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特許拒絶査定不服審判

2024-007143

透明両面粘着シートを用いた画像表示装置構成用積層体の製造方法

審判番号
2024-007143
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-168279外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年04月26日
審決日
2025年08月28日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C09J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-168279「透明両面粘着シートを用いた画像表示装置構成用積層体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 1月 4日出願公開、特開2023- 1155〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年11月24日(優先権主張 平成28年2月29日)の出願である特願2016-227505号の一部を令和2年12月1日に新たな特許出願とした特願2020-199581号の一部を令和4年10月20日に新たな特許出願としたものであって、同日に上申書が提出され、令和5年11月1日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の令和6年2月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月21日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は3月26日)、これに対して、同年4月26日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年6月17日に上申書が提出されたものである。 第2 令和6年4月26日提出の手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年4月26日提出の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「 【請求項1】 (メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤(C)及び紫外線吸収剤(D)を含有し、 架橋剤(B)は多官能(メタ)アクリレートモノマーであり、 前記光重合開始剤(C)100質量部に対して前記紫外線吸収剤(D)を25~400質量部の割合で含有する粘着剤樹脂組成物から形成される透明両面粘着シートを用いて、下記工程を順に行う、画表示装置構成用積層体の製造方法(但し、アクリレート共重合体と、N-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートと、ウレタンジアクリレートオリゴマーと、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、光開始剤とを含む硬化性感圧接着剤組成物から形成される光硬化が可能な粘着層を有する透明両面粘着シートを用いる画表示装置構成用積層体の製造方法を除く)。 [I]前記透明両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を積層する工程。 [II]前記透明両面粘着シートを可視光領域の波長の光線を含む光を照射して、光架橋させて硬化させる工程。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和6年2月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 (メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤(C)及び紫外線吸収剤(D)を含有し、 前記光重合開始剤(C)100質量部に対して前記紫外線吸収剤(D)を25~400質量部の割合で含有する粘着剤樹脂組成物から形成される透明両面粘着シートを用いて、下記工程を順に行う、画表示装置構成用積層体の製造方法(但し、アクリレート共重合体と、N-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートと、ウレタンジアクリレートオリゴマーと、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、光開始剤とを含む硬化性感圧接着剤組成物から形成される光硬化が可能な粘着層を有する透明両面粘着シートを用いる画表示装置構成用積層体の製造方法を除く)。 [I]前記透明両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を積層する工程。 [II]前記透明両面粘着シートを可視光領域の波長の光線を含む光を照射して、光架橋させて硬化させる工程。」 2 補正の適否 本件補正後の請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「架橋剤(B)」を、本願の明細書の【0046】、【0047】の記載等に基づいて「多官能(メタ)アクリレートモノマー」に限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。「画表示装置構成用積層体」は「画像表示装置構成用積層体」の誤記として扱う。 (2)引用文献及びその記載事項 引用文献2:特表2006-512442号公報(原査定の引用文献2) A.引用文献2 原査定で引用され本願出願日前に頒布された引用文献2には、次の記載がある。 「【請求項1】 アクリレート共重合体、 モノ-アクリレートオリゴマー、 2~5のアクリレート官能基を有するマルチ-アクリレートオリゴマー、および フリーラジカル重合を開始する光開始剤 を含む接着剤組成物であって、 前記モノ-アクリレートオリゴマーが前記マルチ-アクリレートオリゴマーの量より多い量で存在し、かつ、前記モノ-アクリレートオリゴマー、マルチ-アクリレートオリゴマーおよび光開始剤が、前記アクリレート共重合体とブレンドされた時に感圧接着剤を形成し、かつ、硬化した時に、約3000より大きい架橋間平均分子量(Mc)を有する少なくとも半相互侵入重合体網目構造を含む硬化した接着剤を形成し、前記硬化した接着剤が約40N/dmより大きい剥離強度を有する組成物。 【請求項2】 モノ-アクリレートオリゴマーおよびマルチ-アクリレートオリゴマーの少なくとも1つがウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、およびポリエーテルアクリレートオリゴマーよりなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。」 「【0002】 感圧接着剤(PSA)は、それらが取り外し可能性および塗布の容易さのような多くの望ましい特性を提供するので、様々な用途で使用されてきた。より永久的なおよび高度に平滑な接合のために、幾つかの通常のPSAは、ある種の基材でその接着力を保持および維持するのに十分な強度を必ずしも持たない可能性がある。さらに、通常のPSAは、ある種の材料に塗布された時に高温または高湿度への暴露に耐えることができない可能性がある。例えば、「ガス発生材料」であり、接合するのが困難であることが知られているアクリルシートおよびポリカーボネートシートへのPSAの塗布は、泡立ちおよび層間剥離をもたらし得る。」 「【0006】 所望されるものは、効率的な製造のための塗布の容易さだけでなく、光学透明度が必要とされる用途で使用することできる接着剤組成物である。極端な温度および湿度条件に暴露された時でさえその完全性が維持される接着剤組成物がまた望ましい。」 「【0021】 本発明の組成物に好適なモノ-およびマルチ-アクリレートオリゴマーは、約20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することができる。接着剤組成物で有用なアクリレート機能化オリゴマーは下の構造(I) 【化1】 [図:0001427556000001.jpg] (式中、R1はHまたはCH3であり、 【化2】 [図:0001427556000002.jpg] R2は、mが0~6である(CH2)mであり、 【化3】 [図:0001427556000003.jpg] Xは、ポリオール結合またはアルキル基のようなn価のラジカル基であり、かつ、 nは1より大きいまたは1に等しい) で表すことができる。 【0022】 nが1に等しい構造(I)に対しては、モノ-アクリレートオリゴマーが提供される。nが1より大きい場合、マルチ-アクリレートオリゴマーが提供される。本発明のある種の実施形態では、1~6であるnを有するオリゴマーが利用される。模範的組成物は、分子当たり2~約5のアクリレート官能基を含むマルチ-アクリレートオリゴマーを含む。本発明のある態様では、接着剤組成物は、ジアクリレートオリゴマー(n=2)と組み合わせてモノ-アクリレートオリゴマー(n=1)を有する。 【0023】 模範的組成物では、アクリレート機能化オリゴマーは、下の構造(II) 【化4】 [図:0001427556000004.jpg] で表されるウレタンジアクリレートオリゴマー(ここで、構造(I)中のZは-COOであり、n=2である)であり得る。 【0024】 これらのオリゴマーは、例えば、メタン部分、カーボネート部分、エステル部分、またはエーテル部分を含む構造(II)中にポリオール結合(または上の構造(I)に示されるような「X」)を有することができる。ポリエステルポリオールは、多塩基酸(例えば、テレフタル酸またはマレイン酸)を多価アルコール(例えば、エチレングリコールまたは1,6-ヘキサンジオール)と反応させることによって形成することができる。アクリレート機能化ウレタンオリゴマーを製造するために有用なポリエーテルポリオールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(テトラヒドロフラン)、ポリ(2-メチル-テトラヒドロフラン)、ポリ(3-メチル-テトラヒドロフラン)などから選ぶことができる。あるいはまた、アクリレート化ウレタンオリゴマー(構造(II))のポリオール結合はポリカーボネートポリオールであり得る。 【0025】 アクリレート機能化ウレタンオリゴマーは、例えば、ジイソシアネートまたは他の多価イソシアネート化合物を多価ラジカルポリオールと反応させてイソシアネート末端ウレタンプレポリマーをもたらすことによって合成することができる。その後に、ヒドロキシル基を有するアクリレートまたはメタクリレートを次にプレポリマーの末端イソシアネート基と反応させることができる。芳香族および脂肪族イソシアネートの両方を、ウレタンと反応させてオリゴマーを得るために使用することができる。アクリレート化オリゴマーを製造するために有用なジイソシアネートの例は、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどである。アクリレート化オリゴマーを製造するために有用なヒドロキシ末端アクリレートの例には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、それらに限定されない。ウレタンモノ-アクリレートオリゴマーは、1つのアクリレート基と少なくとも1つのウレタン基とを含む。モノ-アクリレートオリゴマーは、例えば、ジェノマー(GENOMER)1122(イリノイ州オーロラのラーン米国社(Rahn USA Corp.;Aurora,IL))およびエベクリル(EBECRYL)CL1039(ジョージア州スミュルナのUCBケミカルズ(UCB Chemicals;Smyrna,GA))をはじめとする、商業的に入手可能なウレタン-アクリレートオリゴマーを使用して提供することができる。ウレタンマルチ-アクリレートオリゴマーは、例えば、少なくとも2つのアクリレート官能基、ある態様では、約6未満の官能基を有する任意のウレタンオリゴマーであり得る。例えば、サートマー社(Sartomer Co.)(ペンシルバニア州エクストン(Exton,PA))製のCN962、CN964、CN965、CN934、およびCN972、ならびにアクゾ・ノーベル・レジンス(Akzo Nobel Resins)(ジョージア州バックスレイ(Baxley,GA))製のアクチレーン(ACTILANE)130、170、270、および290ならびにラーン米国社(イリノイ州オーロラ)製のジェノマー4269ならびにUCBケミカルズ(ジョージア州スミュルナ)製のエベクリル230、270、8803、4827、および6700のような好適なウレタンマルチ-アクリレートオリゴマーもまた商業的に入手可能である。 【0026】 あるいはまた、アクリレート機能化オリゴマーは、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレート化アクリルオリゴマー、またはポリエーテルアクリレートオリゴマーであり得る。好適なアクリレートオリゴマーには、例えば、その両方ともサートマー社(ペンシルバニア州エクストン)から入手可能である、CN131(芳香族モノアクリレート)、およびCN132(脂肪族ジアクリレート)のような商業的に入手可能な製品が含まれる。有用なポリエステルアクリレート化オリゴマーには、サートマー社(ペンシルバニア州エクストン)製のCN292、CN2200、およびCN2255ならびにUCBケミカルズ(ジョージア州スミュルナ)製のエベクリル81、83、450、および2047が含まれる。好適なポリエーテルアクレート化オリゴマーには、ラーン米国社(イリノイ州オーロラ)から商業的に入手可能な、ジェノマー3497、およびサートマー社(ペンシルバニア州エクストン)製のCN550が含まれる。」 「【0034】 UV吸収化合物は場合により本発明の接着剤組成物に含まれることができる。かかる成分は、耐UV性、特に約410nm未満のUV-A範囲の放射線に対する耐性を与えるべく、接着剤、およびそれによって該接着剤を使用して製造された任意の製品を助けることができる。好適なUV吸収剤には、チヌビン928(ニュージャージー州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)のようなベンゾトリアゾール、チヌビン1577(ニュージャージー州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)のようなトリアジン、ユビヌル(UVINUL)3039(独国ルドウィッグスハーフェンのBASF(BASF;Ludwigshafen,Germany))のようなベンゾフェノン、UV-3638(ノースカロライナ州シャーロットのサイテック(Cytec;Charlotte,NC))のようなベンゾオキサジノン、および/またはオキザルアニリドが含まれるが、それらに限定されない。本発明による実施形態は、感圧接着剤組成物に特有である特性を塗布時に、しかしIPNへの最終硬化前に示す。感圧接着剤(PSA)組成物が(a)攻撃的なおよび永久的な粘着性、(b)指圧以下での接着性、(c)被接着体上にしっかりと付いているのに十分な能力、および(d)十分な凝集力を含む特性を有することは当業者にはよく知られている。ある種のPSAはまた、その元の標的基材からきれいに取り除くことができる。PSAとして十分に機能することが分かった材料には、粘着性、剥離接着力および剪断保持力の所望のバランスをもたらす必須の粘弾性特性を示すようにデザインされ、調合されたポリマーが含まれる。本発明の実施形態に従って、アクリレート共重合体、モノ-アクリレートオリゴマー、およびマルチ-アクリレートオリゴマーをブレンドすると、感圧特性を示す接着剤組成物を提供することができる。」 「【0040】 本発明の接着剤は、例えば、ポリマー材料(例えばポリエステル)、実質的に堅い材料(例えば、幾つかのポリカーボネートおよびアクリル化合物)、ポリメタクリル酸メチル、柔軟性フィルム(例えばIR反射フィルム、MLOF)、輝度向上フィルム、ガラス、および偏光子フィルムを含むが、それらに限定されない、様々な基材材料を接合するために使用することができる。これらの材料の多くは、特に光学透明度または光透過性を示すものは、板ガラス、光センサー、ミラー、偏光子、安全フィルムなどのような光学製品を製造するためにしばしば使用される(以下、光学製品を製造するために使用される材料は「光学基材」と言われる)。有利にも、本発明の実施形態は良好な光学透明度を示すことができるので、接着剤組成物は様々な光学部品、光学素子、および光学製品を接合する際に特に有用である。 【0041】 光学素子には、コンピューターまたは他のディスプレイ用のスクリーン;偏光層、反射層、反射防止層、および例えば赤外を反射する光学的に透明な層などの選択的反射層のようなかかるスクリーンの部品;偏光してもまたは反射してもよい窓用のコーティングまたはフィルム;他の部分または完全反射性の光透過性製品などのような、光学効果または光学用途を有する物品および製品が含まれる。多くの場合、光学素子は、少なくとも部分的に光透過性である、反射する、偏光する、または光学的に透明である光学基材、典型的には層またはフィルムの1つもしくはそれ以上の異なる層を含む。接着剤は層を一緒に接合するために使用される。光学基材には、例えば、ポリマー、ガラス、金属もしくは金属化ポリマーまたはそれらの組合せをはじめとする、様々な異なる材料が含まれ得る。ポリマーの代表例には、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、セルローストリアセテートおよびそれらの組合せが挙げられる。任意の1つもしくはそれ以上のこれらの材料はまた、柔軟性、剛性、強度、またはサポート、反射能、反射防止性、偏光性、透過性(例えば、異なる波長に関して選択的な)などをはじめとする意図される物理的性質を提供する可能性がある。」 「【0047】 ある態様では、接着剤組成物は基材の表面上へ塗布することができ、硬化性接着剤を別の材料と接触させ、次に接着剤組成物を硬化させる。積層は、それらの間に接着剤を有する2つの材料を接触させるために用いることができる。場合により、方法はまた、接着剤を剥離ライナー上へ塗布する工程と、接着剤中のいかなる溶媒をも乾燥する工程と、積層する工程と、アクリレートオリゴマーおよび場合によりアクリレート共重合体を重合させるまたは硬化させる工程と、多層物品の製造で用いられることが知られている任意の他の工程、技術、または方法とを含むことができる。」 「【0050】 光開始剤が使用される場合、200~800nmの領域のエネルギー(例えば光)を提供する照射源を用いて接着剤組成物の実施形態を硬化させることができる。ある態様では、光の有用な領域は約250~約700nmである。化学線硬化を開始するために好適な放射線源には、水銀蒸気放電灯、カーボンアーク、石英ハロゲンランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、レーザー、太陽光などが含まれる。重合を達成するための放射線暴露の量は、特定のフリーラジカル重合性オリゴマーの個性および濃度、暴露される材料の厚さ、基材のタイプ、放射線源の強さおよび放射線に関連した熱の量のような因子に依存し得る。あるいはまた、添加された開始剤ありまたはなしで、接着剤を硬化させるためにe-ビームおよびガンマ線のような他のエネルギー源を用いることができる。」 「【0052】 【表1】 [図:0001427556000005.jpg] 【0053】 試験方法 促進老化試験 促進老化試験は、3つの異なる条件(90℃、60℃/90%RHおよび80℃/90%RH)で行った。老化試験結果は、目視観察により測定し、サンプルが老化試験中にその光学透明度を保持し、かつ、形成された何の他の欠陥も持たない場合の「合格」か、気泡が接着接合ラインに存在する場合または層間剥離が接着接合ラインで起こった場合の「不合格」かのどちらかとして報告する。 【0054】 光学特性測定 視感透過率およびヘーズ 全サンプルの視感透過率およびヘーズは、メリーランド州シルバー・スプリングスのBYK-ガードナー社(BYK-Gardner Inc.,Silver Springs,MD)製のTCSプラス分光光度計(TCS Plus Spectrophotometer)を用いることによって測定した。ヘーズおよび不透明度値は、CIE2°標準観測装置付き発光体C(C2°)およびCIE2°標準観測装置付き発光体A(A2°)の両方について示す。サンプル調製の詳細は本文に記載されている。 【0055】 不透明度測定 ヘーズおよび視感透過率測定に使用したものと同じサンプルを不透明度測定に使用した。BYKガードナーTCSプラス分光光度計を、標準サイズ反射率端子(25mm)を取り付けて、不透明度測定に用い、乱反射反射率(鏡反射率を除外して)を測定した。 【0056】 180°剥離接着力 この剥離接着力試験はASTM D3330-90に記載されている試験方法に似ている。2.54センチメートル×15センチメートルの寸法の接着剤ラミネートを、IMASSスリップ/剥離試験機(モデル3M90またはSP-2000、オハイオ州ストロングスヴィルのインスツルメンターズ社(Instrumentors,Inc.,Strongsville,OH)から商業的に入手可能)に接着した。接合アセンブリを室温で約1分間運転休止し、5秒データ収集時間にわたって0.30メートル/分(12インチ/分)の速度で180°剥離接着力について試験した。2サンプルを試験し、報告する剥離接着力値は、2サンプルのそれぞれからの剥離接着力値の平均である。 【0057】 90°剥離接着力 剥離力は、インストロン(INSTRON)引張試験機(マサチューセッツ州キャントンのインストロン社(Instron Corp.,Canton,MA)から商業的に入手可能)を用いて90度の剥離角度および0.30メートル/分(12インチ/分)の剥離速度で測定した。 【0058】 実施例1~4 接着剤調製 茶色ガラス反応容器に表1に示す量のイルガキュア819およびEtOAcを入れた。いったん溶解すると、表1に示す残りの成分を加え、生じた混合物を十分に混合して30重量%アクリレート化オリゴマー含有率の接着剤混合物をもたらした。 【0059】 【表2】 [図:0001427556000006.jpg] 【0060】 ラミネート製造 上に記載した接着剤溶液をIRフィルム(IR Film)のメラック(MELAK)下塗り面上へコーティングし、70℃で10分間乾燥して37.5μm厚さの乾燥PSAテープをもたらした。このPSAテープのサンプルをポリカーボネートシートおよびPMMAシート上へ積層した。24時間運転休止後に、これらのラミネートを融合UV硬化システム(Fusion UV Curing System)で次の条件(融合「D」バルブ、300ワット/インチ、25フィート/分、2通過)で約2J/cm2の総UVA(320~390nm)線量に向けて(IRフィルムを通して)照射した。照射後に、これらのサンプルを、任意の老化試験を実施する前に周囲温度で少なくとも24時間保管した。 【0061】 老化試験 IRフィルム/接着剤/PCシートおよびIRフィルム/接着剤/PMMAシートの上で製造したラミネートを、上に記載した試験方法を用いて90℃および60℃/90%RH条件で試験した。試験条件のそれぞれで1週間行った老化試験は、実施例1~4の全サンプルについて「合格」評点をもたらした。 【0062】 剥離接着力 180°剥離接着力試験を上で製造したラミネートについて上に記載した試験方法を用いて実施した。結果を表2に示す。 【0063】 【表3】 [図:0001427556000007.jpg] 【0064】 実施例5 実施例1で調製した接着剤溶液をIRフィルムのメラック下塗り面上へコーティングし、70℃で10分間乾燥して37.5μm厚さの乾燥PSAテープをもたらした。次に、このPSAテープをUV硬化させ(融合「D」バルブ、300ワット/インチ、25フィート/分、2通過)、次の手順(PSAテープおよびPMMAシートの両方を85℃オーブンに2分間入れ、次にゴムローラーを使ってPSAテープをPMMAシート上へ手動積層する)を用いてPMMAシート上へ加熱積層した。24時間運転休止後に、これらのラミネートは90℃および60℃/90%RH条件での1週間老化試験に合格した。 【0065】 実施例6~9 接着剤調製 茶色ガラス反応容器に表3に示す成分を入れ、生じた混合物を十分に混合した。 【0066】 【表4】 [図:0001427556000008.jpg] 【0067】 ラミネート製造 ラミネートを実施例1~4について記載したように製造した。 【0068】 老化試験 IRフィルム/接着剤/PCシートおよびIRフィルム/接着剤/PMMAシートの上で製造したラミネートを、上に記載した試験方法を用いて90℃および60℃/90%RH条件で試験した。試験条件のそれぞれで42日間行った老化試験は、実施例接着剤6~9の全サンプルについて「合格」評点をもたらした。 ・・・ 【0086】 剥離接着力 T-30剥離ライナー上へ接着剤をコーティングし、70℃で10分間乾燥し、別のT-10剥離ライナーでさらに積層することによって90°剥離接着力サンプルを製造してPSA厚さ114マイクロメートルのトランスファーPSAをもたらした。このトランスファーPSAを陽極化アルミニウム箔バッキングフィルム上へ積層し、さらにガラス基材上へ積層した。90°剥離試験を、上に記載した試験方法を用いて実施した。ラミネートを光活性化前ゼロ運転休止時間で製造した場合、剥離強度は70.0N/dmであると測定された。ラミネートを光活性化前に一晩運転休止させた場合、剥離強度は105.0N/dmであると測定された。」 (3)引用文献2に記載された発明 引用文献2には実施例6の接着剤を用いたラミネートの製造方法として「CN964(酢酸エチル中33%溶液として使用されるサートマー製ウレタンジアクリレートオリゴマー)2.12グラム、イルガキュア819(光硬化剤(チバ))172mg、CGL139(ベンゾトリアゾールUV吸収剤(ニュージャージー州タリータウンのチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社))160mg、PSA-2(酢酸エチル/トルエン中の19%固形分溶液として使用される比81/19のモノマーIOA(アクリル酸イソオクチル)/AA(アクリル酸)を用いて通常のラジカル熱重合手順により製造された溶媒ベースPSA)27.37グラム、エベクリルCL1039(ウレタンモノーアクリレートオリゴマー(ジョージア州スミュルナのUCBケミカルズ))2.1グラムを茶色ガラス反応容器に入れ、生じた混合物を十分に混合した接着剤溶液をIRフィルムのメラック下塗り面上へコーティングし、70℃で10分乾燥した後、ポリカーボネートシート上に積層し、このラミネートを融合UV硬化システムで約2J/cm2の総UVA(320~390nm)線量照射する、IRフィルム/接着剤/ポリカーボネートシート構造のラミネートの製造方法であって、老化試験の結果が合格であるラミネートの製造方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(【0052】~【0068】参照。)。 (4)対比・判断 ア 引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「PSA-2(酢酸エチル/トルエン中の19%固形分溶液として使用される比81/19のモノマーIOA(アクリル酸イソオクチル)/AA(アクリル酸)を用いて通常のラジカル熱重合手順により製造された溶媒ベースPSA)」は、アクリル酸イソオクチル/アクリル酸であるアクリレート共重合体を含むから(【0015】)、「PSA-2」中の固形分(前記アクリレート共重合体)は、本件補正発明の「(メタ)アクリル系共重合体(A)」に相当する。 引用発明の「CN964(酢酸エチル中33%溶液として使用されるサートマー製ウレタンジアクリレートオリゴマー)」の「ウレタンジアクリレートオリゴマー」はアクリレート基を2個有する多官能アクリレートであって、「PSA-2」や「エベクリルCL1039」を架橋する作用を有することは明らかであるから、本件補正発明の「架橋剤(B)」および「架橋剤(B)として」の「多官能(メタ)アクリレート」に相当する。 引用発明の「イルガキュア819(光硬化剤(チバ))」は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドであり(必要なら、特表2009-519827号公報の【0039】参照。)、例えば、本願明細書の【0103】に波長405nmにおける吸光係数が9.0×102(mL/(g・cm))と記載されているとおり、本件補正発明の「波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤」に相当し、引用発明の「CGL139(ベンゾトリアゾールUV吸収剤(ニュージャージー州タリータウンのチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社))」は本件補正発明の「紫外線吸収剤」に相当するから、引用発明の「イルガキュア819(光硬化剤(チバ))172mg、CGL139(ベンゾトリアゾールUV吸収剤(ニュージャージー州タリータウンのチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社))160mg」は、光硬化剤100質量部に対して紫外線吸収剤を160/170×100=93質量部であり、本件補正発明の「前記光重合開始剤(C)100質量部に対して前記紫外線吸収剤(D)を25~400質量部の割合で含有する」を充足する。 引用発明の「接着剤溶液をIRフィルムのメラック下塗り面上へコーティングし、70℃で10分乾燥した後、ポリカーボネートシート上に積層し、このラミネート」の接着剤溶液は、本件補正発明の「粘着剤樹脂組成物」に相当し、引用発明の「接着剤溶液をIRフィルムのメラック下塗り面上へコーティングし、70℃で10分乾燥した後、ポリカーボネートシート上に積層し、このラミネート」は、接着剤溶液を乾燥したものの両面が接着部を構成しており、かつ、「老化試験が合格」、すなわち、「サンプルが老化試験中にその光学透明度を保持し、かつ、形成された何の他の欠陥も持たない場合」に該当するものであるから(【0053】参照。)、本件補正発明の「透明両面粘着シート」に相当する。 引用発明の「接着剤」は、「イルガキュア819(光硬化剤(チバ))」を含むから、本件補正発明の「粘着層は光硬化が可能である」を充足する。 引用発明の「接着剤溶液をIRフィルムのメラック下塗り面上へコーティングし、70℃で10分乾燥した後、ポリカーボネートシート上に積層し、このラミネートを融合UV硬化システムで約2J/cm2の総UVA(320~390nm)線量照射する、IRフィルム/接着剤/ポリカーボネートシート構造のラミネートの製造方法」は、本件補正発明の「[I]前記透明」、「粘着シートを介して2つの」、「構成部材を積層する工程。 [II]前記透明両面粘着シートを」、「光を照射して、光架橋させて硬化させる工程。」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明は「2つの構成部材の間に介在して、これらを積層するのに用いる透明粘着シートであって、 (メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤(C)及び紫外線吸収剤(D)を含有し、 前記架橋剤(B)は多官能(メタ)アクリレートであり、 前記光重合開始剤(C)100質量部に対して前記紫外線吸収剤(D)を25~400質量部の割合で含有する粘着剤樹脂組成物からなる、透明粘着シート(但し、アクリレート共重合体と、N-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートと、ウレタンジアクリレートオリゴマーと、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、光開始剤とを含む硬化性感圧接着剤組成物から形成される光硬化が可能な粘着層を有する透明両面粘着シートを除く)。 [I]前記透明粘着シートを介して2つの構成部材を積層する工程。 [II]前記透明粘着シートを光を照射して、光架橋させて硬化させる工程。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 架橋剤が、本件補正発明は多官能(メタ)アクリレートモノマーであるのに対し、引用発明はCN964(酢酸エチル中33%溶液として使用されるサートマー製ウレタンジアクリレートオリゴマー)である点。 <相違点2> 透明粘着シートが、本件補正発明は「透明両面粘着シート(但し、アクリレート共重合体と、N-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートと、ウレタンジアクリレートオリゴマーと、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、光開始剤とを含む硬化性感圧接着剤組成物から形成される光硬化が可能な粘着層を有する透明両面粘着シートを除く)」と特定されているのに対し、引用発明ではそのような特定がされていない点。 <相違点3> 構成部材が、本件補正発明は画像表示装置構成部材であるのに対して、引用発明はIRフィルムとポリカーボネートシートである点。 <相違点4> 光が、本件補正発明は、可視光領域の光であるのに対して、引用発明は紫外線である点。 イ 相違点についての検討 <相違点1>について 拒絶査定(3頁17行~28行参照。)でも述べたとおり、引用発明の「CN964(ウレタンジアクリレートオリゴマー)」に代えて、引用文献2(引用文献2)の【0021】に記載されるような他のマルチ-アクリレートオリゴマーを採用することは、当業者が容易になし得ることである。 そして、当該【0021】に記載されるマルチ-アクリレートオリゴマーは、マルチ-アクリレートモノマーを含む概念を総称したものであって、具体的には構造(I)「【化1】 [図:0001427556000009.jpg] (式中、R1はHまたはCH3であり、 【化2】 [図:0001427556000010.jpg] R2は、mが0~6である(CH2)mであり、 【化3】 [図:0001427556000011.jpg] Xは、ポリオール結合またはアルキル基のようなn価のラジカル基であり、かつ、 nは1より大きいまたは1に等しい) で表すことができる。」で表されるアクリレート機能化オリゴマーであり、例えば、nが2、Zが-CO-、Yが-O-、かつZが2価のアルキル基のものは、本件補正発明でいう多官能(メタ)アクリレートモノマーに相当するものである。 そうすると、引用発明において、CN964(酢酸エチル中33%溶液として使用されるサートマー製ウレタンジアクリレートオリゴマー)に代えて、ないしは、CN964の一部に代えて、構造(I)で表されるアクリレート機能化オリゴマーを採用することにより、架橋剤(B)として多官能(メタ)アクリレートモノマーを含むものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 <相違点2>について まず、引用発明の「エベクリルCL1039」については、「エベクリルCL1039」はウレタンモノ-アクリレートオリゴマーであり(引用文献2の【0052】の【表1】の「ウレタンモノ-アクリレートリゴマー」は「ウレタンモノ-アクリレートオリゴマー」の誤記と認める。)、引用文献2には、構造(II)で表されるアクリレート機能化オリゴマーとしてエベクリルCL1039とともに他のオリゴマーが列記され(【0025】参照。)、アクリレート機能化オリゴマーとして構造(I)で表されるものも記載されている(【0021】参照。)。 また、引用発明の「UV吸収化合物」については、引用文献2には、UV吸収化合物としてベンゾトリアゾールとともにトリアジン、ベンゾオキサジノンまたはオキザルアニリドが記載されている(【0034】参照。)。 そうすると、引用発明において、エベクリルCL1039に代えて、構造(I)で表されるアクリレート機能化オリゴマーを採用するか、あるいは、CGL139(ベンゾトリアゾールUV吸収剤(ニュージャージー州タリータウンのチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社))に代えて、トリアジン、ベンゾオキサジノンまたはオキザルアニリドを採用することにより、アクリレート共重合体と、N-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートのアクリル酸誘導体(エベクリルCL1039)と、ウレタンジアクリレートオリゴマーと、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、光開始剤とを含む硬化性感圧接着剤組成物から形成される光硬化が可能な粘着層を有する透明両面粘着シートに該当しないものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そもそも、引用発明の「エベクリルCL1039(ウレタンモノーアクリレートオリゴマー(ジョージア州スミュルナのUCBケミカルズ))」は、次の構造「 [図:0001427556000012.jpg] 」を有するN-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートのアクリル酸誘導体であり(https://www.chemblink.com/products/63225-53-6.htm参照。)、N-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートではないから、本件補正発明の「透明両面粘着シート(但し、アクリレート共重合体と、N-ブチル-2-ヒドロキシエチルカルバメートと、ウレタンジアクリレートオリゴマーと、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、光開始剤とを含む硬化性感圧接着剤組成物から形成される光硬化が可能な粘着層を有する透明両面粘着シートを除く)。」は、引用発明を除くものとなっていない。 <相違点3>について 引用文献2には、引用発明の接着剤溶液を粘着剤としたものはディスプレイ用のスクリーンに使用されることが記載されているから(【0040】、【0041】参照。)、引用発明で製造されるIRフィルム/接着剤/ポリカーボネートシート構造のラミネートを製造する接着剤を用いてディスプレイ用のスクリーンを構成し、引用発明が透明両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を積層する工程を含むものとすることは当業者が容易になし得たことである。 <相違点4について> 引用文献2には、光開始剤が使用される場合、200~800nmの領域のエネルギー(例えば光)を提供する照射源を用いて接着剤組成物の実施形態を硬化させることができることが記載されている(【0050】参照。)。 そして、引用発明の光硬化剤はイルガキュア819であり、イルガキュア819は紫外線領域外の光線である可視光により硬化作用を有することは知られている(前記特表2009-519827号公報の【0039】、https://www.fscichem.com/ja/irgacure-819-photoinitiator-819-cas-162881-26-7参照。)から、引用発明において照射源として紫外線に代えて、可視光線を使用することは当業者が容易になし得たことである。 ウ 本件補正発明の効果について 本願明細書に、架橋剤(B)としての多官能(メタ)アクリレートとして多官能(メタ)アクリレートモノマーであるものとしたこと、紫外線吸収剤をベンゾトリアゾール紫外線吸収剤以外のものとしたこと、または、エベクリルCL1039を含まないものとしたことによる効果は記載されていない。また、本願明細書の【0047】及び【0048】には、「多官能モノマー類のほか、・・・多官能アクリルオリゴマー類・・・を挙げることができる。上記に挙げた中でも、・・・多官能モノマーもしくはオリゴマーが好ましい。」と記載され、本願明細書において、モノマーとオリゴマーはいずれも好ましいものとされているし、審判請求書に添付された実験成績証明書は、多官能(メタ)アクリレートがモノマーであることの優位性とは全く無関係なものである。そうすると、本件補正発明1の効果の程度は、本件補正発明の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるとはいえない。 エ 審判請求人の主張及び当審の判断について (ア)審判請求人の主張 請求人は、令和6年4月26日提出の審判請求書において、以下の点を主張している。 (i)第1の相違点 引用発明においては、アクリレート共重合体、モノ-アクリレートおよびマルチ-アクリレートオリゴマーが、粘着層を形成する架橋構造を形成する(請求項1)のに対し、本件補正発明は、架橋剤である多官能(メタ)アクリレートモノマーを介して(メタ)アクリル系共重合体が架橋構造を形成するものであるから、粘着層を形成する架橋構造が異なっている。 引用発明において、マルチ-アクリレートオリゴマーは必須の成分であるから、アクリレート共重合体、モノ-アクリレート及びマルチアクリレートオリゴマーからなる架橋構造を形成する代わりに、本願発明のように、多官能(メタ)アクリレートモノマーを介して架橋構造を形成することを想到することはあり得ない。 (ii)第2の相違点 本件補正発明は、架橋剤(B)として多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いるのに対し、引用発明は、そのような架橋剤を使用することを記載も示唆もしていない点で相違する。 引用発明において、架橋剤として記載されているのは、ビス-アジリジンおよび多官能性イソシアネートである(【0032】)が、これらは熱架橋剤であるから、光架橋剤としては機能しないことは明らかである。 (iii)第3の相違点 引用発明は、光重合開始剤の種類を、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上であるものに限定する記載も示唆も無いし、そのような光重合開始剤に対する紫外線吸収剤の含有量割合について限定することもない点で相違する。 (iv)有利な効果 審判請求書に添付した甲第1号証(実験成績証明書)に基づけば、本件補正発明は、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤(C)と紫外線吸収剤(D)とを併用し、さらに両者の含有量割合を特定することにより、優れた紫外線吸収性能をもつばかりか、貼合時の凹凸吸収性や部材貼り合せ後の信頼性を両立することができる効果を得ることができる。 また、請求人は、令和6年6月17日提出の上申書において、さらに、以下の点を主張している。 (v)本願発明と引用発明の考え方の相違について 本件補正発明は、光重合開始剤の種類を、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上であるものに限定した上で、そのような光重合開始剤に対する紫外線吸収剤の含有割合を限定することにより、紫外線に曝されても粘着シート自身の劣化を抑制できるようにすることと、紫外線領域外の波長(波長405nm)の光線の照射によってラジカルを発生して硬化すなわち接着できるようにすることとの両立を図った発明であり、これに対し、引用文献2では、紫外線(320~390nm)を照射して硬化しており、引用文献2には本願発明の上記技術思想が記載されているとは認めらない。 (イ)当審の判断 (i)(ii)については、前記イ<相違点1>についてで検討したとおり、引用文献2におけるマルチ-アクリレートオリゴマーは多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む概念として記載されたものである。特に(i)について、引用発明において、引用文献2におけるマルチ-アクリレートオリゴマーであって、<相違点1>についてで挙げた本件補正発明でいう多官能(メタ)アクリレートモノマーを採用することを妨げるような記載は見当たらない。また、(ii)について、ビス-アジリジンおよび多官能性イソシアネートは、引用文献2(引用文献2)の任意成分として記載されるものであって、引用発明とは無関係である。引用発明のマルチアクリレートオリゴマーが架橋構造を形成することは、審判請求人が審判請求書14頁下3行~15頁3行で「引用発明2は、・・・アクリレート共重合体、モノ-アクリレートおよびマルチアクリレートオリゴマーで架橋構造を形成するものである。」と主張するとおりである。 (iii)については、前記アで検討したとおり、引用発明のイルガキュア819は波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤であり、光重合開始剤に対する紫外線吸収剤の含有量割合についても相違点ではないし、(iv)については、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤(C)と紫外線吸収剤(D)の含有量割合は、引用発明との相違点ではなく、実験成績証明書で示されるその効果は相違点に基づくものではないし、(v)についても、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤(C)と紫外線吸収剤(D)の含有量割合は、引用発明との相違点ではなく、前記イ<相違点4>についてで検討したとおり、引用文献2には200~800nmの光を提供する照射源を用いることができることが記載されており、イルガキュア819が紫外線領域外の光線である可視光により硬化作用を有することは知られているから、引用文献2には実質的に前記思想が記載されているといえるし、そもそも、本件補正発明は紫外線を照射して硬化する態様を除外しているわけでもない。 そうすると、審判請求人の前記主張はいずれも採用できない。 オ 小括 したがって、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願発明は、令和6年2月2日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2 1.(2)に示したとおりである。 2 原査定の拒絶理由 原査定の拒絶の理由は、「令和5年11月1日付け拒絶理由通知書に記載した理由3」であり、要するに、この出願の請求項1~9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 そして、該拒絶の理由において引用された刊行物は次のとおりである。 <引用文献等一覧> 1.特開2017-155213号公報 2.特表2006-512442号公報 3.国際公開第2015/080097号 4.特開2000-104026号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2は、前記前記第2 2(1)の引用文献2であって、引用文献2の記載事項は、前記第2 2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2 2」で検討した本件補正発明の「多官能(メタ)アクリレート」なる事項について「当該多官能(メタ)アクリレートは多官能(メタ)アクリレートモノマーであり」との限定がないものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに前記事項によって限定したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 2(4)」に記載したとおり、当該引用文献2に記載された発明及び当該引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、当該引用文献2(引用文献2)に記載された発明及び当該引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007143

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