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商標無効審判

2023-890073

アセノン

審判番号
2023-890073
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2022-009779
登録番号
6600977
請求日
2023年09月13日
審決日
2024年04月22日
公報発行日
2024年07月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】コモライフ 株式会社
  • 【請求人代理人】杉本 勝徳
  • 【被請求人】株式会社 ジャパンビューティプロダクツ
  • 【被請求人代理人】鶴 由貴
  • 【被請求人代理人】田島 駿煕
審判長/審判官
  • 審判長 豊瀬 京太郎
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T112 .261-Y (W03) / T112 .262-Y (W03) / T112 .263-Y (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6600977号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6600977号商標(以下「本件商標」という。)は、「アセノン」の片仮名を標準文字で表してなり、令和4年1月28日に登録出願、第3類「かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つけづめ,つけまつ毛,化粧用綿棒」を指定商品として、同年7月22日に登録査定、同年8月15日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、引用する登録3289761号商標(以下「引用商標」という。)は、「アセモン」の片仮名を横書きしてなり、平成7年4月28日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同9年4月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中「化粧品」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、請求に係る商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 請求人について 請求人は、本件商標と類似の商標「Asenon」(以下「請求人商標」という。)を使用する者であって(甲2)、請求人商標を使用する準備を開始した時期は、生協その他の関係者にその旨を伝達した時の2021年(令和3年)11月であり、製品、製品容器、包装箱の制作を発注している(甲5ないし甲9)。 請求人が、請求人商標を使用し始めた直後、被請求人は、請求人商標を使用しているのを察知して、本件商標を出願し登録した。その結果、請求人は請求人商標を使用出来なくなった。 さらに、被請求人は、請求人に対して、令和4年6月14日付け「ご連絡」(甲3)にて、本件商標を出願中であること、及び、令和5年1月16日付け「通知書」(甲4)にて、本件商標が登録されたことに基づく差止請求をすることを通知してきた。 したがって、請求人は、本件商標の無効を請求できる利害関係人である。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標から生じる「アセノン」の称呼と引用商標から生じる「アセモン」の称呼とは「ノ」と「モ」の違いだけであって、「ノ」と「モ」は母音を共通にするものである。そうすると、全体として称呼したときには「ノ」と「モ」の違いが聴別しづらく、音声の取引世界において本件商標と引用商標とは極めて紛らわしいと思われる。 当該主張が正当であることは、商願2018-74539号の審査結果(甲11)より、明らかである。また、「ノ」と「モ」の相違による類似審決例にあるように、昭和、平成を経て今日に至るまで、「ノ」と「モ」の相違による類似審決は脈々と継続されている。 以上の事実から、本件商標と引用商標は、類似の商標である。 (2)まとめ したがって、本件商標は、請求に係る商品について、商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べた。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)判断枠組み 商標の類否は、対比される商標が外観、観念、称呼のいずれも類似しない場合はもとより、たとえ請求人の主張のように称呼が類似するものであったとしても、このことからただちに両商標が類似するとされるものではなく、取引の実情等を総合考慮してその商標を使用した商品につき出所の誤認混同が生じるおそれがあるかどうかによって判断される。 (2)外観の類似性 本件商標の表記は、「アセノン」というものである一方、引用商標の表記は「アセモン」というものである。このうち両商標は、4文字中3文字が共通するものの、異なる1文字である「ノ」と「モ」の違いは外観上明らかである。したがって、両商標の外観上の類似性がないことは一般消費者においても明らかである。 (3)観念の類似性 本件商標は、「汗(アセ)」+「ノン(none)」という2つの単語を組み合わせた造語であり、この商品が付された化粧品を見た一般消費者においては、「汗をなくす」あるいは「汗によって生じるデメリットを排除する。」という意味と理解する。 一方で、引用商標については、「汗しん」、「しもやけ」などを防ぐことを目的にした商品であり、一般消費者においては、「あせも(ん)」ということから想像するに、「汗しん」等皮膚湿しんに対して何らかの効果を発揮する製品と理解する。 このように、本件商標は、一般消費者が汗を防ぐ効果を発揮するというような意味と理解する一方、引用商標については、「汗しん」等の皮膚湿しんに対して効果を発揮すると理解するものであるため、両者の意味内容は大きく異なる。 したがって、観念の類似性がないことも一般消費者にとっては明らかである。 (4)称呼の類似性 本件商標及び引用商標は、いずれも4音と短い音で構成されているため、一音の違いが称呼全体に与える影響は相対的に大きいものとなる。また、両商標の相違音である「ノ」及び「モ」は弱音である「ン」の前に位置していることから、両相違音は強く発音されるため、その違いが明瞭に聞こえるから、称呼の類似性も認められない。 なお、請求人が挙げている、昭和56年審判第4354号以外の審判については、「ノ」及び「モ」が弱音の前に位置する称呼の事例ではないため、本件の参考事案とはならない。 また、請求人が挙げている昭和56年審判第4354号は、「ノ」及び「モ」の直前の音が「タ」という破裂音である事例であるのに対して、本件は、両商標中の「ノ」及び「モ」の直前の音が「セ」という摩擦音であるという事例である。そのため、昭和56年審判第4354号の事例も本件とは異なる事例であるため、本件の参考事案とはならない。 (5)取引の実情も考慮した総合考慮 なお、仮に、称呼の類似性が認められるとしても、取引の実情も考慮すれば、一般消費者が両商標の付された化粧品の出所を誤認混同するおそれはない。 そもそも、請求に係る商品「化粧品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)に規定する「化粧品」の大部分及び「医薬部外品」のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが該当し、女性用のみならず、男性用又は乳児用の商品も含まれるとされているところ、薬機法上の医薬部外品も化粧品も、その直接の容器又は直接の被包に名称を付すことが義務付けられている(医薬部外品については薬機法第59条第2号、化粧品については同法第61条第2号)。すなわち、「化粧品」の取引の際には、そのパッケージ等に商標が付されているのが通常であるといえる。 そして、一般消費者が「化粧品」を選ぶ際は、現物を見たり、あるいはインターネット等で実際に製品の外観の画像及び効能等を見たりして購入するか否かを判断するのであり、商品の称呼のみによって化粧品を選ぶことはない。そして、一般消費者が目にする「化粧品」のパッケージ等の外観には上述のとおり商標が付されている。そのため、一般消費者が化粧品の取引をする際は、称呼はあまり重視せず、むしろ外観や観念を重視するのが一般的であるといえる。 そのため、化粧品の取引の実情を踏まえれば、両商標に称呼の類似性が認められたとしても、両商標が類似しているか否かについては外観及び観念の類似性を重視すべきである。そして、上述のとおり、両商標には外観及び観念の類似性は認められない以上、両商標が使用させることにより商品の出所について誤認混同のおそれは生じないため、両商標が非類似であることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 付言事項 請求人は、被請求人が商標を盗用し、登録出願したような主張をしているが、被請求人は独自に本件商標を考案し、販売する準備を進めていたのであり、請求人が同じ標章で検討していた事実を一切知らなかったし、そもそも知り得なかった。 加えて、請求人が引用する商願2018-74539号は、平成31年3月5日に拒絶理由通知書が発せられたにもかかわらず、意見書を提出しなかったため、通知した拒絶理由が解消されていないとして拒絶査定が出たにすぎない(甲11の3)。 第5 当審の判断 1 利害関係について 請求人が本件審判を請求することの利害関係の有無については、当事者間に争いがなく、当審は請求人が本件審判の請求について利害関係を有すると認める。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「アセノン」の片仮名を標準文字で表してなるところ、当該文字は一般的な辞書等に掲載されている語ではなく、特定の意味合いを有する語として親しまれているといった事情も見当たらないことから、特定の意味合いを認識させない造語といえる。 そうすると、本件商標よりは、その構成文字に相応して「アセノン」の称呼を生じ、また、特定の観念は生じない。 (2)引用商標について 引用商標は、上記第2のとおり、「アセモン」の片仮名を横書きしてなるところ、当該文字は一般的な辞書等に掲載されている語ではなく、特定の意味合いを有する語として親しまれているといった事情も見当たらないことから、特定の意味合いを認識させない造語といえる。 そうすると、引用商標よりは、その構成文字に相応して「アセモン」の称呼を生じ、また、特定の観念は生じない。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とを比較するに、外観においては、ともに4文字という短い構成中、3文字目の「ノ」と「モ」の文字において差異を有し、互いに異なる語を表してなると認識、理解できるものであるから、外観上、明確に区別できるものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「アセノン」の称呼と引用商標から生じる「アセモン」の称呼とは、ともに4音という短い音構成にあって、3音目の「ノ」と「モ」の差異音が全体の称呼に与える影響は小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼しても聞き誤るおそれはないから、称呼上、明確に聴別できるものである。 そして、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから、比較することができない。 以上を踏まえると、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別できるものであって、称呼においても明確に聴別できるものであり、観念においては比較できないものであるから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 (4)請求人の主張について 請求人は、商願2018-74539号の審査結果(甲11)、及び、「ノ」と「モ」の差異音に関する過去の審決例を挙げ、それらと同様に、本件商標と引用商標とは類似の商標と判断されるべきである旨主張する。 しかしながら、商標の類否の判断は、出願された商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断すべきものであり、また、請求人の挙げる審決例と本件とは、商標の構成等を異にするものであるから、当該審決例によって、直ちに本件商標に係る判断が左右されるものではない。 そして、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることは、上記(3)のとおりである。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 (5)小括 したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標の指定商品中、請求に係る商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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