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特許拒絶査定不服審判

2024-012591

燃料油販売システム、販売システムおよび値引き額決定方法

審判番号
2024-012591
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-121628
請求日
2024年08月01日
審決日
2024年12月17日
公報発行日
2025年02月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】コスモ石油マーケティング株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
審判長/審判官
  • 審判長 篠塚 隆
  • 審判官 山澤 宏
  • 審判官 富澤 哲生
分類
P18 .121-WY (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-121628「燃料油販売システム、販売システムおよび値引き額決定方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 9月15日出願公開、特開2022-136295、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年2月8日に出願した特願2021-18059号(パリ条約による優先権主張 2020年12月18日 米国)の一部を、令和4年7月29日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 9月26日付け:拒絶理由通知書 令和6年 1月31日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 4月24日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 令和6年 8月 1日 :審判請求書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和6年4月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 (進歩性)本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2018-124839号公報 第3 本願発明 本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和6年1月31日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 燃料油の単価の値引き額を決定する燃料油販売システムであって、 前記燃料油販売システムは、 少なくともユーザの所定期間に亘る燃料油の累積購入量、所定期間における一つ以上の来店日時を含む購入履歴に基づいた値引き情報であって、ユーザを識別可能なユーザ識別情報に紐づいた値引き情報と、 サービスステーションが許容する値引き情報と、 に基づいて、ユーザに適した値引き額を決定する処理を実行する、 燃料油販売システム。 【請求項2】 少なくともユーザの所定期間に亘る燃料油の累積購入量、所定期間における一つ以上の来店日時を含む購入履歴に基づいた値引き情報であって、前記ユーザを識別可能なユーザ識別情報に紐づいた値引き情報である仮値引き情報と、 前記サービスステーションが許容する値引き情報である最大値引き情報と、 前記仮値引き情報と前記最大値引き情報とを比較し、 前記仮値引き情報が前記最大値引き情報を上回る値引き額の場合は前記最大値引き情報を、前記仮値引き情報が前記最大値引き情報を下回る値引き額の場合は前記仮値引き情報を、前記ユーザに適した値引き額として決定する処理を実行する、 請求項1に記載の燃料油販売システム。 【請求項3】 前記購入履歴を入力することによって、前記仮値引き情報を出力する学習モデルが記録された、学習モデル記録部を有する、請求項2に記載の燃料油販売システム。 【請求項4】 前記仮値引き情報は、 前記購入履歴に基づき定期的に更新される、請求項2に記載の燃料油販売システム。 【請求項5】 請求項1から4の燃料油販売システムと表示部を備えたユーザ端末とを含んだ販売システムであって、 前記ユーザに適した値引き額と前記ユーザ識別情報とを一体的に含んでコード化された画像情報を生成し、前記画像情報を前記表示部で表示する、 販売システム。 【請求項6】 燃料油の単価の値引き額を決定する値引き額決定方法であって、 前記値引き額決定方法は、 少なくともユーザの所定期間に亘る燃料油の累積購入量、所定期間における一つ以上の来店日時を含む購入履歴に基づいた値引き情報であって、ユーザを識別可能なユーザ識別情報に紐づいた値引き情報と、 サービスステーションが許容する値引き情報と、 に基づいて、燃料油販売システムがユーザに適した値引き額を決定する、 値引き額決定方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同様。) ア 「背景技術】 【0002】 物品、サービス等の購入は、種々の支払方法によって行われている。すなわち、現金、クレジット、磁気プリカ(プリペイドカード)、電子マネーなどに支払方法が多様化している。このように支払方法が多様化した現代では、給油所(SS:給油サービスステーション)における給油販売においても、顧客は、セルフ給油の際に、支払方法を給油用のPOS端末を入力操作して指定するか、あるいは支払方法毎の専用カードなどを用いて指定することが行われる。 ・・・中略・・・ 【課題を解決するための手段】 【0017】 上記課題を解決する本発明に従う給油システムは、第1の側面として、POS端末と給油機を有する給油装置と、前記POS端末と連携するPOS本体を有する給油サービスステーションにおける個人識別情報を用いる給油システムであって、顧客の個人識別情報と取引情報とを紐づけて管理するIDセンターを有し、前記顧客から入力される個人識別情報を前記POS本体により、又は顧客の有する通信機器により前記IDセンターに送り、前記IDセンターは、前記個人識別情報に紐づけている取引情報を検索して、前記POS本体に返送することにより、前記顧客は前記取引情報に基づく給油サービスの提供を受けることを特徴とする。 【0018】 上記課題を解決する本発明に従う給油システムは、前記第1の側面において、第1の態様として前記顧客の個人識別情報と紐づけて管理される取引情報は、現金、クレジット、あるいは電子マネーでの支払方法と、あらかじめ定めたパターンでの給油条件、更に値引き情報とポイント情報とオートチャージ情報の何れかを含むことを特徴とする。」 イ 「【図1】 [図:0001419265000001.jpg] 」 ウ 「【0029】 図1は、本発明に従う個人識別情報を用いる給油システムの概念構成図である。 【0030】 図1において、SSは、既存の給油サービスステーションであり、給油機11とPOS端末12を備えた給油装置1と、POS本体2を有する。 【0031】 本発明の特徴としてIDセンター3を設け、SSで行われる決済方法、給油指定、値引き等の情報と紐づけた顧客IDを一元管理する。IDセンター3は、ポイント管理センター4と、それぞれ個別のクレジットを運用する複数のクレジットセンター(1~N)5とインターネット等のネットワークNWを通して接続される。 ・・・中略・・・ 【0033】 ここで、本発明の特徴として顧客の個人識別情報に対して紐づけ登録される情報の実施例内容を、以下のように説明する。 【0034】 表1は、顧客がシステム、例えば、本発明の特徴として設けられるIDセンター3に登録する情報のテーブル例である。かかる登録のための情報は、顧客またはSSの従業員が操作するPOS端末12、又はPOS本体2により、あるいは、顧客の所持する通信端末であるスマートフォンなどの携帯端末から、インターネット網や電話回線を通じてIDセンター3に送られる。 【0035】 【表1】 [図:0001419265000002.jpg] 【0036】 以下表1に示される各情報について説明する。 ・・・中略・・・ 【0041】 特典情報とは、値引き、ポイント付与など、顧客の購入行為に対する利益提供に関する情報である。SSの設定する値引きを利用するか否かを選択し、さらに、ポイントの付与を受けるか否かを選択する。一般に、値引きは、各SSが、自店舗単独、または複数店舗にわたって、独自に、卸売価格や近隣の競業店の販売状況に鑑み、設定する場合が多い。ここでは、顧客は利用の有無を選択することとなる。一方、ポイントは、SS独自に設定するものと、一般小売業と共通に利用できるものなどがある。これらの多様なポイントサービスの中から、SS側が、利用可能なポイントサービスを選択できるように設定し、その中から、顧客が利用するポイントサービスを選択する構成とすることができる。SS側が、設定するポイントサービスに応じて、IDセンター3と接続するポイント管理センター4が決定する。」 エ 「【0056】 表3は、特典付与条件を示すテーブル例である。 【0057】 【表3】 [図:0001419265000003.jpg] 【0058】 上記表3は、一のIDに対して設定される特典の例である。 【0059】 付与される特典として値引きとポイントを指定するこができるが、これらは重畳して与えることもできる。また、いずれの特典を付与するかは、SS店舗が固定的に指定するか、顧客側に任意に選択させることとしてもよい。 【0060】 付与の条件は、特典が付与されるための条件である。ここでは、一定の値を超えた場合に、一定の値引きを与える場合と、購入金額に対して利率を乗じた値をポイントとして与える方法が指定できる。 【0061】 付与されるものとは、値引きやポイントを利用する対象、方法の例である。次回購入するものの代金や給油の場合は単価などの減額、金券発行、ポイントの代金への充当などが指定できる。 【0062】 特典利用期間とは、特典を利用できる期間である。一般的に、値引き、金券、ポイントなどには、利用期間が設定されるが、これはSS店舗が設定することになる。 【0063】 また、誕生月など、個人属性情報と紐づけて、特別の値引き、ポイント、その他の景品を与えるようにしてもよい。 【0064】 さらに、決済情報(現金払い、クレジット払い、電子マネー払い)の種別ごとに、特典の内容(質、量)を異ならせることとしてもよい。例えば、現金会員固有の情報を登録しておいてそれに対する特別の値引き、ポイント付与または他の支払方法に比べて有利な条件とするようにしてもよい。」 オ 上記ア、イ、ウによれば、引用文献1には、POS端末12と給油機11を有する給油装置1と、前記POS端末12と連携するPOS本体2を有する給油サービスステーション(SS)における個人識別情報を用いる給油システムであって、顧客の個人識別情報と取引情報とを紐づけて管理するIDセンター3を有し、前記顧客から入力される個人識別情報を前記POS本体2により、又は顧客の有する通信機器により前記IDセンター3に送り、前記IDセンター3は、前記個人識別情報に紐づけている取引情報を検索して、前記POS本体2に返送することにより、前記顧客は前記取引情報に基づく給油サービスの提供を受けることができるものであり、前記顧客の個人識別情報と紐づけて管理される取引情報は、現金、クレジット、あるいは電子マネーでの支払方法と、あらかじめ定めたパターンでの給油条件、更に値引き情報とポイント情報とオートチャージ情報の何れかを含む、給油システムが記載されている。 カ 上記ウの段落【0018】、【0035】、【0041】には、前記個人識別情報と紐付けている取引情報の値引き情報が、SSの設定する値引きを利用するか否かを選択したものであることが記載されている。 キ 上記エには、前記SSの設定する値引きは、購入金額または数量が一定値を超えた場合、次回以降の物品の購入代金や給油の場合は単価などを減額することであることが記載されている。 (2)引用発明 上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「POS端末12と給油機11を有する給油装置1と、前記POS端末12と連携するPOS本体2を有する給油サービスステーション(SS)における個人識別情報を用いる給油システムであって、 顧客の個人識別情報と取引情報とを紐づけて管理するIDセンター3を有し、 前記顧客から入力される個人識別情報を前記POS本体2により、又は顧客の有する通信機器により前記IDセンター3に送り、前記IDセンター3は、前記個人識別情報に紐づけている取引情報を検索して、前記POS本体2に返送することにより、前記顧客は前記取引情報に基づく給油サービスの提供を受けることができるものであり、 前記顧客の個人識別情報と紐づけて管理される取引情報は、現金、クレジット、あるいは電子マネーでの支払方法と、あらかじめ定めたパターンでの給油条件、更に値引き情報とポイント情報とオートチャージ情報の何れかを含み、 前記値引き情報は、SSの設定する値引きを利用するか否かを選択したものであって、 前記SSの設定する値引きは、購入金額または数量が一定値を超えた場合、次回以降の物品の購入代金や給油の場合は単価などを減額することである、 給油システム。」 第5 引用発明との対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「給油システム」は、「給油サービスステーション(SS)における個人識別情報」に「紐づけている取引情報」に「基づく給油サービスの提供を受けることができるもの」である。そして、「紐づけている取引情報」は、「SSの設定する値引きを利用するか否かを選択」する「値引き情報」を含むものであって、さらに、利用を選択した際には、「給油の場合は単価などを減額する」ものである。してみると、引用発明の「給油システム」は、「給油サービス」として「個人識別情報と紐づけて管理される取引情報」の「値引き情報」からユーザに適した給油の単価の値引きを決定していると認められる。 また、引用発明の「給油サービス」が、燃料油の給油販売であることは明らかである。 してみると、引用発明の「個人識別情報」は、本願発明1の「ユーザを識別可能なユーザ識別情報」に相当し、また、引用発明の「値引き情報」と、本願発明1の「少なくともユーザの所定期間に亘る燃料油の累積購入量、所定期間における一つ以上の来店日時を含む購入履歴に基づいた値引き情報であって、ユーザを識別可能なユーザ識別情報に紐づいた値引き情報」とは、後記の点で相違するものの、「値引き情報であって、ユーザを識別可能なユーザ識別情報に紐づいた値引き情報」の点では共通する。 さらに、引用発明の「給油システム」と、本願発明1の「燃料油販売システム」とは、後記の点で相違するものの、「燃料油の単価の値引き額を決定する燃料油販売システムであって、前記燃料油販売システムは、値引き情報であって、ユーザを識別可能なユーザ識別情報に紐づいた値引き情報、に基づいて、ユーザに適した値引き額を決定する処理を実行する、燃料油販売システム」の点では共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 〈一致点〉 「燃料油の単価の値引き額を決定する燃料油販売システムであって、 前記燃料油販売システムは、 値引き情報であって、ユーザを識別可能なユーザ識別情報に紐づいた値引き情報、 に基づいて、ユーザに適した値引き額を決定する処理を実行する、 燃料油販売システム。」 〈相違点1〉 「値引き情報」が、本願発明1では、「少なくともユーザの所定期間に亘る燃料油の累積購入量、所定期間における一つ以上の来店日時を含む購入履歴に基づいた」ものであるのに対して、引用発明では、SSの設定する値引きを利用するか否かを選択したものである点。 〈相違点2〉 「値引き額を決定する処理」が、本願発明1では、「値引き情報」と、「サービスステーションが許容する値引き情報と、に基づ」くものであるのに対して、引用発明では、値引き情報には基づくものであるが、そのような許容する値引き情報には基づいていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、まず、相違点2について検討する。 ユーザに固有の値引き情報と、サービスステーションが許容する値引き情報と、に基づいて、ユーザに適した値引き額を決定することが、本願の優先日前における周知技術であったとはいえない。 また、引用発明では、「値引き」は「SS」(給油サービスステーション)が設定するものであって、さらに、サービスステーションが許容する値引き情報にも基づいて値引き額を決定する理由が存在しないから、仮に上記の点が周知技術であったとしても、引用発明に適用する動機付けがあるとはいえない。 そして、本願発明1は、相違点2に係る構成により、サービスステーションの利益も考慮した最適な値引き額が提供されるため、「サービスステーションの事情も考慮した上でユーザに対する割引額を設定することができる。つまり、ユーザ、燃料元売り会社、サービスステーションの三者にとって都合のよい割引額を設定することができる。」(本願明細書段落【0036】)との引用文献1から予期し得ない作用効果を奏することが認められる。 したがって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2-4について 本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明であり、上記相違点2に係る発明特定事項を含むことから、本願発明2-4は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 本願発明5について 本願発明5は、本願発明1から4のいずれかの「燃料油販売システム」と「表示部を備えたユーザ端末とを含んだ販売システム」であって、上記相違点2に係る発明特定事項を含むことから、本願発明5は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 本願発明6について 本願発明6は、本願発明1の「燃料油販売システム」を方法の観点から記載したに過ぎず、上記相違点2に対応する構成を含むことから、本願発明6は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 原査定についての判断 審判請求時の補正により、本願発明1ないし6は上記第3に示したとおりのものとなっているから、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由(進歩性)を維持することはできない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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