の参加状態が、遠隔会議に参加する可能性が高い状態であると判断する。一方、例えば、マウス362による操作が中断した状態が継続している場合を想定する。この場合ユーザは、通信端末15の使用を中止していたり、離席していたりする可能性がある。従ってCPU21は、通信端末15の参加状態として、遠隔会議に参加する可能性が低い状態であると判断する。
【0025】
状態(2)を例に挙げて具体的に説明する。例えば、現時点で遠隔会議に参加していない通信端末15にカメラ361が接続されている場合を想定する。この場合ユーザは、遠隔会議に参加する準備を完了させている可能性がある。従ってCPU21は、通信端末15の参加状態が、遠隔会議に参加する可能性が高い状態であると判断する。一方、例えば、通信端末15にカメラ361が接続されていない場合を想定する。この場合ユーザは、遠隔会議に参加する意志がない可能性がある。従ってCPU21は、通信端末15の参加状態として、遠隔会議に参加する可能性が低い状態であると判断する。
【0026】
状態(3)を例に挙げて具体的に説明する。例えば、現時点で遠隔会議に参加していない通信端末15と会議支援装置11との通信が可能な状態である場合を想定する。この場合通信端末15は、会議支援装置11との間で撮影画像および表示画像の通信を行うことによって遠隔会議を直ぐに行うことが可能な状態にある。従ってCPU21は、通信端末15の参加状態が、遠隔会議に参加する可能性が高い状態であると判断する。一方、通信端末15と会議支援装置11との通信が不可能な状態である場合を想定する。この場合、通信端末15の電源がOFFしているか、または、通信端末15がネットワーク20に接続していない可能性がある。これらの状態では、通信端末15は遠隔会議に参加することができない。従ってCPU21は、通信端末15の参加状態として、遠隔会議に参加する可能性が低い状態であると判断する。
【0027】
会議支援装置11は、状態(1)~(3)に基づいて判断した通信端末15の参加状態に応じて異なる表示画像の態様(第二表示態様~第六表示態様)を、HDD24に記憶されたテーブル241(図2参照)を参照することによって特定する。図2を参照し、テーブル241について説明する。テーブル241では、上述した状態(1)~(3)をより詳細に特定した状態(a)~(e)、および、遠隔会議に参加中の通信端末15を示す状態(0)に、表示画像の態様を示す第一表示態様~第六表示態様が対応付けられている。CPU21は、状態(a)~(e)の組み合わせや、通信端末15が遠隔会議に参加中であるか否かに応じて、対応する態様を特定する。CPU21は、特定した態様に基づいて表示画像を作成する。」
イ 「【0039】
図8を参照し、第六表示態様の表示画像の一例である、第六表示画像46について説明する。第六表示画像46は、遠隔会議に参加中の通信端末12、13から撮影画像が受信され、遠隔会議に参加していない通信端末14から、状態(1)(2)を示す情報が受信することができない場合を想定している。第六表示画像46では、ディスプレイ37の表示領域の横方向に並べられた表示枠51、52内に、撮影画像61、62が表示されている。通信端末14に対応する表示枠は表示されない。従って、第六表示画像46を視認したユーザは、撮影画像61、62で示される通信端末12、13のユーザを、遠隔会議に参加中のユーザとして明確に認識できる。またユーザは、遠隔会議に参加する可能性の高い通信端末15が他に存在しないことを認識できる。」
ウ 【図8】「
[図:0001423330000006.jpg]
」
4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項の記載がある。
ア 「【0218】
更に、マイクの入力ミュートの機能が実行された場合のステップS108におけるディスプレイ120dbの表示内容については、図36に示されているように、通話の相手を表わす画像の下側に、抑制状態アイコン、及びメッセージ(例えば、「AA端末はマイクミュート中です。」という内容)が表示されることになる。」
イ 【図36】「
[図:0001423330000007.jpg]
」
5 引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項の記載がある。
ア 「【0056】
図4Bはユーザインタフェース401-2を示している。ユーザインタフェース401-2は、マイクロフォンアイコン321-3が無効であることを示していること以外は、上記のユーザインタフェース301-1と同じである。ある実装では、マイクロフォンアイコン321-3が無効であることを示すことは、ユーザAが受信したユーザCの出方向の音声に問題があることを示している。ある場合には、ユーザCがマイクロフォンを無効化してしまっている。ある場合には、ユーザCがマイクロフォンを接続していない。ある場合には、通信ネットワーク(例えば図1の通信ネットワーク108)及び/又はユーザAのクライアント装置に問題がある。ある場合には、ユーザAがユーザCの音声を意図的に無効化している。」
イ 【図4B】「
[図:0001423330000008.jpg]
」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「会議システム10」を用いて行われる会議は、「インターネット等の通信網101を通じて互いに接続された」「複数の端末装置200、300、400、500とを用いて」行われるものであるから、引用発明における「会議」は、本願発明1の「オンライン会議」に相当する。
イ 引用発明の「端末装置200、300、400、500」は、会議参加者201、301、401、501が会議システム10で使用する端末装置200、300、400、500であるから、上記アを踏まえれば、本願発明1の「オンライン会議のためにユーザが使用する装置」に相当する。
ウ 引用発明の「端末装置200、300、400、500のカメラ部242を通じて、会議参加者201、301、401、501のうちの少なくとも一人または全員の行動を個別に検出」することは、端末装置のカメラ部242から会議参加者の行動を検出するものであるから、本願発明1の「ユーザが使用する装置から情報を取得する」ことに相当し、引用発明の「行動検出部160」は、本願発明1の「取得部」に相当することは明らかである。したがって、引用発明と本願発明1とは、「オンライン会議のためにユーザが使用する装置から情報を取得する取得部」を有する点で一致する。
エ 引用発明の「会議参加者201、301、401、501の行動」は、それぞれ、会議参加者201、301、401、501の使用する端末装置200、300、400、500のカメラ部242が検出するものであることは明らかであるから、本願発明1の「前記取得部によって取得された情報」といえる。
オ 引用発明の「表示制御部150は、会議参加者201、301、401、501の各々に割り当てて仮想的に表示するアバターを生成して表示させ」るものであり、「行動反映部180は、行動検出部160が検出した行動を、会議参加者201、301、401、501のアバターに反映させ」るものであるから、上記アからエを踏まえると、引用発明の「表示制御部150は、会議参加者201、301、401、501の各々に割り当てて仮想的に表示するアバターを生成して表示させ」ること、及び「行動反映部180は、行動検出部160が検出した行動を、会議参加者201、301、401、501のアバターに反映させ、行動検出部160が検出した会議参加者201、301、401、501の行動を反映して、表示状態を変化させ」ることと、本願発明1の「前記判定部によって前記装置のマイクの設定がミュートにされたと判定された場合、前記オンライン会議の参加者に提示されるアバターであって、前記ユーザに対応するアバターの表示態様を制御し、前記判定部によって前記ユーザが作業中でないと判定された場合、前記アバターの表情を笑顔に置き換える表示制御部」を有することとは、「オンライン会議の参加者に提示されるアバターであって、前記ユーザに対応するアバターの表示態様を制御する表示制御部」を有する点で一致する。
カ 引用発明の「システムサーバ100において、表示制御部150およびアバター駆動部190を形成し」、「アバター駆動部190は、行動検出部160および行動反映部180を有し」ているから、引用発明の「システムサーバ100」は、本願発明1の「表示制御装置」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「オンライン会議のためにユーザが使用する装置から情報を取得する取得部と、
前記オンライン会議の参加者に提示されるアバターであって、前記ユーザに対応するアバターの表示様態を制御する表示制御部と、
を有する表示制御装置。」
(相違点1)
本願発明1は、「前記取得部によって取得された情報を基に、前記装置のマイクの設定がミュートにされたか否か、及び前記ユーザが作業中であるか否かを判定する判定部」を有するが、引用発明は、このような構成について特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1は、「前記判定部によって前記装置のマイクの設定がミュートにされたと判定された場合」、かつ「前記判定部によって前記ユーザが作業中でないと判定された場合、前記アバターの表情を笑顔に置き換える」のに対し、引用発明は、取得部によって取得された情報を基に、アバター202、302、402、502の表情を変化させているものの、「前記判定部によって前記装置のマイクの設定がミュートにされたと判定された場合」、かつ「前記判定部によって前記ユーザが作業中でないと判定された場合、前記アバターの表情を笑顔に置き換える」ことは行っていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
引用文献2-5には、本願発明1の「装置のマイクの設定がミュートにされたと判定された場合」、かつ「ユーザが作業中でないと判定された場合、アバターの表情を笑顔に置き換える」ことについて、記載も示唆もなく、またこのような構成が本願の出願日前において周知技術であったともいえない。
したがって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項から、上記相違点2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2-6について
本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。したがって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明7について
本願発明7は、本願発明1に対応する「表示制御方法」の発明であり、本願発明1のカテゴリ表現が異なるだけの発明である。したがって、本願発明1と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明できたとはいえない。
4 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1-6のいずれかを「表示制御装置として機能させるための表示制御プログラム」であり、本願発明1と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明できたとはいえない。
第6 原査定について
上記第5で説示したとおり、本願発明1-8は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-013825