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特許拒絶査定不服審判

2024-006862

液晶組成物及び液晶表示素子

審判番号
2024-006862
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-138209
請求日
2024年04月23日
審決日
2025年11月28日
公報発行日
2026年05月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】石家庄▲誠▼志永▲華顕▼示材料有限公司
  • 【請求人代理人】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 横井 亜矢子
  • 審判官 野村 伸雄
分類
P18 .113-Z (C09K) / P18 .121-Z (C09K) / P18 .575-Z (C09K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-138209「液晶組成物及び液晶表示素子」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月18日出願公開、特開2021- 21009〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年7月26日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 7月27日付け:拒絶理由通知書 令和6年 2月 2日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月 6日 :原査定の謄本の送達) 同年 4月23日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年 5月31日 :手続補正書(方式)の提出 第2 令和6年4月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年4月23日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正前後の請求項1の記載 令和6年4月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和元年7月26日にされた出願時のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前 「【請求項1】 一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(N-1-11)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(N-1-4)で表される化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。 【化1】 [図:0001434624000001.jpg] (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。) 【化2】 (式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、nNd11は、1又は2である。) 【化3】 [図:0001434624000002.jpg] (式中、Rii1及びRii2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、L1及びL2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)」 (2) 本件補正後 「【請求項1】 一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(N-1-11)で表される化合物の1種又は2種以上を20%以上含有し、式(N-1-4.39)で表される化合物を含有し、一般式(L-1-2)で表される化合物の1種又は2種以上を29%以上含有する液晶組成物。 【化1】 [図:0001434624000003.jpg] (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。) 【化2】 (式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、nNd11は、1又は2である。) 【化3】 [図:0001434624000004.jpg] 【化4】 [図:0001434624000005.jpg] (式中、RL12は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)」 2 補正の目的 (1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について、次のアからウに示す補正事項1から補正事項3の限定をするものである。 ア 補正事項1 「一般式(N-1-11)で表される化合物」の含有量について、「20%以上」に限定すること。 イ 補正事項2 次の(ア)に示す「1種又は2種以上含有する」「一般式(N-1-4)で表される化合物」を(イ)に示す「式(N-1-4.39)で表される化合物」に限定すること。 (ア) 本件補正前(「一般式(N-1-4)で表される化合物」) 「【化3】 [図:0001434624000006.jpg] (式中、Rii1及びRii2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、L1及びL2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)」 (イ) 本件補正後(「式(N-1-4.39)で表される化合物」) 「【化3】 [図:0001434624000007.jpg] 」 ウ 補正事項3 「液晶組成物」について、次の「一般式(L-1-2)で表される化合物の1種又は2種以上を29%以上含有する」ことを限定すること。 「【化4】 [図:0001434624000008.jpg] (式中、RL12は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)」 (2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 (3) したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 3 独立特許要件の判断 本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (1) 本件補正発明 ア 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。 <本件補正発明の分説> 以下を含むことを特徴とする、 <構成X> 液晶組成物 <構成A> 一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、 【化1】 [図:0001434624000009.jpg] (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。) <構成B> 一般式(N-1-11)で表される化合物の1種又は2種以上を20%以上含有し、 【化2】 [図:0001434624000010.jpg] (式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、nNd11は、1又は2である。) <構成C> 式(N-1-4.39)で表される化合物を含有し、 【化3】 [図:0001434624000011.jpg] <構成D> 一般式(L-1-2)で表される化合物の1種又は2種以上を29%以上含有する 【化4】 [図:0001434624000012.jpg] (式中、RL12は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)」 <本件補正発明の実施例について> 本件補正発明においては、明細書の【0244】の【表1】に実施例として記載されたもののうち、実施例1~3、5のみが本件補正発明の実施例に対応する。【表1】の実施例4、【表2】の実施例6~8及び【表3】の実施例9,10は、本件補正発明の実施例ではない。 [図:0001434624000013.jpg] イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。下線は当合議体による。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、液晶表示材料として有用な誘電率異方性(Δε)が負の値を示す液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子に関する。 【背景技術】 【0002】 Δεが負の値を示す液晶組成物を用いた液晶表示素子は、液晶TV等に広く用いられており、これらの用途に使用される液晶組成物には高い特性が要求されている。例えば、高いネマチック相上限温度(Tni)、大きなΔε、低い回転粘性(γ1)、低温でのネマチック相安定性等の諸特性がある。特に応答速度に関してはさらなる向上が求められている(特許文献1~3)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】国際公開第2014/006963号 【特許文献2】国際公開第2014/148197号 【特許文献3】国際公開第2015/060056号 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明が解決しようとする課題は、広い温度範囲でネマチック相を呈し、屈折率異方性(Δn)、Δε等の液晶表示素子としての諸特性を悪化させることなく、γ1/K33が改善され、応答速度が向上した液晶組成物及びそれを用いた液晶表示素子を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者は、種々の液晶化合物を検討し、特定の液晶化合物を用いることにより前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0006】 すなわち、本発明の液晶組成物は、一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(N-1-11)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(N-1-4)で表される化合物を1種又は2種以上含有することを特徴とする。 【化1】 [図:0001434624000014.jpg] (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。) 【化2】 [図:0001434624000015.jpg] (式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、nNd11は、1又は2である。) 【化3】 [図:0001434624000016.jpg] (式中、Rii1及びRii2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、L1及びL2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。) 【発明の効果】 【0007】 本発明の負の誘電率異方性を有する液晶組成物は、Tni、Δn、Δε等の液晶表示素子としての諸特性を悪化させることなく、γ1/K33が改善されることから、より高速応答が可能となり、液晶表示素子用途に非常に有用である。」 「【0011】 一般式(i)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折等の求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。 【0012】 Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定し、組み合わせる種類を多くすると効果が高く、Tniを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、Δnを重視する場合には、含有量を高めに設定することが好ましい。また、Δεを大きくすることで低電圧駆動が可能となるが、本発明の液晶組成物においては、一般式(i)の化合物を単独又は組み合わせて使うことにより、低電圧かつ高速応答の液晶表示素子を得ることができる。 【0013】 本発明の液晶組成物の総量に対しての一般式(i)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、9%である。 なお、本願においては、特別な断りがない限り%は質量%を意味する。」 「【0019】 一般式(N-1-11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折等の求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。 【0020】 Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合は、3環の化合物、すなわち一般式(N-1-11)においてnNd11が2である化合物を用い、その含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。 【0021】 本発明の液晶組成物の総量に対しての式(N-1-11)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。 …(中略)… 【0023】 式(N-1-11.1)~(N-1-11.26)で表される化合物は、単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の液晶組成物の総量に対しての単独又は組み合わせたこれらの化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。」 「【0026】 一般式(N-1-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折等の求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。 【0027】 Δnの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。 【0028】 本発明の液晶組成物の総量に対しての式(N-1-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、10%であり、8%である。」 「【0040】 一般式(L-1)で表される化合物は、一般式(L-1-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 【化10】 [図:0001434624000017.jpg] (式中、RL12は、一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。) 【0041】 本発明の液晶組成物の総量に対しての式(L-1-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。 【0042】 さらに、一般式(L-1-2)で表される化合物は、式(L-1-2.1)から式(L-1-2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-2.2)から式(L-1-2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L-1-2.2)で表される化合物は、本発明の液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1-2.3)又は式(L-1-2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L-1-2.3)及び式(L-1-2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度をよくするために30%以上にすることは好ましくない。 【化11】 [図:0001434624000018.jpg] 【0043】 本発明の液晶組成物の総量に対しての式(L-1-2.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、18%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、38%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。 【0044】 本発明の液晶組成物の総量に対しての式(L-1-1.3)で表される化合物及び式(L-1-2.2)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。」 「【実施例】 【0241】 実施例において、化合物の記載に関し以下の略号を用いる。なお、nは自然数を表す。 (側鎖) -n -CnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基 n- CnH2n+1- 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基 -On -OCnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基 nO- CnH2n+1O- 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基 -V -CH=CH2 V- CH2=CH- -V1 -CH=CH-CH3 1V- CH3-CH=CH- -2V -CH2-CH2-CH=CH2 V2- CH2=CH-CH2-CH2- -2V1 -CH2-CH2-CH=CH-CH3 1V2- CH3-CH=CH-CH2-CH2- (連結基) -n- -CnH2n- -nO- -CnH2n-O- -On- -O-CnH2n- -COO- -C(=O)-O- -OCO- -O-C(=O)- -CF2O- -CF2-O- -OCF2- -O-CF2- (環構造) 【化66】 [図:0001434624000019.jpg] 【0242】 実施例中、測定した特性は以下の通りである。 Tni :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃) Δn :25℃における屈折率異方性 Δε :25℃における誘電率異方性 K11、K33 :25℃における弾性定数 γ1 :25℃における回転粘度(mPa・s) 【0243】 (実施例1~10及び比較例1~3) 実施例及び比較例として以下の液晶組成物を調製した。各組成物は表1~3中に記載した各化合物を、表1~3中に記載した数量(g)含有する。これらの液晶組成物を用い、各物性値を測定した。 【0244】 【表1】 [図:0001434624000020.jpg] 【表2】 [図:0001434624000021.jpg] 【表3】 [図:0001434624000022.jpg] 【0245】 実施例1~10の液晶組成物は、一般式(i)、一般式(N-1-11)及び一般式(N-1-4)で表される化合物を含有する液晶組成物である。これに対し、比較例1~3の液晶組成物は、一般式(i)で表される化合物を含まない液晶組成物である。 【0246】 各比較例の物性値を実施例1~10と比較する。 比較例1の液晶組成物は、実施例1~5と比べて、γ1/K33の値が増大したことから、応答速度が低下してしまう。比較例2の液晶組成物は、実施例6~8と比べて、γ1/K33の値が増大し、Δεが減少し、駆動電圧が上昇してしまう。比較例3の液晶組成物は、実施例9~10と比べて、γ1/K33の値が増大するため、実用的な応答速度が得られなくなる。 【0247】 なお、実施例1~10及び比較例1~3の液晶組成物100gに対し下記の式(P-1-1.1)で表される重合性化合物を0.3g添加して調製した重合性液晶組成物を、垂直配向セルに封入し、電圧を印加しながら紫外線を照射して、PSA素子を作製した。 【化67】 [図:0001434624000023.jpg] 【0248】 実施例1~10の液晶組成物を用いて作製したPSA素子は、安定したチルト角を有し、優れたコントラストを有し、且つ、十分な応答速度を有することが確認できた。一方、比較例1~3の液晶組成物を用いて作製したPSA素子では、対応する実施例の液晶組成物を用いて作製したPSA素子に比して応答速度の点で劣っていた。」 (2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2018-95835号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (ア) 【0001】~【0012】 【技術分野】 【0001】 本発明は、誘電率異方性が負の液晶組成物、この組成物を含有する液晶表示素子などに関する。特に、重合性基を有する極性化合物(またはその重合体)を含有し、この化合物の作用によって液晶分子の垂直配向が達成可能である液晶組成物、および液晶表示素子に関する。 【背景技術】 【0002】 液晶表示素子において、液晶分子の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(fringe field switching)、FPA(field-induced photo-reactive alignment)などのモードである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMは、スタティック(static)、マルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMは、TFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。 【0003】 液晶表示素子はネマチック相を有する液晶組成物を含有する。この組成物は適切な特性を有する。この組成物の特性を向上させることによって、良好な特性を有するAM素子を得ることができる。2つの特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は約70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は約-10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。 低い温度における小さな粘度はさらに好ましい。 【0004】 [図:0001434624000024.jpg] 【0005】 組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。素子のモードに応じて、大きな光学異方性または小さな光学異方性、すなわち適切な光学異方性が必要である。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn×d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。積の適切な値は動作モードの種類に依存する。この値は、VAモードの素子では約0.30μmから約0.40μmの範囲であり、IPSモードまたはFFSモードの素子では約0.20μmから約0.30μmの範囲である。これらの場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は、素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、大きな誘電率異方性が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比とに寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線や熱に対する組成物の安定性は、素子の寿命に関連する。この安定性が高いとき、素子の寿命は長い。このような特性は、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いるAM素子に好ましい。 【0006】 汎用の液晶表示素子において、液晶分子の垂直配向は、特定のポリイミド配向膜によって達成される。高分子支持配向(PSA;polymer sustained alignment)型の液晶表示素子では、重合体の効果を活用する。まず、少量の重合性化合物を添加した組成物を素子に注入する。次に、この素子の基板のあいだに電圧を印加しながら、組成物に紫外線を照射する。重合性化合物は重合して、組成物中に重合体の網目構造を生成する。この組成物では、重合体によって液晶分子の配向を制御することが可能になるので、素子の応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善される。重合体のこのような効果は、TN、ECB、OCB、IPS、VA、FFS、FPAのようなモードを有する素子に期待できる。 【0007】 一方、配向膜を有しない液晶表示素子では、重合体および重合性基を有しない極性化合物を含有する液晶組成物が用いられる(特許文献1から5)。まず、少量の重合性化合物および少量の極性化合物を添加した組成物を素子に注入する。ここで、極性化合物は基板表面に吸着され、配列する。この配列にしたがって液晶分子が配向される。次に、この素子の基板のあいだに電圧を印加しながら、組成物に紫外線を照射する。ここで、重合性化合物が重合し、液晶分子の配向を安定化させる。この組成物では、重合体および極性化合物によって液晶分子の配向を制御することが可能になるので、素子の応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善される。さらに、配向膜を有しない素子では、配向膜を形成する工程が不要である。配向膜がないので、配向膜と組成物との相互作用によって、素子の電気抵抗が低下することはない。重合体と極性化合物の組合せによるこのような効果は、TN、ECB、OCB、IPS、VA、FFS、FPAのようなモードを有する素子に期待 できる。 【0008】 TNモードを有するAM素子においては正の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。VAモードを有するAM素子においては負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。高分子支持配向型のAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。負の誘電率異方性を有する液晶組成物の例は次の特許文献1から6に開示されている。本発明では、重合性化合物および極性化合物の代わりに、重合性基を有する極性化合物を液晶性化合物と組み合わせ、この組成物を、配向膜を有しない液晶表示素子に用いる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0009】 【特許文献1】国際公開第2014/090362号パンフレット 【特許文献2】国際公開第2014/094959号パンフレット 【特許文献3】国際公開第2013/004372号パンフレット 【特許文献4】国際公開第2012/104008号パンフレット 【特許文献5】国際公開第2012/038026号パンフレット 【特許文献6】特開昭50-35076号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明の1つの目的は、重合性基を有する極性化合物を含有する液晶組成物を提供することであり、ここで極性化合物は、液晶性化合物との高い相溶性を有する。別の目的は、この極性化合物から生じた重合体の作用によって液晶分子の垂直配向が達成可能な液晶組成物を提供することである。別の目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物を提供することである。別の目的は、少なくとも2つの特性のあいだで適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。別の目的は、このような組成物を含有する液晶表示素子を提供することである。別の目的は、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、長い寿命などの特性を有するAM素子を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明は、第一添加物として式(1)で表される極性化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第一成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そして負の誘電率異方性を有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子に関する。式(1)および式(2)において、R1は、水素、ハロゲン、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;R2は、-OH、-OR0、-NH2、-NHR0、または-N(R0)2で表される基であり、ここで、R0は炭素数1から5のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は、-O-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2CH2-は、-CH=CH-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環Aおよび環Bは独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,2-ジイル、ナフタレン-1,3-ジイル、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-1,5-ジイル、ナフタレン-1,6-ジイル、ナフタレン-1,7-ジイル、ナフタレン-1,8-ジイル、ナフタレン-2,3-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、ナフタレン-2,7-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、フルオレン-2,7-ジイル、フェナントレン-2,7-ジイル、またはアントラセン-2,6-ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;環Cは、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4-フェニレン、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;環Dは、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4-フェニレンであり;Z1は、単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2O-、-OCH2-、または-CF=CF-であり;Z2およびZ3は独立して、単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、または-OCO-であり;Sp1およびSp2は独立して、単結合または炭素数1から7のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH2-は、-O-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2CH2-は、-CH=CH-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;aは、0、1、2、3、または4であり;bは、0または1である。 【発明の効果】 【0012】 本発明の1つの長所は、重合性基を有する極性化合物を含有する液晶組成物を提供することであり、ここで極性化合物は、液晶性化合物との高い相溶性を有する。別の長所は、この極性化合物から生じた重合体の作用によって液晶分子の垂直配向が達成可能な液晶組成物を提供することである。別の長所は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物を提供することである。別の長所は、少なくとも2つの特性のあいだで適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。別の長所は、このような組成物を含有する液晶表示素子を提供することである。別の長所は、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、長い寿命などの特性を有するAM素子を提供することである。」 (イ) 【0022】~【0045】 「【0022】 本発明は、下記の項などである。 【0023】 項1. 第一添加物として式(1)で表される極性化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第一成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そして負の誘電率異方性を有する液晶組成物。 [図:0001434624000025.jpg] 式(1)および式(2)において、R1は、水素、ハロゲン、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;R2は、-OH、-OR0、-NH2、-NHR0、または-N(R0)2で表される基であり、ここで、R0は炭素数1から5のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は、-O-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2CH2-は、-CH=CH-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環Aおよび環Bは独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,2-ジイル、ナフタレン-1,3-ジイル、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-1,5-ジイル、ナフタレン-1,6-ジイル、ナフタレン-1,7-ジイル、ナフタレン-1,8-ジイル、ナフタレン-2,3-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、ナフタレン-2,7-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、フルオレン-2,7-ジイル、フェナントレン-2,7-ジイル、またはアントラセン-2,6-ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;環Cは、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4-フェニレン、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;環Dは、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4-フェニレンであり;Z1は、単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2O-、-OCH2-、または-CF=CF-であり;Z2およびZ3は独立して、単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、または-OCO-であり;Sp1およびSp2は独立して、単結合または炭素数1から7のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH2-は、-O-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2CH2-は、-CH=CH-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;aは、0、1、2、3、または4であり;bは、0または1である。 【0024】 …(中略)… 【0025】 項3. 第一成分として式(2-1)から式(2-6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1または2に記載の液晶組成物。 [図:0001434624000026.jpg] 式(2-1)から式(2-6)において、R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。 【0026】 項4. 液晶組成物の重量に基づいて、第一添加物の割合が0.05重量%から10重量%の範囲であり、第一成分の割合が5重量%から50重量%の範囲である、項1から3のいずれか1項に記載の液晶組成物。 【0027】 …(中略)… 【0028】 項6. 第二成分として式(3-1)から式(3-13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。 [図:0001434624000027.jpg] 式(3-1)から式(3-13)において、R5およびR6は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。 【0029】 項7. 液晶組成物の重量に基づいて、第二成分の割合が10重量%から70重量%の範囲である、項5または6に記載の液晶組成物。 【0030】 項8. 第三成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から7のいずれか1項に記載の液晶組成物。 [図:0001434624000028.jpg] 式(4)において、R7およびR8は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環Gおよび環Mは独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;環Lは、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン、2-クロロ-3-フルオロ-1,4-フェニレン、2,3-ジフルオロ-5-メチル-1,4-フェニレン、3,4,5-トリフルオロナフタレン-2,6-ジイル、または7,8-ジフルオロクロマン-2,6-ジイルであり;Z5およびZ6は独立して、単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、または-OCO-であり;dは、1、2、または3であり、eは0または1であり、そしてdとeとの和は3以下である。 【0031】 項9. 第三成分として式(4-1)から式(4-17)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から8のいずれか1項に記載の液晶組成物。 [図:0001434624000029.jpg] [図:0001434624000030.jpg] 式(4-1)から式(4-17)において、R7およびR8は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。 【0032】 項10. 液晶組成物の重量に基づいて、第三成分の割合が5重量%から75重量%の範囲である、項8または9に記載の液晶組成物。 …(後略)」 (ウ) 【0046】~【0057】 「【0046】 本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、組成物における成分の組み合わせ、成分の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、好ましい成分化合物を示す。第六に、組成物に添加してもよい添加物を説明する。第七に、成分化合物の合成法を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。 【0047】 第一に、組成物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aは、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)から選択された液晶性化合物の他に、その他の液晶性化合物、添加物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などである。 【0048】 組成物Bは、実質的に化合物(2)、化合物(3)、および化合物(4)から選択された液晶性化合物のみからなる。「実質的に」は、組成物Bが添加物を含有してもよいが、その他の液晶性化合物を含有しないことを意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。コストを下げるという観点から、組成物Bは組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって特性をさらに調整できるという観点から、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。 【0049】 第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、記号0は、値がゼロであるか、またはゼロに近いことを意味する。 【0050】 [図:0001434624000031.jpg] 【0051】 成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は、極性基の作用で基板表面に吸着し、液晶分子の配向を制御する。所期の効果を得るには、化合物(1)は、液晶性化合物との高い相溶性を有することが必須である。化合物(1)は、1,4-シクロヘキシレンや1,4-フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状であるからこの目的に最適である。化合物(1)は、重合によって重合体を与える。この重合体は, 液晶分子の配向を安定化するので、素子の応答時間を短縮し、そして画像の焼き付きを改善する。化合物(2)は、誘電率異方性を上げ、そして光学異方性を上げる。化合物(3)は、粘度を下げ、上限温度を上げ、または下限温度を下げる。化合物(4)は、誘電率異方性を上げ、そして下限温度を下げる。化合物(5)は、重合によって重合体を与える。この重合体は、液晶分子の配向を安定化するので、素子の応答時間を短縮し、そして画像の焼き付きを改善する。液晶分子の配向という観点から、化合物(1)の重合体は、基板表面との相互作用を有するので、化合物(5)の重合体よりも効果的であると推定される。 【0052】 第三に、組成物における成分の組み合わせ、成分の好ましい割合およびその根拠を説明する。組成物における成分の好ましい組み合わせは、化合物(1)+化合物(2)+化合物(3)、化合物(1)+化合物(2)+化合物(3)+化合物(4)、または化合物(1)+化合物(2)+化合物(3)+化合物(4)+化合物(5)である。 【0053】 化合物(1)は、液晶分子の配向を制御する目的で、組成物に添加される。化合物(1)の好ましい割合は、液晶分子を配向させるために約0.05重量%以上であり、素子の表示不良を防ぐために約10重量%以下である。さらに好ましい割合は、約0.1重量%から約7重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約0.5重量%から約5重量%の範囲である。 【0054】 化合物(2)の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約5重量%以上であり、粘度を下げるために約50重量%以下である。さらに好ましい割合は、約10重量%から約45重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約15重量%から約40重量%の範囲である。 【0055】 化合物(3)の好ましい割合は、上限温度を上げるためにまたは下限温度を下げるために約10重量%以上であり、誘電率異方性を上げるために約70重量%以下である。さらに好ましい割合は、約15重量%から約65重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約20重量%から約60重量%の範囲である。 【0056】 化合物(4)の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約5重量%以上であり、下限温度を下げるために約75重量%以下である。さらに好ましい割合は、約10重量%から約45重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約15重量%から約40重量%の範囲である。 【0057】 化合物(5)の好ましい割合は、素子の長期信頼性を向上させるために約0.03重量%以上であり、素子の表示不良を防ぐために約10重量%以下である。さらに好ましい割合は、約0.1重量%から約2重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約0.2重量%から約1.0重量%の範囲である。」 (エ) 【0136】~【0158】 「【0136】 組成物の実施例を以下に示す。成分化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号によって表した。表3において、1,4-シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。記号化された化合物の後にあるかっこ内の番号は化合物が属する化学式を表す。(-)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。 【0137】 [図:0001434624000032.jpg] 【0138】 素子の実施例 1.原料 配向膜を有しない素子に、極性化合物を添加した組成物を注入した。紫外線を照射したあと、この素子における液晶分子の垂直配向を検討した。最初に原料を説明する。原料は、組成物(M1)から(M20)、極性化合物(PC-1)から(PC-10)、重合性化合物(RM-1)から(RM-8)の中から適宜選択した。組成物は以下のとおりである。 【0139】 [組成物M1] 3-H1OB(2F)B(2F,3F)-O2 (2) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% V-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 2-HH-3 (3-1) 14% 3-HB-O1 (3-2) 5% 3-HHB-1 (3-5) 3% 3-HHB-O1 (3-5) 3% 3-HHB-3 (3-5) 4% 2-BB(F)B-3 (3-8) 4% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 8% 5-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 6% 2-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 7% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 7% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 8% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 7% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 8% NI=79.8℃;Tc<-20℃;Δn=0.119;Δε=-3.9;Vth=2.21V;η=25.2mPa・s. 【0140】 [組成物M2] 3-B(2F)B(2F,3F)-O2 (2-1) 4% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(F)B(2F,3F)-O2 (2-4) 5% 2-HH-3 (3-1) 12% 1-BB-5 (3-3) 12% 3-HHB-1 (3-5) 4% 3-HHB-O1 (3-5) 3% 3-HBB-2 (3-6) 3% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 4% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 6% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 3% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 5% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 7% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% 3-HH2B(2F,3F)-O2 (4-6) 6% 5-HH2B(2F,3F)-O2 (4-6) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% NI=83.8℃;Tc<-30℃;Δn=0.122;Δε=-4.4;Vth=2.13V;η=25.0mPa・s. 【0141】 [組成物M3] 3-B(F)B(2F,3F)-O2 (2-2) 3% 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 5% 5-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 4% 3-HH-V (3-1) 25% 3-HH-V1 (3-1) 6% V-HHB-1 (3-5) 3% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 5-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 7% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% 3-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 3% 2-BB(2F,3F)B-3 (4-8) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 6% NI=74.1℃;Tc<-30℃;Δn=0.117;Δε=-3.3;Vth=1.98V;η=18.5mPa・s. 【0142】 [組成物M4] 2-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 5-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 3% 2-BB(2F)B(2F,3F)-O4 (2-5) 3% 3-HH-4 (3-1) 16% V-HHB-1 (3-5) 10% 3-HBB-2 (3-6) 7% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 8% 5-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 8% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 6% 5-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 6% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 7% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 6% 3-HDhB(2F,3F)-O2 (4-14) 3% NI=94.3℃;Tc<-30℃;Δn=0.119;Δε=-3.7;Vth=2.32V;η=27.0mPa・s. 【0143】 [組成物M5] 3-B(2F)B(2F,3F)-O2 (2-1) 5% 3-BB(F)B(2F,3F)-O2 (2-6) 4% 3-HH-V (3-1) 5% 3-HH-O1 (3-1) 3% 1-BB-5 (3-3) 4% V-HHB-1 (3-5) 4% 5-HB(F)BH-3 (3-12) 5% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 7% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 8% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 7% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% 3-HHB(2F,3F)-1 (4-5) 6% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% 3-H1OCro(7F,8F)-5 (4-12) 3% 3-HDhB(2F,3F)-O2 (4-14) 3% NI=75.3℃;Tc<-30℃;Δn=0.121;Δε=-4.2;Vth=1.71V;η=29.4mPa・s. 【0144】 [組成物M6] 2-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 3-HB(F)B(2F,3F)-O2 (2-4) 5% 5-HH-V (3-1) 18% 7-HB-1 (3-2) 5% V-HHB-1 (3-5) 7% V2-HHB-1 (3-5) 7% 3-HBB(F)B-3 (3-13) 8% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 15% 3-dhBB(2F,3F)-O2 (4-15) 5% 3-chB(2F,3F)-O2 (4-16) 7% 2-HchB(2F,3F)-O2 (4-17) 8% NI=92.2℃;Tc<-30℃;Δn=0.109;Δε=-3.2;Vth=2.45V;η=25.8mPa・s. 【0145】 [組成物M7] 2-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 4% 3-HH-V (3-1) 14% 3-HH-VFF (3-1) 7% F3-HH-V (3-1) 10% 3-HHEH-3 (3-4) 4% 3-HB(F)HH-2 (3-10) 4% 3-HHEBH-3 (3-11) 4% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 15% 5-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 10% 3-HHB(2F,3Cl)-O2 (4-10) 4% 3-HBB(2F,3Cl)-O2 (4-11) 6% 5-HBB(2F,3Cl)-O2 (4-11) 6% 3-HDhB(2F,3F)-O2 (4-14) 4% NI=85.1℃;Tc<-30℃;Δn=0.092;Δε=-2.5;Vth=2.46V;η=23.9mPa・s. 【0146】 [組成物M8] 3-H1OB(2F)B(2F,3F)-O2 (2) 3% V-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 4% 2-BB(2F)B(2F,3F)-O4 (2-5) 5% 3-HH-V (3-1) 12% 1-BB-5 (3-3) 5% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 10% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 10% 2O-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 3% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 3% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 7% 2-HHB(2F,3F)-1 (4-5) 4% 2-BB(2F,3F)B-3 (4-8) 5% 2-BB(2F,3F)B-4 (4-8) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 7% 3-HH1OCro(7F,8F)-5 (4-13) 3% 3-dhBB(2F,3F)-O2 (4-15) 4% NI=71.0℃;Tc<-20℃;Δn=0.137;Δε=-4.3;Vth=1.68V;η=28.9mPa・s. 【0147】 [組成物M9] 3-B(F)B(2F,3F)-O2 (2-2) 2% 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 3% 3-BB(F)B(2F,3F)-O2 (2-6) 3% 3-HH-V (3-1) 14% 3-HHB-1 (3-5) 4% 3-HHB-O1 (3-5) 4% V-HBB-2 (3-6) 4% 1-BB(F)B-2V (3-8) 6% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 14% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 3% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 10% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 7% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 7% 3-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 6% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 5-HBBH-1O1 (-) 3% NI=91.7℃;Tc<-30℃;Δn=0.128;Δε=-4.3;Vth=2.25V;η=32.1mPa・s. 【0148】 [組成物M10] 2-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 4% 3-HH-V (3-1) 11% 1-BB-3 (3-3) 6% 3-HHB-1 (3-5) 4% 3-HHB-O1 (3-5) 4% 3-HBB-2 (3-6) 4% 3-B(F)BB-2 (3-7) 4% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 6% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 8% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 5% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 9% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% NI=85.1℃;Tc<-30℃;Δn=0.133;Δε=-4.5;Vth=2.20V;η=27.3mPa・s. 【0149】 [組成物M11] 3-B(2F)B(2F,3F)-O2 (2-1) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 3% 5-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 3% 2-HH-3 (3-1) 12% 1-BB-3 (3-3) 6% 3-HHB-1 (3-5) 3% 3-HHB-O1 (3-5) 4% 3-HBB-2 (3-6) 6% 3-B(F)BB-2 (3-7) 3% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 6% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 7% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 4% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 6% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 8% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% NI=88.4℃;Tc<-20℃;Δn=0.132;Δε=-4.5;Vth=2.19V;η=26.4mPa・s. 【0150】 [組成物M12] 3-B(2F)B(2F,3F)-O2 (2-1) 4% 3-B(F)B(2F,3F)-O2 (2-2) 4% 3-HH-V (3-1) 33% V-HHB-1 (3-5) 3% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 5-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 3-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 5% 2-BB(2F,3F)B-3 (4-8) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 8% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 8% NI=74.2℃;Tc<-20℃;Δn=0.102;Δε=-3.2;Vth=2.05V;η=17.1mPa・s. 【0151】 [組成物M13] 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% V-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 5% 5-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 4% 2-HH-3 (3-1) 5% 3-HH-VFF (3-1) 30% 1-BB-3 (3-3) 5% 3-HHB-1 (3-5) 3% 3-HBB-2 (3-6) 3% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 3% 2-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 5% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 3% 2-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 10% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 7% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 6% NI=78.8℃;Tc<-20℃;Δn=0.116;Δε=-3.1;Vth=2.19V;η=19.4mPa・s. 【0152】 [組成物M14] 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 3-HB(F)B(2F,3F)-O2 (2-4) 5% 3-HH-V (3-1) 27% 3-HH-V1 (3-1) 6% V-HHB-1 (3-5) 5% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 5% 5-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 8% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% 3-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 3% 2-BB(2F,3F)B-3 (4-8) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% NI=78.2℃;Tc<-20℃;Δn=0.107;Δε=-3.2;Vth=2.11V;η=16.6mPa・s. 【0153】 [組成物M15] 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 5% 2-BB(2F)B(2F,3F)-O4 (2-5) 3% 3-BB(F)B(2F,3F)-O2 (2-6) 3% 3-HH-V1 (3-1) 6% 4-HH-V (3-1) 15% 1-HH-2V1 (3-1) 6% 3-HH-2V1 (3-1) 4% V2-BB-1 (3-3) 5% 1V2-BB-1 (3-3) 5% 3-HHB-1 (3-5) 6% 3-HB(F)BH-3 (3-12) 4% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 7% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 8% 3-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 4% 2-BB(2F,3F)B-3 (4-8) 3% 2-BB(2F,3F)B-4 (4-8) 3% 3-HDhB(2F,3F)-O2 (4-14) 3% 5-HDhB(2F,3F)-O2 (4-14) 4% 2-HchB(2F,3F)-O2 (4-17) 6% NI=90.0℃;Tc<-30℃;Δn=0.121;Δε=-2.2;Vth=2.80V;η=20.2mPa・s. 【0154】 [組成物M16] 2-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 4% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 4% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 4% V-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(F)B(2F,3F)-O2 (2-4) 3% 2-HH-3 (3-1) 12% 1-BB-5 (3-3) 15% 3-HHB-O1 (3-5) 3% 3-HBB-2 (3-6) 3% V2-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 6% V2-H1OB(2F,3F)-O4 (4-3) 3% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 6% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% 3-HH2B(2F,3F)-O2 (4-6) 6% 5-HH2B(2F,3F)-O2 (4-6) 3% V-HH2B(2F,3F)-O2 (4-6) 5% V2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% V-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% NI=86.9℃;Tc<-20℃;Δn=0.129;Δε=-4.3;Vth=2.13V;η=26.7mPa・s. 【0155】 [組成物M17] 3-B(2F)B(2F,3F)-O2 (2-1) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 4% 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 3% 3-HH-V (3-1) 25% 3-HH-V1 (3-1) 4% V-HHB-1 (3-5) 3% 3-B2BB-2 (3-9) 3% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 3% V-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 3% V2-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 3% 5-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 3% V2-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 3% 1V2-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 3% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% V-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% V-HHB(2F,3F)-O4 (4-5) 4% V2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% V2-BB(2F,3F)B-1 (4-8) 4% V2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% V-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% V-HBB(2F,3F)-O4 (4-9) 3% NI=79.3℃;Tc<-20℃;Δn=0.117;Δε=-3.1;Vth=2.04V;η=17.3mPa・s. 【0156】 [組成物M18] 3-H1OB(2F)B(2F,3F)-O2 (2) 5% 3-B(F)B(2F,3F)-O2 (2-2) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(F)B(2F,3F)-O2 (2-4) 3% 3-HH-4 (3-1) 14% V-HHB-1 (3-5) 10% 3-HBB-2 (3-6) 7% V-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 10% V2-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 10% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 3% 2O-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 3% V2-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 4% V2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% V-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% V-HBB(2F,3F)-O4 (4-9) 4% V-HHB(2F,3Cl)-O2 (4-10) 5% NI=79.0℃;Tc<-20℃;Δn=0.117;Δε=-4.0;Vth=2.21V;η=28.8mPa・s. 【0157】 [組成物M19] 2O-B(2F)B(2F,3F)-O2 (2-1) 4% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(F)B(2F,3F)-O2 (2-4) 5% 2-HH-3 (3-1) 12% 1-BB-5 (3-3) 12% 3-HHB-1 (3-5) 4% 3-HHB-O1 (3-5) 3% 3-HBB-2 (3-6) 3% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 4% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 6% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 3% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 5% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 7% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 6% 3-HH2B(2F,3F)-O2 (4-6) 6% 5-HH2B(2F,3F)-O2 (4-6) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 4% NI=85.8℃;Tc<-20℃;Δn=0.123;Δε=-4.5;Vth=2.10V;η=25.1mPa・s. 【0158】 [組成物M20] 2O-B(2F)B(2F,3F)-O4 (2-1) 4% 3-B(F)B(2F,3F)-O2 (2-2) 4% 3-HH-V (3-1) 33% V-HHB-1 (3-5) 3% 3-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 5-HB(2F,3F)-O2 (4-1) 7% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 4% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 3-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 5% 2-BB(2F,3F)B-3 (4-8) 4% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 8% 4-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 5% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 8% NI=76.0℃;Tc<-20℃;Δn=0.103;Δε=-3.3;Vth=2.01V;η=17.9mPa・s.」 イ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項から、引用文献1には、組成物M10に係る液晶組成物の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「次の組成からなる液晶組成物(液晶性化合物の割合(百分率)は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である(【0136】))。 2-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 5% 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-3) 3% 3-BB(2F)B(2F,3F)-O2 (2-5) 4% 3-HH-V (3-1) 11% 1-BB-3 (3-3) 6% 3-HHB-1 (3-5) 4% 3-HHB-O1 (3-5) 4% 3-HBB-2 (3-6) 4% 3-B(F)BB-2 (3-7) 4% 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 6% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 8% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 5% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 9% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% (【0148】)」 (3) 本件補正発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア) 構成Xの観点(液晶組成物) 構成Xは、「液晶組成物」の発明であることを特定するものである。 そして、「液晶組成物」の発明である本件補正発明と「液晶組成物」の発明である引用発明は、「液晶組成物」の発明である点において一致する。 (イ) 構成Aの観点(一般式(i)で表される化合物) 構成Aは、一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有することである。 【化1】 [図:0001434624000033.jpg] (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。) a 引用発明の「2-HB(2F)B(2F,3F)-O2」、「3-HB(2F)B(2F,3F)-O2」及び「5-HB(2F)B(2F,3F)-O2」は、それぞれ本件補正発明の「一般式(i)で表される化合物」に属する。 ここで、両者の対応関係は、次の(a)~(c)に示すとおりである。 (a) 2-HB(2F)B(2F,3F)-O2 式(i)において、R1及びR2がそれぞれ次のものに対応する。 R1:炭素原子数2のアルキル基 R2:炭素原子数2のアルコキシ基 (b) 3-HB(2F)B(2F,3F)-O2 式(i)において、R1及びR2がそれぞれ次のものに対応する。 R1:炭素原子数3のアルキル基 R2:炭素原子数2のアルコキシ基 (c) 5-HB(2F)B(2F,3F)-O2 式(i)において、R1及びR2がそれぞれ次のものに対応する。 R1:炭素原子数5のアルキル基 R2:炭素原子数2のアルコキシ基 b したがって、本願発明と引用発明は、構成Aを備える点において一致する。 (ウ) 構成Bの観点(一般式(N-1-11)で表される化合物の観点) 構成Bは、一般式(N-1-11)で表される化合物の1種又は2種以上を20%以上含有することである。 【化2】 [図:0001434624000034.jpg] (式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、nNd11は、1又は2である。) a 引用発明の「3-H1OB(2F,3F)-O2」は、本件補正発明の「一般式(N-1-11)で表される化合物」において次のものに相当する。 RN11:炭素原子数3のアルキル基 RN12:炭素原子数3のアルキル基であり、該アルキル基中の1個の 「-CH2-」が「-O-」によって置換されたもの nNd11:1 b そうすると、構成Bの観点における、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のi及びiiに示すとおりである。 i 構成Bの観点における一致点 一般式(N-1-11)で表される化合物の1種又は2種以上を含有する点。 【化2】 [図:0001434624000035.jpg] (式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、nNd11は、1又は2である。) ii 構成Bの観点における相違点 1種又は2種以上の一般式(N-1-11)で表される化合物の含有量が、 本件補正発明においては、20%以上であるのに対して、 引用発明においては、5%である点。 (エ) 構成Cの観点(一般式(N-1-4.39)で表される化合物の観点) 構成Cは、式(N-1-4.39)で表される化合物を含有することである。 【化3】 [図:0001434624000036.jpg] a 引用発明の「1-BB-3」は、本件補正発明の「式(N-1-4.39)で表される化合物」に相当する。 b したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Cを備える点において一致する。 (オ) 構成Dの観点(一般式(L-1-2)で表される化合物の観点) 構成Dは、一般式(L-1-2)で表される化合物の1種又は2種以上を29%以上含有することである。 【化4】 [図:0001434624000037.jpg] (式中、RL12は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。) a 引用発明の「3-HH-V」は、本件補正発明の「一般式(L-1-2)で表される化合物」において、RL12が、炭素原子数3のアルキル基であるものに相当する。 b そうすると、構成Dの観点における、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のi及びiiに示すとおりである。 i 構成Dの観点における一致点 一般式(L-1-2)で表される化合物の1種又は2種以上を含有する点。 【化4】 [図:0001434624000038.jpg] (式中、RL12は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。) ii 構成Dの観点における相違点 1種又は2種以上の一般式(L-1-2)で表される化合物の含有量が、 本件補正発明においては、29%以上であるのに対して、 引用発明においては、11%である点。 イ 一致点及び相違点 前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(N-1-11)で表される化合物の1種又は2種以上を含有し、式(N-1-4.39)で表される化合物を含有し、一般式(L-1-2)で表される化合物の1種又は2種以上を含有する液晶組成物。 【化1】 [図:0001434624000039.jpg] (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。) 【化2】 [図:0001434624000040.jpg] (式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、nNd11は、1又は2である。) 【化3】 [図:0001434624000041.jpg] 【化4】 [図:0001434624000042.jpg] (式中、RL12は、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)」の発明である点。 (イ) 相違点 a 相違点1(構成Bに係る相違点(N-1-11)) 1種又は2種以上の一般式(N-1-11)で表される化合物の含有量が、 本件補正発明においては、20%以上であるのに対して、 引用発明においては、5%である点。 b 相違点2(構成Dに係る相違点(L-1-2) 1種又は2種以上の一般式(L-1-2)で表される化合物の含有量が、 本件補正発明においては、29%以上であるのに対して、 引用発明においては、11%である点。 (4) 判断 ア 相違点1(構成Bに係る相違点(N-1-11))について (ア) 引用発明における化合物(4-1)、(4-2)、(4-3)、(4-5)及び(4-9)の成分の「液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)」は、次のとおりであり、これらの化合物の合計の含有量は、52%である。 3-HB(2F,3F)-O4 (4-1) 6% 3-H2B(2F,3F)-O2 (4-2) 8% 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 5% 3-BB(2F,3F)-O2 (4-4) 9% 2-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 3-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 5-HHB(2F,3F)-O2 (4-5) 5% 2-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 3-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% 5-HBB(2F,3F)-O2 (4-9) 3% (イ)a ここで、引用文献1においては、第三成分である式(4)の化合物(式(4-1)から式(4-17)で表される化合物の群)に関して、次の記載がある。 (a) 【0031】 「第三成分として式(4-1)から式(4-17)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する」 (b) 【0032】 「液晶組成物の重量に基づいて、第三成分の割合が5重量%から75重量%の範囲である」 (c) 【0056】 「化合物(4)の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約5重量%以上であり、下限温度を下げるために約75重量%以下である。さらに好ましい割合は、約10重量%から約45重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約15重量%から約40重量%の範囲である。」 b そうすると、引用発明における合計で52%の第三成分である「(4-1)、(4-2)、(4-3)、(4-4)、(4-5)及び(4-9)の化合物」については、誘電率異方性の調整の観点からこれらをまとまりとして考え、例えば、「(4-3)」を増やし、それに対応して「(4-1)、(4-2)、(4-4)、(4-5)及び(4-9)」のうちのいずれか一つ又は複数を減らすなど、第三成分の範囲内でそれぞれ増減可能と考えるのが自然である。 (ウ) さらに、引用文献1の【0151】の組成物M13は、次の成分を有するから、構成Bに対応する成分の割合が合計で18%となっており、引用発明の5%より高くするものも記載されている。 3-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 3% 2-H1OB(2F,3F)-O2 (4-3) 5% 2-HH1OB(2F,3F)-O2 (4-7) 10% (エ) そうすると、引用発明における「3-H1OB(2F,3F)-O2」5%を、20重量%以上とすることは、当業者が通常の創作活動において適宜選択し得ることであるといえる。 (オ) 本願明細書における発明の詳細な説明の記載には、一般式(N-1-11)で表される化合物の含有量について、次の記載があるところ(下線は合議体による。)、当該含有量を20%以上であるとしたことによる特段の技術上の意義は見いだせない。 「【0019】 一般式(N-1-11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折等の求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。 【0020】 Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合は、3環の化合物、すなわち一般式(N-1-11)においてnNd11が2である化合物を用い、その含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。 【0021】 本発明の液晶組成物の総量に対しての式(N-1-11)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。」 (カ) 以上のとおりであるから、前記相違点1は設計的事項にすぎないというべきであり、前記相違点1をもって選択発明としての進歩性を認めることはできない。 イ 相違点2(構成Dに係る相違点)について (ア) 引用発明における化合物(3-1)、(3-3)、(3-5)及び(3-7)の成分の「液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)」は、次のとおりであり、これらの化合物の合計の含有量は、33%である。 3-HH-V (3-1) 11% 1-BB-3 (3-3) 6% 3-HHB-1 (3-5) 4% 3-HHB-O1 (3-5) 4% 3-HBB-2 (3-6) 4% 3-B(F)BB-2 (3-7) 4% (イ)a ここで、引用文献1においては、第二成分である式(3)の化合物(式(3-1)から式(3-13)で表される化合物の群)に関して、次の記載がある。 (a) 【0028】 「第二成分として式(3-1)から式(3-13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する」 (b) 【0029】 「液晶組成物の重量に基づいて、第二成分の割合が10重量%から70重量%の範囲である」 (c) 【0055】 「化合物(3)の好ましい割合は、上限温度を上げるためにまたは下限温度を下げるために約10重量%以上であり、誘電率異方性を上げるために約70重量%以下である。さらに好ましい割合は、約15重量%から約65重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約20重量%から約60重量%の範囲である。」 b そうすると、引用発明における合計で33%の第二成分である「(3-1)、(3-3)、(3-5)、(3-6)及び(3-7)の化合物」については、上限温度又は下限温度並びに誘電率異方性の調整の観点からこれれをまとまりとして考え、例えば、「(3-1)」を増やし、それに対応して「(3-3)、(3-5)、(3-6)及び(3-7)」のうちのいずれか一つ又は複数を減らすなど、第二成分の範囲内で、それぞれ増減可能と考えるのが自然である。 (ウ) さらに、引用文献1の【0150】の組成物M12は、「3-HH-V (3-1) 33%」が記載されており、構成Dに相当する構成を備えるものも記載されている。 (エ) そうすると、引用発明における「3-HH-V (3-1)」11%を、29重量%以上とすることは、当業者が通常の創作活動において適宜選択し得ることであるといえる。 (オ) 本願明細書における発明の詳細な説明の記載には、一般式(L-1)で表される化合物の含有量について、次の記載があるところ(下線は合議体による。)、当該含有量を20%以上であるとしたことによる特段の技術上の意義は見いだせない。 「【0034】 一般式(L-1)で表される化合物は、単独で使用することもできるが、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折等の求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。 【0035】 一般式(L-1)で表される化合物の好ましい合計の含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、30%であり、35%であり、40%であり、45%であり、50%であり、55%である。好ましい合計の含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、95%であり、90%であり、85%であり、80%であり、75%であり、70%であり、65%であり、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%である。 【0040】 一般式(L-1)で表される化合物は、一般式(L-1-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。 【化10】 [図:0001434624000043.jpg] (式中、RL12は、一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。) 【0041】 本発明の液晶組成物の総量に対しての式(L-1-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。」 (カ) 以上のとおりであるから、前記相違点2は設計的事項にすぎないというべきであり、前記相違点2をもって選択発明としての進歩性を認めることはできない。 ウ 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難でありかつ格別顕著である効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張について (ア) 請求人の主張についてその1 請求人は、引用文献1には、本件補正発明の構成B及び構成Dは記載されておらず、示唆もされていない旨主張する。 しかし、構成B及び構成Dの特定をもっても進歩性が認められないことは、前記ア及びイのとおりであるから、請求人の主張は前記ウの結論を左右するものではない。 (イ) 請求人の主張についてその2 請求人は、「Tni、Δn、Δε等の液晶表示素子としての諸特性を悪化させることなく、γ1/K33が改善されることから、より高速応答が可能となり、液晶表示素子用途に非常に有用である」(本願明細書の段落0007)旨の本件補正発明の顕著な効果は当業者にとって予測不可能である旨主張する。 しかし、本願明細書の【表2】の実施例4は、構成A、B、Cを満たし、構成Dに係る化合物を含有し、その含有量が19.5%である点のみが相違点であるが、本件補正発明の実施例5に比較して、γ1/K33が小さい値になって改善されているものもあり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載からは、構成Dに係る化合物の含有量がγ1/K33の改善に貢献することは読み取れない。 また、構成Bに係る化合物の含有量については、γ1/K33に対する影響についてうかがい知るデータは皆無であり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載からは、構成Bに係る化合物の含有量がγ1/K33の改善に貢献することは読み取れない。 以上のとおり、構成B及び構成Dの含有量の限定により作用効果上の格別顕著な差違があることは、本願明細書の発明の詳細な説明の開示からは認識することができないから、請求人の主張は採用できない。 オ 独立特許要件の判断のまとめ 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3(4)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)において示したとおりである。 3 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由のうち理由1(新規性の欠如)及び理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(新規性の欠如)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性の欠如)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2018-95835号公報 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)のアからウに示した補正事項1~3に係る限定を省いたものであるところ、前記第2の3(3)イ(イ)において認定した相違点1及び相違点2は、それぞれ前記第2の2(1)のアの補正事項1と補正事項3に起因するものであるから、引用発明は本願発明の構成を全て備えるものである。 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である、又は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当するものであるから、特許を受けることができない。 また、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-006862

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