2024-001528
RNAの直接配列決定で使用するための方法およびシステム
- 審判番号
- 2024-001528
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-565742外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年01月29日
- 審決日
- 2026年02月17日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .537-WZ (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 7項目
第1 手続の経緯の概要
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本願は、2019年(令和元年)5月24日(パリ条約による優先権主張 2018年5月25日 (US)米国)を国際出願日とする出願であって、本願の出願後の主な手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和5年 1月27日付け 拒絶理由通知
令和5年 8月 2日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 9月25日付け 拒絶査定
令和6年 1月29日 審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 3月 6日 手続補正書(審判請求書の請求の理由について)の提出
令和6年 7月31日付け 拒絶理由通知
なお、令和6年7月31日付け拒絶理由通知に対して、請求人からの応答はなかった。
第2 本願発明
本願の請求項1~12に係る発明は、令和6年1月29日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
【請求項1】
RNAの混合物を含む試料におけるRNA分子のヌクレオチドの順番を決定するためのコンピューターにより実装される方法であって、ここで、前記RNA分子の長さは20ヌクレオチドより大きく、前記方法は、
保持時間シフトをもたらすRNAの5’および/または3’末端の標識をして、RNA試料の液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)データを受け取るステップ;
前記標識されたRNAの前記LC-MSデータを分析するステップ;
質量に基づいて前記LC-MSデータをフィルタリングするステップであって、前記フィルタリングは、予め決定されたサイズより小さい質量を除去することを含む、ステップ;
フィルタリングされた前記LC-MSデータを分析して、複数のRNA配列を決定するステップであって、前記フィルタリングされたLC-MSデータを分析することは、
少なくとも2つの隣接するラダー断片間の質量差を決定すること;および
前記質量差が、正規のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドの少なくとも1つに等しいかどうかを決定すること
を含む、ステップ;ならびに
残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチドがないことを決定した後、RNA配列を、配列リードとして読み出すステップであって、前記RNA配列は、それぞれの同定された正規のヌクレオチドおよびあらゆる同定された修飾されたヌクレオチドの配列の順番を含む、ステップ
を含む、方法。
第3 令和6年7月31日付け拒絶理由通知書における拒絶理由の概要
令和6年7月31日付け拒絶理由通知書における拒絶理由は、以下のものを含む。
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1には「残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチドがないことを決定」という記載があるが、「データ中に残存する有効なヌクレオチド」とは、どのようなヌクレオチドを指すのか明らかでなく、発明が不明確となっている。
第4 当審の判断
1 明細書および図面の記載
本願明細書および図面には、以下の記載がある。(下線は合議体による。)
「【0059】図1を参照すれば、本発明の開示によるアルゴリズムの配列決定ワークフローのためのフローチャートが示される。本明細書で開示されるアルゴリズムにおいて(図1)、有利にLC/MSデータ102の強度を使用するため、およびデータ中に存在し得る「ノイズ」の量を明らかにするために、数々のステップが採用される。第1のステップ104において、データを質量に基づきフィルタリングし、配列決定において有用であるには小さすぎる質量を消去する。次いで、ステップ106において、残存するデータポイントは、RTにおいて近い隣接するラダー断片化合物間の質量差に基づいて配列決定される。ランダムな化合物から開始して、アルゴリズムは、RTにおいて近接している隣接する化合物を同定し、2つの化合物間の質量差を計算する(図2を参照)。RNA断片またはラダー断片という用語は、本明細書で使用される場合、LC/MSによって測定された1つの化合物であり、これはまた、2-D質量-RTプロットにおける1つのドットでもある。ステップ108において、質量差が、4種の正規のヌクレオチド:A、U、C、G、または110種を上回る公知の修飾されたRNA塩基のデータベースからの修飾された塩基の1つの質量と一致する場合、その塩基は、配列決定リードの一部として保存される。次いでアルゴリズムは、有効な化合物がもはや見出されなくなるまで、または有効な正規のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドをもたらす質量差を生じると予想される化合物がもはや見出されなくなるまで、次の化合物を見出すための同じセットのルールに従い続ける。アルゴリズムが塩基対の全てを読み出すことができる場合(122)、その配列が報告される(116)。好ましい実施形態において、天然全長RNA配列が決定される。配列中に何らかのギャップがある場合、アルゴリズムは補助ステップに進む。【0060】補助ステップにおいて、階層クラスタリングアルゴリズム128は、関連する質量付加物を同定するのに使用される。様々な実施形態において、質量に加えてRTを考慮に入れる距離メトリックを使用して、階層クラスタリングアルゴリズム128は、各クラスターが真のラダー断片の可能性のある質量付加物を含有するように、それらの質量関係に基づいて化合物をグループ分けする。データの複雑さを下げるために、すでに以前のステップで配列決定されたポイント、したがって引き続きそれらの関連する質量クラスターは、階層クラスタリングステップから排除されることになる。ステップ130において、一旦質量クラスターが同定されたら、質量を付加物の質量に対して試験して、異なる質量付加物断片を生じさせるラダー断片の真の質量を決定することになる。アルゴリズムは、図3中の式により同定されたラダー断片の質量に等しい質量、およびその質量クラスターにおけるRTの平均に等しいRTを有する新しいデータポイントを産出することになる。クラスタリングステップを介して新しい質量を同定した後、配列決定アルゴリズムを再度試行して(132)、新しい配列決定リードを生成する。最後に、2ステップからの配列決定リードを合わせて、配列134の完全な読み出しを生成する。」
また、図1は以下のとおりである。
「[図:0001437680000001.jpg]」
「【0061】図3を参照すれば、本発明の開示による質量付加物によって隠されたラダー断片の質量を決定するための式が示される。最初に、ステップ302において、質量のクラスターを決定する。例えば質量のクラスターは、質量A、B、およびCを含んでいてもよい。次に、ステップ304において、付加物を決定する。例えば、0、a1、およびa2。次に、ステップ306において、質量差を決定する。次に、ステップ308において、質量差を比較する。例えば、A-a1=B-a2=C-a3は、およそ10ppmの差以内である。ステップ310において、質量は、ステップ308により同定されたラダー断片の質量に等しい。例えば、A-a1は、ラダー断片の質量である。【0062】酸分解をブロックする2’-ヒドロキシル基にRNA修飾がある事象において、2’-O位におけるブロッキング基によって生じるギャップを埋めるために、異なるアプローチが採用されると予想される。RNA修飾、例えば、RNAの2’-ヒドロキシル基におけるメチル化は、隣接する3’-5’-ホスホジエステル結合を非加水分解性にし、1つより多くのヌクレオチドである5’-および3’-質量ラダーファミリーの両方において質量ギャップを産出する。結果として、2’-O位における単一の修飾と2つのヌクレオチドの組合せが存在することが決定されるが、それらの順番は不明である。このような曖昧さを解消するために、シミュレートされた2’-Oで修飾された配列に対して観察されたLC/MSデータ102を一致させるのにコンピューターによるシミュレーションが使用され、したがってこれらの分析からの結果は、2’-O位に修飾が存在する場合、よく一致すると予想される。加えて、従来のRNA配列決定プラットフォームを介して、完全なヌクレオチド配列をアセンブルすることができる。代替として、ジヌクレオチド断片の構造を解明するために、2’-Oで修飾された二量体断片に、衝突誘導解離(CID)MSを実行することができる。続きを表示(全26行)【0063】様々な実施形態において、配列決定プロセスの最後のステップは、新しい配列または最終的な配列のためのチェックとして機能するように、データ中の複数の内部断片の存在を関連付けることである。質量クラスター中に含まれない、または配列決定リードで使用される質量を4種の正規の塩基の平均値で割り、それらの配列長さを推測する。様々な実施形態において、長さが3から6塩基の配列を、長さが3から6塩基の内部断片の生成した質量のリストと比較して、正確な一致tを見出す。これらの短い断片は、配列中のギャップを埋めたり、または配列の精度を確認したりするのに使用することができる。【0064】様々な実施形態において、望ましい断片および/または1つより多くの切断を有する望ましくない断片のm/zデータを含有するLC-MSから誘導された生データは、MassHunter(商標)ソフトウェアに内蔵されたAgilentの分子フィーチャアルゴリズムを使用して、全LCの試行にわたりデコンボリューションしてもよく、これは、その後、配列アライメントのために使用される。質量付加物は、デコンボリューションされたデータから除去でき、その配列は、質量および保持時間データの両方を使用して予測/生成されることになる。保持時間と組み合わされた断片に関するm/zデータを分析し、開発されたサポートベクターマシン(SVM)分類器アルゴリズムを使用して分類して、どのデータポイントが「有効」であり、それに続く配列決定のために使用されるべきか、およびどのデータポイントがフィルタリングで除外されるべきかを決定する。データ整理ステップの後、2つの隣接するRNAラダー断片間の質量差(m)は、m=m(i)―m(i-1)、1<i<n、n=RNA長さであり、式中、m(i)は、任意のラダー断片の質量であり、m(i-1)は、その前のより低い質量のラダー断片であり、正規のヌクレオチドおよびそれらの修飾の正体を決定するために、質量差に基づいて誘導されたRNA配列決定情報を相関させるように設計された探索アルゴリズムを使用して、このような質量差を、公知のヌクレオチド断片の正確な質量と一致させる。RNAヌクレオシドにおける構造的な修飾が質量を変更するものである限り、探索アルゴリズムおよびダイナミックプログラミング方法は共に、RNA配列の同定およびその修飾の同定を許容すると予想される。様々な実施形態において、公知の修飾されたリボヌクレオチドの質量は、公知のRNA修飾データベースから、または図6に示される表の使用を介してうまく検索することができる。【0065】図4を参照すれば、本発明の開示による3つのホモポリマーの3’-質量ラダー断片の同時の塩基コールのコンピューターによるシミュレーションが示される。配列アライメントのための1つより多くのカットを有する望ましくない断片の利用に加えて、配列決定精度を増加させるために、RNA配列生成の自動化のためのアルゴリズムをトレーニングするシミュレーションが導入される。実験室とin silicoの両方におけるランダムな配列を有するRNAのMSライブラリーを構築し、配列生成についてアルゴリズムを試験した。例えば化学修飾および複数のRNA鎖が導入されることによって、困難さが段階的に増加した(図4)。加えて、実験室とin silicoの両方において、混成のRNA試料の配列決定が可能になるようにリード長さおよびスループットについてアルゴリズムを試験し、理論上/シミュレーションおよび実験データからの配列読み出しを比較した。【0066】図8を参照すれば、本発明の開示によるRNA分子のヌクレオチドの順番を決定するための方法800を例示する流れ図が示される。最初に、ステップ802において、システムは、RNA試料の液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)データを受け取る。LC-MSデータは、質量、保持時間(RT)、および体積を含む。様々な実施形態において、RNA分子の長さは、20ヌクレオチドより大きい。様々な実施形態において、1つまたは複数のRNA分子は、配列決定されるRNA試料中に存在する。様々な実施形態において、RNA試料は、多様性が限定された精製されたRNA試料を含んでいてもよい。様々な実施形態において、RNA試料は、治療用RNA分子を含んでいてもよい。【0067】次に、ステップ804において、システムは、質量に基づいてLC-MSデータをフィルタリングし、フィルタリングは、予め決定されたサイズより小さい質量を除去することを含む。様々な実施形態において、データは、質量に基づいてフィルタリングされ、配列決定において有用であるには小さすぎる質量を消去する。【0068】次に、ステップ806において、システムは、フィルタリングされたLC-MSデータを配列決定して、RNA配列を生成する。配列決定は、ステップ808~812を含む。ステップ808において、システムは、2つの隣接する化合物がRTにおいて近いかどうかを決定する。次に、ステップ810において、システムは、2つの隣接するラダー断片間の質量差を決定する。様々な実施形態において、システムは、ランダムな化合物から開始して、RTにおいて近接している隣接する化合物を同定し、2つの化合物間の質量差を計算することができる(図2を参照)。【0069】次に、ステップ812において、システムは、質量差が、正規のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドの少なくとも1つに等しいかどうかを決定する。様々な実施形態において、システムは、質量差が、4種の正規のヌクレオチド:A、U、C、G、または110種を上回る公知の修飾されたRNA塩基のデータベースからの修飾された塩基の1つの質量と一致するかどうかを決定する。次に、ステップ814において、システムは、メモリー中に、配列決定リードの一部として、決定された質量差に基づき有効なヌクレオチドとして結果を保存する。【0070】次に、ステップ816において、システムは、有効なヌクレオチドをもたらす質量差を生じると予想されるいずれか2つの隣接する化合物がLC-MSデータ中に残存しているかどうかを決定する。様々な実施形態において、次いでアルゴリズムは、有効な化合物がもはや見出されなくなるまで、または有効な正規のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドをもたらす質量差を生じると予想される化合物がもはや見出されなくなるまで、次の化合物を見出すためのステップ808~812のための同じセットのルールに従い続ける。様々な実施形態において、システムは、それが塩基対の全てを読み出すことができるかどうかを決定する。様々な実施形態において、配列中に何らかのギャップがある場合、アルゴリズムは補助ステップに進む。【0071】様々な実施形態において、補助ステップにおいて、システムは、ギャップに基づく有効なヌクレオチドを生じなかった何らかの残存する化合物があるかどうかを決定する。何らかのギャップがある場合、システムは、化合物に対して階層クラスタリングアルゴリズムを実行して、関連する質量付加物を同定する。様々な実施形態において、階層クラスタリングアルゴリズムは、化合物の質量とRTに基づいて距離メトリックを決定すること、各断片が真のラダー断片の可能性のある質量付加物を含むように、化合物を、その質量の関係に基づいて、質量のクラスターにグループ分けすることを含む。様々な実施形態において、すでに以前のステップで配列決定されたポイント、したがって引き続きそれらの関連する質量クラスターは、階層クラスタリングステップから排除されることになる。【0072】様々な実施形態において、システムは次いで、同定された質量付加物と質量のクラスターとの間の項目ごとの比較に基づいて、各クラスターにつき断片の質量を決定する。様々な実施形態において、システムは次いで、各クラスターにつき、決定された質量に基づいてラダー断片を予測する。様々な実施形態において、システムは次いで、予測されたラダー断片に基づいてRNA配列を読み出し、RNA配列を報告する。【0073】次に、ステップ818において、システムは、残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチドがないことを決定することに基づいて、RNA配列を読み出す。次に、ステップ820において、システムは、RNA配列を報告する。様々な実施形態において、システムは、ディスプレイ上にRNA配列を表示することができる。」
図8は以下のとおりである。
「[図:0001437680000002.jpg]」
2 当審の判断
(1)請求項1の記載について検討する。請求項1中の「残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチド」という表現は、日本語として「ヌクレオチド」が「データ中」に残存する状態を意味している。ここで、「ヌクレオチド」とは、糖、リン酸、塩基が結合した実体をもった化学物質であり、「データ」とは一般的に情報であって、実体をもたないものである。とすると、当該実体を持った化学物質である「ヌクレオチド」が、実体をもたない情報である「データ中」に残存するという状態は、当業者が理解することができないというべきである。
さらに、ヌクレオチドは前述のように糖、リン酸、塩基が結合した実体をもった化学物質であるが、「有効な」ヌクレオチドとはどのような状態のヌクレオチドを指し示すのかについて、請求項1には何らの特定がない。「有効」とは、効き目があること、役に立つことを意味する日本語であるが、ヌクレオチドに「効き目がある」状態や「役に立つ」状態とは、一体どのような状態であるのか明らかでない。ヌクレオチドは遺伝子を構成する化学物質として知られていることから、遺伝子としての機能を保持する効力を有するヌクレオチド、といった意味である可能性は言語上考えられるが、そうだと仮定しても、依然として実体を持った化学物質である「ヌクレオチド」が、実体をもたない情報である「データ中」に残存するという状態は、当業者が理解することができない状況に変わりはない。
(2)また、本願の明細書および図面や本願出願時の技術常識を参酌しても、以下に示すとおり、「残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチド」という表現は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。
すなわち、上記1に記載したように、【0059】段落には「次いでアルゴリズムは、有効な化合物がもはや見出されなくなるまで、または有効な正規のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドをもたらす質量差を生じると予想される化合物がもはや見出されなくなるまで、次の化合物を見出すための同じセットのルールに従い続ける。」、【0069】段落には「次に、ステップ814において、システムは、メモリー中に、配列決定リードの一部として、決定された質量差に基づき有効なヌクレオチドとして結果を保存する。」、【0070】段落には「次に、ステップ816において、システムは、有効なヌクレオチドをもたらす質量差を生じると予想されるいずれか2つの隣接する化合物がLC-MSデータ中に残存しているかどうかを決定する。様々な実施形態において、次いでアルゴリズムは、有効な化合物がもはや見出されなくなるまで、または有効な正規のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドをもたらす質量差を生じると予想される化合物がもはや見出されなくなるまで、次の化合物を見出すためのステップ808~812のための同じセットのルールに従い続ける。」、【0071】段落には「様々な実施形態において、補助ステップにおいて、システムは、ギャップに基づく有効なヌクレオチドを生じなかった何らかの残存する化合物があるかどうかを決定する。」、【0073】段落には「次に、ステップ818において、システムは、残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチドがないことを決定することに基づいて、RNA配列を読み出す。」との記載があるものの、「有効なヌクレオチド」がどのようなものであるかについての説明や、「残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチド」がどのようなものであるかについての説明は見当たらない。
また、【0064】段落には「様々な実施形態において、望ましい断片および/または1つより多くの切断を有する望ましくない断片のm/zデータを含有するLC-MSから誘導された生データは、MassHunter(商標)ソフトウェアに内蔵されたAgilentの分子フィーチャアルゴリズムを使用して、全LCの試行にわたりデコンボリューションしてもよく、これは、その後、配列アライメントのために使用される。質量付加物は、デコンボリューションされたデータから除去でき、その配列は、質量および保持時間データの両方を使用して予測/生成されることになる。保持時間と組み合わされた断片に関するm/zデータを分析し、開発されたサポートベクターマシン(SVM)分類器アルゴリズムを使用して分類して、どのデータポイントが「有効」であり、それに続く配列決定のために使用されるべきか、およびどのデータポイントがフィルタリングで除外されるべきかを決定する。」との記載があり、「有効」とはデータポイントとして有効であることを指し示している可能性が見受けられる。しかしながら、請求項1の「残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチドがないことを決定」という記載において、有効なのは「ヌクレオチド」であって、当該記載をデータポイントとして有効であることを意味すると読み取ることはできないし、そのように読み取るべきとするような技術常識が本願出願時にあったといった状況もない。
(3)請求人の主張について
令和6年7月31日付け拒絶理由通知に対し、請求人からは応答がなかった。また、令和6年 3月6日提出の手続補正書により補正された、令和6年1月29日提出の審判請求書では、進歩性違反に対する主張がなされているものの、明確性要件についての主張はなされていない。
(4)小括
上記(1)~(3)より、「残存するLC-MSデータ中に残存する有効なヌクレオチド」という表現は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であり、本願発明は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-001528