特許拒絶査定不服審判
2024-012472
歯ブラシ
- 審判番号
- 2024-012472
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-085987
- 請求日
- 2024年07月31日
- 審決日
- 2026年02月16日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サンスター株式会社
- 【請求人代理人】柳野 隆生
- 【請求人代理人】柳野 嘉秀
- 【請求人代理人】関口 久由
- 【請求人代理人】中川 正人
- 【請求人代理人】森岡 則夫
- 審判長/審判官
- 審判長 柿崎 拓
- 審判官 川口 真一
- 審判官 関口 哲生
- 分類
- P18 .121-WZ (A46B) / P18 .537-WZ (A46B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 85987「歯ブラシ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月18日出願公開、特開2021-178114〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年5月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和6年 2月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 4月26日付け:拒絶査定
令和6年 7月31日 :審判請求書の提出
令和7年 8月 4日付け:拒絶理由通知書
令和7年10月 6日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和7年10月6日に提出された手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
複数本のブラシ毛を束ねてなる複数の毛束が植毛台に植設されてなるブラシ部を有する歯ブラシであって、
前記植毛台の長さ方向の中央部に第1毛束群を設け、
前記植毛台の長さ方向の先端側に前記第1毛束群より幅広の第2毛束群を設け、
前記植毛台の長さ方向の基端側に前記第1毛束群より幅広の第3毛束群を設け、
前記第1毛束群と前記第2毛束群と前記第3毛束群を設けることにより、前記ブラシ部の長さ方向の途中部に幅狭のクビレ部を設け、
前記クビレ部の長さであるところの、前記第2毛束群の最も外側にある毛束の中で最も基端側にある毛束の基端側の端部から、前記第3毛束群の最も外側にある毛束の中で最も先端側にある毛束の先端側の端部までの長さbが、6.0mm以上15mm以下であり、
前記クビレ部の幅方向の両側部に配置される複数の毛束であるところの、前記ブラシ部の両側部に配置される、前記第2毛束群の幅方向の最も外側にある毛束の中で最も基端側にある毛束から、前記第3毛束群の幅方向の最も外側にある毛束の中で最も先端側にある毛束までの複数の毛束のうちの、少なくとも1つの毛束が、表面に凹凸を有する特殊フィラメントを用いて構成された複数本のブラシ毛を束ねてなる特殊毛束で構成されており、
前記クビレ部の最小幅であるところの、前記第1毛束群の幅cが、2.0mm≦c≦7.0mmである、
ことを特徴とする歯ブラシ。」
第3 拒絶の理由
令和7年8月4日付けで当審が通知した拒絶の理由のうち、本願発明に対応する請求項1に係る発明に対する理由1(進歩性)の概要は、次のとおりである。
(進歩性)
請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記の引用文献1、2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開平10-327933号公報
引用文献2.特開2002-360342号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付与した。)。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブラシ基台上に植設された多数の毛からなるブラシ体全体の配置形状を、毛の突出方向から見て歯ブラシの長軸方向に沿った略瓢箪形に形成したことを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】 略瓢箪形のブラシ体のくびれ部の凹み寸法を、歯ブラシの長軸方向に3mm以上とし、且つ短軸方向に1mm以上としたことを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、人の歯を磨くための歯ブラシに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、多くのメーカーから多種多様の歯ブラシが生産、販売されているが、ブラシの形状については、横方向から見て山切りカット型、或いは先端方向から見てアーチ型などのものが見受けられる。またブラシの突出方向から見た形状は、例えば3列8行ブラシのように毛束の配列については、列数と行数の組み合わせによる面積と多少の形状の違いは見受けられるが、大きくは長方形状に画一化されている。
【0003】ここで、歯垢を除去するには、歯ブラシの毛先が歯面の歯垢に確実に当たることと、毛先が歯ブラシの運動に追従してよく動くことが必要である、と一般に言われているが、凹凸が多い口腔内において、特に歯垢除去の重要ポイントである歯と歯の間に毛先を到達させるために、歯ブラシを歯面に対して直角に当てる場合には、従来の山切りカット型のようなブラシ形状が有効であると思われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、頬粘膜や舌などに邪魔される狭い口腔内にあっては、従来の歯ブラシでは歯面に直角に当てるのは困難な場合が多い。また歯科医師が指導する歯磨き法において、例えばバス磨き法のように歯面に対して45°の角度で当てることを推奨するものもある。しかし従来は、歯に対して斜めの角度で使用する場合に、歯間部への毛先の到達性がよい形状を持つ歯ブラシの存在は少ないのが実情である。
【0005】本発明は、上記従来例に鑑みてなされたもので、歯と歯の間への毛先の到達性を良好とし、且つ歯面によくフイットすることができる歯垢除去効果の高い歯ブラシを提供することを課題とする。」
・「【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係る歯ブラシは、ブラシ基台2上に植設された多数の毛3aからなるブラシ体3全体の配置形状を、毛3aの突出方向Dから見て歯ブラシ1の長軸方向Yに沿った略瓢箪形に形成したことを特徴としており、このように構成することで、ブラシ体3の毛先を歯面に斜めに当てることにより、歯垢除去のポイントである歯と歯の間に瓢箪形の2箇所の大径部14の毛先がよく入り込むことができて、毛先の到達性が良好となると共に、大径部14間のくびれ部15もまた歯4の凸部によくフイットすることができる。
【0007】また、略瓢箪形のブラシ体3のくびれ部15の凹み寸法を、歯ブラシ1の長軸方向Yに3mm以上とし、且つ短軸方向Xに1mm以上とするのが好ましく、この場合、瓢箪形のくびれ部15の凹み寸法を日本人の歯の幅の平均的な寸法の範囲にすることで、歯に対して歯ブラシ1を斜めに当てる場合に歯の凸部が瓢箪形のくびれ部15に収まり易くなり、これにより、歯間部5に瓢箪形の大径部14の毛先が一層到達し易くすることができる。」
・「【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の一例を説明する。歯ブラシ1は、図1に示すように、ブラシ基台2と、ブラシ基台2上に植設された多数の毛3aからなるブラシ体3とを備えている。尚ブラシ体3は必ずしもブラシ基台2と別体である必要はなく、ブラシ基台2に一体成形されてもよいものである。尚図中の10は把柄部、11は頸部である。
【0009】上記ブラシ体3を構成する多数の毛3aの配置形状は、毛3aの突出方向Dから見て歯ブラシ1の長軸方向Yに沿った略瓢箪形に形成されている。なお、毛3aの横断面形状は円形に限らず、例えば楕円形、或いは角形であってもよい。また、毛先に丸みを持たせるようにしてもよいものである。ここで、図1に示す実施形態では、瓢箪形の一方の大径部14と他方の大径部14とはその長さ及び幅が等しく設定されており、また大径部14間のくびれ部15は歯ブラシ1の長軸方向Yの略中央部に配置された場合を示しているが、必ずしも瓢箪形の2箇所の大径部14の長さは同一である必要はなく、例えば図3に示すように、ブラシ基台2の先端側の大径部14の長さaを基端側の大径部14の長さbよりも長くしてもよいものであり、逆に図4に示すように、ブラシ基台2の先端側の大径部14の長さaを基端側の大径部14の長さbよりも短くしてもよいものである。また、瓢箪形の2箇所の大径部14の幅は同一である必要はなく、例えば図5に示すように、ブラシ基台2の先端側の大径部14の幅Aを基端側の大径部14の幅Bよりも長くしてもよいものであり、逆に図6に示すように、ブラシ基台2の先端側の大径部14の幅Aを基端側の大径部14の幅Bよりも短くしてもよいものである。また、上記図1、図3~図6の各実施形態では、ブラシ基台2の短軸方向Xにおいて、瓢箪形の形状を左右対称形としてあるが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば図7に示すように、左側のくびれ部15よりも右側のくびれ部15をブラシ基台2の先端側に寄せるようにしてもよく、逆に右側のくびれ部15よりも左側のくびれ部15をブラシ基台2の先端側に寄せるようにしてもよいものである。
【0010】しかして、ブラシ体3全体の配置形状を毛3aの突出方向Dから見て瓢箪形に形成したことで、図2に示すように、歯垢除去のポイントである歯4と歯4の間に瓢箪形の2箇所の大径部14の毛先がよく入り込むことができて、歯間部5への毛先の到達性が良好となり、また大径部14間のくびれ部15もまた歯4の凸部によくフイットすることになる。さらに歯科医師が推奨するバス磨き法のように歯面に45°の角度で瓢箪形のブラシ体3を当てることで毛先が一層入り込み易くなり、頬粘膜や舌などに邪魔される狭い口腔内においても歯垢除去効果を高めることができる。
【0011】ここで、上記瓢箪形のくびれ部15の凹み寸法は、例えば図8(b)に示すように、歯ブラシ1の長軸方向Yにおいて一番広い部分d1で3mm以上とし、且つ短軸方向Xにおいて一番深い部分d2で1mm以上とするのが望ましい。ちなみに、図9に示すように、日本人の歯の幅d4の平均的な寸法の範囲は、前歯も臼歯も含めて5mm~12mmである。また、標準的な歯並びにおいて、第1大臼歯と第2大臼歯の間の歯間部5の深さd3は約2mmである。歯の寸法及び歯並びに個人差があることを考慮して、上記のようなくびれ部15の凹み寸法となるように毛3aを瓢箪形に配置することにより、歯に対して歯ブラシ1を斜めに当てた場合に歯の凸部が瓢箪形のくびれ部15によく収まり易くなり、これにより、歯間部5に瓢箪形の大径部14の毛先が一層到達し易くなるものである。」
・「【0012】また、歯ブラシとして手用歯ブラシに限定されるものではなく、電動歯ブラシにも同様に適用される。その一例を図10に示す。この電動歯ブラシは、例えば往復直線運動を行うための機構を内蔵した本体6の先端より駆動軸8が突設され、この駆動軸8にブラシ基台2と一体の替えブラシ9が装着される。そして、本体6に内蔵したモータを一方向に回転させて偏心軸及びカムを介して駆動軸8に往復直線運動(バス磨き)を行わせるものである。特に、振動のために手用歯ブラシ1より歯面にフイットしにくいと言われている電動歯ブラシにおいて、上記瓢箪形のブラシ体3を用いると歯の凹凸と瓢箪形のブラシ体3の凹凸とがかみ合って安定し易く、歯面へのフイット感が得られる。なお、往復直線運動(バス磨き)機能以外に、例えば往復回転運動(ローリング磨き)機能を備えた電動歯ブラシ1も広く適用可能であるのは勿論のことである。」
・「【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明は、ブラシ基台上に植設された多数の毛からなるブラシ体全体の配置形状を、毛の突出方向から見て歯ブラシの長軸方向に沿った略瓢箪形に形成したから、ブラシ体の毛先を歯面に斜めに当てることにより、歯垢除去のポイントである歯と歯の間に瓢箪形の2箇所の大径部の毛先がよく入り込むことができて、歯間部への毛先の到達性が良好となる。また大径部間のくびれ部もまた歯の凸部によくフイットすることにより、頬粘膜や舌などに邪魔される狭い口腔内においても歯垢除去効果を高めることができる。
【0015】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、略瓢箪形のブラシ体のくびれ部の凹み寸法を、歯ブラシの長軸方向に3mm以上とし、且つ短軸方向に1mm以上としたから、瓢箪形のくびれ部の凹み寸法が日本人の歯の幅の平均的な寸法の範囲となり、歯に対して歯ブラシを斜めに当てる場合に歯の凸部が瓢箪形のくびれ部に収まり易くなり、これにより、歯間部に瓢箪形の大径部の毛先が一層到達し易くなるものである。」
・「【図1】
[図:0001434718000001.jpg]
」
・「【図2】
[図:0001434718000002.jpg]
」
・「【図8】
[図:0001434718000003.jpg]
」
・「【図9】
[図:0001434718000004.jpg]
」
ア 引用文献1に記載された歯ブラシ1は、ブラシ基台2と、ブラシ基台2上に植設された多数の毛3aからなるブラシ体3とを備えており、多数の毛3aは、複数の束の状態でブラシ基台2に植設されていることがわかる(【特許請求の範囲】、【0002】、【0005】~【0011】、図1、8)。
イ 図1、8において、ブラシ基台2の長軸方向Yの略中央部のくびれ部15に該当する部位に、毛3aの束の群が設けられ、ブラシ基台2の長軸方向Yの先端側の大径部14に該当する部位に、略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群が設けられ、ブラシ基台2の長軸方向Yの基端側の大径部14に該当する部位に、略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群が設けられている点が見て取れる。
そして、その配置の態様から、ブラシ基台2には、略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群と、先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群と、基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群を設けることにより、ブラシ体3の長軸方向Yの略中央部に幅狭のくびれ部15が設けられているということができる。
ウ ブラシ基台2の長軸方向Yの略中央部のくびれ部15には凹みがあり、くびれ部15の凹み寸法の長軸方向Yにおいて一番広い部分d1の寸法は、先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も基端側にある毛3aの束の基端側の端部から、基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も先端側にある毛3aの束の先端側の端部までの寸法
に該当する。
(2) 引用発明
引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数の毛3aを束ねてなる複数の束がブラシ基台2に植設されてなるブラシ体3を有する歯ブラシ1であって、
前記ブラシ基台2の長軸方向Yの略中央部のくびれ部15に該当する部位に毛3aの束の群を設け、
前記ブラシ基台2の長軸方向Yの先端側の大径部14に該当する部位に前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群を設け、
前記ブラシ基台2の長軸方向Yの基端側の大径部14に該当する部位に前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群を設け、
前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群と、前記先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群と、前記基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群を設けることにより、前記ブラシ体3の長軸方向Yの略中央部に幅狭のくびれ部15を設け、
前記くびれ部15の凹み寸法の長軸方向Yにおいて一番広い部分d1の寸法であるところの、前記先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も基端側にある毛3aの束の基端側の端部から、前記基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も先端側にある毛3aの束の先端側の端部までの寸法が、3mm以上である、
歯ブラシ1。」
2 引用文献2
引用文献2には、以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付与した。)。
・「【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る歯ブラシの1実施例を示しており、歯ブラシ1はハンドル部2と植毛台3とからなり、植毛台3にはフィラメント毛を集束した多数の毛束5を植設して植毛部4を設けてある。前記フィラメント毛は、ナイロン、ポリエステルなど歯ブラシの植毛部のフィラメント毛に通常用いられている樹脂材料を押出し成形したモノフィラメントからなり、このモノフィラメントからなる多数のフィラメント毛を集束した毛束5を植毛台3に形成された植毛穴6(図3参照。)に植設してなる。
【0013】図例の歯ブラシ1の植毛部4は、図2に示すように、植毛台3の幅方向及び長さ方向に複数列の毛束列を配置してなり、植毛台3の長さ方向の中央部には、植毛台3の幅方向に、植毛台3の長さ方向にのびる4列の毛束列5A、5B、5B、5Aを配置し、植毛台3の長さ方向の両端部においては、植毛台3の幅方向の毛束5の数を3、2と減少させて、植毛部4の長さ方向の両端部において、その幅が狭くなるように構成してある。そして、前記植毛台3の長さ方向中央部に配置された4列の毛束列のうち両外側の毛束列5A、5Aおよび植毛部4の両端部における外側に位置する毛束を横断面が略多角形状で長さ方向にねじれを有するねじれたフィラメントからなる毛束5a(図中、黒丸で示す)から構成するとともに、内側に位置する毛束列5B、5Bは、横断面が円形で前記ねじれたフィラメント毛より小さな横断面積を有し、ねじれていない円形フィラメント毛からなる毛束5b(図中、白丸で示す)から構成してある。
【0014】前記植毛部4の外側に位置する毛束を構成するねじれたフィラメント毛7は、例えば図4に示すように、横断面が0.203mm×0.203mmの略正方形(横断面積=0.0412mm2)で、長さ方向1cm当たり3回のねじれを有するものである。なお、本発明で、ねじれたフィラメント毛7における長さ方向のねじれの数とは、例えば、図4(a)に示す断面略正方形のねじれたフィラメント毛7の周面に螺旋状に形成される4つの面7a~7dがフィラメントの周囲を360°回る毎に1回と数えるもので、図4(a)に示す寸法Lがねじれ1回分のフィラメントの長さである。このねじれたフィラメント毛7は、ナイロン、ポリエステルなど、歯ブラシの植毛部のフィラメントとして通常用いられている樹脂材料を、所定の断面形状に応じた形状のノズル孔、例えば図4に示すような断面略正方形のねじれたフィラメント毛7の場合には、正方形のノズル孔から押出し成形したフィラメントにねじりを加え、ねじりを固定することにより製造されるモノフィラメントを使用できる。このねじれたフィラメント毛7は、正方形断面の外接円である見掛けの円断面Rとフィラメント周面の各面7a~7dとのそれぞれの間に生ずるギャップGにより、フィラメント7の長さ方向に凹凸部が形成されている。従って、このフィラメント7の周面が歯の表面に接触することで、前記凹凸部により汚れが効果的に除去されるものである。このねじれたフィラメント7の太さ(断面の大きさ)としては、断面の多角形の一辺の長さがほぼ0.15mm~0.30mmの範囲内であるものが好ましい。また、この断面略多角形でねじれたフィラメント毛として、例えば異なる色に着色した2種類の樹脂原料から同時押出成形によりフィラメントを成形し、これにねじりを加え、ねじりを固定することで、周面の一部、例えば図4(a)に示す面7aを他の面7b~7dとは異なる色に着色して、フィラメント毛7の周面に螺旋状模様を付与したりすることもできる。
【0015】また、前記植毛部4の内側に位置する毛束を構成する前記ねじれたフィラメント毛7よりも横断面積の小さな柔らかいフィラメント毛は、例えば直径が0.203mmの円形断面(横断面積=0.0323mm2)で長さ方向にねじれのない、通常、歯ブラシの植毛部に使用されるフィラメント毛であり、前記ねじれたフィラメント毛7と同様のナイロンまたはポリエステルなどの樹脂材料を常法どおり押出し成形することにより製造されるモノフィラメントからなる。この柔らかいフィラメント毛の太さ(断面の大きさ)は、前記ねじれたフィラメントより細い(断面積が小さい)ものであればよいが、植毛部4全体の座屈強度に均一性をもたせるため、ねじれたフィラメント毛の横断面積の60%以上の横断面積を有するものが好ましい。
【0016】上記のように、植毛部4の外側に位置する毛束をねじれたフィラメント毛7からなる毛束5aで構成し、内側に位置する毛束を前記ねじれたフィラメント毛7よりも横断面積の小さい柔らかいフィラメント毛、例えば円形フィラメント毛からなる毛束5bで構成して、ねじれたフィラメント毛7からなる毛束5aとそれより柔らかいフィラメント毛からなる毛束5bとを混在させた状態で植毛部4を構成することにより、全体を前記ねじれたフィラメント毛7のみから構成した場合に比べて植毛部4の座屈強度が全体にほぼ均一に小さくなり、図6に示すような歯間部Zの清掃時に、植毛部4を構成するフィラメント毛fの歯間部Zへの挿入性が向上し、フィラメントf先端部による汚れの掻き出し効果に加えてねじれたフィラメント毛7周面に形成された凹凸部が歯間部Zの歯の表面へ接触することにより汚れを効果的に除去することができる。」
・「【0021】表1の結果から明らかなように、植毛部全体をねじれたフィラメント毛のみから構成した比較例の歯ブラシに較べて、植毛部の外側に位置する毛束をねじれたフィラメント毛から構成し、内側に位置する毛束をそれより柔らかい円形フィラメントから構成した実施例の歯ブラシは、歯間部の汚れ除去効果に優れ、また咬合面の汚れ除去効果においても比較例の歯ブラシとほぼ同等の効果を有する。更に、実施例の歯ブラシ1のように、植毛台3の幅方向に、植毛台3の長さ方向にのびる3列以上の毛束列を配置し、それらの毛束列5A,5B,5B,5Aのうち外側に位置する毛束列5A、5Aをねじれたフィラメント毛からなる毛束5aで構成し、内側に位置する毛束列5B、5Bを柔らかい円形フィラメントからなる毛束5bから構成することで、植毛部4側面による汚れ除去効果も優れたものとなる。」
・「【図1】
[図:0001434718000005.jpg]
」
・「【図2】
[図:0001434718000006.jpg]
」
・「【図3】
[図:0001434718000007.jpg]
」
・「【図4】
[図:0001434718000008.jpg]
」
・「【図5】
[図:0001434718000009.jpg]
」
・「【図6】
[図:0001434718000010.jpg]
」
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを、その機能に照らして対比する。
ア 引用発明の「複数の毛3a」は、本願発明の「複数本のブラシ毛」に相当し、以下同様に、「毛3aの束」、「ブラシ基台2」、「ブラシ体3」、「歯ブラシ1」は、それぞれ、「毛束」、「植毛台」、「ブラシ部」、「歯ブラシ」に相当する。
イ 引用発明は、「前記ブラシ基台2の長軸方向Yの略中央部のくびれ部15に該当する部位に毛3aの束の群を設け」たものであるが、「ブラシ基台2の長軸方向Y」は「ブラシ基台2」の長さ方向といえ、「略中央部のくびれ部15に該当する部位」は、「ブラシ基台2」の長さ方向の中央部といえるから、当該「略中央部のくびれ部15に該当する部位」の「毛3aの束の群」は、本願発明の「第1毛束群」に相当する。
よって、引用発明の「前記ブラシ基台2の長軸方向Yの略中央部のくびれ部15に該当する部位に毛3aの束の群を設け」た点は、本願発明の「前記植毛台の長さ方向の中央部に第1毛束群を設け」た点に相当する。
ウ 引用発明は、「前記ブラシ基台2の長軸方向Yの先端側の大径部14に該当する部位に前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群を設け」たものであるが、「先端側の大径部14に該当する部位」は、「ブラシ基台2」の長さ方向の先端側といえ、当該「先端側の大径部14に該当する部位」の「毛3aの束の群」は、「略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群」より幅広のものであるから、本願発明の「第2毛束群」に相当する。
よって、引用発明の「前記ブラシ基台2の長軸方向Yの先端側の大径部14に該当する部位に前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群を設け」た点は、本願発明の「前記植毛台の長さ方向の先端側に前記第1毛束群より幅広の第2毛束群を設け」た点に相当する。
エ 引用発明は、「前記ブラシ基台2の長軸方向Yの基端側の大径部14に該当する部位に前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群を設け」たものであるが、「基端側の大径部14に該当する部位」は、「ブラシ基台2」の長さ方向の基端側といえ、当該「基端側の大径部14に該当する部位」の「毛3aの束の群」は、「略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群」より幅広のものであるから、本願発明の「第3毛束群」に相当する。
よって、引用発明の「前記ブラシ基台2の長軸方向Yの基端側の大径部14に該当する部位に前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群より幅広の毛3aの束の群を設け」た点は、本願発明の「前記植毛台の長さ方向の基端側に前記第1毛束群より幅広の第3毛束群を設け」た点に相当する。
オ 引用発明は、「前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群と、前記先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群と、前記基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群を設けることにより、前記ブラシ体3の長軸方向Yの略中央部に幅狭のくびれ部15を設け」たものであるが、「ブラシ体3の長軸方向Y」は「ブラシ体3」の長さ方向といえ、「略中央部」は、「ブラシ体3」の長さ方向の途中部といえるから、当該「幅狭のくびれ部15」は、本願発明の「幅狭のクビレ部」に相当する。
よって、引用発明の「前記略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群と、前記先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群と、前記基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群を設けることにより、前記ブラシ体3の長軸方向Yの略中央部に幅狭のくびれ部15を設け」た点は、本願発明の「前記第1毛束群と前記第2毛束群と前記第3毛束群を設けることにより、前記ブラシ部の長さ方向の途中部に幅狭のクビレ部を設け」た点に相当する。
カ 引用発明は、「前記くびれ部15の凹み寸法の長軸方向Yにおいて一番広い部分d1の寸法であるところの、前記先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も基端側にある毛3aの束の基端側の端部から、前記基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も先端側にある毛3aの束の先端側の端部までの寸法が、3mm以上」であるが、「前記くびれ部15の凹み寸法の長軸方向Yにおいて一番広い部分d1の寸法」は、その位置に照らして、本願発明の「前記クビレ部の長さ」に相当する。
また、引用発明の「前記先端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も基端側にある毛3aの束の基端側の端部から、前記基端側の大径部14に該当する部位の毛3aの束の群の最も外側にある毛3aの束の中で最も先端側にある毛3aの束の先端側の端部までの寸法」は、その位置に照らして、本願発明の「前記第2毛束群の最も外側にある毛束の中で最も基端側にある毛束の基端側の端部から、前記第3毛束群の最も外側にある毛束の中で最も先端側にある毛束の先端側の端部までの長さb」に相当する。
そして、引用発明は、本願発明と、当該「長さb」が特定の大きさである点で共通する。
キ 引用発明は、「くびれ部15」の最小幅であるところの、「略中央部のくびれ部15に該当する部位」の「毛3aの束の群」の幅が特定の大きさに設定されていることは明らかであるから、引用発明は、本願発明と、「前記クビレ部の最小幅であるところの、前記第1毛束群の幅c」が特定の大きさである点で共通する。
(2)そうすると、本願発明と、引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「複数本のブラシ毛を束ねてなる複数の毛束が植毛台に植設されてなるブラシ部を有する歯ブラシであって、
前記植毛台の長さ方向の中央部に第1毛束群を設け、
前記植毛台の長さ方向の先端側に前記第1毛束群より幅広の第2毛束群を設け、
前記植毛台の長さ方向の基端側に前記第1毛束群より幅広の第3毛束群を設け、
前記第1毛束群と前記第2毛束群と前記第3毛束群を設けることにより、前記ブラシ部の長さ方向の途中部に幅狭のクビレ部を設け、
前記クビレ部の長さであるところの、前記第2毛束群の最も外側にある毛束の中で最も基端側にある毛束の基端側の端部から、前記第3毛束群の最も外側にある毛束の中で最も先端側にある毛束の先端側の端部までの長さbが、特定の大きさであり、
前記クビレ部の最小幅であるところの、前記第1毛束群の幅cが、特定の大きさである歯ブラシ。」
(相違点1)
クビレ部の長さに関し、本願発明は、「長さbが、6.0mm以上15mm以下であ」るのに対し、引用発明は、長さbに相当する寸法が、3mm以上である点。
(相違点2)
本願発明は、「前記クビレ部の幅方向の両側部に配置される複数の毛束であるところの、前記ブラシ部の両側部に配置される、前記第2毛束群の幅方向の最も外側にある毛束の中で最も基端側にある毛束から、前記第3毛束群の幅方向の最も外側にある毛束の中で最も先端側にある毛束までの複数の毛束のうちの、少なくとも1つの毛束が、表面に凹凸を有する特殊フィラメントを用いて構成された複数本のブラシ毛を束ねてなる特殊毛束で構成されている」のに対し、引用発明は、そのように構成されていない点。
(相違点3)
本願発明は、クビレ部の最小幅であるところの、第1毛束群の幅cに関し、「幅cが、2.0mm≦c≦7.0mmである」のに対し、引用発明は、略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群の幅の大きさは明らかでない点。
2 判断
(1) 相違点について
前記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献1の【0007】、図2を参照すると、くびれ部15の長軸方向Yの凹み寸法は、日本人の歯の幅の平均的な寸法を考慮して設定していると解され、【0011】の、「日本人の歯の幅d4の平均的な寸法の範囲は、前歯も臼歯も含めて5mm~12mmである。」との記載も考慮すると、引用発明において、くびれ部15の寸法d1を、5mm~12mm程度とすることは、当業者にとって格別困難なことではない。また、本願発明の長さbについて、6.0mmや15mmに臨界的意義が認められないことを踏まえると、引用発明において、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
イ 相違点2について
引用文献2(【0012】-【0016】、【0021】、図1-6)には、歯ブラシにおいて、汚れ除去効果を優れたものとするために、植毛台の幅方向に、長さ方向にのびる3列以上の毛束列を配置した植毛台において、外側に位置する毛束列を、横断面が略正方形でねじれたフィラメント毛からなる毛束で構成する点が記載されている。そして、歯ブラシにおいて、汚れ除去効果を優れたものとすることは周知の課題であって、引用発明においても当然内在している課題である。そうすると、引用発明において、上記周知の課題を踏まえ、引用文献2に記載された外側に位置する毛束列を横断面が略正方形でねじれたフィラメント毛からなる毛束で構成する点を適用して、本願発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。
ウ 相違点3について
(ア) 引用文献1によれば(前記第4 1)、引用発明は、「歯と歯の間への毛先の到達性を良好とし、且つ歯面によくフイットすることができる歯垢除去効果の高い歯ブラシを提供することを課題とする。」(【0005】)ものであって、ブラシ基台2上に植設された多数の毛からなるブラシ体全体の配置形状を、毛の突出方向から見て歯ブラシの長軸方向Yに沿った略瓢箪形に形成し、略瓢箪形のブラシ体のくびれ部15の凹み寸法を、歯ブラシの長軸方向Yにおいて一番広い部分d1で3mm以上とし、且つ短軸方向Xにおいて一番深い部分d2で1mm以上としたことにより、歯垢除去のポイントである歯と歯の間に瓢箪形の2箇所の大径部14の毛先がよく入り込むことができて、毛先の到達性が良好となると共に、大径部14間のくびれ部15もまた歯4の凸部によくフイットすることができ、歯に対して歯ブラシ1を斜めに当てる場合に歯の凸部が瓢箪形のくびれ部15に収まり易くなり、これにより、歯間部5に瓢箪形の大径部14の毛先が一層到達し易くすることができる(【0010】、【0011】)、といったものである。
そして、引用発明は、狭い口腔内における操作を考慮したものと認められ(【0010】、【0014】)、ブラシ基台2の幅を大きくすることが妥当ではないことは明らかである。また、ヘッドの幅が7.5mm~9mm程度の歯ブラシは広く知られており(例えば、国際公開第2005/039355号(図6、7)、特開2006-238928号公報(【0009】、【0016】、【0020】)、特開2011-200296号公報(【0026】)参照。)、引用文献1には、くびれ部15の凹み寸法が、短軸方向Xにおいて一番深い部分d2で1mm以上であることが記載されていることを踏まえると、引用発明において、略中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群の幅が7.0mm以下となる程度の寸法に設定することは、十分に想定されることである。そして、くびれ部15による歯垢除去を考慮した最低限の幅が必要であることも明らかであるから、引用発明において、くびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群の幅を、2.0mm以上、7.0mm以下となる程度の寸法に設定することは、当業者が適宜になし得たことである。
(イ) また、欠損隣接歯の欠損空間側のブラッシングに関する課題やそれに対応した歯ブラシ、清掃用具は、例えば、実願昭58-121259号(実開昭60-29528号)のマイクロフィルム(2頁11行~3頁8行、4頁9行~下から2行)、特開平10-99351号公報(【0002】~【0005】、【0032】~【0037】)、特開2006-230982号公報(【0014】~【0017】、【0037】、【0038】)に記載されているように、周知であって、引用発明においても、このような周知の課題は当然内在しているものである。そして、上記周知技術の当該課題に対応した形状、構造やその操作方法に照らせば、引用発明のくびれ部15が、上記周知技術と同様に、欠損隣接歯の欠損空間に挿入可能な形状、構造であることも、当業者が容易に理解することができるものであるから、引用発明において、欠損隣接歯の欠損空間への挿入を併せ考慮して、中央部のくびれ部15に該当する部位の毛3aの束の群の幅を好適なものとすることも、当業者にとって格別困難なことではなく、平均的な歯の大きさを参考に、2.0mm以上、7.0mm以下とすることは、当業者が適宜になし得たことである(なお、引用文献1には、日本人の歯の幅の平均的な寸法を考慮した凹みの寸法とする点が記載されている(前記第4 1(【0007】、【0011】)。)。
(2) 本願発明の作用効果について
本願発明の奏する効果についてみても、引用発明、引用文献1に記載された事項、引用文献2に記載された事項及び周知の技術から予測の範囲内のものであって、格別のものとは認められない。
(3) 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和7年10月6日付けの意見書において、「引用文献1は、段落[0006]、[0007]、図2からもわかるように、くびれ部15を「歯面」に位置させ、先端側、後端側の大径部14を歯面に隣接する各「歯間」に位置させ、大径部14による歯間への毛の到達性を良好としつつくびれ部15を歯面にフィットさせ、歯垢除去効果を高めるものであって、本願発明のように、くびれ部を欠損隣接歯の間に位置させ、大径の第2毛束群及び第3毛束群により欠損隣接歯の歯面及び歯頚部の清掃性を高めるものではない。したがって、このような引用文献1にかかる発明からは、補正後の本願発明のように、「前記クビレ部の最小幅であるところの、前記第1毛束群の幅cが、2.0mm≦c≦7.0mmである」としてクビレ部を狭い欠損隣接歯の間の空間に嵌め合わせることを可能にする点について、何ら示唆されず、動機付けもない。さらに、補正後の本願発明のように、「前記クビレ部の長さであるところの、前記第2毛束群の最も外側にある毛束の中で最も基端側にある毛束の基端側の端部から、前記第3毛束群の最も外側にある毛束の中で最も先端側にある毛束の先端側の端部までの長さbが、6.0mm以上15mm以下」とすることにより、欠損隣接歯の欠損空間側の歯面及び歯頚部をブラッシングする際の操作性の向上を図れる点についても、何ら示唆されず、動機付けもない。」旨を主張している。
しかしながら、前記(1)ア、ウに示したとおり、引用発明において、くびれ部15の幅cを、2.0mm以上、7.0mm以下とすること及び長さbを、6.0mm以上15mm以下とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、審判請求人の主張は、採用できない。
(4) まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献1に記載された事項、引用文献2に記載された事項及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、この出願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-012472