特許拒絶査定不服審判
2024-010102
ロッド及び/又は形鋼のための2ロール矯正機のロールギャップを設定あるいは調整する装置並びに方法
- 審判番号
- 2024-010102
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-547868
- 請求日
- 2024年06月18日
- 審決日
- 2025年09月09日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
- 【請求人代理人】江崎 光史
- 【請求人代理人】鍛冶澤 實
- 【請求人代理人】中村 真介
- 【請求人代理人】石田 大成
- 【請求人代理人】高原 昭典
- 審判長/審判官
- 審判長 本庄 亮太郎
- 審判官 山田 康孝
- 審判官 田々井 正吾
- 分類
- P18 .121-Z (B21D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-547868「ロッド及び/又は形鋼のための2ロール矯正機のロールギャップを設定あるいは調整する装置並びに方法」拒絶査定不服審判事件〔2021年(令和3年)8月12日国際公開、WO2021/156205、令和5年3月29日国内公表、特表2023-512780〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)2月1日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2020年2月6日 (DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする国際特許出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
1 令和4年 8月 5日
国内書面の提出
2 令和4年 9月 1日
翻訳文の提出
3 令和5年 7月 7日付け
拒絶の理由(以下「拒絶理由」という。)の通知
4 令和5年11月27日
意見書の提出(以下、単に「意見書」という。)
5 令和6年 2月16日付け
拒絶をすべき旨の査定(以下「原査定」という。)
6 令和6年 6月18日
拒絶査定不服審判の請求書及び手続補正書の提出
第2 令和6年6月18日の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月18日提出の手続補正書によりされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 請求項1に対する本件補正の内容について
本件補正は、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる拒絶査定不服審判の請求と同時にしたものであって、その特許請求の範囲(同法第184条の6第2項)の請求項1についてする補正は、国際出願日における請求の範囲の翻訳文に記載した次の(1)の記載を(2)の記載に補正をするものである。((2)の本件補正による補正箇所に下線を付した。)
(1)本件補正前の本願の国際出願日における請求の範囲の翻訳文の請求項1の記載
「【請求項1】
ローラフレームと、調整可能な2つの矯正ローラと、ロッド及び/又は形鋼の判断に基づく値を提供する少なくとも1つの測定装置と、矯正ローラを設定あるいは調整するための開ループ制御部又は閉ループ制御部とを備えた、ロッド及び/又は形鋼のための2ロール矯正機、特に傾斜ロール矯正機のロールギャップを設定あるいは調整する装置であって、
-各矯正ローラが、矯正ローラの設定あるいは調整を互いに変更するために、少なくとも1つの完全油圧式の駆動部に結合されており、
-矯正により生じる矯正力を、本質的に完全油圧式の駆動部によってローラフレームへ伝達可能である
ことを特徴とする装置。」
(2)本件補正後における特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】
ローラフレームと、調整可能な2つの矯正ローラと、ロッド及び/又は形鋼の判断に基づく値を提供する少なくとも1つの測定装置と、矯正ローラを設定あるいは調整するための開ループ制御部又は閉ループ制御部とを備えた、ロッド及び/又は形鋼のための2ロール傾斜ロール矯正機のロールギャップを設定あるいは調整する装置であって、
-各矯正ローラが、矯正ローラの設定あるいは調整を互いに変更するために、少なくとも1つの完全油圧式の駆動部に結合されており、
-矯正により生じる矯正力を、本質的に完全油圧式の駆動部によってローラフレームへ伝達可能である
ことを特徴とする装置。」
2 請求項1に対する本件補正の目的について
本件補正では、上記1(1)の本件補正前の請求項1に記載した「2ロール矯正機、特に傾斜ロール矯正機」を、上記1(2)の「2ロール傾斜ロール矯正機」に補正をした。
そして、本件補正前の「2ロール矯正機、特に傾斜ロール矯正機」は、「2ロール矯正機」全般を含んでいたところ、補正後は、後半の選択的な事項として記載されていた「特に傾斜ロール矯正」を必須の事項として限定して、「2ロール傾斜ロール矯正機」としたものであるから、この補正は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項である2ロール矯正機の内容を限定するものである。
さらに、本件補正において、補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載されている発明の産業上の利用分野は共にロール矯正機(本願明細書の段落0001)であり、解決しようとする課題は共に、矯正時の互いに対する矯正ローラの設定あるいは調整の変更によるロールギャップ及びロール力(圧延力)の迅速な変更が可能となるように、ロッド又は形鋼を矯正する公知の装置を発展開発する(本願明細書の段落0010)というもので、いずれも同一である。したがって、本件補正の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする。
このため、本件補正後における請求項1に記載される事項により特定される発明(以下「本願補正発明1」という。)は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により、特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないため(独立特許要件)、本願補正発明1に関し、同法第29条第2項(進歩性)に規定する要件について、以下検討する。
3 引用文献
次の(1)~(2)の引用文献1~2は、上記第1の5の原査定における備考欄の<引用文献等一覧>のものと、(3)の引用文献4は本件拒絶査定不服審判請求後の令和6年7月18日付け前置報告書の<引用文献等一覧>のものと共通である。
(1)引用文献1:特開昭61-283420号公報
(2)引用文献2:特開2002-282943号公報[周知技術を例示する文献]
(3)引用文献4:特開2001-113314号公報[周知技術を例示する文献]
4 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
ア 発明の詳細な説明(下線は当審で付与。以下第2において同じ。)
(ア)「〔発明の利用分野〕
本発明は長尺金属材の曲がり修正装置に係り、特に生産性に優れた長尺金属材の曲り修正装置に関する。」(第1ページ右下欄第14~17行)
(イ)「〔発明の目的〕
本発明の目的は長尺金属材の曲りを自動的に連続して修正することのできる生産性の優れた長尺金属材の曲り修正装置を提供することにある。」(第2ページ左上欄第6~9行)
(ウ)「〔発明の実施例〕
以下本発明の一実施例を第1図~第5図により説明する。
第1~2図は長尺金属材の曲り修正装置の概略を示すもので、曲り量を測定する計測装置の一例について説明する。曲り計測装置3は曲りのある長尺金属材1に対し、ばね3Cにより押し付けられている。」(第2ページ左上欄第18行~右上欄第5行)
(エ)「 この状態で、長尺金属材1または曲り計測装置3を相対的に移動させながら繰返し測定、演算を行うことにより、長尺金属材1の各部の曲り量を連続して計測することができる。」(第2ページ右上欄第18行~左下欄第1行)
(オ)「 次に曲りの測定結果にもとづく、曲りの修正を説明する。曲りの発生している長尺金属材1を前記曲り計測装置3により曲り量を測定した後、この曲り量にあわせて2つの圧延ローラ2A,2Bを有する圧延機2により、局部傾斜圧延して、曲りを修正するものである。長尺金属材1に圧延を施すと、塑性変形して厚さが減少するが、体積は一定であるため減少した厚さ分は長さ方向に伸びる。曲りという状態は、言いかえればその曲りの内側が外側に比べて短くなっている状態である。したがつて曲りの内側を局部的に圧延し曲りの外側と同じ長さになるまで伸ばせば、長さがバランスするので曲りを修正することができるのである。
長尺金属材1の曲り量を曲り計測装置3により計測した結果を基に第3図に示す流れ図により、傾斜圧延データを用いて傾斜圧延量を決定し、圧延ローラ2Aの圧下量を調整する。」(第2ページ左下欄第16行~右下欄第13行)
(カ)「 ここで圧延機2の構造の概略を第4図で説明する。前記傾斜圧延データから決定された長尺金属材1の傾斜圧延量、すなわち長尺金属材1の機械的性質、板厚tに対する傾斜量αから上部圧延ローラ2Aの位置を油圧シリンダ21A,21Bにより制御し、傾斜圧延を実施する。この結果、長尺金属材1の圧下量の多い側1Pは少ない側IAに比べ長手方向に伸びる量が多くなる。そして、制御装置により傾斜圧延データに基づいて傾斜圧延量が曲りを修正できるように調整されているので、本圧延機2により長尺金属材1を圧延すると、曲り修正され長尺金属材10が得られる。
なお、本圧延機2では圧延ロール2が2A,2Bの二段となっているが、バックアップロールを介して圧下力を伝える四段構成としてもよい。また、上部圧延ロール2Aの位置制御を油圧シリンダ21A,21Bにより行つたが、装置の剛性を利用してねじ類の回転量により位置制御してもよい。さらに、上部圧延ロール2Aを位置制御ではなく、圧下力Pで制御してもよい。
以上説明した圧延機2により曲りを修正された長尺金属片10は、曲り検測装置30により曲り量を再測定し、第3図に示す流れ図に示すように、基準内であれば引き続き次の位置の修正を続け、基準を満たしていない場合は再修正を行い、曲りのない長尺金属材10とする。」(第2ページ右下欄第14行~第3ページ左上欄第19行)
(キ)「 曲り修正圧延の他の実施例を第5図により説明する。本実施例の曲り修正装置は圧延機22が異なる。すなわち、制御装置では曲り計測装置3による曲り量計測結果及び局部圧延データに基づき、圧下量Δt(=t-t2)を決定する。この結果から、油圧シリンダ21A,21Bにより上部圧延ロール2Aの位置を制御しながら長尺金属材1の局部IPを圧延することにより、曲りを修正するようにしたものである。
なお、本実施例においても、バックアップロールを介して圧延ロール2A,2Bに圧下力を伝える四段構成としても良く、上部圧延ロール2Aの位置制御をねじ類の回転量により行つてもよい。さらに、圧延量を上部圧延ロール2Aの位置制御ではなく、圧下力Pにより制御してもよい。」(第3ページ右上欄第5~19行)
イ 図面
「第1図
[図:0001431725000001.jpg]
第2図
[図:0001431725000002.jpg]
第3図
[図:0001431725000003.jpg]
第4図
[図:0001431725000004.jpg]
第5図
[図:0001431725000005.jpg]
」
(2)引用文献1の記載事項の整理
上記(1)で摘記した引用文献1の記載事項は、同じ部材(図面の符号2A、2B)について、「圧延ローラ」と「圧延ロール」の2種類の用語が混用されているが、以降、引用文献1を直接引用する部分を除いて、「圧延ローラ」の用語で統一する。
ア 上記(1)ア(ア)~(イ)の記載からみて、引用文献1には、長尺金属材の曲り修正装置が記載されている。
そして、この長尺金属材の曲り修正装置は、上記(1)ア(オ)~(キ)、上記(2)の第3~5図の記載からみて、調整可能な圧延ローラ2A、2Bと、圧延ローラ2A、2Bを調整する制御装置を備え、長尺金属材1のための圧延ローラ2A、2Bを備えた圧延機2の圧延ローラ2A、2Bの圧下量を調整するものである。また、上記(1)ア(ウ)~(エ)、上記(2)の第1~2図の記載からみて、上記長尺金属材の曲り修正装置は、長尺金属材1の曲り量を計測する計測装置3を備えるものである。
イ 上記(1)ア(カ)~(キ)、及び第4~5図の記載に基づくと、上記アの長尺金属材の曲り修正装置において、上部圧延ローラ2Aが、圧下量を変更するために、油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を上部圧延ローラ2Aに伝える構成としており、第4~5図の図示内容からみて、その圧下力は上部圧延ローラ2Aを回転可能に支持する軸受部分の外殻に作用しているものと理解できる。
さらに、上記(1)ア(カ)の「なお、本圧延機2では圧延ロール2が2A、2Bの二段となっているが、バックアップロールを介して圧下力を伝える四段構成としてもよい。」の記載、及び上記(1)ア(キ)の「なお、本実施例においても、バックアップロールを介して圧延ロール2A、2Bに圧下力を伝える四段構成としても良く、」の記載を考慮した場合には、圧下量を変更するための圧下力は上部圧延ローラ2Aだけでなく、下部圧延ローラ2Bからも伝えられるものであるといえる。
そうすると、この場合には、上記アの長尺金属材の曲り修正装置は、各圧延ローラ2A、2Bが、圧下量を変更するために、油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ローラ2A、2Bに伝える構成としており、修正により生じる油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ローラ2A、2Bに伝える構成としていることが理解される。
(3)引用文献1記載の発明
上記(1)~(2)より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。
「調整可能な圧延ローラ2A、2Bと、長尺金属材1の曲り量を計測する計測装置3と、圧延ローラ2A、2Bを調整するための制御装置を備え、長尺金属材1のための圧延ローラ2A、2Bを備えた圧延機2の圧延ローラ2A、2Bの圧下量を調整する長尺金属材の曲り修正装置であって、
-各圧延ローラ2A、2Bが、圧下量を変更するために、油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ローラ2A、2Bに伝える構成であり、
-修正により生じる油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ローラ2A、2Bに伝える構成である
長尺金属材の曲り修正装置。」
5 引用文献2
(1)引用文献2の記載事項
ア 明細書
「【0012】本発明のH形鋼の曲がり矯正装置は、H形鋼の一方のフランジ1A(以下、左フランジとして説明する)を冷間圧延して、長手方向曲がりを矯正するものである。左フランジ1Aを冷間圧延する1対の圧延ロール2、3は、図4(a)、図4(b)に示すように、左フランジ1Aの内面を圧下する内圧延ロール2と、フランジ1Aの外面を圧下する外圧延ロール3であり、内圧延ロール2はH形鋼1のウエブを挟んで上下に配置されている。
【0013】ここで、本発明のH形鋼の曲がり矯正装置は、図4(a)に示すように、H形鋼1の進行方向と平行なパスラインに対して左右方向に移動可能に配置されている内、外圧延ロール2,3を装着可能な中フレーム9と、この中フレーム9の右フレーム部に取り付けられた中フレーム9を支持する油圧シリンダAとを備えている。この場合、油圧シリンダAは中フレーム9と本体フレーム12間に設けてある。
【0014】さらに、内圧延ロール2は、上記の中フレーム9の右フレーム部に回転自在に固定されており、外圧延ロール3は上記の中フレーム9の左フレーム部に油圧シリンダBを介して回転自在に、かつ左右方向に移動可能に支持されている。また、中フレーム9の入側、および出側には左フランジ1Aの外面と対向するように2個のガイドローラ4、5が設けてあり、さらに、上記の油圧シリンダAと上記の油圧シリンダBとを連絡する配管14が設けてある。図4(a)に示すδは、H形鋼1を通す前における中フレーム9の左フレーム部と本体フレーム12との隙間である。
【0015】そして、H形鋼1を矯正する際に、許容限度を超えるまでは、配管14からの油の流出を遮断するように構成してあるので、H形鋼1を通している間は、油圧シリンダA、油圧シリンダBおよび配管14の系内の油はこれらの系内から排出されることはない。ここで、H形鋼1を通す前に、圧延ロール2、3間の隙間をフランジ1A厚に等しく設定する。
【0016】本発明では、上記のように構成してあるので、曲がりのないH形鋼1を圧延ロール間に通した場合(図5(a)参照)、または、左フランジが外側に湾曲しているH形鋼1を圧延ロール2、3間に通した場合(図5(c)参照)、H形鋼1は圧延ロール2,3間を通過するだけで圧延されない。これに対して、左側のフランジが内側に湾曲しているH形鋼1を圧延ロール2、3間に通した場合には(図5(b)参照)、入側、出側ガイドロール4,5を支点として内圧延ロール2が右方に押されるために、中フレーム9が右方にδAだけ変位し、油圧シリンダA内の油が所定の高圧に圧縮されると同時に、油圧シリンダAと油圧シリンダBとが配管14により連絡してあるから、シリンダB内の油も所定の高圧となる。その結果、内、外圧延ロール2、3間で左フランジが冷間圧延されることになる。」
イ 図面
「【図4】
[図:0001431725000006.jpg]
・・・
【図5】(b)
[図:0001431725000007.jpg]
」
(2)引用文献2に記載された技術的事項
引用文献2には、上記(1)より、次の事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されている。
「油圧シリンダA内の油が高圧になることで、油圧シリンダAを取り付けた中間フレーム9に装着した内・外圧延ロール2、3間でフランジ1Aを冷間圧延して矯正する矯正装置。」
6 引用文献4
(1)引用文献4の記載事項
ア 明細書
「【0028】これら上下矯正ローラ6a~6dのうち下矯正ローラ6c,6dは、図11に示すように、歪みを除去するために、内面から外側面に大径から漸次小径に変化されるテーパー形(円錐台形)に形成され、水平軸38を介して支持された上矯正ローラ6a,6bは、下矯正ローラ6c,6dに対応して内面から外側面に小径から漸次大径に変化される逆テーパー形(円錐台形)に形成される。なお、図15に示す他の実施の形態として、上矯正ローラ6a′,6b′を平行ローラとし、それぞれの軸部に所定範囲で揺動可能な自在軸受6eを介在させることもできる。また、図示しないが下矯正ローラを平行ローラ、上矯正ローラをテーパローラとし、これら上矯正ローラに前記自在軸受を介装してもよい。
・・・
【0035】前記下歪み形成ローラ7bは、図12に示すように、中央部が大径となる太鼓形ローラに形成され、上歪み形成ローラ7aは下歪み形成ローラ7bに嵌合するように中央が小径の鼓形ローラに形成されて逆歪みを形成することができる。導入用ローラ装置8は、図6(a)に示すように、前部のローラコンベヤ装置3と矯正機本体1の間および矯正機本体1と後部のローラコンベヤ装置3の間にそれぞれ設置されており、下横桁5cに設けられた支持フレーム16にガイドローラ昇降装置(油圧シリンダ)17を介して導入ローラ18fおよび導出ローラ18rがそれぞれ昇降自在に設けられている。これら導入用ローラ装置8により、水平搬送ローラ11から矯正機本体1に搬入する際に、側面視におけるパネルPの曲がりに起因して、パネルPの先端部が下矯正ローラ6c,6dおよび下逆歪み形成ローラ7bの頂部に衝突しないように、パネルPの先端部を少し持ち上げた状態で送り込むためのものである。」
イ 図面
「【図11】
[図:0001431725000008.jpg]
【図12】
[図:0001431725000009.jpg]
」
(2)引用文献4に記載された事項
引用文献4には、上記(1)の、特に、図11に示す下矯正ローラ6c,6dは、及び下矯正ローラ6c,6d、及び上矯正ローラ6a,6b、さらに図12に示す下歪み形成ローラ7b、上歪み形成ローラ7aに関する記載からみて、次の事項(以下「引用文献4記載の技術的事項」という。)が記載されている。
「テーパー形(円錐台形)ローラ、あるいは中央が小径又は大径となる鼓形ローラである矯正ローラを備えた矯正機」
7 本願補正発明1と引用発明1との対比
本願補正発明1は、上記1(2)に記載した事項により特定されるとおりのものであって、引用発明1と対比すると、以下のことがいえる。
(1)引用発明1の「圧延ローラ2A、2B」は本願補正発明1の「2つの矯正ローラ」又は「矯正ローラ」に相当し、以下同様に、「長尺金属材1」は「ロッド及び/又は形鋼」に、「曲り量を計測する」は「判断に基づく値を提供する」に、「計測装置3」は「少なくとも1つの測定装置」に、「調整する」は「設定あるいは調整する」に相当する。
次に、引用発明1の「圧延ローラ2A、2Bを調整するための制御装置」は、上記4(1)イの第3図記載の制御内容が、長尺金属材1の曲り量計測した結果を基に、傾斜圧延データを用いて傾斜圧延量を決定し、圧延ローラ2Aの圧下量を調整する(上記(1)ア(オ))という開ループ制御の内容と、圧延機2により曲りを修正された長尺金属片10の曲り量を再測定し、基準内であれば引き続き次の位置の修正を続け、基準を満たしていない場合は再修正を行い、曲りのない長尺金属材10とする(上記(1)ア(カ))という閉ループ制御の内容を含んでいることが認識されるから、本願補正発明1の「矯正ローラを設定あるいは調整するための開ループ制御部又は閉ループ制御部」に相当する。
また、引用発明1の「圧延ローラ2A、2Bを備えた圧延機2」と本願補正発明1の「2ロール傾斜ロール矯正機」を対比すると、両者は「2ロール矯正機」という点に限り一致する。
そして、引用発明1の「圧延機2の圧延ローラ2A、2Bの圧下量を調整する」ことは本願補正発明1の「ロールギャップを設定あるいは調整する」ことに相当し、同様に「長尺金属材の曲り修正装置」は「装置」に相当する。
(2)引用発明1の「圧下量を変更する」ことは本願補正発明1の「矯正ローラの設定あるいは調整を互いに変更する」ことに相当する。
そして、本願補正発明1の「完全油圧式」の用語について、本願明細書の段落0012において「ロールギャップ及び圧延力の変更に必要な各矯正ローラの全ての設定あるいは調整が、矯正ローラに作用する少なくとも1つの油圧式の駆動部によって行われること」と定義されていることからみて、引用発明1の「各圧延ローラ2A、2Bが」が「油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ロール2A、2Bに伝える構成であり」は本願補正発明1の「各矯正ローラ」が「少なくとも1つの完全油圧式の駆動部に結合されており」に相当する。
なお、本願補正発明1の「完全油圧式」の用語については、本願明細書には、上記の段落0012以外に説明はなく、本願の願書には図面が添付されていないため、具体例が図示されていることはなく、一般的に用いられている用語ともいえないから、当該段落0012の定義に基づいて解釈する。
(3)引用発明1の「修正」は本願補正発明1の「矯正」に相当する。そして、上記(2)の本願明細書の段落0012記載の「完全油圧式」の用語の定義に照らせば、引用発明1の「修正により生じる油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ローラ2A、2Bに伝える構成である」ことと本願補正発明1の「矯正により生じる矯正力を、本質的に完全油圧式の駆動部によってローラフレームへ伝達可能である」ことを対比すると、両者は「矯正により生じる矯正力を、本質的に完全油圧式の駆動部によって矯正ローラを含むローラ装置の所定部位へ伝達可能である」という点に限り一致する。
8 本願補正発明1と引用発明1の一致点及び相違点
上記7より、本願補正発明1と引用発明1は、次の(1)の点で一致する一方で、(2)ア~イの点で相違する。
(1)一致点
調整可能な2つの矯正ローラと、ロッド及び/又は形鋼の判断に基づく値を提供する少なくとも1つの測定装置と、矯正ローラを設定あるいは調整するための開ループ制御部又は閉ループ制御部とを備えた、ロッド及び/又は形鋼のための2ロール矯正機のロールギャップを設定あるいは調整する装置であって、
-各矯正ローラが、矯正ローラの設定あるいは調整を互いに変更するために、少なくとも1つの完全油圧式の駆動部に結合されており、
-矯正により生じる矯正力を、本質的に完全油圧式の駆動部によって矯正ローラを含むローラ装置の所定部位へ伝達可能である
装置。
(2)相違点
ア 相違点1
矯正ローラを含むローラ装置における矯正力を伝達可能である所定部位に関し、本願補正発明1が矯正ローラにローラフレームを備え、矯正力を、ローラフレームへ伝達可能であるのに対して、引用発明1は矯正ローラにローラフレームを備えるかが不明であり、したがって、矯正力を、ローラフレームへ伝達可能であるか不明である点。
イ 相違点2
本願補正発明1が「2ロール傾斜ロール矯正機」で矯正ロールが傾斜ロールである矯正機であるのに対して、引用発明1は矯正ローラとして2個の圧延ロール2A、2Bを備えるから2ロール矯正機とはいえるが、矯正ロールが傾斜ロールであるか不明である点。
9 相違点の検討
以下の相違点1~2について検討するが、検討にあたり次の参考文献を参照する。
参考文献A:特開昭61-123419号公報
(1)相違点1
上記4(2)イのとおり、引用文献1の第4~5図には、油圧シリンダ21A、21Bが、上部圧延ローラ2Aを回転可能に支持する軸受部分の外殻に作用している構成が図示されている。下部圧延ローラ2Bについては圧下力がどのように伝わるかの図示がないものの、上記4(2)イのとおり、上部圧延ローラ2Aと同様に下部圧延ローラ2Bが扱われていることから、下部圧延ローラ2Bについても例えば軸受部分の外殻に作用することが想定できる。
そして、本願の願書には図面が添付されていないことから、本願補正発明1のローラフレームの具体的な構成は不明であるが、引用文献1に図示される上記外殻もローラを支持する部材としてのローラフレームであるとみることができるので、相違点1は実質的な相違点といえない。
また、他にも、引用文献2記載の技術的事項の「油圧シリンダA内の油が高圧になることで、油圧シリンダAを取り付けた中間フレーム9に装着した内・外圧延ロール2、3間でフランジ1Aを冷間圧延して矯正する矯正装置。」が、矯正力をローラフレーム(中間フレーム9)に伝達している矯正装置であるなど、相違点1の矯正力を、ローラフレームへ伝達することについては周知技術(以下「周知技術1」という。)であると認められ、その引用発明1への適用は、当業者が適宜なし得たことである。
なお、上記周知技術1については、参考文献Aの図1(例えば油圧が油室11aに供給されてローラ1aを下降して金属管Pを圧下するシリンダ11の下部が、ローラ1aを軸支するコ字状の部材の上部に接している構造を参照。)にも、同様の内容が示されている。
(2)相違点2
矯正ローラが傾斜ロールであることについては、本願の明細書に具体的な説明がないため、いくつかの形態が推測されるが、例えば、矯正ローラの押圧面がワーク(ロッドや形鋼)の搬送方向から見て水平面に対して傾斜するように配置されている形態については、引用文献1の第4図に示されたものが該当するといえる。また、矯正ローラの押圧面がローラ軸に対して傾斜して配置されている形態については、引用文献4記載の技術的事項のものは「テーパー形(円錐台形)ローラ、あるいは中央が小径又は大径となる鼓形ローラである矯正ローラを備えた矯正機」が該当するといえる。
これらに加えて、矯正ローラの押圧面が鉛直方向から見て搬送方向に対して傾斜するように配置されている形態も考えられるが、この形態については、参考文献Aの第1図に示されている各ロールの配置(1a~3b)が該当する。
以上のことから、上記相違点2の矯正機の矯正ローラが傾斜ロールであることについては、引用文献1に記載されており、あるいはこれ以外にも、引用文献4に記載されているような周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえ、参考文献Aにも記載されているものであるから、引用発明1の矯正ローラを傾斜ロールとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、仮に傾斜ロールが上記で挙げたもの以外の形態であるとしても、本願の書類においては、特許請求の範囲以外に、発明の詳細な説明や図面に具体的な記載がないから、本願補正発明1の矯正ローラが、そのような形態であることの根拠が存在しない。
10 請求人の主張について
審判請求書の請求の理由(以下、単に「請求の理由」という。)及び第1の4の意見書における主張について検討する。
(1)請求の理由における請求人の主張
ア 主張の内容
(ア)引用文献1には、「2ロール傾斜ロール矯正機」に対応する事項は全く開示又は示唆されていない。
(イ)本願補正発明1における「2ロール傾斜ロール矯正機」について、本願明細書の特に段落0003の記載からみて、断面は変更されず、反りを引き起こす応力に更に高い応力を重ねることによって矯正が行われるようになっている。
(ウ)一方、引用文献1に記載された発明では、特に「長尺金属材1に圧延を施すと、塑性変形して厚さが減少するが、体積は一定であるため減少した厚さ分は長さ方向に伸びる。」(第2ページ右下欄第1~4行)の記載からみて、長尺金属材の曲がりは当該長尺金属材が部分的に変形あるいは延伸されることで補整されるようになっているものであるから、引用発明1は、本願補正発明1と根本的に異なるものである。
(エ)また、引用文献2~3にも、本願補正発明1の上記の(ア)の事項や(イ)の特徴については記載されていない。
イ 上記アの主張の検討
上記ア(ア)の本願補正発明1の上記アの事項である「2ロール傾斜ロール矯正機」は、既に9(2)で相違点2について検討したとおりであって、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願補正発明1の上記ア(イ)の特徴の根拠とされる本願明細書の段落0003には、本願の背景技術として「このとき、矯正は、矯正機、特に2ロール矯正機の矯正ローラ間で行われる。このとき、ギャップ幾何形状のような矯正ローラの設定あるいは調整、矯正ローラの間隔及び向きにより、ロッド又は形鋼へ局所的にもたらされる応力ひいては矯正後の生じた残留変形が決定される。」と記載されているが、この記載は2ロール矯正機全般に関する内容であって、「2ロール傾斜ロール矯正機」に限られるものではなく、矯正ローラの設定あるいは調整、矯正ローラの間隔及び向きによって、ロッド又は形鋼へ局所的にもたらされる応力、矯正後の生じた残留変形に影響を与えることが記載されているものである。
これに対して、引用発明1も2ロール矯正機であって、さらに、矯正ローラの設定あるいは調整、矯正ローラの間隔及び向きが変更されるものであるから、本願補正発明1との間に請求人が主張するような差異はなく、また、本願補正発明1についても、このような差異を根拠付ける事項が、請求項に反映されているものでもない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)意見書における請求人の主張
請求人は、請求の理由においては主張していないが、上記第1の4の意見書において次の主張をする。
ア 主張の内容
(ア)本願補正発明1における「各矯正ローラが、矯正ローラの設定あるいは調整を互いに変更するために、少なくとも1つの完全油圧式の駆動部に結合されて」いるという特徴(以下「特徴1」という。)が、引用文献1には記載も示唆もされていない。
すなわち、引用文献1には、圧延ローラ2Bについて油圧シリンダ等を用いて調整すること、あるいは圧延ローラ2A、2Bのそれぞれが油圧シリンダ(完全油圧式の駆動部)に結合されていることが、開示又は示唆されていない。
(イ)本願補正発明1における「矯正により生じる矯正力を、本質的に完全油圧式の駆動部によってローラフレームへ伝達可能である」という特徴(以下「特徴2」という。)が、引用文献1には記載も示唆もされていない。
すなわち、引用文献1の第4図には、矯正力を油圧シリンダ21A、21Bによって圧延ローラ2Aへ作用させていることが示されているもの、矯正力を油圧シリンダ21A、21Bによってローラフレームへ伝達可能であることが、開示又は示唆されていない。
イ 上記アの主張の検討
上記4(3)で認定した引用発明1について、特に4(2)イで整理したとおり、引用文献1の上記4(1)ア(カ)~(キ)の記載事項を根拠に、「-各圧延ローラ2A、2Bが、圧下量を変更するために、油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ローラ2A、2Bに伝える構成であり、-修正により生じる油圧シリンダ21A、21Bによる圧下力を圧延ローラ2A、2Bに伝える構成である」ことをその一部として認定した。
そして、上記7の本願補正発明1と引用発明1との対比では特に7(2)~(3)での比較に基づいて、「-各矯正ローラが、矯正ローラの設定あるいは調整を互いに変更するために、少なくとも1つの完全油圧式の駆動部に結合されており、-矯正により生じる矯正力を、本質的に完全油圧式の駆動部によって伝達可能である」ことを、上記8(1)の本願補正発明1と引用発明1との一致点に含めたものであって、引用発明1は、上記ア(ア)の「特徴1」及びア(イ)の「特徴2」を含むものである。
したがって、請求人の意見書における引用文献1に「特徴1」及び「特徴2」が記載も示唆もされていないという主張は採用することができない。
なお、参考文献A(第2ページ左下欄第8行~第3ページ右上欄第12行、第1図を参照。)には、3つの2ロール矯正機(対向ロール1~3)が、入側~出側に順番に配置されたものについて、入側の対向ロール1の上ロール1aと下側1bの両方、中間対向ロール2の上ロール2aのみ、出側対向ロール3の下ロール3bのみを油圧駆動することが記載されているように、引用発明1において、圧延ローラ2Aのみを駆動するか(引用文献1の第4~5図)、それに代えて上下両方の圧延ローラ2A、2Bを油圧駆動するか、あるいは圧延ローラ2Bのみを駆動するかは、設置される目的や機能に応じて当業者が適宜選択し得る事項であることは技術常識であるともいえる。
11 特許法第29条第2項(進歩性)を理由とする独立特許要件の適否についてのまとめ
本願補正発明1は、上記9(1)~(2)で検討したとおりいずれの相違点によっても進歩性を具備するとはいえないため、引用発明1に基づいて、あるいは引用発明1及び周知技術1(必要であれば、引用文献2記載の技術的事項を参照。)及び周知技術2(必要であれば、引用文献4記載の技術的事項を参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、上記10のとおり請求の理由における請求人の主張も採用することはできないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願補正発明1は、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、同法第17条の2第6項において前項第2号の場合に準用する同法第126条第7項の規定に違反しているものと認められる。
12 小括
以上のとおり、拒絶査定不服審判の請求と同時にされた本件補正(特許法第17条の2第1項第4号)は、同条第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであるものの、同法第17条の2第6項にて準用する同法第126条第7項に規定される要件を満たさず、同法第17条の2第6項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において、読み替えて拒絶査定不服審判に準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明1
本件補正は、第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~18に係る発明は、国際特許出願である本願の国際出願日における請求の範囲の翻訳文の請求項1~18に記載した事項により特定されるとおりのものであって、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、上記第2の[理由]1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶理由のうち、本願発明1に対する理由は、概略、次の(1)のとおりであり、当該拒絶理由において引用した文献は、次の(2)のとおりである。
(1)理由
(進歩性)本願発明1は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記(2)の刊行物(引用文献1~3)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)引用文献
以下の引用文献1~3は、上記第1の5の原査定における備考欄の<引用文献等一覧>のものと共通である。
ア 引用文献1:特開昭61-283420号公報
イ 引用文献2:特開2002-282943号公報[周知技術を例示する文献。]
ウ 引用文献3:特開2003-305515号公報[周知技術を例示する文献。]
3 理由の検討
上記第2で進歩性に係る独立特許要件を検討した本願補正発明1は、本件補正により、本願発明1の「2ロール矯正機、特に傾斜ロール矯正機」を「後半の選択的な事項として記載されていた「特に傾斜ロール矯正」を必須の事項として限定して、「2ロール傾斜ロール矯正機」と補正をしたものである。
したがって、本願発明1は、本願補正発明1から、2ロール矯正機について、傾斜ロール矯正機であることの限定が省かれたものといえる。
そして、上記第2で検討したとおり、本願補正発明1が、引用発明1に基づいて、あるいは引用発明1、周知技術1、及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、本願発明1は、本願補正発明1から、2ロール矯正機について、傾斜ロール矯正機であることの限定が省かれ、換言すれば相違点2に相当する事項が省かれ、引用発明1との相違点は相違点1のみであるから、本願発明1は、引用発明1に基づいて、あるいは引用発明1及び周知技術1(必要であれば引用文献2記載の技術的事項を参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、上記2(1)の本願発明1に対する理由(進歩性)は、周知技術1を提示する文献として引用文献2に加えて、引用文献3を引用しているものの、第2の9(1)で相違点1について検討したとおり、引用文献3を引用しなくても、引用文献2のみから、第1の原査定の備考欄で認定したのと同じ内容の周知技術である周知技術1を認定して、相違点1の進歩性を否定できるものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をされるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-010102