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特許異議申立

2023-700453

ショット処理装置及びショット処理装置の制御方法

審判番号
2023-700453
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-112641
登録番号
7183971
請求日
2023年05月01日
審決日
2024年12月19日
公報発行日
2025年04月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】新東工業株式会社
  • 【権利者代理人】園田・小林弁理士法人
  • 【異議申立人】株式会社 不二製作所
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人小倉特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 刈間 宏信
  • 審判官 田々井 正吾
  • 審判官 本庄 亮太郎
分類
P1651.121-YAA(B24C) / P1651.537-YAA(B24C) / P1651.536-YAA(B24C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7183971号発明「ショット処理装置及びショット処理装置の制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7183971号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、10、11、〔12、17〕、〔13~15〕、16について訂正することを認める。 特許第7183971号の請求項1~17に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7183971号の請求項1~17に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和元年6月18日に出願され、令和4年11月28日にその特許権の設定登録がされ、令和4年12月6日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての主な経緯は、次のとおりである。 1 令和5年5月1日 特許異議申立人株式会社不二製作所(以下「申立人」という。)による請求項1~17に係る特許に対する特許異議の申立て。 2 令和5年9月21日付け 特許権者新東工業株式会社(以下「特許権者」という。)に対して取消理由を通知。(以下、この取消理由通知を「第1回取消理由通知」という。) 3 令和5年11月27日 特許権者による訂正請求(以下「先にした訂正請求」という。)と意見書の提出。 4 令和5年12月28日 特許権者による上記3の先にした訂正請求の訂正請求書を補正する手続補正書の提出。 5 令和6年2月21日 申立人による意見書の提出。 6 令和6年5月7日付け 特許権者に対して取消理由を通知(決定の予告)。(以下、この取消理由通知を単に「決定の予告」という。) 7 令和6年7月10日 特許権者による訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)と意見書の提出。 8 令和6年8月29日 申立人による意見書の提出。 本件訂正請求がされたため、先にした訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正請求による訂正の適否 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の適否について検討する。 1 請求の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~17について訂正することを求めるものである。 2 一群の請求項についての説明 (1)請求項1~9 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は、直接的又は間接的に請求項1を引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)請求項12、17 訂正前の請求項12、17について、請求項17は、請求項12を引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項12に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項12、17に対応する訂正後の請求項12、17は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (3)請求項13~15 訂正前の請求項13~15について、請求項14~15は、請求項13を引用しているものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項13に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項13~15に対応する訂正後の請求項13~15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 独立特許要件 本件特許異議申立てにおいては、本件訂正前の全ての請求項1~17について特許異議申立てがされているので、本件訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4 請求項1~9に係る訂正 (1)訂正事項(下線部は訂正箇所。以下第2において同じ。) ア 訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記負圧計の検出結果に基づいて、前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れを含む、動作異常、または動作異常の予兆を検出する」と記載されているのを、「検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて、前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~9も同様に訂正する。) イ 訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項4に「前記圧縮空気を選択的に供給する三方弁」と記載されているのを、「前記圧縮空気を選択的に供給する第一の三方弁」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5~9も同様に訂正する。) ウ 訂正事項3 訂正前の特許請求の範囲の請求項5に「前記三方弁は、前記ノズル又は前記搬送路内に前記圧縮空気を選択的に供給する第一の三方弁と、」と記載されているのを、「前記詰まり解除機構は、」に訂正するとともに、「第二の三方弁とを備える」と記載されているのを「第二の三方弁を備える」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6~9も同様に訂正する)。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項6に「前記搬送路の延在する方向に前記負圧計が複数設けられている」と記載されているのを、「前記搬送路の延在する方向に沿って前記負圧計が複数設けられている」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7~9も同様に訂正する。) オ 訂正事項5 訂正前の特許請求の範囲の請求項7~9に「前記負圧計は」と記載されているのを、「複数設けられている前記負圧計のうちの一つは」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8~9も同様に訂正し、請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する)。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「前記搬送路と前記ノズルとの接合部近傍に設けられている」と記載されているのを、「前記搬送路と前記ノズルとの接合部に設けられている」に訂正する。(請求項7の記載を引用する請求項8~9も同様に訂正する。) キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「前記貯留部と前記搬送路との接合部近傍に設けられている」と記載されているのを、「前記貯留部と前記搬送路との接合部に設けられている」に訂正する。(請求項8の記載を引用する請求項9も同様に訂正する。) (2)一群の請求項の訂正事項であること 訂正事項1~7は、上記2(1)の一群の請求項である請求項1~9を訂正するものである。 (3)訂正事項1~7の訂正要件の検討 ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的 a 訂正事項1は、訂正前の「前記負圧計の検出結果」を「検出した前記負圧の振幅および周波数」と訂正することで、負圧計の検出結果が、検出した負圧の振幅及び周波数であることを具体化して減縮するものである。 b また、訂正事項1は、「前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れを含む、動作異常、または動作異常の予兆」を「前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆」と訂正することで、請求項1における異常検出部が検出する対象である「動作異常」と「動作異常の予兆」について、訂正前は、いずれも「搬送路の詰まり」又は/および「搬送路からの気密破れ」を含むものであったのに対して、訂正後は、前者が「搬送路の詰まり」もしくは/および「搬送路からの気密破れ」を含む動作異常であり、後者が「搬送路の詰まりとなる」動作異常の予兆であるものに減縮するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、上記(ア)のとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の負圧計の検出結果が、負圧計により検出された負圧の振幅及び周波数であることを具体化し、異常検出部が検出する対象である異常および異常の予兆の事象を減縮するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件明細書等の段落【0035】~【0041】、図3~6の記載からみて、動作異常が「搬送路の詰まり」、もしくは/および「搬送路からの気密破れ」を含み、動作異常の予兆が「搬送路の詰まり」となることが把握される。 そして、段落【0039】~【0040】、及び図4~5には、 (a)負圧が、図4の点線56と57、図5の点線58と59の間で、ある周期幅を持って振動している状態(図4、5の点線範囲52,53)を正常状態 (b)負圧が、点線58、59を超えて外れた場合(図5の55)を動作異常 (c)負圧が、図5の点線58、59内に波形の振幅は収まっているが、周期が正常状態と異なり不規則な場合(図5の点線範囲54)を搬送路(ホース)の詰まりとなる動作異常の予兆 として検出することが記載されている。 図4 [図:0001421336000001.jpg] 図5 [図:0001421336000002.jpg] ここで、(b)の動作異常と、(c)搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆は、いずれも(a)の正常状態と、振幅及び周波数が異なることが把握され、この振幅と周波数に基づいて検出できることが理解できるから、本件明細書等には、検出した負圧の振幅および周波数に基づいて、搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出することが記載されているといえる。 したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項2 (ア)訂正の目的 訂正事項2は、第1回取消理由通知における取消理由において、「請求項4を引用する請求項5に記載した「前記ノズル又は前記搬送路内に前記圧縮空気を選択的に供給する第一の三方弁」について、特許請求の範囲の請求項4に記載した「前記圧縮空気を受け入れるとともに前記ノズルまたは前記搬送路内に前記圧縮空気を選択的に供給する三方弁」との関係が不明である。」と三方弁に関する記載不備があることを説示したことに対して、訂正前の請求項4の「三方弁」を「第一の三方弁」と訂正することで、その関係を明確にするものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、上記(ア)のとおり「三方弁」に関する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5の「前記搬送路内に前記圧縮空気を選択的に供給する第一の三方弁と」の記載、及び本件明細書等の段落【0031】、【0035】、及び図1の三方弁に関する記載に基づき、訂正前の請求項4の記載の「三方弁」との記載を「第一の三方弁」に訂正したものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 訂正事項3 (ア)訂正の目的 訂正事項3は、訂正事項2で明瞭でない記載の釈明を目的として、請求項4を訂正したことに伴い、詰まり解除機構と三方弁の関係が明瞭となるように訂正前の請求項5の記載内容を訂正したものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、上記(ア)の詰まり解除機構と三方弁の関係が明瞭となるように、訂正前の請求項5の記載内容を訂正するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、上記(イ)のとおり、訂正前の請求項5の詰まり解除機構と三方弁の関係が明瞭となるように訂正するものであり、また、第一及び第二の三方弁が詰まり解除機構を構成することは、本件明細書等の段落【0035】に記載されている。 したがって、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項4 (ア)訂正の目的 訂正事項4は、「搬送路の延在する方向」と「負圧計が複数設けられている」ことの関係について、「前記搬送路の延在する方向に沿って前記負圧計が複数設けられている」と訂正することで明確にするものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、上記(ア)のとおり「負圧計」が搬送路の延在する方向に沿って複数設けられることを明瞭にするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 段落【0046】、及び図7の記載からみて、搬送路の延在する方向に沿って負圧計が複数設けられていることが把握される。 したがって、訂正事項4は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 オ 訂正事項5 (ア)訂正の目的 訂正事項5は、第1回取消理由通知における取消理由において、「請求項6に記載された「前記搬送路に、前記搬送路の延在する方向に前記負圧計が複数設けられている」の発明特定事項と、請求項7~9に記載した負圧計に関する発明特定事項の内容との関係が不明瞭である。」と負圧計に関する記載不備があることを説示したことに対して、請求項6と請求項7~9の関係を明確化するために、請求項7~9に「前記負圧計は」と記載されているのを、請求項6に整合するように「複数設けられている前記負圧計のうちの一つは」と訂正するものである。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、上記(ア)のとおり請求項7~9の「負圧計」が、請求項6の「複数設けられている前記負圧計のうちの一つ」であることを明瞭にするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正前の請求項7~9は訂正前の請求項6を引用し、請求項6には負圧計が複数設けられていることが記載されているから、請求項7~9の負圧計が「複数設けられている前記負圧計のうちの一つ」であることは明らかである。 したがって、訂正事項5は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 カ 訂正事項6 (ア)訂正の目的 訂正事項6は、第1回取消理由通知における取消理由において、「請求項7、及び請求項8に記載した「接合部近傍」の用語は、“近傍”で表される距離的範囲が定まらず、その意味が不明瞭である。」と接合部に関する記載不備があることを説示したことに対して、特許請求の範囲の請求項7~8の「前記搬送路と前記ノズルとの接合部近傍」における「近傍」の語を削除してその不備を解消しようとするものである。 したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、上記(ア)のとおり「接合部」に関する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、特許請求の範囲の請求項7の「接合部近傍」において範囲を不明確にする「近傍」の語を削除して、「接合部」と明確化するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 段落【0046】、及び図7の記載からみて、複数設けられた負圧計のうちの一つである負圧計7aが、「搬送路とノズルとの接合部」に設けられていることが把握される。 したがって、訂正事項6は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 キ 訂正事項7 (ア)訂正の目的 訂正事項7は、訂正事項6と同じく、上記カ(ア)における取消理由の説示に対して、特許請求の範囲の請求項8の「前記貯留部と前記搬送路との接合部近傍」における「近傍」の語を削除してその不備を解消しようとするものである。 したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の請求項8の「接合部」に関する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、「接合部近傍」において範囲を不明確にする「近傍」の語を削除して、「接合部」と明確化するものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 段落【0026】、【0046】、及び図7の記載からみて、複数設けられた負圧計のうちの一つである負圧計7が、「貯留部と搬送路との接合部」に設けられていることが把握される。 したがって、訂正事項7は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 5 請求項10に係る訂正 (1)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項10に「前記負圧計の検出結果に基づいて」と記載されているのを、「検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて」に訂正する。 (2)訂正事項8の訂正要件の検討 ア 訂正の目的 訂正事項8は、訂正前の「前記負圧計の検出結果」を「検出した前記負圧の振幅および周波数」と訂正することで、負圧計の検出結果が、検出した負圧の振幅及び周波数であることを具体化して減縮するものである。 したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項8は、上記(ア)のとおり、訂正前の特許請求の範囲の請求項10の負圧計の検出結果が、負圧計により検出された負圧の振幅及び周波数であることを具体化するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1について上記4(3)ア(ウ)で検討したのと同じく、本件明細書等の段落【0039】~【0040】、及び図4~5の記載からみて、異常検出部における「動作異常の判断」が、負圧の振幅及び周波数(周期)に基づき行われていることが把握される。 したがって、訂正事項8は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 6 請求項11に係る訂正 (1)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項11に「前記負圧計の検出結果に基づいて」と記載されているのを、「検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて」に訂正する。 (2)訂正事項9の訂正要件の検討 訂正事項9は、請求項10に対する訂正事項8と同様の内容の訂正を請求項11に対して行うものであり、上記5(2)ア~ウで検討したのと同じく、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 7 請求項12、17に係る訂正 (1)訂正事項10 訂正前の特許請求の範囲の請求項12に「前記負圧の検出結果に基づいて、前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れを含む、動作異常、または動作異常の予兆を検出する」と記載されているのを、「検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて、前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する」に訂正する(請求項12の記載を引用する請求項17も同様に訂正する)。 (2)一群の請求項の訂正事項であること 訂正事項10は、上記2(2)の一群の請求項である請求項12、17を訂正するものである。 (3)訂正事項10の訂正要件の検討 訂正事項10は、請求項1に対する訂正事項1と同様の内容の訂正を請求項12に対して行うものであり、上記4(3)ア(ア)~(ウ)で検討したのと同じく、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 8 請求項13~15に係る訂正 (1)訂正事項 ア 訂正事項11 訂正前の特許請求の範囲の請求項13に「前記負圧の検出結果に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する」と記載されているのを、「検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて、前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する」に訂正する(請求項13の記載を引用する請求項14、15も同様に訂正する)。 イ 訂正事項12 訂正前の特許請求の範囲の請求項15に「前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れである場合に警告を発する」と記載されているのを、「前記動作異常が前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れである場合に警告を発する」に訂正する。 (2)一群の請求項の訂正事項であること 訂正事項11~12は、上記2(3)の一群の請求項である請求項13~15を訂正するものである。 (3)訂正事項11~12の訂正要件の検討 ア 訂正事項11 訂正事項11は、請求項1に対する訂正事項1と同様の内容の訂正を請求項13に対して行うものであり、上記4(3)ア(ア)~(ウ)で検討したのと同じく、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項12 (ア)訂正の目的 訂正事項12は、訂正前の「前記動作異常、または動作異常の予兆が」を「前記動作異常が」と訂正することで、警告を発する場合となる「前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れ」が、「動作異常」と「動作異常の予兆」のいずれかであったものを、「動作異常」のみに限定するものである。 したがって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 訂正事項12は、上記(ア)のとおり、「前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れ」に関する2つの選択肢の一方のみに限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項12は、上記(ア)のとおり、2つの選択肢の一方のみに限定するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 9 請求項16に係る訂正 (1)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項16に「前記負圧の検出結果に基づいて」と記載されているのを、「検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて」に訂正する。 (2)訂正事項13の訂正要件の検討 訂正事項13は、請求項10に対する訂正事項8と同様の内容の訂正を請求項16に対して行うものであり、上記5(2)ア~ウで検討したのと同じく、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 10 小括 以上のとおりであるから、本件訂正の訂正事項1~13のうち、訂正事項1,8~13は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を、訂正事項2~7は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、いずれの訂正事項も、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、10、11、〔12、17〕、〔13~15〕、16について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~17に係る発明(以下、請求項1の特許に係る発明を「本件特許発明1」、他の請求項○に係る発明を同様に「本件特許発明○」といい、まとめて「本件特許発明」ということがある。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~17に記載した以下の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 ショット材を貯留する貯留部と、 前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、 前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、 前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、 前記搬送路内の負圧を検出する負圧計と、 検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて、前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する異常検出部と、 前記異常検出部の検出結果に基づいて作動する異常処置部と、 前記異常処置部の作動を制御する制御部と、 を備えるショット処理装置。 【請求項2】 前記異常処置部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、警告表示又は警告音を含む警告を発する警告機構を備える請求項1に記載のショット処理装置。 【請求項3】 前記異常処置部は、前記異常検出部で検出された検出結果に基づいて、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給する詰まり解除機構を備える請求項1又は2に記載のショット処理装置。 【請求項4】 前記詰まり解除機構は、前記圧縮空気を受け入れるとともに前記ノズルまたは前記搬送路内に前記圧縮空気を選択的に供給する第一の三方弁を備える請求項3に記載のショット処理装置。 【請求項5】 前記詰まり解除機構は、前記第一の三方弁と前記搬送路との間に介在し、前記第一の三方弁から前記圧縮空気を受け入れるとともに、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給する、または前記搬送路内を大気開放する、ことを選択的に行う第二の三方弁を備える請求項4に記載のショット処理装置。 【請求項6】 前記搬送路に、前記搬送路の延在する方向に沿って前記負圧計が複数設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載のショット処理装置。 【請求項7】 複数設けられている前記負圧計のうちの一つは、前記搬送路と前記ノズルとの接合部に設けられている請求項6に記載のショット処理装置。 【請求項8】 複数設けられている前記負圧計のうちの一つは、前記貯留部と前記搬送路との接合部に設けられている請求項6または7に記載のショット処理装置。 【請求項9】 複数設けられている前記負圧計のうちの一つは、前記搬送路と前記ノズルとの接合部と、前記貯留部と前記搬送路との接合部との間に介在する前記搬送路上に設けられている請求項8に記載のショット処理装置。 【請求項10】 ショット材を貯留する貯留部と、 前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、 前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、 前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、 前記搬送路内の負圧を検出する負圧計と、 検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、 前記搬送路内に前記圧縮空気を供給する詰まり解除機構と、 前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆であるか否かを判断する予兆判断部と、 前記予兆判断部が、詰まりの予兆であると判断すると、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給するよう前記詰まり解除機構を制御する制御部と、 を備えるショット処理装置。 【請求項11】 ショット材を貯留する貯留部と、 前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、 前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、 前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、 前記搬送路内の負圧を検出する負圧計と、 検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部と、 前記異常検出部の検出結果に基づいて、警告表示又は警告音を含む警告を発する警告機構と、 前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発するよう前記警告機構を制御する制御部と、を備えるショット処理装置。 【請求項12】 ショット材を貯留する貯留部と、前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、 前記搬送路内の負圧を検出すること、 検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて、前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出すること、 前記動作異常、または動作異常の予兆が検出されたときに、警告表示、警告音を含む警告を発すること、を含むショット処理装置の制御方法。 【請求項13】 ショット材を貯留する貯留部と、前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、 前記搬送路内の負圧を検出すること、 検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて、前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出すること、 前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合に、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給すること、 を含むショット処理装置の制御方法。 【請求項14】 前記搬送路内に前記圧縮空気を供給することをカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発すること、を含む請求項13に記載のショット処理装置の制御方法。 【請求項15】 前記動作異常が前記搬送路の詰まり、又は/および前記搬送路からの気密破れである場合に警告を発すること、を含む請求項13に記載のショット処理装置の制御方法。 【請求項16】 ショット材を貯留する貯留部と、前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置の制御方法であって、 前記搬送路内の負圧を検出すること、 検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて動作異常、または動作異常の予兆を検出すること、 前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントし、このカウントした値が設定された値以上のとき警告を発すること、 を含むショット処理装置の制御方法。 【請求項17】 前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合に、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給すること、を含む請求項12に記載のショット処理装置の制御方法。」 第4 特許権者に決定の予告で通知した取消理由 1 通知した取消理由 訂正前の請求項1~9、12、13~15、17に係る特許に対して、当審が決定の予告で特許権者に通知した取消理由の概要は、請求項1~9、12、13~15、17に係る特許は、第1回取消理由通知で通知した理由のうち、理由B(実施可能要件)及び理由C(サポート要件)により、依然として取り消すべきものであるというものである。 B.(実施可能要件)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 C.(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 上記1の取消理由の検討 (1)理由B(実施可能要件)について ア 対象請求項:1~9、12、13~15、17 イ 理由の概要 上記理由Bの取消理由の実施可能要件違反は、以下のとおりのものである。 本件特許の発明の詳細な説明には、異常検出部が検出する対象である動作異常の予兆として、「搬送路の詰まり」の動作異常の予兆のみならず「搬送路からの気密破れ」の動作異常の予兆も含む本件特許発明1~9、12、13~15、17を、当業者が実施できる程度に記載されているとはいえない。 ウ 理由の検討 これに対して、本件訂正後の本件特許発明1、12、13、15に係る発明は、いずれも、「動作異常の予兆」について、「搬送路からの気密破れ」は含まないから、本件特許の発明の詳細な説明は、本件特許発明1及び同発明を引用する本件特許発明2~9、本件特許発明12及び同発明を引用する本件特許発明17、本件特許発明13及び同発明を引用する本件特許発明14~15は、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものといえる。 よって、請求項1~9、12、13~15、17に係る特許は、理由Bにより取り消すことはできない。 (2)理由C(サポート要件)について ア 対象請求項:請求項1~9、12、13~15、17 イ 理由の概要 上記Cの理由のサポート要件違反は、以下のとおりものである。 本件の発明の詳細な説明には、「搬送路の詰まり」の動作異常の予兆については、本件発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されているといえるものの、「搬送路の気密破れ」の動作異常の予兆については、当該課題が解決できるように当業者が認識できるようには記載されていない。 したがって本件特許の発明の詳細な説明の記載は、動作異常の予兆として「搬送路の詰まり」に加えて「搬送路の気密破れ」までも含む本件特許発明1~9、12、13~15、17の範囲まで拡張ないし一般化できるとはいえず、本件特許発明1~9、12、13~15、17は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 ウ 理由の検討 これに対して、上記(1)ウのとおり、本件訂正後の本件特許発明1、12、13、15に係る発明は、いずれも、「動作異常の予兆」について、「搬送路からの気密破れ」を含まないから、本件特許発明1及び同発明を引用する本件特許発明2~9、本件特許発明12及び同発明を引用する本件特許発明17、本件特許発明13及び同発明を引用する本件特許発明14~15は、発明の詳細な説明に記載した発明であるといえる。 よって、請求項1~9、12、13~15、17に係る特許は、理由Cにより取り消すことはできない。 3 小括 よって、決定の予告で通知した取消理由の理由B(実施可能要件)及び理由C(サポート要件)によっては、請求項1~9、12、13~15、17に係る特許を取り消すことはできない。 第5 決定の予告において採用しなかった特許異議申立理由について 1 非採用申立理由1(進歩性) <甲1を主引用例とする進歩性欠如の理由> (1)特許異議申立書における申立理由の要旨 本件訂正前の請求項1~17に係る発明は、甲1記載の発明を主引用例として、甲2~19記載の発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)特許異議申立書に添付された甲号証について 特許異議申立理由で引用された甲号証(以下、甲第○号証を「甲○」という。) 甲1:特開2008-68368号公報 甲2:特開2007-125676号公報 甲3:特開平9-248762号公報 甲4:特開2006-110644号公報 甲5:特開2012-157956号公報 甲6:特開2005-81525号公報 甲7:「ショットピーニングの方法と効果-金属疲労・残留応力-」、ショットピーニング技術協会、日刊工業新聞社、1997年12月24日、p.152 甲8:特開昭61-241067号公報 甲9:特開昭62-236674号公報 甲10:登録実用新案第3124643号公報 甲11:特開昭63-120098号公報 甲12:特開2006-102824号公報 甲13:特開2011-205772号公報 甲14:特開2006-67153号公報 甲15:特開2005-212689号公報 甲16:特開2004-96888号公報 甲17:特開2000-9505号公報 甲18:特開平10-294973号公報 甲19:特開2001-136384号公報 (3)主引用例の甲1について ア 明細書の記載事項(下線は当審で付与。) 「【0023】 図1は、実施の形態のブラスト装置10の全体構成を示した説明図であり、図2はブラスト装置10の容器12を示した斜視図である。 【0024】 これらの図に示すようにブラスト装置10は、円筒型の容器12、吸引管14、モータ(回転駆動部)16、ホース18、エジェクタノズル20、エアコンプレッサ22、負圧センサ(圧力センサ)24、バルブ26、及び制御部28等から構成される。 【0025】 容器12は、台座30上に設置されており、その内部にはブラスト媒体であるスポンジブラスト媒体32が貯留されている。なお、台座30の3本の脚部31、31、31の下部にキャスタをそれぞれ設けることにより、容器12を所望の位置に簡単に移動することができる。また、ブラスト媒体としてスポンジブラスト媒体32を例示したが、これに限定されるものではなく、サンド、スチール等、他のブラスト媒体であってもよい。 【0026】 吸引管14は、容器12の中心軸Pに沿って容器12内に挿入され、容器12の上部開口部にねじ固定された十字形状のプレート34にベアリング36を介して回転自在に支持されている。・・・ ・・・ 【0028】 ホース18の基端部18Aは、吸引管14の上部に回転継手48を介して連結され、その先端部にエジェクタノズル20が連結されている。また、ホース18の基端部18Aは、エジェクタ構造(図1では詳細を不図示)となっており、その圧縮エア供給口50はバルブ26を介してエアコンプレッサ22に接続されている。 【0029】 エジェクタノズル20は、レバー(引き金)52を有するガンタイプのもので、エアホース54を介してエアコンプレッサ22に接続される。このレバー52が作業者によって引かれると、エジェクタノズル20に内蔵されたノズル(不図示)が開放されることにより、エアコンプレッサ22からの圧縮エアがエジェクタノズル20内に導入され、これによって生じるエジェクタ効果により、容器12内のスポンジブラスト媒体32が吸引管14、ホース18を介してエジェクタノズル20に吸引され、エジェクタノズル20の噴射口56から圧縮エアとともに噴射される。 【0030】 負圧センサ24は、回転継手48とホース18の基端部18Aとを遮蔽するシール58の近傍に設けられるとともに、吸引管14内の負圧を測定可能な位置に取り付けられている。負圧センサ24によって計測された負圧を示す情報は、制御部28に出力される。制御部は、この情報に基づいてモータ16の回転数やバルブ26の開閉を制御する。 【0031】 次に、前記の如く構成されたブラスト装置10の作用について説明する。 【0032】 まず、実施の形態のブラスト装置10は、段取り工数を削減するため、従来使用していた大型ブロアに代えて、スポンジブラスト媒体32を負圧吸引し噴射させるエアコンプレッサ22を使用することにより、小型、簡易なブラスト装置10を提供している。 【0033】 すなわち、実施の形態のブラスト装置10は、容器12内に貯留されたスポンジブラスト媒体32の中で、吸引管14をモータ16の駆動力により所定の回転数で回転させる。この場合、スポンジブラスト媒体32が抵抗となり、吸引管14の回転には大きな回転トルクを要するため、エアコンプレッサ22からエジェクタノズル20に圧縮エアを供給することにより生じるエジェクタ効果を利用して、吸引管14の下部吸引口38からスポンジブラスト媒体32を吸引しながら、いわば、スポンジブラスト媒体32が無くなった所へ、下部吸引口38が回転しながら進むと言う運転を行う。 【0034】 エジェクタ効果によって吸引されたスポンジブラスト媒体32は、吸引管14に回転継手48を介して連結されたホース18に導かれ、エジェクタノズル20の噴射口56から噴射される。 【0035】 このように構成されたブラスト装置10によれば、前述の如く大型ブロアに代えてエアコンプレッサ22を使用するとともに、吸引管14を容器12内で回転させてスポンジブラスト媒体32を負圧吸引する構造としたので、段取り工数を大幅に削減でき、持ち運びも簡単なことから、小面積部分のブラスト作業に好適となる。 【0036】 ところで、スポンジブラスト媒体32の吸引量よりも吸引管14の回転速度が速い場合には、吸引管14にスポンジブラスト媒体32が詰まり吸引管14内の負圧が過大となる。よって、適正な負圧を維持しつつ吸引管14を回転させる必要がある。 【0037】 実施の形態のブラスト装置10では、負圧センサ24によって計測される吸引管14内の負圧に基づいて制御部28がモータ16を制御し、吸引管14に詰まりを生じさせない回転数に吸引管14の回転数を制御している。すなわち、制御部28は、負圧センサ24によって計測される負圧が適正な吸引力を与える負圧となるように、吸引管14の回転数を適宜制御している。これにより、スポンジブラスト媒体32は吸引管14内で詰まることなく、エジェクタノズル20から良好に噴射される。 【0038】 また、制御部28は、負圧センサ24による計測値が一定値(吸引管14にスポンジブラスト媒体32が確実に詰まったと推測される値)より下がると、バルブ26を開放して、エアコンプレッサ22からの圧縮エアを、補給用圧縮エアとしてホース18の基端部18Aにも供給する。これにより、ホース18の基端部18Aにおいてエジェクタ効果が発生し、このエジェクタ効果によって、吸引管14内で詰まったスポンジブラスト媒体32がホース18に強制的に吸引される。これにより、吸引管14内での詰まりが解消される。そして、負圧センサ24による計測値が前記一定値に戻ると、制御部28は、詰まりが解消したと判断してバルブ26を閉鎖し、ホース18の基端部18Aに対する補給用圧縮エアの供給を停止する。 【0039】 すなわち、実施の形態のブラスト装置10は、通常はエジェクタノズル20にエアコンプレッサ22から圧縮エアを供給してブラスト作業を行うが、吸引管14の負圧が一定値より下がると、吸引管14に詰まりが発生したと判断し、ホース18の基端部18Aにもエアコンプレッサ22から圧縮エアを補給用圧縮エアとして供給する。 【0040】 これにより、吸引管14内で詰まっていたスポンジブラスト媒体32がエジェクタ効果により吸引されてホース18に送り出される。この後、吸引管14の負圧が元の良好な数値に戻ると、吸引管14への補給用圧縮エアの供給を停止する。ホース18にエアコンプレッサ22からの圧縮エアを補給用圧縮エアとして常時供給してもよいが、必要時のみ供給することにより省エネを図ることができる。」 イ 図面 (ア)図1 [図:0001421336000003.jpg] (イ)図2 [図:0001421336000004.jpg] ウ 甲1の記載事項の整理 (ア)段落【0023】~【0025】、図1~2の記載からみて、甲1にはブラスト装置10が記載されており、当該ブラスト装置10は、スポンジブラスト媒体32を貯留する容器12を備えることが、記載されている。 (イ)段落【0033】記載の「エアコンプレッサ22からエジェクタノズル20に圧縮エアを供給することにより生じるエジェクタ効果を利用して、吸引管14の下部吸引口38からスポンジブラスト媒体32を吸引しながら」の記載におけるエジェクタ効果は、スポンジブラスト媒体32を吸引する負圧を発生することが理解され、ここで吸引されたスポンジブラスト媒体32は、段落【0029】記載のように、圧縮エアとともに噴射されるのであるから、甲1記載のブラスト装置10は、エジェクタ効果により内部で発生した負圧によりスポンジブラスト媒体32を吸引すると共に圧縮エアと共に前記スポンジブラスト媒体32を噴射するエジェクタノズル20を備えるものである。 (ウ)段落【0029】の「容器12内のスポンジブラスト媒体32が吸引管14、ホース18を介してエジェクタノズル20に吸引され」の記載からみて、甲1記載のブラスト装置10は、容器12からエジェクタノズル20へスポンジブラスト媒体32を送り出す吸引管14及びホース18を備えるものである。 (エ)段落【0033】には、ブラスト装置10の圧縮エアをエジェクタノズル20に供給するエアコンプレッサ22について記載されている。 (オ)段落【0030】には、ブラスト装置10の吸引管14の負圧を検出する負圧センサ24について記載されている。 (カ)段落【0038】~【0039】の記載からみて、甲1記載のブラスト装置10は、吸引管14の負圧が一定値より下がると、吸引管14に詰まりが発生したと判断し、ホース18の基端部18Aにもエアコンプレッサ22から圧縮エアを補給用圧縮エアとして供給する制御部28を備えることが把握される。 エ 甲1記載の発明 上記ア~ウからみて、甲1には、次のブラスト装置の発明(以下「甲1装置発明」という。)、及びブラスト装置の制御方法の発明(以下「甲1方法発明」という。)が記載されている。 (ア)甲1装置発明 「スポンジブラスト媒体32を貯留する容器12と、 前記スポンジブラスト媒体32を噴射させるエジェクタノズル20であって、内部で発生した負圧により前記スポンジブラスト媒体32を吸引すると共に圧縮エアと共に前記スポンジブラスト媒体32を噴射するエジェクタノズル20と、 前記容器12から前記エジェクタノズル20へ前記スポンジブラスト媒体32を送り出す吸引管14及びホース18と、 前記圧縮エアを前記エジェクタノズル20に供給するエアコンプレッサ22と、を備えるブラスト装置10であって、 前記吸引管14の負圧を検出する負圧センサ24と、 検出した前記負圧が一定値より下がると、前記吸引管14に詰まりが発生したと判断し、前記ホース18の基端部18Aにもエアコンプレッサ22から圧縮エアを補給用圧縮エアとして供給する制御部28と、 を備えるブラスト装置10。」 (イ)甲1方法発明 「スポンジブラスト媒体32を貯留する容器12と、 前記スポンジブラスト媒体32を噴射させるエジェクタノズル20であって、内部で発生した負圧により前記スポンジブラスト媒体32を吸引すると共に圧縮エアと共に前記スポンジブラスト媒体32を噴射するエジェクタノズル20と、 前記容器12から前記エジェクタノズル20へ前記スポンジブラスト媒体32を送り出す吸引管14及びホース18と、 前記圧縮エアを前記エジェクタノズル20に供給するエアコンプレッサ22と、を備えるブラスト装置10の制御方法であって、 前記吸引管14の負圧を検出すること、 検出した前記負圧が一定値より下がると、前記吸引管14に詰まりが発生したと判断し、前記ホース18の基端部18Aにもエアコンプレッサ22から圧縮エアを補給用圧縮エアとして供給すること、 を含むブラスト装置10の制御方法。」 (4)請求項1 ア 本件特許発明1と甲1装置発明の対比 (ア)甲1装置発明の「スポンジブラスト媒体32」は本件特許発明1の「ショット材」に相当し、同様に「容器12」は「貯留部」に相当する。 (イ)甲1装置発明の「エジェクタノズル20」は本件特許発明1の「ノズル」に相当し、同様に「圧縮エア」は「圧縮空気」に相当する。 (ウ)甲1装置発明の「送り出す」は本件特許発明1の「搬送する」に、同様に「吸引管14及びホース18」は「搬送路」に相当する。 (エ)甲1装置発明の「エアコンプレッサ22」は本件特許発明1の「圧縮空気供給部」に、同様に「ブラスト装置10」は「ショット処理装置」に相当する。 (オ)甲1装置発明の「負圧センサ24」は本件特許発明1の「負圧計」に相当し、上記(ウ)の相当関係から見て、甲1装置発明の「吸引管14の負圧を検出する負圧センサ24」は本件特許発明1の「前記搬送路内の負圧を検出する負圧計」に相当する。 (カ)甲1装置発明の「検出した前記負圧が一定値より下がると」と本件特許発明1の「検出した前記負圧の振幅および周波数に基づいて」を対比すると、両者は「検出した前記負圧に基づいて」という点に限り一致する。 そして、甲1装置発明の吸引管14の詰まりが解消すれば、ブラスト作業を継続することから、「吸引管14の詰まり」の事象は本件特許発明1の「動作異常」ではなく「動作異常の予兆」に該当するため、甲1装置発明の「制御部28」のうち、「前記吸引管14に詰まりが発生したと判断」する手段は、本件特許発明1の「前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する異常検出部」と、「前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する異常検出手段」という点に限り一致する。 次いで、甲1装置発明の「前記ホース18の基端部18Aにもエアコンプレッサ22から圧縮エアを補給用圧縮エアとして供給する制御部28」は、上記の吸引管14の詰まりが発生したことの異常検出に対応して作動する異常処置の手段を制御するものであるから、本件特許発明1の「前記異常検出部の検出結果に基づいて作動する異常処置部と、前記異常処置部の作動を制御する制御部」と対比すると、「前記異常検出手段の検出結果に基づいて作動する異常処置手段と、前記異常処置手段の作動を制御する制御部」という点に限り一致する。 イ 本件特許発明1と甲1装置発明の一致点及び相違点 したがって、本件特許発明1と甲1装置発明は、次の点で一致する。 [一致点] ショット材を貯留する貯留部と、 前記ショット材を噴射させるノズルであって、内部で発生した負圧により前記ショット材を吸引すると共に圧縮空気と共に前記ショット材を噴射するノズルと、 前記貯留部から前記ノズルへ前記ショット材を搬送する搬送路と、 前記圧縮空気を前記ノズルに供給する圧縮空気供給部と、を備えるショット処理装置であって、 前記搬送路内の負圧を検出する負圧計と、 検出した前記負圧に基づいて、前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する異常検出手段と、 前記異常検出手段の検出結果に基づいて作動する異常処置手段と、 前記異常処置手段の作動を制御する制御部と、 を備えるショット処理装置。 ウ 本件特許発明1と甲1装置発明の相違点 そして、本件特許発明1と甲1装置発明は、次の(ア)~(イ)の点で相違する。 (ア)相違点1 本件特許発明1が、「搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆」を、「検出した負圧の振幅および周波数」に基づいて検出するのに対して、甲1装置発明は、搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を、「検出した負圧が一定値より下がる」ことに基づいて検出する点。 (イ)相違点2 本件特許発明1が「異常検出部」、「異常処置部」、及び「制御部」をそれぞれ備えるのに対して、甲1装置発明は、これらの機能を全て「制御部28」で担う点。 エ 相違点の検討 相違点1について検討する。 甲1は、搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆について、負圧の大きさの変化に着目して、「負圧が一定値より下がる」場合に、この予兆を検知するものである。 これに対して、本件特許発明1は、動作異常または動作異常の予兆について、搬送路の負圧が周期的に変動することに着目し、その正常時と異常時の波形について、単に甲1装置発明のように負圧の大きさ(振幅)のみならず、周波数の状態変化に基づいて、動作異常または動作異常の予兆を検知するものであって、例えば、本件特許の明細書の段落【0040】に「点線56~59の範囲から外れた場合(図5の55)は、動作異常と判断する。図5では、紙面下方向に、点線59を超えて外れている場合が示されているが、点線58を超えて上方向に外れた場合も動作異常と定義する。また、点線58、59内に波形の振幅は収まっているが、周期が正常状態と異なり不規則な場合(図5の点線範囲54)には、不安定状態として、ホース詰まりの予兆(動作異常の予兆)が生じていると定義して、前述の図3のフローチャートで説明したように、詰まり予防動作のきっかけとするようにする。」と記載されているように、負圧の大きさのみでは検知できない搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆(周期が不規則な不安定状態)の検知が可能となっている。 [本件の図5] [図:0001421336000005.jpg] その一方で甲1装置発明は、搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆の検知について、負圧を用いることでは、本件特許発明1と共通であるものの、甲1においては専ら負圧の大きさを利用することのみが記載され、搬送路の負圧が周期的に変動することを利用することについての記載や示唆はなく、他にこのような変動を動作異常または動作異常の予兆の検知に利用する動機がある旨の事情も存在しない。 また、本件特許発明1の「前記搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を検出する」ことについては、動作異常と動作異常の予兆の両方を検出可能であることを前提として、動作異常または動作異常の予兆のいずれかを弁別して検出する、すなわち、いずれか一方のみを検出するものではないのに対して、甲1装置発明は動作異常の予兆のみを検出するという点でも、両発明は異なるものである。 したがって、相違点1は、甲1装置発明のみに基づいて、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。 そして、特許異議申立書に添付された甲2~19を参照しても、相違点1に関する事項は記載も示唆もされていないから、相違点1は、甲1装置発明、甲2~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 オ 本件特許発明1の小括 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明1が、甲1装置発明を主引用例として、甲2~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)請求項2~9 本件特許発明2~9は本件特許発明1を直接的又は間接的に引用する発明であり、本件特許発明1に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件特許発明2~9は、上記(4)で検討した本件特許発明1と同様に、甲1~19記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)請求項10 ア 本件特許発明1と甲1装置発明の相違点 甲1装置発明の「ホース18の基端部18Aにもエアコンプレッサ22から圧縮エアを補給用圧縮エアとして供給する」は、本件特許発明10の「前記搬送路内に前記圧縮空気を供給する詰まり解除機構」に相当する。 したがって、本件特許発明10と甲1装置発明は、次の(ア)~(イ)の点で相違し、その余の点で一致する。 (ア)相違点3 本件特許発明10の「動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部」は、「検出した負圧の振幅及び周波数」に基づいて検出するのに対して、甲1装置発明の制御部は、搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を「検出した負圧が一定値より下がる」ことに基づいて検出する点。 (イ)相違点4 本件特許発明10が「異常検出部」、「予兆判断部」、及び「制御部」をそれぞれ備えるのに対して、甲1装置発明は、これらの機能を全て「制御部28」で担う点。 イ 相違点の検討 相違点3について検討する。 相違点3は、ショット処理装置において動作異常であるか否か、及び動作異常の予兆があるか否かを検出するのに、搬送路の「検出した負圧の振幅および周波数」に基づいて検出するのであるから、相違点1で検討したのと同様に、相違点3は、甲1装置発明、甲2~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、相違点4について検討するまでもなく、本件特許発明10が、甲1~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (7)請求項11 ア 本件特許発明11と甲1装置発明の相違点 本件特許発明11と甲1装置発明は、次の(ア)~(ウ)の点で相違し、その余の点で一致する。 (ア)相違点5 本件特許発明11においては、「動作異常、または動作異常の予兆を検出する異常検出部」が、「検出した負圧の振幅及び周波数」に基づいて検出し、「制御部」が、「動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウント」するのに対して、甲1装置発明においては、制御部が、動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合を「検出した負圧が一定値より下がる」ことに基づいて検出し、動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントすることはない点。 (イ)相違点6 本件特許発明11が「異常検出部」及び「制御部」をそれぞれ備えるのに対して、甲1装置発明は、これらの機能を全て「制御部28」で担う点。 (ウ)相違点7 本件特許発明11においては、「前記異常検出部の検出結果に基づいて、警告表示又は警告音を含む警告を発する警告機構」を備え、動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントした値が設定された値以上のとき警告を発するよう前記警告機構を制御するのに対して、甲1装置発明は、そのような警告機構を備えない点。 イ 相違点の検討 相違点5について検討する。 相違点5は、動作異常、及び動作異常の予兆を、搬送路の「検出した負圧の振幅および周波数」に基づいて検出するのであるから、相違点1で検討したのと同様に、相違点5は、甲1装置発明、甲2~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、相違点6~7について検討するまでもなく、本件特許発明11が、甲1~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (8)請求項12 ア 本件特許発明12と甲1方法発明の相違点 本件特許発明12と甲1方法発明は、次の(ア)~(イ)の点で相違し、その余の点で一致する。 (ア)相違点8 本件特許発明12が、「搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆」を、「検出した負圧の振幅および周波数」に基づいて検出するのに対して、甲1方法発明は、搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を、「検出した負圧が一定値より下がる」ことに基づいて検出する点。 (イ)相違点9 本件特許発明12が「前記動作異常、または動作異常の予兆が検出されたときに、警告表示、警告音を含む警告を発する」のに対して、甲1方法発明は、警告を発しない点。 イ 相違点の検討 相違点8について検討する。 相違点8は相違点1と同様の相違点であるから、相違点1で検討したのと同様に、相違点8は、甲1方法発明、甲2~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、相違点9について検討するまでもなく、本件特許発明12が、甲1~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (9)請求項13 ア 本件特許発明13と甲1方法発明の相違点 甲1方法発明の「検出した前記負圧が一定値より下がると、前記吸引管14に詰まりが発生したと判断し、前記ホース18の基端部18Aにもエアコンプレッサ22から圧縮エアを補給用圧縮エアとして供給すること」は、本件特許発明13の「前記動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合に、前記搬送路内に前記圧縮空気を供給すること」に相当する。 したがって、本件特許発明13と甲1方法発明は、次の点で相違し、その余の点で一致する。 相違点10 本件特許発明13が、「搬送路の詰まり、もしくは/および前記搬送路からの気密破れを含む動作異常、または前記搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆」を、「検出した負圧の振幅および周波数」に基づいて検出するのに対して、甲1方法発明は、搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆を、「検出した負圧が一定値より下がる」ことに基づいて検出する点。 イ 相違点の検討 相違点10について検討する。 相違点10は相違点1と同様の相違点であるから、相違点1で検討したのと同様に、相違点10は、甲1方法発明、甲2~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、本件特許発明13が、甲1~甲19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (10)請求項14~15 本件特許発明14~15は本件特許発明13を直接的又は間接的に引用する発明であり、それぞれ、本件特許発明13に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件特許発明14~15は、上記(9)で検討した本件特許発明13と同様に、甲1方法発明、及び甲2~19記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (11)請求項16 ア 本件特許発明16と甲1方法発明の相違点 本件特許発明16と甲1方法発明は、次の(ア)~(イ)の点で相違し、その余の点で一致する。 (ア)相違点11 本件特許発明16においては、「動作異常、または動作異常の予兆」を「検出した前記負圧の振幅および周波数」に基づいて検出し、「動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウント」するのに対して、甲1方法発明においては、動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合を「検出した負圧が一定値より下がる」ことに基づいて検出し、動作異常、または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントすることはない点。 (イ)相違点12 本件特許発明16においては、動作異常、または動作異常の予兆が搬送路の詰まりの予兆である場合をカウントした値が設定された値以上のとき警告を発するよう前記警告機構を制御するのに対して、甲1方法発明は、そのような警告機構を備えない点。 イ 相違点の検討 相違点11について検討する。 相違点11は相違点5と同様の相違点であるから、相違点5で検討したのと同様に、相違点11は、甲1方法発明、甲2~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、相違点12について検討するまでもなく、本件特許発明16が、甲1~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (12)請求項17 本件特許発明17は本件特許発明12を引用する発明であり、本件特許発明12に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件特許発明17は、上記(8)で検討した本件特許発明12と同様に、甲1方法発明、及び甲2~19記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (13)非採用申立理由1のまとめ、 以上のとおりであるから、請求項1~17に係る特許は、非採用申立理由1(甲1を主引用例とする進歩性の取消理由)によって、取り消すことはできない。 2 非採用申立理由2(進歩性) <甲2を主引用例とする進歩性欠如の理由> (1)特許異議申立書における申立理由の要旨 本件訂正前の請求項1~17に係る発明は、甲2記載の発明を主引用例として、甲1、3~19記載の発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)特許異議申立書に添付された甲号証について 上記1(2)と共通の甲1~19である。 (3)請求項1 上記1で検討したとおり、本件特許発明1と甲1装置発明は、相違点1において異なり、甲1装置発明には相違点1に到る記載や示唆、動機もなく、さらに、甲2から19のいずれも、少なくとも相違点1を開示しているとはいえないことから、本件特許発明1と甲2記載の発明とを対比しても、少なくとも相違点1において異なることが明らかである。 そうすると、甲2記載の発明を主引用例とした場合に、相違点1について記載も示唆もされていないから、本件特許発明1が甲2記載の発明のみに基づいて容易に想到し得たものとはいえず、さらに、他の甲1、3~19も少なくとも相違点1を開示していない。 したがって、本件特許発明1が、甲2記載の発明を主引用例とした場合に、甲1、3~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 (4)請求項2~9 本件特許発明2~9は本件特許発明1を直接的又は間接的に引用する発明であり、本件特許発明1に対してさらに発明特定事項を追加したものであるから、本件特許発明2~9は、上記(3)で検討した本件特許発明1と同様に、甲2記載の発明を主引用例として、甲1、3~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 (5)請求項10~17 本件特許発明10を甲2記載の発明と対比すると、少なくとも、相違点3と同様の点で相違する。 同様に、本件特許発明11と甲2記載の発明とは、少なくとも、相違点5と同様の点で、本件特許発明12と甲2記載の発明とは、少なくとも、相違点8と同様の点で、本件特許発明13と甲2記載の発明とは、相違点10と同様の点で、本件特許発明16と甲2記載の発明とは、少なくとも、相違点11と同様の点で、それぞれ相違し、いずれの相違点も、甲1、3~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 したがって、本件特許発明10~13及び16並びにそれらの発明を引用する本件特許発明14~15及び17は、甲2記載の発明を主引用例として、甲1、3~19記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 (6)非採用申立理由2のまとめ、 以上のとおりであるから、請求項1~17に係る特許は、非採用申立理由2(甲2を主引用例とする進歩性の取消理由)によって、取り消すことはできない。 3 非採用申立理由3(明確性) (1)明確性理由1 本件訂正前の請求項4に記載した「三方弁」と、請求項5に記載した当該「三方弁」が備える「第一の三方弁」と「第二の三方弁」の関係が不明であるから、請求項4及び同請求項を引用する請求項5~9は明確でない。 (2)明確性理由2 本件訂正前の請求項7~9に記載した「前記負圧計」が、請求項6に記載した「複数設けられている」「負圧計」のいずれに対応するかが不明であることから、請求項7~9に係る発明は明確でない。 (3)明確性理由3 本件訂正前の請求項7~8に記載した「接合部近傍」の記載について、「近傍」の用語が示す距離的範囲が不明確であることから、請求項7~8、及び請求項8を引用する請求項9は明確でない。 (4)明確性理由4 本件訂正前の請求項10に記載した「動作異常,または動作異常の予兆を検出する異常検出部」及び「前記動作異常,または動作異常の予兆が前記搬送路の詰まりの予兆であるか否かを判断する予兆判断部」との記載について、予兆判断部が判断する「搬送路の詰まりの予兆」について、「動作異常」として検出された「搬送路の詰まりの予兆」と,「動作異常の予兆」として検出された「搬送路の詰まりの予兆」という,二種類の「搬送路の詰まりの予兆」が存在することになり,当該予兆判断部が判断する「搬送路の詰まりの予兆」が如何なるものであるかを理解することができないから、請求項10、11、13、16及び請求項13を引用する請求項14~15は不明確である。 4 明確性理由1~4の検討 (1)明確性理由1 訂正事項2~3により、請求項4の「三方弁」が請求項5に記載した「前記第一の三方弁」であることが明確化された。 (2)明確性理由2 訂正事項5により、請求項7~9の負圧計は、請求項6に記載した「複数設けられている」「負圧計」のうちのそれぞれ1つであることが明確化された。 (3)明確性理由3 訂正事項6により、「近傍」の用語が削除され、負圧計が「接合部」に設けられていることが明確化された。 (4)明確性理由4 請求項10の予兆判断部は、異常検出部が検出した「動作異常、または動作異常の予兆」について、「搬送路の詰まりの予兆であるか否か」を判断するものであることが記載されており、予兆判断部が判断するのは「搬送路の詰まりの予兆」であることを理解できるので、請求項10の発明は明確であり、請求項11、13、16及び請求項13を引用する請求項14~15の発明も明確である。 (5)非採用申立理由3のまとめ、 以上のとおりであるから、請求項1~17に係る特許は、非採用申立理由3によって、取り消すことはできない。 5 小括 したがって、請求項1~17に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)においては採用しなかった特許異議申立書に記載された非採用申立理由1~3によって、取り消すことはできない。 第6 申立人の主張 1 令和6年8月29日提出の意見書による主張 申立人は令和6年8月29日提出の意見書(以下、申立人意見書という。)において、新たに甲23及び甲24を引用し、本件特許発明が甲1及び甲23記載の発明、あるいは甲1及び甲24記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた旨を主張するので検討する。 (1)新たに引用された甲号証 甲23:特開2007-211675号公報 甲24:特開2009-74571号公報 (2)甲23についての主張 申立人は、甲23の特許請求の範囲の【請求項1】における「流体移送路の流れ方向に相互に離隔して配置され、前記流体移送路内を通る流体の脈動を検出する第1及び第2の検出部と、前記第1及び第2の検出部から出力される信号の振幅及び周期を監視して前記流体移送路の異常の有無を判定する監視回路部とを有することを特徴とする流体移送路監視装置。」の記載について、段落【0020】の圧力センサにより配管内を通る流体の脈動を検出することができる旨の記載に基づき、上記【請求項1】の流体移送路内を通る「流体の脈動」は「流体の圧力の周期変化」と言い換えられ、第1及び第2の検出部から出力される「信号の振幅及び周期」は流体移送路内を流れる「流体の圧力の振幅及び周期(周波数)」を表していることを指摘した上で、甲23記載の流体移送路監視装置は,詰まりなどによる流体移送路の異常を,流体移送路内を流れる流体の圧力の振幅と周波数に基づいて判定(検出)すること(以下「甲23記載の判定に係る事項」という。)について、記載されている旨を主張する。 これに対して、甲1装置発明について、既に第5の1(4)エにおいて相違点1を検討したとおり、甲1に搬送路の負圧が周期的に変動することを利用することについての記載や示唆はなく、他にこのような変動を搬送路の詰まりとなる動作異常の予兆の検知に利用する動機がある旨の事情も存在せず、甲1装置発明に甲23記載の判定に係る事項を適用することが、当業者にとって容易想到であるとはいえない。 また、申立人は、令和6年2月21日提出の意見書で引用した甲20(再公表特許WO2016/136443)を根拠として、ブラスト装置において噴射剤を負圧吸引して搬送する搬送路では内部の圧力に脈動が生じることが本願出願前の公知技術であるから、甲1発明の吸引管にポンプが接続されていなくても、甲23記載の判定に係る事項を適用して、本件特許発明1に到ることが容易である旨を主張するが、甲20を参照しても、やはり、甲1装置発明に甲23記載の判定に係る事項を適用することが、当業者にとって容易想到であるとはいえない。 その理由について述べると、甲23では、いわゆる容積式のポンプ(チューブポンプ)が流体を間欠的に吐出することで脈動が生じているといえるから、脈動の振幅や周期は、容積式のポンプの吐出量や単位時間あたりの吐出回数(回転数)に影響されるといえるのに対して、本件特許発明の負圧の振幅や周期は、ショット材の流量が増減して、負圧の高い状態と低い状態が繰り返されることに影響されるものであり(本件特許明細書の段落【0039】の【表1】の(2)の「ホース5内の負圧状態の詳細」欄を参照。)、容積式のポンプの影響を受けるわけではない。 そして、甲20における圧力の脈動の振幅や周波数は、本件特許発明と同様に、ショット材の流量が増減することに影響されるものであって、甲23のようにポンプの吐出量や単位時間あたりの吐出回数に影響されるものではなく、配管を膨縮させるようなもの(甲23の段落【0036】)でもないから、甲1装置発明に、甲20のような脈動が生じるとしても、その脈動の振幅や周波数と、甲23におけるそれらとは全く異なるものである。そうすると、当業者であれば、甲1装置発明とは全く異なる脈動の振幅や周波数に基づく甲23の判定に係る事項を、甲1装置発明に適用するとはいえない。 したがって、甲1装置発明に甲23の判定に係る事項を適用することは、当業者が容易に想到できたものとはいえない。 本件特許発明2~17についても同様である。 (3)甲24についての主張 甲24の【請求項1】には「ポンプ及び該ポンプに接続される配管から構成される流動媒体の経路において、複数の所定箇所各々に、配管外周の形状に沿って密着して設置されるフィルム状の圧電センサと、前記配管内に詰まりが無い状態における前記ポンプ運転中の前記圧電センサの出力信号に基づく基準データを記憶しておく基準データ記憶手段と、該基準データ記憶手段に記憶されている基準データと、前記圧電センサの所定期間の出力信号に基づく対象データとを、対比可能に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする詰まり検出システム。」、【請求項2】には「請求項1に記載した詰まり検出システムであって、前記基準データ記憶手段は、前記配管内に詰まりが無い状態における前記ポンプ運転中の前記圧電センサの出力信号に基づいて計測される、前記ポンプで発生する圧力脈動の周波数近辺におけるパワーを記憶しておき、前記出力手段は、該基準データ記憶手段に記憶されているパワーと、前記圧電センサの所定期間の出力信号に基づいて計測される、前記圧力脈動の周波数近辺における実測パワーとを、対比可能に出力することを特徴とする詰まり検出システム。」が記載されている。 そして、申立人は、甲24における「圧力脈動の周波数」とは,監視対象とされている配管内における「圧力変化の周波数」になることを説明し、段落【0048】、図6の記載から、詰まりの検出方法の一例として、圧力脈動の基準波形において確認されていた周期の信号成分〔約2秒周期(周波数0.44Hz)に現れる波高(振幅)のピーク〕が、リアルタイム出力信号の波形から失われている場合に、圧力脈動の減衰が生じているとして詰まりの発生を判定することが記載されており、甲24の詰まり検出システムは、周期の信号成分の有無により、あるいは圧力脈動の周波数近辺における基準データのパワー(パワースペクトルのパワー密度)と、圧力脈動の周波数近辺における実測パワー(パワースペクトルのパワー密度)を比較して、監視対象とする配管内の詰まり等の異常の発生を検出しているのであるから、配管内の圧力の振幅および周波数に基づいて詰まり等の異常の発生を検出しているものであることを主張する。 しかしながら、申立人も認めるように、甲24の詰まり検出システムも、甲23の流体移送路監視装置と同じく、ポンプによる搬送によって流体に生じる脈動の振幅と周波数に基づいて詰まりを検出するものであるから、この脈動は、甲1装置発明の脈動とは全く異なるものである。 そうすると、上記(2)で検討したのと同様に、甲1装置発明に甲24記載の発明を適用して本件特許発明1に想到することが容易であるとはいえない。 本件特許発明2~17についても同様である。 2 小括 よって、申立人意見書による主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~17に係る特許を取り消すことができない。そして、他に本件請求項1~17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700453

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