特許拒絶査定不服審判
2022-009196
販売員への販売提案提供システムおよび方法
- 審判番号
- 2022-009196
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-197338
- 請求日
- 2022年06月15日
- 審決日
- 2023年03月28日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コスモ石油マーケティング株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人信栄事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼田 耕一
- 審判官 中野 裕二
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-197338「販売員への販売提案提供システムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月 8日出願公開、特開2022- 85581〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年11月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年11月11日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月17日付け:拒絶査定
令和4年 6月15日 :審判請求書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年3月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2008-181538号公報
第3 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和4年3月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
燃料油を販売するサービスステーションの販売員への顧客に対する販売提案を提供する販売提案提供システムであって、
前記サービスステーションで販売する商品のうちどの商品の販売を進めるかを前記販売員へ指示する、複数の声かけモデルを記録した声かけモデル記録部と、
車両のナンバープレートを撮像するカメラと、
前記カメラが撮像した画像から前記車両の車両ナンバーを特定するナンバー特定部と、
顧客の来店頻度と給油履歴を少なくとも含む属性情報を記録した顧客データベースを記録した顧客情報記録部と、
前記顧客データベースを用いて、特定した前記車両ナンバーに対応する前記顧客の前記属性情報を特定する属性特定部と、
前記属性情報を入力すると、前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定するように学習された学習モデルが記録された学習モデル記録部と、
前記属性特定部で特定した前記属性情報を前記学習モデルに入力して特定した、前記顧客に適した前記声かけモデルを販売員端末に出力する出力部を備えた、販売員への販売提案提供システム。」
第4 引用文献及び引用発明等
1 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2008-181538号公報(平成20年8月7日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の特許文献1記載のシステムによれば、カードがなくとも顧客を識別することはできるが、カメラを撮影するタイミングがセンサにより認識したときだけであるため、ナンバープレーが確実に撮影されているかどうか分からず、必ずしも認識精度が良くなかった。特に、車のナンバープレートのように車種によってナンバープレート場所が異なるし、また同じ車種でもナンバープレートの付いている高さや位置が異なることも多く、一度の撮影だけではナンバーが認識できないことが多くあった。
一方で、どのような車種であっても、またどのような位置に取り付けられたナンバープレートであっても認識できるように、広角で撮影することも可能であるが、このような撮影方法とすると撮影画像からナンバープレートを切り出して認識するための処理が面倒となってしまうという問題があった。
また、各車庫ごとにカメラだけでなく、進入を検知するセンサを取り付けなければならないため、設備投資が多くなりコストも高くなってしまうという問題があった。
【0008】
また、従来の特許文献2記載のシステムによれば、特定の区間を通過するときにドライバーに対して通知することはできるが、これを店員が知って、顧客の来店履歴等に応じたサービスを提供することはできなかった。
【0009】
本発明は、上述の課題解決するためになされたものであって、カードなどの媒体を用いなくとも、車で来店した顧客を判別して、店員が各顧客にあったサービスが提供できるように支援するための仕組みを提供する。」
「【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カードなどの媒体を用いなくとも、車で来店した顧客を判別して、店員が各顧客にあったサービスが提供できるように支援することができる。
【0017】
また、ナンバープレートを正しく認識して、顧客(車両)を判別したうえで顧客に対してサービスを提供することができる。
【0018】
また、店員も無線の店員端末を持ち歩くことで、サービスを提供すべき顧客が来たことを、どこに居ても知ることができ、直ちにサービスを提供することができる。」
「【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明をガソリンスタンドの顧客管理システムに適用した実施形態について説明する。
図1において、来店車両のナンバープレート画像を解析することで、来店した顧客に提供すべきサービス情報を店員に通知する顧客管理装置1と、ガソリンスタンドの来店車両のナンバープレートの画像を撮影するためのカメラ2と、車両に給油を行うための給油機3と、ガソリンスタンドのスタッフルームなどに配置され従業員が使用する従業員端末4及び個々の従業員が保持する携帯端末5から構成されている。
【0020】
カメラ2は、来店車両の画像を撮影するための撮影装置である。
このカメラ2は、図2に示すように、給油機3のレーンLごと(図示の例では、L1~L3)に取り付けられており、給油機3のところに車を止めた状態で、車の下部のナンバープレートが取り付けられ部分を撮影できる位置に配置されている。この例では、カメラ2は、ガソリンスタンドの屋根、洗車機の前面、事務室の壁面などに取り付けられており、侵入してきた車の斜め上部から車のナンバープレートを含む前部を撮影する。
そして、各レーンLに侵入してきたときから、カメラ2は、そのオートフォーカス機能により、移動する車両のナンバープレートを所定の間隔(例えば3秒ごと)に連続して静止画像を撮影できるようになっている。
また、この例では、給油を行うレーンだけでなく、洗車装置のレーンLC上部にも取り付けられており、洗車を行う顧客車両のナンバープレートを読み取り、どの車両が洗車を行ったかをナンバープレートで識別できるようになっている。
また、カメラ2と顧客管理装置1はケーブルにより接続されており、撮影した画像データがケーブルにより顧客管理装置1へ送信されるようになっている。
また、カメラ2にはそれぞれのレーンをあらわす識別情報(例えば、L1~Ln)が記憶されており、これによりどのレーン識別情報を画像と共に顧客管理装置1へ送ることでどのレーンの画像か識別できるようになっている。
なお、各カメラ2の横には、夜でも撮影ができるように、その撮影範囲を照明するためのライトが必要に応じて取り付けられている。」
「【0023】
携帯端末5は、店員が保持する端末である。
この携帯端末5は、図3に示すようにディスプレイ51、スピーカ52、ランプ53、確認ボタン54及び、図示しないバイブレーション装置を有している。
ディスプレイ51は、顧客管理装置1からの指示情報を表示するためのものであり、例えばレーンL1にオイル交換を勧めるべき顧客が来た場合には、顧客管理装置1からの通知によりそのレーン番号「L1」と「オイル交換」のメッセージが表示される。
スピーカ52は、顧客管理装置1からの指示情報を音として出力するためのものであり、例えばレーンL1にオイル交換を勧めるべき顧客が来た場合には、顧客管理装置1からの通知によりブザー音などを発したり、またそのレーン番号と「オイル交換」のメッセージを音声として出力する。
ランプ53は、LEDなどの発光素子により構成されており、顧客管理装置1からの指示情報を点灯して知らせるものである。例えば、緑、赤、オレンジの3色のランプ53を取り付けておき、あるレーンLに入ってきた車の顧客に対して勧める商品・サービスとして、オイル交換であれば緑色、車検であれば赤色、洗車であればオレンジ色のランプ53が点灯するようになっている。
確認ボタン54は、顧客管理装置1からの指示に対して、店員が指示内容を確認したことを通知するボタンである。例えば、あるレーンLに入店した顧客に対する指示メッセージが表示されたり、またランプ53が点灯したり、ブザー音が鳴った場合、この確認ボタン54が押されることで、これらの指示を確認したことなり、ディスプレイ51の表示や、ランプ53が消えたり、ブザーやバイブが止まるようになる。
なお、各携帯端末5に予めユニークな識別番号を付与しておき、確認ボタン54が押されたときに、顧客管理装置1に対して識別番号を送信するようにしてもよい。これにより、どの店員が対応したかを顧客管理装置1側で管理することができる。
また、携帯端末5にはバイブレーション装置が内蔵されている。このバイブレーション装置としては、偏心させたモータにより構成でき、このモータを通電させて回転させることで、モータが振動し、バイブレーションにより店員に通知することができる。
この携帯端末5は、携帯電話やポケットベル(登録商標)タイプでもよいし、また腕時タイプの端末としてもよく、その形態は任意である。
腕時計タイプの端末としては、例えば、東京信友株式会社製の「シルウォッチ(登録商標)」などを利用して従業員がメッセージを知ることができる。
【0024】
顧客管理装置1は、ガソリンスタンドに来店した顧客の情報を管理するためのコンピュータである。
この顧客管理装置1は、CPU(Central
ProcessingUnit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、及びこのコンピュータプログラムや他のデータを記憶するためのRAM(RandomAccess
Memory)などの内部メモリ、ハードディスクドライブなどの外部記憶装置により図4に示した機能ブロックを構成することができる。
図4に示した機能ブロックは、顧客属性データベース(DB)11及び顧客履歴データベース(DB)12からなる顧客情報の記憶手段と、サービス基準テーブル13、料金テーブル14、解析処理部15、顧客情報判別部16、出力処理部17、メール送信部18、顧客情報更新部19、料金テーブル更新部20から構成されている。
【0025】
顧客属性データベース11は、顧客に関する属性情報をデータベース化したものである。この顧客属性データベース11には、図5に示すように、顧客を識別するID、顧客の車両ナンバー、氏名及び住所などの個人情報、顧客のランク、メールアドレス、車検日、オイル交換日、洗車日などが記憶できるようになっている。
顧客の車のナンバーは、例えば、「品川
あ331234」のようにナンバープレートの情報が記憶されている。
個人情報は、顧客の氏名、住所、電話番号、性別、年齢などの情報が登録できるようになっている。
ランクは、顧客がサービスを受けることができるレベルを表しており、ゴールドであれば優遇され、通常であれば一般会員としてのサービスを受けることができる。なお、この段階をどのように定めるかは任意である。
車検日は、顧客の車の次回の車検日の情報であり、オイル交換及び洗車日は当該ガソリンスタンドで最後にオイル交換や洗車を行った年月日を記憶できるようになっている。
【0026】
顧客履歴データベース12は、顧客(車両)のガソリンスタンドの利用履歴情報をデータベース化したものである。
この顧客履歴データベース12には、図6に示すように顧客の車両ナンバー、来店年月日、利用種別、金額などのデータを記憶できるようになっている。
利用種別は、顧客がガソリンスタンドで購入した商品やサービスを表すものであり、「給油」、「洗車」、「オイル交換」、「車検」などの種類を記憶できるようになっている。
従って、ナンバープレート情報「品川
あ331234」の顧客(車両)が2006年1月1日に給油を行った場合には、ナンバープレート情報「品川あ
331234」、利用年月日「2006/01/01」、利用種別「給油」、金額「3200」円が記憶される。
【0027】
サービス基準テーブル13は、店員に対して、顧客に各サービスを勧めるか否かの基準となる基準値を記憶するためのテーブルである。
このテーブルには、例えば、来店頻度であれば前回の来店から1ヶ月以上経過している、オイル交換であれば6ヶ月、洗車であれば1ヶ月、車検であれば車検満了日前6ヶ月、車販売であれば車購入対象となっているランクなどの基準が記憶されている。
これにより、この基準を超えた顧客(車両)に対しては、基準を超えている旨のアラーム出力がされることとなる。
なお、この基準値は、管理者が変えることができ、例えば、今月はオイル交換を奨励したい場合には、オイル交換のところに「0」を入力しておくことにより、どの顧客(車両)に対してもオイル交換がお勧め表示される、オイル交換キャンペーンなどを行うことができる。」
「【0030】
顧客情報判別部16は、顧客属性データベース11又は顧客履歴データベース12を参照して、解析された車のナンバーから当該顧客の来店回数、前回来店年月日、洗車の前回利用情報、オイル交換の前回利用情報を検索し、これらが所定の基準を満たしているか否か判別する。
具体的には、サービス基準テーブル13に記憶されている来店頻度であれば1ヶ月、洗車であれば前回の洗車から1ヶ月間、オイル交換であれば前回の交換から6ヶ月間という基準期間を基準に、前回これらを行った日時から今回までの経過日数がこの基準時間を経過しているか否かを判別する。これにより、顧客に対してこれらの商品やサービスを勧める必要があるか否かを判別することができる。
同様に、顧客情報判別部16は、顧客属性データベース11を参照して、車検年月日、車販売情報についても該当する顧客(車両)か判別する処理を行う。例えば、車検日が「2007年01月31日」であれば、その日から残り6ヶ月前となっているか否かを判別して、6ヶ月以下の場合には車検日が近いことを通知する。
なお、これらの項目は、オイル交換や車検などの種別により顧客へ通知する時期を定めておけばよい。
【0031】
出力処理部17は、撮影したナンバープレートの画像、解析したナンバーなどの情報及び、店員が顧客に対して宣伝すべきサービスや商品の情報などを従業員端末4のディスプレイ、スピーカ等から出力させる処理を行う。
また、出力処理部17は、入店してきた顧客(車両)がオイル交換、車検、車販売などを勧めるべき顧客(車両)であると判別された場合には、店舗内LANなどを介して店員が保持している携帯端末5に対して、その旨を店員に通知するよう指示する。
具体的には、携帯端末5に対して、オイル交換や、車検、車販売などを勧めるべき顧客(車両)が入店してきたときには、そのレーン番号と勧めるべき商品等の情報を表示させたり、あるいは単にバイブレーションや提供するサービスを表すランプの点灯、ブザーなどを作動させる指示情報を送信することで、店員がサービス対象の顧客(車両)が入店したことを認識できるようにする。」
「【0035】
次に、上述のように構成された顧客情報管理システムにより行われる顧客管理方法の一例を、図7を参照して説明する。
図7において、まずガソリンスタンドの各レーンLに設けられたカメラ2は常時レーンL内の画像を撮影している(S1)。この撮影は例えば、3秒間ごとなど所定の間隔を置いてレーンL内の画像の撮影が行われている。
この状態で車がレーン内に進入してくると、カメラ2はレーンL内に進入してきた車のナンバープレート部分を、例えば3秒間おきに連続して撮影する。これにより、レーンLへの進入開始時点、進入途中、レーンL内で停車などの各場面でのナンバープレートの画像が撮影される。
そして、撮影された画像データは、当該レーンの識別情報と共に、撮影されるごとにカメラ2から顧客管理装置1へ送信される(S2)。
【0036】
解析処理部15は、送信されたナンバープレートの画像を解析して、車のナンバーを解析する(S3)。この処理は、撮影画像データを受信するごとに行われる。そのため、車がレーンLへの進入開始時点、進入途中、レーンL内で停車の3枚が撮影された場合には、各場面のナンバーが解析される。
そして、車のナンバーが解析できたか否か判別を行う(S4)。
その結果、解析できなった場合、つまり、車がレーンLに存在しない場合、又はナンバープレートの画像が不鮮明な場合や、ナンバープレートが正確に撮影されていない場合のようにナンバーが解析できない場合には、再度S1の処理に戻ってカメラ2による撮影を行う。
【0037】
一方、ナンバーが解析できたときには、顧客情報判別部16が、解析されたナンバーに基づいて、顧客属性データベース11及び顧客履歴データベース12を参照して、顧客情報及びその顧客の履歴情報を検索して抽出する(S5)。
この処理は、解析されたナンバーが「品川
あ331234」であれば、顧客属性データベース11に、このナンバーに関連付けられている顧客氏名、顧客のランク、車検日、オイル交換日、洗車日などのデータを検索して抽出する。同様に、顧客履歴データベース12にこのナンバーに関連付けられている履歴の件数(来店回数)、前回の来店日時を検索して抽出する。」
「【0039】
顧客情報判別部16は、抽出した顧客情報の中から、店員が顧客に勧めるべき商品又はサービスがあるか否か判別する(S6)。
この処理は、顧客情報判別部16が、サービス基準テーブル13を参照して、抽出した車検日、オイル交換日、洗車日、前回からの来店日時のうちから、各項目のサービス基準期間を超えている項目がないか否かを判別し、この超えている項目を顧客へ勧めるべきサービス項目と判別する。
具体的には、車検日であれば「車検日の前6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で既に車検日前5ヶ月と判定されれば、「車検」が顧客に勧めるべき項目と判別される。同様に、オイル交換についても「オイル交換から6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で前回のオイル交換から7ヶ月経過と判定されれば「オイル交換」が顧客に勧めるべき項目と判別される。また洗車であれば、前回の洗車日から2ヶ月以上経過と判別されれば、「洗車」を顧客に勧めるべき項目と判別される。
これら複数の項目のうち、少なくとも1つでも該当する項目があれば、店員が顧客に勧めるべき商品又はサービスがありと判別され、複数ある場合には複数の項目が抽出される。
【0040】
判別の結果、顧客に勧めるべき項目がないと判別されたときは、撮影したナンバープレートの画像と、解析したナンバーのデータとを店員端末4に送信する(S7)。
この時の画面としては、例えば、図8のレーン1に示すように、店員端末4の画面上には「来店車両」として撮影したナンバープレートの画像と「車番」として解析されたナンバーの画像が並んで表示され、店員に対する特にコメントは出ない。
【0041】
また、顧客に勧めるべき項目があると判別された場合には、出力処理部17が、顧客情報判別部16により抽出された指示情報を、店員端末4のディスプレイに表示させる(S8)。
この時の画面としては、図8のレーン2やレーン3示すように、「来店車両」として撮影したナンバープレートの画像と「車番」として解析されたナンバーの画像が並んで表示され、解析結果が正しかったか否かを店員が目視で確認するだけでなく、お勧めとして「車検日間近」という指示のメッセージを表示する。
これにより、ディスプレイを見た店員は、レーンL2に入った顧客(車両)に対しては、車検を勧めるよう会話することができる。
【0042】
また、店員に携帯端末5を持たせている場合には、出力処理部17が、各携帯端末5に対してサービス対象顧客(車両)の入店を報知する指示情報を通知する(S9)。
携帯端末5への通知は、例えば、レーン番号と顧客に勧めるべきサービスの内容を携帯端末5のディスプレイ51に表示させてもよいし、またバイブレーションによりサービス対象の顧客(車両)が入店したことを通知してもよい。また、オイル交換であれば緑色、車検であれば赤色、洗車であればオレンジ色のランプ53を点灯させることを指示する情報を通知してもよいし、バイブレーションやブザー等により報知するようにしてもよい。」
【図1】「
[図:0001397963000001.jpg]
」
【図2】「
[図:0001397963000002.jpg]
」
【図3】「
[図:0001397963000003.jpg]
」
【図4】「
[図:0001397963000004.jpg]
」
【図5】「
[図:0001397963000005.jpg]
」
【図6】「
[図:0001397963000006.jpg]
」
【図7】「
[図:0001397963000007.jpg]
」
【図8】「
[図:0001397963000008.jpg]
」
したがって、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガソリンスタンドの顧客管理システムであって、
来店車両のナンバープレート画像を解析することで、来店した顧客に提供すべきサービス情報を店員に通知する顧客管理装置1と、ガソリンスタンドの来店車両のナンバープレートの画像を撮影するためのカメラ2と、車両に給油を行うための給油機3と、ガソリンスタンドのスタッフルームなどに配置され従業員が使用する従業員端末4及び個々の従業員が保持する携帯端末5から構成されており、
カメラ2は、来店車両の画像を撮影するための撮影装置であり、給油機3のレーンLごとに取り付けられており、各レーンLに侵入してきたときから、そのオートフォーカス機能により、移動する車両のナンバープレートを所定の間隔に連続して静止画像を撮影できるようになっており、洗車装置のレーンLC上部にも取り付けられており、洗車を行う顧客車両のナンバープレートを読み取り、どの車両が洗車を行ったかをナンバープレートで識別できるようになっており、
カメラ2と顧客管理装置1はケーブルにより接続されており、撮影した画像データがケーブルにより顧客管理装置1へ送信されるようになっており、
携帯端末5は、店員が保持する端末であり、ディスプレイ51を有しており、
ディスプレイ51は、顧客管理装置1からの指示情報を表示するためのものであり、レーンL1にオイル交換を勧めるべき顧客が来た場合には、顧客管理装置1からの通知によりそのレーン番号「L1」と「オイル交換」のメッセージが表示され、
顧客管理装置1は、ガソリンスタンドに来店した顧客の情報を管理するためのコンピュータであり、顧客属性データベース(DB)11及び顧客履歴データベース(DB)12からなる顧客情報の記憶手段と、サービス基準テーブル13、解析処理部15、顧客情報判別部16、出力処理部17から構成されており、
顧客属性データベース11は、顧客に関する属性情報をデータベース化したものであり、顧客を識別するID、顧客の車両ナンバー、氏名及び住所などの個人情報、顧客のランク、メールアドレス、車検日、オイル交換日、洗車日などが記憶できるようになっており、
顧客の車のナンバーは、「品川あ331234」のようにナンバープレートの情報が記憶されており、
車検日は、顧客の車の次回の車検日の情報であり、オイル交換及び洗車日は当該ガソリンスタンドで最後にオイル交換や洗車を行った年月日を記憶できるようになっており、
顧客履歴データベース12は、顧客(車両)のガソリンスタンドの利用履歴情報をデータベース化したものであり、顧客の車両ナンバー、来店年月日、利用種別、金額などのデータを記憶できるようになっており、
利用種別は、顧客がガソリンスタンドで購入した商品やサービスを表すものであり、「給油」、「洗車」、「オイル交換」、「車検」などの種類を記憶できるようになっており、
サービス基準テーブル13は、店員に対して、顧客に各サービスを勧めるか否かの基準となる基準値を記憶するためのテーブルであり、来店頻度であれば前回の来店から1ヶ月以上経過している、オイル交換であれば6ヶ月、洗車であれば1ヶ月、車検であれば車検満了日前6ヶ月、車販売であれば車購入対象となっているランクなどの基準が記憶されており、
顧客情報判別部16は、顧客属性データベース11又は顧客履歴データベース12を参照して、解析された車のナンバーから当該顧客の来店回数、前回来店年月日、洗車の前回利用情報、オイル交換の前回利用情報を検索し、これらが所定の基準を満たしているか否か判別し、具体的には、サービス基準テーブル13に記憶されている来店頻度であれば1ヶ月、洗車であれば前回の洗車から1ヶ月間、オイル交換であれば前回の交換から6ヶ月間という基準期間を基準に、前回これらを行った日時から今回までの経過日数がこの基準時間を経過しているか否かを判別し、これにより、顧客に対してこれらの商品やサービスを勧める必要があるか否かを判別することができ、
顧客情報判別部16は、顧客属性データベース11を参照して、車検年月日、車販売情報についても該当する顧客(車両)か判別する処理を行い、車検日が「2007年01月31日」であれば、その日から残り6ヶ月前となっているか否かを判別して、6ヶ月以下の場合には車検日が近いことを通知し、
出力処理部17は、撮影したナンバープレートの画像、解析したナンバーなどの情報及び、店員が顧客に対して宣伝すべきサービスや商品の情報などを従業員端末4のディスプレイから出力させる処理を行い、
出力処理部17は、入店してきた顧客(車両)がオイル交換、車検、車販売などを勧めるべき顧客(車両)であると判別された場合には、店舗内LANなどを介して店員が保持している携帯端末5に対して、その旨を店員に通知するよう指示し、具体的には、携帯端末5に対して、オイル交換や、車検、車販売などを勧めるべき顧客(車両)が入店してきたときには、そのレーン番号と勧めるべき商品等の情報を表示させる指示情報を送信することで、店員がサービス対象の顧客(車両)が入店したことを認識できるようにし、
車がレーン内に進入してくると、カメラ2はレーンL内に進入してきた車のナンバープレート部分を、撮影し、これにより、ナンバープレートの画像が撮影され、撮影された画像データは、当該レーンの識別情報と共に、撮影されるごとにカメラ2から顧客管理装置1へ送信され、
解析処理部15は、送信されたナンバープレートの画像を解析して、車のナンバーを解析し、
ナンバーが解析できたときには、顧客情報判別部16が、解析されたナンバーに基づいて、顧客属性データベース11及び顧客履歴データベース12を参照して、顧客情報及びその顧客の履歴情報を検索して抽出し、
この処理は、解析されたナンバーが「品川あ331234」であれば、顧客属性データベース11に、このナンバーに関連付けられている顧客氏名、顧客のランク、車検日、オイル交換日、洗車日などのデータを検索して抽出し、同様に、顧客履歴データベース12にこのナンバーに関連付けられている履歴の件数(来店回数)、前回の来店日時を検索して抽出し、
顧客情報判別部16は、抽出した顧客情報の中から、店員が顧客に勧めるべき商品又はサービスがあるか否か判別し、この処理は、顧客情報判別部16が、サービス基準テーブル13を参照して、抽出した車検日、オイル交換日、洗車日、前回からの来店日時のうちから、各項目のサービス基準期間を超えている項目がないか否かを判別し、この超えている項目を顧客へ勧めるべきサービス項目と判別し、具体的には、車検日であれば「車検日の前6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で既に車検日前5ヶ月と判定されれば、「車検」が顧客に勧めるべき項目と判別され、同様に、オイル交換についても「オイル交換から6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で前回のオイル交換から7ヶ月経過と判定されれば「オイル交換」が顧客に勧めるべき項目と判別され、また洗車であれば、前回の洗車日から2ヶ月以上経過と判別されれば、「洗車」を顧客に勧めるべき項目と判別され、これら複数の項目のうち、少なくとも1つでも該当する項目があれば、店員が顧客に勧めるべき商品又はサービスがありと判別され、複数ある場合には複数の項目が抽出され、
顧客に勧めるべき項目があると判別された場合には、出力処理部17が、顧客情報判別部16により抽出された指示情報を、店員端末4のディスプレイに表示させ、この時の画面としては、「来店車両」として撮影したナンバープレートの画像と「車番」として解析されたナンバーの画像が並んで表示され、解析結果が正しかったか否かを店員が目視で確認するだけでなく、お勧めとして「車検日間近」という指示のメッセージを表示し、これにより、ディスプレイを見た店員は、レーンL2に入った顧客(車両)に対しては、車検を勧めるよう会話することができ、
店員に携帯端末5を持たせている場合には、出力処理部17が、各携帯端末5に対してサービス対象顧客(車両)の入店を報知する指示情報を通知し、携帯端末5への通知は、レーン番号と顧客に勧めるべきサービスの内容を携帯端末5のディスプレイ51に表示させてもよい、
顧客管理システム。」
2 周知文献、周知技術
周知技術が記載されている文献として新たに例示する、矢口竜太郎、ケーススタディー 三井住友海上火災保険 全代理店にAIを一斉導入 「どの顧客に何を売るか」を助言、日経コンピュータ、令和2年4月16日、第1014号、54-57ページには、以下の記載がある。
「MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス傘下の損害保険会社である三井住友海上火災保険が2020年2月、AIを活用した代理店向け営業支援システム「MS1 Brain(エムエスワンブレイン)」の稼働を始めた。既存の代理店向けシステム「MS1」にAI機能を追加した。MS1を使って保険契約を管理する代理店の営業担当者にAIが効果的な営業活動を助言する。
AIは過去の契約実績や顧客情報などのビッグデータに基づき、顧客が必要としている可能性の高い保険商品の構成などを営業担当者に推奨する。AIは顧客のニーズが変化するタイミングを見計らっており、提案するのに最適なタイミングが来ると営業担当者が使うMS1の画面にAIによる推奨がポップアップ表示される。」(54ページ左欄1行-右欄3行)
「新たに導入したMS1 Brainが搭載するAIは顧客一人ひとりの状況を勘案して提案内容やタイミングを判断する。単に満期になりそうな顧客に提案するだけではない。顧客の過去約7年分の契約情報に加えて年齢や家族構成などの属性情報を分析し、「どのような条件がそろったときにどの保険商品が買われるか」を推定したうえで、成約確率の高い顧客と商品構成を営業担当者に示す。」(55ページ左欄14行-中欄1行)
「AIは人間がこれまで着目してこなかった顧客情報を根拠に新しい商品を推奨する場合もある。例えば「営業担当者と顧客との年齢差が5歳以内」といった条件もAIによる判断材料の1つなのだという。過去の実績データから「契約を更新しなさそうだ」と推測される顧客がいる場合は営業担当者に対して事前に警告を発し、顧客ニーズに沿った別の商品を勧める。」(55ページ中欄7行-右欄2行)
「「ニーズ予測分析」は、営業提案すべき顧客とお薦めの商品、そう判断した理由を表示する。判断根拠はAIが算出した独自の「お薦め度」によって、1~5の5段階で表す。
お薦め度は機械学習モデルによって算出する。過去の契約情報と顧客情報などから機械学習モデルを作った。機械学習モデルに顧客情報を入力すると、ターゲット顧客と推薦すべき商品、お薦め度を導出する。お薦め度が3以上であれば営業担当者に通知する。
機械学習モデルの作成には、NECの子会社である米ドットデータのモデル自動作成ツール「dotData」を利用した。dotDataを使う場合、業務システムのデータを格納するRDB(リレーショナルデータベース)を指定し、予測したい数値があるテーブルの列(カラム)と、予測に使うデータが入ったテーブルを選択するだけで、顧客の属性から将来の行動を予測するモデルができあがる。機械学習モデルの開発に必要な特徴量の設計やアルゴリズムの選択はすべて自動化される。
dotDataで作ったモデルについては、「なぜAさんに商品Bを薦めるべきか」といった分析結果の理由も分かる。例えば「年齢が○~○歳」「家族と同居」「同居家族に免許保有者がいる」といった理由から「××特約」を薦めると成約確率が高い、といった具合だ。」(56ページ右欄4行-57ページ左欄9行)
したがって、「商品販売分野において、顧客の属性と商品販売情報等から機械学習モデルを作成し、当該機械学習モデルに顧客の属性を入力することで、当該顧客に推薦すべき商品を営業担当者に推奨すること」は、本願出願前における周知技術であると認められる。
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
1 引用発明の「ガソリン」は、本願明細書【0011】の「第一給油レーン10では、車両へレギュラーガソリンなどの燃料油が供給される。」との記載を踏まえると、本願発明の「燃料油」に相当する。また、引用発明の「ガソリンスタンド」は、ガソリンを販売し、オイル交換や洗車などのサービスを提供するステーションであるといえるから、本願発明の「燃料油を販売する」「サービスステーション」に相当する。さらに、引用発明の「店員」は、ガソリン及びオイル交換や洗車などのサービスを販売する者であるから、本願発明の「販売員」に相当する。加えて、引用発明の「顧客管理システム」は、「顧客に勧めるべき項目があると判別された場合には、出力処理部17が、顧客情報判別部16により抽出された指示情報を、店員端末4のディスプレイに表示させ、この時の画面としては、「来店車両」として撮影したナンバープレートの画像と「車番」として解析されたナンバーの画像が並んで表示され、解析結果が正しかったか否かを店員が目視で確認するだけでなく、お勧めとして「車検日間近」という指示のメッセージを表示し、これにより、ディスプレイを見た店員は、レーンL2に入った顧客(車両)に対しては、車検を勧めるよう会話することができ」、「店員に携帯端末5を持たせている場合には、出力処理部17が、各携帯端末5に対してサービス対象顧客(車両)の入店を報知する指示情報を通知し、携帯端末5への通知は、レーン番号と顧客に勧めるべきサービスの内容を携帯端末5のディスプレイ51に表示させてもよい」ことから、店員への顧客に対する販売提案を提供するシステムであるといえる。
したがって、引用発明の「顧客管理システム」は、本願発明の「燃料油を販売するサービスステーションの販売員への顧客に対する販売提案を提供する」「販売提案提供システム」に相当する。
2 引用発明の「車検」、「オイル交換」及び「洗車」という「サービス」は、本願明細書【0024】の「燃料油、ワイパー、タイヤ、洗車、車検、車両リースといった商品」との記載を踏まえると、本願発明の「商品」に相当するといえる。また、引用発明において、「車検日であれば「車検日の前6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で既に車検日前5ヶ月と判定されれば、「車検」が顧客に勧めるべき項目と判別され、同様に、オイル交換についても「オイル交換から6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で前回のオイル交換から7ヶ月経過と判定されれば「オイル交換」が顧客に勧めるべき項目と判別され、また洗車であれば、前回の洗車日から2ヶ月以上経過と判別されれば、「洗車」を顧客に勧めるべき項目と判別され」、「お勧めとして「車検日間近」という指示のメッセージを表示し、これにより、ディスプレイを見た店員は、レーンL2に入った顧客(車両)に対しては、車検を勧めるよう会話することができ」ることから、引用発明は、ガソリンスタンドで販売するサービスのうちどのサービスの販売を勧めるかを店員に指示する、「車検」の「声かけモデル」、「オイル交換」の「声かけモデル」及び「洗車」の「声かけモデル」に相当する構成を有していることは明らかである。さらに、引用発明において、「顧客管理装置1は」、「コンピュータであ」るから、計算機分野の技術常識に照らすと、引用発明は、これらの「複数の」「声かけモデル」を記録した「声かけモデル記録部」に相当する構成も有していることは明らかである。
したがって、上記1を踏まえると、引用発明は、本願発明の「前記サービスステーションで販売する商品のうちどの商品の販売を進めるかを前記販売員へ指示する、複数の声かけモデルを記録した声かけモデル記録部」に相当する構成を備えているといえる。
3 引用発明の「カメラ2」は、「来店車両の画像を撮影するための撮影装置であり、給油機3のレーンLごとに取り付けられており、各レーンLに侵入してきたときから、そのオートフォーカス機能により、移動する車両のナンバープレートを所定の間隔に連続して静止画像を撮影できるようになって」いるから、本願発明の「車両のナンバープレートを撮像する」「カメラ」に相当する。
4 引用発明において、「車がレーン内に進入してくると、カメラ2はレーンL内に進入してきた車のナンバープレート部分を、撮影し、これにより、ナンバープレートの画像が撮影され、撮影された画像データは、当該レーンの識別情報と共に、撮影されるごとにカメラ2から顧客管理装置1へ送信され」、「解析処理部15は、送信されたナンバープレートの画像を解析して、車のナンバーを解析」することから、「解析処理部15」は、カメラ2が撮像した画像から車両の車両ナンバーを特定しているといえる。したがって、上記3を踏まえると、引用発明の「解析処理部15」は、本願発明の「前記カメラが撮像した画像から前記車両の車両ナンバーを特定する」「ナンバー特定部」に相当する。
5 引用発明において、「顧客属性データベース11は、顧客に関する属性情報をデータベース化したものであり、顧客を識別するID、顧客の車両ナンバー、氏名及び住所などの個人情報、顧客のランク、メールアドレス、車検日、オイル交換日、洗車日などが記憶できるようになっており」、「顧客の車のナンバーは、「品川あ331234」のようにナンバープレートの情報が記憶されており」、「車検日は、顧客の車の次回の車検日の情報であり、オイル交換及び洗車日は当該ガソリンスタンドで最後にオイル交換や洗車を行った年月日を記憶できるようになって」いるから、引用発明の「顧客を識別するID」、「顧客の車両ナンバー」、「氏名及び住所などの個人情報」、「顧客のランク」、「メールアドレス」、「車検日」、「オイル交換日」、「洗車日」は、本願発明の「属性情報」に相当する。また、引用発明において、「顧客履歴データベース12は、顧客(車両)のガソリンスタンドの利用履歴情報をデータベース化したものであり、顧客の車両ナンバー、来店年月日、利用種別、金額などのデータを記憶できるようになっており」、「顧客履歴データベース12にこのナンバーに関連付けられている履歴の件数(来店回数)、前回の来店日時を検索して抽出」しているが、本願明細書【0024】の「顧客データベースには、車両ナンバーと紐づけられて、属性情報が記録されている。属性情報としては、顧客の車両の車種、顧客の性別、年齢、来店頻度、特売日の来店頻度、前回の来店日、各種購入履歴が記録されている。」との記載を踏まえると、引用発明の「来店年月日」、「利用種別」、「金額」、「来店回数」、「前回の来店日時」も、本願発明の「属性情報」に相当するといえる。さらに、引用発明において、「利用種別は、顧客がガソリンスタンドで購入した商品やサービスを表すものであり、「給油」、「洗車」、「オイル交換」、「車検」などの種類を記憶できるようになって」いるから、給油履歴も記録しているといえる。加えて、引用発明の「顧客属性データベース11」及び「顧客履歴データベース12」は、ともに「属性情報」を記録しているといえるから、本願発明の「属性情報を記録した」「顧客データベース」に相当する。そして、引用発明の「顧客属性データベース(DB)11及び顧客履歴データベース(DB)12からなる」「顧客情報の記憶手段」は、本願発明の「顧客データベースを記録した」「顧客情報記録部」に相当する。また、引用発明の「来店回数」は、本願発明の「来店頻度」と、「来店に関する情報」である点で共通する。
したがって、引用発明は、本願発明の「顧客の来店頻度と給油履歴を少なくとも含む属性情報を記録した顧客データベースを記録した顧客情報記録部」を備える構成と、「顧客の来店に関する情報と給油履歴を少なくとも含む属性情報を記録した顧客データベースを記録した顧客情報記録部」を備える点で共通する。
6 引用発明において、「ナンバーが解析できたときには、顧客情報判別部16が、解析されたナンバーに基づいて、顧客属性データベース11及び顧客履歴データベース12を参照して、顧客情報及びその顧客の履歴情報を検索して抽出し」、「この処理は、解析されたナンバーが「品川あ331234」であれば、顧客属性データベース11に、このナンバーに関連付けられている顧客氏名、顧客のランク、車検日、オイル交換日、洗車日などのデータを検索して抽出し、同様に、顧客履歴データベース12にこのナンバーに関連付けられている履歴の件数(来店回数)、前回の来店日時を検索して抽出」することから、顧客属性データベース11及び顧客履歴データベース12を用いて、解析した(車両)ナンバーに対応する顧客の「顧客氏名」、「顧客のランク」、「車検日」、「オイル交換日」、「洗車日」、「来店回数」及び「前回の来店日時」を特定しているといえる。
したがって、上記4、5を踏まえると、引用発明の「顧客情報判別部16」は、本願発明の「前記顧客データベースを用いて、特定した前記車両ナンバーに対応する前記顧客の前記属性情報を特定する」「属性特定部」に相当する。
7 引用発明において、「顧客情報判別部16は、抽出した顧客情報の中から、店員が顧客に勧めるべき商品又はサービスがあるか否か判別し、この処理は、顧客情報判別部16が、サービス基準テーブル13を参照して、抽出した車検日、オイル交換日、洗車日、前回からの来店日時のうちから、各項目のサービス基準期間を超えている項目がないか否かを判別し、この超えている項目を顧客へ勧めるべきサービス項目と判別し、具体的には、車検日であれば「車検日の前6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で既に車検日前5ヶ月と判定されれば、「車検」が顧客に勧めるべき項目と判別され、同様に、オイル交換についても「オイル交換から6ヶ月」というサービス基準期間が設定されている場合には、その時点で前回のオイル交換から7ヶ月経過と判定されれば「オイル交換」が顧客に勧めるべき項目と判別され、また洗車であれば、前回の洗車日から2ヶ月以上経過と判別されれば、「洗車」を顧客に勧めるべき項目と判別され、これら複数の項目のうち、少なくとも1つでも該当する項目があれば、店員が顧客に勧めるべき商品又はサービスがありと判別され」ることから、上記2を踏まえると、「抽出した車検日、オイル交換日、洗車日、前回からの来店日時」に基づいて、「車検」の「声かけモデル」、「オイル交換」の「声かけモデル」及び「洗車」の「声かけモデル」のうち、顧客に適した一つの「声かけモデル」を特定しているといえる。
したがって、上記2、6を踏まえると、引用発明の「顧客情報判別部16」は、本願発明の「前記属性情報を入力すると、前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定するように学習された学習モデルが記録された学習モデル記録部」と、「前記属性情報に基づいて、前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定する構成」である点で共通する。
8 引用発明の「店員端末4」又は「携帯端末5」は、上記1を踏まえると、本願発明の「販売員端末」に相当する。また、引用発明において、「出力処理部17は、撮影したナンバープレートの画像、解析したナンバーなどの情報及び、店員が顧客に対して宣伝すべきサービスや商品の情報などを従業員端末4のディスプレイから出力させる処理を行い」、「出力処理部17は、入店してきた顧客(車両)がオイル交換、車検、車販売などを勧めるべき顧客(車両)であると判別された場合には、店舗内LANなどを介して店員が保持している携帯端末5に対して、その旨を店員に通知するよう指示し、具体的には、携帯端末5に対して、オイル交換や、車検、車販売などを勧めるべき顧客(車両)が入店してきたときには、そのレーン番号と勧めるべき商品等の情報を表示させる指示情報を送信することで、店員がサービス対象の顧客(車両)が入店したことを認識できるようにし」、「顧客に勧めるべき項目があると判別された場合には、出力処理部17が、顧客情報判別部16により抽出された指示情報を、店員端末4のディスプレイに表示させ、この時の画面としては、「来店車両」として撮影したナンバープレートの画像と「車番」として解析されたナンバーの画像が並んで表示され、解析結果が正しかったか否かを店員が目視で確認するだけでなく、お勧めとして「車検日間近」という指示のメッセージを表示し、これにより、ディスプレイを見た店員は、レーンL2に入った顧客(車両)に対しては、車検を勧めるよう会話することができ」、「店員に携帯端末5を持たせている場合には、出力処理部17が、各携帯端末5に対してサービス対象顧客(車両)の入店を報知する指示情報を通知し、携帯端末5への通知は、レーン番号と顧客に勧めるべきサービスの内容を携帯端末5のディスプレイ51に表示させてもよい」ことから、上記6、7を踏まえると、出力処理部17は、顧客情報判別部16で特定した車検日、オイル交換日、洗車日、前回からの来店日時に基づいて特定した、顧客に適した声かけモデルを従業員端末4、店員端末4又は携帯端末5に出力しているといえる。
したがって、上記1、5-7を踏まえると、引用発明の「出力処理部17」は、本願発明の「前記属性特定部で特定した前記属性情報を前記学習モデルに入力して特定した、前記顧客に適した前記声かけモデルを販売員端末に出力する出力部」と、「前記属性特定部で特定した前記属性情報に基づいて特定した、前記顧客に適した前記声かけモデルを販売員端末に出力する出力部」である点で共通する。
9 上記1を踏まえると、引用発明の「顧客管理システム」は、本願発明の「販売員への」「販売提案提供システム」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「燃料油を販売するサービスステーションの販売員への顧客に対する販売提案を提供する販売提案提供システムであって、
前記サービスステーションで販売する商品のうちどの商品の販売を進めるかを前記販売員へ指示する、複数の声かけモデルを記録した声かけモデル記録部と、
車両のナンバープレートを撮像するカメラと、
前記カメラが撮像した画像から前記車両の車両ナンバーを特定するナンバー特定部と、
顧客の来店に関する情報と給油履歴を少なくとも含む属性情報を記録した顧客データベースを記録した顧客情報記録部と、
前記顧客データベースを用いて、特定した前記車両ナンバーに対応する前記顧客の前記属性情報を特定する属性特定部と、
前記属性情報に基づいて、前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定する構成と、
前記属性特定部で特定した前記属性情報に基づいて特定した、前記顧客に適した前記声かけモデルを販売員端末に出力する出力部を備えた、販売員への販売提案提供システム。」
(相違点1)
顧客データベースに記録される属性情報として少なくとも含むものにおいて、「給油履歴」のほか、本願発明では、「顧客の来店頻度」を含むのに対し、引用発明では、「顧客の来店回数」を含む点。
(相違点2)
前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定する構成において、本願発明では、「属性情報」が「顧客の来店頻度と給油履歴を少なくとも含む属性情報」であり、「前記属性情報を入力すると、前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定するように学習された学習モデルが記録された学習モデル記録部」を備えるのに対し、引用発明では、「抽出した車検日、オイル交換日、洗車日、前回からの来店日時のうちから」、「車検」の「声かけモデル」、「オイル交換」の「声かけモデル」及び「洗車」の「声かけモデル」のうち、顧客に適した一つの「声かけモデル」を特定」する構成を備えているが、入力される属性情報が顧客の来店頻度と給油履歴を含んでおらず、また、学習及び学習モデルについて特定されていない点。
(相違点3)
前記顧客に適した前記声かけモデルにおいて、本願発明では、「属性情報」が「顧客の来店頻度と給油履歴を少なくとも含む属性情報」であり、「前記声かけモデル」が「前記属性情報を前記学習モデルに入力して特定した」ものであるのに対し、引用発明では、「車検日、オイル交換日、洗車日、前回からの来店日時のうちから特定した」ものであるが、入力される属性情報が顧客の来店頻度と給油履歴を含んでおらず、また、学習モデルについて特定されていない点。
第6 判断
1 相違点1について
引用発明において、「顧客情報判別部16は、顧客属性データベース11又は顧客履歴データベース12を参照して、解析された車のナンバーから当該顧客の来店回数、前回来店年月日、洗車の前回利用情報、オイル交換の前回利用情報を検索し、これらが所定の基準を満たしているか否か判別し、具体的には、サービス基準テーブル13に記憶されている来店頻度であれば1ヶ月、洗車であれば前回の洗車から1ヶ月間、オイル交換であれば前回の交換から6ヶ月間という基準期間を基準に、前回これらを行った日時から今回までの経過日数がこの基準時間を経過しているか否かを判別し、これにより、顧客に対してこれらの商品やサービスを勧める必要があるか否かを判別することができ」ることから、「来店回数」に基づいて「来店頻度」の基準を満たしているか否かを判別しているといえる。
一方、販売促進のマーケティング対策として、Recency(最近の購入日)、Frequency(来店頻度)及びMonetary(購入金額ボリューム)という3つの顧客の属性情報を用いて顧客をランク付けするRFM分析手法は、文献を示すまでもなく本願出願前における周知手法にすぎないから、属性情報として、周知のRFM分析手法で用いられる「来店頻度」を少なくとも含むようにすることは、当業者にとって困難性はない。
したがって、属性情報として「来店回数」を含み、当該「来店回数」に基づいて「来店頻度」の基準を満たしているか否かを判別する引用発明において、上記周知技術を適用し、属性情報として顧客の「来店頻度」を少なくとも含むようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
2 相違点2、3について
上記相違点2、3は、「学習モデル」に関するものである点で互いに関連しているので、まとめて検討する。
上記第4の2のとおり、「商品販売分野において、顧客の属性と商品販売情報等から機械学習モデルを作成し、当該機械学習モデルに顧客の属性を入力することで、当該顧客に推薦すべき商品を営業担当者に推奨すること」は、本願出願前における周知技術にすぎない。
また、顧客のどのような属性を機械学習モデルの入力として用いるかは、顧客から得られる属性情報及び取り扱う商品など商品販売ビジネスの状況に応じて適宜選択し得る設計的事項にすぎないから、引用発明において、上記1で述べた「来店頻度」及び「利用種別」が「給油」の「利用履歴情報」、すなわち「給油履歴」を、学習モデルへの入力として選択することは、当業者が適宜なし得た程度のことである。
さらに、学習モデルが、何らかの記録部に記録されることは、計算機分野の技術常識にすぎない。
したがって、引用発明において、上記周知技術を適用し、顧客の来店頻度と給油履歴を少なくとも含む属性情報を入力すると、前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定するように学習された学習モデルが記録された学習モデル記録部を備えるようにし、また、前記顧客に適した前記声かけモデルにおいて、前記属性情報を前記学習モデルに入力して特定するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、顧客の「給油履歴」については、以下のようにも考えられる。
引用発明では、オイル交換をサービスとして提供しているが、オイル交換の目安として、6か月などの期間の経過又は3000kmなどの走行距離の超過のどちらか早い方とすることは、本願出願時における自動車メンテナンス分野の技術常識である。そして、顧客の「給油履歴」から特定期間の給油量を算定し、当該給油量から期間経過前の走行距離超過を推定できることは、当業者にとって自明な事項にすぎない。したがって、引用発明において、顧客の「給油履歴」を入力データとして選択することは、当業者が適宜なし得た程度のことであるといえる。
3 効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
4 請求人の主張について
令和4年6月15日提出の審判請求書における主張について、以下検討する。
(1)「(A)発明特定事項と効果の違い
本願発明1は、発明特定事項「顧客の来店頻度と給油履歴を少なくとも含む属性情報を記録した顧客データベースを記録した顧客情報記録部」、「前記サービスステーションで販売する商品のうちどの商品の販売を進めるかを前記販売員へ指示する、複数の声かけモデルを記録した声かけモデル記録部」および「前記属性情報を入力すると、前記声かけモデル記録部に記録された複数の前記声かけモデルのうち、前記顧客に適した一つの前記声かけモデルを特定するように学習された学習モデルが記録された学習モデル記録部」を有しています。これにより、本願発明1の販売提案提供システムは、顧客の来店頻度と給油履歴に基づいて、学習モデルが、顧客に適した一つの声かけモデルを特定するように学習することで、給油と、給油以外のサービスも含む商品の中から顧客に適した商品を選択できるようになります。
この点について審査官殿は、拒絶査定において以下のように述べております。
「引用文献1(段落[0039]等)には、給油以外のサービスを推薦することが記載されている。(なお、段落[0026]や図6には、顧客履歴データベースには「給油」、「洗車」、「オイル交換」など、顧客がガソリンスタンドで購入した商品やサービスに関する情報を記録することが記載されている。)」
しかしながら、引用文献1のシステムは、「顧客の来店頻度と給油履歴が、給油以外のサービスも含む商品の中から顧客に適した商品を選択することに活用される」ことを開示していません。
確かに引用文献1には給油を行った場合に、ナンバープレート情報、利用年月日、利用種別、金額が記録されることが開示されています。しかしながら、引用文献1の段落0039によると、以下の事例が開示されております。
・車検について、次の車検日まで6か月前をきっていると判断されると提案すべき項目と判別される
・オイル交換の提案について、前回のオイル交換から6か月経過したと判断すると提案すべき項目と判別される
・洗車について、前回の洗車日から2か月が経過したと判断すると提案すべき項目と判別される
この事例を鑑みると、引用文献1において、あるサービスについて提案すべきかどうかの判断は、その同じサービスの前回の提供日もしくは次の提供予定日を基準に行っているだろうことが推測できます。引用文献1において開示されている販売提案は、言わば、同じ商品についての前回のサービス提供日や次回のサービス提供予定日を基準にしたリマインダ機能でしかありません。少なくとも引用文献1には、顧客の来店頻度と給油履歴が給油以外のサービスについて活用されることについて開示も示唆もされておりません。
一方、本願発明1は上記の発明特定事項を有することにより、顧客の来店頻度と給油履歴に基づいて、給油以外のサービスも含む商品の中から顧客に適した商品を選択することに活用できます。給油履歴については、POS端末から、供給した燃料油の種類、数量、売上日時を取得できます(例えば、段落0036ご参照)。これらの情報を含む給油履歴を入力することにより、給油以外のサービスの販促の提案が有効となることは、同じ商品のリマインダ機能しか開示しない引用文献1からは読み取れません。
なお、本システムを運用することにより、一例として、平日休日問わず夜間や深夜帯に給油を行うことが多い顧客に対して、リース車提供のサービスの提案が有効であることが判明しています。平日休日問わず夜間や深夜帯に給油を行うことが多い顧客とは、自営業者であることが推測されることから、少しでもコストを低減したいとしてリース車に興味を持つものと推測されます。しかしながら、このような平日休日問わず夜間や深夜帯に給油を行うことが多いことを示す給油履歴からリース車の販促提案が有効であるとは、本システムを運用して初めて判明した事例であり、当業者といえども容易に思いつくことではありません。 ましてや、同じ商品のリマインダ機能しか開示しない引用文献1からは想到することはできません。
また、本システムを運用することにより、休日によく来店し、クーポン等の特典をあまり利用しない、軽車両に乗車する女性客にも、リース車の提案が有効であることが判明しております。繁雑な作業が苦手で休日に来店が多い顧客で主婦であれば、大きな出費は困難なうえ細かいことが苦手なので、頭金不要や諸費用コミコミのリース車に興味を持つものと推測されます。このように1回あたりの給油量やクーポンの使用有無などを示す給油履歴からリース車の販促提案が有効であることは、本システムを運用して初めて判明した事例の2つ目となります。この事例も、本システムを運用することで初めて推測に至ったのであって、当業者といえども容易に思いつくことではありません。
ましてや、同じ商品のリマインダ機能しか開示しない引用文献1からは想到することはできません。
引用文献1のように、提案するサービスの是非の決定を同じサービスの履歴に基づいて行う場合、本願発明1特有の顕著な効果を得ることはできません。そもそも、リマインダであれば販売員の記憶力が優れていれば、販売員の経験に依らずに提案が可能です。したがって、本願発明1の課題を克服するには不十分です。
このように、引用文献1から本願発明1を容易に想到することはできません。したがって、本願発明1は特許法29条第2項に該当しません。」
と主張する。
しかしながら、本願請求項1の「前記サービスステーションで販売する」「商品」との記載では、「商品」に給油以外のサービスが含まれない場合も含んでいると認められる一方、上記主張は、「商品」に給油以外のサービスが含まれていることに基づいてなされている。したがって、上記主張は、「商品」に給油以外のサービスが含まれていることを前提とするものであり、給油以外のサービスが含まれない場合も含んでいる本願請求項1の記載に基づいているものであるとは認められない。よって、上記主張を採用することはできない。
また、主張されている効果は、本願明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本願明細書等」という。)には記載されておらず、本願明細書等から自明なものとも認められない。したがって、この点からも、上記主張を採用することはできない。
(2)「(B)課題の違い
審査官殿は本願発明1の課題について次のようにご指摘しております。
「販売提案の精度を高めるという課題は、当然に内在する課題であるから、精度を高めるために周知の機械学習手法を採用することは当業者が容易になし得たことである。」
しかしながら、上記に示した通り、引用文献1に期待しうる効果はサービス提供のリマインダ機能であるのだから、ベテランの販売員のような予測困難な販売提案を提供するという本願発明1の課題から遠くかけ離れています。本願発明1の課題設定について、当業者であれば容易になし得るとのご認定は、いささか本願発明1の課題を軽視されているように思料いたします。
このように、以下に当業者といえども、引用文献1から本願発明1の課題を容易に想到することはできませんので、本願発明1は特許法29条第2項に該当しません。」
と主張する。
しかしながら、本願発明1が容易想到であることは上記1-3のとおりであるから、上記主張を採用することはできない。
(3)「(C)入力データ
また、審査官殿は「顧客の来店頻度と給油履歴」を入力データとすることについて、次のようにご指摘しております。
「そもそも、学習モデルの構築に際しどのようなインプットデータを用いるかは設計的事項である。(過学習や多重共線性の問題はあるにせよ、機械学習の分野においてインプットデータは多量・多様であるほうが好ましいことは一般的に知られており、単に出力と関連性の低い何らかのデータをインプットデータとして採用する程度のことは、当業者が通常発揮する創作能力の範囲内の事項である。)」
しかしながら、貴庁のホームページ(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/document/ai_jirei/jirei.pdf)において公開されている「AI関連技術に関する事例について」の事例34において、「機械学習においては相関関係が明らかでないデータを入力データに加えるとノイズが生じる可能性があるところ、(中略)予測困難な、顕著な効果」が認められたために進歩性を有する事例が掲載されております。
上記の例のように、平日休日問わず夜間や深夜帯に給油を行うことが多いことなどを示す給油履歴と、リース車の販促提案との間には、一見したところ互いの相関関係がなく、ノイズが生じる可能性があると思うのが一般的です。つまり、引用文献1を見た当業者であれば、同じ商品についての過去の購買履歴から同じ商品の販促活動を提案するべきと考えるのが合理的です。
このように、給油と給油以外のサービスの販促提案を出力させたい場合に、入力データとして同じ商品の購買履歴以外の情報を含む「顧客の来店頻度と給油履歴」を加えてしまうと、ノイズが生じてしまうのではないかと考えるの合理的な考え方です。
本願発明1は、まさに「機械学習においては相関関係が明らかでないデータを入力データに加えるとノイズが生じる可能性があるところ、予測困難な、顕著な効果(例えば、平日休日問わず夜間や深夜帯に給油を行うことが多い顧客に対して、リース車提供のサービスの提案が有効であること)」があるものです。このため、事例34に倣えば本願発明1の進歩性が認められるべきと考えます。」
と主張する。
しかしながら、上記(1)及び(2)で述べたとおりであり、上記主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-009196