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特許再審

2023-950004

未乾燥のペースト製茶

審判番号
2023-950004
法域
特許
審判種別
再審
出願番号
特願2019-139228外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年11月09日
審決日
2025年09月10日
公報発行日
2026年09月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P58 .561-Z (A23F) / P58 .113-Z (A23F) / P58 .121-Z (A23F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第171条第2項、特許法第158条、特許法第171条、特許法第17条の2第3項、特許法第174条、特許法第17条の2第4項、特許法第29条、特許法第171条第1項、特許法第47条、特許法第164条第3項、特許法第159条第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-139228「未乾燥のペースト製茶」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月 7日出願公開、特開2021- 71〕について、令和5年9月21日になした審判2022-9649号事件の審決に対する再審請求事件について、令和6年1月23日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(令和6年(行ケ)第10016号、令和6年8月27日判決言渡)があったので、さらに審理を行い、次のとおり審決する。

結論

特許法第171条第2項において準用する民事訴訟法第338条第1項第4号ないし第6号及び第9号に係る再審の請求を却下する。 特許法第171条第2項において準用する民事訴訟法第338条第1項第1号、第2号及び第8号に係る再審の請求は、成り立たない。 再審費用は、請求人の負担とする。

理由

第1.手続の経緯 本願は、令和元年6月24日の出願であって、令和3年12月15日付けで拒絶理由が通知され、令和4年1月31日に意見書が提出され、同年5月6日付けで拒絶査定がされ、同月31日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に(審判2022-9649号事件)、手続補正書が提出され、令和5年9月21日付けで「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決(以下、「原審決」という。)がされ、同年10月14日に審決の謄本が送達された。そして、同年11月9日に原審決に対して再審の請求がされ、令和6年1月23日付けで再審の請求を却下する審決(以下、「一次審決」という。)がされ、同年2月21日に一次審決の取消し等を求める訴え(令和6年(行ケ)第10016号)が提起され、同年8月27日に知的財産高等裁判所において主文を「1 本件訴えのうち、特願2019-139228号の特許出願に係る特許の特許査定又は設定登録の義務付けを求める部分及び審判手続において前置審査を行うことの義務付けを求める部分を却下する。2 特許庁が再審2023-950004号事件について令和6年1月23日にした審決を取り消す。3 訴訟費用は、これを3分し、その2を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。」とする判決(以下、「本件判決」という。)の言渡しがあり、その後、請求人によって最高裁判所に上告(令和6年(行ツ)第326号)がなされ、令和7年1月17日付けで最高裁判所において主文を「1 本件上告を棄却する。2 上告費用は上告人の負担とする。」とする決定がなされ、本件判決が確定した。 第2.本件判決の拘束力 審決を取り消す旨の判決の拘束力は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたる(最高裁昭和63年(行ツ)10号・平成4年4月28日判決・民集46巻4号245頁)。 したがって、当審の審理は、本件判決の判決主文が導き出されるのに必要な認定判断に係る、次の判示事項に拘束されるものである。 「1 本件審決の取消事由について(請求の趣旨第2項について) (1) 確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる(特許法171条1項)が、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審は、その再審請求が不適法であって、その補正をすることができないものについては、審決をもってこれを却下することができる(特許法174条2項、135条)とされている。そこで、本件再審請求が、不適法であって、その補正をすることができないものであるか検討する。 ア 原審決については、原告が原審決の取消しを求める訴えを提起することなく、原告に対する原審決の謄本の送達があった日(令和5年10月14日)から30日、すなわち同年11月13日が経過したので、同日の経過をもって原審決が確定したものと認められる。 原告が本件再審請求をしたのは令和5年11月9日であるから、その時点では、原審決は確定していなかった。しかし、本件再審請求に対する判断として本件審決がされたのは令和6年1月23日であり、同日の時点では原審決は確定していたものである。そうすると、本件再審請求については、請求の時点では原審決が確定していなかったという瑕疵があったが、本件審決がされた時点では原審決が確定していたから、上記瑕疵は治癒されたというべきであり、上記瑕疵を理由として本件再審請求を却下することはできないと解するのが相当である。 イ そして、本件再審請求の再審請求書によれば、原告は、同請求書において、特許法171条2項が準用する民事訴訟法338条1項の再審事由を主張していたと認められる。これらの再審事由が認められるか否かは別として、本件再審請求について、再審事由の主張がないという違法性はない。 その他、本件再審請求について、補正をすることができない違法な点があるとは認められない。 ウ 以上によれば、本件再審請求は、不適法であって、その補正をすることができないものには当たらないというべきである。 (2) そうすると、本件再審請求が、不適法であって、その補正をすることができないものであるとした本件審決の判断は誤りであり、原告主張の取消事由は理由がある。」 第3.請求の適法性 再審の請求に関して、特許法第171条第1項には、「確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。」と規定されているから、本件再審の請求が、当該規定に適合するか否か、以下、検討する。 まず、再審の請求が「確定審決」に対してなされたか否かについてみるに、本件再審の請求は、原審決についての出訴期間内になされたものであって、「確定審決」に対してなされたものではないという瑕疵があったが、上記第2に記載した本件判決の判示事項のとおり、原審決の出訴期間が満了することにより上記瑕疵は治癒された。 次に、本件再審の請求人は、原審決の審判請求人(当事者)である。 よって、本件再審の請求は、上記規定に適合する。 第4.請求の理由 1 請求の趣旨について 請求人は、再審請求書において、「5.請求の趣旨」として、 「請求人の 特願2019-139228 不服2022-9649 拒絶査定不服審判事件について、なされた原査定を取り消す。 不服2022-9649審決は成り立たない 特願2019-139228不服2022-9649の発明 は特許すべきもので有る。 審判費用は被請求人の負担とす1号る。」 と記載している。 当該記載によれば、請求人の請求の趣旨は、以下の2点に整理できる。 請求の趣旨1 審判2022-9649号拒絶査定不服審判事件の審決を取り消す、特願2019-139228号の発明は特許すべきものとする、との審決を求める。 請求の趣旨2 審判費用は被請求人の負担とする。 2 請求の理由について 請求人は、再審請求書において、「6.請求の理由」として、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項各号に関し、請求の理由を、概略以下のとおり主張している。 (1)第1号 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。 審査官が、方式基準に従わず、無断で本件出願書類を持ち出し、一人で恣意的に本願に対し査定を実施した。その拒絶理由通知書及び拒絶査定謄本をそのまま認定し、合議体は拒絶査定不服審判を進行させ原審決を導いた。この事実は特許法158条(拒絶査定不服審判における特則)「審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。」との規定に抵触する。 (2)第2号 法律により判決に関与することができない裁判官(審査官)が判決に関与したこと。 本条1号(当審注:上記(1)の請求の理由の意味と認められる。)に記載した審査官が1号の審決を導いた拒絶理由通知書及び拒絶査定謄本が、そのまま拒絶査定不服審判に認容され、請求人には答弁の機会も与えず審決を送達した。 また、その査定に関し、本願の査定に何の関係もない独立発明4例を引用例として採用した。さらに、その引用例は日本緑茶ではない、植物茶ノ木の幹・枝・農薬・塵埃等・食品外の生ごみの産物であった。この事実についても特許査定の材料選択審査基準違反である。また、そのあげく、日本緑茶玉露と同クラスの品質である本願「未乾燥ペースト製茶」と前述の食品外の生ごみは同一であると査定した。 (3)第4号 判決に関与した裁判官(審査官)が事件について職務に関する罪を犯したこと。 審決での不法行為認定の誤り。審査官は、前置審査において拒絶査定不服審判請求書を行方不明にした。また、拒絶査定不服審判請求と同時に提出した手続補正書に対し、前置審査をしなかった。 (4)第5号 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。 拒絶査定不服審判請求において、合議体が前置審査を行わなかったことにつき、決定による手続はなく、答弁書を提出する機会も与えられなかった。特許法無視ともいえる乱暴な審決をしたことは、刑法195条1項の特別公務員暴行陵虐に抵触する。 (5)第6号 判決の証拠となった文書その他の物件(手続補正書)が偽造又は変造されたものであったこと。 拒絶査定不服審判請求と同時に提出した手続補正書による補正は、特許法17条の2第4項4号(当審注:同条第5項第4号の誤記と認められる。)に規定の明瞭でない記載の釈明を目的とするもの(法律行為)であったにもかかわらず、新規事項の追加であるとの法律違反導入という判断がなされた。この事実は特許法を無視した不法行為である。 (6)第8号 判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。 本件審決に係る特許出願の申請書類は全ての方式に適合したものである。前置審査においても特段の指摘はなく、2022年10月14日以後(審査前置解除通知を受け取った日以後)、合議体での前置審査に関し特段の通知等は何も受けていない。故に、本件特許出願は全ての方式に適合したものである。 (7)第9号 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。 原審決の結論は「本件審判の請求は成り立たない」というものであり、その理由において、拒絶査定不服審判請求と同時に行った手続補正の内容が認定されている。当初明細書の冒頭に日本緑茶の製造の極意を記載し、実験データも掲載しながら記載し、当地方の技術常識も記載した。また、実施例の記載は特許審査基準では必須記載事項ではない。拒絶理由通知にも、「本願発明は容易発明である」との査定記載があり、特許庁の査定官(当審注:「審査官」の意味と認められる。)、当業者には実施例は自明であると当方は認識したが、齟齬があった。齟齬に起因したことであるが、当業者も当初明細書の記載だけでは発明を実施できなさそうに見えた為、手続補正書において実施内容をさらに噛み砕いて釈明したものであり、特許法17条の2第4項4号(当審注:同条第5項第4号の誤記と認められる。)の規定に適合した法律行為である。 原審決は新規事項の追加であるというが、本件特許出願に係る発明は物の発明であるから、上記手続補正において新規事項を追加したとするならば、どのような新たな物が生まれたのか、証明すべきである。証明できなければ、捏造をでっちあげたことが真実であることの証明になる。本願発明は当初明細書記載のとおり、当初と全く同一のものの発明を申請していることを主張する。審決でいう新規事項追加の道は、特許法による定めがありもはや閉ざされているから、中に入る方法はあり得ない。 第5.当審の判断 1 請求の趣旨1について 特許法第171条第2項には、「民事訴訟法第338条第1項及び第2項並びに第339条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。」と規定されている。 そこで、請求人の主張する理由に基づき、原審決が民事訴訟法第338条第1項各号に規定された再審事由のいずれかを有するものといえるか、以下検討する。 (1) 民事訴訟法第338条第1項第1号について ア 第1号の再審事由 民事訴訟法第338条第1項第1号は、「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。」を再審の事由として掲げている。そして、同条同項同号にいう「判決裁判所」は、特許法に則していうと「審判官の合議体」のことをいう。 イ 同号の事由の有無について 請求人は上記第4 2(1)のとおり、審査官が方式基準に従わず無断で本件出願書類を持ち出し、恣意的に本願に対し査定を実施し、合議体がその拒絶査定をそのまま認定して審決したこと、かかる事実が特許法第158条の規定に抵触することを主張しているので、これらの主張について、以下、検討する。 請求人は、請求人により指摘された事実が特許法第158条の規定に抵触する旨を主張しているが、第158条は、審査と拒絶査定不服審判とが続審である旨を規定するものであって、審判官の合議体の構成を規定するものではないので、同条の規定に抵触するか否かは、法律に従って審判官の合議体を構成したか否かとは関係がない。また、請求人の主張は、第158条の規定に基づき審査官が審判官の合議体を構成する者であるとの見解を示し、審査官が法律に従わず審査に着手したことが第1号に該当する旨を指摘するものとも解釈できるが、上記のとおり同条はそのような規定ではなく、審査官は審判官の合議体の構成員ではない。そして、「審査官が方式基準に従わず無断で本件出願書類を持ち出し、恣意的に本願に対し査定を実施」したことや、「合議体がその拒絶査定をそのまま認定して審決した」ことが仮にあったとしても、それらは、審判官の合議体の構成とは別の問題である。そうすると、請求人の主張は、審判官の合議体の構成がどのような法律に違反してなされたのかを具体的に指摘するものとはいえず、その内容を検討しても、原審決を行った審判官の合議体について民事訴訟法第338条第1項第1号に該当するような事情は見出せない。 念のため、原審決を行った審判官の合議体についてさらに検討する。審判事件の合議体の構成につき、特許法には、審判は、三人又は五人の審判官の合議体が行うこと(第136条第1項)、特許庁長官は、各審判事件の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならないこと(第137条第1項)、及び、特許庁長官は、指定した審判官のうち一人を審判長として指定しなければならないこと(第138条)が規定されている。 原審決に関する審判官指定手続について検討すると、上記特許法の規定に基づいて合議体を構成する三名の審判官が指定され、さらに指定された審判官のうち一名が審判長として指定されており、令和5年7月24日付け審判官及び審判書記官氏名通知により、請求人に対し指定された審判官名が通知されている。このほか、原審決を行った審判官の合議体につき、法律に従って構成していないとする格別の理由はない。 そうすると、原審決を行った合議体は法律に従って構成されており、原審決に、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第1号に規定される再審事由はない。 なお、原審決に係る特許出願(特願2019-139228号)の審査を行った審査官(以下、「原審審査官」という。)は、特許法第47条の規定に基づき審査に着手しており、再審請求書とともに提出された証拠をみても、審査官が方式基準に従わず無断で本件出願書類を持ち出し、恣意的に本願に対し査定を実施したと認めるに足りる根拠はない。また、原審審査官の行為や原審決における合議体の判断が特許法第158条の規定に抵触するとみるべき理由もない。 (2) 民事訴訟法第338条第1項第2号について ア 第2号の再審事由 民事訴訟法第338条第1項第2号は、「法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。」を再審の事由として掲げている。そして、同条同項同号にいう「判決」及び「裁判官」は、特許法に則していうと「審決」及び「審判官」のことをいう。 イ 同号の事由の有無について 請求人は上記第4 2(2)のとおり、審査官の拒絶査定がそのまま拒絶査定不服審判において認容されたこと、請求人には答弁の機会も与えず審決がされたこと、また、拒絶査定において、日本緑茶ではない引用例を採用し、日本緑茶玉露と同クラスの品質である本願「未乾燥ペースト製茶」と前記引用例に記載された食品外の生ごみは同一であるとしたことを指摘するが、これらの事項は、法律により審決に関与することができない審判官が審決に関与したことを示すものではないので、請求人の上記主張から民事訴訟法第338条第1項第2号に規定される再審事由に該当するような事情は見出せない。 念のため、原審決の審判官についてさらに検討する。審判事件の審判官につき、特許法には、審判官がその職務の執行から除斥される場合(第139条)及び審判官の忌避(第141条)について規定されている。 原審決を行った審判官について検討すると、除斥原因は認められず、請求人は、審判官について除斥又は忌避の申立をしていない。このほか、原審決につき、法律により審決に関与することができない審判官が審決に関与したとする格別の理由はない。 そうすると、原審決に、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第2号に規定される再審事由はない。 なお、再審請求書の3ページ2号の欄には、「法律により判決に関与することができない裁判官=審査官」と記載されているが、原審決は拒絶査定や前置報告の内容等を審判官の合議体が検討してなされたものであり、審査官は関与していない。また、特許法は拒絶査定不服審判の請求と同時に明細書に補正があったときは、その請求を審査官に審査させることを定めており(第162条)、前置審査を審査官が行うことは法律に定められた事項である。 (3) 民事訴訟法第338条第1項第4号ないし第6号について 請求人が主張している338条第1項第4号ないし第6号については、同条第2項が再審請求の要件となっているため、まず同条第2項について触れる。 ア 民事訴訟法第338条第2項の要件について 特許法第171条第2項が準用する民事訴訟法第338条第2項は、第1項第4号ないし第7号について、「罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。」と規定している。そして、「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないとき」との要件を具備するためには、罰すべき行為について有罪の確定判決を得る可能性があるにもかかわらず、被疑者の死亡、公訴権の時効消滅、不起訴処分等のためにこれを得られなかったことを証明することを要するから、当該罰すべき行為について有罪の確定判決がない場合に再審を申し立てる当事者は、公訴権の時効消滅等の事実のみならず、有罪の確定判決を得る可能性があることについてもこれを立証しなければならないものと解される(最高裁昭和39年(オ)1374号・昭和42年6月20日判決)。 さらに、上記要件は、再審の訴えを、再審事由の存在する蓋然性が顕著な場合に限定して濫訴の弊害を防止しようとする趣旨によるものと解されるから、この要件を欠くときには、再審の訴え自体が不適法となり、同条第1項第4号ないし第7号の再審事由自体の有無の判断に立ち入るまでもなく、再審の訴えは却下を免れないものであると解される(最高裁昭和44年(オ)第793号・昭和45年10月9日判決)。 そうすると、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審の請求についても、これと同様に、特許法第171条第2項により準用される民事訴訟法第338条第2項の要件を欠くときには、再審の請求自体が不適法となり、同条第1項第4号ないし第7号の再審事由自体の有無の判断に立ち入るまでもなく、再審の請求は、却下を免れないものである。 イ 第4号ないし第6号に係る再審請求の適法性について 第4号ないし第6号についての請求人の主張を検討すると、いずれも独自の見解に基づき審査官又は審判官が罪を犯した旨を指摘するにとどまり、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したこと、あるいは有罪の確定判決を得る可能性があることを、具体的な根拠を示して立証するものとはいえない。 してみると、第4号ないし第6号に基づく本件再審の請求は、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第2項の要件を欠くものというべきである。そうすると、第4号ないし第6号に係る本件再審の請求は、不適法なものであり、却下すべきものといわざるを得ない。 ウ 第4号ないし第6号の再審事由の有無について 以下、念のため、第4号ないし第6号の再審事由の有無についても予備的に検討する。 (ア)第4号の再審事由について 民事訴訟法第338条第1項第4号は、「判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。」を再審の事由として掲げている。そして、同条同項同号にいう「判決」及び「裁判官」は、特許法に則していうと「審決」及び「審判官」のことをいう。 上記第4 2(3)における請求人の主張は、要するに、審査官が、前置審査において拒絶査定不服審判請求書を行方不明にするとの不法行為や、拒絶査定不服審判請求と同時に提出した手続補正書に対し前置審査をしないとの不法行為をなしたこと、及び、審決において審査官の当該不法行為を認定せず見逃したことを指摘するものと認められる。そこで、請求人の当該主張について、以下、検討する。 審査官は審決に関与した審判官ではないので、請求人が主張する事実の有無にかかわらず、審査官の行為によって第4号の事由は生じない。また、原審決をなした合議体を構成する審判官について検討すると、民事訴訟法第338条第1項第4号に該当するような事情は見出せない。 そうすると、原審決に、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第4号に規定される再審事由はない。 なお、再審請求書とともに提出された証拠をみても、審査官が拒絶査定不服審判請求書を行方不明にしたと認めるに足りる根拠はなく、審査官による前置審査も適法に行われている。 ここで、請求人は、審査官が前置審査をしなかった旨を主張しているので、審査前置制度の概要と、原審審査官により行われた前置審査について、以下にまとめる。 a 審査前置制度の概要 審査前置制度は、審判請求の際に明細書等の補正が行われている場合には、元の審査官が見ればすぐに特許すべき判断ができる場合もあるため、審判の前に元の審査官に再び審査をさせることにより、事件を簡易迅速に処理することを趣旨としている(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕第550頁)。 そして、特許法は、審判請求時の補正によっても拒絶査定の理由が解消していない等の理由で特許をすべき旨の査定をしない場合には、審査の結果を特許庁長官に報告すること(特許法第164条第3項)を定めており、その際に出願人に拒絶理由を通知して再度の答弁の機会を与えることは義務付けていない。 b 本願の前置審査について 本願は審判請求と同時に明細書を補正する手続補正書が提出されているので、原審審査官は、審判請求書及び手続補正書に基づいて前置審査を行い、その結果を、令和4年10月11日付けの前置報告書として特許庁長官に報告している。そして、令和4年10月14日付けで、請求人に対し審査前置解除通知が発送されている。 なお、当該前置報告書の内容は、以下のとおりである。 「審判請求時の補正は、「実施例その2」として、「お茶の新芽の1心2葉を収穫→平なべに水を入れ小なべを浮かせ その中に新芽を入れ沸騰済みの湯を注ぎ 蓋をして100℃~80℃で保温のまま5分~10分待つ→内容物をそのまま全部ミキサー等にいれて15秒~30秒加工する→冷凍庫でゆっくり冷凍する。」という記載を新たに追加するものであり、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項を超えて、新たな技術的事項を導入するものである。そのため、審判請求時の補正は、新規事項を追加するものである。 したがって、この補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 そして、審判請求書における主張を検討しても、原査定の理由に対して有効な主張を見いだすことはできず、この出願は原査定の理由に示したとおり拒絶されるべきものである。」 c 前置審査についてのまとめ 以上a、bのとおり、原審審査官は、本願の審判請求書及び手続補正書に基づいて、適法に前置審査を行い、その結果を特許庁長官に報告している。 (イ)第5号の再審事由について 民事訴訟法第338条第1項第5号は、「刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。」を再審の事由として掲げている。そして、同条同項同号にいう「判決」は、特許法に則していうと「審決」のことをいう。 請求人は、上記第4 2(4)のとおり、特許法無視ともいえる乱暴な審決をしたこと、拒絶査定不服申立につき合議体が前置審査を行わなかったことにつき決定による手続はなく答弁書を提出する機会を与えられなかったことなどを主張しているが、当該主張は、原審決における合議体の判断あるいは手続が妥当でなかった旨を指摘するにとどまり、どのような「刑事上罰すべき他人の行為」があったのかや、これによりどのような内容を自白するに至ったか、あるいはどのように攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたのかを、何ら具体的に指摘するものではない。そうすると、請求人の主張は、刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたことを指摘するものとはいえない。 また、原審決に係る審判事件の手続について検討しても、民事訴訟法第338条第1項第5号に該当するような事情は見出せない。 そうすると、原審決に、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第5号に規定される再審事由はない。 なお、原審決は、上記(ア)bのとおり、拒絶査定に続く前置審査を経て適法になされたものであり、特許法無視ともいえる乱暴な審決がされたとみるに足りる根拠はない。そして、前置審査において拒絶査定の理由を維持する場合に出願人に答弁の機会を与えることが特許法において義務付けられていないことについては、上記(ア)aに記載したとおりである。 (ウ)第6号の再審事由について 民事訴訟法第338条第1項第6号は、「判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。」を再審の事由として掲げている。そして、同条同項同号にいう「判決」は、特許法に則していうと「審決」のことをいう。 請求人は、上記第4 2(5)のとおり、手続補正書が偽造又は変造されたものであると主張しており、当該「手続補正書」とは令和4年5月31日に請求人により提出された「手続補正書」を意味すると解される。これに対し、原審決には当該手続補正書に記載されたとおりの内容が「補正の内容」として記載されている。そして、請求人は当該手続補正書のどの部分がどのように偽造又は変造されたのかを何ら示しておらず、手続補正書が偽造又は変造されたものであるとすべき根拠はない。また、請求人は、新規事項の追加であるとの法律違反導入という判断がなされたことをもって、手続補正書が偽造又は変造されたものであると主張しているようにも解されるが、原審決における手続補正の却下は、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定に基づく手続であり、当該手続をもって、手続補正書が偽造又は変造されたということはない。よって、請求人の主張する第6号の再審事由は、理由がない。 また、原審決の証拠について検討すると、原審決の証拠はすべて特許庁が発行した公開特許公報であり、民事訴訟法338条第1項第6号に該当するような事情は見出せない。 そうすると、原審決に、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第6号に規定される再審事由はない。 なお、請求人は手続補正書による補正が明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるにもかかわらず、新規事項の追加であると判断されたことをもって不法行為であると主張するが、明瞭でない記載の釈明であることと、当該補正が新規事項の追加であるか否かは別の問題であるから、請求人の主張は妥当しない。 (4)民事訴訟法第338条第1項第8号について ア 第8号の再審事由 民事訴訟法第338条第1項第8号の再審の事由は、「判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと」というものである。そして、同条同項同号の冒頭にいう「判決」は、特許法に則していうと「審決」のことをいう。 イ 同号の事由の有無について 請求人は、上記第4 2(6)のとおり、原審決に係る特許出願の申請書類が全ての方式に適合したものである旨を主張しているが、申請書類のすべてが方式に適合しているか否かは、第8号に規定される再審事由とは別の問題である。そして、請求人は、原審決の基礎となる裁判又は行政処分がどのようなものであるかを何ら特定しておらず、これらが後の裁判又は行政処分により変更された証拠も示していない。そうすると、請求人の主張を検討しても、民事訴訟法第338条第1項第8号に規定される再審事由に該当する事情を見出すことができない。 また、原審決が民事訴訟法第338条第1項第8号に該当するか検討すると、原審決の基礎となった裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたという事情は確認できない。そうすると、原審決に、特許法第171条で準用する民事訴訟法第338条第1項第8号に規定する再審事由がないことは明らかである。 (5)民事訴訟法第338条第1項第9号について ア 第9号の再審事由 民事訴訟法第338条第1項第9号は、「判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。」を再審の事由として掲げている。そして、同条同項同号にいう「判断の遺脱」とは、当事者が適法に提出した攻撃防御方法たる事項で当然審決の結論に影響するものに対し審決の理由中で判断を示さなかった場合であると解される(知財高裁平成19年(行ケ)10407号・平成20年5月28日判決)。 また、民事訴訟法第338条第1項柱書には「次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。」と規定されている。そして、民事訴訟法第338条第1項ただし書にいう「控訴若しくは上告」とは、特許法に則していうと「審決取消訴訟の提起若しくは同訴訟に対する上告」のことをいい、特許法の再審請求において上記ただし書の事由があるときは特許法第174条の準用する第135条により不適法として却下すべきものと解される(知財高裁平成19年(行ケ)10407号・平成20年5月28日判決)。さらに、民事訴訟法第338条第1項ただし書後段の「これを知りながら主張しなかったとき」には、控訴もしくは上告により不服の事由を主張し得たにもかかわらず、これを怠った場合も含まれると解される(最高裁昭和41年(オ)第833号・昭和41年12月22日判決・民集20巻10号2179頁)。 イ 同号に係る再審請求の適法性について 請求人は上記第4 2(7)において、要するに、拒絶査定不服審判請求と同時に行った手続補正が特許法の規定に適合したものであるのに対し、原審決が新規事項の追加に該当するとして補正を却下し、その際に新規事項の追加であることを証明していないとの点を指摘し、原審決に判断の遺脱があると主張しているものと解される。しかしながら、請求人の上記主張が妥当であるか否かはさておき、請求人の指摘する上記の点について判断の遺脱があったか否かは、原審決を見れば直ちに認識できるものである。 そうすると、請求人は、上記第4 2(7)に係る事由につき、原審決の送達によってこれを知っており、審決取消訴訟を提起し争うことができたにもかかわらずしなかったのであるから、民事訴訟法第338条第1項ただし書の「当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったとき」に該当する。 そうすると、第9号に係る本件再審の請求は、不適法なものであり、却下すべきものといわざるを得ない。 ウ 同号の再審事由の有無について 念のため、原審決に第9号の再審事由があるかについて予備的に検討する。 上記第4 2(7)において請求人が主張する事由は、実質的には審決における新規事項の判断の誤りを指摘するものであるところ、原審決は、請求人が拒絶査定不服審判請求と同時に提出した手続補正書に対し、概略次のとおり判断を示して手続補正を却下し、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をした。(「・・・」は省略を示すものである。) 「(1)新規事項の追加 本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)には、「【実施例その2】 お茶の新芽の1心2葉を収穫→平なべに水を入れ小なべを浮かせ その中に新芽を入れ沸騰済みの湯を注ぎ 蓋をして100℃~80℃で保温のまま5分~10分待つ→内容物をそのまま全部ミキサー等にいれて15秒~30秒加工する→冷凍庫でゆっくり冷凍する。」という事項は記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。 したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (2)補正の適否についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。」(第2ページ第20行~第35行) 「イ 本願発明1と引用発明1-1との対比・判断について 本願発明1と引用発明1-1を対比する。 ・・・ そうすると、本願発明1と引用発明1-1とは一致し、相違点はない。 よって、本願発明1は引用発明1-1であるか、引用発明1-1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本願発明2と引用発明1-2との対比・判断について ・・・ そうすると、本願発明2と引用発明1-2とは一致し、相違点はない。 よって、本願発明2は引用発明1-2であるか、引用発明1-2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」(第6ページ第28行~第7ページ第13行) 「イ 本願発明1と引用発明2-1との対比・判断について 本願発明1と引用発明2-1を対比する。 ・・・ そうすると、本願発明1と引用発明2-1とは一致し、相違点はない。 よって、本願発明1は引用発明2-1であるか、引用発明2-1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ 本願発明2と引用発明2-2との対比・判断について 本願発明2と引用発明2-2を対比する。 ・・・ そうすると、本願発明2と引用発明2-2とは一致し、相違点はない。 よって、本願発明2は引用発明2-2であるか、引用発明2-2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」(第8ページ第23行~第9ページ第5行) 「(3)請求人の主張について 請求人は、審判請求書において「まず第一に本願発明は特許法第29条に該当するとの判断は混同によるものである 又本願発明者の中戸 賢は当業者には該当しないものであり 特許法第29条は適用できない つまり 特許法施行の昭和35年4月1日以降 及び本願出願者の昭和22年5月1日出生以降 本願出願者は普通の日本国民である 次に第29条1項は特許庁の外には出ていない また引用文献は概ねブロークン発明で有り本願発明とはレベルが違う 本査定は手続きの経緯にも記載した通り事件で有る 3 立証の趣旨 1 拒絶査定の引用文献は茶外茶であり紅茶やコーヒー以下の さくら茶及びハブ茶等と同類の 下等レベルのもので有る 2 引用文献は総じてブロークン発明で有り目的に準じて試行錯誤により開発されたもので無い 当業者が容易に発明できたものである 3 拒絶査定は混同により生じたもので瑕疵がある」と主張するが、当該主張は、特許請求の範囲の記載に基づかない主張であるので、採用できない。」(第9ページ第6行~第19行) すなわち、原審決は、請求人が提出した審判請求書及び手続補正書に対して審決の理由中で、本件補正は新たな技術的事項を導入するものであるという判断を示し、「本件審判の請求は、成り立たない。」との結論を導いており、原審決に判断の遺脱はないというべきである。 したがって、原審決に、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第9号に規定される再審事由はない。 (6)請求の趣旨1についてのまとめ 以上のとおり、民事訴訟法第338条第1項第4号ないし第6号及び第9号に係る再審の請求は、いずれも不適法なものであり、却下すべきものである。 また、民事訴訟法第338条第1項第1号、第2号及び第8号に係る再審の請求は、いずれも理由がない。 2 請求の趣旨2について 審判における費用の負担に関して、特許法は、「拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。」と定めており(第169条第3項)、さらに、第169条第3項の規定を、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審に準用することを定めている(第174条第2項)。 すなわち、特許法は、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審において、審判に関する費用は、請求人の負担とすることを定めており、再審請求に対する判断にかかわらず、再審に関する費用を請求人以外の者の負担とすることはできない。 よって、再審費用は、請求人の負担とする。 第6.むすび 以上のとおり、請求の趣旨1につき、民事訴訟法第338条第1項第4号ないし第6号及び第9号に係る再審の請求は、却下すべきものである。また、民事訴訟法第338条第1項第1号、第2号及び第8号に係る再審の請求は、理由がない。 請求の趣旨2につき、再審費用は、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-950004

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