特許拒絶査定不服審判
2025-006565
アルミ管拡管装置、アルミ管拡管装置用のヘッドユニット、アルミ管拡管装置用のヘッド本体、アルミ管拡管方法、および冷媒用のアルミ管
- 審判番号
- 2025-006565
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-012327
- 請求日
- 2025年04月28日
- 審決日
- 2026年05月12日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】高砂熱学工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
- 審判長/審判官
- 審判長 本庄 亮太郎
- 審判官 青木 良憲
- 審判官 鈴木 貴雄
- 分類
- P18 .121-Z (B21D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 12327「アルミ管拡管装置、アルミ管拡管装置用のヘッドユニット、アルミ管拡管装置用のヘッド本体、アルミ管拡管方法、および冷媒用のアルミ管」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 8月 9日出願公開、特開2022-115650〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年1月28日にされた特許出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和6年 9月 6日付け:拒絶理由通知書による拒絶の理由の通知
同年11月18日 :意見書及び手続補正書の提出
令和7年 1月29日付け:拒絶をすべき旨の査定(拒絶査定)
(以下「原査定」という。)
同年 4月28日 :拒絶査定不服審判(本件審判)の請求
第2 本件発明
本件出願の請求項1~13に係る発明は、令和6年11月18日提出の手続補正書により補正がされた特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】
冷媒用のアルミ管を拡管するためのアルミ管拡管装置であって、
レバー操作がなされる可動レバーを有する本体部と、
前記本体部に装着され、前記レバー操作に伴って、前記アルミ管の筒内で拡張することにより、前記アルミ管を拡管する拡管部を有するヘッドユニットと
を備え、
前記アルミ管は、
拡管前の外径寸法が、冷媒用の銅管の拡管前の規格上の外径寸法と同寸法であり、
拡管前の内径寸法が、前記冷媒用の銅管の拡管前の内径寸法よりも小さく、
前記拡管部は、
拡管前の前記アルミ管の内径よりも小さい、拡管前の外径寸法を有し、
拡管前の前記アルミ管の外径よりも大きい、拡管後の外径寸法を有する
ことを特徴とするアルミ管拡管装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定における、本件発明に対する拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
・特許法第29条第2項(進歩性)
本件発明は、本件出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項、及び、引用文献3~4に例示される周知の技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:実願昭47-137912号(実開昭49-94239号)
のマイクロフィルム
引用文献2:特開2019-155460号公報
引用文献3:特開2009-92274号公報
引用文献4:国際公開第2020/255966号
第4 引用文献に記載された事項
1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様。)。
ア 明細書第1ページ第13~15行
「本考案は鋼管、アルミ管及び軟鋼管等のパイプの内径を拡張してパイプ接合を容易にするパイプ内径拡張装置の改良に関する。」
イ 明細書第2ページ第13行~第3ページ第11行
「本考案は上述の点に鑑みてなされたもので拡張すべき管に挿入する拡張体と円錐棒押込体とを螺着することによつて(当審注:以下、「つ」が促音として使用される箇所では小文字「っ」と表記する。)両者を簡単に分離できるようにすると共に結合すべき管の径に適合した他の拡張体を円錐棒押込体に簡単に取付けることができるようにしたパイプ内径拡張装置を提供することを目的とする。
本考案は上述のようにすることによって、装置の運搬、操作を容易にすると共に管結合するに際し結合する一の管の径に適合した拡張体を用いて他の管の端部を拡張し管同志をぴったりと結合できるようにして、従来の如くの特別な継手を不用とし少量の接着剤で迅速且つ美麗に管結合することができるようにすることを目的とする。」
ウ 明細書第3ページ第12行~第4ページ第13行
「次に上述の目的を達成するための本考案の一実施例を図面と共に説明する。
1は拡張体で、先端を前方に突出し後端を鍔状に突出した拡張片2を複数個円筒状に結束して形成され、該拡張体1中心軸に沿って円錐孔3が穿設され、且つ拡張体1の鍔部4外周にはコイルバネ5が捲装されている。
又、この拡張体1はその鍔部4を収納ケース6に収納しその先端を収納ケース6に設けた透孔7より前方に突出すると共に拡張体1の各々の拡張片2外周に対向する収納ケース6正面に上記透孔7と連通して穿ったガイド溝8にガイドピン9を係入してこのガイドピン9を拡張体1の鍔部4に螺合し、拡張体1の各々の拡張片2は収納ケース6のガイド溝8内を摺動するガイドピン9を伴って放射状に拡張、収縮できるように収納ケース6に装着してある。」
エ 明細書第4ページ第14行~第5ページ第15行
「10は円錐棒押込体で、この押込体10には円錐棒11が軸方向に摺動自在に取付けられており、該円錐棒11は円錐棒押込体10に回動自在に設けたレバー付カム12を回動することによりそのカムによって押圧され軸方向前方へ摺動するようになっている。
上記収納ケース6に装着されている拡張体1は、その収納ケース6に固着している押金13に刻設したメネジ14に円錐棒押込体10に刻設したオネジ15を螺合して円錐棒押込体10に着脱自在に取付けられている。
又、円錐棒押込体10の円錐棒11は拡張体1の円錐孔3と同一軸上に設けられている。
尚、図中16は円錐棒11後端に設けた安全用ストッパー、17はパイプ、18は円錐棒押込体10に穿ったすり割でレバー付カム12を回動可能になしてある。」
オ 明細書第6ページ第1行~第7ページ第2行
「而かして、パイプを結合し易くする為パイプ端部の内径を拡張するには、拡張体1の円筒状先端をパイプ17端部に挿入し、円錐棒押込体10に設けたレバー付カム12を回動してそのカムによって円錐棒後端の安全用ストッパー16を押圧し円錐棒11を拡張体1の円錐孔3に押込み拡張体1の各々の拡張片2を放射状に拡張させ、この拡張した拡張片2外周によってパイプ17内壁を圧迫しパイプ17の径を拡張する。
次に、レバー付カム12を反対方向へ回動してカムによる円錐棒後端の安全用ストッパー16の押圧を止めれば、拡張体1の鍔部4に捲装されているコイルバネ5の復元力により各々の拡張片2は元の位置まで収縮し円錐棒11は元の位置まで押し戻されることとなる。
又、本考案は拡張すべき管の径に応じた拡張体1を自在に取り替えることが可能である。」
カ 明細書第7ページ第7行~第8ページ第3行
「上述のように本考案はパイプの口元を拡大する為パイプに挿入する拡張体と円錐棒を摺動自在に取付けた円錐棒押込体とを螺着し結合したので両者を簡単に分離することができ、従って拡張すべき管の径に適合する拡張体を円錐棒押込体に自在に取付けることが可能であって接続する管同志をぴったりと結合でき従来のような特別な継手は不用であり、又装置の運搬、操作が容易となり、更には銅、アルミニューム系の伸延性合金管に対しては特に優れ、オーステナイト系鋼、或いは薄肉鋼管に対しても十分使用可能となる等有用な実益を有するものである。」
キ 図面
「
[図:0001437080000001.jpg]
[図:0001437080000002.jpg]
」
(2)引用文献1に記載されているといえる事項
上記(1)から、引用文献1には次の事項が記載されているといえる。
ア 上記(1)ア及びカから、引用文献1には、パイプ17の内径を拡張するためのパイプ内径拡張装置についての発明が開示されている。また、上記(1)ア及びカから、拡張するパイプ17として、アルミ管を対象とすることができるといえる。
イ 上記(1)ウ及びエ並びにキの第1図から、上記アのパイプ内径拡張装置は、円錐棒押込体10と、当該円錐棒押込体10に着脱自在に取付けられる拡張体1とを備えるといえる。
ウ 上記(1)エ及びオ並びにキの第1図から、上記イの円錐棒押込体10は、レバー付カム12を有しているといえる。そして、当該レバー付カム12は、回動することで、円錐棒押込体10に取り付けられた円錐棒11を押圧し軸方向前方へ摺動させるためのものであるから、回動するためのレバー操作がなされるものといえる。
エ 上記(1)ウ及びオ並びにキの第1~2図から、上記イの拡張体1は、複数個の拡張片2を有しているといえる。そして、当該複数個の拡張片2は、当該複数個の拡張片2を結束して形成される円筒状先端をパイプ17端部に挿入し、上記ウのレバー付カム12を回動するレバー操作に伴って軸方向前方へ摺動する円錐棒11により各々放射状に拡張し、この拡張した拡張片2外周によってパイプ17内壁を圧迫することで、パイプ17の内径を拡張するためのものといえる。
オ 上記(1)ウ及びオ並びキの第1図から、上記エの複数個の拡張片2は、その円筒状先端がパイプ17端部に挿入されるものである。また、上記(1)イにおける「結合すべき管の径に適合した他の拡張体を円錐棒押込体に簡単に取付けることができる」との記載、同オの「拡張すべき管の径に応じた拡張体1を自在に取り替えることが可能である」との記載、及び、同カにおける「拡張すべき管の径に適合する拡張体を円錐棒押込体に自在に取付けることが可能であって」との記載から、拡張体1は、拡張すべき管の径に適合したものが選択されるといえるから、拡張片2が拡張する前の外径寸法は、パイプ17が拡張する前の内径よりも小さいといえる。
さらに、上記(1)イにおける「結合する一の管の径に適合した拡張体を用いて他の管の端部を拡張し管同志をぴったりと結合できる」との記載から、拡張片2が拡張した後の外径寸法は、パイプ17が拡張する前の外径よりも大きいといえる。
(3)引用文献1に記載された発明
上記(1)~(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。
「アルミ管であるパイプ17の内径を拡張するためのパイプ内径拡張装置であって、
レバー操作がなされるレバー付カム12を有する円錐棒押込体10と、
前記円錐棒押込体10に着脱自在に取付けられ、前記レバー付きカム12を回動するレバー操作に伴って、前記パイプ17の内壁を圧迫するように放射状に拡張することにより、前記パイプ17の内径を拡張する複数個の拡張片2を有する拡張体1と
を備え、
前記複数個の拡張片2は、
拡張前の前記パイプ17の内径よりも小さい、拡張前の外径寸法を有し、
拡張前の前記パイプ17の外径よりも大きい、拡張後の外径寸法を有する
パイプ内径拡張装置。」
2 引用文献2
(1)引用文献2に記載された事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 段落【0105】~【0117】
「【0105】
以下において、管形状またはパイプ形状のAl部材同士を接合する方法について、図1および図2を参照して詳述する。
【0106】
図1において、熱交換器10は、公知のクロスフィンチューブ型熱交換器であって、フィン積層体5と熱交換機用接合管1とを有している。
【0107】
フィン積層体5は、熱交換器10における放熱部材であって、複数のフィン板6が互いに所定間隔を隔てて積層されることにより、形成されている。
【0108】
熱交換器用接合管1は、熱交換器10における冷媒を流通させる管部材であって、熱交換器10の大きさに応じて単数または複数設けられており、フィン積層体5を積層方向に貫通するように配置されている。
【0109】
より具体的には、熱交換器用接合管1は、図2に示されるように、第1のAl部材としての冷媒管2と、第2のAl部材としての接続管3とを備えている。
【0110】
冷媒管2は、直管形状のAl部材であって、熱交換器10において公知の冷媒を流通させるために、複数設けられている。
【0111】
また、冷媒管2は、直管部21と補助部22とを備えている。
【0112】
直管部21は、内径および外径が一定の管部材であって、熱交換器10の大きさに応じて複数(図1参照)設けられ、フィン積層体5を積層方向に貫通するように、フィン板6の長手方向において互いに間隔を隔てて配置されている。このような直管部21は、内部に冷媒を通過させるとともに、外部においてフィン積層体5と接触しており、これによって、熱交換性を担保している。
【0113】
補助部22は、段階的に広口化する略テーパ形状の開口端部であって、フィン板6から露出するように、直管部21の両端部に形成されている。このような補助部22は、直管部21と一体的に形成されていてもよく、また、直管部21とは別部材として形成され、直管部21に接続されていてもよい。
・・・
【0116】
接続管3は、逆U字管形状のAl部材であって、隣り合う冷媒管2を互いに接続させるに設けられている。
【0117】
より具体的には、接続管3は、冷媒管2の数に応じて複数(図1参照)設けられており、接続管3の一方側端部が、一方の冷媒管2の端部(補助部22)に嵌合され、また、接続管3の他方側端部が、隣り合う他方の冷媒管2の端部(補助部22)に嵌合されている。
・・・
【0122】
そして、これら冷媒管2と接続管3とが、ろう付け用組成物4でろう付け(接合)されることによって、熱交換器用接合体1(当審注:「熱交換器用接合管1」の誤記であることは明らかである。)が形成される。」
イ 図1~2
「【図1】
[図:0001437080000003.jpg]
[図:0001437080000004.jpg]
」
(2)引用文献2に記載された技術的事項
上記(1)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。
「第1のAl部材としての冷媒管2の端部の補助部22に、第2のAl部材としての接続管3の端部を嵌合して接合することで形成される熱交換器用接合管1に、冷媒を流通させること。」
3 引用文献3~4
(1)引用文献3に記載された事項
引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 段落【0004】~【0006】
「【0004】
一方、アルミニウムは銅の数十倍の埋蔵量があり、銅の代替え材料として種々の検討がなされており、銅管のアルミニウム管への代替え技術の確立が一層求められるようになっている。
【0005】
上述のように、空気調和機にアルミニウム管を採用する取り組みは少しずつ提案されてきている。しかし、単純に使用する材料を変更すれば済むことはほとんど無く、材料の変更に付随して以下のような種々の問題が発生し、代替えが進んでいるとは言えない状況にある。
【0006】
アルミニウム管は銅管に比べて材料の強度が低く、銅管と同程度の強度を確保するためには、その肉厚を厚くしなければならない。」
イ 段落【0092】~【0094】
「【0092】
一般に、アルミニウムは銅より強度が弱く、同一径の管で比較した場合、銅管と同等の強度を持たせるためには、アルミニウム管の肉厚を厚くする必要がある。
【0093】
管の肉厚を厚くすると自ずと管の内径が小さくなり、冷媒が流れる管内流路の断面積が狭くなる。
【0094】
冷媒流路の断面積が狭くなると当然、同一の冷媒流量が流れる場合、管内の流速が速くなる。管内流速が速くなると、冷媒の圧力損失が増加すると共に冷媒の伝熱管への熱伝達が盛んになり、熱交換量が増加する。」
(2)引用文献4に記載された事項
引用文献4には、次の事項が記載されている。
ア 段落[2362]~[2389]
「[2362]
(23-1-6)管材料と冷媒連絡配管の管外径の関係
図23Cは、冷媒Aが用いられる空気調和装置のガス側冷媒連絡配管5および液側冷媒連絡配管6に採用される銅管の管外径と、銅管に替えてアルミニウム又はアルミニウム合金製の管(以下、アルミ管という。)を採用した場合のガス側冷媒連絡配管5および液側冷媒連絡配管6の管外径と、を定格冷凍能力毎に表示した対比表である。
[2363]
(23-1-6-1)ガス側冷媒連絡配管5の管外径比較
ここでは、管材料(銅管、アルミ管)別にガス側冷媒連絡配管5の管外径の比較を定格冷凍能力毎に行う。
[2364]
(23-1-6-1-1)銅管の場合
図23Cにおいて、使用冷媒が冷媒Aである場合、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW未満である場合には管外径が12.7mmの銅管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW以上10.0kW未満である場合には管外径が15.9mmの銅管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が10.0kW以上19.0kW未満である場合には管外径が19.1mmの銅管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が19.0kW以上28kW以下である場合には管外径が22.2mmの銅管が使用される。
[2365]
(23-1-6-1-2)アルミ管の場合
図23Cにおいて、使用冷媒が冷媒Aである場合、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW未満である場合には管外径が12.7mmのアルミ管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW以上8.5kW未満である場合には管外径が15.9mmのアルミ管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が8.5kW以上19.0kW未満である場合には管外径が19.1mmのアルミ管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が19.0kW以上25kW未満である場合には管外径が22.2mmのアルミ管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が25kW以上28kW以下である場合には管外径が25.4mmのアルミ管が使用される。
・・・
[2370]
(23-1-6-2)液側冷媒連絡配管6の管外径比較
ここでは、管材料(銅管、アルミ管)別に液側冷媒連絡配管6の管外径の比較を冷房定格冷凍能力毎に行う。
[2371]
(23-1-6-2-1)銅管の場合
図23Cにおいて、使用冷媒が冷媒Aである場合、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW未満である場合には管外径が6.4mmの銅管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW以上19.0kW未満である場合には管外径が9.5mmの銅管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が19.0kW以上28kW以下である場合には管外径が12.7mmの銅管が使用される。
[2372]
(23-1-6-2-2)アルミ管の場合
図23Cにおいて、使用冷媒が冷媒Aである場合、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW未満である場合には管外径が6.4mmのアルミ管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が5.0kW以上19.0kW未満である場合には管外径が9.5mmのアルミ管が使用され、空気調和装置1の定格冷凍能力が19.0kW以上28kW以下である場合には管外径が12.7mmのアルミ管が使用される。
・・・
[2374]
(23-1-6-2-3)対比結果
図23Cに示す通り、使用冷媒が冷媒Aの場合、銅管と管外径が同じアルミ管の液側冷媒連絡配管6を使用することができる。アルミ管の素材費が銅管の素材費よりも低いので銅管に替えてアルミ管を使用することによって低コスト化を図ることができる。
[2375]
(23-1-7)管の肉厚と内径
ここでは、上記「(23-1-6-1-3)対比結果」および「(23-1-6-2-3)対比結果」をアルミ管の肉厚と内径とから考察する。
[2376]
ガス側冷媒連絡配管5および液側冷媒連絡配管6の内径は、定格冷凍能力毎に冷媒の最大循環量における圧力損失を考慮して設計されている。
[2377]
また、ガス側冷媒連絡配管5および液側冷媒連絡配管6の肉厚は、定格冷凍能力毎に設計耐圧を満足するように設計されている。
[2378]
図23Dは、銅管およびアルミ管の肉厚を「管の呼称」別に表示した対比表である。以下、「管の呼称」ごとに対比結果を説明する。
・・・
[2380]
また、称呼「φ12.7」の管では、内周面の全面に設計圧力が作用したとき、アルミ管の場合、銅管と同じ肉厚の0.8mmでは強度不足であるので、1.0mmまで増加させる必要がある。それゆえ、内径が銅管の11.10mmよりも0.4mm小さい10.70mmとなる。但し、内径が0.4mm小さくなっても、圧力損失への影響は少ない。
[2381]
したがって、ガス冷媒に比べて比体積が小さい液冷媒が流れる液側冷媒連絡配管6については、定格冷凍能力2.2kW~28kWの範囲で、銅管に替えてアルミ管を使用しても、銅管と同じ外径のアルミ管を使用することができる。それゆえ、「(23-1-6-2-3)対比結果」が得られる。
[2382]
(管の称呼:「φ15.9」、「φ19.1」、「φ22.2」および「φ25.4」)
図23Dにおいて、管の称呼「φ15.9」、「φ19.1」、「φ22.2」および「φ25.4」では、銅管の場合、肉厚は1mmである。これに対し、アルミ管の肉厚は1.3mm、1.5mm、1.7mm、2.0mmと増加している。これは、内径の拡大にともなって内周面の面積が拡大し、内周面の全面に設計圧力が作用したとき、銅管と同じ肉厚の1.0mmでは強度不足となるので、肉厚を増加して設計圧力に耐えうる強度を確保している。
[2383]
ガス側冷媒連絡配管5については、図23Cに示すように、定格冷凍能力2.2kW~4.5kWの範囲で銅管、アルミ管ともに称呼「φ12.7」の管を使用してもよい。この場合、図23Dに示すように、アルミ管の内径は銅管の内径よりも0.4mm小さくなっているが、冷媒の最大循環量を考慮しても圧力損失への影響は少ない。言い換えると、銅管側に圧力損失に対する余裕がある。
[2384]
同様に、図23Cに示すように、定格冷凍能力5.6kW~8.0kWの範囲で銅管、アルミ管ともに称呼「φ15.9」の管を使用している。この場合、図23Dに示すように、アルミ管の内径は銅管の内径よりも0.6mm小さくなっているが、冷媒の最大循環量を考慮しても圧力損失への影響は少ない。言い換えると、銅管側に圧力損失に対する余裕がある。
・・・
[2386]
図23Cに示すように、定格冷凍能力11.2kW~16kWの範囲で銅管、アルミ管ともに称呼「φ19.1」の管を使用してもよい。この場合、図23Dに示すように、アルミ管の内径は銅管の内径よりも1.0mm小さくなっているが、冷媒の最大循環量を考慮しても圧力損失への影響は少ない。言い換えると、銅管側に圧力損失に対する余裕がある。
[2387]
同様に、図23Cに示すように、定格冷凍能力22.4kWの範囲で銅管、アルミ管ともに称呼「φ22.2」の管を使用している。この場合、図23Dに示すように、アルミ管の内径は銅管の内径よりも1.4mm小さくなっているが、冷媒の最大循環量を考慮しても圧力損失への影響は少ない。言い換えると、銅管側に圧力損失に対する余裕がある。」
イ 図23C~23D
「
[図:0001437080000005.jpg]
[図:0001437080000006.jpg]
(当審注:図中の枠囲いは、上記アの段落[2380]~[2384]、[2386]~[2387]の説明に対応する管に対し、当審にて付した。)」
ウ 上記ア~イから、ガス側冷媒連絡配管5については、少なくとも、定格冷凍能力2.2kW~4.5kWの範囲で称呼「φ12.7」の銅管、定格冷凍能力5.6kW~8.0kWの範囲で称呼「φ15.9」の銅管、定格冷凍能力11.2kW~16kWの範囲で称呼「φ19.1」の銅管、及び、定格冷凍能力22.4kWの範囲で称呼「φ22.2」の銅管に替えて、同じ呼称、すなわち、管外径が同じアルミ管をそれぞれ使用することができる(図23C、図23D)。
また、液側冷媒連絡配管6については、定格冷凍能力22.4kW~28kWの範囲で、称呼「φ12.7」の銅管に替えて、管外径が同じ称呼「φ12.7」のアルミ管を使用することができる(図23C)。
そして、呼称「φ12.7」、「φ15.9」、「φ19.1」及び「φ22.2」の管においては、銅管、アルミ管ともに外径が同一である一方、アルミ管の場合、内周面の全面に設計圧力が作用したとき、銅管と同じ肉厚では強度不足であるので、肉厚を増加して設計圧力に耐えうる強度を確保する必要があり、それゆえ、呼称「φ12.7」、「φ15.9」、「φ19.1」及び「φ22.2」の管は、アルミ管の内径が銅管の内径よりも小さい(図23D)。
また、呼称「φ12.7」、「φ15.9」、「φ19.1」及び「φ22.2」の外径は、JIS H 3300にて規定される銅管の規格に含まれる外径(12.70、15.88、19.05、22.22)とそれぞれ実質的に同寸法である。
(3)引用文献3~4に例示される周知の技術的事項
上記(1)~(2)に例示されるように、次の技術的事項は、本件出願前において、当業者に周知であったといえる(以下「周知の技術的事項」という。)。
「冷媒用の銅管に代えてアルミ管を使用すること、及び、
アルミ管を使用するにあたり、
アルミ管の外径寸法が、銅管の外径寸法と同寸法であり、
アルミ管の内径寸法が、銅管の内径寸法よりも小さいこと。」
第5 対比
1 相当関係
本件発明と引用発明1とを対比すると次の相当関係があるといえる。
(1)引用発明1における「アルミ管であるパイプ17」と本件発明における「冷媒用のアルミ管」とは、その材質からみて、「アルミ管」である限りで一致する。また、引用発明1の「パイプ17の内径を拡張する」ことは、その機能・作用からみて、本件発明における「アルミ管を拡管する」ことに相当し、引用発明1の「パイプ内径拡張装置」は、アルミ管であるパイプ17の内径を拡張するための装置であるから、本件発明における「アルミ管拡管装置」に相当する。
してみると、引用発明1における「アルミ管であるパイプ17の内径を拡張するためのパイプ内径拡張装置」は、本件発明における「冷媒用のアルミ管を拡管するためのアルミ管拡管装置」と、「アルミ管を拡管するためのアルミ管拡管装置」である限りで一致する。
(2)引用発明1における「レバー付きカム12」は、回動するためのレバー操作がなされるものといえるから、本件発明における「可動レバー」に相当する。また、引用発明1における「円錐棒押込体10」は、当該レバー付きカム12を有するものであって、その構造・機能からみて、本件発明における「本体部」に相当する。
してみると、引用発明1における「レバー操作がなされるレバー付カム12を有する円錐棒押込体10」は、本件発明における「レバー操作がなされる可動レバーを有する本体部」と、一致する。
(3)引用発明1における「前記円錐棒押込体10に着脱自在に取付けられ」は、その機能・作用からみて、本件発明における「前記本体部に装着され」に相当する。以下同様に、「前記レバー付きカム12を回動するレバー操作」は、「前記レバー操作」に、「前記パイプ17の内壁を圧迫するように放射状に拡張すること」は、「前記アルミ管の筒内で拡張すること」に、「複数個の拡張片2」は「拡管部」に、「拡張体1」は「ヘッドユニット」にそれぞれ相当する。
してみると、引用発明1における「前記円錐棒押込体10に着脱自在に取付けられ、前記レバー付きカム12を回動するレバー操作に伴って、前記パイプ17の内壁を圧迫するように放射状に拡張することにより、前記パイプ17の内径を拡張する複数個の拡張片2を有する拡張体1」は、本件発明における「前記本体部に装着され、前記レバー操作に伴って、前記アルミ管の筒内で拡張することにより、前記アルミ管を拡管する拡管部を有するヘッドユニット」と、一致する。
(4)引用発明1における「拡張前」及び「拡張後」は、その機能・作用からみて、本件発明における「拡管前」及び「拡管後」にそれぞれ相当する。
してみると、引用発明1における
「前記複数の拡張片2は、
拡張前の前記パイプ17の内径よりも小さい、拡張前の外径寸法を有し、
拡張前の前記パイプ17の外径よりも大きい、拡張後の外径寸法を有する」ことは、本件発明における、
「前記拡管部は、
拡管前の前記アルミ管の内径よりも小さい、拡管前の外径寸法を有し、
拡管前の前記アルミ管の外径よりも大きい、拡管後の外径寸法を有する」
ことと、一致する。
2 一致点
上記1から、本件発明と引用発明1とは、次の点で一致する。
「アルミ管を拡管するためのアルミ管拡管装置であって、
レバー操作がなされる可動レバーを有する本体部と、
前記本体部に装着され、前記レバー操作に伴って、前記アルミ管の筒内で拡張することにより、前記アルミ管を拡管する拡管部を有するヘッドユニットと
を備え、
前記拡管部は、
拡管前の前記アルミ管の内径よりも小さい、拡管前の外径寸法を有し、
拡管前の前記アルミ管の外径よりも大きい、拡管後の外径寸法を有する
アルミ管拡管装置。」
3 相違点
一方、本件発明と引用発明1とは、次の相違点で相違する。
・相違点
拡管されるアルミ管に関し、
本件発明においては、「冷媒用」であって、
「拡管前の外径寸法が、冷媒用の銅管の拡管前の規格上の外径寸法と同寸法であり、
拡管前の内径寸法が、前記冷媒用の銅管の拡管前の内径寸法よりも小さ」いのに対し、
引用発明1においては、「アルミ管であるパイプ17」がどのような用途に供されるか不明であり、拡張前の外径寸法及び内径寸法が、冷媒用の銅管の規格上の外径寸法及び内径寸法に対して、それぞれどのような大小関係があるのか不明である点。
第6 判断
1 相違点についての検討
引用文献2には、上記第4の2(2)に引用文献2記載の技術的事項として示した事項が記載される。引用発明1と引用文献2記載の技術的事項とは、一方のアルミ管の端部を他方のアルミ管の端部に嵌合する点で、技術分野が関連する。
また、上記第4の3(3)に周知の技術的事項として示したように、銅管に代えてアルミ管を冷媒用に使用することは、本件出願前において周知であった。
してみると、引用発明1に係るパイプ内径拡張装置を用いて、結合する一のパイプの径に適合した拡張体を用いて、他のパイプの端部を拡張して結合させた(上記第4の1(1)イ、同(2)オ)アルミ管であるパイプ17の用途を、冷媒用とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
さらに、上記第4の3(3)に周知の技術的事項として示したように、冷媒用の銅管に代えてアルミ管を使用するにあたり、アルミ管の外径寸法を銅管の外径寸法と同寸法とし、アルミ管の内径寸法を銅管の内径寸法よりも小さくすることは、本件出願前において当業者にとって周知であり、冷媒用の銅管の外径寸法に規格が存在することも、技術常識である(上記第4の3(2)ウ)。
そして、引用発明1に係るパイプ内径拡張装置は、上記第4の1(2)オに示したように、拡張すべき管の径に適合した拡張体1を自在に取り替えることが可能なものであって、結合する一のパイプの径に適合した拡張体を用いて、他のパイプの端部を拡張することができるものであるから、アルミ管の外形寸法及び内径寸法がいかなるものであっても、その径に適合した最適な拡張体1を用いて、アルミ管の内径を拡張することができることは、明らかである。
したがって、引用発明1に、引用文献2記載の技術的事項及び周知の技術的事項を適用し、相違点に係る本件発明のように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
2 請求人の主張について
(1)請求人の審判請求書における主張
請求人は、審判請求書において、引用文献1~5のいずれにも、「アルミ管の外径が、冷媒用の銅管の規格上の外径と同サイズであり、且つ、アルミ管の肉厚が冷媒用の銅管の肉厚よりも大きい(すなわち、アルミ管の内径が冷媒用の銅管の内径よりも小さい)」ことを前提のもと、「拡管部は、拡管前の前記アルミ管の内径よりも小さい、拡管前の外径寸法を有し、拡管前の前記アルミ管の外径よりも大きい、拡管後の外径寸法を有する」という構成を設けることで、このような冷媒用のアルミ管を高精度に拡管することについて、何ら開示も示唆もされていない旨を主張する。
(2)当審の判断
しかしながら、アルミ管の外径が、冷媒用の銅管の規格上の外径と同サイズであり、且つ、アルミ管の肉厚が冷媒用の銅管の肉厚よりも大きく、アルミ管の内径が冷媒用の銅管の内径よりも小さいことは、上記第4の3(3)のとおり、本件出願前における周知の技術的事項である。そして、引用発明1に係るパイプ内径拡張装置は、パイプ17としてアルミ管を対象とすることができるものであって、拡張すべき管の径に適合した拡張体1を自在に取り替えることが可能なものであり(上記第4の1(1)オを参照)、さらに、結合する一のパイプの径に適合した拡張体を用いて、他のパイプの端部を拡張することで管同志をぴったりと結合できるものである(上記第4の1(1)イ及びカを参照)。
したがって、請求人の主張には、首肯することができない。
第7 むすび
以上のとおり、本件発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項、及び、引用文献3~4に例示された周知の技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件出願は、他の請求項について検討するまでもなく、原査定の拒絶の理由のとおり、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-006565