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商標無効審判

2023-890015

ビヨーマ、ビヨマ

審判番号
2023-890015
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2022-030868
登録番号
6637032
請求日
2023年03月14日
審決日
2024年10月25日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ウィー・アー・ラックス・リミテッド
  • 【請求人代理人】中田 和博
  • 【請求人代理人】青木 博通
  • 【請求人代理人】片山 礼介
  • 【請求人代理人】鈴木 薫
  • 【請求人代理人】富所 英子
  • 【請求人代理人】青島 恵美
  • 【請求人代理人】神蔵 初夏子
  • 【請求人代理人】前川 素子
  • 【被請求人】株式会社 ツカモトコーポレーション
  • 【被請求人代理人】広瀬 文彦
  • 【被請求人代理人】末岡 秀文
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 豊瀬 京太郎
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T112 .261-Y (W03) / T112 .262-Y (W03) / T112 .263-Y (W03)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6637032号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6637032号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和4年3月17日に登録出願、第3類、第21類、第24類、第25類及び第30類に属する別掲2のとおりの商品を指定商品として、同4年9月20日に登録査定、同年11月7日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 本件審判請求人(以下「請求人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1633315号商標(以下「引用商標」という。)は、「BYOMA」の欧文字を横書きした構成からなり、2021年(令和3年)11月2日に国際登録出願、第3類に属する別掲3のとおりの商品を指定商品として、令和4年10月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、「本件商標について、その指定商品中、第3類「ハンドソープ,ボディソープ,その他のせっけん類,ハンドクリーム,ボディクリーム,バスオイル,その他の化粧品,洗濯用剤,歯磨き」(以下「請求に係る指定商品」という。)の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。 1 本件商標は、上記第1の手続の経緯に示すとおり登録され、現在有効に存続するものであるが、請求人保有(審決注:本件審判請求当時。引用商標の商標権者は2024年7月11日(国際登録記録年月日)請求人からByoma Limitedへ移転している。)に係る引用商標はその先出願に係るものであって、両商標は相類似しており、その指定商品も類似するものである。 (1)商標の類似について ア 本件商標 本件商標は、別掲1に示すとおりの文字からなるものであり、これより「ビヨーマ」の称呼が生じることを否定するものではないが、「ビヨマ」の称呼をも自然に生じることは明らかである。 すなわち、「O」の文字の上にマクロンと呼ばれる短い横棒「‐」(審決注:マクロン記号は、文字の上に付される横棒(線)であるが、本審決では「‐」(ハイフン記号)をマクロン記号として便宜上使用する。以下同じ。)が付記されており、ローマ字においては長音を表す場合に用いられることがあり、「ビヨーマ」の称呼も生じるが、なお多くの場合「ビヨマ」の称呼をもって取引に当たることも多いといわなければならない。その理由は、以下に述べるとおりである。 (ア)第一に、本件商標を全体として観察した場合に、マクロンの「‐」は外観上極めて小さなものであり、また、甲第5号証ないし甲第7号証の使用例においてもうかがわれるように、商品及びその容器はサイズの小さいものが普通であり、商標の表示自体も小さいことが多くなるのであるから、必ずしも容易に視認されるとはいえないことである。 (イ)また、以下の事実に鑑みれば、昨今においてマクロン「‐」が長音を表すことは、必ずしも普遍的、一般的な表記として馴染まれているとはいえず、むしろ単にアルファベットの「O」を数字の「0」と区別するために使用されることも多い。 a ローマ字で長音を表す場合には、学校で教える訓令式において山形の記号「^」を用いるのが標準とされていること(甲8の9葉目)。 b スマートフォンやパソコンのキーボードにはこのような文字はなく、特別な入力方法を用いない限り、単に「O」と表記され、それで足りるとして通用していること(甲8の17葉目)。 c 「O」の文字を「オー」と読ませるには、現在では多くの場合、単に「O」の表記を用いることが多く、マクロンは用いられない。例えば、地名、駅名、社名などにおいて、「東京」は「Tokyo」、「大阪」は「Osaka」、「大手町」は「Otemachi」、「茅場町」は「Kayabacho」、社名においても、「三洋」は「Sanyo」、「資生堂」は「Shiseido」と表記されている(甲8の2葉目、甲9~甲12)。 d 「オー」の音は、人名などでもマクロンは用いず「oh」又は「oo」の表記を用いる例がしばしばみられる。例えば、「大塚」は「Ohtsuka」と、「大谷」は「OHTANI」と表記されることが多い(甲13、甲14)。 「写真少年漂流記」なるウェブサイトの「悩ましい日本語長音のローマ字表記」と題する記事に「パスポートでは2004年4月以降から“OHTSUKA”と表記できるようになったようだ。(中略)“OOTSUKA”が正しいと思うのだが」との記載、さらに「OTSUKA」、「OHTSUKA」、「OOTSUKA」、さらにマクロン付きの「OTSUKA」の表記が末尾に示されている(甲15)。 e アルファベットの「O」と数字の「0」(零)との混同を避けるために、数字の「0」には「/」を重ねて表示し、アルファベットの「O」を表記する場合は上に横線を付記することがあり、「‐」は長音を表すものではないこと。 例えば、インターネットの質問サイト「教えてgoo!」には下記のような書き込みがされている。 「手書きではオーの場合は上に横線,ゼロの場合は斜線(/)を上から書くの一般的です。」(甲16) また、「OKWAVE」という同様のサイトにおいて、「0(ゼロ)とO(オー)の書き分け方を教えてください」との標題の下、次の書込みがされている。 「紛らわしい0(ゼロ)とO(オー)ですが、(中略)O(オー)についてはOの上に横棒を書くというのはほぼすべての人がしておりますが」との書き込みがされている(甲17)。 「YAHOO知恵袋」なる質問サイトにおいて、「O(オー)は大文字も小文字もゼロと見間違いやすいですので、大文字の場合は上にバーを引き」との回答がされている(甲18)。 「ヘボン式HEBONSIKI」と題するウェブサイトには、(サイト開設者の私見も含めて)下記の記述がなされている。 「マクロン(‐)にふたつの弱点があるからです。ひとつは技術者の一部に0(ゼロ)と区別するためO(オー)の上に横線をかく人がいて,このかきかたがまちがいをひきおこすおそれがあることです。この問題はみすごせませんし,うまい解決策もなさそうです。この理由から,手がきのときは長音符号を山形(^)にするほうが安全です。もうひとつはマクロン(‐)が機械に入力しにくいことです。マクロン(‐)がついた母音字はヨーロッパのメジャー言語でつかわれません。ISO/IEC8859-1(いわゆるLatin-1)にもふくまれていません。そのため,これに対応していない書体(フォント)があるからです。」(甲8の17枚目) 以上の事情から、本件商標からは「ビョーマ」のみならず「ビヨマ」の自然称呼が生じることも多いというべきである。 イ 引用商標 引用商標は、「BYOMA」の欧文字を横書きした構成からなるものである。 これより「ビョマ」の称呼が生じるが、他に「ビョーマ」の称呼が生じる。 なぜならば、前述の「東京」が「Tokyo」と綴られ「トーキョー」と読まれ、「戸郷」が「Togo」と綴られ「トゴー」と呼ばれるがごとく、アルファベットの「O」は、マクロンなしでそれ自体「オー」「オオ」と読まれることが多いからである(甲8等)。 また、「ビョマ」、「ビョーマ」と称呼される他、例えば英単語の「film」が古くより「フィルム」と発音されることが多いことにみられるように、「ビョマ」は、3モーラで「ビヨマ」と同じかそれに近い音で発声されることもあるということができる。 なぜならば、拗音が2モーラで発音されたり表記されたりして混用されることは、例えば、英語の「film」において「フィルム」と「フイルム」、「win」を「ウィン」と「ウイン」、「Vienna sausage」を「ウィンナーソーセージ」と「ウインナーソーセージ」との2通りの表記、発音が通用している。他にも、北欧に多い人名の「Bjoern」が「ビョルン」と「ビヨルン」の2通りに表記され発音されている例などにみられる。Googleによる「ビヨルン」の検索結果において、例えば「剛勇のビョルン、あるいはビヨルン・イロンシッド(Bjorn Ironside(後略)」(審決注:「Bjorn」の文字中の「o」の文字はウムラウト。)との2通りの記載がされ、Weblio辞書の「ビョルン Bjorn;Bjorn;Bjorn;Bjoern」(審決注:2番目の「Bjorn」の文字中の「o」の文字にはウムラウト、3番目の「Bjorn」の文字中の「o」の文字には斜線が付されている。)の項には、ビョルン(Bjorn,Bjorn;Bjorn)(審決注:1番目の「Bjorn」の文字中の「o」の文字にはウムラウト、2番目の「Bjorn」の文字中の「o」の文字には斜線が付されている。)は(中略)ビョーンやビヨーンと表記されることもある。」との記載がされ、さらに同じ名の「Bjoern」が「ビヨルン」と表記されている(甲19~甲21)。 ウ 本件商標と引用商標の外観の対比 本件商標と引用商標を外観について比較すると、後者において、単純な直線からなるアルファベットの「I」が2文字目に介在することと、前述のように「O」の上にマクロンが付されているにすぎず、その指定商品はチューブなど小さな容器に表示され、多数の同種商品を並べて陳列されるのが通常であるという取引の実情も考慮すると、その差異はいずれも微小であってしばしば見間違えるほどに紛らわしく類似するものである(甲5~甲7)。 エ 本件商標と引用商標の観念の対比 本件商標と引用商標はいずれも特定の観念を生じないから、対比すべくもなく、観念において識別することができない。 オ 本件商標と引用商標の称呼の対比 次に、本件商標から生ずる称呼「ビヨマ」を、引用商標から生ずることのある「ビョマ」、「ビョーマ」、「ビヨマ」の称呼と比較する。 「ビョマ」にあっては第2音が拗音となっている点で本件商標と差異があるが、前述のように、これとて実際には3モーラの「ビヨマ」かそれに近い音で発声されると言えるから、称呼においても共通することも多く、甚だ紛らわしいというべきである。 なお、「美容院」(ビヨウイン)と「病院」(ビョウイン)というような語においては、両者の観念がいずれも明確であるから、前後の文脈やシチュエーションなど他の要素によってどちらなのかを聴別することが可能であるが、本件商標も引用商標も観念を有さず、取引に用いられる標識である商標において前後関係などは存在しないから、そのように識別する手がかりはない。 カ 以上のとおり、本件商標は、外観、称呼が互いに近似し紛らわしいこと、及び何ら観念を有しないこと等を総合すれば、引用商標と類似することは明らかであると思料する。 (2)商品の類似について 本件商標の請求に係る指定商品は、引用商標の指定商品とは原料、用途、販売経路、需要者等が共通であり、同一又は類似の商品ということができる。 2 結び 以上のとおり、本件商標は先の出願に係る引用商標に類似し、指定商品においても同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当する。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 1 本件商標について、審判請求書(以下「請求書」という。)の(3)イ(ア)において「「ビヨーマ」の称呼も生じるが、なお多くの場合「ビヨマ」の称呼をもって取引に当たることも多いと言わなければならない。」と主張し、その根拠として、(1)マクロンの「‐」は外観上極めて小さなもので、商品及びその容器はサイズの小さいものが普通であり、商標の表示自体も小さいことが多いので、必ずしも容易に視認されるとはいえない。 (2)マクロン「‐」が長音を表すことは、必ずしも普遍的、一般的な表記として馴染まれているとはいえない。むしろ単にアルファベットの「O」を数字の「0」と区別するために使用されることも多い。 ア ローマ字で長音を表す場合、山形の記号「^」を用いる。 イ スマートフォンやパソコンのキーボードにはこのような文字はない。 ウ 「O」の文字を「オー」と読ませるには、マクロンは用いられない。 エ 人名等でもマクロンは用いず「oh」又は「OO」の表記を用いる例がある。 オ 数字の「0」には「/」を重ねて表示し、アルファベットの「O」を表記する場合は上に横線を付記することがあり、「‐」は長音を表すものではない。 結論として「以上の事情から、本件商標からは「ビョーマ」のみならず「ビヨマ」の自然称呼が生じることも多いというべきである。」と主張している。 請求書6頁18行目の「ビョーマ」の表記は(2)アの主張と整合させて「ビヨーマ」と表記すべきであり、微妙な書き間違いであったとしても主張の要点である以上、複数人のチェックによる厳重な精査が必要であったと思われる。 なお、仮に「「ビョーマ」のみならず「ビヨマ」の自然称呼が生じることも多い」と主張されるのであれば、「ビョーマ」が生じる論拠は一切示されていないことを指摘するものである。また、引用商標について、「「ビョマ」の称呼が生じるが、他に「ビョーマ」の称呼が生じる。・・・また、「ビョマ」は、3モーラで「ビヨマ」と同じかそれに近い音で発音されることもあると言うことができる。」と主張されている。 2 本件商標の特定 本件商標は、別掲1のとおり、ローマ字からなり、別掲2のとおりの商品を指定商品とするものである。 本件商標は、ローマ字の6文字からなり、第2文字目が「I」であり、第4文字目はローマ字「O」の文字の上部に長音記号「‐」が付加されている。考えられる自然の称呼は「ビヨーマ」であり、それ以外の称呼を生じる可能性は基本的にはない。「ビヨーマ」以外の称呼が派生する可能性については、請求人の主張に沿って後記詳述するが、請求人が主張する「ビヨマ」の称呼を生ずる可能性も常識的には考えられない。また、「ビョーマ」の称呼が派生する可能性は全くない。この点については請求人からの指摘は全くない。 3 引用商標の特定 請求人が所有する引用商標は、上記第2のとおり、「BYOMA」の5文字のローマ字からなり、別掲3のとおりの商品を指定商品とするものである。 引用商標「BYOMA」から自然に生じる称呼は「ビョマ」であり、片仮名表記では3音のように思えるが実質は「ビョ」と「マ」の2音からなる。 また、「ビョーマ」の称呼が生じる可能性については「「O」は、マクロンなしでそれ自体「オー」「オオ」と読まれることが多いからである。」と主張されている。特段の事情があれば参照に値するが、引用商標の文字列で、当然に長音になる必然性はない。 さらに、「「ビョマ」は、3モーラで「ビヨマ」と同じかそれに近い音で発音されることもあるということができる。」と主張されるが、正確には「ビョマ」は3モーラではなく、2モーラである。3モーラである「ビヨマ」と同じに発音されることはなく、また、それに近い音で発音されることもない。(パテント2012年1月号第96頁以下参照) ちなみに、拗音が付加されている音は1モーラであり、「フィルム」は3モーラである。「フイルム」は4モーラであることは明確であり、「I」が独立で大きく表示されないと4モーラとはならない。 「BY」を「ビ」と発音すると仮定すれば「BYO」は「ビオ」となり、引用商標の全体の称呼は「ビオマ」となる。これを「ビヨ」となる、又はこれに近い発音となると主張されているが、論拠に乏しく、説得力があるとも思えない。 したがって、引用商標「BYOMA」の文字構成から、「ビヨマ」の称呼が生じる可能性があるとは考えられない。 4 本件商標と引用商標の差異 上記2の特定からも明らかなとおり「BIYOMA」(「O」には「‐」が付いている。)と「BYOMA」とでは、ローマ字の文字数も6文字と5文字と明らかに異なり、特に本件商標の構成文字の第2文字目には「I」が存在する上に、第4文字目の「O」には長音記号が付加されている点で一見して明らかな相違が存在する。 称呼については、本件商標からは明らかに「ビヨーマ」の称呼が生じるものであり、他の称呼が派生する可能性は無いと考えられる。発音しにくい語列の場合や、子音が重なったり母音の連続等によって派生する称呼に複数の可能性があるような難読商標には該当しないので、単純に「ビヨーマ」の称呼が生じると考えられるのが自然であり、他の称呼が生じる可能性はない。 また、多くの場合「ビヨーマ」の称呼でなく「ビヨマ」が生じるとする請求人の主張は常識的とは考えられない。 請求書では、「ビヨーマ」の他に「ビヨマ」が生じる可能性があると指摘されているが、長音記号(マクロン)が付加されている以上、「ヨ」の音が「ヨー」と長音になって伸びることは明らかであり、辞書・ウェブ等にも、常識的に長音となると記載・指摘されている。 本件商標は長音記号が明らかに太線で表示されている構成であり、長音記号が無視されることはないので長音となることは否定できない事実である。長音記号(マクロン)は発音区別記号の一つであることはウィキペディアでも紹介されており(乙1)、母音の長短を区別するための補助記号としてマクロンが使用されている事実が掲載されている。 また、広辞苑でも「‐」はEuropaを例に出して長音符号として掲載されている(乙2:広辞苑第六版、広辞苑第七版)。 したがって、この記号が付いている以上、「O」が長音になることは間違いないことであり、「ビヨーマ」の称呼が生じることに疑問はなく、その他の発音が多く派生するという事態はこの文字構成からは考えられない。 ただし、「‐」の記号が何を意味するか判らなかったり、他の用途があったりしても、常識的にマクロンが付加されていれば、一般需要者はパソコンで記号が出にくいとかゼロ「0」との差別とかいう使用方法が判っていなくても発音が長音になることは常識的に了解していると考えられ、これが日本では標準と考えられる。また、マクロンが付かない「O」が長音で発音される場合があるとの主張及び指摘があるが、本件とは直接関係ない事実であり、長音符号付きの「BIYOMA」(「O」には「‐」が付いている。)が「ビヨーマ」と称呼されることに変化を生じさせるものではない。 その上で、「BIYOMA」(「O」には「‐」が付いている。)が「ビヨマ」と称呼される可能性を考えた場合、極まれに常識とは別にそのような称呼となることが考えられることは、例外的に認められるものと評価せざるを得ない。ただし、その称呼をもって取引に資するかと言えば、通常、常識的に派生する発音をもって取引すると考えるのが一般であり、請求書の(3)イ(ア)において「「ビヨーマ」の称呼も生じるが、なお多くの場合「ビヨマ」の称呼をもって取引に当たることも多いと言わなければならない。」との主張は後述の理由をもってしても容認できるものではない。 5 商標法第4条第1項第11号該当性 (1)請求人の主張 本件商標の審査経過から明らかなとおり、本件商標が登録に至るまでの審査で、引用商標が引例とされ、称呼上の類似点が問題とされ、近似する称呼であっても明確に聴別できる範囲であると認定されたうえで非類似と判断されて登録に至ったという経緯がある。この判断を覆す主張が複数展開されているので、以下詳細に検討する。 また、追加の資料の提供がある場合には再考する必要が生じる可能性もあるが、「ビ」「ヨ」の称呼と「ビョ」の称呼は近似するとか、長音記号は無視又は記号の意味が正確に理解されない可能性がある等の単なる主張及び立証だけでは非類似の判断は覆せないと考えられる。 (2)無効の主張と論拠(事実)に対する評価と反論 請求人は、本件商標、において「「ビヨーマ」の称呼も生じるが、なお多くの場合「ビヨマ」の称呼をもって取引に当たることも多いと言わなければならない。」と主張しているが、本件商標「BIYOMA」(「O」には「‐」(マクロン)が付いている。)を「ビヨーマ」と称呼することは一般的に容認される事実であるが、これを「多くの場合「ビヨマ」の称呼をもって取引に当たることも多いと言わなければならない。」と評価することはできない。 上記の主張の根拠として、以下の事実が挙げられている。 まず、全体観察において、マクロンの「‐」は外観上極めて小さなもので、商品及びその容器はサイズの小さいものが普通であり、商標の表示自体も小さいことが多いので、必ずしも容易に視認されるとは言えない、と主張される。本件商標の長音記号「‐」は外観上極めて小さなものとは考えられず、通常の常識的な大きさであって、これ以上、左右に長かったり、線の幅が太かったりするとバランスが悪くなり、長音記号であることが判らなくなる可能性があり、普通の長音記号の態様にすぎないと考えられる。また、商標全体の大きさが商品によって小さくなるのは常識の範囲であり、大きさによって「‐」が見えにくくなることも場合によっては発生することはあっても、スペック・包装箱の表示等の存在を考慮すれば長音記号「‐」が付加されていることは明確であり、これが多くの場合、無視されるとは考えられない。 次に、マクロンについて、マクロン「‐」が長音を表すことは、必ずしも普遍的、一般的な表記として馴染まれているとはいえない、と主張されているが、常識的には「‐」は長音記号と考えられている事実があるので、むしろ普遍的、一般的表記として馴染まれていると考えられる。ここで、普遍的又は一般的でないことが納得できたとしても、マクロン付きの本件商標の称呼が「ビヨーマ」でなく、多くは「ビヨマ」となるという事を立証する意図ならば、そのような具体的主張の存在が必要である。 さらに、請求人は「むしろ単にアルファベットの「O」を数字の「0」と区別するために使用されることも多い」と主張しているが、本件商標「BIYOMA」(「O」には「‐」が付いている。)の「O」の文字を数字の「0」と誤解するおそれがあるとする議論はためにする無理やりの理屈であって、本件商標の文字列で、中間の「O」は数字であるはずがなく、これをわざわざローマ字の「O」であることを表示する必要性は全くない。この点では長音記号が付されていると判断するのが常識的である。 理由付けの事実として、ローマ字で長音を表す場合、学校で教える訓令式では山形の記号「^」を(上部に)用いるのが標準とされていると指摘されているが、長音符号が山形であることは常識的には希であり、むしろ山形でない場合が多数散見されているのが実情である。また、この指摘は、山形でない「‐」記号が長音記号と認識されないという主張の論拠になるとは考えられない。すなわち山形記号でない本件商標も「ビヨーマ」と称呼されると判断するのが自然であると考えられる。山形でない記号であるので特に「ビヨマ」と称呼される可能性が多いと主張する論拠としては無理があるといわざるを得ない。 次なる事実として、スマートフォンやパソコンのキーボードにはこのような文字はなく、特別な入力方法を用いない限り、「O」と表示されると指摘されているが、すでに「‐」が付された本件商標の称呼を論じているのであって、これを「ビヨーマ」と称呼することを否定するための事実としてキーボードの特性を持ち出しても的を射た反論にはならない。「‐」記号が付されている文字の称呼を認定しているのであって「ビヨーマ」が生じない論拠と、パソコンのキーボード性能とは無関係と言わざるを得ない。ちなみに、山形でない記号であるので「ビヨマ」の称呼が生じるとする論拠ともなっていない。 さらに、「O」の文字を「オー」と読ませるには、マクロンは用いられない事実を持ち出されているが、現実にマクロンの付されている本件商標の称呼を論じているのであって、マクロンの付加されていない文字の称呼についての議論は論外の指摘と考えられる。 なお、指摘された事実からは、引用商標の称呼としては「ビョーマ」が生じるという論拠にはなると考えられる。 確かにマクロンの付加されていない「O」の文字を長音で「オー」と称呼する例があることは認められるが、本件商標との直接の関連はない。仮に、長音の場合はマクロンを用いることがないという主張であったとしても、マクロンの付された本件商標の態様の称呼の認定とは無関係である。マクロンが付された場合は長音に発音しないということが常識的となっているという事実の指摘であればその旨の主張が必要となるが、請求書にはそのような主張はない。 次に、人名などでもマクロンは用いず「Oh」又は「OO」の表記を用いる例があるとの指摘があるが、いずれも正しい事実の指摘であると評価できるが、本件審判で問題とされているのは本件商標の称呼であって、マクロン(長音記号)が付されていない場合の称呼の可能性を詳細に論じることに意義を見いだせない。主張がマクロンがある場合は長音にならないという主張であれば、その旨を明確にすべきであり、マクロンが無くても長音になるとの主張は本件との関係のない事実の指摘に過ぎないと評価せざるを得ないものであり、希しくも、段落の末尾に「さらにマクロン付きの「OTSUKA」の表記が末尾に示されている。」と記載されているが、この部分が本件審判の論点であり、マクロン付きのローマ字が如何に称呼されるかという判断である。これを「オーツカ」と称呼する他に長音なしの「オツカ」と称呼する可能性があるかを議論しているのであり、「オツカ」の称呼をも自然に生じると主張し、多くの場合マクロンがあっても「オツカ」の称呼で取引に当たることも多いというのが請求人の指摘又は主張するところであり、とても当を得た主張とは考えられない。 最後に、数字の「0」には「/」を重ねて表示し、アルファベットの「O」を表記する場合は上に横線を付記することがあり、「‐」は長音を表すものではない、との事実を指摘しているが、本件商標はローマ字6文字からなる構成であり、中間の第4文字目もYとMのローマ字に挟まれた文字であって、全体からこれが数字である蓋然性は全くないので、ここで「‐」記号を付加する必然性は全くない。むしろ、ローマ字であっても記号が付加されているので、何らかのサインが与えられていると理解すべきである。希に場合によっては、「O」の上部に横棒があるのは、ローマ字であって数字ではないとのサインである場合も考えられなくはないと思うが、本件商標の称呼の認定では、ローマ字であることに疑いを挟む余地がないので、指摘されているような用法でないことは明らかである。 (3)称呼上の非該当性 構成文字から本件商標から自然に生ずる称呼は「ビヨーマ」であり、請求人が主張する「ビヨマ」の称呼が生じることは通常は考えられない。 なお、「ビヨーマ」の称呼も生じるが、なお多くの場合「ビヨマ」の称呼をもって取引に当たることも多いという事実はない。上記詳述したとおり、「‐」記号が長音記号であることは一般的であり、この記号を無視して、又は、上記のような理屈が事実として存在したとしても、それを理由に「ビヨマ」と「ヨ」が長音とならない発音が多くの場合生じるという事はない。 また、「‐」記号が商品によって小さくなって認識できなくなるという事も需要者の知識の程度を判断基準にすると考えられない。 本件商標の称呼「ビヨーマ」と引用商標の称呼「ビョマ」とでは、本件商標の称呼が全体で4音であるのに対して、引用商標の称呼は厳格には2音であり、その音数から明確に聴別できるものである。 引用商標が「ビョーマ」と長音付きで称呼されると仮定しても、「ビョーマ」は3音からなり、第1音の長音を伴う「ビョ」は、本件商標の第1音目の「ビ」とは全く異なる音となり、本件商標の称呼では長音を伴う第2音目が超音の「ヨー」となる点でも全く異なると判断される。 引用商標「BYOMA」は、長音となることを示唆する「U」及び「H」を含まない構成であり、他の氏名等の要素も含まないので、生ずる称呼は長音を含まない「ビョマ」であると判断するのが妥当である。 また、「ビヨーマ」と「ビョマ」の称呼の差は拗音(捨て仮名)を含むものであり、単に大小で普通の文字と区別されているので、視覚的差異は小さいものの、称呼としては明確な差異を生じさせるものであり、例えば、「病気(びょうき)」と「美容器(びようき)」又は「病院(びょういん)」と「美容院(びよういん)」は、「よ」の文字が普通の文字であるか、小書き(捨て仮名)であるかの違いであるが、称呼上は充分に聴別できるものであり、日本では拗音にも充分な注意が払われている現状から、称呼上、出所混同を生じることはない非類似と評価できるものである。 (4)外観上の非該当性 本件商標と引用商標の外観を対比すると、本件商標は、欧文字3文字「BIY」と欧文字「O」にマクロンを付した文字と欧文字2文字「MA」の合計6文字であるのに対し、引用商標は欧文字5文字であり、両者は明確に異なり、全体として全く異なる印象を看者に与えるものである。 「BIYOMA」(「O」には「‐」が付いている。)のつづりは子音と母音のペアが3つ並んだ3つの母音からなる日本語的並びであるのに対し、「BYOMA」は2つの子音を伴った母音と子音と母音のペアの2つの母音からなる特異な並びとなった構成である。短いつづりからなる語の対比において、母音の数が3文字であるか2文字であるかの差は一目瞭然であると考えられる。 また、2文字目が「I」と「Y」で明確に異なることからも、両者は外観上、充分な差異を有するものである。さらに、本件商標の第4文字目の「O」の上には横棒のマクロンが存在するので、視覚的に大きな特徴となり、彼我混同を生じることのない、また大きな差異のある構成要素となっているので、外観上も非類似である。 (5)観念上の非該当性 本件商標と引用商標は、いずれも直ちに特定の観念が生ずることはない語と考えられるため、観念が特定しない商標同士を対比しても類似すると判断することは出来ないものと考えられる。観念が類似して出所混同が惹起される事になる関係にはないと評価され、観念上も非類似である。 (6)小括 以上のとおり、本件商標から自然に生じる称呼は「ビヨーマ」であり、「ビヨマ」が生じることは自然には考えられないことが明白である。上述した被請求人の反論により、請求人の主張に論拠をあたえるような事実の指摘は存在しないことが明らかとなった。 これを要するに「「ビヨーマ」の称呼も生じるが、なお、多くの場合「ビヨマ」の称呼をもって取引に当たることも多いと言わなければならない。」との主張には明確な論拠が存在しないことが判明したと考えられる。 したがって、「ビヨマ」の称呼をもって引用商標「BYOMA」の称呼「ビョマ」と称呼上類似する又は類似する可能性があるとの主張は認められないので、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの主張は成り立たず、無効審判の請求の理由は無いといわざるを得ない。 ちなみに「ビヨマ」の3音の称呼と「ビョマ」の2音の称呼は全体の音数が3音と2音という極めて短い音構成のうちで、印象の最も強い第1音において「ビ」と「ビョ」の明確な差があり、第2音において「ヨ」音の有無という明確な差が存在するので、最終音「マ」を共通にするとしても類似上類似するとは考えられない。 6 出所混同の蓋然性 (1)対比観察 本件商標と引用商標とを対比観察をすれば、比較的商標が込み合って近似する商標も多数併存している化粧品の業界において、需要者として注意力が要求されている中で場慣れした知識の詰まった需要者が両商標を見誤る可能性は全くないと考えられる。 また、例え電話等による視覚に訴えない取引があったとしても、日本人にとって「ビ」「ヨ」の2称呼と「ビョ」の1称呼を聞き誤るおそれは全くないと考えられる。通常の会話で、美容・理容を秒・量と聞き間違う可能性は考えられず、この誤認を追求して類似判断を拡大することは取引の実情を正確に評価した判断とは考えられない。まして、同一称呼の商標の評価において、視覚に訴える部分が出所混同の不存在の表示として問題視されている中で、称呼の拡大が容認され類似と判断されるとは到底考えられない。 (2)長音記号 本件商標の中央上部に存在する「‐」記号は長音記号として辞書やインターネットの調査でも正当に評価されている。 上記のとおり、「‐」を数字の「0」と区別する記号だとか、記号が付いていなくても「オー」と読むとか、山形「^」が一般的な長音記号だとかの事実の存在は認めるが、問題はローマ字「O」の上部に「‐」が付加された本件商標から生じる称呼であって、その称呼は、請求人の主張する「ビヨマ」ではなく「ビヨーマ」であり、「ビヨマ」が生じる可能性はほとんど無いと判断できると評価される。 すなわち、本件商標は長音記号の付いた商標であり、その称呼は「ビヨーマ」であり、多くの場合「ビヨマ」と称呼されることはないと評価されるものである。 また、例え理解できない又は長音記号ではないと誤解していたとしても無視はできないのであって、本件商標と引用商標とは彼我混同を生じない程度に非類似の商標であると評価される。 (3)称呼同一でも非類似 最近の類否判断においては、現実の出所混同の可能性(蓋然性)の実在が判断要素とされており、仮に称呼を共通にする商標であっても、外観・観念が明らかに異なれば、出所混同のおそれがないと判断され非類似と判断される例が多数散見されている。商標の外観、観念又は称呼の類似は、一応の類似判断基準に過ぎない。上記3点のうちその1において類似するものであっても、他の2点において著しく相違すること、その他具体的な取引の実情等によって、商品の出所に誤認混同を来たすおそれの認め難いものについては、これを類似商標と解すべきではないとされている(平成17年(行ケ)10764、平成23年(行ケ)10040、不服2004-7235審決参照)。 本件商標と引用商標とを対比すると、4音と2音で称呼が明確に異なり、外観も異なることから、現実には商品の出所混同は生じないと考えられ、これを類似と判断することは、他の類否の判断の基準との間に大きな差が生じて来ることになり、類否の判断を左右し、確立しつつある予見可能性の判断に予断を生じさせる結果とならざるを得ない。(先審決例:不服2018-3806、不服2017-650021) 本件商標と引用商標が仮に称呼上で類似する場合があると考えたとしても、外観が明確に異なり、観念は比較することが出来ないことを考慮すれば、出所混同を惹起する蓋然性はないとの結論が導き出されるものと考えられるので、上記審決同様に非類似と判断されるべき事例と考えられる。 同一称呼であっても外観・観念が相違することが評価されて出所混同を生じない商標として併存登録が多数容認されている審査・審判の実情から考えて、本件商標「ビヨーマ」と引用商標「ビョマ」とが、音数及び拗音、長音の明確な差異があるにもかかわらず、類似すると判断されるとは、先登録例の予見性・衡平の観点からは考え難いのではないかと考えられる。 7 結語 以上のとおり、本件商標は、請求人の所有する引用商標(審決注:本件審判請求当時。引用商標の商標権者は2024年7月11日(国際登録記録年月日)請求人からByoma Limitedへ移転している。)とは出所混同の蓋然性のない非類似の商標と考えられるので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しないものである。 第5 当審の判断 1 本件審判の請求の利益について 請求人が、本件審判を請求する利害関係を有することについて、当事者間に争いがないので、本案について判断する。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、「BIYOMA」(「O」の文字には「‐」が付いている。)の文字を横書きしてなるところ、その構成文字中の「O」の上に付された「‐」は、一般に「マクロン」と称されている記号であり、「マクロン(英語: macron)は、ダイアクリティカルマーク(発音区別符号)の一つで、長音記号ともいう。」(乙1:ウィキペディア)を意味し、欧文字を発音するときの長音記号として使用されているものである。 また、「BIYOMA」(「O」には「‐」が付いている。)の文字は、一般の辞書に掲載のない単語といえるものであるところ、欧文字からなる商標においてそれが特定の意味合いを有する親しまれたものでない場合には、該文字はローマ字読み又は我が国では普及している外国語である英語読みに倣って発音される場合が少なくないことからすれば、本件商標はその構成文字に相応して「ビヨーマ」と称呼されるとするのが自然であるといえる。 そして、該文字は、上記のとおり、一般の辞書に掲載のない一種の造語といえるものであるから、本件商標は、特定の観念を生じないものである。 そうすると、本件商標は、「ビヨーマ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「BYOMA」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は一般の辞書に掲載のない単語といえるものであることからすれば、上記(1)と同様に、その構成文字に相応して、ローマ字読みの場合は「ビョマ」、「ビョーマ」、英語読みの場合は、「BY(by)」の文字について、例えば英単語の「by」が「バイ」、「byte」が「バイト」と発音されることすれば「バイ」と発音され、全体としては「バイオマ」と称呼されるとするのが自然であるといえる。 そして、該文字は、上記のとおり、一般の辞書に掲載のない一種の造語といえるものであるから、本件商標は、特定の観念を生じないものである。 そうすると、引用商標は、「ビョマ」、「ビョーマ」及び「バイオマ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 外観 本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなり、「B」、「Y」、「O」、「M」及び「A」の文字を共通にするとしても、本件商標の2文字目における「I」の文字の有無の相違、及び「O」の文字の「‐」の有無の相違を有しており、これらの差異が、6文字と5文字という比較的短い構成文字の比較において、両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、外観上明確に区別できるものである。 イ 称呼 (ア)本件商標の「ビヨーマ」の称呼と引用商標の「ビョマ」の称呼を比較すると、語尾の「マ」を共通にするとしても、本件商標は語頭から3音目までを「ビヨー」と3音で発音されるのに対して、引用商標は語頭からは「ビョ」と1音で発音されることからすれば、これらの差異音が4音と2音の短い構成音の比較においては、両者の称呼全体に与える影響は大きく両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、称呼上明確に区別できるものである。 (イ)本件商標の「ビヨーマ」の称呼と引用商標の「ビョーマ」の称呼を比較すると、語尾の「ーマ」を共通にするとしても、称呼を識別するうえで重要な要素である語頭の音において「ビヨ」と「ビョ」の差異を有しており、これらの差異音が4音と3音の短い構成音の比較においては、両者の称呼全体に与える影響は大きく両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、称呼上明確に区別できるものである。 (ウ)本件商標の「ビヨーマ」の称呼と引用商標の「バイオマ」の称呼を比較すると、語尾の「マ」の音を共通にするとしても、その他の音である「ビヨー」の音と「バイオ」の音の差異を有しており、4音同士の短い構成音の比較においては、両者の称呼全体に与える影響は大きく両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、称呼上明確に区別できるものである。 ウ 観念 観念について、本件商標と引用商標は、ともに特定の観念を生じないから比較することはできない。 エ 小括 上記アないしウのとおり、本件商標と引用商標は、観念においてともに特定の観念を生じないものであるから比較することはできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれはなく、これらを総合的に勘案すると、両商標は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。 その他、本件商標と引用商標とが類似するという理由は見いだせない。 したがって、本件商標の指定商品中、第3類の請求に係る商品と引用商標の指定商品である別掲3の指定商品が同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 請求人の主張 請求人は、本件商標を全体として観察した場合に、マクロンの「‐」は外観上極めて小さなものであり、また、甲第5号証ないし甲第7号証の使用例においてもうかがわれるように、商品及びその容器はサイズの小さいものが普通であり、商標の表示自体も小さいことが多くなるのであるから、必ずしも容易に視認されるとはいえない旨主張する。 しかしながら、本件商標の「‐」の横幅は、「O」の文字の横幅と比較しても極端に短いものではないことからすれば、容易に視認できないほど小さいものとはいえないとするのが自然である。 また、請求人は、昨今において「‐」が長音を表すことは、必ずしも普遍的、一般的な表記として馴染まれているとはいえず、むしろ単にアルファベットの「O」を数字の「0」と区別するために使用されることも多い旨主張する。 請求人の主張は必ずしも否定するものではないが、「‐」は、一般の辞書に掲載されている記号の一つであることからして、該「‐」が長音記号として認識される場合も少なくないとみるのが自然である。 したがって、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標の請求に係る指定商品の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすることはできない。

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2023-890015

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